Skip to: Site menu | Main content

発泡成形体の製造方法及び製造装置


【課題】 従来のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造においては、発泡粒子を金型内に充填し、スチームで加熱して発泡粒子を二次発泡させ粒子相互を融着させるバッチ式の方法、及び発泡粒子を上下のベルト間に挟んで搬送しながら加熱領域を通過させて連続的に成形する方法、共に元の発泡粒子の嵩密度より成形体の密度を小さくする(発泡倍率を大きくする)ことが出来ないという問題があった。
【解決手段】 本発明方法は、構造材にて囲まれて形成された断面が略矩形状をなす通路内の上下面に沿って、連続的に移動するベルト間にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を供給し、次いで加熱領域及び冷却領域を順次通過させて連続的に発泡成形体を製造する方法において、発泡粒子の嵩密度を低下させる工程、及び発泡粒子間を融着させる工程を設けたことを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡成形体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を成形する方法としては、発泡粒子を金型内に充填し、スチームで加熱して発泡粒子を二次発泡させ粒子相互を融着させる方法(以下、このような成形方法をバッチ式成形方法と呼ぶ。)のみが採用されていた。一方、ポリスチレン系樹脂発泡粒子の場合には、発泡粒子を上下のベルト間に挟んで搬送しながら加熱領域を通過させて連続的に成形する方法(以下、このような成形方法を連続成形方法と呼ぶ。)も採用されており、スチームで加熱する方法を採用した特公昭52−2424号の方法、高周波で加熱する方法を採用した特公昭41−1632号の方法、熱風で加熱する方法を採用した特公昭47−42621号の方法等が知られている。連続成形方法はバッチ式成形方法に比べ、発泡粒子成形体を連続的に製造でき、しかも長尺な成形体を得ることができる利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭41−1632号に記載されているような高周波加熱による方法は、装置が大型で高価となるという問題や、高周波照射時にスパークを生じる危険等があり、更に加熱温度範囲を狭い範囲内に制御して加熱しなければならないポリオレフィン系樹脂発泡粒子の加熱手段としては不向きである。また特公昭47−42621号に記載されているような熱風加熱方法も、加熱温度の制御が難しく、且つスチームよりも熱容量が小さいために均一に加熱することが困難であり、やはりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を連続成形するための加熱手段としては不向きであった。
【0004】一方、スチーム加熱による方法は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子にも有効な方法であるが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を、例えば特公昭52−2424号に記載されているようなスチーム加熱による連続成形方法で成形しようとすると、発泡粒子加熱用のスチームが発泡粒子供給側へ漏れ出し、加熱不足による粒子の融着不良や二次発泡不良等を生じたり、このスチーム漏れが激しくなると粒子が供給側に逆流してしまう等の問題があった。この理由はポリスチレン系樹脂発泡粒子と、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子との二次発泡性能の違いによるものと考えられる。即ち、ポリスチレン系樹脂は非晶質であることや、発泡粒子製造の際に用いた発泡剤の保持性が良好で、発泡粒子中に発泡剤を数%程度は含有していること等により、比較的低い温度(通常100℃以下)で発泡粒子の二次発泡が生じる。このためポリスチレン系樹脂発泡粒子を連続成形する場合、発泡粒子が加熱領域に到達する前に緩やかな二次発泡が生じて粒子相互間の間隙を塞ぎ、しかもポリスチレン系樹脂発泡粒子は、1.0kg/cm2 G前後という比較的低圧のスチームで成形が可能であることと相俟って、スチームの粒子供給側への漏れ出しを容易に防止でき、この結果、確実な成形が行えるものと考えられる。
