【課題】 高速現像を行うことができ、しかも経時的なトナー荷電性の変化が抑制されて画質、画像濃度、現像速度等の経時的低下が抑制されるとともに保存性に優れる電子写真用液体現像剤を提供する。
【解決手段】 電気的に絶縁性のキャリア液中にトナーを分散させた電子写真用液体現像剤において、前記トナーは内部及び(又は)表面に荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物を有し、前記キャリア液はアニリン点が80℃〜100℃である電子写真用液体現像剤。
[代表図面]
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】
特開2000−10354(P2000−10354A)
【公開日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【発明の名称】電子写真用液体現像剤
【国際特許分類第7版】
G03G 9/12
【FI】
G03G 9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【全頁数】10
【出願番号】特願平10−174512
【出願日】平成10年6月22日(1998.6.22)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社
【発明者】

【発明者】

【発明者】

【代理人】弁理士(100074125)

【テーマコード(参考)】
2H069
【Fターム(参考)】
2H069 CA30 DA02
【請求項1】
電気的に絶縁性のキャリア液中にトナーを分散させた電子写真用液体現像剤において、前記トナーは内部及び(又は)表面に荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物を有し、前記キャリア液はアニリン点が80℃〜100℃であることを特徴とする電子写真用液体現像剤。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置において、静電潜像を現像するために用いる電子写真用液体現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成においては、一般的には、感光体等の静電潜像担持体に原稿画像に応じた画像露光をする等して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視トナー像とし、該トナー像を記録材に転写定着させて目的とする画像を得る。
【0003】
電子写真方式の画像形成において、現像方式は乾式現像法と湿式現像法に分けられる。乾式現像法は、現像剤としてトナー(着色微粒子)又はトナーに磁性等を有するキャリアを加えたものを用いる。乾式現像において用いる乾式トナーは、これ等が周囲の大気中に逃散して空気中に浮遊する恐れもあるため、あまり微細にすることができず、通常、平均粒径が約10μm程度までのもので比較的大きいものが用いられている。乾式トナーはこのようにトナー粒径が比較的大きいことにより現像における解像度はそれほど高くない。
【0004】
一方、湿式現像法では、現像剤として現在実用化され主流となっているのは、電気絶縁性のキャリア液中に、着色剤とバインダー樹脂を主要成分とするトナー、荷電制御剤及び分散安定剤等を分散させた液体現像剤である。トナーの帯電は荷電制御剤に由来するイオンの吸着によるものと考えられており、帯電トナーは電気泳動の原理により現像に供される。湿式現像において用いるトナーは、大気中に逃散する恐れがないため、微細にすることができ、平均粒径がサブミクロンの範囲のものも実用可能である。そして、これにより、高解像度で階調性に優れた画像が得られる、トナー像の定着が容易である等の利点がある。
【0005】
トナー粒子の電気泳動の速度はトナー粒子が有する荷電量に依存しており、荷電量が大きいほど高速で現像できる。また、荷電量が大きいほどトナー粒子の分散性が良好になり、液体現像剤の保存性が良くなる。従って、湿式現像システムの高速化及び安定化のためにはトナーが高い荷電量を安定して有することが必要である。
【0006】
ところで、パーソナルコンピューターの普及等により、簡単な操作でフルカラー画像を作成、複写できることが求められている。この点、電子写真方式の複写機、プリンタ等によると、簡単な操作でしかも多種類の画像を少部数作製することができ、好ましい。また、他のインクジェット方式のプリンタ等と比べても、印刷速度や再現性、耐久性の点で優れている。
【0007】
フルカラー画像形成においては、モノカラー画像形成と異なり、トナー現像重量を厳密に制御する必要があるため、トナーの荷電量を一層十分に安定化させることが必要である。また、高精細、高解像度の画像を得るためには高い荷電量が必要である。乾式現像剤において、トナーに高荷電性を付与するために荷電付与剤(CCA:Charge Control Agent)を添加することが行われている。このような荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物が知られている。含ホウ素塩系化合物はトナーに負電荷を与える。含ホウ素塩系化合物は無色ないしは淡色のものが多いため、このような化合物はトナーを着色せずカラー用現像剤の荷電付与剤として適している。含ホウ素塩系化合物を荷電付与剤として含む乾式現像用のトナーが例えば
