オリゴマー−三環物質コンジュゲート

新規な三環系化合物を開発することに対するいまだに満たされていない大きな需要がある。本発明は、水溶性オリゴマーの共有結合によって化学的に修飾された小分子薬剤を提供するものである。多数の投与経路のうちのいずれかで投与するすると、本発明のコンジュゲートは水溶性オリゴマーに結合していない小分子薬剤とは異なる特徴を呈する。本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2007年11月28日に出願された米国仮特許出願第61/004,483号ならびに、2008年9月10日に出願された米国仮特許出願第61/191,635号(ともにその内容全体を本明細書に援用する)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、(特に)化学修飾のない三環物質と比して特定の利点を有する、化学修飾された三環物質を含む。本明細書に記載の化学修飾された三環物質は、(特に)創薬、薬物療法、生理学、有機化学およびポリマー化学分野の用途に関するおよび/またはこのような用途を有する。
【背景技術】
【0003】
気分の持続的な落ち込み、日常活動への興味の喪失、快感を得る能力の低下を特徴とする一般的な精神疾患のひとつに、臨床的鬱病(大鬱病性障害または単極性鬱病とも呼ばれる)がある。
【0004】
「鬱」という用語は一般に、「気が塞いでいる」ときに一時的な気分の落ち込みを表すのに用いられているが、臨床的鬱病は心身や思考と関係があり、単純に本人の意志の力や本人が望んで取り除くことはできない深刻な疾患である。これは、個人の仕事や家族、学校生活、睡眠、食習慣、全体的な健康、人生を楽しむ力にも影響する、心身に障害を引き起こす疾患であることも多い。臨床的鬱病の過程は多岐にわたる。鬱が一生に一度の出来事の場合もあれば何度も再発する場合もあり、徐々に現れたり突然現れたりし、数ヵ月程度でおさまることもあれば一生の機能障害になることもある。鬱を抱えた状態は自殺の主要な危険因子のひとつである。また、鬱の人々は他の原因での死亡率も高い。臨床的鬱病は通常、心理療法、抗鬱薬または両者の組み合わせで治療される。
【0005】
末梢神経の疾患のひとつに神経障害がある。神経損傷の4つの主な形態として、多発性神経障害、自律神経障害、単神経障害、多発単神経炎があげられる。より一層一般的な形態が、主に下肢に影響を与える末梢多発性神経障害である。また、腸神経障害などのそれほど一般的ではない他の神経障害もある。
【0006】
糖尿病(すなわち糖尿病性神経障害)を除いて、神経障害の一般的な原因は、帯状疱疹感染、HIV−AIDS、毒素、アルコール依存症、慢性的な外傷(反復性運動障害)または急性外傷(外科手術を含む)、神経毒性、セリアック病などの自己免疫症状である。神経障害痛は、末梢神経における癌の直接的な結果(腫瘍による圧迫など)、多くの化学療法薬の副作用そして電気的損傷の結果として、癌においては一般的である。多くの場合、神経障害は「特発性」であるが、これは原因が見当たらないことを意味する。
【0007】
神経障害痛は通常、定常的な灼熱感および/または「ピリピリ感」および/または「電気ショック」のような感覚および/またはくすぐったさとして知覚される。違いは、「通常の」痛みが痛みの神経だけを刺激するのに対し、神経障害は同じ部分にある痛みの感覚神経と痛み以外の(さわり心地、温かさ、冷たさ)感覚神経の両方を惹起して、脊髄や脳が通常は受け取ることを想定していないシグナルを生成することが多い点にある。
【0008】
神経障害痛は治療が困難な場合がある。無作為対照化試験の系統的レビューで、最適な治療薬は三環系薬、抗痙攣薬、およびカプサイシンであることが分かった。三環系抗鬱薬
は、主に臨床的鬱病や神経障害痛、夜尿症、およびADHDの治療に適応される多数の用途に用いられているが、頭痛(偏頭痛を含む)、不安、不眠症、禁煙、神経性過食症、過敏性大腸症候群、発作性睡眠、病的泣き笑い、持続性吃逆、間質性膀胱炎、およびシガテラ中毒に、さらには統合失調症における補助剤として使用して効果が得られた事例もある。
【0009】
通常、三環系抗鬱薬は、神経伝達物質であるノルエピネフリン、ドパミンまたはセロトニンが神経細胞に再取り込みされるのを阻害して作用すると考えられている。また、三環系薬は、ムスカリニックおよびヒスタミンH1〜H4受容体に対するさまざまな度合いの親和性を持つこともある。一般にノルエピネフリンとドパミンが刺激神経伝達物質であるとみなされるが、三環系抗鬱薬は、H1ヒスタミンに対する作用も高めるため、大半は鎮静作用も持ち、抗ヒスタミン化合物としても有用なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
抗鬱薬および抗痙攣薬は、悪夢、眠気、かすみ目、胃腸の動きと分泌の低下、排尿困難、高熱、および口渇症などの中枢神経系に対する副作用の可能性があるため、その用途は限られている。結果として、その用途に関連したこれらの副作用および/または他の副作用を低減できるのであれば、三環物質での薬物療法が改善されるであろう。よって、新規な三環系化合物を開発することに対するいまだに満たされていない大きな需要がある。
【0011】
本発明は、従来技術におけるこれらの需要や他の需要に対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物が得られる。
【0013】
本発明の例示としての化合物は、以下の構造を有するものを含む。
【化1】


式中、
Dは、CまたはNであり、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
Xは、スペーサー部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0014】
「三環系残基」は、(直接または間接的に)1つ以上の水溶性非ペプチドオリゴマーを結合するよう機能する1つ以上の結合が存在することで変化する三環系化合物の構造を有する化合物である。例示としての三環物質は、本明細書では式Iとして定義される構造のうちの少なくとも1つに包含される構造を有する。
【化2】