【0005】これに対してポリオレフィン系樹脂は結晶性であり、しかも発泡粒子製造の際に用いた発泡剤は、比較的短時間で粒子内から逃散してしまうため、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を二次発泡させるには、ポリスチレン系樹脂発泡粒子の場合よりも高い温度とする必要がある。このため、スチームの漏れ出しを防止できる程度にポリオレフィン系樹脂を加熱領域前で二次発泡させることは容易ではないとともに、ポリオレフィン系樹脂を二次発泡させるためには高圧のスチームを供給する必要があるため、加熱領域前でポリオレフィン系樹脂発泡粒子をある程度二次発泡させ得たとしても、発泡粒子の二次発泡力のみでは高圧のスチームの漏れ出しを防止することが困難であったと考えられる。このように発泡粒子を二次発泡させて粒子相互を融着させて良好な成形体を得るために、ポリスチレン系樹脂発泡粒子の場合よりも高い圧力のスチームを必要とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の場合、加熱用スチームの漏れが生じ易く、この結果、加熱用スチームの圧力が低下して発泡粒子を十分に加熱することができなくなって良好な成形体が得られなくなるばかりでなく、スチームの漏れが激しくなると発泡粒子が供給側に逆流して成形不能となるという問題があった。
【0006】上記のような問題に鑑み、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を連続的に成形する方法として本出願人は、■発泡粒子を発泡粒子供給領域において、元の嵩体積の40〜70%の体積に圧縮してからスチームで加熱する方法(特開平9−104026号)、■内圧が高められた発泡粒子を、発泡粒子供給領域において徐々に圧縮してからスチームで加熱する方法(特開平9−104027号)を提案した。しかしながら、これらの方法も以下のような問題を未だ有していた。
【0007】即ち、■の方法では発泡粒子が元の嵩体積の40〜70%の体積に圧縮された状態で加熱されるため、得られる成形体は元の発泡粒子の嵩密度に対して、大幅に密度が増加してしまうという問題、即ち、元の発泡粒子の見掛けの発泡倍率に対して大幅に発泡倍率が低下したものとなってしまうという問題があった。
【0008】一方、■の方法では内圧が高められた発泡粒子を使用するため、■の方法で得られる成形体よりも高発泡倍率の成形体を得ることができるが、得られる成形体の密度を元の発泡粒子の嵩密度より小さくすることはできなかった。■の方法では、発泡粒子供給領域において発泡粒子を徐々に圧縮し、圧縮されたままの状態でスチーム加熱により粒子間を融着させるからである。
【0009】以上説明したように、従来のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の連続成形法におけるいずれの方法も、元の発泡粒子の嵩密度より成形体の密度を小さくすることが出来ない方法であった。従って、従来の方法では、目標とする成形体の密度より小さな嵩密度の発泡粒子を予め用意しなければならないので、発泡粒子の貯蔵のためのスペースを広くとらなければならないという問題を有していた。
【0010】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、発泡粒子と呼ぶ。)を使用する連続成形において、発泡粒子の嵩密度より小さな密度の成形体を得ることができる発泡成形体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。本発明を使用すれば、発泡粒子を予め必要以上に高発泡させなくても高発泡倍率の成形体(密度を小さくしなくても密度の小さい成形体)を得ることができるので、発泡粒子の貯蔵スペースを節約することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の発泡成形体の製造方法は、構造材にて囲まれて形成された断面が略矩形状をなす通路内の上下面に沿って、連続的に移動するベルト間にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を供給し、次いで加熱領域及び冷却領域を順次通過させて連続的に発泡成形体を製造する方法において、発泡粒子の嵩密度を低下させる工程、及び発泡粒子間を融着させる工程を設けたことを特徴とする。
【0012】本発明方法においては、供給するポリオレフィン系樹脂発泡粒子の内圧が2.0atm以上であることことが好ましい。また発泡粒子の嵩密度を低下させる工程の通路内の最大の横断面積を、発泡粒子供給領域の供給開始部の横断面積よりも大きくすることが好ましい。
【0013】また本発明においては、発泡粒子の嵩密度を低下させる工程において、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を小さくするには十分であるが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を互いに融着させるには不充分な温度のスチームを通路内に供給することことが好ましい。
