【課題】 識別表示16が形成されている半導体ウエハにおいて、半導体ウエハをチップに切断する工程時まで識別表示16が明瞭に認識できるようにする。
【解決手段】 識別表示16を半導体ウエハの側面14に形成したので、半導体回路を形成するための種々の処理工程が繰り返し行われても、あるいは半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても識別表示16は消失したりあるいは不明瞭になることがなくなるので、半導体ウエハ12をチップに切断する工程時まで、識別表示16を明瞭に認識することができる。
[代表図面]
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】
特開2000−3889(P2000−3889A)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発明の名称】半導体ウエハおよび半導体装置の製造方法
【国際特許分類第7版】
H01L 21/301
21/02
21/66
【FI】
H01L 21/78 F
21/02 A
21/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【全頁数】11
【出願番号】特願平11−89326
【出願日】平成11年3月30日(1999.3.30)
【優先権主張番号】09/050035
【優先日】平成10年3月30日(1998.3.30)
【優先権主張国】米国(US)
【出願人】(000003078)株式会社東芝
【発明者】

【発明者】

【代理人】弁理士(100058479)

(外6名)
【請求項1】
半導体ウエハの選択された側面部分に半導体ウエハ識別表示を形成する工程と、前記半導体ウエハのチップ領域部分に半導体回路を形成するための一連の処理工程と、前記一連の処理工程の各処理工程毎に実行後、正常に処理されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査を行うとともに半導体ウエハの前記識別表示を認識して半導体ウエハの識別を行い、欠陥が生じた半導体ウエハを検出する工程と、半導体ウエハの前記チップ領域部分に半導体回路を形成した後半導体ウエハを半導体チップに切断分離する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体ウエハの選択された側面部分は半導体ウエハを薄厚化するため半導体ウエハ裏面から研削処理した後も残存する、半導体ウエハの側面部分であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる裏面側斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間に存在する周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は表面から延びる前記表面側斜面部分であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる裏面側斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は、前記周面部分の、表面から延びる前記表面側斜面部分に近い側の部分であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記識別表示は半導体ウエハの前記選択された側面部分に形成された彫り込みからなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体ウエハの選択された側面部分に形成された半導体ウエハ識別表示を具備してなることを特徴とする半導体ウエハ。
【請求項7】
前記半導体ウエハの選択された側面部分は半導体ウエハを薄厚化するため半導体ウエハ裏面から研削処理した後も残存する、半導体ウエハの側面部分であることを特徴とする請求項6記載の半導体ウエハ。
【請求項8】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は表面から延びる前記表面側斜面部分であることを特徴とする請求項6記載の半導体ウエハ。
【請求項9】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる斜面部分と、裏面から延びる斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は、前記周面部分の、表面から延びる前記表面側斜面部分に近い側の部分であることを特徴とする請求項6記載の半導体ウエハ。
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、識別表示を有する半導体ウエハおよびその半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハには半導体ウエハ個々を識別するために、半導体ウエハ上への半導体回路の形成処理以前に個々の半導体ウエハ毎に数字あるいはバーコード等による個別の識別表示が付される。そしてその表示は、従来、半導体ウエハの表面あるいは裏面に通常レーザー光の照射による半導体ウエハへの彫り込みによってなされている。しかしながら、半導体ウエハには、その後、各チップ領域に半導体回路を形成するために、種々の処理工程が繰り返し行われる。そしてこの処理工程を経ることにより識別表示は消失あるいは不明瞭となり、そのため識別表示の認識が困難となる。
