特開2000-86703 「重合性かつ架橋性多糖類または少糖類のクロロ―、ヒドロキシ―およびアルコキシシラン誘導体、それらの合成および新規担体物質の源としてのそれらの使用」
要約
【課題】 重合性かつ架橋性化合物としての、多糖類または少糖類のクロロ−、ヒドロキシ−およびアルコキシシラン誘導体、並びに該シラン誘導体を含有する担体物質を提供する。
【解決手段】 配糖体キラル単位の直鎖、分枝または環状結合により構成され、かつ下記式(Ia)〜(Ik)
【化1】
イメージ ID=000002

【化2】
イメージ ID=000003

 の1つにより表わされる、多糖類または少糖類のクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン型の重合性かつ架橋性誘導体である。
書誌事項
【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公開特許公報(A)
【公開番号】特開2000−86703(P2000−86703A)
【公開日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【発明の名称】重合性かつ架橋性多糖類または少糖類のクロロ―、ヒドロキシ―およびアルコキシシラン誘導体、それらの合成および新規担体物質の源としてのそれらの使用
【国際特許分類第7版】
 C08B 37/00

 15/00
 37/02
 37/08
 37/16
 37/18
 C08G 77/04
【FI】
 C08B 37/00 G
 C
 15/00
 37/02
 37/08 A
 37/16
 37/18
 C08G 77/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【全頁数】35
【出願番号】特願平11−258783
【出願日】平成11年9月13日(1999.9.13)
【優先権主張番号】9811377
【優先日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【優先権主張国】フランス(FR)
【出願人】(598034845)
【発明者】
【代理人】弁理士(100060874)(外3名)
特許請求の範囲
【請求項1】
 配糖体(osidic)キラル単位の直鎖、分枝または環状結合により構成され、かつ下記式(Ia)〜(Ik)の1つにより表わされる、多糖類または少糖類のクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン型の重合性かつ架橋性誘導体:
【化1】
イメージ ID=000004

【化2】
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 [式中:a)記号X1 、X2 およびX3 は同一または異なって、酸素原子または−NH基を表わし;
 b)記号R1 、R2 およびR3 のそれぞれは独立に、−一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)(式中、mは大きくても5に等しい0でない整数であり、Yは単結合、−NH−CO−基、−NH−CS−基または−CO−基であり、Aは単結合、1〜21個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基、6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基または7〜40個の炭素原子を有するアラルキレン基を表わし、Wは単結合または−CH2 −CH2 −CH2 −S−基を表わし、Xはハロゲン、水酸基またはアルコキシ基を表わす)で示されるクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン基;
 −または式A2 −A1 −CX4 −(III) (式中、X4 は酸素または硫黄原子を表わし、A1 は単結合または−NH−基を表わし、A2 は6〜24個の炭素原子を有するアリール基、7〜36個の炭素原子を有するアラルキル基または7〜18個の炭素原子を有するアルキルアリール基を表わす)を有する基;
 −または水素原子またはNO2 基を表わし、nは5〜20000の整数であり、配糖体キラル単位(Ia)〜(Ik)において、記号X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つが酸素原子を表わし、多糖を構成する構造単位の少なくとも一部において、記号R1 、R2 およびR3 の少なくとも1つが一般式(II)の基を表わし、記号R1 、R2 およびR3 の少なくとも1つが一般式(III) の基を表わす]。
【請求項2】
 アリール基がフェニルまたはナフチル基であり、および/またはアリーレン基がフェニレンまたはナフチレン基であることを特徴とする、請求項1記載の多糖のシラン誘導体。
【請求項3】
 一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)およびA2 −A1 −CX4 −(III) の基にそれぞれ含まれるアリーレンまたはアリール基が、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基およびニトロ基から選ばれる、同一または異なる1つ以上の原子または基で置換されている、請求項1または2記載の多糖のシラン誘導体。
【請求項4】
 重合度が5〜20000であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の多糖のシラン誘導体。
【請求項5】
 構造単位当たり一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2m A−Y−(II)の0.05〜2.95基および配糖体キラル単位当たり一般式A2 −A1 −CX4 −(III) の0.05〜2.95基を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の多糖のシラン誘導体。
【請求項6】
 一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) および(XII)
【化3】
イメージ ID=000006

