{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶形
【課題】本発明の目的は、医薬品として有用な{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の保存安定性に優れた新規な結晶形を提供すること。
【解決手段】
{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形が、約2ヶ月保存後においても変化せず、優れた保存安定性を有するため、医薬品として有用である。
【解決手段】
{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形が、約2ヶ月保存後においても変化せず、優れた保存安定性を有するため、医薬品として有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形に関する。
【背景技術】
【0002】
ある化合物が、2種以上の異なる結晶構造に結晶化する現象はポリモルフィズム(polymorphism)として知られており、この現象は結晶多形と呼ばれている。同一化合物の異なる結晶形は、溶解度、溶解速度、安定性、吸収性等の物性に違いが生じることが知られている。そのため、同一化合物を使用した場合でも、結晶形の違いにより所望の作用効果が得られなかったり、また、予想以上の作用効果が生じたりする等して、不測の事態を招くことが考えられる。
【0003】
一方、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸は、ホスホジエステラーゼ4(Phosphodiesterase4;PDE4)阻害活性を有する化合物として知られている(特許文献1参照)。また、当該化合物の結晶形(以下、本明細書中では便宜的にγ型結晶と呼ぶ。)が得られたことが知られている(特許文献2参照)。今回、本発明者らが研究した結果、当該化合物はγ型の単一の結晶だけではなく、5種類の結晶形(α、β、γ、δ、アセトン和物)が存在することを見出した。
【0004】
しかしながら、これらの文献には、当該化合物の結晶多形についてまったく論じられておらず、その存在も示唆されていない。さらに、当該化合物の結晶形を医薬品原薬として使用するためには、長期保存しても安定性を有する結晶形が切望されていた。
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/14280号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/66590号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、医薬品として有用な{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の保存時の安定性に優れた新規な結晶形を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記した目的を達成するべく、鋭意検討を行った結果、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形が約2ヶ月間保存しても安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1] 単離した{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶、
[2] 下記のAおよびBで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[1]記載のα型結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート、
[3] 下記のA1およびB1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[1]記載のα型結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、14.15、15.02、16.75、17.29、18.09、20.64、21.33、22.25、24.14、25.15、27.43、28.46および33.80度である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する、
[4]下記のCおよびDで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶:
C:図3に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
D:全反射法を用いて測定される図4に示される赤外吸収スペクトルチャート、
[5] 下記のC1およびD1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[4]記載のβ型結晶:
C1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、13.61、14.30、14.95、15.67、16.40、17.97、18.26、18.79、19.78、20.10、21.06、22.02、22.66、23.62、24.16、25.39、26.29、27.29、28.02、29.47、32.47、32.93度である;
D1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する、
[6] 前記[1]記載のα型結晶を、加熱減圧乾燥することによって得られることを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶、
[7] 約2ヶ月の保存安定性を有する前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の結晶、および
[8] 前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の結晶を1%以上含有してなる混合物等に関する。
【0009】
本発明において、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸(以下、化合物Aと略記することがある。)は、式(A)
【0010】
【化1】
【0011】
で示される化合物である。
【0012】
本発明において、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(以下、化合物Bと略記することがある。)は、式(B)
【0013】
【化2】
【0014】
で示される化合物である。
【0015】
本発明において、化合物Aのα型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の(a)および(b)の少なくとも一つの物理化学データによって特徴づけられる。好ましくは、(a)および(b)の両方の物理化学データによって特徴づけられる。(a)以下の図1に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表2に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)である、(b)全反射法を用いて測定した図2で示される赤外吸収スペクトル(IR)、または2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する。
【0016】
本発明において、化合物Aのβ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の(c)および(d)の少なくとも一つの物理化学データによって特徴づけられる。好ましくは、(c)および(d)の両方の物理化学データによって特徴づけられる。(c)以下の図3に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表3に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)である、(d)全反射法を用いて測定した図4で示される赤外吸収スペクトル(IR)、または2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する。
【0017】
本発明において、化合物Aのγ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、国際公開第03/66590号パンフレットに記載されている比較化合物を表わし、該パンフレットに記載されている図2(粉末X線回折スペクトルチャート)、図4(IRスペクトルデータ)、図7(DSC測定チャート)および/または図8(TG測定チャート)の物理化学データによって特徴づけられる。また、本明細書中における、図5に示される粉末X線回折スペクトル、または図6に示される赤外吸収スペクトル(IR)によって特徴づけられる。
【0018】
本発明において、化合物Aのδ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の図9に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表5に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)のデータによって特徴づけられる。
【0019】
本発明において、化合物Aの結晶としては、化合物Aの溶媒和物の結晶であってもよい。ここで、化合物Aの溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)、エーテル系溶媒(例えば、1,4−ジオキサン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン等)等の溶媒和物が挙げられる。化合物Aの水和物としては、例えば、上記した化合物B等が挙げられる。ここで、結晶とは、構成分子が3次元の周期性を持って配列した固体物質を意味し、ほぼ一定の融点と一定の組成を示すものである。
【0020】
本発明において、化合物Aの結晶形としては、無水和物の結晶であることが好ましく、α型結晶、β型結晶、δ型結晶がより好ましく、α型結晶、β型結晶が特に好ましい。
【0021】
化合物Aの各結晶形(例えば、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、δ型結晶、アセトン和物の結晶等。)は、本明細書に記載された物理化学データによって特定されるものであるが、各スペクトルデータは、その性質上多少変わり得るものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0022】
例えば、粉末X線回折スペクトルデータの性質上、結晶の同一性の認定においては、回折角(2θ)や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によっても多少変わり得る。
【0023】
また、赤外吸収スペクトル(IR)においても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
【0024】
また、示差走査熱量測定(DSC)においても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
【0025】
したがって、本発明の結晶形において、粉末X線回折スペクトルまたは赤外吸収(IR)スペクトルとパターンが、それぞれ全体的に類似するものは、本発明の結晶形に含まれるものである。
【0026】
本発明において、結晶の化学純度としては、97.0%以上のものが好ましく、より好ましくは、99.0%以上、さらに好ましくは99.5%以上、特に好ましくは100%である。
【0027】
本発明において、減圧乾燥とは、約25℃以上で行うことが好ましい。加熱減圧乾燥では、約60℃以上に加熱して行うことが好ましく、より好ましくは約80℃以上、さらに好ましくは約100℃以上である。その減圧乾燥および加熱減圧乾燥に要する時間は、連続して約1時間以上であることが好ましく、約6時間以上であることがより好ましく、約12時間以上であることが特に好ましい。
【0028】
本発明において、保存安定性とは、一定の温度、常圧下で長期(約2ヶ月)に亘って保存しても、結晶の化学純度の変化、類縁物質量が増加、水和物(例えば、一水和物等)への変化等が起こらないことを意味する。該温度として好ましくは、約20〜50℃であり、より好ましくは、約25〜30℃であり、特に好ましくは、約25℃である。
【0029】
本発明において、後記する実施例に示すように、化合物Aのα型結晶またはβ型結晶は、保存安定性に優れているが、化合物Aのγ型結晶は、長期保存後に一水和物に変化するため、品質等が変化することが懸念される。
【0030】
本発明において、混合物とは本発明の化合物Aのα型結晶またはβ型結晶を1%以上含有する混合物を意味する。例えば、化合物Aのα型結晶を1%以上含有し、それ以外にα型結晶以外の化合物Aの各結晶形(例えば、β型結晶、γ型結晶、δ型結晶等)、化合物Aの塩、またはその溶媒和物(例えば、化合物B等)の固体(例えば、油状物、アモルファス、結晶等)を含有する混合物、化合物Aのβ型結晶を1%以上含有し、それ以外にβ型結晶以外の各結晶形(例えば、α型結晶、γ型結晶、δ型結晶等)、化合物Aの塩、またはその溶媒和物(例えば、化合物B等)の固体(例えば、油状物、アモルファス、結晶等)を含有する混合物等が挙げられる。これらの混合物の混合比率は任意でよい。
[本発明の結晶の製造方法]
本発明において、化合物Aの各結晶形(例えば、α型結晶、β型結晶、δ型結晶、アセトン和物の結晶等が挙げられ、以下、本発明の結晶形と略記することがある。)は、以下に記載した方法、これらに準ずる方法または実施例に記載した方法によって製造することができる。
【0031】
本発明の結晶形は、後記する方法で製造された化合物Aのγ型結晶または化合物Bの結晶を、再結晶操作、すなわち、水および/または後記する有機溶媒に溶解し、約−10〜約25℃に冷却にすることによって析出させることができる。析出した結晶は、ろ取し、必要に応じて後記する有機溶媒で洗浄後、減圧乾燥または加熱減圧乾燥することによって、目的とする本発明の結晶形を単離することができる。ここで有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)等を単一の溶媒として用いてもよいし、複数の溶媒、例えば複数の溶質が溶解しやすい好溶媒(良溶媒)の混合溶媒や、好溶媒(良溶媒)と、溶質が溶解しにくい貧溶媒である、水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(例えば、メチル t−ブチルエーテル等)との混合溶媒を用いてもよい。操作の順番は、溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液を貧溶媒に加えてもよいし、貧溶媒を溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液に加えてもよい。また、有機溶媒として、脱水溶媒(例えば、無水メタノール、無水テトラヒドロフラン、無水アセトン、無水アセトニトリル、無水酢酸エチル等)を用いてもよい。減圧乾燥を行う場合は、約25℃以上で行うことが好ましい。また、加熱減圧乾燥を行う場合は、約60℃以上に加熱して行うことが好ましく、より好ましくは約80℃以上、さらに好ましくは約100℃以上である。その減圧乾燥および加熱減圧乾燥に要する時間は、連続して約1時間以上であることが好ましく、約6時間以上であることがより好ましく、約12時間であることが特に好ましい。
