説明

tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼに標的化する化合物の同定方法、および該化合物の抗真菌剤としての使用

本発明は、真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性をモジュレートする化合物のスクリーニングおよび同定方法に関する。特に本発明は、真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を阻害または低減する化合物を同定するためのアッセイを提供する。本発明の方法は、化合物ライブラリをハイスループットでスクリーニングして真菌感染症もしくは真菌の発生またはその1以上の症状の予防、治療、管理および/または寛解に有用な医薬品のリードを同定するための簡便な高感度アッセイを提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物の同定方法であって、
(a)細胞においてレポーター遺伝子を含む核酸を発現させるステップであって、該レポーター遺伝子がtRNAイントロンを含むものである、上記ステップ;
(b)上記細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップ;
(c)上記レポーター遺伝子の発現を検出するステップであって、化合物の存在下における上記レポーター遺伝子の発現が、上記化合物の非存在下または陰性対照の存在下における上記レポーター遺伝子の発現と比較して変化する場合に、真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物の同定方法であって、
(a)化合物ライブラリのメンバーを、無細胞抽出物およびレポーター遺伝子を含む核酸と接触させるステップであって、該レポーター遺伝子がtRNAイントロンを含むものである、上記ステップ;
(b)上記レポーター遺伝子の発現を検出するステップであって、化合物の存在下における上記レポーター遺伝子の発現が、上記化合物の非存在下または陰性対照の存在下における上記レポーター遺伝子の発現と比較して変化する場合に、真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項3】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物の同定方法であって、
(a)化合物ライブラリのメンバーを、レポーター遺伝子を含む核酸を含有する真菌細胞と接触させるステップであって、該レポーター遺伝子がtRNAイントロンを含むものである、上記ステップ;
(b)上記レポーター遺伝子の発現を検出するステップであって、化合物の存在下における上記レポーター遺伝子の発現が、上記化合物の非存在下における上記レポーター遺伝子の発現と比較して変化する場合に、tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項4】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を真菌細胞中に微量注入するステップであって、該基質は5’末端がフルオロフォアで標識され、3’末端がクエンチャーで標識されているか、または該基質は5’末端がクエンチャーで標識され、3’末端がフルオロフォアで標識されているものである、上記ステップ;
(b)上記細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップ;
(c)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下における蛍光シグナルが、化合物の非存在下または陰性対照の存在下におけるシグナルと比較してより少なく検出される場合に、tRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項5】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を真菌細胞中にトランスフェクトするステップであって、該基質は5’末端がフルオロフォアで標識され、3’末端がクエンチャーで標識されているか、または該基質は5’末端がクエンチャーで標識され、3’末端がフルオロフォアで標識されているものである、上記ステップ;
(b)上記細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップ;
(c)真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下における蛍光シグナルが、化合物の非存在下または陰性対照の存在下におけるシグナルと比較してより少なく検出される場合に、tRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項6】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を含む真菌細胞を化合物ライブラリーのメンバーと接触させるステップであって、該基質は5’末端がフルオロフォアで標識され、3’末端がクエンチャーで標識されているか、または該基質は5’末端がクエンチャーで標識され、3’末端がフルオロフォアで標識されているものである、上記ステップ;
(b)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下における蛍光シグナルが、化合物の非存在下または陰性対照の存在下におけるシグナルと比較してより少なく検出される場合に、真菌のtRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項7】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を真菌細胞中に微量注入するステップであって、該基質は5’末端が蛍光ドナー部分で標識され、3’末端が蛍光アクセプター部分で標識されているか、または該基質は5’末端が蛍光アクセプター部分で標識され、3’末端が蛍光ドナー部分で標識されているものである、上記ステップ;
(b)上記細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップ;
(c)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下において蛍光ドナー部分の波長における蛍光アクセプター部分の蛍光発光が、化合物の非存在下または陰性対照の存在下における発光と比較して低減している場合に、真菌のtRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項8】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を真菌細胞中にトランスフェクトするステップであって、該基質は5’末端が蛍光ドナー部分で標識され、3’末端が蛍光アクセプター部分で標識されているか、または該基質は5’末端が蛍光アクセプター部分で標識され、3’末端が蛍光ドナー部分で標識されているものである、上記ステップ;
(b)上記細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップ;
(c)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下において蛍光ドナー部分の波長における蛍光アクセプター部分の蛍光発光が、化合物の非存在下または陰性対照の存在下における発光と比較して低減している場合に、真菌のtRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項9】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質を含む真菌細胞を化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップであって、該基質は5’末端が蛍光ドナー部分で標識され、3’末端が蛍光アクセプター部分で標識されているか、または該基質は5’末端が蛍光アクセプター部分で標識され、3’末端が蛍光ドナー部分で標識されているものである、上記ステップ;
(b)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下において蛍光ドナー部分の波長における蛍光アクセプター部分の蛍光発光が、化合物の非存在下または陰性対照の存在下における発光と比較して低減している場合に、tRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項10】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)真菌抽出物または精製された真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼを真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質および化合物ライブラリーのメンバーと接触させるステップであって、該基質は5’末端がフルオロフォアで標識され、3’末端がクエンチャーで標識されているか、または該基質は5’末端がクエンチャーで標識され、3’末端がフルオロフォアで標識されているものである、上記ステップ;
(b)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下における蛍光シグナルが、化合物の非存在下または陰性対照の存在下におけるシグナルと比較してより少なく検出される場合に、真菌のtRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項11】