【0014】また本発明の発泡成形体の製造装置は、構造材にて囲まれて形成された断面が略矩形状をなす通路内の上下面に沿って、連続的に移動するベルト間にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を供給し、次いで加熱領域及び冷却領域を順次通過させて連続的に発泡成形体を製造するための製造装置であって、発泡粒子間を融着させる領域の上流側に発泡粒子の嵩密度を低下させる手段を設けたことを特徴とする。
【0015】本発明の製造装置においては、発泡粒子の嵩密度を低下させる領域の通路内の最大の横断面積を、発泡粒子供給領域の供給開始部の横断面積よりも大きくすることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において使用する発泡粒子の基材樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のオレフィン系単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のオレフィン系共重合体、或いは上記ポリオレフィン系単独重合体やポリオレフィン系共重合体と、スチレン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂とのグラフト重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、これらは適宜混合して用いることもできる。これらの樹脂は無架橋のまま、或いは架橋した状態で使用される。
【0017】本発明において用いる発泡粒子としては、嵩密度が0.009〜0.4g/cm3 のものが好ましく、また無架橋ポリプロピレン系樹脂或いは無架橋ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし、かつ発泡粒子の示差走査熱量測定で得られるDSC曲線に2つの吸熱ピーク(特公昭63−44779号、特公平7−39501号参照)を有するものが好ましい。上記DSC曲線とは、発泡粒子0.5〜4mgを示差走査熱量計によって、室温から10℃/分の昇温速度で210℃まで昇温して測定した際に得られるDSC曲線をいう。基材樹脂が無架橋ポリプロピレン系樹脂或いは無架橋ポリエチレン系樹脂であって、DSC曲線に2つの吸熱ピークを有する発泡粒子は、2つの吸熱ピークを有しないものに比べ、表面平滑性、寸法安定性及び機械的強度に優れた成形体が得られる効果がある。
【0018】本発明における発泡粒子は、例えばポリオレフィン系樹脂と発泡剤とを密閉容器内で水に分散させて樹脂粒子の軟化点以上の温度に加熱して樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、容器内より低圧の雰囲気下に樹脂粒子と水とを放出して樹脂粒子を発泡させる等の方法で得られる。
【0019】本発明方法において使用する発泡粒子は、空気等で加圧処理を施すことによって大気圧以上の内圧を付与する必要があり、2.0atm(絶対圧)以上の内圧を有するものが好ましく、2.5〜7.0atm(絶対圧)の内圧を有するものが特に好ましい。内圧が大気圧未満の場合は、得られる成形体の密度を発泡粒子の嵩密度以下にするのが困難である。内圧が大気圧以上であっても2.0atm未満の場合は、得られる成形体の密度を発泡粒子の嵩密度以下にすることはできるが、発泡力が落ちるため成形体の外観が若干劣ったものとなる。使用する発泡粒子の粒子重量等に特に制限はないが、通常、平均粒子重量0.5〜5mg程度のものが用いられる。
【0020】図1は本発明の発泡粒子の連続成形方法を実施するための成形装置の一例を示し、図中Aは発泡粒子供給領域(以下、供給領域Aと呼ぶ。)、Bは成形体の冷却領域(以下、冷却領域Bと呼ぶ。)、Cは発泡粒子や成形体が移送される通路(以下、通路Cと呼ぶ。)、Dは通路Cを拡張すると共にスチーム加熱により発泡粒子の嵩密度を低下させる領域(以下、嵩密度低下領域Dと呼ぶ。)、Eはスチーム加熱して発泡粒子間を融着させる領域(以下、融着領域Eと呼ぶ。)、Fは発泡粒子供給領域における供給開始部(以下、供給開始部Fと呼ぶ。)である。この成形装置は、発泡粒子を蓄えたホッパー1と、上側ロール2a、2b間を無端走行するベルト3と、下側ロール4a、4b間を無端走行するベルト5を有し、ホッパー1から供給領域Aに供給された発泡粒子11を、無端走行する上下のベルト3、5間に挟んで通路Cを通過する間にスチーム加熱して発泡粒子の嵩密度を低下させてから、スチーム加熱して発泡粒子間を融着させ、成形体が得られるよう構成されている。尚、図中18は支柱である。
