【課 題】 水分を使用することによって発生する雑菌やカビの発生がなく、臭気もなく、衛生的に好適な塗布具あるいは浴用具のような化粧用具の提供。
【解決手段】 表面及び内部表面に無電解メッキにより抗菌性を有する金属が0.05重量%〜80重量%メッキされてなる、獣毛及び/又は合成繊維より形成された筆又は刷毛のような塗布具あるいは発泡体又は海綿から形成された浴用具。
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】
特開2000−115(P2000−115A)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発明の名称】抗菌性を有する化粧用具
【国際特許分類第7版】
A45D 33/34
34/04 510
A47K 7/02
A61L 2/16
【FI】
A45D 33/34 D
34/04 510 B
A47K 7/02 Z
A61L 2/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【全頁数】4
【出願番号】特願平10−168587
【出願日】平成10年6月16日(1998.6.16)
【出願人】(000212005)

【出願人】(595118010)

【発明者】

【発明者】

【代理人】弁理士(100105061)

【テーマコード(参考)】
2D034
4C058
【Fターム(参考)】
2D034 CD04
4C058 AA07 BB07 JJ03 JJ04 JJ05
【請求項1】
化粧用具の表面及び内部表面に無電解メッキにより抗菌性を有する金属が0.05重量%〜80重量%メッキされてなることを特徴とする抗菌性を有する化粧用具。
【請求項2】
金属として銀を用いることを特徴とする請求項1の抗菌性を有する化粧用具。
【請求項3】
獣毛及び・又は合成繊維より形成された筆又は刷毛からなる塗布具であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌性化粧用具。
【請求項4】
発泡体又は海綿である浴用具であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌性化粧用具。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性を有する化粧用具に関する。本発明は、抗菌性を有する塗布具又は浴用具に関する。また、本発明は、抗菌性を有する獣毛及び/又は合成繊維より形成された筆又は刷毛から形成された化粧用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維材料から形成された塗布具のような化粧用具に抗菌性を付与する技術として、有機系抗菌剤を筆類の毛束に付着させて抗菌効果を得る方法が知られており、例えば
実公昭48−31719号公報で、刷毛に親和性を有し難水溶性の殺菌性物質を浸透させているが、殺菌剤の脱落が著しく実用に問題があった。また、特開昭53一128451号公報では、溶剤に有機系抗菌剤を溶解して作成した抗菌剤溶液に刷毛の毛を浸漬して毛束に抗菌剤を付着させときに、抗菌剤溶液にスチレングリコールを添加する技術のようにバインダーを用いる方法が提案されている。しかし抗菌剤の固着が不十分である上に筆の柔軟性を損ない塗布具として満足出来なかった。
【0003】
さらに
特開平3−289905号公報では、獣毛を加圧雰囲気下においてフェノール系抗菌剤を溶剤に溶解させた溶液中に浸漬して獣毛部まで含浸させて抗菌性を付与しているが、筆の洗浄によりフェノール系抗菌剤の脱落が著しくて抗菌効異に耐久性を得ることができないこと、及びフェノール系抗菌剤が肌に好ましくないこと等の問題があった。
【0004】
また、スポンジや浴用具のような化粧用具においても、有機系抗菌剤をスポンジ製造時に配合されてきたが、使用時や洗浄により脱落し酎久性に問題があった。例えば、
特開平10−85034号では、ピリチオン金属塩系抗菌剤、チアベンダゾール系抗菌剤の1つ又は複数がシリカによってコーティングされており、さらにラテックスによってコーティングされてなる微細粉粒体をラテックス発泡時に配合して耐久性を改良しているが、有機系抗菌剤はコーティング処理を行なっても本質的にブリードアウトにより抗菌効果を得ているので、脱落による性能低下は避けられなかった。
【0005】
化粧用具は、肌に用いられることから雑菌やカビの発生は衛生的に好ましくないが、水分を使用する関係で雑菌やカビにしばしば脅かされ臭気の発生を伴うことがある。衛生清潔面から抗菌技術が重要とされているが、従来技術では塗布具に柔軟性と機能性を損なうことなく、耐久性のある抗菌性と人及び環境の安全性の両者を満たすことはきわめて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来から使用されている有機系抗菌剤としては、イソプロピルメチルフェノールのようなフェノール系、及びハロゲン化ビスフェノール系、2-(4- チアゾ−ル) ベンズイミダゾ−ル、ビス(2- ピリジルチオ1-オキシド) や有機シラン系抗菌剤などがあり、これらは化粧用具に用いて耐久性に問題があった。
【0007】