特公平8−10361号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、含ホウ素塩系化合物を液体現像剤中のトナーの荷電付与剤として用いた場合、これらは有機溶剤であるキャリア液中に溶け出し易く、液体現像剤の特性が経時的に変化してしまうことがある。例えば、含ホウ素塩系化合物の溶出によりトナーの荷電性の低下、キャリア液中に溶出した成分によるキャリア液の電気抵抗値の低下等が生じる。それにより、現像速度の低下、画像濃度の変化、画像ボケや画像の飛び散り等の画質不良の発生、保存時のトナーの凝集等が生じる。
【0009】
そこで本発明は、高速現像を行うことができ、しかも経時的なトナー荷電性の変化が抑制されて画質、画像濃度、現像速度等の経時的低下が抑制されるとともに保存性に優れる電子写真用液体現像剤を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、電気的に絶縁性のキャリア液中にトナーを分散させた電子写真用液体現像剤において、前記トナーは内部及び(又は)表面に荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物を有し、前記キャリア液はアニリン点が80℃〜100℃であることを特徴とする電子写真用液体現像剤を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態である電子写真用液体現像剤は、電気的に絶縁性のキャリア液中にトナーを分散させたものである。前記トナーは、荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物を含む。また、前記キャリア液はアニリン点が80℃〜100℃である。
【0012】
本発明において「荷電付与剤」とは、トナー内部及び(又は)表面に添加されて、キャリア液中に添加される後述の荷電制御剤と共に作用してトナーに高荷電性を与えるものをいう。また、トナーに添加された荷電付与剤はキャリア液中には実質上溶出しない。アニリン点とは、等容積のアニリンと炭化水素化合物とが均一な溶液として存在する最低温度をいい、炭化水素化合物の種類と密接な関係にある。
【0013】
本発明の好ましい実施形態の電子写真用液体現像剤によると、トナーが荷電付与剤として含ホウ素塩系化合物を含むため、トナーの荷電性が高くなり、高速現像が可能である。また、従来、トナーに高荷電性を与えるために、キャリア液に荷電制御剤を添加するのに加えて、バインダー樹脂に極性基を導入する等してバインダー樹脂自体に荷電性を持たせることや着色剤としてトナーに荷電性を与えるものを用いることが行われていたが、本発明によると、トナーに含ホウ素塩系化合物を含ませることによりトナーに高荷電性を付与できるため、バインダー樹脂や着色剤を広い範囲から選択して用いることができる。
【0014】
また、キャリア液としてアニリン点が80℃以上の液体を用いているため、トナーに含まれる含ホウ素塩系化合物のキャリア液への溶出が抑制される。それにより、トナーの荷電性の低下、キャリア液中に溶出した成分によるキャリア液の電気抵抗値の低下等が抑制されて、その結果現像速度の低下、画像濃度の変化、画像ボケや画像の飛び散り等の画質不良の発生、保存時のトナーの凝集等が抑制されたものとなる。なお、キャリア液のアニリン点を100℃以下としたのは、同族列の溶媒ではアニリン点が高くなるほど分子量が大きくなってその粘度が高くなるため、アニリン点の上限を定めることでキャリア液の粘度上昇による現像速度低下を回避しようとしたものである。キャリア液のアニリン点は、より好ましくは80℃以上90℃以下とする。
【0015】
本発明の好ましい実施形態である電子写真用液体現像剤は、例えば次のようにして製造できる。まず、バインダー樹脂、荷電付与剤である含ホウ素塩系化合物及び着色剤を例えば3本ロール等の混練機を用いて混練して、樹脂中に含ホウ素塩系化合物及び着色剤を分散等させる。
【0016】
含ホウ素塩系化合物は単独で又は2以上組み合わせて使用できる。含ホウ素塩系化合物としては、例えば
特公平8−10361号公報に記載の化合物を使用できる。中でも次の化1で表される化合物が好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】
但し、R1は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基又はハロゲン化メチル基を表し、R2は水素原子又はハロゲン化メチル基を表す。M
+ は金属カチオン類、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、イミダゾリニウム等の有機アミン系カチオン類、スルホニウムカチオン類、フォスホニウムカチオン類等から選択できる。
【0019】
中でも、無色で且つ安全性の高い固体である化合物として、次の化2で表される化合物(potassium borobisbenzilate、オリエント化学社製、LR147)を用いるのが好ましい。
【0020】
【化2】
【0021】
含ホウ素塩系化合物の添加量は、液体現像剤全体としての荷電性、耐熱性及び最終画像の強靱性等を適切なものにするために、バインダー樹脂に対し0.01重量%〜30重量%程度とすることが好ましい。より好ましくは、0.1重量%〜10重量%程度である。含ホウ素塩系化合物の添加量を調整することでトナーの帯電量を調整できる。
【0022】