式中、
DとRとが一緒になって、−HC−R、−C=R、および−HN−Rからなる群から選択され、
は、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、アルキル、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキルアミノ、約2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、および4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルからなる群から選択され、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rのうちの1つ以上が各々独立に、何もなし、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ジオキソ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。
【0015】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物と、任意に、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物が得られる。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物を含み、当該化合物が剤形の形で存在する剤形が得られる。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態では、水溶性非ペプチドオリゴマーを三環物質に共有結合的に結合することを含む、方法が得られる。
【0018】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物を投与することを含む、方法が得られる。
【0019】
以下の詳細な説明と併せて読むことで、本発明の上記の目的および他の目的、態様、実施形態および特徴が、当業者らには一層完全に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】単離したヒト心房筋細胞において、カルバマゼピンならびにそのコンジュゲートが0.1Hz(A)と3Hz(B)でナトリウム電流に対しておよぼすブロック作用を示す。データは平均±SEMである。
【図2】単離したラット後根神経節細胞において、カルバマゼピンおよびそのコンジュゲートが0.1Hz(A)と3Hz(B)でナトリウム電流に対しておよぼすブロック作用を示す。データは平均±SEMである。
【図3】単離した心筋および神経細胞において、0.1Hz(A)と3Hz(B)でのカルバマゼピンおよびそのコンジュゲート100μMの平均(±SEM)ナトリウム電流ブロックの割合を示す。
【図4】ラット前脳膜でのノルアドレナリントランスポーターに対するデシプラミンおよびそのコンジュゲートの平均(±SEM)特異的結合の割合を示す。
【図5】標準的な鎮痛薬であるモルヒネに対する被験化合物の鎮痛活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する場合、単数形の「a」「an」「the」は、文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、該当する対象の複数形も含む。
【0022】
本発明について説明および権利請求するにあたり、下記の定義に基づいて以下の専門用語を使用する。
【0023】
「水溶性非ペプチドオリゴマー」は、室温で水に対して少なくとも35%(重量比)可溶、好ましくは70%(重量比)を超え、一層好ましくは95%(重量比)を超えて可溶なオリゴマーを示す。一般に、「水溶性の」オリゴマーの濾過していない水性調製物は、濾過後に同じ溶液で伝達される量の光の少なくとも75%、一層好ましくは少なくとも95%を伝達する。しかしながら、水溶性オリゴマーは、水に対して少なくとも95%(重量比)可溶であるか、水に対して完全に可溶であるのが最も好ましい。「非ペプチド」に関しては、オリゴマーはアミノ酸残基数が35%(重量比)未満のときに非ペプチドである。
【0024】
「モノマー」「モノマーサブユニット」「モノマー単位」という用語は、本明細書では同義に用いられ、ポリマーまたはオリゴマーの基本構造単位のうちの1つを示す。ホモオリゴマーの場合、単一の繰り返し構造単位でオリゴマーが形成される。コオリゴマーの場合、2つ以上の構造単位が一定のパターンあるいはランダムに繰り返され、オリゴマーが形成される。本発明に関連して用いられる好ましいオリゴマーは、ホモオリゴマーである。水溶性非ペプチドオリゴマーは一般に、直列に結合されてモノマー鎖を形成する1つ以上のモノマーを含む。オリゴマーは、単一のモノマータイプ(すなわちホモオリゴマー)からでも2つまたは3つのモノマータイプ(すなわちコオリゴマー)からでも形成可能である。
【0025】
「オリゴマー」は、約1から約30個のモノマーを有する分子である。本発明で用いる具体的なオリゴマーは、詳細については後述する、直鎖、分岐鎖またはフォーク状などの多岐にわたる幾何学的形状を有するものを含む。
【0026】
「PEG」または「ポリエチレングリコール」とは、本明細書で使用する場合、水溶性ポリ(エチレンオキシド)を包含することを意図している。特に明記しないかぎり、「PEGオリゴマー」オリゴエチレングリコールは、実質的にすべての(好ましくはすべての)モノマーサブユニットがエチレンオキシドサブユニットであるものであるが、オリゴマーがたとえばコンジュゲーション用に明確なエンドキャッピング部分または官能基を含むものであってもよい。本発明で用いるPEGオリゴマーは、たとえば合成変換時に末端酸素が置き換わるか否かに応じて、「−(CHCHO)−」または「−(CHCHO)n−1CHCH−」という2つの構造のうちの1つを含む。上述したように、PEGオリゴマーの場合、変数「n」は約1から30の範囲、好ましくは約2から約30の範囲であり、末端基と全体としてのPEGのアーキテクチャは可変である。たとえば小
分子薬剤とのリンク用にPEGがさらに官能基Aを含む場合、この官能基が、PEGオリゴマーと共有結合的に結合すれば、(i)酸素−酸素結合(−O−O−、ペルオキシド連結)も(ii)窒素−酸素結合(N−O、O−N)も形成されない。
【0027】
「エンドキャップされた」「末端キャップされた」という表現は、本明細書では同義に用いられ、エンドキャッピング部分を有するポリマーの末端または端点を示す。一般に、必ずしもそうである必要はないが、エンドキャッピング部分は、ヒドロキシまたはC1〜20アルコキシ基を含み、一層好ましくはC1〜10アルコキシ基、なお一層好ましくはC1〜5アルコキシ基を含む。よって、エンドキャッピング部分の例としては、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシなど)ならびにアリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロなどを含む。エンドキャッピング部分は、ポリマー中に末端モノマーの1つ以上の原子を含むことができる点を忘れてはならない[CHO(CHCHO)−およびCH(OCHCH−のエンドキャッピング部分「メトキシ」など]。また、上記の各々について飽和、不飽和、置換、未置換の形態も想定される。さらに、エンドキャッピング基は、シランであってもよい。エンドキャッピング基は、検出可能なラベルを有利に含み得る。ポリマーが、検出可能なラベルを含むエンドキャッピング基を有する場合、ポリマーおよび/またはポリマーが結合された部分(活性剤など)の量または場所を好適な検出器で判断することが可能である。このようなラベルは、限定することなく、蛍光剤、化学発光剤、酵素標識に用いられる部分、比色剤(染料など)、金属イオン、放射性部分、金粒子、量子ドットなどを含む。好適な検出器としては、光度計、フィルム、分光器などがあげられる。エンドキャッピング基は、リン脂質も有利に含み得る。ポリマーにリン脂質を含むエンドキャッピング基がある場合、このポリマーとそこから得られるコンジュゲートに特有の特性が付与される。例示としてのリン脂質には、限定することなく、ホスファチジルコリンと呼ばれるクラスのリン脂質から選択されるものがある。具体的なリン脂質としては、限定することなく、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステロイルホスファチジルコリン、ベヘノイルホスファチジルコリン、アラキドイルホスファチジルコリン、およびレシチンからなる群から選択されるものがあげられる。
【0028】
「標的化部分」という用語は、本明細書では、本発明のコンジュゲートを標的化領域に局在させる一助となる(細胞に侵入、浸透または透過、あるいは受容体を結合する一助となるなど)分子構造を示すのに用いられる。好ましくは、標的化部分は、ビタミン、コファクター、抗体、抗原、受容体、DNA、RNA、シアリルルイスX抗原、ヒアルロン酸、糖類、細胞特異的レクチン、ステロイドまたはステロイド誘導体、RGDペプチド、細胞透過部分または細胞標的化部分、細胞表面レセプターのリガンド、血清成分またはさまざまな細胞内受容体または細胞外受容体に対するコンビナトリアル分子からなる。また、標的化部分は、脂質またはリン脂質を含むものであってもよい。例示としてのリン脂質は、限定することなく、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミンを含む。これらの脂質は、ミセルまたはリポソームなどの形をとってもよい。標的化部分は、検出可能なラベルをさらに含むものであってもよく、あるいは、検出可能なラベルが標的化部分として機能するものであってもよい。コンジュゲートが検出可能なラベルを含む標的化基を有する場合、ポリマーおよび/またはポリマーが結合される部分(活性剤など)の量および/または分布/場所を、好適な検出器で判断することが可能である。このようなラベルは、限定することなく、蛍光剤、化学発光剤、酵素標識に用いられる部分、比色剤(染料など)、金属イオン、放射性部分、金粒子、量子ドットなどを含む。
【0029】
オリゴマーの幾何学的形状または全体としての構造に関する「分岐」とは、分岐点から2つ以上のポリマー「アーム」を有するオリゴマーを示す。
【0030】
オリゴマーの幾何学的形状または全体としての構造に関する「フォーク状」とは、分岐点から延在する2つ以上の官能基(一般に1つ以上の原子を介して)を有するオリゴマーを示す。
【0031】
「分岐点」とは、オリゴマーが直鎖構造から1つ以上の別のアームに分岐またはフォーク状に分かれる1つ以上の原子を含む二分岐点を示す。
【0032】
「反応性」または「活性化された」という表現は、従来の有機合成条件下で容易にまたは実用的な速度で反応する官能基を示す。これは、反応しないか、反応に強力な触媒または非実用的な反応条件を必要とする基(すなわち「非反応性」または「不活性」基)とは対照的である。
【0033】
反応混合物内の分子上に存在する官能基に関して「容易に反応しない」とは、その基が反応混合物中で所望の反応を生むのに効果的な条件下でほぼ原形を保つことを示す。
【0034】
「保護基」は、特定の反応条件下で分子内の特定の化学的反応性官能基の反応を防止または阻止する部分である。保護基は、保護対象となる化学的反応性基のタイプ、ならびに使用される反応条件、分子内における別の反応基または保護基の存在次第で異なることがある。保護対象となることが可能な官能基には、一例として、カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル基などがあげられる。代表的な保護基としては、カルボン酸に対する場合はエステル(p−メトキシベンジルエステルなど)、アミド、ヒドラジド;アミノ基に対する場合はカルバメート(tert−ブトキシカルボニルなど)やアミド;ヒドロキシル基に対する場合はエーテルやエステル;チオール基に対する場合はチオエーテルやチオエステル;カルボニル基に対する場合はアセタールやケタールなどがあげられる。このような保護基は当業者間で周知であり、たとえば、T.W. Greene and G.M. Wuts, Protecting Groups in
Organic Synthesis, Third Edition, Wiley, New York, 1999ならびにそこに引用されている参考文献に記載されている。
【0035】
「保護された形態」の官能基とは、保護基を有する官能基を示す。本明細書で使用する場合、「官能基」という用語またはその同義語は、その保護された形態を包含する。
【0036】
「生理学的に切断可能な」結合または「加水分解可能な」結合または「分解可能な」結合は、生理学的条件下で水と反応する(すなわち加水分解される)比較的弱い結合である。水中における結合の加水分解しやすさは、二つの中心原子を接続する連結の一般的なタイプだけではなく、これらの中心原子に結合する置換基にも左右されることがある。加水分解的に不安定または弱い適切な連結としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、オリゴヌクレオチド、チオエステル、チオールエステル、および炭素塩があげられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
「酵素的に分解可能な連結」は、1つ以上の酵素によって分解され得る連結を意味する。
【0038】
「安定した」連結または結合とは、水中で実質的に安定している、すなわち生理学的条件下で長期間にわたって適当な程度まで加水分解されない、一般に共有結合である結合を示す。加水分解的に安定した連結の例として、炭素−炭素結合(脂肪族鎖におけるものなど)、エーテル、アミド、ウレタン、アミンなどがあげられるが、これに限定されるものではない。通常、安定した連結は、生理学的条件下で1日あたりの加水分解率が約1〜2
%未満のものである。代表的な化学結合の加水分解率は、たいていの標準的な化学テキストに掲載されている。
【0039】
「実質的に」または「本質的に」とは、ほぼ全体的または完全にということを意味し、たとえば、特定の量の95%以上、一層好ましくは97%以上、なお一層好ましくは98%以上、さらに一層好ましくは99%以上、さらになお一層好ましくは99.9%以上であり、99.99%以上が最も好ましい。
【0040】
「単分散」とは、組成物中の実質的にすべてのオリゴマーが、クロマトグラフィまたは質量分析で測定した場合に分子量が明確な単一値であり、なおかつモノマー数も明確なオリゴマー組成物を示す。単分散オリゴマー組成物は、ある意味では純粋すなわち、モノマー数が大きく分布するのではなく実質的に単一かつ限定的(整数として)である。単分散オリゴマー組成物は、MW/Mn値が1.0005以下、一層好ましくはMW/Mn値が1.0000である。ひいては、単分散コンジュゲートからなる組成物とは、組成物中のすべてのコンジュゲートの実質的にすべてのオリゴマーのモノマー数が大きく分布するのではなく単一かつ限定的(整数として)であり、MW/Mn値が1.0005、一層好ましくはMW/Mn値が1.0000であることを意味する(オリゴマーが小分子薬剤由来の部分に結合していなかった場合)。しかしながら、単分散コンジュゲートからなる組成物は、溶媒、試薬、賦形剤などの1つ以上の非コンジュゲート物質を含むものであってもよい。
【0041】
オリゴマー組成物に関する「二峰性」は、組成物中の実質的にすべてのオリゴマーについて、モノマー数が大きく分布するのではなく限定的で異なる2種類の数(整数として)のうちの1つであり、分子量の分布を分率と分子量でプロットした場合に、2つの識別可能な別のピークとして現れるオリゴマー組成物を示す。好ましくは、本明細書に記載したような二峰性オリゴマー組成物の場合、各ピークは通常、その平均を中心にして対称であるが、2つのピークの大きさが異なっていてもよい。理想的には、二峰性分布の各ピークの多分散度指数Mw/Mnが1.01以下であり、一層好ましくは1.001以下、なお一層好ましくは1.0005以下、最も好ましくはMW/Mn値が1.0000である。ひいては、二峰性コンジュゲートからなる組成物は、組成物中のすべてのコンジュゲートの実質的にすべてのオリゴマーが、モノマー数が大きく分布するのではなく限定的で異なる2種類の数(整数として)のうちの1つであり、MW/Mn値が1.01以下、一層好ましくは1.001以下、なお一層好ましくは1.0005以下、最も好ましくはMW/Mn値が1.0000であることを意味する(オリゴマーが小分子薬剤由来の部分に結合していなかった場合)を意味する。しかしながら、二峰性コンジュゲートからなる組成物は、溶媒、試薬、賦形剤などの1つ以上の非コンジュゲート物質を含み得る。
【0042】
「三環物質」は、一般に分子量が約1000ダルトン未満で、本明細書に記載したような三環治療薬としてある程度の活性を有する有機、無機または有機金属化合物を示す。
【0043】
「生体膜」は、少なくともいくつかの外来物質あるいは、そうでなければ望ましくない材料に対する関門として機能する、細胞または組織で構成される膜である。本明細書で使用する場合、「生体膜」は、たとえば、血液脳関門(BBB)、血液脳脊髄液関門、血液胎盤関門、血液乳関門、血液精巣関門、ならびに膣粘膜や尿道粘膜、肛門粘膜、頬粘膜、舌下粘膜、および直腸粘膜を含む粘膜関門をはじめとする生理学的保護関門に関連した膜を含む。文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、「生体膜」という用語は、中部消化管(胃および小腸など)に関連した膜を含まない。
【0044】
「生体膜通過率」は、化合物が生体膜(血液脳関門(BBB)など)を通過する機能の尺度となる。生体膜での分子の輸送を評価するには、多岐にわたる方法を用いることがで
きる。特定の生体関門(血液脳脊髄液関門、血液胎盤関門、血液乳関門、腸管関門など)に関する生体膜通過率の評価方法は、本明細書および/または関連の文献に記載されているおよび/または当業者が判断することができる。
【0045】
本発明に関する「代謝率低下」とは、水溶性オリゴマーと結合していない小分子薬剤(すなわち小分子薬剤自体)または参照基準材料の代謝率と比較した場合における水溶性オリゴマー−小分子薬剤コンジュゲートの代謝率の測定可能な低下を示す。「初回通過代謝率低下」という特別な場合、小分子薬剤(または参照基準材料)および対応するコンジュゲートを経口投与する場合以外は、同一の「代謝率低下」が必要である。経口投与された薬剤は、胃腸から門脈循環に吸収され、体循環に達する前に肝臓を通過することもある。肝臓は薬剤代謝または生物トランスフォーメーションが最初に生じる部位であるため、相当な量の薬剤が体循環に達する前に代謝されることがある。初回通過代謝の度合いと、その低下を測定するには、多数の異なる方法を採ることができる。たとえば、動物血液試料を一定間隔で採取し、血漿または血清を液体クロマトグラフィ/質量分析で分析して代謝レベルを求めてもよい。初回通過代謝および他の代謝過程に関連する「代謝率低下」を測定するための他の技術は周知であり、本明細書および/または関連の文献に記載されているおよび/または当業者が判断することができるものである。好ましくは、本発明のコンジュゲートは、以下の値すなわち少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、および少なくとも約90%のうちの少なくとも1つを満たす代謝率低下を提供できる。「経口的に生物学的に利用可能な」化合物(小分子薬剤またはそのコンジュゲートなど)は、経口投与時に25%、好ましくは70%を超えて生物学的利用可能なものであると好ましく、この場合の化合物の生物学的利用率は、未代謝の形態で体循環に達する投与された薬剤の一部である。
【0046】
「アルキル」は、約1から20原子長の範囲の炭化水素鎖を示す。このような炭化水素鎖は、好ましくは飽和であるが必ずしもそうでなくてもよく、分岐鎖であっても直鎖であってもよいが、一般に直鎖が好ましい。例示としてのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、3−メチルペンチルなどを含む。本明細書で使用する場合、「アルキル」は、3個以上の炭素原子に言及する場合にシクロアルキルを含む。
【0047】
「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を示し、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルにより例示される直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0048】
「非干渉置換基」とは、分子中に存在する場合、一般に同一分子に含まれる他の官能基に対して非反応性である基のことである。
【0049】
「アルコキシ」とは、Rがアルキルまたは置換アルキル、好ましくはC〜C20アルキル(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシなど)、好ましくはC〜Cである−O−R基を示す。
【0050】
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容されるキャリア」とは、患者に対して毒物学的作用を有意に引き起こすことのない、本発明の組成物に含まれていてもよい成分を示す。
【0051】
「アリール」という用語は、最大14個の炭素原子を有する芳香族基を意味する。アリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタレニルなどがあげられる。「置換フェニル」および「置換アリール」はそれぞれ、ハロ(F、Cl
、Br、I)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル(C1〜6アルキルなど)、アルコキシ(C1〜6アルコキシなど)、ベンジルオキシ、カルボキシ、アリールなどから選択される1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ(置換基1〜2個、1〜3個または1〜4個など)で置換されたフェニル基およびアリール基を示す。
【0052】
化学部分は、全体をとおして主に一価の化学部分(アルキル、アリールなど)として定義かつ参照される。ただし、このような用語は、当業者には自明の適当な構造的状況下で対応する多価部分を示すためにも用いられる。たとえば、「アルキル」部分は通常、一価のラジカル(CH−CH−など)を示すが、特定の状況では二価の連結部分が「アルキル」になり得る。この場合、当業者であればアルキルを「アルキレン」という用語と等価な二価のラジカル(−CH−CH−など)として理解するであろう。(同様に、二価の部分が必要で「アリール」として言及されている場合、当業者であれば「アリール」という用語が対応する多価部分であるアリーレンを示すことは理解できるであろう)。すべての原子は、結合形成でのその通常の価数(すなわち、Hであれば1、炭素であれば4、Nであれば3、Oであれば2、SであればSの酸化状態に応じて2、4または6)を有するものと理解される。
【0053】
「薬理学的有効量」「生理学的有効量」「治療有効量」は、本明細書では同義に用いられ、血流または標的組織において所望のレベルの活性剤および/またはコンジュゲートを提供するのに必要な、組成物中に存在する水溶性オリゴマー−小分子薬剤コンジュゲートの量を意味する。厳密な量は、特定の活性剤、組成物の成分と物理的特徴、意図した患者個体群、患者の検討事項などの多数の要因に左右されることがあり、本明細書に記載の情報ならびに関連の文献で入手可能な情報に基づいて当業者が容易に判断できるものである。
【0054】
「二官能性」オリゴマーは、そこに含まれる(一般に末端にて)2つの官能基を有するオリゴマーである。官能基同士が同じである場合、オリゴマーはホモ二官能性であると言われる。官能基同士が異なる場合、オリゴマーはヘテロ二官能性であると言われる。
【0055】
本明細書に記載の塩基性反応剤または酸性反応剤は、中性で帯電されたその対応の任意の塩形態を含む。
【0056】
「患者」という用語は、本明細書に記載されているようなコンジュゲートを投与することで予防可能または治療可能な症状があるか症状になりやすい生命体を示し、人間と動物の両方を含む。
【0057】
「任意の」または「任意に」とは、その後ろで説明される状況が起こるかもしれないが必ずしもそうとはかぎらないことを意味するため、説明にはその状況が起こる場合と起こらない場合が含まれる。
【0058】
「何もなし」とは、置換基がないことを示す。よって、置換基が何もない場合、その置換基を、得られる構造における化学結合または水素としてその構造で表すことができる。
【0059】
上述したように、本発明は、(特に)安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物に関するものである。
【0060】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系化合物が、以下の式
【化3】