耐洗浄性を得るにはバインダーを用いるのが一般的であるが、化粧用具では風合と柔軟性が極めて重要であり、バインダー使用は品質を損ねて実用性がなく、柔軟で耐久性を有する抗菌性の塗布具を得ることはかねてからの課題であった。また、安全性については化粧用として常に肌に用いることから、皮膚刺激、発ガン性、環境ホルモンに問題があってはならず、従来の有機系抗菌剤は肌に対して好ましくないものが多く、また、廃棄焼却によりダイオキシンの発生につながる間題もある。
【0008】
本発明は、これらの課題を解決するために耐久性の抗菌性と安全性と環境問題に優れた化粧用具を提供するものである。
【0009】
人にも環境にも安全で抗菌効果を得る方法として、銀イオン、銅イオン、金イオンや亜鉛イオンが注目されているが、銀、銅、亜鉛又金のイオンをゼオライト、燐酸ジルコニア又は燐酸カルシウムに担持させて該金属イオンにより抗菌効果を得る方法がある。しかしこれらの抗菌化合物は、数ミクロン以上の粒子体であるので、塗布具の表面及び内部表面に固着するにはバインダーが必要であり、柔軟性を損ねることから実用性がなく使用出来なかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧用具は、化粧用具の表面及び内部表面に抗菌性を有する金属を無電解メッキにより抗菌メッキを行うので、バインダーを用いる必要がなく、また柔軟性・機能性・風合を全く損ねることがないから、洗浄に対して優れた酎久性を有するものである。
【0011】
本発明の化粧用具は、塗布具又は浴用具を含むものであり、前者の塗布具には筆、刷毛、スポンジパフ、植毛スポンジパフ、スポンジチップ、起毛布パフ等があり、後者の浴用具には洗顔用スポンジ、ボデイスポンジ等がある。塗布具に用いる筆、刷毛類の材質としては、一般に獣毛及び合成繊維を使用する。浴用具に使用するスポンジの材質には、NBRラテックス発泡体、ポリウレタン発泡体、PVA発泡体、セルロース発泡体、その他高分子発泡体があり、天然の海綿、ヘチマがある。
【0012】
また、本発明における化粧用具に抗菌性を付与する金属としては、例えば銀、銅、金、亜鉛等のメッキ可能な金属が使用できるが、特に銀は抗菌効果が高く、安全性が高く、抗菌効果の寿命も長いから最も適当な金属である。これらの金属の化合物を用いて、メッキにより抗菌性を与えるときの抗菌メッキ量は、塗布具に対して0.05重量%〜80重量%使用できるが、好ましくは0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0013】
筆、刷毛の抗菌付与の場合は、獣毛、合成繊維の単独又はそれを混合した混毛に抗菌メッキを行うが、抗菌メッキをしない毛を0重量%〜70重量%混合して用いることができ、抗菌メッキをしない毛の混合率が高いほど抗菌メッキ量を高くする必要があり、獣毛では、スケールの内部表面まで抗菌メッキする。
【0014】
また、スポンジパフ類、スポンジチップ類、植毛スポンジパフにおいては、塗布具の表面と発泡体内部の骨格表面、即ち内部表面に抗菌メッキを行なう。
【0015】
化粧用具の成分には、獣毛、合成繊維、ゴム系、PVA系、セルロース系、ボリウレタン系等があり、それらを無電解メッキをするには、前処理として、塩化第一錫溶液、塩化パラジュウム溶液による処理を行う必要がある。
【0016】
本発明において、銀による抗菌メッキは、獣毛、合成繊維の単独又はそれを混合した混毛などの原材料を用いて、これら塩化第一錫を含む水溶液に浸漬処理をし、次いで前処理後の原材料を、硝酸銀のアルカリ溶液を用い、還元剤としてはブドウ糖、ホルムアルデヒド、酒石酸塩を用いて銀メッキする。このとき、ホルムアルデヒドのように速い還元速度で荒いメッキを行なう方が銀イオンの放出に有効であり、抗菌効果が優れる。
【0017】
また、銅による抗菌メッキは、原材料を前処理液の塩化パラジュウム溶液に浸潰した後に、塩化第一錫を含む水溶液に浸漬処理をすることが有効である。これら塩化第一錫を含む水溶液に浸漬処理をし、次いで前処理後の原材料を、硫酸銅のアルカリ溶液を用いて銅メッキする。このとき、還元剤として庶糖、ホルムアルデヒド、ヒドラジンを使用し、PH調整剤として水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムを用い、緩衝剤としてクエン酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム等のカルボン酸塩を用いる。
【0018】
さらに、金による抗菌メッキは、前処理として塩化第一錫を含む水溶液に浸漬処理を行い、塩化金のアルカリ溶液を用いて、還元剤としてホルムアルデヒド、ブドウ糖を用いる。
【0019】
さらにまた、亜鉛による抗菌メッキは、前処理として塩化第一錫を含む水溶液に浸漬処理を行い、酸化亜鉛のアルカリ溶液が用いられる。
【0020】
【実施例l】長さ約4cmの馬毛100gを、20ppmの塩化第一錫を含む水溶液500mlに10分浸漬して取り出し、余剰の液を除いて前処理を行なった。
【0021】
