特開2000-52 「水中動物威嚇システム」 (ヤマヤ産業)
要約
【課題】 魚類等の水中動物を威嚇し、水中動物の通行等を阻止する。
【解決手段】 巻網操業で網の両端を閉じる際の網口付近の海面1等に、連結式フロート101 〜10n に繋留ロープ201 〜20n で吊着された威嚇灯302,304 ,…と、染料収納装置501 〜50m が取付けられた威嚇灯301 ,303 ,…,30n とを、海中1aに投下する。各威嚇灯301 〜30n は、降下中に任意の周期で断続的にストロボ光を発生する。染料収納装置501 〜50m内には、発泡性の蛍光染料が充填されているので、これが放出されて煙幕2が形成される。威嚇灯301 〜30n から発生したストロボ光が煙幕2を照射するので、海水を媒介してストロボ光と煙幕2が乱反射の現象を起して光が拡散及び拡大し、煙幕全体が光源化して発光する。これにより、網内の魚群が威嚇され、網口からの魚群の逃逸を防止できる。
[代表図面]
イメージ ID=000002
書誌事項
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】特開2000−52(P2000−52A)
【公開日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発明の名称】水中動物威嚇システム
【国際特許分類第7版】
 A01M 29/00
 A01K 74/00
【FI】
 A01M 29/00 A
 A01K 74/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】
【全頁数】10
【出願番号】特願平10−169388
【出願日】平成10年6月17日(1998.6.17)
【出願人】(598080060)ヤマヤ産業株式会社
【発明者】
【代理人】弁理士(100086807)
【テーマコード(参考)】
 2B106
 2B121
【Fターム(参考)】
 2B106 AA01 AA06 EA02 EA16 PA14
 2B121 AA06 CC21 CC36 DA25 DA27 DA61 EA21 FA01 FA02 FA08 FA13
特許請求の範囲
【請求項1】
 開口部を有し、1本又は複数本の第1の繋留部材にそれぞれ接続されて水中の水中動物通行阻止領域に投下される1個又は複数個の染料収納装置と、前記各染料収納装置内にそれぞれ充填され、該染料収納装置の開口部から浸入する水で溶解して発泡し、該開口部から前記水中の水中動物通行阻止領域へ放出されて煙幕を形成する発泡性の蛍光染料と、前記各第1の繋留部材あるいはこれと異なる1本又は複数本の第2の繋留部材にそれぞれ接続されて前記水中の水中動物通行阻止領域に投下され、任意の周期で断続的にストロボ光を発生して前記煙幕を照射し、該煙幕を発光させて水中動物を逸散させる1個又は複数個の威嚇灯とを、備えたことを特徴とする水中動物威嚇システム。
【請求項2】
 請求項1記載の水中動物威嚇システムにおいて、前記第1及び第2の繋留部材は、繋留ロープで構成し、この繋留ロープを浮部材に吊着する構造にしたことを特徴とする水中動物威嚇システム。
【請求項3】
 請求項1又は2記載の水中動物威嚇システムにおいて、前記染料収納装置は、前記威嚇灯に取付ける構造にしたことを特徴とする水中動物威嚇システム。
【請求項4】
 請求項1、2又は3記載の水中動物威嚇システムにおいて、前記染料収納装置は、重り付きの網状の籠と、前記開口部を有し、該開口部から前記蛍光染料が充填されて前記籠内に収納される容器とで、構成したことを特徴とする水中動物威嚇システム。
【請求項5】
 請求項1、2、3又は4記載の水中動物威嚇システムにおいて、前記威嚇灯は、電源電池を内蔵した構造にしたことを特徴とする水中動物威嚇システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
 本発明は、例えば、巻網操業等において網から魚群が逃逸することを防止したり、生簀等に入っている魚を狙うしゃち、さめ等を威嚇したり、あるいは原子力発電所のタービン等に魚群が吸込まれるといったトラブル等を防止するため、魚類等の水中動物を威嚇して遊泳方向を制御する水中動物威嚇システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