なお、含ホウ素塩系化合物は、バインダー樹脂とともに混練することでトナー中に含ませるのに代えて、トナー表面に強制的に付着ないしは吸着させることができる。含ホウ素塩系化合物をトナー表面に付着、吸着させるためには、後述する、トナー粗粒子をキャリア液中で湿式粉砕して最終的に所定の粒径のトナー粒子とする工程においてキャリア液中にこれを添加しておいたり、得られた液体現像剤にこれを添加して短時間湿式粉砕を行えばよい。
【0023】
着色剤については、負帯電性が悪いために従来用いることができなかった着色剤も用いることができる。なお、コスト、耐光性、着色性等の点から、染料よりも顔料の方が好ましい。このような顔料の例を以下に示す。ブラック用顔料としては、カーボンブラックが代表的なものである。ブラック以外のカラー用顔料としては、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料を挙げることができる。カラー画像形成は、これら顔料色を基本とする減法混色で行われる。イエロー顔料としては、Color Index(C.I.) Pigment Yellow12、13、14、17、55、81、83、180等に代表されるジスアゾ系イエロー顔料等を例示できる。マゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red48、57(カーミン6B)、5、23、60、114、146、186等のアゾレーキ系マゼンタ顔料や不溶性アゾ系マゼンタ顔料、チオインジゴ系マゼンタ顔料、C.I.Pigment Red122、209等のキナクリドン系マゼンタ顔料等を例示できる。シアン顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue15:1、15:3等の銅フタロシアニンブルー系シアン顔料等を例示できる。
【0024】
バインダー樹脂に対する着色剤の添加量は、樹脂100重量部に対して5重量部〜20重量部程度とすることが好ましい。なお、樹脂そのものが着色しているものであってもよい。トナー粒子を構成するバインダー樹脂は、熱可塑性を有し、実質的にキャリア液に溶解しない樹脂であればよい。例えば、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂、スチレンーアクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン共重合体樹脂(特にエチレン系共重合体)、エポキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等を挙げることができ、これらを単独で又は混合して用いることができる。また、必要に応じて、パラフィンワックス、ポリオレフィン等の樹脂を離型剤として20重量%以下の範囲でブレンドして用いても構わない。特に、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂、エチレン共重合体を用いることが好ましい。
【0025】
熱可塑性飽和ポリエステル樹脂は広範囲に熱特性等の物性を変化させることができるだけではなく、カラー画像を得る際に透光性が優れるために美しい色彩が得られ、また延展性や粘弾性に優れるために定着後の樹脂膜が強靱で、紙等の記録材との接着性が良い。具体的には、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂は多価アルコールと多価カルボン酸の重縮合により生成する。
【0026】
多価アルコールとしては、これに限るものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール等のアルキレングリコール(脂肪族グリコール)及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキレンオキサイド付加物のフェノール系グリコール類、単環或いは多環ジオール等の脂環式及び芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0027】
特に、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド2〜3モル付加物が、生成物であるポリエステル樹脂の溶解性、安定性の点で液体現像剤のトナー用バインダー樹脂に適し、また低コストであることからも好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0028】
多価カルボン酸としては、これに限るものではないが、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸及びその変性酸(例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸)、イソフタル酸、テレフタル酸等の飽和又は不飽和の2価塩基酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メチルナディック酸等の3官能以上の飽和多価塩基酸、及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0029】