 の1つで表わされることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の誘導体に由来する重合化合物。
【請求項7】
 一般式(IXc) 、(IXd) 、(XIII)および(XIV) の1つで表わされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の誘導体に由来する架橋化合物:
【化4】
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 (式(IXc) はm=1のときの式(XIII)に相当し、式(IXd) はm=1のときの式(XIV) に相当し、Y、A、W、Xおよびmは式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)についてと同じ意味を有する)。
【請求項8】
 多糖を下記のもの:−段階1において、一般式(CH2 =CH)m A−Y1 (IV)[式中、Aは請求項1と同様に定義され、Y1 はハロゲン原子、−N=C=O基または−N=C=S残基または−CO−Z−残基(式中、Zは次に段階3において変換されるエチレン基を導入するためのハロゲン原子を表わす)を表わす]の物質;
 −場合による段階2において、一般式A2 −A1 −N=C=X(V) (式中、A2およびA1 は請求項1と同様に定義され、Xは酸素または硫黄原子を表わす)のイソシアネートまたはイソチオシアネート、または一般式A2 −A1 −CO−Z1 (VI)(式中、A2 およびA1 は請求項1または2と同様に定義され、Z1 は一般式A2 −A1 −CX4 −(III) の基を導入するためのハロゲン原子を表わす)の物質;および−段階3において、下記一般式の物質:
【化5】
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 (式中、Xは一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)の基を導入するために請求項1と同様に定義される)と反応させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の多糖のシラン誘導体の調製方法。
【請求項9】
 担体物質が請求項1〜5のいずれか1項記載の一般式(Ia)〜(Ik)
【化6】
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【化7】
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 の多糖類の1つまたは複数のシラン誘導体を含有し、一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)のクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン基が、多糖類の1つまたは複数のシラン誘導体における重合および/または鎖間架橋に至るように、付随してそれら自身の間で、および共有結合−Si−O−(保持体)−を形成するために保持体と反応させられることを特徴とし、一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) 、(IXc) 、(IXd) 、(XII) 、(XIII)および(XIV)
【化8】
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【化9】
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 (式中、「キラル単位」は、一般式(Ia)〜(Ik)により表わされる多糖結合に含まれる配糖体キラル単位の1つに相当する)の組み合わせにより表わされる担体物質。
【請求項10】
 一般式(IX)(m=1のときの式(XII) と式(IXc) との組み合わせ)
【化10】
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 により表わされ、mが式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)についてと同じ意味を有することを特徴とする、請求項9記載の担体物質。
【請求項11】
 式(Ia)〜(Ik)
【化11】
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【化12】
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 の多糖のシラン誘導体が下記結合:
【化13】
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 の形成により、三次元網状組織形態で重合するか架橋することを特徴とする、請求項9または10記載の担体物質。
【請求項12】
 多糖のシラン誘導体が化学共有結合により保持体に結合され、かつ三次元網状組織形態で重合するか架橋することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載の担体物質。
【請求項13】
 一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) または(XII)
【化14】
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 の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項記載の担体物質。
【請求項14】
 一般式(IXc) 、(IXd) 、(XIII)または(XIV)
【化15】
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 の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、三次元網状組織形態の請求項9〜12のいずれか1項記載の担体物質。
【請求項15】
 共有結合を支える保持体が下記一般式:
【化16】
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 (式中、Siはケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムまたはマグネシウム原子を表わす)で表わされることを特徴とする、請求項9記載の担体物質。
【請求項16】
 粒度が0.1μm〜1mmに含まれ、多孔度が0.1m2/g〜800m2 /gに含まれることを特徴とする、請求項9〜15記載の担体物質。
【請求項17】
 多糖のシラン誘導体が保持体上に担持され、次いで該多糖のシラン誘導体が、多糖のシラン誘導体と保持体との間に共有結合を形成し、多糖のシラン誘導体と保持体を架橋し、かつ多糖のシラン誘導体を三次元網状組織形態で架橋するために、保持体と反応させられ、および付随する方法でそれ自身と反応させられ、該方法が:−一般式(Ia)〜(Ik)
【化17】
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【化18】
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 の多糖のシラン誘導体を一般式:
【化19】
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 (式中、Siは式(X) についてと同じ意味を有する。)の保持体に物理的に担持させること、および−一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) および(XII)
【化20】
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【化21】
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 の化合物に導くための、一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)のシラン基と一般式(XI)の保持体との反応:および/または一般式(IXc) 、(IXd) 、(XII) および(XIV)
【化22】
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 の化合物に導くための、一般式(II)のシラン基自身の反応から成る2つの反応方法を行なうことから成ることを特徴とする、請求項9〜16記載の担体物質を得る方法。
【請求項18】
 液体またはガスまたは超臨界クロマトグラフィーの手段、あるいは電気泳動または電気クロマトグラフィーの手段を使用する、鏡像体の調製および分離のための、請求項9〜16のいずれか1項記載の担体物質の使用。
【請求項19】
 パーコレーション膜の組成物中での、請求項9〜16のいずれか1項記載の担体物質の使用。
【請求項20】
 不均一相が、請求項9〜16のいずれか1項記載の担体物質により構成されることを特徴とする、不均一相中での有機合成方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重合性かつ架橋性の新規化合物としての、多糖類または少糖類のクロロ−、ヒドロキシ−およびアルコキシシラン誘導体、およびそれらを得る方法に関する。
【0002】
 本発明は、該誘導体から得られ、共有結合により保持体(support) に化学的にグラフトされ、三次元網状組織形態で重合でき、かつ架橋できる、多糖類または少糖類の該シラン誘導体を含有する新規担体物質(support material)にも関する。本発明は、該担体物質を得る方法にも関する。
【0003】
 本発明は、ガス、液体または超臨界クロマトグラフィーの使用による、電気泳動、電気クロマトグラフィーによる、または該担体物質を含有する膜を通すパーコレーション方法による、鏡像体の分離または調製における該担体物質の使用にも関する。
【0004】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】鏡像体の分離は、約20年間、調製および分析の両方のレベルで拡大している分野である。このことは特に、法制が、医薬の組成物に含まれるあらゆる化合物の光学異性体の分離の研究を要求する薬学的応用に当てはまる。置換多糖類は多くの研究の課題であり、シリカゲル保持体に物理的に担持されているセルロースは市販されている。しかしながら、それらの化合物は、ほとんどしばしば有機極性溶媒に可溶であるという欠点を有しており、そのことは非常にそれらの使用を制限する。
【0005】
 最近の解決法は、置換多糖と保持体との間に共有結合を確立することにより、溶解の問題に提供されている。Kimataらは、シリカゲルに担持され、次いで保持体上で重合したセルロース−トリス−2,3,6−(4−ビニルベンゾエート)をベースとするキラルな固定相についての結果(Analytical Methods and Instrumentation, Vol. 1, 23-29 (1993))を発表した。
【0006】
 2つのラセミ試験混合物を用いて得られたクロマトグラフィーのデータは下記の通りである。
【0007】
【表1】
イメージ ID=000026