で包含される構造を有し、
式中、
DとRとが一緒になって、−HC−R、−C=R、および−HN−Rからなる群から選択され、
は、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、アルキル、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキルアミノ、約2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、および4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルからなる群から選択され、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rのうちの1つ以上が各々独立に、何もなし、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ジオキソ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、化合物が得られる。
【0061】
具体的な三環系化合物の例として、アミネプチン、アミトリプチリン、アミトリプチリノキシド、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプリミン、デメキシプチリン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドチエピン、ドキセピン、フルアシジン、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、ロフェプラミン、メリトラセン、メタプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロピゼピン、プロトリプチリン、キヌプラミン、チアネプチン、トリミプラミン、およびカルバマゼピンからなる群から選択されるものがあげられる。
【0062】
本発明の化合物の利点は、代謝を抑えつついくらか三環活性を保持する機能であると思われる。理論に拘泥されることを望むものではないが、オリゴマーが三環物質を代謝できる基質に対する化合物の全体としての親和性を下げるよう機能するため、三環系残基−ならびに本明細書に記載のオリゴマー含有化合物−−オリゴマーを含まない「もとの」三環構造との対照で−−は、容易には代謝されないと思われる。また(繰り返すが、理論に拘泥されるものではなく)、オリゴマーによって導入される余分な大きさ−−オリゴマーを含まない「もとの」三環構造との対照で−−は、化合物が血液脳関門を通過する機能を弱める。仮に三環物質の残基とオリゴマーとの連結が分解可能であるとしても、この化合物は依然として利点(初期吸収時の初回通過代謝を回避するなど)をもたらすものである。
【0063】
別々のオリゴマー(比較的不純な組成物との対照でオリゴマーの単分散組成物または二峰性組成物からなど)を使ってオリゴマー含有化合物を形成することで、対応する小分子薬剤に関連した特定の特性を都合よく変更できることがある。たとえば、本発明の化合物は、非経口、経口、経皮、頬側、経肺または経鼻などの多数の好適な投与経路で投与する
と、血液脳関門での透過量が少なくなる。経口送達が想定される場合、本発明の化合物では、胃腸(GI)壁を通って体循環には入るが、血液脳関門の通過が低速、最小限、あるいは事実上存在しないことが好ましい。さらに、本発明の化合物は、オリゴマーをまったく含まない化合物の生物活性および生物学的利用率と比較すると、ある程度の生物活性ならびに生物学的利用率を維持する。
【0064】
血液脳関門(「BBB」)に関して、この関門は、血液から脳への薬剤の輸送を制限する。この関門は、しっかりとした結合部分で接合された独特な内皮細胞の連続層からなるものである。BBBの全表面積の95%を超えて含まれる脳の毛細血管は、ほとんどの溶質や薬剤が中枢神経家に入る主な経路となる。
【0065】
血液脳関門通過能の程度が容易には分からない化合物の場合、このような能力を判断するには、本明細書に記載したようなin situラット脳灌流(「RBP」)モデルなどの好適な動物モデルを使用すればよい。簡単に説明すると、RBP技術では、頸動脈のカニューレ挿入後に制御された条件下における化合物溶液での灌流、続いて脈管性間隙に残っている化合物を取り除くための洗浄段階を必要とする。(このような分析は、Absorption Systems, Exton, PAなどの医薬品開発業務受託機関で実施すればよい)。RBPモデルの一例では、カニューレを左頸動脈に留置して分枝部分を結紮する。単回灌流実験で、検体(一般に5マイクロモル濃度レベルであるが、必ずしもそうでなくてもよい)を含む生理的緩衝液を流量約10mL/分で灌流する。30秒後、灌流を停止し、化合物を含有しない緩衝液でさらに30秒間、脳血管の内容物を洗い流す。次に、脳組織を取り出し、液体クロマトグラフにタンデム質量分析検出(LC/MS/MS)を併用して化合物濃度を分析する。あるいは、分子内の極性原子(通常は、酸素、窒素、結合された水素)の表面寄与量の合計として定義される化合物の分子極性表面積(「PSA」)の循環に基づいて血液脳関門の浸透性を推測することが可能である。PSAは、血液脳関門輸送などの化合物の輸送特性と相関することが明らかになっている。化合物のPSAを判断する方法は、Ertl, P., et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 3714〜3717;およびKelder, J., et al., Pharm. Res. 1999, 16, 1514〜1519などに記載されている。
【0066】
血液脳関門に関して、水溶性非ペプチドオリゴマー−小分子薬剤コンジュゲートでは、水溶性非ペプチドオリゴマーと結合していない小分子薬剤の通過率と比較すると血液脳関門通過率が低くなる。本明細書に記載の化合物での例示としての血液脳関門通過率の低下には、水溶性オリゴマーと結合していない小分子薬剤の血液脳関門通過率と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%の低下を含む。本発明のコンジュゲートでの好ましい血液脳関門通過率の低下は、少なくとも約20%である。
【0067】
上述したように、本発明の化合物は三環系残基を含む。特定の化合物(この化合物が水溶性非ペプチドオリゴマーを含むか否かを問わない)が抗鬱薬、抗痙攣として、あるいは鎮痛薬として作用できるか否かを判断するためのアッセイについては後述する。
【0068】
式に関して以下の段落で用いる変数、表記、記号は、他の段落とは関係ない場合もある。よって、各段落の表記と記号の定義は通常、特に明記しないかぎりはそれだけに限定され、他の段落での構文解析には用いないものとする。
【0069】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質
が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化4】