 例えば、網を用いた漁獲方法の1つである巻網操業では、さば、あじ、いわし、かつお、まぐろ等の魚群を発見すると、漁船から海中に投網してその魚群を包囲し、網の上部のトウライン(TOW LINE)を巻き締めて該網の上部の両端を閉じる。次に、網の最下部の環(PURSE RING)に通した環巻きワイヤ(PURSE LINE)を巻き締めて(PURSING )、網底を閉鎖する。このような環締め作業を行った後、漁船上に網を引き揚げ、魚を取込むようにしている。このような巻網操業では、網の上部の両端を閉じ、さらに該網の最下部の環締めの際に、網口から多くの魚が逃げ出して漁獲量が減少するおそれがある。そこで、これを防止するため、従来、次の(a)〜(c)のような種々の方法が提案されている。
 (a) 環締め作業が行われている間、ボートや運搬船等で網口近辺を縦横に旋回して波や飛沫を起こしたり、エンジン音やスクリュウ音で威嚇する。漁船の本船及びスキフボート上で、舷側をハンマで叩いて音響で威嚇する。又、小型ダイナマイト等を投下して衝撃音で威嚇し、網口からの魚群の通行を阻止する。
 (b) 染料を付着させた砕石、固形物、古米等を網口付近に投下し、海中に煙幕を作って威嚇する。又、漁船上のエアホースを舷側から海中に注入し、気泡によって遮断幕を作って威嚇し、網口からの魚群の通行を阻止する。
 (c) 網口付近の海中にランプを投下し、印加電圧を変えることによってランプを明滅させて威嚇し、網口からの魚群の通行を阻止する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
 しかしながら、従来の前記(a)〜(c)の方法では、次のような課題があった。前記(a)の方法では、海面近くで音や衝撃等によって魚群を威嚇しているため、海面に近い網口の上層部での魚群の逃逸を防止できる。しかし、網口には、特に魚が逃げやすい位置(例えば、水深120〜150m位)があるといわれているが、このような位置において魚群の逃逸を防止することが難しい。これを解決するため、例えば、水深120〜150m位まで小型ダイナマイトを投下して、魚群の逃逸を防止することも可能であるが、正確な水深位置まで小型ダイナマイトを投下して爆発させることが困難なばかりか、危険も伴うので、適切な方法とはいえない。
【0004】
 前記(b)の方法では、染料を付着させた砕石、固形物、古米等を漁船上から網口付近にばらまくので、海面に近い網口の上層部付近に煙幕が形成され、この煙幕の上層部付近において魚群の逃逸を防止することができる。しかし、海面及び海中には、速度が5〜6Knot 程度、場所によっては10〜11Knot 程度の潮の流れがあるので、このような厳しい条件下でばらまかれた砕石、固形物等は、海中を降下していく過程で流され、網口で特に魚が逃げやすい水深120〜150m程度の位置に、正確かつ素早く煙幕を形成することが困難であり、この位置から多くの魚群が逃逸してしまう。これを解決するため、多量の砕石、固形物等を海中にばらまくことも考えられるが、これらの砕石等を多量に消費する割には、水深120〜150m程度の箇所における魚群の逃逸防止効果がそれ程期待できない。
【0005】
 前記(c)の方法では、海中に投下したランプを明滅させて魚群を威嚇しているが、海中においては光の減衰が大きいので、魚群に対する威嚇範囲が狭い。このため、網口付近の上層部から下層部にかけて多数のランプを投下しなければならず、魚群威嚇システムの規模が大型化すると共に取扱いが不利不便である。これを解決するため、網口の上層部付近にのみランプを投下するようにしてシステムの小型化を図ることも考えられる。しかし、このようなシステムでは、海面に近い網口の上層部のみにしか威嚇効果がない。このように、前記(a)〜(c)のいずれの方法も、海面に近い網口の上層部のみにしか魚群逃逸防止効果が得られないのが実情である。又、他の課題として、例えば、原子力発電所のタービン等において、魚類等が吸込まれて故障の原因になることがあるが、従来、これを防止するための適切な解決方法が要望されていた。本発明は、前記従来技術が持っていた課題等を解決し、魚類等の水中動物に対する威嚇効果の優れる水中動物威嚇システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