【0008】
 表中−k´1およびk´2は容量因子である。すなわちi=1または2であるならば、k´i =(tRi−t0 )/t0 であり、tRiは化合物iの保持時間であり、t0 は不動時間である;
 −αは選択性因子である:α=(tR2−t0 )/(tR1−t0 )=k´2/k´1−Rs は分割(分離)因子である。
【0009】
【数1】
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【0010】
 Nはクロマトグラム上で測定されるクロマトグラフィー値に基づいて決定される板の数である。
【0011】
 得られる選択性因子における系統的下落を、担持された保持体と担持されかつ重合した保持体との間に見ることができる:トランス−スチルベンオキシドでは10%未満であり(αは1.54から1.39に変化する)、1−(1−ナフチル)エタノールでは7.5%未満である(αは1.32から1.22に変化する)。
【0012】
 この現象を、使用される反応条件におけるビニルベンゾエート基の低い反応性による不完全な重合のための重合した保持体の部分的な溶解性によって説明することができた。
【0013】
 一方、Kimataらは純粋な極性溶媒中での分離の例を提供していない(特許または公報)。
【0014】
 Okamoto らはシリカゲルに化学的に結合したポリマーについて述べている(EP-B-0 155 637)。彼らは特に、トリチル化された中間体を経るシリカゲル上のセルローストリス−2,3,6−フェニルカルバメートのグラフト、次いでジイソシアネートの作用による、シリカゲルと部分的に誘導された多糖カルバメートとの間の共有結合の実現について述べている。
【0015】
 種々の合成段階で行われた元素分析の結果は下記の通りである(EP-B-0 155 637、8〜9頁、33行)。
【0016】
【表2】
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【0017】
 シリカ上に担持されたセルロース(2) とシリカに結合したセルロースフェニルカルバメート(4) との間のグラフトの速度の低下は、(2) に従って計算された(4) の速度が炭素14%の程度であることを知ることにより本質的である。フェニルイソシアネートを用いるOHの誘導を伴ってジイソシアネートのアームを形成すること、およびクロロホルムで最後に洗浄することによって、セルロースとシリカとの間に、共有結合を実現することから炭化水素基の損失をこのように80%と見積もることができる。極性溶媒中での分離の例は、得られた保持体について挙げられていない。
【0018】
 Okamoto らは、アミンが減少したイミン官能基を経てシリカゲルに化学的に結合した少糖について述べている(特開平6−206893)。アミロースは次いで、この少糖から化学酵素的経路によって再生される。利用できる水酸官能基は次いでカルバメート官能基として誘導される。純粋な極性溶媒中での分離の例は挙げられていない。
【0019】
 一方、予備的応用のために実質的なカラム過負荷を研究の対象とすることは有利である。置換された多糖類の純粋なポリマーの球の形態のキラルな物質を、保持体に物理的に担持する代わりに、100%使用する可能性は、予備的キラルクロマトグラフィー方法の質量収率を増大させるときに有効であることが証明されている。このように、特許EP-B-348 352、EP-B-316 270およびWO-A-96/27 639は、光学異性体の分離のためのセルロース球の実現に関する。
【0020】
 しかしながら、純粋なポリマー球は、ハロゲン化された溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の極性溶媒に可溶である。このように、異性体の分離を実現するために、これらの純粋な溶媒または高い割合の溶媒との混合物を使用することは不可能である。
【0021】
 この欠点を克服するために、Francotte らは、誘導された多糖類の放射線による重合について述べている(WO-A-96/27 615)。
【0022】
 しかしながら、重合の速度はそのような過程において制御するのが難しいと思われ、光化学的方法による架橋がポリマー球の表面で選択的に起こり、光線は球の内側に浸透することができない。純粋なポリマーにおける分離の例は挙げられていない。
【0023】
 Francotte らは、国際出願WO-A-97/04 011において、重合性の基を含まない多糖類のカルバメートおよびエステルの化学的架橋についても述べている。著者によると、架橋はラジカル重合開始剤の存在下で起こった。反応機構および得られる生成物の構造は述べられていない。純粋な極性溶媒中での分離の例は挙げられていない。
【0024】
 Lange らは、メタクリル酸の光学活性な誘導体の重合について述べている(US-A-5 274 167)が、担体の構造は説明されていない。純粋な極性溶媒中での分離の例は挙げられていない。
【0025】
 Minguillonらは、塩化ウンデセノイルを用いる、部分的に誘導されたセルロースカルバメートの合成について述べている。しかしながら、担体の構造は説明されていない(J. of Chromatog. A728 (1996), 407-414 および415-422 )。
【0026】
 Oliverosらは、エチレン基を含み、ビニル基を含むシリカゲル保持体に担持され、次いで重合される多糖誘導体について述べている(WO-A-95/18 833)。純粋な極性溶媒を用いる分離の例は挙げられていない。
【0027】
【課題を解決するための手段】
 本発明は、三次元網状組織形態で容易に重合でき、かつ架橋できる、クロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン官能基を含む多糖類または少糖類の新規シラン誘導体の調製に関する。該誘導体は、該誘導体を含み、該誘導体が化学的共有結合によって保持体に結合され、付随的に三次元網状組織形態で重合され、かつ架橋されることを特徴とする新規担体物質を得るために使用される。該担体物質は、特にクロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸エチルまたは他のあらゆる極性有機溶媒のような純粋な極性溶媒中でのクロマトグラフィーによる鏡像体の分離のために使用される。
【0028】
 本発明は、クロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン基を含む多糖類または少糖類のシラン誘導体を得る方法にも関する。次に担体物質を得ることは、得られる該多糖類のシラン誘導体を保持体上に物理的に担持させ、重合と、多糖誘導体の鎖の間に−Si−O−Si−型の化学的共有結合を作ることによる多糖のシラン誘導体の付随的な三次元架橋とを用いて−Si−O−(保持体)型の化学的共有結合を形成するために、クロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン官能基を該保持体と反応させることにより実現される。この方法は、液体、ガスまたは超臨界クロマトグラフィー方法において、有機合成において、または該担体物質を含有する膜を通すパーコレーション方法において、該担体物質を用いることによる鏡像体の分離および調製も含む。
【0029】
 本発明による担体物質は、例えばエーテル類のような他のあらゆる有機溶媒中と同様、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエンまたは酢酸エチルのような極性溶媒中で安定性および全体の不溶性を有する。該担体物質の安定性および不溶性は高温(100℃を超える)まで有効である。
【0030】
 本発明による多糖類のクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン誘導体は、直鎖、分枝または環状鎖を形成する配糖体(osidic)キラル単位の結合によって構成され、下記一般式の1つにより表わすことができる。
【0031】
【化23】
イメージ ID=000029