式中、
Aは、ラジカル−(CH−と−CH=CH−から選択されるブリッジであり、
ここで、
mは、1以上3以下の整数であり、
XおよびYは、水素とハロ(フルオロ、クロロ、およびブロモから選択)からなる群から選択され、
RおよびR’は、水素と1個以上5個以下の炭素原子を有する低級アルキルからなる群から選択され、
nは、1以上12以下の整数である。
【0070】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が以下の式すなわち(3’−ジメチルアミノプロピリデン)−ジベンゾ(a,d)−シクロヘプタ−1,4−ジエンN−オキシドに包含される構造およびまたはその塩酸付加塩を有する化合物が得られる。
【0071】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピン、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピン塩酸塩、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンフマラート、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンスルフェート、および2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンジヘプタノアートからなる群から選択される式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【0072】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち5−(3’−ジメチルアミノ−2’−メチルプロピル)ジベンゾ[a,d][1,4]−シクロヘプタジエンに包含される構造を有する化合物が得られる。
【0073】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち、3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジル、3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジルの薬学的に許容される酸付加塩、および3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジル塩酸塩からなる群から選択される式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【0074】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち、
【化5】


からなる群から選択される式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【0075】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち、5−(γ−メチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジルおよびその無毒の付加塩、N−(3−メチルアミノプロピル)−イミノジベンジル、およびN−(3−メチルアミノプロピル)−イミノジベンジル塩酸塩からなる群から選択される式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【0076】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、式
【化6】


(式中、Xは、2個以上3個以下の炭素原子を有するアルキレンであり、Yは、2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、およびモルホリノからなるクラスのメンバーであり、RおよびRは、同義に、水素、メチル、およびエチルからなるクラスのメンバーを表し、RおよびRは、同義に、水素、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、およびエトキシからなるクラスのメンバーを表す)で表される10−(塩基的置換)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピンからなる群から選択される化合物である化合物が得られる。
【0077】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系残基が、式
【化7】