 前記課題を解決するために、本発明のうちの請求項1に係る発明では、水中動物威嚇システムにおいて、開口部を有し、1本又は複数本の第1の繋留部材にそれぞれ接続されて水中の水中動物通行阻止領域に投下される1個又は複数個の染料収納装置と、前記各染料収納装置内にそれぞれ充填され、該染料収納装置の開口部から浸入する水で溶解して発泡し、該開口部から前記水中の水中動物通行阻止領域へ放出されて煙幕を形成する発泡性の蛍光染料と、前記各第1の繋留部材あるいはこれと異なる1本又は複数本の第2の繋留部材にそれぞれ接続されて前記水中の水中動物通行阻止領域に投下され、任意の周期で断続的にストロボ光を発生して前記煙幕を照射し、該煙幕を発光させて魚類等の水中動物を逸散させる1個又は複数個の威嚇灯とを、備えている。このような構成を採用したことにより、蛍光染料入りの染料収納装置と威嚇灯とを水中(例えば、海中)に投下すると、該染料収納装置の開口部から海水が浸入して内部の発泡性の蛍光塗料が溶解して発泡し、該染料収納装置外に放出されて水中動物通行阻止領域に煙幕が形成されていく。この水中動物通行阻止領域において威嚇灯から断続的にストロボ光が発生し、煙幕が照射されて蛍光染料が発光し、海水が媒介役となって乱反射を起して拡散され、該煙幕全体が光源の如く拡大されて断続的に発光する。これにより、魚類等の水中動物が威嚇されて逸散し、遊泳方向が制御される。
【0007】
 請求項2に係る発明では、請求項1の水中動物威嚇システムにおいて、前記第1及び第2の繋留部材は、繋留ロープで構成し、この繋留ロープを浮部材に吊着する構造にしている。これにより、浮部材に繋留ロープを介して接続された染料収納装置及び威嚇灯は、水面(例えば、海面)における波の振幅やうねり等によってあたかもしゃっくりのように大きくあるいは小刻みに上下及び左右に動き、発光する煙幕全体が上下及び左右に揺れ動く。請求項3に係る発明では、請求項1又は2の水中動物威嚇システムにおいて、前記染料収納装置は、前記威嚇灯に取付ける構造にしている。請求項4に係る発明では、請求項1、2又は3の水中動物威嚇システムにおいて、前記染料収納装置は、重り付きの網状の籠と、前記開口部を有し、該開口部から前記蛍光染料が充填されて前記籠内に収納される容器とで、構成している。請求項5に係る発明では、請求項1、2、3又は4の水中動物威嚇システムにおいて、前記威嚇灯は、電源電池を内蔵した構造にしている。このように、請求項3〜5に係る発明によれば、海中への投下作業や取扱いの簡単化及び容易化が図れる。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態図1は、本発明の第1の実施形態を示す水中動物威嚇システムの概略の構成図である。この水中動物威嚇システムは、水面(例えば、海面)1に浮ぶ複数個の浮部材(例えば、連結式のフロート)101 ,102 ,…,10n を有し、これらが所定間隔で連結されている。各フロート101 〜10n には、任意の長さ(例えば、100〜200m程度)の繋留部材(例えば、繋留ロープ)201 ,202 ,…,20n が吊着され、これらの各繋留ロープ201 〜20n の下端に、威嚇灯301 ,302 ,…,30n がそれぞれ接続されている。各威嚇灯301 〜30n は、水中(例えば、海中)1aの所定の深さの水中動物通行阻止領域に投下され、内蔵された電源電池によって任意の周期(例えば、1.36〜0.62回/秒)で断続的にストロボ光を発生するものであり、これらの威嚇灯301 〜30n の内のいくつか(例えば、301 ,303 ,…,30n )に、染料収納装置501 ,502 ,…,50m が取付けられている。各染料収納装置501 〜50m内には、発泡性の蛍光染料が充填され、この発泡性の蛍光染料によって海中1a中の水中動物通行阻止領域に壁状の煙幕2を形成し、威嚇灯301 〜30n で発生したストロボ光を該煙幕2に照射するようになっている。