【0032】
【化24】
イメージ ID=000030

【0033】
 式中:a)記号X1 、X2 およびX3 は同一または異なって、酸素原子または−NH基を表わし;
 b)記号R1 、R2 およびR3 のそれぞれは独立に、−一般式[(X)3 Si−W−CH2 −CH2 m A−Y−(II)(式中、mは大きくても5に等しい0でない整数であり、Yは単結合、−NH−CO−基、−NH−CS−基または−CO−基であり、Aは単結合、1〜21個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基、6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基または7〜40個の炭素原子を有するアラルキレン基を表わし、Wは単結合または−CH2 −CH2 −CH2 −S−基を表わし、Xはハロゲン、水酸基またはアルコキシ基を表わす)で示されるクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシラン基;
 −または式A2 −A1 −CX4 −(III) (式中、X4 は酸素または硫黄原子を表わし、A1 は単結合または−NH−基を表わし、A2 は6〜24個の炭素原子を有するアリール基、7〜36個の炭素原子を有するアラルキル基または7〜18個の炭素原子を有するアルキルアリール基を表わす)を有する基;
 −または水素原子またはNO2 基を表わし、nは5〜20000の整数であり、各配糖体キラル単位(Ia)〜(Ik)において、記号X1 、X2 およびX3 の少なくとも1つが酸素原子を表わし、多糖誘導体を構成する配糖体単位の少なくとも一部において、記号R1 、R2 およびR3 の少なくとも1つが一般式(II)の基を表わし、記号R1 、R2 およびR3 の少なくとも1つが一般式(III) の基を表わす。
【0034】
 一般式(II)および(III) の基中にそれぞれ含まれるアリーレンまたはアリール基は、場合によっては、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基およびニトロ基から選ばれる、同一または異なる1つ以上の原子または基によって置換されていてもよい。一般式(II)の基中に含まれるアリーレン基は、好ましくは、場合によっては、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基およびニトロ基から選ばれる、同一または異なる1つ以上の原子または基によって置換されるフェニレン基またはナフチレン基である。一般式(III) の基中に含まれるアリール基は、好ましくは、場合によっては、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基およびニトロ基から選ばれる、同一または異なる1つ以上の原子または基によって置換されるフェニル基またはナフチル基である。
【0035】
 一般に、本発明による多糖類のシラン誘導体は、5〜20000、好ましくは10〜500の重合度を有する。
【0036】
 一般に、本発明による多糖類のシラン誘導体は、一般式(Ia)〜(Ik)の構造単位当たり0.05〜3、好ましくは0.05〜2.95の一般式(II)の基、および一般式(Ia)〜(Ik)の構造単位当たり0〜2.95、好ましくは0.05〜2.95の一般式(III) の基を含む。
【0037】
 一般に、本発明による多糖の誘導体は、アミロース、セルロース、キトサン、α、βまたはγシクロデキストリンおよびデキストランに由来する。
【0038】
 本発明によると、多糖類のシラン誘導体を、反応が多糖について連続的に行われる2または3段階の合成で得ることができる:−段階1において、一般式(IV)の化合物:(CH2 =CH)m A−Y1 (IV)[式中、R、mおよびAは前述のように定義され、Y1 はハロゲン原子(塩素、臭素)、−N=C=O基または−N=C=S基または−CO−Z−基(式中、Zは、次に段階3においてクロロシラン、ヒドロキシシランまたはアルコキシシランに変換されるエチレン基を導入するためのハロゲン原子(塩素、臭素)を表わす)を表わし];
 −場合による段階2において、一般式(V) のイソシアネートまたはイソチオシアネート:A2 −A1 −N=C=X5 (V)(式中、A2 およびA1 は前述のように定義され、X5 は酸素または硫黄原子を表わす)
 または一般式(VI)の化合物:A2 −A1 −CO−Z1 (VI)[式中、A2 およびA1 は前述のように定義され、Z1 は一般式(III) の基を導入するためのハロゲン原子(塩素、臭素)];
 −および段階3において、一般式の化合物:
【化25】
イメージ ID=000031