【0021】上記本発明の成形装置において、上側ロール2a、下側ロール4aは駆動回転し、上側ロール2b、下側ロール4bは回転せずに、上側のベルト3、下側のベルト5は、それぞれロール2b、4bの周面を摺動するように構成されている。ロール2b、4bのベルトと接触する面には、ポリテトラフロロエチレン(テフロン)等からなる滑材が設けられ、当該面での滑り性が向上されるようになっている。上側ロール2bは図示しない駆動手段によって上下に位置を移動できるように構成され、上側ロール2bの位置を変えることにより、供給領域Aにおける上側のベルト3の傾斜角を可変できるように構成されている。6は補助板で、該補助板6は上側ロール2bを上下させて上側のベルト3の傾斜角を調節することにより、供給開始部Fの高さ(供給開始部Fの横断面積)を変え得るように構成されている。従って、例えば、上側ロール2bの位置を低くすることにより、嵩密度低下領域Dの通路C内の最大の横断面積を、供給開始部Fの横断面積よりも大きくすることができる。尚、供給開始部Fは上側ロール2bの中心20の真下に当たる。
【0022】上記供給領域Aにおいて供給された発泡粒子は、次に、上下の厚さ規制板7、8と、該厚さ規制板7、8の両側部に設けられた幅規制板(特に図示せず。)とによって囲まれた、断面が略矩形状の空間部を有する通路Cに移送されるが、この通路C内において上側のベルト3の下側部3a、下側のベルト5の上側部5aは、厚さ規制板7、8間に挟まれて走行するように構成されている。厚さ規制板7、8、幅規制板及び前記補助板6はアルミ板の如き金属板等からなり、ベルト3、5と接する側の面には、ベルト3、5の滑り性が良くなるように、テフロン等からなる滑材が固定されている。尚、無端走行するベルトは上下のみに設ける場合に限らず、両側面側にも設けることができる。両側面側にも無端走行するベルトを設けておくと、成形体が幅規制板等の表面と擦れる等の虞れがなくなるため、得られる成形体の側面部の形状や外観を改善することができる。
【0023】本発明においては、発泡粒子間融着領域Eの前に設けられた嵩密度低下領域Dにおいて、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を小さくするには十分であるが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を互いに融着させるには不充分な温度のスチームをスチーム供給部17aから通路内に噴出することが望ましい。スチームの温度が発泡粒子の嵩密度を小さくするのに十分な温度に達していなければ、発泡粒子の嵩密度を小さくすることができず、元の発泡粒子の見掛けの発泡倍率より成形体の発泡倍率を大きくするという本発明の目的を達成することができない。一方、スチームの温度が発泡粒子を互いに融着させるのに充分な温度に達していると、得られる成形体に密度の疎密が形成されたり、成形体の表面状態が悪化したりしてしまう。
【0024】ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を小さくするには十分であるが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を互いに融着させるには不充分なスチームの温度は、発泡粒子に付与された内圧の大小により多少異なるが、例えば、発泡粒子を構成する樹脂組成物が示す融点(以下、Mpと呼ぶ。)を基準とすると、通常、発泡粒子が無架橋ポリプロピレン系樹脂からなる場合は、Mp−35℃〜Mp−15℃、発泡粒子が無架橋ポリエチレン系樹脂からなる場合は、Mp−20℃〜Mp−10℃である。尚、上記Mpは、発泡粒子0.5〜4mgを示差走査熱量計によって、室温から210℃まで10℃/分の速度で昇温し、次いで40℃まで10℃/分の速度で降温し、再び210℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られる第二回目のDSC曲線における主融解ピークの頂点の温度をいう。
【0025】スチーム供給部17aからスチームを通路内に噴出させるためには、ベルト3、5はスチーム透過性を有することが必要であり、通常は厚みが0.2〜1.0mm程度のステンレススチールベルトに、直径0.5〜3.0mmの貫通穴を、3〜50mm程度のピッチで多数穿設したものが使用される。
【0026】スチーム供給部17aから供給された発泡粒子の嵩密度を小さくするための加熱用スチームは、厚み規制板7、8に貫通孔から、ベルト3、5に設けられた貫通孔を経て通路C内に供給されるようになっている。
【0027】本発明においては、嵩密度低下領域Dの上流側において、発泡粒子を確実に圧縮するために、例えば、図1に示すように通路Cの上下に突起13を設けることができる。発泡粒子は、スチーム供給部17a又は/及びスチーム供給部17bから供給された加熱用スチームの影響を受けて、上記突起13上又はそのやや上流側の地点から熱膨張が始まる。その熱膨張は突起13と突起13の間では発泡粒子間の空隙を埋めるように作用し、その結果、加熱用スチームが発泡粒子供給側へ多量に漏れだすことによる発泡粒子の逆流を防止することができる。圧縮する程度は、突起13の突出高さを変えることにより、又は供給領域Aにおける上側ベルト3の傾斜角を変えることにより調整することができる。