【0009】
 図2は、図1中の連結式のフロート(例えば、102 ,103 )を示す拡大図である。図1中の各フロート(例えば、102 ,103 )は、これらに吊着された繋留ロープ202 ,203 が寄添って絡まらないように該繋留ロープ202 ,203を所定間隔で吊着する構造になっており、両端が閉塞された中空のほぼ円筒状をなすフロート本体11を有し、このフロート本体11のほぼ中央外周に補強バンド12が取付けられ、この補強バンド12にステンリング13を介して各繋留ロープ202 ,203 が接続されている。フロート本体11の両端には、ステンリング14,15が取付けられ、これらのステンリング14,15に係合されるナスカン16を介して、隣接するフロート(例えば、102 ,103 )が相互に取外し自在に連結されている。
【0010】
 図3は図1中の威嚇灯(例えば、301 )及び染料収納装置(例えば、501)を示す拡大図、及び図4は図3の威嚇灯301 の一部を切欠いた拡大構造図である。図1中の威嚇灯(例えば、301 )は、金属等で形成された筒状のタンク31を有し、このタンク31の底面が閉塞されかつ上面が開口され、この開口部が防水用Oリング32等を介して上蓋33によって着脱自在に密封されるようになっている。タンク31の開口部付近には、金属等で形成された支持部材34が立設されている。支持部材34の中間付近には、軸受部35が設けられ、この軸受部35に押圧用ねじ36が螺着され、該ねじ36の先端で上蓋33の上端を押圧することによってタンク31の開口部を密封するようになっている。支持部材34の上端には、ほぼ円板状の受皿37が螺着され、この受皿37の外周に螺着された締付けリング38によって、プラスチック等で形成された光透過性のヘッドカバー39が該受皿37上に密封状態で固定されている。ヘッドカバー39の上部内周面には、例えば、複数個の光拡散用レンズ部が形成され、このヘッドカバー39の外側が、支持部材34に固定された破損防止用の防護枠40によって囲まれている。
【0011】
 タンク31内には、例えば、2段に積み上げられた直流(DC)24Vの電源電池41が並列接続されて収納され、さらにこの電源電池41上に点灯回路42が接続されて収納されている。点灯回路42には、図示しないコードが接続され、このコードが支持部材34内を通って後述するソケット43側へ引回されている。ヘッドカバー39内には、受皿37上に固定されたソケット43が設けられ、このソケット43がコードを介して点灯回路42に電気的に接続されている。ソケット43には、ランプ(例えば、光パワーの強いキセノンランプ)44の口金が着脱自在に挿着され、これらのソケット43とランプ44とが電気的に接続されている。ランプ44の口金付近には、閃光効率を上げるためにほぼ逆円錐形をした光拡散用の反射ミラー45が装着されている。このような威嚇灯301 では、支持部材34の軸受部35付近に繋留ロープ201 を掛けることによって該威嚇灯301 を上向きにしたり、又は該繋留ロープ201 を支持部材34の下部に掛けることによって該威嚇灯301 を下向きにすることができるようになっている。
【0012】
 タンク31の外側には、ワイヤ等の固定部材46によって染料収納装置501が取付けられるようになっている。染料収納装置501 は、固定部材46によってタンク31の外側に取付けられる籠51と、この籠51内に収納される容器53とで構成されている。籠51は、海面1への投下時において沈下を容易にしたり、あるいは引き揚げ時において水の抵抗を少なくして水切りを良くするために、ステンレスワイヤ金網等によって網状に形成され、例えばこの前面が、容器53を収納するために開放可能な構造になっている。籠51を威嚇灯301 と共に海面1aに投下する時にこれらの沈下速度を早めたり、あるいは籠51を威嚇灯301 から切離して単独で海面1aに投下する時にこの籠51の沈下を容易にするために、該籠51の底部には鉛等の重り52が装着されている。籠51に収納される容器53は、プラスチック等で形成され、底面が閉塞されかつ上面に開口部53aを有し、この開口部53aから発泡性の蛍光染料54が充填されるようになっている。発泡性の蛍光染料54は、例えば、重曹と、酸と、緑色あるいは白色等の任意の色の蛍光染料とからなる粉末剤で形成されており、容器53の開口部53aから浸入する海水にて重曹と酸の反応液が作られ、この反応液にて生じた炭酸ガスの圧力で任意の色の蛍光染料が海中1aに噴射され、水中動物通行阻止領域に壁状の煙幕2を形成するようになっている。