【0039】
 (式中、Xは一般式(II)の化合物を導入するために前述のように定義される)。
【0040】
 本発明によると、一般式(II)および場合によっては(III) の基の導入は、相当するアルコールまたはアミンから出発する、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、チオカルバメート、ウレアまたはチオウレアを調製するために常套的に使用される条件下で起こる。
【0041】
 段階1および段階2は一般に、ピリジンまたはトリエチルアミンのような有機塩基の存在下、トルエンのような高沸点を有する有機溶媒中で行われる。式(IV)または(V) の化合物がイソシアネートである場合、反応速度を増大させるために、一般に触媒を使用することが好ましく、ジブチルスズジラウレートが好ましい。
【0042】
 段階3で一般式(II)の基を得るには、段階1で一般式(IV)の化合物によって改変された多糖類のエチレン性二重結合上で、式(VII) および(VIII)の化合物の反応を必要とする。
【0043】
 段階3において、式(VII) または(VIII)の化合物が反応するかどうかについて行われる方法で区別を付けるべきである。
【0044】
 第一の場合、式(VII) の化合物が反応する。
【0045】
 フリーラジカル開始剤の存在下、チオエーテル結合の生成に至る、エチレン性二重結合上でのチオール官能基の逆マルコウニコフ付加反応は、それ自体知られている。例えば、Rosiniおよび共同研究者は、Tetrahedron Lett., 26, 3361-3364, 1985でチオエーテル結合を経るキナアルカロイド類の固定について述べた。より最近、Tambute および共同研究者は、New J. Chem., 13, 625-637, 1989 で同じ技術を用いるチロシン誘導体の固定について述べた。更により最近、Caudeおよび共同研究者は、J. Chromatogr., 550, 357-382, 1991に研究の結果を発表し、化学的安定性の点で共有チオエーテル結合の利点を示した。
【0046】
 式(VIII)の化合物のうち、一般に好ましい物質は下記の式の化合物:(CH3 O)3 Si−CH2 −CH2 −CH2 −SHすなわち市販されているγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
【0047】
 この化合物は、段階1および2または段階1の実現の後に得られる化合物の存在下、有機溶媒中で使用され、好ましい有機溶媒はトルエン、テトラヒドロフランおよびクロロホルムである。例えば過酸化ベンゾイルのようなフリーラジカル開始剤を反応媒質に添加する。
【0048】
 第二の場合、段階3で式(VIII)の化合物が反応する。
【0049】
 水素化シラン類によるエチレン性二重結合のヒドロシリル化は、それ自体知られており、ケイ素−炭素結合を作るために使用される。例えば、Stuurman, H. W. のChromatopgraphia, 25巻、4号、1988年4月、265〜271頁には、共有結合によりシリカゲルに結合したヒドロシリル化されたキニンをベースとする固定相を用いる鏡像体の分離が述べられている。
【0050】
 式(VIII)の化合物のうち、一般に好ましい2つの物質は、市販されている式(C2 5 O)3 SiH(トリエトキシシラン)およびCl3 SiH(トリクロロシラン)の化合物である。
【0051】
 トリエトキシシランまたはトリクロロシランは、段階1および2または段階1の実現後に得られる化合物の存在下、有機溶媒中で使用され、好ましい溶媒はトルエン、ジオキサンまたはクロロホルムである。金属錯体が一般に触媒として使用される。好ましい金属錯体はヘキサクロロ白金酸のようにロジウムまたは白金をベースとする。
【0052】
 本発明は、一般式(Ia)〜(Ik)の多糖類のシラン誘導体を含有する担体物質にも関し、式(II)の基に含まれるクロロシラン、ヒドロキシシランおよびアルコキシシラン基は、以下に示す一般式(IXa) または(IXb) または(XII) の化合物を得るために保持体と反応し、かつ以下に示す式(IXc) 、(IXd) 、(XIII)または(XIV)に含まれる共有結合を作るために付随的にそれら自身で反応した。
【0053】
 多糖類のシラン誘導体と保持体との反応およびシラン誘導体の間の反応を同時に使用することにより、共有型で保持体に結合したシラン誘導体の三次元網状組織が作られる。
【0054】
 本発明による担体物質を表す難しさは明らかである。以下に示す式(IX)は、式(IXa) 、(IXb) 、(IXc) 、(IXd) 、(XII) 、(XIII)および(XIV) の組の可能な異形の1つを表わし、mが1に等しいとき、mは式(II)で定義される記号である。
【0055】
 使用される反応は下記の通りである。
【0056】
【化26】
イメージ ID=000032

【0057】
 を作るためのクロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類と保持体との反応;
 シラン誘導体を互いに反応させることによるシロキサン結合
【化27】
イメージ ID=000033

【0058】
 またはジシロキサン結合
【化28】
イメージ ID=000034

【0059】
 の形成。
【0060】
 クロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類と保持体との反応はそれ自体知られており、例えば、R. Rosset, M. Caude およびA. Jardyによる"Chromatographies en phases liquide et supercritique", 1991, MassonS.A.の研究で述べられた。
【0061】
 例えば、下記に図式化される一般式(XI)の保持体:
【化29】
イメージ ID=000035