【0003】
図14および図15には、チップパターン102および識別表示16が表面に形成された従来の半導体ウエハ104が示されている。識別表示16は、レーザー光の照射により半導体ウエハ104への彫り込みにより形成されている。識別表示16を有する半導体ウエハ表面上に例えば層膜(単層または多層)たとえば絶縁膜106が形成されている。図14は、レーザー光の照射により表面に彫り込みすなわち識別表示16の形成された半導体ウエハ104の平面を示す図、図15は図14の半導体ウエハ表面の彫り込み部すなわち識別表示16部の一部の拡大断面図である。図15の断面図に示されるように、レーザー光による彫り込みは半導体ウエハ104の表面に対しほぼ垂直に掘られていてその輪郭は明瞭であり、絶縁膜106形成以前は表示を正確に読みとることができる。しかしながら、半導体ウエハ表面上に絶縁膜106が形成された場合、絶縁膜106表面に半導体ウエハ表面の彫り込み部の輪郭を正確に反映させることは困難であり、絶縁膜106表面に反映される輪郭は角部の緩んだ不明瞭なものとなってしまう。そのため、薄膜形成後は表示の正確な読みとりは困難となる。すなわち、たとえば、絶縁膜106がCVD技術により形成されると溝部の輪郭がくずれてしまって絶縁膜106の輪郭は、図15の断面図に示されるように、全体としてなだらかな山形になり、基板の表面に形成された彫り込みの輪郭は不明瞭となってしまい、正確な読みとりが困難となってしまう。
【0004】
図16は図14の断面構造において、絶縁膜106の表面がCMP処理され、さらにその上にたとえばAlからなる金属膜108が形成された場合が示されている。この場合には、絶縁膜106の表面がCMP処理により平坦化されているので、絶縁膜106の上に形成された金属膜の表面も平坦となる。したがって、このようにCMP処理がなされた場合には、金属膜上では識別表示16すなわち彫り込み部の輪郭は消失してしまい、識別表示16の読みとりは不可能となる。
【0005】
図17は、RIE処理および/またはCMP処理のローデイング効果を最小にするために半導体ウエハ表面の全面にわたってチップパターン102を形成した場合の半導体ウエハ表面を示している。チップパターンをこのように半導体ウエハ表面の全面にわたって形成すると、半導体ウエハ表面への半導体回路の形成処理工程が進行するにつれて、チップパターンの形成以前に半導体ウエハ表面に形成された識別表示16の彫り込みの輪郭が不明瞭となり、識別表示16の正確な読みとりが困難となる。
【0006】
図18は、半導体ウエハ表面に彫り込みの形成された半導体ウエハ表面の平面図、図19は、その彫り込み部の一部の拡大断面図である。半導体ウエハ104の表面にレーザー光の照射により彫り込みが形成された場合、図19に示すように、彫り込み部には、実際には、溝のみでなくバンプ(隆起)202も形成される。バンプ202により後工程でのCMP処理における平坦化の均一性が低下してしまう。即ち、研磨装置の研磨パッド(図示せず)が彫り込み部のバンプ202に当接研磨する時バンプ202の高さのために研磨パッドはバンプ202周辺の半導体ウエハ104裏面部分には当接せずあるいは緩くしか当接しないので、そのためバンプ202周辺の半導体ウエハ表面部分にアンダーポリッシュ204が生じてしまう。また、このように、バンプのある半導体ウエハは、半導体ウエハをステッパー内のステージに吸着した際にバンプのある半導体ウエハ部分が浮き上がることになり、リソグラフィーにおける光ビームの焦点ボケを生じる。
【0007】
図20は、レーザー光の照射により半導体ウエハ104の裏面に彫り込みによる識別表示16の形成された半導体ウエハ104をその側面から見た図である。半導体ウエハ104の裏面は、しかしながら、パッケージングに先立ってラッピング処理(バックサイド グラインデイング)が施され、このラッピング処理により、半導体ウエハ104(例えばシリコン基板)は通常例えば725μm程度の厚さのものが300μm程度の厚さにまで薄くされる。このラッピング処理により、彫り込みによる識別表示16は完全に消失されてしまい、半導体ウエハ104のチップへの切断分離工程時まで残存させることができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、識別表示を半導体ウエハの表面に形成した場合には、半導体回路を形成するための半導体ウエハ表面上へのその後の処理工程により半導体ウエハ表面の彫り込みの輪郭が消失あるいは不明瞭となり識別表示の読みとりは困難となる。また一方、識別表示を半導体ウエハの裏面に形成した場合には、パッケージングに先立つ半導体ウエハ裏面のラッピング処理により彫り込みによる識別表示は完全に消失されてしまい識別表示の読みとりは不可能となる。
【0009】