特に、イソフタル酸、テレフタル酸が、生成物であるポリエステル樹脂の溶解性、安定性の点で液体現像剤のトナー用バインダー樹脂に適し、また低コストであることからも好ましい。重縮合の方法としては、通常公知の重縮合の方法を用いることができる。原料モノマーの種類によっても異なるが、一般的には150℃〜300℃程度の温度下で行う。また、雰囲気ガスとして不活性ガスを用いたり、各種の溶媒を使用したり、反応容器内圧力を常圧又は減圧にする等、任意の条件で行うことができる。また、反応促進のためにエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、3/1しゅう酸第1スズ/酢酸ナトリウムのような金属有機化合物等を使用できるが、生成物であるエステルを着色しないものが好ましい。また、アルキルホスフェイト、アリルホスフェイト等を触媒又は色相調整剤として使用してもよい。
【0030】
また、重合温度、反応系圧を制御することにより得られるポリエステル樹脂の分子量を調整できる。また、多価アルコールと多価カルボン酸の混合比率、重合体の分子量を制御することにより得られるポリエステル樹脂の酸価を調整できる。また、エチレン系共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸−アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル3元共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸−無水マレイン酸3元共重合体、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体の部分金属イオン架橋ポリマー(アイオノマーレジン)等が挙げられる。
【0031】
次いで、このようにして得られたバインダー樹脂、含ホウ素塩系化合物及び着色剤等からなる着色混練物をカッターミル、ジェットミル等を用いて粗粉砕し、この粗粉砕トナーに、さらに荷電制御剤が溶解している少量のキャリア液中にて湿式グラインディング処理を施し、トナーの粒子径が0.1μm〜10μm程度、より好ましくは0.5μm〜5μm程度になるまで微粉砕して濃厚液体現像剤を得る。このようにして得られた濃厚液体現像剤を、必要に応じて、荷電制御剤を含むキャリア液で適当なトナー濃度になるまで希釈・分散処理すればよい。
【0032】
キャリア液は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(10
11〜10
16Ω・cm程度)のものを使用する。現像時、分散される樹脂の軟化点以上の温度に昇温したときに液体状であればよく、常温での状態は問わない。また、沸点は定着後乾燥し易い程度であることが好ましい。さらに、臭気、毒性が無く、比較的引火点が高い溶媒が好ましい。
【0033】
キャリア液として一般に用いられているものとして、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等がある。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が多用されている。このような溶媒の具体例として、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH(いずれも日本石油化学社製)、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーK、アイソパーV(いずれもエクソン化学社製)、シェルゾール71(シェル石油化学社製)、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも出光石油化学社製)、日石アイソゾール200、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400(いずれも日本石油社製)等が挙げられる。
【0034】
但し、本発明の好ましい実施形態の電子写真用液体現像剤では、キャリア液としてアニリン点が80℃〜100℃、より好ましくは80℃〜90℃の溶媒を用いる。前記炭化水素系溶媒を単独で又は複数組み合わせて用いてアニリン点が前記範囲となるキャリア液とすればよい。前記炭化水素系溶媒のうちこの条件を満足する溶媒は、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、IPソルベント1620、IPソルベント2028等である。特に、0号ソルベントL、0号ソルベントM、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、IPソルベント1620を用いることが好ましい。
【0035】
前記荷電制御剤は、実質的にキャリア液に溶媒和または溶解されるものであり、トナー粒子の帯電量に影響を与える目的でキャリア液中に添加される。また、必要に応じてトナー粒子中にも添加されていてもよい。最も好ましいのは、次の油溶性イオン性界面活性剤である。例えば、炭素数20以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩(カルシウム塩、バリウム塩等)、石油スルホン酸塩(バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、塩基性石油スルホン酸塩(バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)等を例示できる。特に、石油スルホン酸塩(バリウム塩、カルシウム塩)、塩基性石油スルホン酸塩(バリウム塩、カルシウム塩)が好ましい。
【0036】
