特開2000-42940 「ゴムバッファ引き抜き装置」 (日立ビルシステム)
要約
【課題】 エスカレータのターミナルギア等に取り付けられているゴムバッファを短時間に効率よく引き抜くことができ、かつ簡単な構造で安価に作製できる、ゴムバッファ引き抜き装置を提供すること。
【解決手段】 1本の鋼線を螺旋形状に加工して先端を針状に尖らせてなるスクリュー部8と、このスクリュー部8の後端から延出する鋼線を曲げ加工してなり該スクリュー部8に対し固定されている把持部9とを備え、把持部9を回転操作することでスクリュー部8をゴムバッファ4に螺着させるような構成とすることにより、多数のゴムバッファ4の引き抜き作業が効率よく行え、しかも安価に作製できる、引き抜き装置7が得られる。また、スクリュー部8を先端側の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状に形成しておけば、ゴムバッファ4に螺着させやすくなるので、作業性をより向上させることができる。
[代表図面]
イメージ ID=000002
書誌事項
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】特開2000−42940(P2000−42940A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【発明の名称】ゴムバッファ引き抜き装置
【国際特許分類第7版】
 B25B 27/28
 B66B 31/00
【FI】
 B25B 27/28
 B66B 31/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】
【全頁数】6
【出願番号】特願平10−217693
【出願日】平成10年7月31日(1998.7.31)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム
【発明者】
【代理人】弁理士(100078134)(外2名)
【テーマコード(参考)】
 3C031
 3F321
【Fターム(参考)】
 3C031 EE24
 3F321 HA06
特許請求の範囲
【請求項1】
 1本の鋼線を螺旋形状に加工して先端を針状に尖らせてなるスクリュー部と、このスクリュー部の後端から延出する鋼線を曲げ加工してなり該スクリュー部に対し固定されている把持部とを備え、前記把持部を回転操作することで前記スクリュー部をゴムバッファに螺着させるようにしたことを特徴とするゴムバッファ引き抜き装置。
【請求項2】
 前記スクリュー部の形状を、先端側の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状にしたことを特徴とする請求項1記載のゴムバッファ引き抜き装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
 本発明は、エスカレータのターミナルギアなどに取り付けられているゴムバッファを引き抜く際に用いて好適なゴムバッファ引き抜き装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
 エスカレータのステップチェーンを駆動するターミナルギアは、実開昭51−11015号公報等に記載されているように、その歯底ごとに設けた穴にゴムバッファを嵌着させることで消音機能を高めることができるので、近時、多くのエスカレータでゴムバッファ付きのターミナルギアが用いられている。このようなゴムバッファは、一般にウレタンゴム等の高分子材料を円筒状に加工して形成されるが、経時劣化による消音機能の低下が避けられないので、一定期間使用したゴムバッファは新規のものと交換する必要がある。
【0003】
 かかるゴムバッファの交換作業は、ステップチェーンが掛かっている状態で、ターミナルギアの側方からゴムバッファの中空部へ木ねじを螺入させた後、この木ねじをペンチ等の工具を用いて引き抜くという手法が従来一般的であり、ターミナルギアを少しずつ回しながら同様の作業を繰り返せば、そのターミナルギアに取り付けられているすべてのゴムバッファを引き抜くことができる。だが、このような従来一般の手法は、木ねじを螺入させた後、工具を持ち代えて引き抜き作業を行うなど、煩雑な手間を要するため、作業性が悪かった。そして、エスカレータには1台あたり上下左右4箇所にターミナルギアが設置されていて、各ターミナルギアの歯底ごとに嵌着されているゴムバッファの総数はエスカレータ1台あたり150個以上にもなるので、こうした多数のゴムバッファを上述した従来一般の手法で1個ずつ引き抜いていくとなると、かなり長い作業時間を見込まねばならなかった。特に、最近はエスカレータの設置台数が多くてその不稼働時間が短い建屋が増えているので、限られた時間内に多数のゴムバッファの交換作業が可能な新たな技術が強く要望されていた。
【0004】
