【課題】 ハウジング外部への放熱性能を優れたものにする。
【解決手段】 パーソナルコンピュータ1に設けられ、かつそのハウジング3内に配されたCPU5から発せられる熱をハウジング3外に放熱する放熱装置である。ハウジング3内に配置されかつヒートパイプ部9が設けられた水平状アルミニウム基板7を備えている。ハウジング3の左右両側壁3a、3bにそれぞれ空気流通口20、21を形成する。ハウジング3内に、右側の空気流通口21からハウジング3外の空気を吸入するとともに左側の空気流通口20からハウジング3内の空気を吐出するファン22を配置する。アルミニウム基板7のヒートパイプ部9が設けられていない部分に、貫通孔18を形成する。貫通孔18の側縁に放熱フィン19を設ける。
[代表図面]
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】
特開2000−22374(P2000−22374A)
【公開日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【発明の名称】電子機器用放熱装置
【国際特許分類第7版】
H05K 7/20
【FI】
H05K 7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【全頁数】6
【出願番号】特願平10−186063
【出願日】平成10年7月1日(1998.7.1)
【出願人】(000186843)昭和アルミニウム株式会社
【発明者】

【発明者】

【代理人】弁理士(100060874)

(外4名)
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322 AA02 BA01 BB10 DB08 EA11
【請求項1】
電子機器に設けられ、かつ電子機器のハウジング内に配された電子部品から発せられる熱をハウジング外に放熱する放熱装置であって、ハウジング内に配置されかつヒートパイプ部が設けられた水平状金属基板を備えており、ハウジングの周壁における互いに対向する部分にそれぞれ空気流通口が形成され、ハウジング内に、一方の空気流通口からハウジング外の空気を吸入するとともに他方の空気流通口からハウジング内の空気を吐出するファンが配置されている電子機器用放熱装置。
【請求項2】
金属基板のヒートパイプ部が設けられていない部分に、貫通孔が形成されている請求項1記載の電子機器用放熱装置。
【請求項3】
金属基板に放熱フィンが設けられている請求項1または2記載の電子機器用放熱装置。
【請求項4】
金属基板のヒートパイプ部が設けられていない部分が切り起こされて放熱フィンおよび貫通孔が形成されている請求項3記載の電子機器用放熱装置。
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電子機器、特に好ましくは携帯型電子機器に用いられ、かつ電子機器のハウジング内に配された電子部品から発せられる熱をハウジング外に放熱する放熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ラップトップ型パーソナルコンピュータまたはその他の携帯型コンピュータデバイス等の携帯型電子機器においては、その構成要素である中央演算処理装置(CPU)のような電子部品から発せられる熱をハウジングの外部に放熱する必要がある。
【0003】
たとえば、ノートブック型パーソナルコンピュータは、一般的に、キーボードを有する薄型のハウジングと、ハウジングに対して開閉自在に設けられたディスプレイ装置とを備えている。ハウジング内には、サーキットボードと、サーキットボードに搭載されたCPUとを備えている。
【0004】
上述したノートブック型パーソナルコンピュータのCPUからの放熱装置として、本出願人は、先に、互いに圧着された2枚の金属板で形成され、かつ両金属板間に所要パターンの中空状作動液封入部が形成されるとともに作動液封入部内への作動液の封入によりヒートパイプ部が設けられている水平状金属基板がハウジング内に配置され、ヒートパイプ部が電子部品から発せられる熱を受ける受熱部を備えている装置を提案した(
特開平10−122774号公報参照)。
【0005】