以上のような荷電制御剤としては、スルホールCa−45N、スルホールCa−45、スルホール1040、モレスコアンバーSC−45N、モレスコアンバーSC−45、スルホールBa−30N、モレスコアンバーSB−50N(以上いずれも(株)松村石油研究所製)、ベイシックバリウムペトロネイト(Basic Barium Petronate)、ニュートラルバリウムペトロネイト(Neutral Barium Petronate)、ベイシックカルシウムペトロネイト(Basic Calcium Petronate)、ニュートラルカルシウムペトロネイト(Neutral Calcium Petronate)、ベイシックマグネシウムペトロネイト(Basic Magnecium Petronate)(いずれもWitco Chemical Co.製)等が具体的な商品例として挙げられる。
【0037】
この他、トナーの荷電制御剤として一般に用いられている次の(1)、(2)及び(3)に示す物質も用いることができる。
(1)含窒素単量体を構成成分として含むキャリア液に可溶性の重合体あるいは共重合体。具体的には、脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、含窒素複素環ビニル単量体類、N−ビニル置換環状アミド単量体類、(メタ)アクリルアミド類、含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類、含窒素ビニルエーテル単量体類等の単量体を構成要素として含む重合体で、特にヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の単量体と共重合させることにより、炭化水素系キャリア液に可溶性の共重合体。
【0038】
(2)ナフテン酸、オクテン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の金属塩、ジアルキルスルフォコハク酸金属塩、炭素数19以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、アルキルリン酸エステルの金属塩、アビエチン酸又は水素添加アビエチン酸の金属塩、のようなイオン性界面活性剤。
(3)レシチンのような両性界面活性剤、アマニ油等の天然油脂類等。
【0039】
前記例示した荷電制御剤を単独で又は2種類以上混合して用いることができる。前記荷電制御剤は、所望の荷電性により適値が異なるが、概ねトナーの0.01重量%〜100重量%程度の範囲で添加すればよい。液体現像剤中のトナー粒子の分散を安定させるために分散剤(分散安定剤)を使用しても構わない。この分散剤(分散安定剤)としては、トナー粒子に吸着し、且つ、キャリア液に親和性のある溶解性、半溶解性の又はキャリア液に膨潤性のあるポリマー等を使用できる。
【0040】
溶解性、半溶解性又はキャリア液に膨潤性のあるポリマーとしては、それには限らないが、ポリオレフィン系石油樹脂、アマニ油、ポリアルキルメタクリレート等が挙げられ、またトナー粒子との親和性を高めるために、メタクリル酸、アクリル酸、アルキルアミノエチルメタクリレート等の極性基を有するモノマーを共重合したものも用いることができる。この場合、共重合する極性基の量によりキャリア液への溶解性、トナー粒子との親和性、吸着性をコントロールでき、極性基量が増えるほどキャリア液への溶解性は低下し、トナー粒子との親和性、吸着性は増大する。
【0041】
分散剤は、分散性の向上及びその添加によるキャリア液の粘度上昇防止の観点から、その添加量をキャリア液に対して0.01重量%〜20重量%程度とすることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%〜10重量%程度である。液体現像剤の総重量に対するトナー、荷電制御剤、分散剤等の固形成分の総重量の割合(固形分比)は1重量%〜90重量%程度とすることが好ましい。現像に用いる液体現像剤の総量を減らし、取扱い性を容易にするため、固形分比はより好ましくは2重量%〜50重量%程度とする。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限られるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは特に断らないかぎり「重量部」を表し、「Tg」とあるのは「ガラス転移温度」を表す。また、「Mn」とあるのは数平均分子量を表し、「Mw」とあるのは重量平均分子量を表す。
【0043】
また、以下の実施例において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の結果から求めた。GPCは高速液体クロマトグラフポンプ TRI ROTAR−V型(日本分光社製)、紫外分光検出器 UVIDEC−100−V型(日本分光社製)、50cm長さのカラム Shodex GPC A−803(昭和電工社製)を用いて行った。重量平均分子量(Mw)は、そのクロマトグラフィーの結果から、被検試料の分子量をポリスチレンを標準物質として算出することにより、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)として求めた。また、数平均分子量(Mn)もそのクロマトグラフィーの結果から同様に求めた。なお、被検試料はバインダー樹脂0.05gを20mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させたものを用いた。
【0044】