この発明は、上述の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、半導体回路を形成するための半導体ウエハ表面上への処理工程を経ても、また半導体ウエハ裏面のラッピング処理工程を経ても、半導体ウエハを識別するための識別表示が消失あるいは不明瞭となることなく、それにより、半導体ウエハをチップに切断分離するまで彫り込みによる識別表示を明瞭に認識することができる、識別表示を有する半導体ウエハおよびその半導体装置の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、半導体ウエハを識別するための識別表示を半導体ウエハの選択された側面部分に形成している。
【0011】
この発明は、半導体ウエハの選択された側面部分に半導体ウエハ識別表示を形成する工程と、前記半導体ウエハのチップ領域部分に半導体回路を形成するための一連の処理工程と、前記一連の処理工程の各処理工程毎に実行後、正常に処理されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査を行うとともに半導体ウエハの前記識別表示を認識して半導体ウエハの識別を行い、欠陥が生じた半導体ウエハを検出する工程と、半導体ウエハの前記チップ領域部分に半導体回路を形成した後半導体ウエハを半導体チップに切断分離する工程と、からなることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0012】
前記半導体ウエハの選択された側面部分は半導体ウエハを薄厚化するため半導体ウエハ裏面から研削処理した後も残存する、半導体ウエハの側面部分であってもよい。
【0013】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる裏面側斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間に存在する周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は表面から延びる前記表面側斜面部分であってもよい。
【0014】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる裏面側斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は、前記周面部分の、表面から延びる前記表面側斜面部分に近い側の部分であってもよい。
【0015】
前記識別表示は半導体ウエハの前記選択された側面部分に形成された彫り込みからなるものであってもよい。
【0016】
前記彫り込みは半導体ウエハの前記選択された側面部分へのレーザー光の照射により形成されるものであってもよい。
【0017】
前記識別表示は目視的に認識の容易な形態の表示を含むものであってもよい。
【0018】
前記目視的に認識の容易な形態の識別表示は数字、記号等を含むものであってもよい。
【0019】
前記識別表示は光学的に認識の容易な形態の識別表示を含むものであってもよい。
【0020】
前記光学的に認識の容易な形態の識別表示はバーコードを含むものであってもよい。
【0021】
表面から延びる前記表面側斜面部分および裏面から延びる前記裏面側斜面部分は曲面をなしていてもよい。
【0022】
この発明は、さらに、半導体ウエハの選択された側面部分に形成された半導体ウエハ識別表示を具備してなることを特徴とする半導体ウエハを提供する。
【0023】
前記半導体ウエハの選択された側面部分は半導体ウエハを薄厚化するため半導体ウエハ裏面から研削処理した後も残存する、半導体ウエハの側面部分であってもよい。
【0024】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる表面側斜面部分と、裏面から延びる斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は表面から延びる前記表面側斜面部分であってもよい。
【0025】
前記半導体ウエハの側面は表面から延びる斜面部分と、裏面から延びる斜面部分と、表面から延びる前記表面側斜面部分と裏面から延びる前記裏面側斜面部分との間の周面部分とを有しており、前記選択された側面部分は、前記周面部分の、表面から延びる前記表面側斜面部分に近い側の部分であってもよい。
【0026】
前記識別表示は前記半導体ウエハの前記選択された側面部分に形成された彫り込みからなるものであってもよい。
【0027】
前記彫り込みは前記半導体ウエハの前記選択された側面部分へのレーザー光の照射により形成されるものであってもよい。
【0028】
前記識別表示は目視的に認識の容易な形態の表示を含むものであってもよい。
【0029】
前記目視的に認識の容易な形態の識別表示は数字、記号等を含むものであってもよい。
【0030】
前記識別表示は光学的に認識の容易な形態の識別表示を含むものであってもよい。
【0031】
前記識別表示はレーザー光により認識の容易な形態の識別表示を含むものであってもよい。
【0032】
前記認識の容易な形態の識別表示はバーコードを含むものであってもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながらこの発明の実施の形態について説明する。
【0034】