【0032】
本発明において、化合物Aのα型結晶を製造する場合、化合物Bの結晶を溶解する際に用いる有機溶媒として好ましくは、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール)、エーテル系溶媒(例えば、メチル t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、n−ヘプタン)等)の単一溶媒、またはそれらの混合溶媒が挙げられる。また、脱水溶媒(例えば、無水アセトニトリル、無水テトラヒドロフラン、無水酢酸エチル)の単一溶媒、またはそれらの混合溶媒も好ましい。これら溶媒に溶解した後に、析出した結晶の減圧乾燥は、約25℃で行うことが好ましい。
【0033】
本発明の結晶形の原料としての式(A)で示される{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸(化合物A)は、公知の物質であるため、公知の方法、国際公開第02/14280号パンフレットの実施例2(9)に記載の方法で製造できる。化合物Aのγ型結晶は、公知の物質であり、公知の方法、国際公開第03/66590号パンフレットの比較例1、または後記する実施例1の方法で製造した。また、同様に式(B)で示される{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(化合物B)およびその結晶は、公知の物質であるため、公知の方法、国際公開第03/66590号パンフレットの実施例2の方法、すなわち、下記の参考例1の方法で製造した。
[医薬品への適用]
本発明の結晶形およびその結晶形を含有する混合物は、有効成分として化合物A、すなわち、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸を含有しており、PDE4阻害活性を有するため、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)において、炎症性疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)、自己免疫疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、膠原病等)、眼疾患(アレルギー性結膜炎、季節性結膜炎等)、骨粗鬆症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、うつ病、パーキンソン病、認知症、虚血再灌流障害、白血病、後天性免疫不全症候群(Aquired Immune Deficiency Syndrome;AIDS)、ショック、全身性炎症反応症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome;SIRS)または掻痒(例えば、眼掻痒、皮膚掻痒、耳鼻掻痒、全身性掻痒等)等の予防および/または治療に有用である。なお、本発明において、「予防」とは疾患の成立そのものを予防することを、「治療」とは病態を治癒の方向へ導くことを意味する。
【0034】
本発明の結晶形は、(1)物質として安定である、(2)大量に安定供給が可能である、および/または(3)錠剤等の剤形への製剤化が比較的容易である等の理由から、それ自体、医薬品原薬としての利用可能性に優れている。また、本発明の混合物も医薬品原薬として利用できる。ただし、本発明の結晶形を医薬品原薬として使用する場合には、α型結晶、β型結晶が好ましい。
【0035】
本発明の結晶形を医薬品原薬として使用することができる製剤としては、例えば、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等が挙げられる。
【0036】
経口投与のための内服用固形剤には、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0037】
このような内服用固形剤においては、本発明の結晶形はそのままか、または添加剤と混合や造粒され、常法に従って製剤化して用いられる。添加剤は1種以上を適宜配合して用いてもよい。添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、分散剤(例えば、トウモロコシデンプン等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、水溶性高分子(例えば、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等)、合成高分子類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)等)、甘味剤(例えば、白糖、粉糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム等)が挙げられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0038】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤・乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、本発明の結晶形が、一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0039】
非経口投与の中で、外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、眼軟膏および点鼻剤等が含まれる。これらは本発明の結晶形を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造、調製される。
【0040】
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に研和、または溶融させて製造、調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0041】
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させて製造、調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0042】
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融または乳化させて製造、調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(例えば、2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0043】
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(例えば、尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(例えば、カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0044】
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0045】
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を水、アルコール(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選択される1種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造、調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0046】
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば、米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。また、エアゾル剤としても構わない。
【0047】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、本発明の結晶形を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば、凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0048】
非経口投与のための吸入剤としては、エアゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
【0049】
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0050】
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(例えば、ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン等)、賦形剤(例えば、乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0051】
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(例えば、アトマイザー、ネブライザー等)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0052】
点眼剤の場合には、等張化剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等)、緩衝剤(例えば、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸等)、pH調節剤(例えば、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、可溶化剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等)、増粘剤または分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、安定化剤(例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム等)、保存剤(例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール等)等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0053】
非経口投与のためその他の組成物としては、本発明の結晶形を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0054】
本発明の結晶形を有効成分として含有する薬剤は、1)本発明の結晶形を含有する薬剤の予防および/または治療効果の補完および/または増強、2)本発明の結晶形を含有する薬剤の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)本発明の結晶形を含有する薬剤の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0055】
本発明の結晶形を含有する薬剤と他の薬剤の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明の結晶形を含有する薬剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の結晶形を含有する薬剤を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0056】
該他の薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチン等であってもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と他の薬剤の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、本発明化合物1重量部に対し、他の薬剤を0.01乃至100重量部用いればよい。他の薬剤は以下に示す同種群および異種群から任意に1種または2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。また、本発明の結晶形を含有する薬剤の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、以下に示す例示に限定されず、下記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0057】
該他の薬剤としては、例えば、ステロイド薬、β2アドレナリン受容体刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、キサンチン誘導体、抗コリン薬、サイトカイン阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤、エラスターゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、去痰薬、抗生物質、ビスホスホネート製剤、ビタミンD製剤、カルシウム製剤、エストロゲン製剤、カルシトニン製剤、イプリフラボン製剤、タンパク同化ステロイド薬、ビタミンK製剤、カテプシンK阻害薬、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、免疫抑制薬、TNF−α拮抗薬、接着分子阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、非ステロイド系抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、消炎酵素薬、軟骨保護薬、T細胞阻害薬、IL−6阻害薬、インターフェロンγ作動薬、IL−1阻害薬、緑内障治療薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬等が挙げられる。
【0058】