(式中、アルキレンは、2個以上4個以下の炭素を有し、少なくとも2個の炭素が複素環核からXを分離し、Xは、炭素数2〜4個のジアルキルアミノ、ピリリジノ、ピペリジノ、およびモルホリノからなる群から選択され、各Yが独立に、水素、クロロ、メチル、メトキシ、およびエトキシからなる群から選択される)の化合物からなる群から選択される化合物が得られる。
【0078】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、式
【化8】


(式中、Rは、水素、メチル、およびエチルからなるクラスから選択され、−X−Yは、塩基性ラジカルであり、式中、Xは2個以上3個以下の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、Yは、2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、および4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルからなるクラスから選択され、RおよびRは、水素、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、メチルメルカプト、およびエチルメルカプトからなるクラスから選択される)の置換5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン誘導体からなる群から選択される化合物である化合物が得られる。
【0079】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化9】


式中、Rは、CHとCからなる群から選択されるメンバーであり、Rは、Cl、CH、CF、およびCからなる群から選択されるメンバーである。
【0080】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化10】


式中、Rは、CHとCからなる群から選択されるメンバーであり、Rは、H、Cl、CH、CF、およびCからなる群から選択されるメンバーである。
【0081】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式すなわち、11−(3−ジメチルアミノプロピリデン)−6,11−ジヒドロ−ジベンズ−(b,e)チエピンに包含される構造を有する化合物が得られる。
【0082】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化11】


式中、Rは、水素とハロからなる群のメンバーであり、Aは、4−(β−ヒドロキシエチル−ピペリジノ)である。
【0083】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化12】


式中、nは0〜1の整数であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。
【0084】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペ
プチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化13】


式中、XおよびYが各々、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜4個の炭素原子を有するチオアルコキシ、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、1〜4個の炭素原子を有するアシル、および1〜8個の炭素原子を有するジアルキルスルホンアミドからなる群から選択される。
【0085】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化14】

【0086】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化15】

【0087】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化16】


式中、RおよびRは各々、水素、フルオロ、クロロ、低級アルキル、低級アロキシ、低級アルキルチオ、およびトリフルオロメチルからなる群のメンバーであり、Zは、ジ−
低級アルキルアミノである。
【0088】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化17】

【0089】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系化合物が、遊離塩基と水溶性酸付加塩からなる群から選択され、前記遊離塩基が、式
【化18】


(式中、アルキレンは炭素原子数2〜3個のアルキレン鎖を表し、Amは、低分子ジアルキルアミノラジカル、N−ピペリジノ−、N−モルホリノ−、およびN−ピロリジノラジカルからなる群から選択されるメンバーを表す)で表される化合物が得られる。
【0090】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化19】


式中、Yは、CH−CHとCH=CHからなる群から選択され、
は、HとCHからなる群から選択され、
は、最大4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
nは、1、2、および3からなる群から選択され、
は、フェニルと最大で3つの置換基(F、Cl、OH、CF、ならびに最大4個の炭素原子を含むアルキルおよびアルコキシからなる群から選択される)で置換されたフェニルからなる群から選択され、フェニル基が、3,4−位に、アルキリデンジオキシ(最大で6個の炭素原子を有する)、シクロアルキリデンジオキシ(最大で6個の炭素原子を有する)、およびエチレンジオキシからなる群から選択される置換基を有し、
は、H、F、Cl、OCH、CF、およびSON(CHからなる群か
ら選択される。
【0091】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化20】


式中、RおよびRは各々低級アルキル基であり、Xは、水素、ハロ、低級アルキル、および低級アルキルオキシからなる群から選択され、Yは、水素とハロからなる群から選択され、
【化21】


は、ジ−低級アルキルアミノ、ベンジル−低級アルキルアミノ、および複素環アミンラジカルからなる群から選択され、前記複素環アミンは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、N−低級アルキルピペリジン、および上記のC−低級アルキル誘導体からなる群から選択される。
【0092】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環物質が、以下の式に包含される構造を有する化合物が得られる。
【化22】


式中、RおよびRは各々低級アルキル基であり、Xは、水素、ハロ、低級アルキル、および低級アルキルオキシからなる群から選択され、Yは、水素とハロからなる群から選択され、
【化23】


は、ジ−低級アルキルアミノ、ベンジル−低級アルキルアミノ、飽和5員環を有する複素環アミンのラジカル、および飽和6員環を有する複素環アミンのラジカルからなる群から選択され、前記複素環アミンは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、N−低級アルキルピペリジン、および上記のC−低級アルキル誘導体からなる群から選択される。
【0093】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系化合物が、式
【化24】


(式中、RおよびR’は、同一または異なっており、各々水素または1〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、Rは、水素、炭素原子数1〜5個のアルキルまたはベンジルである)で表される化合物が得られる。
【0094】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系化合物が、式
【化25】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される)で表される化合物が得られる。
【0095】
本発明の1つ以上の実施形態では、安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系残基を含む化合物であって、三環系化合物が、式
【化26】