【0028】上記突起13は上下どちらか一方に設けてもよいし、上下両方に設けても良く、上部又は下部のいずれか一方のみに設けても、上下それぞれの位置をずらして配置しても良い。また突起13の形状は図示した如き台形状に限らず、任意の形状とすることができる。なお、突起13とベルト3、5との滑り性を高めるために、突起13のベルト3、5と接する側の表面にテフロン等からなる滑材を設けるか、突起13全体をテフロン等によって形成することが好ましい。
【0029】嵩密度が低下した発泡粒子は、次にベルト3、5間に挟まれた状態で発泡粒子間融着領域Eに送られる。発泡粒子は、この領域でスチーム供給部17bから通路C内に噴出されるスチームにより加熱され、発泡粒子間に空隙が存在しているならばその空隙を埋めるように膨張しつつ相互に融着する。発泡粒子間を融着させる領域Eには発泡粒子11をスチーム加熱して成形するためのスチーム供給部17bを有し、また発泡粒子間融着領域Eの上流側に加熱用スチームやスチームのドレインを真空吸引するための吸引部9を有している。吸引部9を設けて吸引を行うことにより、ドレイン(凝縮水)が通路内に溜まって発泡粒子の供給を阻害するのを防止することができる。吸引部は発泡粒子間融着領域Eの下流側に設けることもできる。下流側に吸引部を設けドレンを吸引することにより、ドレンを原因とする成形体の冷却効果の低下によって成形体に反りが生じる等の問題発生を防止できる。
【0030】スチーム供給部17bから供給された発泡粒子間を融着させるための加熱用スチームは、厚み規制板7、8に貫通孔から、ベルト3、5に設けられた貫通孔を経て通路C内に供給されるようになっている。スチーム供給部17bから供給される加熱用スチームの温度は、前記Mpを基準とすると、通常、発泡粒子が無架橋ポリプロピレン系樹脂からなる場合は、Mp−15℃〜Mp+10℃、発泡粒子が無架橋ポリエチレン系樹脂からなる場合は、Mp−10℃〜Mp+10℃である。
【0031】スチームにより加熱された発泡粒子は通路C内で粒子間空間を完全に埋めるように膨張し、かつ粒子相互で融着して成形体を形成し(この時点では完全な成形体とは言えない状態であるが、発泡粒子相互間の融着は生じているので、便宜上、成形体と呼ぶ。)、ひき続き冷却手段10を備えた冷却領域Bに移送されて冷却される。冷却手段10としては、例えば冷却水循環パイプを内挿した冷却板等が用いられる。以上の工程が連続的に繰り返し行われ、長尺な成形体12が得られる。尚、特に図示しないが、吸引部9、スチーム供給部17a,b及び冷却手段10は、厚み規制板7、8側に設けられているのみならず、幅規制板側にも設けられていても良い。
【0032】本発明において、発泡粒子間融着領域Eの終了地点から成形体が充分に冷却されるまでの間、通路内の横断面積が実質的に一定となるようにしておくことが好ましい。成形体が充分冷却する迄の間に発泡粒子間融着領域Eの終了地点から下流側で成形体を圧縮すると(発泡粒子間融着領域E以降の通路内空間の横断面積を狭くすると)、得られた成形体12の表面に樹脂の流れ模様のような跡が残り、成形体12の表面状態が低下する。また逆に発泡粒子間を融着させる領域E以降の通路内空間の横断面積が広がるようにすると、冷却が充分に行えなくなる虞れがある。
【0033】
【実施例】実施例1図1に示す嵩密度低下領域D、発泡粒子間融着領域E及び台形の突起13を設けた装置を使用した。通路Cの上側ロール2b通過後から冷却領域Bの成形体出口までの幅は300mmで一定とした。従って、発泡粒子間融着領域Eの通路内高さと供給領域Aの供給開始部Fの高さの比が、嵩密度低下領域Dの通路内の最大の横断面積と供給領域Aの供給開始部Fの横断面積の比になる。又、突起13の終端から冷却領域Bの出口までの通路Cの高さは52mmで一定とし、突起13で狭められた通路Cの高さは20mmとした。供給開始部Fから突起13の始端までの長さは1.3m、突起13全体の長さは0.2m、突起13の終端から冷却領域Bの入口までの長さは0.8m、冷却領域Bの長さは6mとした。
【0034】上記の装置に、無架橋エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン成分4.1%、メルトフローインデックス8g/10分)を基材樹脂とした発泡粒子(内圧4.0atm、嵩密度0.05g/cm3 、Mp138℃)をホッパー1から供給し、ベルト3、5間に挟んで供給領域A、嵩密度低下領域D、融着領域E、冷却領域Bを順次移送して発泡成形体を製造した。融着領域Eの通路内高さ、供給開始部Fの高さ、スチーム供給部17a、17bから通路Cに導入した加熱用スチーム圧力、ラインスピード、得られた成形体の密度を表1にあわせて示す。尚、本実施例では、図1に示すように吸引部9において真空吸引を行った。