上記前処理をした馬毛100gを硝酸銀4gを28%アンモニア水100mlを含む水溶液500mlに溶解して、水酸化ナトリウム24g含む水溶液500mlを混合した液に浸漬し、同時に第2液として、庶糖10gを含む水溶液100mlに65%硝酸0.5m1を加え、色が黄変するまで煮沸し、冷却した液24mlに水を加えて全量を1Lとした液を加えて、20℃で10分間処理した。次いで充分水洗して乾燥して、馬毛重量に対して1.6重量%の銀をメッキした。
【0022】
このように抗菌メッキした馬毛40重量%,抗菌メッキをしない馬毛60重量%、混合して化粧用筆を作成した。該筆を水で潤いを与えて、pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)5.2×10
6 /mlを植菌して12時間培養した後に菌数を測定したが、菌は検出されなかった。さらに、該筆を50回揉み洗いした後に前記と同様に菌数を測定したが、菌数は検出されなかった。
【0023】
【実施例2】長さ約4cmのポリブチレンテレフタレート(PBT)よりなる直径0.15mmの合成繊維:200gを、15ppmの塩化第一錫を含む水溶液600mlに5分浸清して取り出し余剰の液を除いて前処理を行なった。
【0024】
硝酸銀3gを、28%アンモニア水100mlを含む水溶液500mlに溶解し次いで水酸化ナトリウム20g含む水溶液500mlを混合した液に、前処理をした馬毛200gを浸漬し、同時に庶糖10gを含む水溶液100mlに65%硝酸0.5mlを加え、色が黄変するまで煮沸し、冷却した液24mlに20%ホルマリン1mlを加えて全量を1Lとした液を加えて、20℃で10分間処理した。次いで充分水洗して乾燥した。PBTの重量に対して1.2重量%の銀メッキした。
【0025】
上記抗菌メッキしたPBT繊維を55重量%、抗菌メッキをしない馬毛を45重量%、混合して化粧用刷毛を作成した。該刷毛を50回揉み洗いした後に、pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)4.3×10
5 /mlを植菌して12時間培養による菌数測定の結果、菌数は検出されなかった。
【0026】
【実施例3】海綿100gに0.1重量%塩化パラジュウムを含む水溶液400mlを含浸させて取り出して絞り、次いで15ppmの塩化第一錫400mlに浸漬して取り出して絞って前処理を行なった。
【0027】
A液:塩化金10gと水500mlB液:水酸化ナトリウム5gと水100mlC液:ホルムアルデヒド20gとブドウ糖2gと水100ml上記A液、B液及びC液を混合し、直ちにこの混合液に上記前処理した海綿を浸漬して20℃で20分メッキした。次いで水洗乾燥し抗菌性の金メッキを行なった。
【0028】
このようにして抗菌メッキした海綿を50回揉み洗いした後に、E.Coli(大腸菌)を3.6×10
6 /mlを植菌して12時間培養による菌数を測定したが、菌数は検出されなかった。
【0029】
【実施例4】NBRラテックスよりなるスポンジパフ(直径5cmの円形)100gを、0.l重量%の塩化パラジュウムを含む水溶液400mlを含浸させて取り出して絞り次いで15ppmの塩化第一錫400mlに浸漬して取り出して絞って前処理した。
【0030】
上記前処理したNBRスポンジ100gを、硝酸銀3gを28%アンモニア水100mlを合む水溶液500mlに溶解後、水酸化ナトリウム20g含む水溶液500mlを混合した第1液に浸漬し、同時に庶糖10gを含む水溶液100mlに65%硝酸0.5mlを加え、色が黄変するまで煮沸し、冷却液24mlに20%ホルマリン1mlを加えて全量を1Lとした液を加えて、20℃で10分間処理した。次いで充分水洗して乾燥した。PBTの重量に対して1.2重量%の銀をメッキを行なった。
【0031】
上記抗菌メッキしたNBRスポンジを50回揉み洗いした後に、Pseudomonasaeruginosa(緑膿菌)5.7×10
6 /mlを植菌して12時間培養による菌数測定したが、菌は検出されなかった。
【0032】
【実施例5】セルローススポンジ100gを、30ppmの塩化第一錫を含む水溶液400mlを含浸させて余剰の液を除いて前処理を行なった。
【0033】
次いで、下記A液及びB液を混合して直ちに上記前処理した海綿を浸漬して20℃で20分メッキした。次いで水洗乾燥し、抗菌性の銅メッキを行なった。
【0034】
A液:硫酸銅10g/L、塩化ニッケル4g/L,37%ホリマリン50mlB液:酒石酸カリウムナトウム45g/L、水酸化ナトリウム8g/L,炭酸ナトリウム4g/Lこのように抗菌メッキしたセルローススポンジを50回揉み洗いした後、E.Coli(大腸菌)を4.3×10
6 /mlを植菌して12時間培養による菌数測定しがた、菌は検出されなかった。
【0035】
【本発明で奏せられる効果】本発明では、一般に水分を使用することによって発生する雑菌やカビの発生がなく、しかも臭気もなく、衛生的に好適な化粧用具が提供できる。また、本発明では、柔軟性と機能性を損なうことなく、耐久性のある抗菌性と人及び環境の安全性を保守でき、社会的ニ−ズに対応した化粧用具が得られる。
【0036】
また、本発明の化粧用具は、常に肌に用いても、肌にやさしく、従来の有機系抗菌剤のように皮膚刺激、発ガン性、環境ホルモンに問題がなく、廃棄焼却によりダイオキシンの発生につながる間題もなく、社会的、経済的な貢献度は大である。