ステロイド薬としては、例えば、アムシノニド、ジフルプレドナート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、フランカルボン酸モメタゾン、フルオシノニド、プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸デキサメタゾン、プロピオン酸デプロドン、ベタメタゾン、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸パラメタゾン、酢酸ベタメタゾン・リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸メチルプレドニゾロン、注射用コハク酸プレドニゾロンナトリウム、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン等が挙げられる。
【0059】
β2アドレナリン受容体刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、塩酸サルブタモール、塩酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、塩酸イソプロテレノール、塩酸オルシプレナリン、塩酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、塩酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855等が挙げられる。
【0060】
ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
【0061】
トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、例えば、ラマトロバン、セラトロダスト、ドミトロバンカルシウム水和物等が挙げられる。
【0062】
トロンボキサン合成酵素阻害薬としては、例えば、塩酸オザグレル、イミトロダストナトリウム等が挙げられる。
【0063】
メディエーター遊離抑制薬としては、例えば、アンレキサノクス、イブジラスト、クロモグリク酸ナトリウム、ダザノラスト、トラニラスト、ペミロラストカリウム、レピリナスト等が挙げられる。
【0064】
抗ヒスタミン薬としては、例えば、塩酸エピナスチン、塩酸トリプロリジン、酒石酸アリメマジン、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、テオクル酸ジフェニルピラリン、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸オロパタジン、塩酸シプロヘプタジン、エバスチン、オキサトミド、テルフェナジン、アステミゾール、ロラタジン、デスロラタジン、塩酸プロペタジン、塩酸ホモクリルシクロジン、塩酸セチリジン、メキタジン、ベシル酸ベポタスチン、フマル酸エメダスチン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、モメタゾンフロエート、ミゾラスチン、アクリバスチン、BP−294、ヒベンズ酸プロメタジン、TAK−427、ZCR−2060、NIP−530等が挙げられる。
【0065】
キサンチン誘導体としては、例えば、アミノフィリン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、ジプロフィリン等が挙げられる。
【0066】
抗コリン薬としては、例えば、臭化オキシトロピウム、臭化イプラトロピウム、塩酸クレンブテロール、コリンテオフィリン、塩酸マブテロール、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸ビペリデン、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
【0067】
サイトカイン阻害薬としては、例えば、トシル酸スプラタスト等が挙げられる。
【0068】
プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、例えば、PGE1製剤(例:アルプロスタジルアルファデクス、アルプロスタジル等)、PGI2製剤(例:ベラプロストナトリウム等)、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、PGE2受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP、CRTH2)、PGF受容体(FP)、PGI2受容体(IP)、TX受容体(TP)等が挙げられる。
【0069】
エラスターゼ阻害薬としては、例えば、ONO−5046、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、DMP−777、L−659286、L−658758、L−680833、L−683845、AE−3763等が挙げられる。
【0070】
メタロプロテイナーゼ阻害薬としては、例えば、ONO−4817、S−3536、KB−R7785等が挙げられる。
【0071】
去痰薬としては、例えば、塩酸アンブロキソール、フドステイン、L−塩酸メチルシステイン、塩酸ブロムヘキシン、ヒベンズ酸チピペジン、カルボシステイン、L−塩酸エチルシステイン、グアイフェネシン、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、アセチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
【0072】
抗生物質としては、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、ロキタマイシン、アセチルスピラマイシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、プロピオン酸ジョサマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、アセチルキタサマイシン、酢酸ミデカマイシン、ロキシスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシン、トブラマイシン、スルペニシリン、セフメノキシム、コリスチン、オキシテトラサイクリン、ポリミキシンB、クロラムフェニコール、ミクロノマイシン、ジベカシン、シソマイシン等が挙げられる。
【0073】
ビスホスホネート製剤としては、例えば、アレンドロン酸ナトリウム水和物、イバンドロン酸、インカドロン酸二ナトリウム、エチドロン酸二ナトリウム、オルパドロネート、クロドロン酸ナトリウム水和物、ゾレドロン酸、チルドロン酸二ナトリウム、ネリドロネート、パミドロン酸二ナトリウム、ピリドロネート、ミノドロン酸水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、YM175等が挙げられる。
【0074】
ビタミンD製剤としては、例えば、アルファカルシドール、ファレカルシトリオール、カルシトリオール、1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、ST−630、KDR、ED−71、ロカルトール(Ro44−7190)、タカルシオール、マキサカルシトール等が挙げられる。
【0075】
カルシウム製剤としては、例えば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、L−アスパラギン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0076】
エストロゲン製剤としては、例えば、エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストラジオールシピオナート、エストラジオールジプロピオナート、エストラジオールエナンタート、エストラジオールヘキサヒドロベンゾアート、エストラジオールフェニルプロピオナート、エストラジオールウンデカノアート、吉草酸エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール等が挙げられる。
【0077】
カルシトニン製剤としては、例えば、カルシトニン、サケカルシトニン(STH−32、SMC20−51)、ニワトリカルシトニン(MCI−536)、セカルシフェロール、エルカトニン、TJN−135等が挙げられる。
【0078】
イプリフラボン製剤としては、例えば、イプリフラボン等が挙げられる。
【0079】
タンパク同化ステロイド薬としては、例えば、オキシメトロン、スタノゾロール、デカン酸ナンドロロン、フェニルプロピオン酸ナンドロロン、シクロヘキシルプロピオン酸ナンドロロン、酢酸メテノロン、メスタノロン、エチルエストレノール、カルステロン等が挙げられる。
【0080】
ビタミンK製剤としては、例えば、メナテトレノン、フィトナジオン等が挙げられる。
【0081】
カテプシンK阻害薬としては、例えば、ONO−5334、AAE581、SB462795等が挙げられる。
【0082】
プロスタグランジン合成酵素阻害薬としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オルサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムデータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。
【0083】
免疫抑制薬としては、例えば、タクロリムス水和物、メトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
【0084】
TNF−α阻害薬としては、例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ等が挙げられる。
【0085】
接着分子阻害薬としては、例えば、α4インテグリン拮抗薬、抗Vap−1抗体等が挙げられる。
【0086】
5−リポキシゲナーゼ阻害薬としては、例えば、AA861、ABT−761等が挙げられる。
【0087】
非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、グリチルレチン酸、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合薬、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。
【0088】
疾患修飾性抗リウマチ薬としては、例えば、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、アクタリット、D−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブシラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン、T−614等が挙げられる。
【0089】
消炎酵素薬としては、例えば、塩化リゾチーム、ブロメライン、プロナーゼ、セラペプターゼ、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ配合剤等が挙げられる。
【0090】
軟骨保護薬としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0091】
緑内障治療薬としては、例えば、塩酸ピロカルピン、サリチル酸フィゾスチグミン、チモロール、イソプロピルウノプロストン等が挙げられる。
【0092】
抗菌薬としては、例えば、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、エノキサシン、塩酸シプロフロキサシン、シノキサシン、スパルフロキサシン、トシル酸トスフロキサシン、ナリジクス酸、ピペミド酸三水和物、ピペミド酸、フレロキサシン、レボフロキサシン等が挙げられる。
【0093】
抗ウイルス薬としては、例えば、イドクスウリジン、アシクロビル等が挙げられる。
【0094】
抗真菌薬としては、例えば、ピマリシン、フルコナゾール、ミコナゾール、アムホテリシンB、フルシトシン、イトラコナゾール等が挙げられる。
【0095】
本発明の結晶形、または本発明の結晶形と他の薬剤との併用薬を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0096】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、例えば、成人1人当たり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人1人当たり、1回につき1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に投与される。特に、点眼投与であれば、成人1人当たり、0.001〜10%(w/v)の濃度のものを1回量1〜数滴を1日1〜数回点眼剤によって投与されるか、成人1人当たり、0.001〜10%(w/v)の濃度のものを1日1〜数回眼軟膏によって投与される。
【0097】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
[薬理活性]
本発明の結晶形が、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸と同程度の強い薬理活性を有することは、公知の方法、例えば、国際公開第02/14280号パンフレット、国際公開第03/66590号パンフレット、国際公開第05/007161号パンフレット等に記載の方法によって確認することができる。
[毒性]
本発明の結晶形の毒性は非常に低く、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。
【発明の効果】
【0098】
本発明によって、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の薬理効果を保持しつつ、かつ安全で、医薬品原薬として使用することができる、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の無水和物の新規結晶形を提供することができる。これらの結晶のうち、α型結晶およびβ型結晶は、約2ヶ月の保存安定性を有するため、医薬品原薬としてより有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0100】
実施例に記載した各結晶の物性データは、以下の測定条件によって行われた。
[1]粉末X線回折スペクトル
<測定条件>
装置:BRUKER axs製BRUKER D8 DISCOVER with GADD(C2)、
ターゲット:Cu、
フィルター:なし、
電圧:40kV、
電流:40mA、
露光時間:5min。
[2]赤外吸収(IR)スペクトル
<測定条件>
装置:日本分光製FTIR-660Plus/SensIR TECHNOLOGIES製DuraScope、
測定方法:全反射法で測定、
分解能:4cm−1、
スキャン回数:16回。
[3]熱重量測定(TG)
<測定条件>