 そこで従来、実開平7−20269号公報に開示されているように、既設ゴムバッファを迅速に引き抜くことができて交換作業時間が大幅に短縮可能なゴムバッファ引き抜き装置が提案されている。この装置は、ゴムバッファに対向させる側とは逆側の後端部にスリットが形成されている筒体と、この筒体の前記後端に固設された第1のハンドルと、前記筒体内に遊挿されたピストンと、このピストンの一端に固設された木ねじ部と、前記ピストンの他端に固設され前記スリットを介して前記筒体の外方へ突出している第2のハンドルとを備えた構成になっていて、この第2のハンドルを回して前記木ねじ部をゴムバッファの中空部に螺入させた後、第1のハンドルを把持して前記筒体を持ち上げれば該ゴムバッファを引き抜くことができるので、複数の工具を持ち代えて行うこれまでの手法に比べて作業性が著しく改善できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
 しかしながら、上述した従来のゴムバッファ引き抜き装置は、筒体とピストンと木ねじ部と第1および第2のハンドルとを組み合わせてなる構造が複雑で部品点数の多い装置なので、安価に作製することができず、部品管理も容易でないという不具合があった。
【0006】
 本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、既設ゴムバッファを短時間に効率よく引き抜くことができ、かつ簡単な構造で安価に作製できる、ゴムバッファ引き抜き装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
 上述した目的を達成するため、本発明によるゴムバッファ引き抜き装置は、1本の鋼線を螺旋形状に加工して先端を針状に尖らせてなるスクリュー部と、このスクリュー部の後端から延出する鋼線を曲げ加工してなり該スクリュー部に対し固定されている把持部とを備え、前記把持部を回転操作することで前記スクリュー部をゴムバッファに螺着させるような構成とした。
【0008】
 このように構成されるゴムバッファ引き抜き装置は、1本の鋼線を加工してスクリュー部および把持部を形成することができるので、部品点数が極めて少なく構造も簡単であり、よって安価に作製することができる。また、使用時に作業員は把持部を片手で握って回転させれば、スクリュー部を既設ゴムバッファに簡単に螺着させることができ、螺着させたら作業員は把持部を握ったまま引き抜き装置を外方へ強く引っ張ることにより、該ゴムバッファをエスカレータのターミナルギア等の取付母材から簡単に引き抜くことができる。
【0009】
 なお、前記スクリュー部の形状を、先端側の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状にしておけば、このスクリュー部を既設ゴムバッファに螺着させやすくなるので、作業性をより向上させることが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
 以下、本発明の一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。ただし、図1はこの実施形態に係る引き抜き装置を既設ゴムバッファに螺入させた状態を示す説明図、図2は該引き抜き装置を引っ張って既設ゴムバッファをターミナルギアの歯底から引き抜いた状態を示す説明図、図3は該引き抜き装置の斜視図、図4は該引き抜き装置を作製する手順を示すフローチャートである。
【0011】
 図1に示すように、エスカレータのターミナルギア1には、その歯底2ごとに穴3が設けられていて、この穴3に、ウレタンゴム等の高分子材料を円筒状に加工してなるゴムバッファ4が嵌着されており、このゴムバッファ4内には、合成樹脂製のピン5とコイルばね6とが組み込まれている。
【0012】
 そして、経時劣化により消音機能が低下したゴムバッファ4を新規のものと交換する際に、本実施形態では、符号7で総括的に示すゴムバッファ引き抜き装置を用いる。この引き抜き装置7は、ステンレス製の1本の鋼線(好ましくは線径が約1.8mmの鋼線)を加工して作製したもので、図1〜図3に示すように、1本の鋼線を螺旋形状に加工して先端を針状部8aとなしたスクリュー部8と、このスクリュー部8の後端から延出する鋼線を曲げ加工してなり捩り止め部9aの締結力でスクリュー部8との固定関係を保っている把持部9とを備えており、この把持部9を回転操作することでスクリュー部8を既設ゴムバッファ4に螺着させやすいように、各部の寸法や形状が設定されている。すなわち、前記スクリュー部8は、スラスト方向の長さが約20mmで、かつ先端側(針状部8a側)の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状に形成されている。また、前記把持部9は、横幅を約50mmとし、片手で握って回転操作しやすい形状に形成されている。なお、スクリュー部8の螺旋は右ねじと同様の右巻きに形成されているので、把持部9を時計回り(右向き)に回転させるとスクリュー部8は螺進されることとなる。これに対し、把持部9の捩り止め部9aは左巻きに形成されているので、スクリュー部8をゴムバッファ4に螺入させるときに生じる反力は捩り止め部9aの締結を強める向きに作用し、よって該捩り止め部9aの締結がスクリュー部8の螺入時にゆるむ虞はない。