【0062】
 および下記の式が保持体の反応性部分を図式化する場合
【化30】
イメージ ID=000036

【0063】
 および一般式(II)の基を含む化合物が挙げられる。反応の図の表示を簡単にするために、化合物を下記の一般式の基によって表わすこともできる:(X)3 Si−R− (XIa)式中、Rは下記の基を表わす。
【0064】
【化31】
イメージ ID=000037

【0065】
 保持体および化合物(X)3 Si−R−を使用することにより、下記の一連の反応を生じる:a)X=−OHまたはアルコキシの場合
【化32】
イメージ ID=000038

【0066】
【化33】
イメージ ID=000039

【0067】
【化34】
イメージ ID=000040

【0068】
 式(IX)、(IXc) および(IXd) の記号「キラル単位」は、いずれも式(Ia)〜(Ik)の化合物を表わし、多糖のシラン誘導体の配糖体結合のキラル配糖体単位を図式化する。
【0069】
 担体物質は三次元であるので複雑な構造を有する。それらを一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) 、(IXc) 、(IXd) 、(XII) 、(XIII)および(XIV) の組により表わすことができる。
【0070】
 一般式(IX)の化合物は下記の可能な組み合わせの一つを表わす:−m=1のときの式(XII) の化合物を生じる保持体との反応;
 −およびm=1のときの式(XIII)すなわち式(IXc) の化合物を生じる付随的反応、mは式(II)についてと同じ意味を有する。
【0071】
 実際は、一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) および(XII) の化合物について非常に多くの可能な組み合わせがある。
【0072】
 保持体上で多糖類のクロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類を使用すると一般式(IX)の化合物を生じる。
【0073】
 使用される保持体はシリカゲル、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンまたは酸化マグネシウムであってもよい。
【0074】
 先に述べた反応に付随的に、かつ一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) および(XII) の化合物を生じて、架橋反応が式(Ia)〜(Ik)の多糖類のシラン誘導体の鎖の間に起こる。実際、使用される化学的官能基、クロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類が、前に保持体と共に使用された官能基と厳密に同じであるとき、この反応は同時に起こる。
【0075】
 実際、多糖のシラン誘導体について鎖間架橋が起こり、下記の結合の形成により三次元網状組織の形成に至る。
【0076】
【化35】
イメージ ID=000041

【0077】
 多糖のシラン誘導体の2つの異なる鎖に含まれるシラン類の反応による架橋の原理は、下記の反応において図式化される。
【0078】
【化36】
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【0079】
【化37】
イメージ ID=000043

【0080】
 式中、「保持体」は下記一般式の化合物を表わす;
【化38】
イメージ ID=000044

【0081】
 Siはケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムまたはマグネシウム原子を表わす;
 −式中、W、A、YおよびXは式(Ia)〜(Ik)において前に定義された通りである;
 −かつ「キラル単位」は式(Ia)〜(Ik)の化合物を表わす。
【0082】
 本発明は、下記のものから成る担体物質を得る方法にも関する:−一般式(Ia)〜(Ik)の多糖のシラン誘導体を下記一般式の保持体に物理的に担持させる:
【化39】
イメージ ID=000045

【0083】
 式中、Siは式(X) についてと同じ意味を有する:−かつ式(II)の基中に表わされるシラン類を2つの原理的反応方法(a) および(b) に従って反応させる:a)一般式(IXaa)、(IXa) 、(IXbb)、(IXb) 、(XII) および(IX)の化合物を生じる式(X) の保持体との反応;
 b)一般式(IXc) 、(IXd) 、(XIII)および(XIV) の化合物を生じる該シラン類のそれら自身の間の架橋。
【0084】
 式(IXc) はm=1について式(XIII)に対応し、式(IXd) はm=1について式(XIV) に対応し、mは式(II)についてと同じ意味を有する。
【0085】
 2つの反応方法(a) および(b) は同時に行われ、保持体上の共有結合による多糖のシラン誘導体の結合および該多糖類のシラン誘導体の三次元網状組織形態での重合および架橋を許容する。
【0086】
 驚くべきことに、得られた担体物質はすべての有機溶媒中、より詳細にはクロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはトルエンのような、多糖類のベンゾエートおよびカルバメート誘導体について高い溶解力を有する極性有機溶媒中で顕著な安定性を有する。
【0087】
 同様に驚くべきことに、これらの担体物質は前記溶媒中で80℃以上の温度まで安定である。例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノールについて、実施例1に従って合成された担体物質を用いて行われた選択性(α)試験は、実施例1に従って得られた選択性因子α(クロロホルム中、α=1.54)が下記の溶媒の約1000の死カラム容積(dead column volume)の通過に影響されないことを示した。
【0088】
【表3】
イメージ ID=000046