装置:METTLER TOLEDO製TGA 851e、
試料量:約4.8mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
アルゴンガス流量:20mL/min、
昇温速度:5℃/min。
【0101】
また、示差走査熱量測定は、以下の測定条件によって行うことができる。
示差走査熱量測定(DSC)
<測定条件>
装置:METTLER TOLEDO製DSC 822e、
試料量:1.15mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
アルゴンガス流量:40mL/min、
昇温速度:5℃/min。
【0102】
本発明の結晶形が無水和物であるか否かは、公知の方法で測定することができる。例えば、医薬品の水分測定法で知られた方法、とりわけ日本薬局方収載の水分測定法、なかでも第十四改正日本薬局方に収載の水分測定法(カールフィッシャー法)に従って行った。
【0103】
実施例で原料物質として用いたエステル体は、国際公開第03/66590号パンフレットに記載されている。例えば、メチル {4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−ピペリジニル)アセタートは、国際公開第03/66590号パンフレットの参考例9で製造した化合物である。
参考例1:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(化合物B)
【0104】
【化3】
【0105】
メチル {4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−ピペリジニル)アセタート(17.7g)のメタノール溶液(200mL)に、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液(86.6mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に2N塩酸(43mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール−水(1:2)(150mL)、ジエチルエーテルにて洗浄して固体(13.36g)を得た。先で得られた固体(12.44g)をエタノール(144mL)−水(96mL)から再結晶し、25℃にて減圧下(3mmHg)12時間乾燥して、以下の物性値を有する標題化合物(1水和物)(11.49g)を得た。
TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2);
NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.80 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
実施例1:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(γ型結晶)
参考例1で製造した化合物Bの結晶を100℃で約3時間減圧乾燥することによって、標題の結晶を得た。得られた結晶のTGおよびカールフィッシャー法による含水率を測定し、重量減少が見られなかったことから、無水和物の結晶であることを確認した。また、γ型結晶であることを粉末X線回折スペクトルおよび赤外吸収スペクトル(IR)によって確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0106】
【表1】
【0107】
IR(全反射法):2954、1630、1506、1420、1360、1322、1274、1219、1182、1105、1038、1003、984、964、918、901、877、857、677、616、493、455、420cm−1。
実施例2:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(α型結晶)
参考例1で製造した化合物Bの結晶を試験管に100mg計量し、セプタムで封をした後、風船を用いて試験管内をアルゴン置換した。この試験管を70℃の水浴に付け、無水アセトニトリル(8v/w)を加えて結晶を溶解させ、室温まで冷却して1時間静置した。析出した結晶を、さらに0〜5℃まで冷却し、ろ過した後、室温で減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が、無水和物であることをカールフィッシャー法およびTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0108】
【表2】
【0109】
IR(全反射法):2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458、423cm−1。
実施例3:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(β型結晶)
実施例2で製造した化合物Aのα型結晶を、100℃で約1日減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が、無水和物であることをTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0110】
【表3】
【0111】
IR(全反射法):2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460、420cm−1。
実施例4:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶
参考例1で製造した化合物Bの結晶を試験管に100mg計量し、セプタムで封をした後、風船を用いて試験管内をアルゴン置換した。この試験管を70℃の水浴に付け、無水アセトン(6v/w)を加えて結晶を溶解させ、室温まで冷却して1時間静置した。析出した結晶を、さらに0〜5℃まで冷却し、ろ過した後、室温で減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。得られた結晶が、アセトン和物であることをカールフィッシャー法およびTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0112】
【表4】
【0113】
IR(全反射法):2952、1704、1626、1508、1416、1389、1363、1271、1225、1179、1118、1032、987、939、877、821、684、646、598、531、492、457cm−1。
実施例5:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(δ型結晶)
実施例4で製造した化合物Aのアセトン和物の結晶を、70℃で約1日減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が無水和物であることを、TG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0114】
【表5】
【0115】
[カールフィッシャー法およびTG測定]
各実施例で製造された結晶形について、上記したカールフィッシャー法およびTG測定により、結晶形の水分定量および重量減少を測定した。
【0116】
各結晶形のカールフィッシャー法およびTG測定による結果を以下の表6に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
この結果から、参考例1の結晶形は、水分を4.45重量%(wt%)含み、4.33重量%(wt%)もの重量減少が見られたため結晶水を含む水和物であることがわかった。一方、実施例1、2、3および5の結晶形は、TGによる重量減少がほとんど見られないため、無水和物であると推察された。また、実施例4の結晶形は、水分をほとんど含んでいないことから水和物ではなく、TGによる重量減少が、化合物Aの1アセトン和物と仮定した際の12.8重量%(wt%)に近い値であったことから、1アセトン和物と推察された。
[結晶安定性試験]
実施例1、2および3の各結晶形について、室温(約25℃)、常圧(約1気圧)、湿度約30〜70%の条件下で、単離した結晶をスクリュー管に約2ヶ月保存した後、粉末X線回折を再び行った。各結晶形の再回折後の粉末X線回折スペクトルを以下の図10〜12に示す。
【0119】
この結果から、実施例1の結晶形、すなわちγ型結晶は、約2ヶ月保存後の粉末X線回折スペクトルのパターンが、参考例1の結晶形、すなわち化合物Bの結晶の粉末X線回折スペクトルと一致したことから、無水和物の結晶から水和物の結晶に変化したことがわかった。それに対して、実施例2の結晶形および実施例3の結晶形、すなわちα型結晶およびβ型結晶はともに、約2ヶ月保存後の粉末X線回折スペクトルのパターンが、保存前の粉末X線回折スペクトルとほぼ同じであったことから、約2ヶ月の保存安定性を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明によって得られる{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形、特にα型結晶およびβ型結晶は、約2ヶ月保存後においても水和物の結晶形に変化せず、優れた保存安定性を有するため、医薬品原薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図2】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図3】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図4】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図5】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図6】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図7】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図8】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図9】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のδ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図10】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。一番右は化合物Aのγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、真ん中は約2ヶ月保存後の化合物Aのγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、一番左は化合物Bの結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【図11】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。右は化合物Aのα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、左は約2ヶ月保存後の化合物Aのα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【図12】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。右は化合物Aのβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、左は約2ヶ月保存後の化合物Aのβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形に関する。
【背景技術】
【0002】
ある化合物が、2種以上の異なる結晶構造に結晶化する現象はポリモルフィズム(polymorphism)として知られており、この現象は結晶多形と呼ばれている。同一化合物の異なる結晶形は、溶解度、溶解速度、安定性、吸収性等の物性に違いが生じることが知られている。そのため、同一化合物を使用した場合でも、結晶形の違いにより所望の作用効果が得られなかったり、また、予想以上の作用効果が生じたりする等して、不測の事態を招くことが考えられる。
【0003】
一方、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸は、ホスホジエステラーゼ4(Phosphodiesterase4;PDE4)阻害活性を有する化合物として知られている(特許文献1参照)。また、当該化合物の結晶形(以下、本明細書中では便宜的にγ型結晶と呼ぶ。)が得られたことが知られている(特許文献2参照)。今回、本発明者らが研究した結果、当該化合物はγ型の単一の結晶だけではなく、5種類の結晶形(α、β、γ、δ、アセトン和物)が存在することを見出した。
【0004】
しかしながら、これらの文献には、当該化合物の結晶多形についてまったく論じられておらず、その存在も示唆されていない。さらに、当該化合物の結晶形を医薬品原薬として使用するためには、長期保存しても安定性を有する結晶形が切望されていた。
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/14280号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/66590号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、医薬品として有用な{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の保存時の安定性に優れた新規な結晶形を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記した目的を達成するべく、鋭意検討を行った結果、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形が約2ヶ月間保存しても安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1] 単離した{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶、
[2] 下記のAおよびBで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[1]記載のα型結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート、