【0013】
 図5は、図4中の点灯回路42の構成例を示す回路図である。点灯回路42は、DC24Vの電源電池41に接続される電源端子61a,61bを有し、この電源端子61a,61bに、電源スイッチ62、発振制御回路63、発振回路64、整流回路65、コンデンサ66、及び発光回路67を介してキセノンランプ44が接続されている。発振回路64は、電源スイッチ62を介して供給される電源電池41からの直流電圧を、トランジスタ64aによって交流電圧に変換し、この交流電圧を変圧器64bで昇圧する回路であり、この出力側に整流回路65が接続されている。整流回路65は、変圧器64bで昇圧された交流電圧をダイオード65aで整流し、この出力側に接続されたコンデンサ66を充電する回路である。コンデンサ66の出力側及びトランジスタ64aの入力側には、発振制御回路63が接続されている。発振制御回路63は、発光電圧調整用の可変抵抗63b及びサイダック63cによってトランジスタ63aをオン/オフ動作させ、発振回路64の発振を制御してコンデンサ66の充電電圧が一定になるように制御する回路である。コンデンサ66に充電された電荷は、キセノンランプ44の対向する一対の電極44a,44bに印加される。コンデンサ66の出力側及びキセノンランプ44のトリガ電極44cには、発光回路67が接続されている。発光回路67は、トリガ周期を設定するための抵抗67a、サイダック67b及びコンデンサ67cと、変圧器67dとによってトリガ電圧を生成し、このトリガ電圧をキセノンランプ44のトリガ電極44cに印加する回路である。
【0014】
 このような構成の点灯回路42では、電源スイッチ62をオン状態にすると、電源電池41からDC24Vの電源電圧が発振回路64に供給され、コンデンサ66が充電され、このコンデンサ66の充電された電荷がキセノンランプ44の電極44a,44bに供給される。抵抗67a、サイダック67b及びコンデンサ67cで設定された周期(例えば、1.36〜0.62回/秒)で変圧器67dからトリガ電圧が発生し、このトリガ電圧がキセノンランプ44のトリガ電極44cに印加される。これにより、コンデンサ66に充電された電荷がキセノンランプ44の電極44a,44b間で放電して、該キセノンランプ44が瞬時に発光し、断続的に強烈なストロボ光が発生する。
【0015】
 図6は、図1の水中動物威嚇システムを用いた水中動物(例えば、魚類)の漁獲方法(例えば、大規模の巻網操業例)を示す説明図である。巻網漁船では、例えば、本船71上にスキフボート72、スピードボート731 ,732 ,733 、及び網80等が搭載されている。網80は、上端に複数個の浮子(FLOAT )81が連結され、下端に複数個のブライドルチェーン(BRIDLECHAIN)82、環(PURSE RING)83、及び沈子(CHAIN )84が連結されている。複数個の浮子81はトウライン(TOW LINE)86で連結され、さらに複数個の環83に環巻きワイヤ(PURSE LINE)85が通されている。巻網操業では、例えば、本船71上で魚群を発見すると、該本船71がその魚群に急速接近する。本船71上よりスピードボート731 〜733 を降下すると共に、スキフボート72を投下し、このスキフボート72に網80の一端を保持させる。本船71とスキフボート72とで魚群の包囲を開始し、該スキフボート72が環巻きワイヤ85を本船71に手渡す。迅速に網80の両端を本船71の舷側に締め寄せ、トウライン86の巻き締めを行う。そして、本船71上で環巻きワイヤ85を巻き取り、海中1aの環83を巻き締める。潮や風に流されて網80が変形すると、この網80をスキフボート72やスピードボート731 で引っ張り、あるいは本船71のバウスラスタ(BOW THRUSTER)で網80を遠ざける。