図1および図2は、この発明の第1の実施の形態にかかる半導体ウエハ12の側面14の一部を示す図であって、図1および図2は、それぞれ、半導体ウエハ側面14の選択された部分(選択された側面部分)に形成された半導体ウエハ12を識別するための表示(識別表示)16を正面および側面から見た図である。半導体ウエハ側面14の選択された側面部分は、半導体ウエハ12のラッピング処理後、すなわち半導体ウエハ12の薄厚化のための半導体ウエハ12裏面からの研削処理によっても除去されず研削処理後も残存する半導体ウエハ12の側面部分である。第1の実施の形態では、選択された側面部分は、半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18である。
【0035】
半導体ウエハ12には、半導体回路の形成処理以前に、個々の半導体ウエハ12毎に半導体ウエハ12それぞれを識別するための個別の識別表示16が付される。識別表示16は、レーザー光の照射による半導体ウエハ12への彫り込みによって形成されており、彫り込みの輪郭によって認識される。識別表示16は、光学的な読み取りに適したバーコードで示したものと目視的な読み取りに適した数字およびアルファベットの組み合わせで示したものとを含んでいる。この発明では、表示は、従来におけるように半導体ウエハ12の表面あるいは裏面に形成されるのではなく、図1および図2に示されるように、半導体ウエハ12の選択された側面部分に、この第1の実施の形態では半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18に、レーザー光の照射による彫り込みによって形成されている。識別表示16の形成された半導体ウエハ12の表面には、その後、各チップ領域に半導体回路を形成するために、種々の処理工程が行われる。処理工程は、例えば、酸化膜の形成工程、金属膜の形成工程、加熱工程、レジストの塗布工程、孔あけ工程、リソグラフィー工程、イオン注入工程、CMP等の研磨あるいは平坦化工程等である。そして、彫り込みの輪郭によって限定される識別表示16が従来のように半導体ウエハ12の表面に形成されている場合には、識別表示16すなわち彫り込みの輪郭はこのような処理工程を経ることにより消失あるいは不明瞭となり、認識不可能となってしまう。また、半導体ウエハ12はその裏面から、パッケージングに先立ってラッピング処理が施され、このラッピング処理により、半導体ウエハ12は通常例えば725μm程度の厚さのものが300μm程度の厚さにまで薄くされる。即ち、半導体ウエハ12は、薄厚化される。このラッピング処理により、識別表示16が従来のように半導体ウエハ12の裏面に形成されている場合には識別表示16は完全に消失されてしまう。
【0036】
この発明では、しかしながら、識別表示16は、従来におけるように半導体ウエハ12の表面あるいは裏面に形成されるのではなく、図1および図2(第1の実施の形態)に示されるように、半導体ウエハ12の側面14の選択された部分(選択された側面部分)に形成される。ウエハ側面14の選択された側面部分は、半導体ウエハ12のラッピング処理後も残存する、すなわち半導体ウエハ12の薄厚化のための半導体ウエハ12裏面からの研削処理によっても除去されず研削処理後も残存する半導体ウエハ12の側面部分である。この第1の実施の形態では、図1および図2に示されるように、半導体ウエハ12の選択された側面部分は、半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18である。上述のように、この発明では、識別表示16が半導体ウエハ12の選択された側面部分に形成されているので、半導体ウエハ12の表面に各チップ領域に半導体回路を形成するため従来と同様に種々の処理工程が繰り返し行われても、識別表示16すなわち彫り込みはそれら処理工程によっても消失あるいは不明瞭になることがない。また、半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても半導体ウエハ12の選択された側面部分に形成された彫り込みはそのラッピング処理により消失あるいは不明瞭になることがない。このように、識別表示16が、半導体ウエハ12の表面あるいは裏面にではなく、図1および図2に示されるように、半導体ウエハ12の選択された側面部分に形成されているため、半導体ウエハ12表面の各チップ領域に半導体回路を形成するための種々の処理工程が繰り返し行われても、あるいは半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても半導体ウエハ12の側面14に形成された識別表示16は消失あるいは不明瞭になることがなく、明瞭に認識可能に維持される。それにより、半導体ウエハ12をチップに切断する工程時まで彫り込みによる識別表示16を十分明瞭に認識することができる。なお、識別表示16の彫り込みは、従来と同じく、レーザー光の照射によって行うことが好ましい。
【0037】