(XおよびYが各々、水素とハロからなる群から選択されるメンバーである)で表される化合物が得られる。
【0096】
場合によっては、商業ソースから三環物質を得ることが可能である。また、化学合成によって三環物質を得ることも可能である。三環物質ならびに三環物質を調製するための合成方法の例は文献に記載されており、たとえば、独国特許出願公開第2030492A1号明細書、同第2030492A号明細書、独国特許出願公告第2030492B2号明細書、独国特許第2030492C3号明細書、英国特許第1191800A号明細書、米国特許第2554736号明細書、同第2948718号明細書、同第3177209号明細書、同第3205264号明細書、同第3244748号明細書、同第3271451号明細書、同第3299139号明細書、同第3312689号明細書、同第3409640号明細書、同第3419547号明細書、同第3438981号明細書、同第3442949号明細書、同第3454554号明細書、同第3467650号明細書、同第3527766号明細書、同第3574852号明細書、同第3622565号明細書、同第3637660号明細書、同第3663696号明細書、同第3758528号明細書、同第3963778号明細書に記載されている。これらの(ならびに他の)三環物質は各々、(直接的に、あるいは1つ以上の原子を介して)水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合的に結合可能である。
【0097】
小分子薬剤の例示としての分子量としては、約950未満、約900未満、約850未満、約800未満、約750未満、約700未満、約650未満、約600未満、約550未満、約500未満、約450未満、約400未満、約350未満、約300未満の分子量があげられる。
【0098】
本発明で用いられる小分子薬剤は、キラルであれば、ラセミ混合物であってもよいし、単一の光学的に活性なエナンチオマーなどの光学的に活性な形態であってもよく、あるいはエナンチオマーの組み合わせまたは比(すなわち、スカレミック混合物)であってもよい。また、小分子薬剤は、1つ以上の幾何異性体を有することがある。幾何異性体に関して、組成物は、単一の幾何異性体または2つ以上の幾何異性体の混合物を含み得る。本発明で用いる小分子薬剤には、その普通の活性形態が可能なものであり、あるいは、若干の修飾を有するものであってもよい。たとえば、小分子薬剤は、オリゴマーの共有結合の前または後に、標的化剤、タグまたはこれに結合されたトランスポーターを有するものであってもよい。あるいは、小分子薬剤は、リン脂質(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンすなわち「DSPE」、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンすなわち「DPPE」など)といったこれに結合された脂溶性部分または小さな脂肪酸を有するものであってもよい。しかしながら、場合によっては、小分子薬剤部分が脂溶性部分に対する結合を含まないことが好ましい。水溶性非ペプチドオリゴマーへのカップリング用の三環物質は、オリゴマーとの共有結合に適した遊離ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アミノ基など(すなわち「ハンドル」)を有する。また、反応性基の導入、好ましくはその既存の官能基のうちの1つをオリゴマーと薬剤との安定した共有連結の形成に適した官能基に変換することによって三環物質を修飾してもよい。どちらの方法についても実験の章で示す。
【0099】
したがって、各オリゴマーは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド;ビニルアルコール、1−プロペノールまたは2−プロペノールなどのオレフィンアルコール;ビニルピロリドン;ヒドロキシアルキルメタクリルアミドまたはヒドロキシアルキルメタクリレート(この場合、アルキルは好ましくはメチルである);乳酸またはグリコール酸などのα−ヒドロキシ酸;ホスファゼン、オキサゾリン、アミノ酸、単糖などの炭化水素、マンニトールなどのアルジトール;N−アクリロイルモルホリンからなる群から選択される最大3種類のタイプのモノマーで構成される。好ましいモノマータイプとしては、アルキレンオキシド、オレフィンアルコール、ヒドロキシアルキルメタクリルアミドまたはメタクリレート、N−アクリロイルモルホリン、α−ヒドロキシ酸があげられる。好ましくは、各オリゴマーが独立して、この群から選択される2つのモノ
マータイプのコオリゴマーであるか、一層好ましくは、この群から選択される1つのモノマータイプのホモオリゴマーである。
【0100】
コオリゴマーにおける2つのモノマータイプは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドといった2つのアルキレンオキシドなどの同一のモノマータイプであってもよい。好ましくは、オリゴマーは、エチレンオキシドのホモオリゴマーである。通常は、必ずしもそうである必要はないが、小分子を共有結合的に結合していないオリゴマーの末端をキャップして、これを非反応性にする。あるいは、末端が反応性基を含むものであってもよい。末端が反応性基である場合、反応性基は、最終的なオリゴマーの形成条件下または小分子薬剤に対するオリゴマーの共有結合時に非反応性であるように選択されるか、必要に応じて保護される。一般的なひとつの末端官能基に、特にオリゴエチレンオキシドについてのヒドロキシルまたは−OHがある。
【0101】
水溶性非ペプチドオリゴマー(本明細書にて提供するさまざまな構造における「POLY」など)は、多数の異なる幾何学的形状のうち、どのような形状をとるものであってもよい。たとえば、水溶性非ペプチドオリゴマーは、直鎖、分岐鎖またはフォーク状であり得る。最も一般には、水溶性非ペプチドオリゴマーは直鎖または分岐鎖であり、たとえば、1つの分岐点を有する。本明細書の説明の多くはオリゴマーの例としてポリ(エチレンオキシド)に焦点を当てているが、本明細書にて提示する説明と構造は、上述した水溶性非ペプチドオリゴマーのいずれでも包含するよう容易に拡大適用可能である。
【0102】
リンカー部分を除く水溶性非ペプチドオリゴマーの分子量は通常、比較的低い。水溶性ポリマーの分子量の例示としての値には、約1500ダルトン未満、約1450ダルトン未満、約1400ダルトン未満、約1350ダルトン未満、約1300ダルトン未満、約1250ダルトン未満、約1200ダルトン未満、約1150ダルトン未満、約1100ダルトン未満、約1050ダルトン未満、約1000ダルトン未満、約950ダルトン未満、約900ダルトン未満、約850ダルトン未満、約800ダルトン未満、約750ダルトン未満、約700ダルトン未満、約650ダルトン未満、約600ダルトン未満、約550ダルトン未満、約500ダルトン未満、約450ダルトン未満、約400ダルトン未満、約350ダルトン未満、約300ダルトン未満、約250ダルトン未満、約200ダルトン未満、約100ダルトン未満がある。
【0103】
水溶性非ペプチドオリゴマー(リンカーを除く)の分子量の例示としての範囲は、約100から約1400ダルトン、約100から約1200ダルトン、約100から約800ダルトン、約100から約500ダルトン、約100から約400ダルトン、約200から約500ダルトン、約200から約400ダルトン、約75から1000ダルトン、約75から約750ダルトンがあげられる。
【0104】
好ましくは、水溶性非ペプチドオリゴマーのモノマー数は、以下の範囲すなわち、約1〜約30(これらの値も含む)、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約12、約1〜約10のうちの1つ以上に入る。特定の場合には、オリゴマー(および対応するコンジュゲート)で直列になっているモノマー数は、1、2、3、4、5、6、7または8のうちの1つである。別の実施形態では、オリゴマー(および対応するコンジュゲート)が、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のモノマーを含む。さらに他の実施形態では、オリゴマー(および対応するコンジュゲート)が、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のモノマーを直列に含む。よって、たとえば、水溶性非ペプチドポリマーがCH−(OCHCH−を含む場合、「n」は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30であり得る整数であり、以下の範囲すなわち、約1
〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約12、約1〜約10のうちの1つ以上に入り得る。
【0105】
水溶性非ペプチドオリゴマーが、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のモノマーを有する場合、これらの値はそれぞれ、分子量が約75、119、163、207、251、295、339、383、427、471ダルトンのメトキシエンドキャップされたオリゴ(エチレンオキシド)に対応する。オリゴマーが11、12、13、14または15のモノマーを有する場合、これらの値はそれぞれ、約515、559、603、647、691ダルトンに対応する分子量のメトキシエンドキャップされたオリゴ(エチレンオキシド)に対応する。
【0106】
水溶性非ペプチドオリゴマーが(1つ以上のモノマーを段階的に加えてオリゴマーを三環物質に効果的に「成長させる」こととの対比で)三環物質に結合されている場合、水溶性非ペプチドオリゴマーの活性化された形態を含む組成物が単分散であると好ましい。しかしながら、二峰性組成物を用いる場合、この組成物は上記の任意の2つの数のモノマーを中心とした二峰性分布を持つことになる。たとえば、二峰性オリゴマーは、モノマーサブユニットについての以下の例示としての組み合わせのうちのいずれを有するものであってもよい。1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−9、1−10など;2−3、2−4、2−5、2−6、2−7、2−8、2−9、2−10など;3−4、3−5、3−6、3−7、3−8、3−9、3−10など;4−5、4−6、4−7、4−8、4−9、4−10など;5−6、5−7、5−8、5−9、5−10など;6−7、6−8、6−9、6−10など;7−8、7−9、7−10など;8−9、8−10など。
【0107】
場合によっては、水溶性非ペプチドオリゴマーの活性化された形態を含む組成物が、上述したような一定範囲のモノマー単位を有する三峰性または四峰性のものである。オリゴマーの十分に定義された(すなわち、二峰性、三峰性、四峰性など)混合物を含むオリゴマー組成物を、オリゴマーの所望のプロファイルを得るように精製された単分散オリゴマーを混合して(モノマー数だけが異なる2種類のオリゴマーの混合物は二峰性であり、モノマー数だけが異なる3種類のオリゴマーの混合物は三峰性であり、モノマー数だけが異なる4種類のオリゴマーの混合物は四峰性である)調製することが可能であり、あるいは、所望かつ定義された分子量の範囲にあるオリゴマーの混合物を得るように「中心カット(center cut)」を回収する多分散オリゴマーのカラムクロマトグラフィで得ることが可能である。
【0108】
好ましくは単分子または単分散の組成物から水溶性非ペプチドオリゴマーを得るのが好ましい。すなわち、組成物中のオリゴマーは、分子量の分布ではなく同一の離散分子量値を有する。単分散オリゴマーの中には、Sigma−Aldrichから入手可能なものなど商業ソースから購入可能なものもあるし、あるいは、Sigma−Aldrichなどの市販の開始材料から直接調製することも可能である。水溶性非ペプチドオリゴマーは、Chen Y., Baker, G.L., J. Org. Chem., 6870〜6873 (1999)、国際公開第02/098949号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0136031号明細書に記載されているようにして調製可能である。
【0109】
存在する場合、スペーサー部分(これによって水溶性非ペプチドポリマーが三環物質に結合)は、単結合、単一原子(酸素原子または硫黄原子など)、2つの原子または多数の原子であり得る。スペーサー部分は一般にもともと直鎖状であるが、必ずしもそうとはかぎらない。スペーサー部分「X」は、加水分解的に安定し、好ましくは酵素的にも安定している。好ましくは、スペーサー部分「X」は、鎖長が約12原子未満のものであり、好
ましくは約10原子未満、なお一層好ましくは約8原子未満、さらに一層好ましくは約5原子未満のものであり、この長さは単鎖の原子数を意図するものであって、置換基を数えたものではない。たとえば、Rオリゴマー−NH−(C=O)−NH−R’薬剤などの尿素連結は鎖長が3原子(−NH−C(O)−NH−)であるとみなす。選択的な実施形態において、連結にはさらにスペーサー基を含まない。
【0110】
場合によっては、スペーサー部分「X」が、エーテル、アミド、ウレタン、アミン、チオエーテル、尿素または炭素−炭素結合を含む。一般に、連結の形成には後述ならびに実施例にて例示するものなどの官能基を使用する。スペーサー部分は、それほど好ましくはないが、後述するように他の原子を含む(または他の原子と隣接または他の原子にフランクされた)ものであってもよい。