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計 DSC−20(セイコー電子工業(株)社製)を用い、試料量10mg、昇温速度10℃/minの条件で測定した。標準物質としてα−アルミナの粉末を用いた。なお、試料を一旦そのTgより高い温度に昇温させた後降温させ、再びTgより高い温度に昇温させて10分間その温度を維持した後のsecond RUNでの値を測定した。
【0045】
酸価は、JIS K5400法の条件で測定し、体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−1100(島津製作所(株)製)を用いて測定した。
バインダー樹脂の製造
■ 後述する実施例でバインダー樹脂として使用する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂を次のようにして製造した。
【0046】
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を1450部とイソフタル酸890部とを入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200℃〜240℃の温度下で脱水重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0047】
このポリエステル樹脂はMw=6500、Mn=2500、Tg=55.1℃、酸価=25.0mgKOH/gであった。
■ エチレン系樹脂としては、熱可塑性エチレンエチルアクリレート ELVACITE(E.I.duPont de Nemours and Company製)を用いた。
液体現像剤製造の実施例実施例1前記ポリエステル樹脂を60部と、カーボンブラック モーガルL(キャボット社製)を40部の混合物を、3本ロール付混練器を用いて180℃で4時間混練して高濃度顔料混練物を得た。この高濃度顔料混練物及び前記ポリエステル樹脂をそれぞれフェザーミルを用いて粉砕し、これらの粉砕物と含ホウ素塩系化合物であるLR147をヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物を2軸押し出し混練機を用いて混練することにより、最終的にカーボンブラック濃度15重量%、LR147濃度3重量%の着色樹脂混練物を得た。この着色樹脂混練物を十分冷却した後、カッターミルを用いて粗粉砕し、さらにジェットミル(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕して平均粒径10μm程度の着色トナー粗粒子を得た。この着色トナー粗粒子を30gと、0.5重量%の石油スルホン酸バリウム塩 スルホールBa−30N((株)松村石油研究所製)の0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)溶液を70gとを混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd.製)によりメディアとして直径1mmのガラスビーズ(150cc)を用いて、ウオータージャケット付1/8ガロンベッセルにて、冷却水温度20℃、ディスク回転数2000rpmで15時間処理することにより湿式グラインディングした。このようにして、体積平均トナー粒子径1.46μmの濃厚液体現像剤を得た。
【0048】
さらに、この濃厚液体現像剤100部に、0.5重量%のスルホールBa−30Nの0号ソルベントL溶液を900部加えて希釈し、分散処理器 T.K.オートホモミクサーM型(特殊機化工業(株)製)を用いて10000rpmで5分間分散処理することにより液体現像剤1を製作した。
実施例2前記実施例1において、バインダー樹脂として前記ポリエステル樹脂に代えて前記エチレンエチルアクリレートを用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤2を製作した。
実施例3前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えて、0号ソルベントH(アニリン点90.4℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤3を製作した。
実施例4前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてアイソパーG(アニリン点80℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤4を製作した。
実施例5前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてアイソパーL(アニリン点86℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤5を製作した。
実施例6前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてアイソパーM(アニリン点88℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤6を製作した。
実施例7前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてIPソルベント1620(アニリン点81℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤7を製作した。