図1および図2に示す第1の実施の形態では、識別表示16は、半導体ウエハ12の選択された側面部分であるところの、半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18に形成される。すなわち、半導体ウエハ12の側面14は一般に、図1および図2に示すように、半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18と、裏面から延びる裏面側斜面部分20と、表面から延びる表面側斜面部分18と裏面から延びる裏面側斜面部分20との間の周面部分22とを有しており、図1および図2に示す第1の実施の形態では、識別表示16は、表面から延びる表面側斜面部分18に形成されている。この部分は、半導体ウエハ12のラッピング処理後、すなわち半導体ウエハ12の薄厚化のための半導体ウエハ12裏面からの研削処理後も残存する半導体ウエハ12の側面部分である。なお、半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18および裏面から延びる裏面側斜面部分20は、図1および図2に示されるように、曲面をなしている。以降の実施の形態においても同様である。また、一般的に、半導体ウエハ12の周面部分22の厚さは385μm程度であり、表面側斜面部分18および裏面から延びる裏面側斜面部分20の厚さはいずれも170μm程度である。
【0038】
図3および図4は、この発明の第2の実施の形態にかかる半導体ウエハ12の側面14の一部を示す図であって、図3および図4は、それぞれ、半導体ウエハ側面14の選択された側面部分に形成された識別表示16をそれぞれ正面および側面から示す図である。
【0039】
図3および図4に示す第2の実施の形態では、識別表示16は、半導体ウエハ12の選択された側面部分であるところの周面部分22、すなわち表面から延びる表面側斜面部分18と裏面から延びる裏面側斜面部分20との間の周面部分22に形成されている。そして、周面部分22の、特に、表面から延びる表面側斜面部分18に近い部分に形成されている。この部分は、半導体ウエハ12のラッピング処理後も残存する、すなわち半導体ウエハ12の薄厚化のための半導体ウエハ12の裏面からの半導体ウエハ12の研削処理後も残存する半導体ウエハ12の側面部分である。すなわち、半導体ウエハ12の各チップ領域に半導体回路が形成された後に半導体ウエハ12は各チップに切断分離されるが、この切断分離の前に、半導体ウエハ12はその裏面からラッピング処理すなわちバックサイドグライン
テ゛イング処理により研削され、通常725μm程度の厚さの半導体ウエハ12が300μm程度の厚さにまで薄くされる。すなわち、このラッピング処理により、半導体ウエハ12はほぼ半分の厚さにまで薄くされ、半導体ウエハ12の裏面側ほぼ半分の厚さの部分は研削除去される。すなわち、半導体ウエハ12の周面部分22の、裏面から延びる裏面側斜面部分20に近い部分は研削除去される。したがって、識別表示16がこの部分に形成された場合には、半導体ウエハ12が各チップに切断分離される前に、研削除去されてしまう。一方、識別表示16は、半導体ウエハ12がチップに切断される工程時まで明瞭に認識できることが必要である。この第2の実施の形態では、識別表示16が、半導体ウエハ12の側面14の、周面部分22の、特に、表面から延びる表面側斜面部分18に近い部分に、すなわち、半導体ウエハ12の側面14の、半導体ウエハ12の薄厚化のための半導体ウエハ裏面からの研削処理の後も残存する半導体ウエハ側面部分に形成されているので、半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても半導体ウエハ12の側面14に形成された識別表示16はそのラッピング処理により消失されることがなく、明瞭に認識可能に維持される。それにより、半導体ウエハ12がチップに切断される時まで彫り込みによる識別表示16を明瞭に認識することができる。このように、半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても半導体ウエハ12の側面14に形成された識別表示16はそのラッピング処理により消失されることがなくなり、従来におけるように識別表示16を半導体ウエハ12の裏面に形成していたことにより、ラッピング処理により、識別表示16が消失されてしまうということがなくなる。
【0040】
図5は、半導体ウエハ側面14の、半導体ウエハ表面から延びる表面側斜面部分18に識別表示16を形成した場合の半導体ウエハ12の平面図であって、特に、半導体ウエハ12のオリエンテーリング・ノッチ32と識別表示16とを示す図である。図5に示されるように、識別表示16は、ステッパー装置の半導体ウエハステージのフックに係合されるオリエンテーリング・ノッチ32にかからない部分に形成することが好ましい。
【0041】
図6は、半導体ウエハ側面14の周面部分22に識別表示16を形成した場合の半導体ウエハ12の平面図であって、特に、半導体ウエハ12のオリエンテーリング・ノッチ32と識別表示16とを示す図である。図に示されるように、識別表示16は、この場合にも、オリエンテーリング・ノッチ32にかからない部分に形成することが好ましい。
【0042】
図7は、半導体ウエハ側面14の、半導体ウエハ表面から延びる表面側斜面部分18に識別表示16を形成した場合の半導体ウエハ12の平面図であって、特に、半導体ウエハ12のオリエンテーリング・フラット端部34と識別表示16とを示す図である。図に示されるように、識別表示16は、オリエンテーリング・フラット端部34にかからない部分に形成することが好ましい。
【0043】
図8は、半導体ウエハ側面14の周面部分22に識別表示16を形成した場合の半導体ウエハ12の平面図であって、特に、半導体ウエハ12のオリエンテーリング・フラット端部34と識別表示16とを示す図である。図に示されるように、識別表示16は、この場合にも、オリエンテーリング・フラット端部34にかからない部分に形成することが好ましい。