【0089】
 これらの性質により、少なくとも80℃の温度まであらゆる型の極性溶媒を用いる、鏡像体の分離または調製方法における担体物質の使用が考えられ、このことは工業的応用について特に魅力的に思われる。
【0090】
 担体物質の安定性も、前記表の種々の溶媒の還流における溶解により評価された。驚くべきことに、結果は、実施例1に従って合成された担体物質の質量の損失が加熱濾過および乾燥後、ないことを示す。この結果は、実施例1の多糖のシラン誘導体が共有結合によって確かに保持体に結合しており、Si−O−Si−結合の形成が多糖のシラン誘導体の鎖の間に起こり、得られた架橋が多糖のシラン誘導体のすべての構造に関与していることを示す。実際、式(Ia)〜(Ik)の多糖類のシラン誘導体は、冷たくても熱くても、前記表に述べたような極性有機溶媒に可溶である。(更に、この性質は、式(Ia)〜(Ik)の化合物の保持体への物理的担持を実現するために使用される。)担体物質の質量の損失はなく、式(Ia)〜(Ik)で表わされる化学構造の化合物が該担体物質中にもはや存在しないことを推定することができ、このことは式(Ia)〜(Ik)の化合物の全体が一般式(IX)の担体物質に変換されたことを示す。
【0091】
 一般式(Ia)〜(Ik)の多糖の誘導体の保持体への物理的担持は2つの技術に従って実現される:−常圧または真空下での保持体の存在下での該多糖類の誘導体の溶液の蒸発;または−保持体の存在下での、該多糖類の誘導体が不溶である溶媒の添加による沈殿。
【0092】
 一般に、該多糖類の誘導体は、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジオキサン、ピリジン、テトラヒドロフランまたはトルエンのような極性有機溶媒に溶解する。0.1μm〜1mmの粒度(granulometry)および10オングストローム〜10000オングストロームの細孔直径を有する一般式(XI)の保持体を多糖類の誘導体のこの溶液に添加する。好ましい保持体はシリカゲルである。
【0093】
 多糖の量は、添加される保持体の質量に対して1〜70重量%変化する。懸濁液が得られる。
【0094】
 蒸発による技術を選ぶならば、先に得られた懸濁液を常圧または真空下での溶媒の蒸留により乾燥する。式(Ia)〜(Ik)の多糖のシラン誘導体が物理的に担持された保持体から構成される生成物が得られる。この生成物は複合材料と呼ばれる。
【0095】
 沈殿による技術を選ぶならば、多糖の誘導体が不溶である溶媒を先に得られた懸濁液に添加する。ヘキサンまたはヘプタンが好ましい溶媒である。懸濁液を濾過し、ヘプタンで洗浄し、真空下40℃で乾燥する。蒸発による技術で得られた生成物と同じ種類の生成物が得られる。この生成物も複合材料と呼ばれる。
【0096】
 このように得られた複合材料を、多糖の誘導体が不溶である溶媒に懸濁させ、好ましい溶媒はヘプタンまたはヘキサンであり、懸濁液を例えば12時間還流させる。カロリーの供給により、多糖類のシラン誘導体に含まれるクロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類が、シリカゲル保持体の表面に含まれるシラノール基との反応を始める。クロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類の、シラノール類を含有するシリカゲル保持体上でのグラフト反応はそれ自体知られており、"Silica Gel and Bonded Phases", R. P. W. Scott, 1993, Separation Science Series, R. P. W. Scott およびC. F.Simpson 編、John Wiley & Sons 社のようないくつかの研究で述べられた。クロロシラン類の使用は塩酸の生成に至り、ピリジンのような塩基の使用により、これの捕捉が起こる。ヒドロキシシランの使用は水の生成に至る。アルコキシシラン類の使用は相当するアルコール(メトキシシランではメタノール、エトキシシランではエタノール)の生成に至る。これらの異なるグラフト反応は、同じ化学的性質の保持体との化学的共有結合[−Si−O−(保持体)]の生成に至る。
【0097】
 クロロシラン類、ヒドロキシシラン類およびアルコキシシラン類の重合はそれ自体知られており、"Silica Gel and Bonded Phases", R. P. W. Scott, 1993,Separation Science Series, R. P. W. Scott およびC. F. Simpson 編、John Wiley & Sons 社で述べられた。
【0098】
 クロロシラン類の重合は痕跡量の水の存在下で起こる;ヒドロキシシラン類は水を生成することにより重合し、アルコキシシラン類は相当するアルコール(メトキシシラン類ではメタノール、エトキシシラン類ではエタノール)を放出することにより重合する。これらの異なる重合反応は、同じ化学的性質の共有結合の実現に至る:Si−O−Si(シロキサン結合またはシロキサングラフト)。
【0099】
 反応性化学的部分、すなわち保持体と多糖類の誘導体(Ia)〜(Ik)に含まれる式(II)の基とを複合材料のレベルで考慮することだけにより、複合材料から担体物質を合成するために使用される2つの付随する化学反応の均衡は下記の通りである。
【0100】
 −保持体との反応
【化40】
イメージ ID=000047

【0101】
【化41】
イメージ ID=000048

【0102】
 一般式(IX)の担体物質を表す図中の大きすぎる複雑さを避けるために、反応しなかった基の部分[CH2 −CH2 −W−Si(X)3 m-1 を示していない。
【0103】
 式(IX)に示されていないが、上記の基の部分は明らかに反応、特に先の反応「保持体との反応」に付随し、「架橋」と呼ばれる反応を始めることができる。この場合、基の部分m−1が関係し、m−2等の次元の反応生成物を生じる。
【0104】
 −架橋:
【化42】
イメージ ID=000049

【0105】
 式(XIII)および(XIV) において、式(XII) の化合物の場合のように、基[−CH2 −CH2 −W−Si(X)3 m-1 の部分は、m−2次(order) の新しい共有結合を生じるために付随的に反応することができ、その結合はそれ自身でm−3次等の結合を生じることができる。
【0106】
 本発明は、下記のものの中で使用することによる鏡像体の分離または調製における該担体物質を使用する方法にも関する:*ガスクロマトグラフィー*−10℃〜+80℃で特に下記の表で述べるような純粋な極性有機溶媒中での液体クロマトグラフィー。
【0107】
【表4】
イメージ ID=000050