実施例8前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてIPソルベント2028(アニリン点89℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして液体現像剤8を製作した。
比較例1前記実施例1において、荷電付与剤のLR147を添加しない他は、前記実施例1と同様にして比較液体現像剤1を製作した。
比較例2前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてアイソパーE(アニリン点74℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして比較液体現像剤2を製作した。
比較例3前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてIPソルベント1016(アニリン点72℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして比較液体現像剤3を製作した。
比較例4前記実施例1において、キャリア液として0号ソルベントL(アニリン点80.4℃)に代えてIPソルベント2835(アニリン点104℃)を用いた他は、前記実施例1と同様にして比較液体現像剤4を製作した。
【0049】
次に、前記液体現像剤1〜8及び比較液体現像剤1〜4についての、トナーの荷電安定性及び現像速度の評価について説明する。荷電安定性は、液体現像剤のゼータ電位の経時的変化を測定することで評価した。ゼータ電位は、表面電荷を有する粒子が液体中に分散した系において、粒子表面の静電二重層の電位を示し、液体現像剤においてトナーの荷電性と関連する値である。ゼータ電位の変化、特にその絶対値の減少はトナーの分散性の低下、現像速度の低下、画像濃度の変化等に結びつく。
【0050】
ゼータ電位は、ゼータ電位計測器 LAZER ZEE MODEL 501及びPEN KEM 501用非水系測定システム(いずれもPEN KEM社製)を用いて電圧印加によりトナー粒子を泳動させ、レーザ照射によりトナー粒子を観察して測定した粒子スピードから算出した。サンプルは前記各液体現像剤を0.5重量%のスルホールBa−30Nの各キャリア液の溶液で100倍に希釈したものを用いた。
【0051】
各液体現像剤の製造直後及び室温で1週間放置後の両時点でゼータ電位を測定し、その減少率が10%未満の場合を良好(○)
10%以上20%未満の場合をやや良好(△)
20%以上の場合を不良(×)
と判定した。良好又はやや良好の場合、実用上許容範囲にある。
【0052】
現像速度の評価は、図1に概略構成を示す画像形成実験装置に各液体現像剤をセットして実写試験をすることにより行った。図1の画像形成実験装置は液体現像装置を内蔵した電子写真方式のものであり、感光体ドラム1を有し、感光体ドラム1の周囲に帯電チャージャー2、図示しないホストコンピュータ等から送られる画像データに基づいてレーザービームを発生する画像露光装置3、液体現像装置4、スクイズローラ装置51、スクイズチャージャ52、転写ローラ6、クリーナー7、イレーサーランプ8が順次配設されている。また、転写ローラ6近傍には、給紙装置9、用紙上に形成されたトナー像の定着を行うための熱定着ローラ対を含む定着装置10、装置内部から排出される用紙を載置する排紙トレイ11が配設されている。排紙トレイ11には排紙ローラ111が付設されている。給紙装置9は、内部に記録用紙を収納した用紙収納カセット91と、カセット91内の用紙を送りだす給紙ローラ92とを備えており、給紙装置9と転写ローラ6との間にはタイミングローラ対93を備えている。
【0053】
液体現像装置4は、感光体ドラム1に微小な間隔をあけて対向しその下部が液体現像剤に浸漬された現像ローラ41と、現像ローラ41の周囲に液体現像剤を保持する現像剤保持槽42と、現像剤保持槽42に供給する液体現像剤を貯留する現像剤貯留槽43と、現像剤貯留槽43内の現像剤を現像剤保持槽42に汲み上げる現像液供給装置44と、現像剤保持槽42内の余剰の現像液を現像剤貯留槽43に戻す現像液回収装置45とを備えている。現像剤貯留槽43内の現像剤は、図示しない濃縮トナー補給装置により適時に濃縮トナー補給液が補給されてほぼ一定のトナー濃度に保たれる。また、現像ローラ41と感光体ドラム1との間の現像ギャップは0mm〜2mmの範囲で任意に設定できるようになっている。
【0054】
画像形成を行うにあたっては、感光体ドラム1は図中矢印a方向に20cm/sec〜80cm/secの速度で回転され、その表面が帯電チャージャ2で約−500Vの表面電位になるように一様に帯電される。そして、画像露光装置3から感光体ドラム1に向けて画像情報に基づいてレーザービームが照射され感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。なお、感光体ドラム1表面の露光部面積は感光体1の全表面積の約30%とされる。これにより、感光体ドラム1の露光部の表面電位は約−30Vに減衰する。
【0055】