【0044】
次に、図9ないし図13を参照しながら、識別表示16が半導体ウエハ12の周面部分22に形成された半導体ウエハ12に、コンタクトホールを介して電極配線を形成する処理工程を例に挙げて、この発明の半導体ウエハ12に半導体回路を形成する場合を説明する。
【0045】
図9に示されるように、半導体ウエハ12の周面部分22に、レーザー光の照射による彫り込みによって識別表示16が形成されている。半導体回路を形成するに先立って識別表示16の形成された半導体ウエハ部分を、半導体ウエハ支持装置(図示せず)に設けられたカバー部材42により覆う。これは、半導体回路を形成する処理工程の際、識別表示16がたとえば層材料の付着等の影響を受け不明瞭となるのを避けるためである。ついで、熱酸化処理あるいはCVD処理により半導体ウエハ12の表面全面に絶縁膜52を形成する。ついで、この絶縁膜上全面にレジストを塗布し、形成されたレジスト層をパターニングして、図10に示されるように、レジストパターン54を形成する。ついで、このレジストパターンをマスクに用いて、図11に示されるように、絶縁膜52にコンタクトホール56を形成する。ついで、絶縁膜52を含む半導体ウエハ全面に例えば金属膜たとえばAl膜58をCVD法により形成し、この金属膜58をパターニングすることにより、コンタクトホール56を介して半導体ウエハに接続された電極配線60が形成される。処理工程はすべて半導体ウエハ12の表面に対して行われる。識別表示16は半導体ウエハ12の周面部分22に形成されているので、この処理工程において、識別表示16は、処理工程の影響をほとんど受けることがない。したがって、この処理工程中識別表示16は明瞭に認識されることができる。しかも、識別表示16の形成された半導体ウエハ部分がカバー部材42により覆われていることにより、識別表示16への処理工程の影響が一段と低減される.この処理において、各工程後に正常に処理されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査が行われる。この場合、この発明においては、識別表示16は、全処理工程にわたって、明瞭に認識されることができるので、欠陥が生じた半導体ウエハ12および欠陥が生じた処理工程が高精度で検出される。すなわち、どの半導体ウエハ12に欠陥が生じたかまたどの処理工程で欠陥が生じたかが高精度で検出される。例えば、上記処理工程においては、絶縁膜52の形成後に絶縁膜52が正常に形成されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査が行われ、どの半導体ウエハ12に欠陥が生じたかまたどの処理工程で欠陥が生じたかが検出される。また、コンタクトホール56を形成した後に、コンタクトホール56が正常に形成されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査が行われ、どの半導体ウエハ12に欠陥が生じたかまたどの処理工程で欠陥が生じたかが検出される。同様に、金属膜58を形成した後に、金属膜58が正常に形成されたかあるいは欠陥が生じたか否かの検査が行われ、どの半導体ウエハ12に欠陥が生じたかまたどの処理工程で欠陥が生じたかが検出される。さらに、金属膜58をパターニングして電極配線60を形成した後に、電極配線60が正常に形成されたかあるいは欠陥生じたか否かの検査がを行われ、どの半導体ウエハ12に欠陥が生じたかまたどの処理工程で欠陥が生じたかが検出される。このように、各処理工程の実行後毎に、欠陥が生じた半導体ウエハ12および欠陥が生じた処理工程が検出されるので、欠陥の修正が可能であったり、欠陥検出後の無意味な処理工程の実施あるいは無意味な最終検査が避けられる。なお、このように処理された半導体ウエハ12には半導体回路を形成するためのさらなる処理工程が施される。半導体回路が完成した後、半導体ウエハ12はチップに切断分離される。そしてこの実施の形態においては、識別表示16が半導体ウエハ12の周面部分22に形成されているので、半導体回路を完成させる処理工程において、識別表示16は、処理工程による影響を受けることがなく、したがってこの切断分離の工程時においても、識別表示16はいまだ明瞭に認識することができる。
【0046】
なお、識別表示16は、従来におけるように、バーコード・リーダー、画像を取り込んでの画像処理、あるいはレーザー読取り装置を用いて容易に読みとることができる。
【0047】
図9ないし図13を参照して、識別表示16が半導体ウエハ12の周面部分22に形成された半導体ウエハ12に、コンタクトホール56を介して電極配線60を形成する処理工程について説明されたが、識別表示16が半導体ウエハ12の表面から延びる表面側斜面部分18に形成された半導体ウエハ12(図1および図2)に、コンタクトホールを介して電極配線を形成する場合の処理工程についても同様であるので説明は省略する。そしてその場合にも、図9ないし図13を参照して述べたのと同様な効果が得られるものである。