【0035】
【表1】


【0036】実施例2発泡粒子の内圧を2.5atmとし、ラインスピードを1.5m/分とした以外は実施例1と同様な条件で発泡成形体を製造した。得られた成形体の密度を表1に示す。
【0037】実施例3無架橋直鎖状低密度ポリエチレン(α−オレフィン成分は4−メチルペンテン、密度0.925g/cm3 、メルトフローインデックス1.3g/10分)を基材樹脂とした発泡粒子(Mp124℃)を用い、嵩密度低下領域Dは設けたが、スチーム供給部17aからのスチームを供給しなかったこと以外は実施例1と同様な条件で発泡成形体を製造した。得られた成形体の密度を表1に示す。なお、実施例3においては、嵩密度の低下は下流の発泡粒子間融着領域Eから逆流して洩れてくるスチームで加熱することにより行った。
【0038】発泡粒子の嵩密度の測定は、上部に開口部を有する容積1000cm3 の容器に、常温常圧下にて発泡粒子を充填し、次に、容器の開口部から溢れている発泡粒子を取り除いて、発泡粒子の嵩高さを容器の開口部と略一致させた場合の容器内の発泡粒子の重量を図り、該重量を容器の容積1000cm3 で割ることにより求めた。
【0039】発泡成形体の密度の測定は、長さ50cmに切断した成形体について養生室(常圧、実施例1と2は60℃、実施例3は80℃)での24時間放置、常温・常圧での24時間放置を順次行った後、重量と体積を測定し、重量を体積で割ることにより求めた。尚、長尺の成形体の切断、養生室での放置は、製造後直ちに行った。
【0040】実施例1〜3で得られた発泡成形体は、発泡粒子間に空隙が認められないまでに良く埋まっており、成形体表面に粒子間凹みがほとんど認められず、粒子間融着性も良好であった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法によれば、従来のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を連続的に成型して発泡成形体を製造する方法と異なり、元の発泡粒子の嵩密度より密度が小さく、且つ外観の優れた発泡成形体を得ることができる。又、本発明方法によれば、同じ密度の発泡成形体を製造するのに、従来より高密度(低発泡倍率)の発泡粒子で足りるため、発泡粒子保管のスペースを節約できる。更に、本発明において発泡粒子に内圧を付与するには、発泡粒子を加圧無機ガス(通常は空気又は窒素)下に保持することにより行うが、かかる内圧の付与に際し、高密度(低発泡倍率)の発泡粒子の方が低密度(高発泡倍率)に比べ一般的に短時間で足りる。従って、本発明を使用すると製造時間の短縮化にも寄与することになる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用する成形装置の一実施態様を示す略図である。
【符号の説明】
3、5 ベルト
11 ポリオレフィン系樹脂発泡粒子
12 成形体
13 突起
17a 嵩密度低下領域のスチーム供給部
17b 発泡粒子間融着領域Eのスチーム供給部
A 発泡粒子供給領域
B 冷却領域
C 通路
D 嵩密度低下領域
E 融着領域
F 供給開始部


【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造材にて囲まれて形成された断面が略矩形状をなす通路内の上下面に沿って、連続的に移動するベルト間にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を供給し、次いで加熱領域及び冷却領域を順次通過させて連続的に発泡成形体を製造する方法において、発泡粒子の嵩密度を低下させる工程、及び発泡粒子間を融着させる工程を設けたことを特徴とする発泡成形体の製造方法。
【請求項2】 供給するポリオレフィン系樹脂発泡粒子の内圧が2.0atm以上であることを特徴とする請求項1記載の発泡成形体の製造方法。
【請求項3】 発泡粒子の嵩密度を低下させる工程の通路内の最大の横断面積を、発泡粒子供給領域の供給開始部の横断面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の発泡成形体の製造方法。
【請求項4】 発泡粒子の嵩密度を低下させる工程において、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の嵩密度を小さくするには十分であるが、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を互いに融着させるには不充分な温度のスチームを通路内に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