このような放熱装置では、CPU等の発熱電子部品が金属基板のヒートパイプ部の受熱部に接触させられるようになっている。発熱電子部品から発せられた熱はヒートパイプ部の受熱部に伝わり、この熱によりヒートパイプ部の受熱部に溜まっていた作動液が加熱されて蒸発し、発生したガス状作動液がヒートパイプ部内を受熱部から遠ざかるように流れ、金属基板を介してハウジング内の空気に放熱する。そして、ハウジング内の加熱された空気の有する熱は、キーボードを介してハウジング外に放熱されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、携帯型電子機器の分野では、最近、多機能化や処理速度の高速化が著しく、その結果CPU等の発熱電子部品の出力が増大し、発熱量が著しく増加している。そのため、上述した従来の放熱装置では、ハウジング外部への放熱性能が十分ではなくなってきている。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、従来の放熱装置に比べてハウジング外部への放熱性能が一層優れた電子機器用放熱装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と発明の効果】請求項1の発明による電子機器用放熱装置は、電子機器に設けられ、かつ電子機器のハウジング内に配された電子部品から発せられる熱をハウジング外に放熱する放熱装置であって、ハウジング内に配置されかつヒートパイプ部が設けられた水平状金属基板を備えており、ハウジングの周壁における互いに対向する部分にそれぞれ空気流通口が形成され、ハウジング内に、一方の空気流通口からハウジング外の空気を吸入するとともに他方の空気流通口からハウジング内の空気を吐出するファンが配置されているものである。
【0009】
請求項1の発明による電子機器用放熱装置において、CPU等の発熱電子部品は金属基板のヒートパイプ部に接触させられる。発熱電子部品から発せられる熱は、ヒートパイプ部に伝わり、この熱によりヒートパイプ部の発熱電子部品が接触させられている受熱部に溜まっていた作動液が加熱されて蒸発し、発生したガス状作動液がヒートパイプ部内を受熱部から遠ざかるように流れ、金属基板を介してハウジング内の空気に放熱して再液化する。そして、ファンを作動させると、ハウジング外の低温の空気が一方の空気流通口からハウジング内に入って金属基板の表面に沿って流れ、金属基板から放熱された熱により加熱された空気が他方の空気流通口からハウジング外に吐出されるので、金属基板から効率良く放熱される。再液化した作動液は受熱部に戻る。ヒートパイプ部の受熱部を除く部分にもともと溜まっていた作動液は、受熱部に流れる。このような動作を繰返し、電子部品から発せられる熱が放熱される。したがって、上述したハウジング内の空気にだけ放熱し、さらにキーボードを介してハウジング外に放熱する従来の放熱装置に比べて、放熱性能が向上する。
【0010】
請求項2の発明による電子機器用放熱装置は、請求項1の発明において、金属基板のヒートパイプ部が設けられていない部分に、貫通孔が形成されているものである。この場合、ファンによりハウジング内を流れる空気が、貫通孔を通って金属基板の上下両面に沿って流れるようになり、放熱性能が一層向上する。
【0011】
請求項3の発明による電子機器用放熱装置は、請求項1または2の発明において、金属基板に放熱フィンが設けられているものである。この場合、ハウジング内を流れる空気への伝熱面積が増大し、放熱性能が一層向上する。
【0012】
請求項4の発明による電子機器用放熱装置は、請求項3の発明において、金属基板のヒートパイプ部が設けられていない部分が切り起こされて放熱フィンおよび貫通孔が形成されている。この場合、放熱フィンおよび貫通孔を同時に形成することができ、作業が簡単になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、図2の左右を左右といい、同図の下側を前、これと反対側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0014】
図1〜図3はこの発明による放熱装置を備えたノートブック型パーソナルコンピュータの全体構成を示し、図4はその一部を拡大して示す。