【0016】
 このような環締め作業が行われている間、予め投網前に降下されている2台のスピードボート732 ,733 によって網口付近に、電源ケーブル911 ,912 に接続された威嚇灯921 ,922 を海面1に投下すると共に、複数個の連結式のフロート101 〜10n に吊着された威嚇灯302 ,304 ,…と染料収納装置501 〜50m が取付けられた威嚇灯301 ,303 ,…,30n とを海面1に投下する。威嚇灯921 ,922 は、例えば、図5のキセノンランプ44等で構成され、電源ケーブル911 ,912 を介して、スピードボート732 ,733 上に搭載された制御盤に接続されている。この制御盤内には、例えば、図5の点灯回路42の主要部分及び電源が設けられており、この制御盤の出力によって、電源ケーブル911 ,912 に接続された威嚇灯921 ,922 が任意の周期(例えば、1.36〜0.62回/秒)で断続的に強烈なストロボ光を発生する。電池内蔵の威嚇灯301 〜30n は、電源スイッチ62をオン状態にして海面1に投下されるので、キセノンランプ44から光拡散用反射ミラー45及びヘッドカバー39を介して任意の周期(例えば、1.36〜0.62回/秒)で断続的に強烈なストロボ光を発生しつつ、任意の深さ(例えば、100〜200m程度)の水中動物通行阻止領域まで降下していく。
【0017】
 威嚇灯301 ,303 ,…,30n に取付けられた各染料収納装置501 〜50m の籠51内には、発泡性の蛍光染料54が充填された容器53が収納されているので、この容器53が海中1aを降下していくと、海水が浸入して内部で重曹と酸の反応液が作られ、この反応液にて炭酸ガスが発生し、この炭酸ガスの圧力で任意の色の蛍光染料が海中に噴射され、この噴射された蛍光染料が発色して海中1aに拡散し、水中動物通行阻止領域に任意の色の壁状の煙幕2が形成されていく。水中動物通行阻止領域において、複数個の威嚇灯301 〜30n ,921 ,922 がそれぞれ異なる周期で断続的に強烈なストロボ光を発生し、煙幕2を上下方向93あるいは左右方向94から重複して照射する。このため、海水を媒介してストロボ光と煙幕2が乱反射の現象を起して光が拡散及び拡大し、煙幕全体が光源化して発光し、しかも、これらを吊着しているフロート101 〜10n 及びスピードボート732 ,733 が波の振幅やうねり等によって揺れ動くので、その光源化した煙幕全体が上下及び左右に揺れ動き、網口からの魚群の逃逸が防止される。環締め作業によって環巻きワイヤ85を完全に巻き締めると、本船71によって環83を持ち上げてリングストッパに収容する。そして、海面1の網80の中からたも等によって魚を取込み、本船71に収納し、巻網作業を終了する。
【0018】
 以上のように、この第1の実施形態では、次の(a)〜(c)のような効果がある。
 (a) 電池内蔵の威嚇灯301 〜30n 及びこれらのいくつかに取付けられた染料収納装置501 〜50m は、フロート101 〜10n に吊着されているので、網口の上層部から下層部に亘って任意の位置の水中動物通行阻止領域に投下することができる。さらに、各染料収納装置501 〜50m の容器53に充填された発泡性の蛍光染料54は、人畜無害で環境に優しい材料を使用しており、しかも発泡性を有しているため、海中1aの降下中に即座に噴射拡散して任意の色の壁状の煙幕2を形成し、複数個の威嚇灯301 〜30n ,921 ,922 から断続的に強烈なストロボ光が発生して該煙幕2を上下方向93あるいは左右方向94から重複して照射するので、光と煙幕2の相乗効果によって煙幕全体が光源化してより強烈に発光する。その上、威嚇灯301 〜30n ,921 ,922 を吊着しているフロート101 〜10n 及びスピードボート732 ,733 が波の振幅やうねり等によって揺れ動くので、光源化した煙幕全体が上下及び左右に揺れ動く。この結果、環締め作業中における網80内の魚群が威嚇され、網口からの逃逸を的確に防止することができる。しかも、威嚇灯301 〜30n ,921 ,922 から稲妻の如き鋭いストロボ光が発生するので、魚の目が光に対して慣れ(即ち、学習効果)が生じて防止効果が薄れるということがない。