[3] 下記のA1およびB1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[1]記載のα型結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、14.15、15.02、16.75、17.29、18.09、20.64、21.33、22.25、24.14、25.15、27.43、28.46および33.80度である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する、
[4]下記のCおよびDで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶:
C:図3に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
D:全反射法を用いて測定される図4に示される赤外吸収スペクトルチャート、
[5] 下記のC1およびD1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする前記[4]記載のβ型結晶:
C1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、13.61、14.30、14.95、15.67、16.40、17.97、18.26、18.79、19.78、20.10、21.06、22.02、22.66、23.62、24.16、25.39、26.29、27.29、28.02、29.47、32.47、32.93度である;
D1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する、
[6] 前記[1]記載のα型結晶を、加熱減圧乾燥することによって得られることを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶、
[7] 約2ヶ月の保存安定性を有する前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の結晶、および
[8] 前記[1]乃至[5]のいずれかに記載の結晶を1%以上含有してなる混合物等に関する。
【0009】
本発明において、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸(以下、化合物Aと略記することがある。)は、式(A)
【0010】
【化1】
【0011】
で示される化合物である。
【0012】
本発明において、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(以下、化合物Bと略記することがある。)は、式(B)
【0013】
【化2】
【0014】
で示される化合物である。
【0015】
本発明において、化合物Aのα型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の(a)および(b)の少なくとも一つの物理化学データによって特徴づけられる。好ましくは、(a)および(b)の両方の物理化学データによって特徴づけられる。(a)以下の図1に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表2に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)である、(b)全反射法を用いて測定した図2で示される赤外吸収スペクトル(IR)、または2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する。
【0016】
本発明において、化合物Aのβ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の(c)および(d)の少なくとも一つの物理化学データによって特徴づけられる。好ましくは、(c)および(d)の両方の物理化学データによって特徴づけられる。(c)以下の図3に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表3に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)である、(d)全反射法を用いて測定した図4で示される赤外吸収スペクトル(IR)、または2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する。
【0017】
本発明において、化合物Aのγ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、国際公開第03/66590号パンフレットに記載されている比較化合物を表わし、該パンフレットに記載されている図2(粉末X線回折スペクトルチャート)、図4(IRスペクトルデータ)、図7(DSC測定チャート)および/または図8(TG測定チャート)の物理化学データによって特徴づけられる。また、本明細書中における、図5に示される粉末X線回折スペクトル、または図6に示される赤外吸収スペクトル(IR)によって特徴づけられる。
【0018】
本発明において、化合物Aのδ型結晶とは、化合物Aの無水和物の結晶であり、以下の図9に示される粉末X線回折スペクトル、または以下の表5に示される回折角(2θ)、半値幅(Å)および相対強度(%)のデータによって特徴づけられる。
【0019】
本発明において、化合物Aの結晶としては、化合物Aの溶媒和物の結晶であってもよい。ここで、化合物Aの溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)、エーテル系溶媒(例えば、1,4−ジオキサン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン等)等の溶媒和物が挙げられる。化合物Aの水和物としては、例えば、上記した化合物B等が挙げられる。ここで、結晶とは、構成分子が3次元の周期性を持って配列した固体物質を意味し、ほぼ一定の融点と一定の組成を示すものである。
【0020】
本発明において、化合物Aの結晶形としては、無水和物の結晶であることが好ましく、α型結晶、β型結晶、δ型結晶がより好ましく、α型結晶、β型結晶が特に好ましい。
【0021】
化合物Aの各結晶形(例えば、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、δ型結晶、アセトン和物の結晶等。)は、本明細書に記載された物理化学データによって特定されるものであるが、各スペクトルデータは、その性質上多少変わり得るものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0022】
例えば、粉末X線回折スペクトルデータの性質上、結晶の同一性の認定においては、回折角(2θ)や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によっても多少変わり得る。
【0023】
また、赤外吸収スペクトル(IR)においても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
【0024】
また、示差走査熱量測定(DSC)においても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
【0025】
したがって、本発明の結晶形において、粉末X線回折スペクトルまたは赤外吸収(IR)スペクトルとパターンが、それぞれ全体的に類似するものは、本発明の結晶形に含まれるものである。
【0026】
本発明において、結晶の化学純度としては、97.0%以上のものが好ましく、より好ましくは、99.0%以上、さらに好ましくは99.5%以上、特に好ましくは100%である。
【0027】
本発明において、減圧乾燥とは、約25℃以上で行うことが好ましい。加熱減圧乾燥では、約60℃以上に加熱して行うことが好ましく、より好ましくは約80℃以上、さらに好ましくは約100℃以上である。その減圧乾燥および加熱減圧乾燥に要する時間は、連続して約1時間以上であることが好ましく、約6時間以上であることがより好ましく、約12時間以上であることが特に好ましい。
【0028】
本発明において、保存安定性とは、一定の温度、常圧下で長期(約2ヶ月)に亘って保存しても、結晶の化学純度の変化、類縁物質量が増加、水和物(例えば、一水和物等)への変化等が起こらないことを意味する。該温度として好ましくは、約20〜50℃であり、より好ましくは、約25〜30℃であり、特に好ましくは、約25℃である。
【0029】
本発明において、後記する実施例に示すように、化合物Aのα型結晶またはβ型結晶は、保存安定性に優れているが、化合物Aのγ型結晶は、長期保存後に一水和物に変化するため、品質等が変化することが懸念される。
【0030】
本発明において、混合物とは本発明の化合物Aのα型結晶またはβ型結晶を1%以上含有する混合物を意味する。例えば、化合物Aのα型結晶を1%以上含有し、それ以外にα型結晶以外の化合物Aの各結晶形(例えば、β型結晶、γ型結晶、δ型結晶等)、化合物Aの塩、またはその溶媒和物(例えば、化合物B等)の固体(例えば、油状物、アモルファス、結晶等)を含有する混合物、化合物Aのβ型結晶を1%以上含有し、それ以外にβ型結晶以外の各結晶形(例えば、α型結晶、γ型結晶、δ型結晶等)、化合物Aの塩、またはその溶媒和物(例えば、化合物B等)の固体(例えば、油状物、アモルファス、結晶等)を含有する混合物等が挙げられる。これらの混合物の混合比率は任意でよい。
[本発明の結晶の製造方法]
本発明において、化合物Aの各結晶形(例えば、α型結晶、β型結晶、δ型結晶、アセトン和物の結晶等が挙げられ、以下、本発明の結晶形と略記することがある。)は、以下に記載した方法、これらに準ずる方法または実施例に記載した方法によって製造することができる。
【0031】
本発明の結晶形は、後記する方法で製造された化合物Aのγ型結晶または化合物Bの結晶を、再結晶操作、すなわち、水および/または後記する有機溶媒に溶解し、約−10〜約25℃に冷却にすることによって析出させることができる。析出した結晶は、ろ取し、必要に応じて後記する有機溶媒で洗浄後、減圧乾燥または加熱減圧乾燥することによって、目的とする本発明の結晶形を単離することができる。ここで有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)等を単一の溶媒として用いてもよいし、複数の溶媒、例えば複数の溶質が溶解しやすい好溶媒(良溶媒)の混合溶媒や、好溶媒(良溶媒)と、溶質が溶解しにくい貧溶媒である、水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(例えば、メチル t−ブチルエーテル等)との混合溶媒を用いてもよい。操作の順番は、溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液を貧溶媒に加えてもよいし、貧溶媒を溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液に加えてもよい。また、有機溶媒として、脱水溶媒(例えば、無水メタノール、無水テトラヒドロフラン、無水アセトン、無水アセトニトリル、無水酢酸エチル等)を用いてもよい。減圧乾燥を行う場合は、約25℃以上で行うことが好ましい。また、加熱減圧乾燥を行う場合は、約60℃以上に加熱して行うことが好ましく、より好ましくは約80℃以上、さらに好ましくは約100℃以上である。その減圧乾燥および加熱減圧乾燥に要する時間は、連続して約1時間以上であることが好ましく、約6時間以上であることがより好ましく、約12時間であることが特に好ましい。
【0032】
本発明において、化合物Aのα型結晶を製造する場合、化合物Bの結晶を溶解する際に用いる有機溶媒として好ましくは、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール)、エーテル系溶媒(例えば、メチル t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、n−ヘプタン)等)の単一溶媒、またはそれらの混合溶媒が挙げられる。また、脱水溶媒(例えば、無水アセトニトリル、無水テトラヒドロフラン、無水酢酸エチル)の単一溶媒、またはそれらの混合溶媒も好ましい。これら溶媒に溶解した後に、析出した結晶の減圧乾燥は、約25℃で行うことが好ましい。
【0033】
本発明の結晶形の原料としての式(A)で示される{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸(化合物A)は、公知の物質であるため、公知の方法、国際公開第02/14280号パンフレットの実施例2(9)に記載の方法で製造できる。化合物Aのγ型結晶は、公知の物質であり、公知の方法、国際公開第03/66590号パンフレットの比較例1、または後記する実施例1の方法で製造した。また、同様に式(B)で示される{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(化合物B)およびその結晶は、公知の物質であるため、公知の方法、国際公開第03/66590号パンフレットの実施例2の方法、すなわち、下記の参考例1の方法で製造した。
[医薬品への適用]
本発明の結晶形およびその結晶形を含有する混合物は、有効成分として化合物A、すなわち、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸を含有しており、PDE4阻害活性を有するため、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)において、炎症性疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、サルコイドーシス、腎炎、肝炎、腸炎等)、糖尿病性疾患、アレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)、自己免疫疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、膠原病等)、眼疾患(アレルギー性結膜炎、季節性結膜炎等)、骨粗鬆症、骨折、変形性関節症、肥満症、過食症、うつ病、パーキンソン病、認知症、虚血再灌流障害、白血病、後天性免疫不全症候群(Aquired Immune Deficiency Syndrome;AIDS)、ショック、全身性炎症反応症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome;SIRS)または掻痒(例えば、眼掻痒、皮膚掻痒、耳鼻掻痒、全身性掻痒等)等の予防および/または治療に有用である。なお、本発明において、「予防」とは疾患の成立そのものを予防することを、「治療」とは病態を治癒の方向へ導くことを意味する。
【0034】
本発明の結晶形は、(1)物質として安定である、(2)大量に安定供給が可能である、および/または(3)錠剤等の剤形への製剤化が比較的容易である等の理由から、それ自体、医薬品原薬としての利用可能性に優れている。また、本発明の混合物も医薬品原薬として利用できる。ただし、本発明の結晶形を医薬品原薬として使用する場合には、α型結晶、β型結晶が好ましい。
【0035】