【0015】
図1〜図3において、ノートブック型パーソナルコンピュータ(1) は、キーボード(2) を有する薄型のハウジング(3) と、ハウジング(3) に対して開閉自在に設けられたディスプレイ装置(4) とを備えている。そして、ハウジング(3) 内にCPU(5) を搭載したサーキットボード(6) が配置されている。
【0016】
ハウジング(3) 内のキーボード(2) とサーキットボード(6) との間の部分に、互いに圧着された上下2枚のアルミニウム板(7a)(7b)(図4参照)で形成され、かつ2枚のアルミニウム板(7a)(7b)間に所要パターンの上方突出状中空状作動液封入部(8) が形成されるとともに作動液封入部(8) 内への作動液(図示略)の封入によりヒートパイプ部(9) が設けられている水平状アルミニウム基板(7) が配置されている。アルミニウム基板(7) は左右方向に長い長方形状であり、その大きさはキーボード(2) の大きさとほぼ等しくなっている。作動液は、PFC、HFC134a、CFC113、HCFC123等からなるものであり、これが作動液封入部(8) の内容積の5〜75%、好ましくは40〜50%程度封入されている。作動液の封入は、次のようにして行われる。すなわち、作動液の封入前の作動液封入部(8) に、先端がアルミニウム基板(7) の周縁に至るとともに周縁に開口した部分を設けておき、この部分を利用して作動液の注入を行い、作動液の注入後に、上記部分における上側アルミニウム板(7a)を圧潰して平坦にするとともに下側アルミニウム板(7b)に圧着することにより、作動液の封入が行われる。
【0017】
上側のアルミニウム板(7a)は、たとえばJIS A1230で形成され、下側のアルミニウム板(7b)は、たとえばJIS A1230にZrを添加した材料で形成されている。アルミニウム基板(7) は、たとえば中空状作動液封入部(8) からなる複雑な回路を形成できる、作動液の漏れが生じない、量産性に優れている、寸法形状の自由度が大きいなどの理由によって、2枚のアルミニウム板(7a)(7b)の合せ面のうちの少なくともいずれか一方の面に圧着防止剤を所要パターンに印刷し、この状態で2枚のアルミニウム板(7a)(7b)を圧着して非圧着部を有する合せ板をつくり、合せ板の非圧着部に流体圧を導入することによって作動液封入部(8) を一挙に形成する、いわゆるロールボンド法によって製造されている。圧着防止剤としては、たとえば1μm以下のコロイド状グラファイトを主成分とするインキが用いられる。しかしながら、アルミニウム基板(7) の製造法はこれに限られるものではない。
【0018】
ヒートパイプ部(9) は、図2に示すように、左右方向の中央部に形成されるとともに前後方向に長くかつアルミニウム基板(7) のほぼ全幅の長さを有する長方形状の第1の格子状部分(10)と、左端部の後側縁寄りの部分に形成されるとともに前後方向に長くかつアルミニウム基板(7) のほぼ半分の長さを有する長方形状の第2の格子状部分(11)と、第1格子状部分(10)の右側に設けられかつ両端が第1格子状部分(10)に連なった左右方向に長い5つの長方形状ループ状部分(12)と、第1格子状部分(10)の左側でかつ第2格子状部分(11)よりも前側に設けられるとともに、両端が第1格子状部分(10)に連なった左右方向に長い2つのループ状部分(13)と、第1格子状部分(10)と第2格子状部分(11)とを連通させる左右方向に長い3つの直線部分(14)と、第2格子状部分(11)と2つのループ状部分(13)のうちの後側のループ状部分(13)を連通させる前後方向に長い短尺直線部分(15)とからなる。隣り合うループ状部分(12)(13)どうしは左右方向に伸びる直線部分を共有しており、第1格子状部分(10)の右側のループ状部分(12)を全て合わせたものの外形は略正方形状となっており、第1格子状部分(10)の左側のループ状部分(13)を全て合わせたものの外形は長方形状となっている。そして、第1格子状部分(10)の前後の中央部が、CPU(5) から発せられる熱を受ける受熱部(16)となっている。ヒートパイプ部(9) の受熱部(16)において、アルミニウム基板(7) の下面に、高熱伝導性エラストマー(図示略)を介してアルミニウム板(17)が取付けられている。