 (b) 光源として電池内蔵の威嚇灯301 〜30n を用い、網口の大きさに応じて所望の数だけ連結させて煙幕2を照射できるので、取扱いが簡単である。
 (c) 威嚇灯301 〜30n を吊着するために連結式のフロート101 〜10n を用いているので、各繋留ロープ201 〜20n 間の間隔が一定となり、該繋留ロープ201 〜20n が相互に絡まることがない。しかも、各繋留ロープ201 〜20n に1個ずつの威嚇灯301 〜30n を接続しているが、これらの繋留ロープ201 〜20n が相互に絡むことがないので、各繋留ロープ201 〜20n にそれぞれ複数個の威嚇灯を直列に連結することも可能である。
【0019】
第2の実施形態図7は、本発明の第2の実施形態を示す水中動物威嚇システムを用いた小規模の巻網操業例の説明図であり、第1の実施形態を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。小規模の巻網操業では、例えば、漁船74によって環締め作業を行っている間、網口付近に、この漁船74に繋留ロープ201 で接続された1個又は複数個の電池内蔵の威嚇灯301 及び染料収納装置501 を海面1に投下する。すると、任意の深さの水中動物通行阻止領域において、染料収納装置501 から噴射された蛍光染料によって任意の色の煙幕2が形成され、この煙幕2が威嚇灯301 から発生した強烈な断続的ストロボ光によって照射される。このため、海水を媒介してストロボ光と煙幕2が乱反射の現象を起して光が拡散及び拡大し、煙幕全体が光源化して発光するので、第1の実施形態とほぼ同様に、網口からの魚群の逃逸を防止できるといった効果等がある。
【0020】
 なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(i)〜(v)のようなものがある。
 (i) 図1及び図7では、浮部材として連結式フロート101 〜10n 及び漁船74を用いたが、これに代えて浮玉等を用いてもよい。
 (ii) 図6において、電源ケーブル911 ,912 に接続された威嚇灯921,922 を用いているが、これに代えて電池内蔵の威嚇灯をスピードボート732 ,733 から吊着するようにしてもよい。
 (iii) 図3〜図5の威嚇灯301 は、他の形状や構造等に変更してもよい。例えば、上蓋33等に液面スイッチを取付け、海中1aへの投下によって電源がオン状態、該海中1aからの引き揚げによって電源がオフ状態になるような回路構成にしてもよい。これにより、電源のオン/オフの操作の手間が省ける。又、遠隔操作によって威嚇灯301 の電源をオン/オフ動作させる構成にしてもよい。例えば、図6のスピードボート732 ,733 や図7の漁船74等に無線送信機を設け、連結式フロート101 ,…側に無線受信機を取付けると共に、この無線受信機と威嚇灯301 ,…内に設けた電源スイッチ手段とを電線を介して電気的に接続し(なお、フロート101 ,…側に無線受信機の受信アンテナ等を取付け、この無線受信機の本体を威嚇灯301 ,…内に設けてもよい)、無線送信機側から電源オン/オフ指令信号を送信し、これを無線受信機で受信して電源スイッチ手段を制御することにより、威嚇灯301 ,…を点灯又は消灯するようにすれば、図4の電源電池41の無駄な消耗を防止できる。電源ケーブル911 ,912 に接続された威嚇灯921 ,922 の場合は、スピードボート732,733 上に搭載された制御盤側で電源電力の供給又は停止を制御すれば、無駄な電力消費を防止できる。さらに又、図5のキセノンランプ44は、他の光源に置き換え、これに対応するような電気回路構成に変更してもよい。
【0021】