【0111】
具体的には、選択的な実施形態において、本発明のスペーサー部分Xは、以下のうちのいずれであってもよい。「−」(すなわち、三環系残基と水溶性非ペプチドオリゴマーとの間の安定したまたは分解可能であり得る共有結合)、−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH−C(O)O−、−CH−OC(O)−、−C(O)O−CH−、−OC(O)−CH−、C(O)−NH、NH−C(O)−NH、O−C(O)−NH、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、二価シクロアルキル基、−N(R)−、Rは、Hであるか、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールからなる群から選択される有機ラジカルである。別のスペーサー部分として、アシルアミノ、アシル、アリールオキシ、1個以上5個以下の炭素原子を含有するアルキレンブリッジ、アルキルアミノ、約2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、
4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルがあげられる。
【0112】
しかしながら、本発明の目的で、原子の群はこれがオリゴマーセグメントにすぐ隣接している場合は連結とはみなされず、この原子の群は、オリゴマー鎖を単に伸ばしただけの群であるという点でオリゴマーのモノマーと同一である。
【0113】
水溶性非ペプチドオリゴマーと小分子との間の連結「X」は一般に、オリゴマー(またはオリゴマーを三環物質に「成長させる」ことが望ましい場合は新生オリゴマー)の末端にある官能基と三環物質内の対応する官能基との反応によって形成される。以下、例示的な反応を簡単に説明する。たとえば、オリゴマーのアミノ基を小分子のカルボン酸または活性化されたカルボン酸誘導体と反応させるかその逆によって、アミド結合を生成することができる。あるいは、オリゴマーのアミンと薬剤の活性化された炭酸塩(炭酸スクシンイミジルまたは炭酸ベンゾトリアジルなど)との反応またはその逆では、カルバミン酸塩の結合が形成される。オリゴマーのアミンと薬剤のイソシアネート(R−N=C=O)との反応またはその逆では、尿素結合(R−NH−(C=O)−NH−R’)が形成される。さらに、オリゴマーのアルコール(アルコキシド)基とハロゲン化アルキルまたは薬剤内のハロゲン化物との反応またはその逆では、エーテル結合(linkage)が形成される。さらに別のカップリング法においては、アルデヒド官能基(function)を持つ小分子を還元的アミノ化によってオリゴマーのアミノ基とカップリングし、オリゴマーと小分子の間に第二級アミンの連結を形成する。
【0114】
特に好ましい水溶性非ペプチドオリゴマーは、アルデヒド官能基を有するオリゴマーである。この点について、オリゴマーは以下の構造を有することになる。CHO−(CH−CH−O)−(CH−C(O)H[この場合、(n)は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のうちの1つであり、(p)は1、2、3、4、5、6、7のうちの1つである]を有する。好ましい(n)の値としては3、5、7があげられ、好ましい(p)の値としては2、3、4があげられる。
【0115】
官能基を持たない水溶性非ペプチドオリゴマーの末端は、非反応性になるようにキャップされている。オリゴマーがコンジュゲートの形成用以外で末端にさらに官能基を含む場合、その基は連結「X」の形成条件下で非反応性であるように選択されるか、連結「X」の形成時には保護される。
【0116】
上述したように、水溶性非ペプチドオリゴマーは、コンジュゲーションの前に少なくとも1つの官能基を含む。官能基は一般に、小分子に含まれるまたは小分子に導入される反応性基に応じて、小分子との共有結合のための求電子基または求核基を含む。オリゴマーまたは小分子のいずれかに存在し得る求核基の例としては、ヒドロキシル、アミン、ヒドラジン(−NHNH)、ヒドラジド(−C(O)NHNH)、チオールがあげられる。好ましい求核剤には、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、チオールがあり、特にアミンがある。オリゴマーに対して共有結合される小分子薬剤のほとんどは、遊離のヒドロキシル、アミノ、チオ、アルデヒド、ケトンまたはカルボキシル基を有する。
【0117】
オリゴマーまたは小分子のいずれかに存在し得る求電子官能基の例としては、カルボン酸、カルボン酸エステル、特にイミドエステル、オルトエステル、カーボネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルデヒド、ケトン、チオン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、スルホン、マレイミド、ジスルフィド、ヨード、エポキシ、スルホネート、チオスルホネート、シラン、アルコキシシラン、およびハロシランがあげられる。これらの群のさらに具体的な例として、スクシンイミジルエステルまたは炭酸塩、イミダゾイルエステルまたは炭酸塩、ベンゾトリアゾールエステルまたは炭
酸塩、ビニルスルホン、クロロエチルスルホン、ビニルピリジン、ピリジルジスルフィド、ヨードアセトアミド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレート(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)があげられる。
【0118】
また、チオン、チオン水和物、チオケタールなどのこれらの群のうちのいくつかの硫黄類似体、2−チアゾリジンチオンなど、ならびに上記の部分のいずれかの水和物または保護化誘導体(アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、ケトン水和物、ヘミケタール、ケタール、チオケタール、チオアセタールなど)も含まれる。
【0119】
カルボン酸の「活性化された誘導体」とは、誘導体化していないカルボン酸よりも通常はかなり容易に求核剤と反応するカルボン酸誘導体を示す。活性化されたカルボン酸は、たとえば、酸ハロゲン化物(酸クロリドなど)、無水物、炭酸塩、エステルを含む。このようなエステルとしては、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルまたはN−ヒドロキシフタルイミジルエステルなど、一般的形態−(CO)O−N[(CO)−]で示されるイミドエステルがあげられる。また、イミダゾリルエステルやベンゾトリアゾールエステルも好ましい。特に好ましいのは、本件と同一出願人による米国特許第5,672,662号明細書に記載されているような、活性化されたプロピオン酸またはブタン酸のエステルである。これには、形態−(CH2〜3C(=O)O−Qの群を含むが、この場合のQは、N−スクシンイミド、N−スルホスクシンイミド、N−フタルイミド、N−グルタルイミド、N−テトラヒドロフタルイミド、N−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ベンゾトリアゾール、7−アザベンゾトリアゾール、およびイミダゾールから選択されると好ましい。
【0120】
他の好ましい求電子基としては、炭酸スクシンイミジル、マレイミド、炭酸ベンゾトリアゾール、グリシジルエーテル、炭酸イミダゾイル、炭酸p−ニトロフェニル、アクリレート、トレシレート、アルデヒド、およびオルトピリジルジスルフィドがあげられる。
【0121】
これら求電子基を、ヒドロキシ、チオまたはアミノ基などの求核剤と反応させ、さまざまな結合タイプを形成する。本発明で好ましいのは、加水分解的に安定した連結の形成を好む反応である。たとえば、オルトエステル、スクシンイミジルエステル、イミダゾリルエステル、ベンゾトリアゾールエステルを含むカルボン酸やその活性化された誘導体は、上記のタイプの求核剤と反応して、それぞれエステル、チオエステル、アミドを形成し、このうちアミドが加水分解的に最も安定である。炭酸スクシンイミジル、炭酸イミダゾリル、炭酸ベンゾトリアゾールをはじめとする炭酸塩は、アミノ基と反応してカルバミン酸塩を形成する。
イソシアネート(R−N=C=O)はヒドロキシル基またはアミノ基と反応して、それぞれ、カルバミン酸塩(RNH−C(O)−OR’)または尿素(RNH−C(O)−NHR’)連結を形成する。アルデヒド、ケトン、グリオキサール、ジオン、これらの水和物またはアルコールアダクト(すなわち、アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、ケトン水和物、ヘミケタール、ケタール)を、好ましくはアミンと反応させた後、必要があれば得られるイミンを還元して、アミン連結を得る(還元アミン化)。
【0122】
求電子官能基のなかには、チオールなどの求核基が結合する求電子二重結合を含むか追加可能であって、たとえば、チオエーテル結合を形成する。これらの基として、マレイミド、ビニルスルホン、ビニルピリジン、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドがあげられる。他の基は、求核基で置き換え可能な脱離基を含み、これには、クロロエチルスルホン、ピリジルジスルフィド(切断可能なS−S結合を含む)、ヨードアセトアミド、メシレート、トシレート、チオスルホネート、トレシレートが含まれる。エポキシドは、求核剤によって開環することで反応し、たとえばエーテルまたはアミン結合を形成する。オリゴマーと小分子の上述したものなどの相補的反応性基を伴う反応は、本発明のコ
ンジュゲートの調製に利用される。
【0123】
場合によっては、コンジュゲーションに適した官能基が三環物質にないこともある。この場合、コンジュゲーションに適した官能基を持つように、「もとの」三環物質を修飾(または「官能化」)することが可能である。たとえば、三環物質にアミド基はあるがアミン基が望ましい場合、Hofmann転位、Curtius転位(アミドがアジドに変換されたら)またはLossen転位(アミドがヒドロオキサミドに変換された後、トリレン−2−塩化スルホニル/塩基で処理したら)によって、このアミド基を修飾してアミン基にすることが可能である。
【0124】
カルボキシル基を持つ小分子三環物質のコンジュゲートを調製可能であるが、この場合、カルボキシル基を持つ小分子三環物質をアミノ末端オリゴマーエチレングリコールとカップリングして、小分子三環物質をオリゴマーに共有結合的に連結しているアミド基を有するコンジュゲートを提供する。これは、たとえば無水有機溶媒中にてカルボキシル基を持つ小分子三環物質とアミノ末端化オリゴマーエチレングリコールとをカップリング試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミドすなわち「DCC」など)の存在下で組み合わせて実現可能である。
【0125】
さらに、ヒドロキシル基を持つ小分子三環物質のコンジュゲートを調製可能であるが、この場合、ヒドロキシル基を持つ小分子三環物質をオリゴマーエチレングリコールハロゲン化物とカップリングし、エーテル(−O−)連結小分子コンジュゲートを得る。これは、たとえば水素化ナトリウムを用いてヒドロキシル基を脱プロトン化した後、ハロゲン化物末端化オリゴマーエチレングリコールと反応させて実現可能である。
【0126】
さらに、ヒドロキシル基を持つ小分子三環部分のコンジュゲートを調製可能である(たとえば、式Iに包含される構造を有する三環部分など)が、この場合、ヒドロキシル基を持つ小分子三環部分を、ハロフォーメート基[CH(OCHCHOC(O)−ハロなどであり、ハロは、クロロ、ブロモ、ヨードである]を持つオリゴマーエチレングリコールにカップリングし、炭素塩[−O−C(O)−O−]連結小分子コンジュゲートを得る。これは、たとえば、三環部分と、ハロフォーメート基を持つオリゴマーエチレングリコールとを求核触媒(4−ジメチルアミノピリジンすなわち「DMAP」)の存在下で組み合わせ、対応する炭酸塩連結コンジュゲートを得て実施可能である。
【0127】
もうひとつの例では、まずケトン基を還元して対応するヒドロキシル基を形成することで、ケトン基を持つ小分子三環物質のコンジュゲートを調製することが可能である。その後、ヒドロキシル基を持った小分子三環物質を本明細書に記載のようにしてカップリング可能である。
【0128】
さらに別の例では、アミン基を持つ小分子三環物質のコンジュゲートを調製することが可能である。ひとつの方法において、アミン基を持つ小分子三環物質とアルデヒドを持つオリゴマーとを好適な緩衝液に溶解させた後、好適な還元剤(NaCNBHなど)を加える。還元後、得られるのはアミン基含有小分子三環物質のアミン基とアルデヒドを持つオリゴマーのカルボニル炭素との間のアミン連結である。
【0129】
アミン基を持つ小分子三環物質のコンジュゲートを調製するためのもうひとつの方法では、一般にカップリング試薬(DCCなど)の存在下にて、カルボン酸を持つオリゴマーとアミン基を持つ小分子三環物質とを組み合わせる。得られるのは、アミン基含有小分子三環物質のアミン基とカルボン酸を持つオリゴマーのカルボニルとの間に形成されるアミド連結である。
【0130】
本発明の例示としての化合物は、以下の構造を有するものを含む。
【化27】