感光体ドラム1に形成された静電潜像は、液体現像装置4により液体現像剤を用いて顕像化される。なお、現像ローラ41は、感光体ドラム1の回転方向とは逆向きの図中矢印b方向に感光体ドラム1の回転速度の1.5倍の速度で回転され、感光体ドラム1と現像ローラ41との間の現像ギャップは100μmとされる。また、現像ローラ41には、露光部への現像剤の付着を促進し、未露光部への現像剤の付着を抑制するために約−400Vのバイアス電位が印加される。
【0056】
この後、感光体ドラム1に過剰に付着した液体現像剤が感光体ドラム1と同方向に回転されるスクイズローラ装置51及びスクイズチャージャ52によりしぼりとられ、感光体ドラム1表面にわずかに液体を含む状態のトナー像が形成される。そして、トナー像はそのまま転写ローラ6と対向する転写位置まで回転され、ここで給紙装置9から搬送されてきた紙と接触し、静電転写により紙に転写される。なお、転写ローラ6には、+1000Vの転写電圧が印加される。
【0057】
転写紙は感光体ドラム1から分離された後、150℃に加熱された熱定着ローラ対を備えた定着装置10まで搬送され、ここで熱と圧力によって定着が行われ1枚の画像形成が完成し、排紙ローラ111により排紙トレイ11に排出される。この後、感光体ドラム1表面に残留した液体現像剤はクリーナー7により取り除かれ、感光体ドラム1上の残存電荷はイレーサーランプ8により消去されて、次回の画像形成に備えられる。
【0058】
図1の装置を用いた現像速度の評価はつぎのようにして行った。感光体ドラム1上にその長手方向の長さ(回転中心線方向の長さ)が20cm、その周方向の長さが5cmの帯状の静電潜像を形成し、この静電潜像を顕像化して20cm×5cmの帯状の画像を得た。得られた各帯状画像の長手方向の両端からそれぞれ5cm内側の位置及び中央位置のそれぞれにおける感光体回転方向の中央部での反射濃度を、デンシトメーター PDM5(SAKURA社製)を用いて測定し、平均値を求めた。このとき、感光体ドラム1の回転速度を20cm/sec〜80cm/secの速度で変化させて画像形成を行い、前記の反射濃度の平均値として実用上十分な濃度である2以上が得られる感光体ドラム1の最大回転速度を求め、70cm/sec以上の場合を良好(○)
40cm/sec以上70cm/sec未満の場合をやや良好(△)
40cm/sec未満の場合を不良(×)
と判定した。良好又はやや良好の場合、実用上許容範囲にある。
【0059】
各液体現像剤のトナーの荷電安定性及び現像速度の評価の結果を次表にまとめて示す。
アニリン点 LR147 ゼータ電位 評価 添加 直後 1週間後 変化率 荷電安定性 現像速度 (℃) (mV)(mV) (%)
実施例1 80.4 有 -134 -127 5 ○ ○実施例2 80.4 有 -130 -126 4 ○ ○実施例3 90.4 有 -139 -135 3 ○ △実施例4 80 有 -130 -114 13 △ ○実施例5 86 有 -138 -131 5 ○ ○実施例6 88 有 -140 -135 3 ○ △実施例7 81 有 -130 -122 6 ○ ○実施例8 89 有 -139 -135 3 ○ △比較例1 80.4 無 -80 -78 3 ○ ×比較例2 74 有 -127 -93 26 × ○比較例3 72 有 -127 -91 28 × ○比較例4 104 有 -139 -136 2 ○ ×これによると、荷電付与剤としてLR147を含み、且つ、キャリア液のアニリン点が80℃〜100℃の範囲にある本発明実施例1〜8の液体現像剤ではトナーの荷電性が高く、またその荷電性は比較的安定していることが分かる。また、本発明実施例1〜8の液体現像剤では現像速度も良好又はやや良好で許容範囲にあった。一方、比較例1ではトナーの荷電性が低く、現像速度が不良であったが、これはLR147を添加していないことによると考えられる。また、比較例2、3ではトナーの荷電安定性が不良であったが、これはキャリア液のアニリン点が80℃未満と低く、そのためトナー中のLR147がキャリア液中に溶出したことによるものと考えられる。また、比較例4ではトナーの荷電性は高いにもかかわらず現像速度が不良であったが、これはキャリア液のアニリン点が100℃を超えて高いため、その粘度が大きくなりすぎたことが原因と考えられる。
【0060】
この結果、本発明の電子写真用液体現像剤では、トナーが高荷電性を示し、実用上十分な現像速度が得られるとともに、トナーの荷電性の経時的な低下及びトナーからキャリア液中に溶出した成分によるキャリア液の電気抵抗値の経時的な低下が抑制されることにより、現像速度の低下、画像濃度の変化、画像ボケや画像の飛び散り等の画質不良の発生、保存時のトナーの凝集等が抑制されることが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によると、高速現像を行うことができ、しかも経時的なトナー荷電性の変化が抑制されて画質、画像濃度、現像速度等の経時的低下が抑制されるとともに保存性に優れる電子写真用液体現像剤を提供することができる。
【図1】画像形成実験装置の1例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電チャージャ
3 レーザービームによる画像露光装置
4 液体現像装置
41 現像ローラ
42 現像剤保持槽
43 現像剤貯留槽
44 現像剤供給装置
45 現像剤回収装置
51 スクイズローラ
52 スクイズチャージャ
6 転写ローラ
7 クリーナー
8 イレーサーランプ
9 給紙装置
91 用紙収納カセット
92 給紙ローラ
93 タイミングローラ対
10 定着装置
11 排紙トレイ
111 排紙ローラ
【図1】