【0013】
 上述した引き抜き装置7は、図4に示すステップS1〜S6の手順に従って作製することができる。すなわち、まずステップS1として、1本の鋼線をテーパ状の金型に右巻きで4〜5回巻きつけてスクリュー部8を形成し、ステップS2として、このスクリュー部8の巻き終り部分に連続する鋼線を、該スクリュー部8の軸心の延長線に沿って延びるように曲げ加工する。次いでステップS3として、スクリュー部8から延出している鋼線を断面形状がほぼ三角形の木型に巻きつけて把持部9を形成するとともに、この把持部9の曲げ始め部分に曲げ終り部分を左巻きで数回巻きつけて止め加工することにより捩り止め部9aを形成する。そしてステップS4として、この捩り止め部9aからさらに延びる不要な鋼線を切断除去した後、ステップS5として、スクリュー部8の先端部をやすり等で加工して尖らせることにより針状部8aを形成する。最後に、ステップS6として、スクリュー部8や把持部9の形状が完成した引き抜き装置7に熱処理を施して、その鋼線材を硬くすることにより、機械的強度を高める。
【0014】
 次に、こうして作製される引き抜き装置7の使用方法について説明すると、ターミナルギア1の既設ゴムバッファ4を引く抜く際に、作業員はまず把持部9を片手で握って、スクリュー部8の先端の針状部8aを、ゴムバッファ4内に組み込まれているピン5の外周部に押し当てた後、このスクリュー部8をゴムバッファ4の中空部へ螺入させるように押し込みながら、把持部9を時計回りに回転させていく。こうして把持部9を回転操作すると、次第にスクリュー部8はゴムバッファ4内に螺進していき、スクリュー部8を全長の半分近く押し込めば、確実にゴムバッファ4に螺着させることができる。それゆえ作業員は、スクリュー部8を全長の半分程度をゴムバッファ4内に螺入させた時点で、把持部9を握ったまま引き抜き装置7を外方(ターミナルギア1の径方向外側)へ強く引っ張ることにより、図2に示すように、ゴムバッファ4をピン5やコイルばね6と共に、取付母材であるターミナルギア1の穴3から簡単に引き抜くことができる。
【0015】
 なお、上述した引き抜き装置7は、スクリュー部8を先端側(針状部8a側)の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状に形成してあるので、把持部9を数回回転させるだけで簡単かつ確実に、スクリュー部8を既設ゴムバッファ4に螺着させることができる。したがって、この引き抜き装置7を使用すると引き抜き時の作業性が大幅に向上し、多数のゴムバッファ4を短時間に効率よく引き抜くことができる。
【0016】
【発明の効果】
 本発明は以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0017】
 1本の鋼線を加工してなるスクリュー部および把持部を備えた構成のゴムバッファ引き抜き装置なので、部品点数が極めて少なく構造も簡単であり、よって安価に作製することができる。また、使用時に作業員は把持部を片手で握って回転させれば、スクリュー部を既設ゴムバッファに簡単に螺着させることができ、螺着させたら作業員は把持部を握ったまま引き抜き装置を外方へ強く引っ張ることにより、該ゴムバッファをエスカレータのターミナルギア等の取付母材から簡単に引き抜くことができる。それゆえ、多数のゴムバッファの引き抜き作業を短時間に効率よく行うことが可能となる。
【0018】
 また、前記スクリュー部の形状を、先端側の外径が徐々に小さくなる先窄まりな螺旋形状にしておけば、このスクリュー部を既設ゴムバッファに螺着させやすくなるので、作業性をより向上させることが可能となる。
図面の簡単な説明
【図1】本発明の一実施形態に係る引き抜き装置を既設ゴムバッファに螺入させた状態を示す説明図である。
【図2】該引き抜き装置を引っ張って既設ゴムバッファをターミナルギアの歯底から引き抜いた状態を示す説明図である。
【図3】該引き抜き装置の斜視図である。
【図4】該引き抜き装置を作製する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
 1 ターミナルギア
 2 歯底
 3 穴
 4 ゴムバッファ
 5 ピン
 6 コイルばね
 7 ゴムバッファ引き抜き装置
 8 スクリュー部
 8a 針状部
 9 把持部
 9a 捩り止め部
図面
【図1】
イメージ ID=000003

【図2】
イメージ ID=000004

【図3】
イメージ ID=000005

【図4】
イメージ ID=000006

上記の内容は特許電子図書館の出力データを加工したものです。by ipdldd 
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