 (iv) 図1、図3及び図7等の染料収納装置501 ,…は、他の形状や構造等に変更したり、あるいは威嚇灯301 ,…から切離して単独に他の繋留ロープ等の繋留部材に接続して海面1に投下するようにしてもよい。又、染料収納装置501 に充填される発泡性の蛍光染料54は、重曹、酸及び任意の色の蛍光染料からなる粉末剤で形成する以外に、他の材料等で形成してもよい。つまり、魚種によってストロボ光のパターンあるいは色の変化をつける等して、任意の仕様変更が可能である。
 (v) 図6及び図7では、水中動物威嚇システムを巻網操業に適用した場合について説明したが、上記実施形態の水中動物威嚇システムは巻網操業以外に、魚群の誘導、遊泳方向の制御や囲い込み、あるいは追い込み漁法等、他の漁業や養殖及び定置業、又は固定され隔離された定置網、養殖生簀等に入っている魚を狙うしゃち、さめ、とど等の威嚇、あるいは原子力発電所等のタービンに魚類等が吸込まれる等のトラブル防止等といった幅広い適用が可能である。
【0022】
【発明の効果】
 以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明によれば、発泡性の蛍光染料が充填された染料収納装置と、威嚇灯とを、水中に投下する構成にしたので、染料収納装置中に水が浸入して内部の発泡性の蛍光染料が溶解して発泡し、該染料収納装置外に放出されて水中の水中動物通行阻止領域に煙幕が形成される。この水中動物通行阻止領域において、威嚇灯が任意の周期で断続的にストロボ光を発生して煙幕を照射するので、水を媒介してストロボ光と煙幕が乱反射の現象を起して光が拡散及び拡大し、煙幕全体が光源化して発光する。このため、魚類等の水中動物が威嚇されて逸散するので、水中動物通行阻止領域において魚類等の水中動物の通行を阻止して遊泳方向を簡単かつ的確に制御できる。請求項2に係る発明によれば、染料収納装置と威嚇灯とを繋留ロープを介して浮部材に吊着する構成にしたので、浮部材が波の振幅やうねり等によって揺れ動き、これに伴って光源化した煙幕全体も上下及び左右に揺れ動く。このため、魚類等の水中動物に対する威嚇効果がより大きくなる。
【0023】
 請求項3に係る発明によれば、染料収納装置を威嚇灯に取付ける構成にしたので、水中への投下作業や、水中からの引き揚げ作業が容易になる。しかも、染料収納装置に充填された発泡性の蛍光染料により形成される煙幕に対して、威嚇灯から発生する断続的なストロボ光を該煙幕に的確に照射できる。請求項4に係る発明によれば、重り付きの網状の籠と容器とで染料収納装置を構成したので、蛍光染料の充填作業が容易になると共に、水切りが良いので、水中への投下作業や、水中からの引き揚げ作業が容易になる。請求項5に係る発明によれば、威嚇灯に電源電池を内蔵させたので、取扱いが容易になるばかりか、この威嚇灯を水中の任意の位置に投下して煙幕を的確に照射できる。
図面の簡単な説明
【図1】本発明の第1の実施形態を示す水中動物威嚇システムの概略の構成図である。
【図2】図1中の連結式のフロートを示す拡大図である。
【図3】図1中の威嚇灯及び染料収納装置を示す拡大図である。
【図4】図3の威嚇灯の一部を切欠いた拡大構造図である。
【図5】図4中の点灯回路の構成例を示す回路図である。
【図6】図1の水中動物威嚇システムを用いた大規模の巻網操業例の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す水中動物威嚇システムを用いた小規模の巻網操業例の説明図である。
【符号の説明】
 101 〜10n 連結式のフロート
 201 〜20n 繋留ロープ
 301 〜30n ,911 ,912 威嚇灯
 41 電源電池
 42 点灯回路
 44 キセノンランプ
 501 〜50m 染料収納装置
 51 籠
 52 重り
 53 容器
 54 発泡性の蛍光染料
 71 本船
 731 〜733 スピードボート
 74 漁船
 80 網
図面
【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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上記の内容は特許電子図書館の出力データを加工したものです。by ipdldd 
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