【請求項5】 構造材にて囲まれて形成された断面が略矩形状をなす通路内の上下面に沿って、連続的に移動するベルト間にポリオレフィン系樹脂発泡粒子を供給し、次いで加熱領域及び冷却領域を順次通過させて連続的に発泡成形体を製造するための製造装置であって、発泡粒子の嵩密度を低下させる手段及び発泡粒子間を融着させる手段を順次設けたことを特徴とする発泡成形体の製造装置。
【請求項6】 発泡粒子の嵩密度を低下させる領域の通路内の最大の横断面積を、発泡粒子供給領域のの供給開始部の横断面積よりも大きくしたことを特徴とする請求項5記載の発泡成形体の製造装置。


【図1】


【公開番号】特開2000−6253(P2000−6253A)
【公開日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【国際特許分類】
処理操作;運輸 | プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般 | プラスチックの成形または接合;可塑状態の物質の成形一般;成形品の後処理,例.補修 | 多孔質または細胞質物品のための,例.孔の粗い発泡プラスチックの
【出願番号】特願平10−195016
【出願日】平成10年6月25日(1998.6.25)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー
【Fターム(参考)】
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 樹脂材料等(主成形材料) | ポリオレフィン
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 樹脂材料等(主成形材料) | ポリオレフィン | ポリエチレン系
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 樹脂材料等(主成形材料) | ポリオレフィン | ポリエチレン系 | LLDPE
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 樹脂材料等(主成形材料) | ポリオレフィン | ポリエチレン系 | EPM、EPDM、EPT
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 樹脂材料等(主成形材料) | ポリオレフィン | ポリプロピレン系
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 一般形状、構造物品(用途物品優先) | 多孔質、細胞質
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 装置又は装置部材の材料の特徴 | 材質の特徴 | 金属
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 装置又は装置部材の材料の特徴 | 材質の特徴 | 樹脂
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 装置又は装置部材の材料の特徴 | 性質の特徴(←離型性)
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 加熱冷却手段の具体的な特徴 | 熱媒(←熱風)の特徴
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 全体的特徴(発泡成形技術) | 発泡性粒子、予備発泡粒子の発泡融着
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 全体的特徴 | 不定長物品(連続物品)の製造方法
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 全体的特徴(多孔構造の特徴) | 数値限定により特徴づけられたもの | 発泡倍率、密度、比重
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 予備成形品の前処理、コンディショニング | 加熱、予熱
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 型及びその取扱 | 型の形状、構造 | 成形面の
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 発泡成形操作 | 加熱操作に関する特徴 | 多段工程の加熱
プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 | 発泡成形操作 | 加熱媒体、ドレンの排出、回収、再利用