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船舶ビルジ用浮遊油回収装置


【課題】ビルジ廃油処理のメンテナンスの軽減化(コスト低減化)及び機関室の美化を図ることができる船舶ビルジ用浮遊油回収装置を提供する。
【解決手段】船舶内のビルジ溜りまたはビルジタンクに溜まった油含有ビルジ水4の水面に浮遊する浮遊油を吸引する吸引管路9と、この吸引管路に設けられた回収ポンプと、前記船用機関室等に設置され前記吸引管路と連通して油含有ビルジ水を収容する油水分離槽12と、この油水分離槽の内部に設けられた廃油口18と連通する廃油槽16及び排水口21と連通する排水槽17と、下端入口が前記油水分離槽の内底部に開口し、上端出口が前記排水槽の内部に開口し、前記油水分離槽に供給される油含有ビルジ水によって上層の油分を前記廃油槽に溢流させ、下層の水分を前記上端出口から排水槽に溢水させることにより油水分離する排水管23とを具備したことを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、船舶の船底に溜まる油含有ビルジ水の油分と水分を分離して回収する船舶ビルジ用浮遊油回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶の船底には各種機器類から漏出する清海水やエンジン等から排出される油などがビルジ水として溜まる。このビルジ水は、多量の油分を含んだ油含有ビルジであるため、船外に排出することは海水などの環境汚染の問題となる。すなわち、海洋汚染防止の規制およびポートステートコントロール(PSC)の検査制度の強化により船舶内の油含有ビルジ水から油分離除去の必要性はますます増加し、ビルジセパレータの再生、掃除等の手間に多くの労力を費やしている。
【0003】油水分離は発生源においてできるだけ早期に処理するのが効果的であり、遠路へ移送すると、末端にゆくに連れて処理が困難となるのが一般的であるが、従来船用ビルジ水の移送と排出は1台のポンプで同一ラインで行われているため、ビルジタンクでの油の混入が避けられないのが現状であり、船の老化に伴いこの傾向は顕著となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、船舶内のビルジ溜りまたはビルジタンク内に溜まった油含有ビルジ水に浮遊する浮遊油の油分を回収して油水分離することができ、ビルジ廃油処理のメンテナンスの軽減化(コスト低減化)及び機関室の美化を図ることができる船舶ビルジ用浮遊油回収装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前述した目的を達成するために、請求項1は、ビルジ溜りまたはビルジタンクに溜まった油含有ビルジ水の水面に浮遊する浮遊油を吸引する吸引管路及び回収ポンプと、前記船舶内に設置され前記吸引管路と連通して油含有ビルジ水を収容する可搬式油水分離器の油水分離槽と、この油水分離槽の内部に設けられた廃油口と連通する廃油槽及び排水口と連通する排水槽と、この排水槽の底部を貫通し、下端入口が前記油水分離槽の内底部に開口し、上端出口が前記排水槽の内部に開口し、前記油水分離槽に供給される油含有ビルジ水によって上層の油分を前記廃油槽に溢流させ、下層の水分を前記上端出口から排水槽に溢水させることにより油水分離する排水管とを具備したことを特徴とする船舶ビルジ用浮遊油回収装置にある。
【0006】請求項2は、請求項1の前記配水管の上端出口には、水面から油面までの高さによって高さ調整可能な調整管が設けられていることを特徴とする。
【0007】請求項1によれば、船舶内のビルジタンク等に溜まった油含有ビルジ水の水面に浮遊する浮遊油をビルジポンプによって吸引して油水分離槽に収容し、ここで油分と水分とに分離し、油分は廃油タンクに収容し、水分は船舶内のビルジタンク等に帰還する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】図1は船舶ビルジ用浮遊油回収装置の全体構成図、図2は油水分離器の縦断側面図、図3は図2のA部を拡大した縦断側面図である。図1に示すように、船舶底部1の床面2の一部にはビルジ溜りまたはビルジタンク3が設けられ、このビルジ溜りまたはビルジタンク3には油含有ビルジ水4が貯溜されている。
【0010】ビルジ溜りまたはビルジタンク3内の油含有ビルジ水4には水面に浮遊する浮遊油5を回収するための回収器6が浮上状態に設けられている。この回収器6はフロート7とこのフロート7に設けられた吸引ポート8から構成され、この吸引ポート8には吸引管路9の一端部が接続されている。
【0011】ビルジ溜りまたはビルジタンク3の近傍に位置する床面2には可搬式の油水分離器10が設置されている。この油水分離器10には吸引管路9の途中に設けられた回収ポンプ11が搭載されている。さらに、油水分離器10には図2に示すような油水分離槽12が設けられている。
【0012】この油水分離槽12は上部開口の角筒体で、この上部開口は蓋体13によって閉塞され、底部にはドレンバルブ14が設けられている。さらに、油水分離槽12の上部側壁には注入口15が設けられ、この注入口15には前記吸引管路9の他端部が接続されている。また、油水分離槽12の内部における上下方向の中間部には廃油槽16と排水槽17が隣接した状態で設置されている。
【0013】廃油槽16には廃油口18が設けられ、この廃油口18は廃油管路19を介して床面2に設置された廃油タンク20(図1に示す)に接続されている。排水槽17の開口縁17aは廃油槽16の開口縁16aより高さが高く、また排水口21が設けられ、この排水口21は排水管路22を介してビルジ溜りまたはビルジタンク3に接続され、分離された水分を帰還させるようになっている。
【0014】さらに、排水槽17にはその底部を貫通して上下方向には排水管23が設けられている。この排水管23の下端入口23aは油水分離槽12の内底部近傍に開口しており、上端出口23bは排水槽17の内底部近傍に開口している。上端出口23bの内周面にはめねじ部24が形成され、このめねじ部24には円筒状の調整管25のおねじ部26が螺合されている。
【0015】図3に示すように、調整管25はその高さ方向の略中間部における周壁に複数個の排水孔27が設けられ、上端部には操作ノブ28が設けられている。そして、操作ノブ28を持って調整管25を回すことにより、おねじ部26がめねじ部24に深く嵌合したり、浅く嵌合して排水孔27の高さが変化するようになっている。つまり、油水分離槽12の内部に収容された油含有ビルジ水4は水4aと油4bに分離され、比重の大きい水4aは下位に位置し、比重の小さい油4bは上位に位置し、水面と油面とに差h(−5〜+30mm)ができるが、この差hの大小によって排水孔27の高さ位置を調整できる。
【0016】次に、前記実施形態の作用について説明する。
【0017】回収ポンプ11を駆動すると、ビルジ溜りまたはビルジタンク3内の油含有ビルジ水4に浮遊している浮遊油5は回収器6の吸引ポート8から吸引されるが、同時に油含有ビルジ水4も吸引され、吸引管路9を介して注水口15に導かれる。そして、注水口15から油含有ビルジ水4が油水分離槽12の内部に注水される。油水分離槽12内の油含有ビルジ水4は注入口15から油水分離槽12内のバッフルプレート29に衝突させられることにより効果的に比重の差によって水4aが下層、油4bが上層に分離される。
【0018】注水口15から油含有ビルジ水4が注入されると、バッフルプレート29によって分離させられた水4aは排水管23の下端入口23aから排水管23内に入って上昇するため、油水分離槽12内の水面及び油面が徐々に上昇する。したがって、上層の油4bは廃油槽16の開口縁16aを溢れてその内部に流れ込み、廃油口18から廃油管路19を介して廃油タンク20に落差式に流れ込む。
【0019】また、排水管23内の水4aは排水孔27から溢水して排水槽17の内部に流れ込み、排水口21から排水管路22を介してビルジ溜りまたはビルジタンク3に帰還される。このように油水分離槽12に注入された油含有ビルジ水4は水4aと油4bとに分離され、油4bは廃油タンク20に貯溜され、水4aのみがビルジ溜りまたはビルジタンク3に帰還されるため、ビルジ溜りまたはビルジタンク3内の浮遊油5を徐々に減少させることができる。
【0020】また、油水分離槽12内の油含有ビルジ水4中の油分の割合が多い場合、また泡立ちが多い場合には、水面と油面とに差hが大きくなるが、この場合、蓋体13を開放して操作ノブ28を回して調整管25のねじ込み量を浅くすることにより、排水孔27の高さhを高くすることができる。
【0021】また、油水分離器10は可搬式であり、任意の位置に移動して設置でき、不使用時に邪魔になることはない。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、船舶底部のビルジ溜りまたはビルジタンク内に溜まった油含有ビルジ水に浮遊する浮遊油の油分を回収して油水分離することができ、ビルジ廃油処理のメンテナンスの軽減化(コスト低減化)及び機関室の美化を図ることができる。また、油水分離器が可搬式であるため、任意の位置に設置することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す船舶ビルジ用浮遊油回収装置の全体構成図。
【図2】同実施形態の油水分離器の縦断側面図。
【図3】図2のA部を拡大して示す縦断側面図。
【符号の説明】
3…ビルジタンク
9…吸引管路
10…油水分離器
11…回収タンク
12…油水分離槽
16…廃油槽
17…排水槽
23…排水管