真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害または低減する化合物の同定方法であって、
(a)真菌抽出物または精製された真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼを真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質および化合物ライブラリーのメンバーと接触させるステップであって、該基質は5’末端が蛍光ドナー部分で標識され、3’末端が蛍光アクセプター部分で標識されているか、または該基質は5’末端が蛍光アクセプター部分で標識され、3’末端が蛍光ドナー部分で標識されているものである、上記ステップ;
(b)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップであって、化合物の存在下における蛍光ドナー部分の波長における蛍光アクセプター部分の蛍光発光が、化合物の非存在下または陰性対照の存在下におけるシグナルと比較して低減している場合に、tRNAスプライシング活性を阻害または低減する化合物が同定される、上記ステップ
を含む、上記方法。
【請求項12】
化合物が真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を阻害する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項13】
化合物がtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性を増強する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項14】
tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ活性をモジュレートする化合物の構造を決定するステップをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
レポーター遺伝子が、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、コメツキムシルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコロニダーゼ、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、およびアルカリホスファターゼからなる群の少なくとも1つのメンバーをコードする、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項16】
細胞が酵母細胞である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項17】
真菌抽出物が酵母抽出物である、請求項2、10または11に記載の方法。
【請求項18】
化合物が、ペプトイド;ランダムバイオオリゴマー;ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(Diversomer);ビニル性ポリペプチド;非ペプチド性ペプチド模倣体;オリゴカルバメート;ペプチジルホスホネート;ペプチド核酸ライブラリ;抗体ライブラリ;炭水化物ライブラリ;ならびに有機小分子ライブラリを含むコンビナトリアル化合物ライブラリから選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
有機小分子ライブラリが、ベンゾジアゼピン、イソプレノイド、チアゾリジノン、メタチアザノン、ピロリジン、モルホリノ化合物、またはジアゼピンジオンのライブラリである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
化合物ライブラリを細胞と接触させるステップが、緩衝液および塩の組み合わせを含む水溶液中で行われる、請求項1または3に記載の方法。
【請求項21】
水溶液が生理的条件に近似するまたはそれを模倣する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
水溶液がさらに界面活性剤またはサーファクタントを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
化合物の構造を質量分析、NMR、振動分光分析、またはX線結晶構造解析によって決定する、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
化合物が真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼと直接結合する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
化合物が基質と結合する、請求項4、5、6、7、8、9、10または11に記載の方法。
【請求項26】
化合物がtRNAイントロンと結合する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項27】
化合物がtRNAイントロンとtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼとの相互作用を破壊する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
化合物がtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼのサブユニットの相互作用を破壊する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
真菌感染症またはその症状を治療、予防または寛解するための方法であって、それを必要とする対象に、請求項12に記載の方法により同定される化合物またはその製薬上許容される塩の有効量を投与することを含む、上記方法。
【請求項30】
真菌感染症が酵母感染症である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
真菌感染症またはその症状を治療、管理または寛解するための方法であって、それを必要とする対象に、請求項4、5、6、7、8、9、10または11に記載の方法により同定される化合物またはその製薬上許容される塩の有効量を投与することを含む、上記方法。
【請求項32】
真菌感染症が酵母感染症である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
真菌感染症の治療、管理または寛解のための治療薬を同定する方法であって、
(a)真菌細胞抽出物または精製された真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼを、真菌のtRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの基質および化合物ライブラリのメンバーと接触させるステップであって、該基質は5’末端がクエンチャーで標識され、3’末端がフルオロフォアで標識されているか、または該基質は5’末端がフルオロフォアで標識され、3’末端がクエンチャーで標識されているものである、上記ステップ;
(b)tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼの活性を測定するステップ
を含み、化合物の非存在下における蛍光シグナルと比較して蛍光シグナルを低減する化合物が検出される状況下においては、続いて、
(c)上記化合物を真菌細胞と接触させ、該真菌細胞の増殖を検出するステップ
を含み、上記化合物が上記真菌細胞の増殖を低減または阻害する場合には、上記化合物を真菌感染症の治療薬と同定する、上記方法。
【請求項34】
(d)上記化合物を真菌感染症の動物モデルで試験するステップであって、該試験が、上記化合物を該動物モデルに投与し、該化合物が該動物モデルにおける真菌感染症の治療、管理または寛解に有効であることを検証することを含む、上記ステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基質がtRNA前駆体の成熟ドメインを含む、請求項4、5、6、7、8、9、10または11に記載の方法。
【請求項36】
化合物の細胞毒性活性を測定するステップをさらに含む、請求項1、4、5、7または8に記載の方法。
【請求項37】
化合物の細胞毒性活性を測定するステップをさらに含む、請求項2、3、6、9、10または11に記載の方法。
【請求項38】
化合物の細胞増殖抑制活性を測定するステップをさらに含む、請求項1、4、5、7または8に記載の方法。
【請求項39】
化合物の細胞増殖抑制活性を測定するステップをさらに含む、請求項2、3、6、9、10または11に記載の方法。
【請求項40】
対象がヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
対象がヒトである、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−525803(P2006−525803A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509432(P2006−509432)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/009574
【国際公開番号】WO2004/087070
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】