本発明の結晶形を医薬品原薬として使用することができる製剤としては、例えば、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等が挙げられる。
【0036】
経口投与のための内服用固形剤には、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
【0037】
このような内服用固形剤においては、本発明の結晶形はそのままか、または添加剤と混合や造粒され、常法に従って製剤化して用いられる。添加剤は1種以上を適宜配合して用いてもよい。添加剤としては、例えば賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、分散剤(例えば、トウモロコシデンプン等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、水溶性高分子(例えば、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等)、合成高分子類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)等)、甘味剤(例えば、白糖、粉糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム等)が挙げられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0038】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤・乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、本発明の結晶形が、一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0039】
非経口投与の中で、外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、眼軟膏および点鼻剤等が含まれる。これらは本発明の結晶形を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造、調製される。
【0040】
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に研和、または溶融させて製造、調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0041】
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させて製造、調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0042】
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融または乳化させて製造、調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(例えば、2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0043】
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(例えば、尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(例えば、カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0044】
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選択される。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0045】
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、本発明の結晶形を水、アルコール(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選択される1種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造、調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0046】
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば、米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。また、エアゾル剤としても構わない。
【0047】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、本発明の結晶形を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば、凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0048】
非経口投与のための吸入剤としては、エアゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
【0049】
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0050】
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(例えば、ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン等)、賦形剤(例えば、乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0051】
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(例えば、アトマイザー、ネブライザー等)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0052】
点眼剤の場合には、等張化剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等)、緩衝剤(例えば、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸等)、pH調節剤(例えば、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、可溶化剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等)、増粘剤または分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、安定化剤(例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム等)、保存剤(例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール等)等を必要に応じて適宜選択して調製される。
【0053】
非経口投与のためその他の組成物としては、本発明の結晶形を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
【0054】
本発明の結晶形を有効成分として含有する薬剤は、1)本発明の結晶形を含有する薬剤の予防および/または治療効果の補完および/または増強、2)本発明の結晶形を含有する薬剤の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)本発明の結晶形を含有する薬剤の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0055】
本発明の結晶形を含有する薬剤と他の薬剤の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明の結晶形を含有する薬剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の結晶形を含有する薬剤を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0056】
該他の薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチン等であってもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と他の薬剤の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、本発明化合物1重量部に対し、他の薬剤を0.01乃至100重量部用いればよい。他の薬剤は以下に示す同種群および異種群から任意に1種または2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。また、本発明の結晶形を含有する薬剤の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、以下に示す例示に限定されず、下記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0057】
該他の薬剤としては、例えば、ステロイド薬、β2アドレナリン受容体刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、キサンチン誘導体、抗コリン薬、サイトカイン阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤、エラスターゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、去痰薬、抗生物質、ビスホスホネート製剤、ビタミンD製剤、カルシウム製剤、エストロゲン製剤、カルシトニン製剤、イプリフラボン製剤、タンパク同化ステロイド薬、ビタミンK製剤、カテプシンK阻害薬、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、免疫抑制薬、TNF−α拮抗薬、接着分子阻害薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、非ステロイド系抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、消炎酵素薬、軟骨保護薬、T細胞阻害薬、IL−6阻害薬、インターフェロンγ作動薬、IL−1阻害薬、緑内障治療薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬等が挙げられる。
【0058】
ステロイド薬としては、例えば、アムシノニド、ジフルプレドナート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、フランカルボン酸モメタゾン、フルオシノニド、プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸デキサメタゾン、プロピオン酸デプロドン、ベタメタゾン、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸パラメタゾン、酢酸ベタメタゾン・リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸メチルプレドニゾロン、注射用コハク酸プレドニゾロンナトリウム、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン等が挙げられる。
【0059】
β2アドレナリン受容体刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、塩酸サルブタモール、塩酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、塩酸イソプロテレノール、塩酸オルシプレナリン、塩酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、塩酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855等が挙げられる。
【0060】
ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
【0061】
トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、例えば、ラマトロバン、セラトロダスト、ドミトロバンカルシウム水和物等が挙げられる。
【0062】
トロンボキサン合成酵素阻害薬としては、例えば、塩酸オザグレル、イミトロダストナトリウム等が挙げられる。
【0063】
メディエーター遊離抑制薬としては、例えば、アンレキサノクス、イブジラスト、クロモグリク酸ナトリウム、ダザノラスト、トラニラスト、ペミロラストカリウム、レピリナスト等が挙げられる。
【0064】
抗ヒスタミン薬としては、例えば、塩酸エピナスチン、塩酸トリプロリジン、酒石酸アリメマジン、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、テオクル酸ジフェニルピラリン、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸フェキソフェナジン、塩酸オロパタジン、塩酸シプロヘプタジン、エバスチン、オキサトミド、テルフェナジン、アステミゾール、ロラタジン、デスロラタジン、塩酸プロペタジン、塩酸ホモクリルシクロジン、塩酸セチリジン、メキタジン、ベシル酸ベポタスチン、フマル酸エメダスチン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、モメタゾンフロエート、ミゾラスチン、アクリバスチン、BP−294、ヒベンズ酸プロメタジン、TAK−427、ZCR−2060、NIP−530等が挙げられる。
【0065】
キサンチン誘導体としては、例えば、アミノフィリン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、ジプロフィリン等が挙げられる。
【0066】
抗コリン薬としては、例えば、臭化オキシトロピウム、臭化イプラトロピウム、塩酸クレンブテロール、コリンテオフィリン、塩酸マブテロール、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸ビペリデン、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
【0067】
サイトカイン阻害薬としては、例えば、トシル酸スプラタスト等が挙げられる。
【0068】
プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、例えば、PGE1製剤(例:アルプロスタジルアルファデクス、アルプロスタジル等)、PGI2製剤(例:ベラプロストナトリウム等)、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、PGE2受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP、CRTH2)、PGF受容体(FP)、PGI2受容体(IP)、TX受容体(TP)等が挙げられる。
【0069】
エラスターゼ阻害薬としては、例えば、ONO−5046、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、DMP−777、L−659286、L−658758、L−680833、L−683845、AE−3763等が挙げられる。
【0070】
メタロプロテイナーゼ阻害薬としては、例えば、ONO−4817、S−3536、KB−R7785等が挙げられる。
【0071】
去痰薬としては、例えば、塩酸アンブロキソール、フドステイン、L−塩酸メチルシステイン、塩酸ブロムヘキシン、ヒベンズ酸チピペジン、カルボシステイン、L−塩酸エチルシステイン、グアイフェネシン、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、アセチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
【0072】
抗生物質としては、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、ロキタマイシン、アセチルスピラマイシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、プロピオン酸ジョサマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、アセチルキタサマイシン、酢酸ミデカマイシン、ロキシスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシン、トブラマイシン、スルペニシリン、セフメノキシム、コリスチン、オキシテトラサイクリン、ポリミキシンB、クロラムフェニコール、ミクロノマイシン、ジベカシン、シソマイシン等が挙げられる。
【0073】
ビスホスホネート製剤としては、例えば、アレンドロン酸ナトリウム水和物、イバンドロン酸、インカドロン酸二ナトリウム、エチドロン酸二ナトリウム、オルパドロネート、クロドロン酸ナトリウム水和物、ゾレドロン酸、チルドロン酸二ナトリウム、ネリドロネート、パミドロン酸二ナトリウム、ピリドロネート、ミノドロン酸水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、YM175等が挙げられる。
【0074】
ビタミンD製剤としては、例えば、アルファカルシドール、ファレカルシトリオール、カルシトリオール、1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、ST−630、KDR、ED−71、ロカルトール(Ro44−7190)、タカルシオール、マキサカルシトール等が挙げられる。
【0075】
カルシウム製剤としては、例えば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、L−アスパラギン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0076】
エストロゲン製剤としては、例えば、エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストラジオールシピオナート、エストラジオールジプロピオナート、エストラジオールエナンタート、エストラジオールヘキサヒドロベンゾアート、エストラジオールフェニルプロピオナート、エストラジオールウンデカノアート、吉草酸エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール等が挙げられる。
【0077】
カルシトニン製剤としては、例えば、カルシトニン、サケカルシトニン(STH−32、SMC20−51)、ニワトリカルシトニン(MCI−536)、セカルシフェロール、エルカトニン、TJN−135等が挙げられる。
【0078】
イプリフラボン製剤としては、例えば、イプリフラボン等が挙げられる。
【0079】
タンパク同化ステロイド薬としては、例えば、オキシメトロン、スタノゾロール、デカン酸ナンドロロン、フェニルプロピオン酸ナンドロロン、シクロヘキシルプロピオン酸ナンドロロン、酢酸メテノロン、メスタノロン、エチルエストレノール、カルステロン等が挙げられる。
【0080】
ビタミンK製剤としては、例えば、メナテトレノン、フィトナジオン等が挙げられる。
【0081】
カテプシンK阻害薬としては、例えば、ONO−5334、AAE581、SB462795等が挙げられる。
【0082】
プロスタグランジン合成酵素阻害薬としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オルサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムデータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。
【0083】
免疫抑制薬としては、例えば、タクロリムス水和物、メトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
【0084】
TNF−α阻害薬としては、例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ等が挙げられる。
【0085】
接着分子阻害薬としては、例えば、α4インテグリン拮抗薬、抗Vap−1抗体等が挙げられる。
【0086】
5−リポキシゲナーゼ阻害薬としては、例えば、AA861、ABT−761等が挙げられる。
【0087】
非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、グリチルレチン酸、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合薬、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。
【0088】
疾患修飾性抗リウマチ薬としては、例えば、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、アクタリット、D−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブシラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン、T−614等が挙げられる。
【0089】
消炎酵素薬としては、例えば、塩化リゾチーム、ブロメライン、プロナーゼ、セラペプターゼ、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ配合剤等が挙げられる。
【0090】
軟骨保護薬としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0091】
緑内障治療薬としては、例えば、塩酸ピロカルピン、サリチル酸フィゾスチグミン、チモロール、イソプロピルウノプロストン等が挙げられる。
【0092】
抗菌薬としては、例えば、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、エノキサシン、塩酸シプロフロキサシン、シノキサシン、スパルフロキサシン、トシル酸トスフロキサシン、ナリジクス酸、ピペミド酸三水和物、ピペミド酸、フレロキサシン、レボフロキサシン等が挙げられる。
【0093】
抗ウイルス薬としては、例えば、イドクスウリジン、アシクロビル等が挙げられる。
【0094】
抗真菌薬としては、例えば、ピマリシン、フルコナゾール、ミコナゾール、アムホテリシンB、フルシトシン、イトラコナゾール等が挙げられる。
【0095】
本発明の結晶形、または本発明の結晶形と他の薬剤との併用薬を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0096】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、例えば、成人1人当たり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人1人当たり、1回につき1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に投与される。特に、点眼投与であれば、成人1人当たり、0.001〜10%(w/v)の濃度のものを1回量1〜数滴を1日1〜数回点眼剤によって投与されるか、成人1人当たり、0.001〜10%(w/v)の濃度のものを1日1〜数回眼軟膏によって投与される。
【0097】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
[薬理活性]
本発明の結晶形が、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸と同程度の強い薬理活性を有することは、公知の方法、例えば、国際公開第02/14280号パンフレット、国際公開第03/66590号パンフレット、国際公開第05/007161号パンフレット等に記載の方法によって確認することができる。
[毒性]
本発明の結晶形の毒性は非常に低く、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。
【発明の効果】
【0098】
本発明によって、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の薬理効果を保持しつつ、かつ安全で、医薬品原薬として使用することができる、{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の無水和物の新規結晶形を提供することができる。これらの結晶のうち、α型結晶およびβ型結晶は、約2ヶ月の保存安定性を有するため、医薬品原薬としてより有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0100】
実施例に記載した各結晶の物性データは、以下の測定条件によって行われた。
[1]粉末X線回折スペクトル
<測定条件>
装置:BRUKER axs製BRUKER D8 DISCOVER with GADD(C2)、
ターゲット:Cu、
フィルター:なし、
電圧:40kV、
電流:40mA、
露光時間:5min。
[2]赤外吸収(IR)スペクトル
<測定条件>
装置:日本分光製FTIR-660Plus/SensIR TECHNOLOGIES製DuraScope、
測定方法:全反射法で測定、
分解能:4cm−1、
スキャン回数:16回。
[3]熱重量測定(TG)
<測定条件>
装置:METTLER TOLEDO製TGA 851e、
試料量:約4.8mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
アルゴンガス流量:20mL/min、
昇温速度:5℃/min。
【0101】
また、示差走査熱量測定は、以下の測定条件によって行うことができる。
示差走査熱量測定(DSC)
<測定条件>
装置:METTLER TOLEDO製DSC 822e、
試料量:1.15mg、
試料セル:アルミニウムオープンセル、
アルゴンガス流量:40mL/min、
昇温速度:5℃/min。
【0102】
本発明の結晶形が無水和物であるか否かは、公知の方法で測定することができる。例えば、医薬品の水分測定法で知られた方法、とりわけ日本薬局方収載の水分測定法、なかでも第十四改正日本薬局方に収載の水分測定法(カールフィッシャー法)に従って行った。
【0103】
実施例で原料物質として用いたエステル体は、国際公開第03/66590号パンフレットに記載されている。例えば、メチル {4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−ピペリジニル)アセタートは、国際公開第03/66590号パンフレットの参考例9で製造した化合物である。
参考例1:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸・一水和物(化合物B)
【0104】
【化3】
【0105】
メチル {4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−ピペリジニル)アセタート(17.7g)のメタノール溶液(200mL)に、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液(86.6mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に2N塩酸(43mL)を加えた。析出した固体をろ取し、メタノール−水(1:2)(150mL)、ジエチルエーテルにて洗浄して固体(13.36g)を得た。先で得られた固体(12.44g)をエタノール(144mL)−水(96mL)から再結晶し、25℃にて減圧下(3mmHg)12時間乾燥して、以下の物性値を有する標題化合物(1水和物)(11.49g)を得た。
TLC: 0.48 (クロロホルム:メタノール=8:2);
NMR(DMSO-d6):δ 7.22-7.19 (m, 2H), 7.09 (dd, J = 8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 74.4 Hz, 1H), 5.01-4.92 (m, 1H), 4.00- 2.60 (br, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.70-2.50 (m, 2H), 2.16-1.80 (m, 6H), 1.80-1.50 (m, 6H)。
実施例1:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(γ型結晶)
参考例1で製造した化合物Bの結晶を100℃で約3時間減圧乾燥することによって、標題の結晶を得た。得られた結晶のTGおよびカールフィッシャー法による含水率を測定し、重量減少が見られなかったことから、無水和物の結晶であることを確認した。また、γ型結晶であることを粉末X線回折スペクトルおよび赤外吸収スペクトル(IR)によって確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0106】
【表1】
【0107】
IR(全反射法):2954、1630、1506、1420、1360、1322、1274、1219、1182、1105、1038、1003、984、964、918、901、877、857、677、616、493、455、420cm−1。
実施例2:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(α型結晶)