【0019】
アルミニウム基板(7) におけるヒートパイプ部(9) の存在しない部分、すなわち左右のループ状部分(12)(13)に囲まれた部分、および第1格子状部分(10)の左側の隣り合う直線部分(14)どうしの間に、それぞれ左右方向に伸びる貫通孔(18)が形成され、貫通孔(18)の前後いずれかの側縁に左右方向に伸びるフィン(19)が一体に形成されている(図4参照)。貫通孔(18)およびフィン(19)は、アルミニウム基板(7) に切り起こし加工を施すことにより同時に形成されている。
【0020】
ノートブック型パーソナルコンピュータ(1) のハウジング(3) の左右両側壁(3a)(3b)の前後方向の中央部に、それぞれ空気流通口(20)(21)が相互に対向するように形成されている。また、アルミニウム基板(7) の左端部の下面に、回転軸線が左右方向を向いた軸流ファン(22)が配置されている。軸流ファン(22)は、右側の空気流通口(21)からハウジング(3) 外の空気を吸入するとともに、他方の空気流通口からハウジング(3) 内の空気を吐出するためのものである。右側の空気流通口(21)からハウジング(3) 外の空気を吸入するとともに、他方の空気流通口からハウジング(3) 内の空気を吐出するファンとしては、軸流ファンに代えて、他の形式のファンを用いてもよい。
【0021】
上記のノートブック型パーソナルコンピュータ(1) において、サーキットボード(6) の上面に搭載されたCPU(5) は、アルミニウム基板(7) の下面のアルミニウム板(17)に密接させられている。CPU(5) から発せられる熱は、アルミニウム板(17)、高熱伝導性エラストマーおよびアルミニウム基板(7) の下側アルミニウム板(7b)を介してヒートパイプ部(9) の受熱部(16)内の作動液に伝わり、この熱により加熱された作動液は、ここで蒸発し、ガス状作動液となる。ガス状作動液は、ヒートパイプ部(9) 内を受熱部(16)から遠ざかるように流れ、アルミニウム基板(7) および放熱フィン(19)を介してハウジング(3) 内の空気に放熱し、再液化する。再液化した作動液は、ヒートパイプ部(9) を循環し、または逆流して受熱部(16)に戻る。また、もともとヒートパイプ部(9) の受熱部(16)を除いた部分に溜まっていた作動液は、受熱部(16)に流れる。このような動作を繰返すことによって、CPU(5) から発せられた熱がハウジング(3) 内の空気に放熱される。このとき、ファン(22)を作動させておくと、ハウジング(3) 外の低温の空気が右側の空気流通口(21)からハウジング(3) 内に入り、貫通孔(18)を通ってアルミニウム基板(7) の上下両面に沿って流れ、アルミニウム基板(7) およびフィン(19)から放熱された熱により加熱された空気が左側の空気流通口(20)からハウジング(3) 外に吐出されるので、放熱性能が優れたものになる。
【0022】
上記実施形態においては、アルミニウム基板(7) のヒートパイプ部(9) は、上下2枚のアルミニウム板(7a)(7b)間に所要パターンの上方突出状中空状作動液封入部(8) が形成されるとともに作動液封入部(8) 内への作動液(図示略)の封入により設けられているが、これに限るものではなく、アルミニウム基板に、これとは別個に形成されたヒートパイプを接合することにより設けておいてもよい。
【図1】この発明による放熱装置を備えたノートブック型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図2】この発明による放熱装置を備えたノートブック型パーソナルコンピュータを示す水平断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線拡大断面図である。
【符号の説明】
(1):ノートブック型パーソナルコンピュータ(電子機器)
(3):ハウジング
(3a):左側壁
(3b):右側壁
(5):CPU(電子部品)
(7):アルミニウム基板(金属基板)
(9):ヒートパイプ部
(18):貫通孔
(19):放熱フィン
(20)(21):空気流通口
(22):ファン
【図4】
【図1】
【図2】
【図3】