【特許請求の範囲】
【請求項1】 船舶内に溜まった油水ビルジが比重差分離しているビルジタンクまたはビルジ溜りから油含有ビルジ水の水面に浮遊する浮遊油を吸引する吸引管路と、この吸引管路に設けられた回収ポンプと、前記船舶内に設置され前記吸引管路と連通して油含有ビルジ水を収容する可搬式油水分離器の油水分離槽と、この油水分離槽の内部に設けられた廃油口と連通する廃油槽及び排水口と連通する排水槽と、この排水槽の底部を貫通し、下端入口が前記油水分離槽の内底部に開口し、上端出口が前記排水槽の内部に開口し、前記油水分離槽に供給される油含有ビルジ水によって上層の油分を前記廃油槽に溢流させ、下層の水分を前記上端出口から排水槽に溢水させることにより油水分離する排水管とを具備したことを特徴とする船舶ビルジ用浮遊油回収装置。
【請求項2】 前記配水管の上端出口には、水面から油面までの高さによって高さ調整可能な調整管が設けられていることを特徴とする請求項1記載の船舶ビルジ用浮遊油回収装置。


【図1】


【図2】


【図3】


【公開番号】特開2000−6892(P2000−6892A)
【公開日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【国際特許分類】
処理操作;運輸 | 船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品 | 船舶用補機 | 下水または汚水処理用設備
処理操作;運輸 | 船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品 | 船舶またはその他の水上浮揚構造物;艤装品 | バラスト水注排水のための導管;自動あかとり装置;排水口
【出願番号】特願平10−171076
【出願日】平成10年6月18日(1998.6.18)
【出願人】(000205535)株式会社 商船三井