参考例1で製造した化合物Bの結晶を試験管に100mg計量し、セプタムで封をした後、風船を用いて試験管内をアルゴン置換した。この試験管を70℃の水浴に付け、無水アセトニトリル(8v/w)を加えて結晶を溶解させ、室温まで冷却して1時間静置した。析出した結晶を、さらに0〜5℃まで冷却し、ろ過した後、室温で減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が、無水和物であることをカールフィッシャー法およびTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0108】
【表2】
【0109】
IR(全反射法):2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458、423cm−1。
実施例3:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(β型結晶)
実施例2で製造した化合物Aのα型結晶を、100℃で約1日減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が、無水和物であることをTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0110】
【表3】
【0111】
IR(全反射法):2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460、420cm−1。
実施例4:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶
参考例1で製造した化合物Bの結晶を試験管に100mg計量し、セプタムで封をした後、風船を用いて試験管内をアルゴン置換した。この試験管を70℃の水浴に付け、無水アセトン(6v/w)を加えて結晶を溶解させ、室温まで冷却して1時間静置した。析出した結晶を、さらに0〜5℃まで冷却し、ろ過した後、室温で減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。得られた結晶が、アセトン和物であることをカールフィッシャー法およびTG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0112】
【表4】
【0113】
IR(全反射法):2952、1704、1626、1508、1416、1389、1363、1271、1225、1179、1118、1032、987、939、877、821、684、646、598、531、492、457cm−1。
実施例5:{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の結晶(δ型結晶)
実施例4で製造した化合物Aのアセトン和物の結晶を、70℃で約1日減圧乾燥することにより、以下の物理化学データを有する標題の結晶を得た。また、得られた結晶が無水和物であることを、TG測定により確認した。
粉末X線回折スペクトル:
【0114】
【表5】
【0115】
[カールフィッシャー法およびTG測定]
各実施例で製造された結晶形について、上記したカールフィッシャー法およびTG測定により、結晶形の水分定量および重量減少を測定した。
【0116】
各結晶形のカールフィッシャー法およびTG測定による結果を以下の表6に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
この結果から、参考例1の結晶形は、水分を4.45重量%(wt%)含み、4.33重量%(wt%)もの重量減少が見られたため結晶水を含む水和物であることがわかった。一方、実施例1、2、3および5の結晶形は、TGによる重量減少がほとんど見られないため、無水和物であると推察された。また、実施例4の結晶形は、水分をほとんど含んでいないことから水和物ではなく、TGによる重量減少が、化合物Aの1アセトン和物と仮定した際の12.8重量%(wt%)に近い値であったことから、1アセトン和物と推察された。
[結晶安定性試験]
実施例1、2および3の各結晶形について、室温(約25℃)、常圧(約1気圧)、湿度約30〜70%の条件下で、単離した結晶をスクリュー管に約2ヶ月保存した後、粉末X線回折を再び行った。各結晶形の再回折後の粉末X線回折スペクトルを以下の図10〜12に示す。
【0119】
この結果から、実施例1の結晶形、すなわちγ型結晶は、約2ヶ月保存後の粉末X線回折スペクトルのパターンが、参考例1の結晶形、すなわち化合物Bの結晶の粉末X線回折スペクトルと一致したことから、無水和物の結晶から水和物の結晶に変化したことがわかった。それに対して、実施例2の結晶形および実施例3の結晶形、すなわちα型結晶およびβ型結晶はともに、約2ヶ月保存後の粉末X線回折スペクトルのパターンが、保存前の粉末X線回折スペクトルとほぼ同じであったことから、約2ヶ月の保存安定性を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明によって得られる{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸の新規な結晶形、特にα型結晶およびβ型結晶は、約2ヶ月保存後においても水和物の結晶形に変化せず、優れた保存安定性を有するため、医薬品原薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図2】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図3】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図4】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図5】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図6】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図7】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図8】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のアセトン和物の結晶の赤外吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
【図9】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のδ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
【図10】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のγ型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。一番右は化合物Aのγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、真ん中は約2ヶ月保存後の化合物Aのγ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、一番左は化合物Bの結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【図11】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。右は化合物Aのα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、左は約2ヶ月保存後の化合物Aのα型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【図12】{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶の結晶安定性試験の結果を示すチャートを示す。右は化合物Aのβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表し、左は約2ヶ月保存後の化合物Aのβ型結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離した{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶。
【請求項2】
下記のAおよびBで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載のα型結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート。
【請求項3】
下記のA1およびB1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載のα型結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、14.15、15.02、16.75、17.29、18.09、20.64、21.33、22.25、24.14、25.15、27.43、28.46および33.80度である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する。
【請求項4】
下記のCおよびDで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶:
C:図3に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
D:全反射法を用いて測定される図4に示される赤外吸収スペクトルチャート。
【請求項5】
下記のC1およびD1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項4記載のβ型結晶:
C1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、13.61、14.30、14.95、15.67、16.40、17.97、18.26、18.79、19.78、20.10、21.06、22.02、22.66、23.62、24.16、25.39、26.29、27.29、28.02、29.47、32.47、32.93度である;
D1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する。
【請求項6】
請求項1記載のα型結晶を、加熱減圧乾燥することによって得られることを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶。
【請求項7】
約2ヶ月の保存安定性を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の結晶。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載の結晶を1%以上含有してなる混合物。
【請求項1】
単離した{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のα型結晶。
【請求項2】
下記のAおよびBで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載のα型結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート。
【請求項3】
下記のA1およびB1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載のα型結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、14.15、15.02、16.75、17.29、18.09、20.64、21.33、22.25、24.14、25.15、27.43、28.46および33.80度である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2953、1736、1632、1508、1417、1337、1291、1268、1237、1176、1119、1081、1038、986、939、912、878、821、738、645、599、492、458および423cm−1に吸収ピークを有する。
【請求項4】
下記のCおよびDで示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶:
C:図3に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
D:全反射法を用いて測定される図4に示される赤外吸収スペクトルチャート。
【請求項5】
下記のC1およびD1で示される物理化学データのうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項4記載のβ型結晶:
C1:粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、13.61、14.30、14.95、15.67、16.40、17.97、18.26、18.79、19.78、20.10、21.06、22.02、22.66、23.62、24.16、25.39、26.29、27.29、28.02、29.47、32.47、32.93度である;
D1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、2966、1609、1510、1419、1365、1333、1267、1237、1157、1121、1080、1028、977、963、887、847、804、738、678、638、597、493、460および420cm−1に吸収ピークを有する。
【請求項6】
請求項1記載のα型結晶を、加熱減圧乾燥することによって得られることを特徴とする{4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ピペリジン−1−イル}酢酸のβ型結晶。
【請求項7】
約2ヶ月の保存安定性を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の結晶。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載の結晶を1%以上含有してなる混合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−217349(P2007−217349A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40130(P2006−40130)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】
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