【0108】
 水−有機(hydro-organic) 、水性または有機性の混合物中、アイソクラチック(isocratic) 条件下または勾配様式(gradient mode) :*超臨界クロマトグラフィー*電気泳動または電気クロマトグラフィー*該担体物質により構成される膜を通すパーコレーション*不均一媒質中での有機合成。
【0109】
【発明の実施の形態】
 下記の実施例は本発明を例証するが、決してそれを制限しない。
【0110】
 実施例13.1mMのグルコース単位を含有する0.5gの天然のセルロース(メルク社から市販されている)を15cm3 のトルエンに懸濁させる。共沸蒸留によるセルロースの脱水乾固後、40cm3 のピリジンを添加する。15cm3 の溶媒の蒸留および冷却後、1.32gの塩化10−ウンデセノイル(6.5mM)を添加する。混合物を還流下1時間加熱し、試料を取り、その元素分析(C=67.55%;H=9.27%)は置換度が1.8であることを示す。次いで0.850gの3,5−ジメチルフェニルイソシアネート(5.6mM)を添加し、混合物を還流下一晩加熱する。No.2のガラス濾過器で加熱濾過後、反応混合物を100cm3 のメタノール中に注ぐ。濾過後、沈殿を最小限のピリジンに溶解する。溶液をNo.2のガラス濾過器で濾過し、濾液をエタノール/水の混合物(体積1/1)に注ぐ。濾過およびメタノールでの洗浄後、下記の特性を有する生成物が得られる:−元素分析:C=68.58%;H=8.67%;N=2.12%−置換度:1.8(ウンデセノイル)、0.9(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)。
【0111】
 一般式(1d)の化合物が得られる。
【0112】
 式中
【化43】
イメージ ID=000051

【0113】
 この化合物を参照Id−E1とする。
【0114】
 0.3gの先の化合物を50mlのクロロホルムに溶解して溶液にする。30mgのアゾイソブチロニトリルと同様に、70μlの3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを添加する。反応媒質を6時間還流させる。反応媒質を200mlのクロロホルムから沈殿させ、懸濁液を濾過し、次いで40℃で真空下乾燥する。乾燥生成物を20mlのトルエンに溶解し、20mlのピリジンおよび4gのシリカゲル[5μm(粒径)、200オングストローム(細孔直径)]を添加する。懸濁液を48時間還流させ、溶媒を真空下80℃で蒸発させる。固体を60℃で真空下乾燥させ、次いで粉砕する。それを50mlのテトラヒドロフラン中で3時間処理し、次いで濾過する。それを再び60℃で真空下乾燥する。
【0115】
 HPLCカラムをこの担体で満たし、カラムをHPLC装置に挿入する。
【0116】
【化44】
イメージ ID=000052

【0117】
 250×4.6mm HPLCカラム溶質:2,2,2−トリフルオロ−1−(9−アンスリル)エタノール移動相:純粋なクロロホルム流速:1ml/mm−O.D.=0.01−温度25℃−λ=254nmk´1=3.14−k´2=4.83−α=1.54が得られる。
【0118】
 実施例20.3gの実施例1の参照化合物Id−E1を30mlのテトラヒドロフランに溶解する。0.1mlのトリエトキシシランを添加し、0.05gのヘキサクロロ白金酸を添加する。得られる溶液を48時間還流させる。反応混合物を冷却し、次いで300mlのメタノール中に注ぐ。得られる懸濁液を濾過し、次いで40℃で真空下乾燥する。乾燥生成物を再び40mlのピリジンに溶解し、4gのシリカゲル(粒径5μmおよび多孔度200オングストローム)を添加する。反応懸濁液を48時間還流させ、次いでピリジンを蒸発乾固させる。固体を80℃で真空下乾燥する。次いで固体を50mlのテトラヒドロフラン中で3時間処理し、次いで濾過する。固体を再び60℃で真空下乾燥する。
【0119】
 HPLCカラムをこの担体で満たし、カラムをHPLC装置に挿入する。
【0120】
【化45】
イメージ ID=000053

【0121】
 250×4.6mm HPLCカラム溶質:1,1−ビナフトール移動相:クロロブタン流速:1ml/mm−O.D.=0.01−λ=254nmk´1=3.00−k´2=4.43−α=1.48。
【0122】
 実施例30.3gの実施例1の参照化合物Id−E1を100mlのトルエンに還流下溶解する。トルエン/水の二成分共沸混合物が完全に消失するまで50mlのトルエンを留去する。3mlのピリジン(予め脱水した無水ピリジン)を添加し、0.1mlのトリクロロシランを添加する。0.05gのヘキサクロロ白金酸を添加する。得られる溶液を乾燥窒素(濃硫酸緩衝液による脱水窒素)の軽い流れの下で48時間還流させる。120℃で真空下予め乾燥した3gのシリカゲル(粒径5μmおよび細孔直径200オングストローム)を添加し、反応混合物を48時間還流させる。1mlの水を注意深く添加し、反応懸濁液を攪拌下48時間70℃にする。トルエンを常圧で蒸留乾固する。沈殿を濾過により単離し、50mlのテトラヒドロフランで2回洗浄する。固体を60℃で真空下乾燥する。
【0123】
 HPLCカラムをこの担体で満たし、カラムをHPLC装置に挿入する。
【0124】
【化46】
イメージ ID=000054

上記の内容は特許電子図書館の出力データを加工したものです。by ipdldd 
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