【0048】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、識別表示16としては、バーコードのみあるいは数字とアルファベットの組み合わせのみとしてもよい。あるいは、数字だけあるいはアルファベットのみとしてもよい。あるいは、数字とアルファベットの組み合わせのみとしてもよい。その他、種々の記号等と組み合わせてもよい。また、識別表示16は一個所のみにではなく、複数個所に設けてもよい。
【0049】
【発明の効果】
この発明によれば、識別表示16が半導体ウエハ12の側面14に形成されているため、各チップ領域に半導体回路を形成するための種々の処理工程が繰り返し行われても、あるいは半導体ウエハ12の裏面へのラッピング処理によっても半導体ウエハ12の側面14に形成された識別表示16は消失したりあるいは不明瞭になることがなくなるので、半導体ウエハ12をチップに切断する工程時まで識別表示16が明瞭に認識される。
【図1】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の第1の実施の形態に係る半導体ウエハの側面の一部を示す図であって、識別表示を正面から見たときの図。
【図2】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の第1の実施の形態に係る半導体ウエハの側面の一部を示す図であって、識別表示を側面から見たときの図。
【図3】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の第2の実施の形態に係る半導体ウエハの側面の一部を示す図であって、識別表示を正面から見たときの図。
【図4】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の第2の実施の形態に係る半導体ウエハの側面の一部を示す図であって、識別表示を側面から見たときの図。
【図5】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第1の実施の形態に係る半導体ウエハの平面図であって、特に、オリエンテーリング・ノッチと識別表示とが示されている図。
【図6】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハの平面図であって、特に、オリエンテーリング・ノッチと識別表示とが示されている図。
【図7】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第1の実施の形態に係る半導体ウエハの平面図であって、特に、オリエンテーリング・フラット端部と識別表示とが示されている図。
【図8】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハの平面図であって、特に、オリエンテーリング・フラット端部と識別表示とが示されている図。
【図9】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハに半導体回路を形成するための処理プロセスの一部における半導体ウエハの断面図。
【図10】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハに半導体回路を形成するための処理プロセスの一部における半導体ウエハの断面図。
【図11】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハに半導体回路を形成するための処理プロセスの一部における半導体ウエハの断面図。
【図12】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハに半導体回路を形成するための処理プロセスの一部における半導体ウエハの断面図。
【図13】識別表示が半導体ウエハの側面に形成されたこの発明の上記第2の実施の形態に係る半導体ウエハに半導体回路を形成するための処理プロセスの一部における半導体ウエハの断面図。
【図14】識別表示が半導体ウエハの表面に形成された従来の半導体ウエハの平面図。
【図15】図14に示される半導体ウエハの識別表示の彫り込みの断面の一部の拡大断面図。
【図16】図14に示される半導体ウエハの識別表示の彫り込みの断面の他の例の断面図。
【図17】識別表示が半導体ウエハの表面に形成された他の従来の半導体ウエハの平面図。
【図18】識別表示が半導体ウエハの表面に形成された他の従来の半導体ウエハの平面図。
【図19】図18に示される半導体ウエハの識別表示の彫り込み部の一部の拡大断面図。
【図20】識別表示を半導体ウエハの裏面に形成した他の従来の半導体ウエハの側面図。
【符号の説明】
12…半導体ウエハ、
14…半導体ウエハの側面、
16…識別表示、
18…半導体ウエハの側面の表面側斜面部分、
20…半導体ウエハの側面の裏面側斜面部分、
22…半導体ウエハの側面の周面部分、
32…オリエンテーリング・ノッチ、
34…オリエンテーリング・フラット端部、
42…カバー部材、
52…絶縁膜、
54…レジストパターン、
56…コンタクトホール、
58…金属膜、
60…電極配線
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図15】
【図20】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】