式中、
Dは、CまたはNであり、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
Xは、スペーサー部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0131】
本発明のコンジュゲートでは、血液脳関門通過率が下がる。さらに、このコンジュゲートは、未修飾の親小分子薬剤に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%またはそれを超える生物活性を維持する。
【0132】
本明細書に開示のコンジュゲートの全容は記載のとおりであるが、最適な大きさのオリゴマーを以下のようにして同定可能であると思われる。
【0133】
まず、単分散または二峰性水溶性オリゴマーから得られるオリゴマーを小分子薬剤にコンジュゲートする。好ましくは、薬剤は経口的に生物学的利用可能なものであり、それ自体が無視できない血液脳関門通過率を呈するものである。次に、適当なモデルを用いてコンジュゲートが血液脳関門を通過する能力を判断し、未修飾の親の薬剤の場合と比較する。結果が望ましいものであれば、すなわち、たとえば通過率が有意に低減されていれば、コンジュゲートの生物活性をさらに評価する。好ましくは、本発明による化合物は、親の薬剤に対して有意な度合いの生物活性を保つ、すなわち、親の薬剤の生物活性の約30%を超え、あるいはなお一層好ましくは親の薬剤の生物活性の約50%を超える。
【0134】
モノマーのタイプは同じであるがサブユニット数が異なるオリゴマーを用いて上記のステップを1回以上繰り返し、結果を比較する。
【0135】
コンジュゲート化されていない小分子薬剤と比較して、血液脳関門を通過しにくくした各コンジュゲートについて、その経口生物学的利用率を評価する。これらの結果に基づいて、すなわち、所定の小分子内の所定の位置または場所における小分子と、さまざまな大きさのオリゴマーのコンジュゲートとを比較した結果に基づいて、生体膜通過性の低下、経口生物学的利用率、生物活性の最適なバランスを有するコンジュゲートを提供する上で最も効果的なオリゴマーの大きさを決めることが可能である。オリゴマーが小さければ、そのようなスクリーニングが実行可能になり、結果として得られるコンジュゲートの特性を効果的に調整できる。オリゴマーの大きさを少しずつ大きくして、実験的な設計手法を採用することで、生体膜通過率の低下、生物活性、経口生物学的利用率のバランスが望ましいコンジュゲートを有効に同定することができる。場合によっては、薬剤の経口生物学的利用率を実際に増加させるのに、本明細書に記載したオリゴマーの結合が有効である。
【0136】
たとえば、当業者であれば常法による実験を用いて、まず分子量と官能基の異なる一連のオリゴマーを調製した後、コンジュゲートを患者に投与して定期的に血液および/または尿のサンプルを採取して必要なクリアランスのプロファイルを得ることで、経口生物学的利用率を改善するのに最適な分子サイズと連結を判断することができる。試験したコンジュゲートごとに一連のクリアランスのプロファイルが得られてしまえば、好適なコンジュゲートを特定することが可能である。
【0137】
動物モデル(齧歯類と犬)を使用して、経口薬剤輸送について研究することも可能である。また、in vivo以外の方法として、齧歯類の反転腸管の組織切片やCaco−2細胞の単層膜組織培養モデルがあげられる。これらのモデルは、薬剤の経口薬剤生物学的利用率を予測する上で有用である。
【0138】
三環物質または三環物質のコンジュゲートならびに水溶性非ペプチドポリマーが三環系治療薬としての活性を持つか否かを判断するには、このような化合物を試験すればよい。三環物質系化合物には、哺乳動物および鳥類で鎮静作用、催眠作用、抗不安作用、静穏作用、抗痙攣作用、筋弛緩作用がある。また、哺乳動物では抗鬱薬および鎮痛薬としての作用も呈する。
【0139】
さまざまな細胞系を用いる、受容体に対するin vitroでの結合研究が製薬業界での定法となっている。
【0140】
鎮静作用:チムニー試験:この試験は、マウスが垂直のガラス製円筒から30秒以内に逆戻りして外に出る能力を判断するものである。有効薬用量で、マウスの50%がこれに失敗する(ED50)。
【0141】
皿試験:ペトリ皿(直径10cm、高さ5cm、部分的に木のかんな屑に埋めてある)の中にいるマウスは、処理しなければ極めて短時間でよじ登って外に出る。3分間を超えて皿の中に残っているマウスが精神安定状態を示す。ED50はマウスの50%が皿の中に残る試験化合物用量に等しい。
【0142】
台座試験:未処理のマウスは1分未満しか台座におらず、標準的なマウス飼育箱の床にはい戻る。落ち着いたマウスは1分間を超えて台座にとどまる。マウスの50%を台座にとどまらせる化合物量を特定することで、ED50(腹腔内投与)を判断する。
【0143】
ニコチン拮抗試験:6匹からなる群のマウスに被験化合物を注射する。30分後、対照(未処理)マウスを含めてマウスにサリチル酸ニコチン(2mg/kg)を注射する。対照マウスでは過剰な刺激すなわち、(1)痙攣に続いて(2)強直性伸筋フィット(fit)、さらに(3)死亡が認められる。マウスの50%が過剰な刺激を示さない化合物量を特定することで、ED50(腹腔内投与)を判断する。
【0144】
ストリキニーネ(硫酸塩として)に対する拮抗:試験では、マウスに被験化合物を経口投与し、30分後に3mg/kg硫酸ストリキニーネを腹腔内投与する。4時間後に生き残ったマウスが、筋弛緩剤および抗痙攣薬としての化合物の活性を反映している。
【0145】
抗鬱薬の主な機能は、鬱状態の個人を正常に機能するところまで戻すことにある。これは、健常な個体に過剰な刺激を生むアンフェタミンなどの精神刺激と慎重に区別する必要がある。
【0146】
抗鬱薬活性の評価には、多くの異なる方法が用いられてきており、現在も用いられている。通常、これらの方法では、レセルピンまたはテトラベナジンなどの降下剤に対する拮
抗あるいは特定化合物(すなわちヨヒンビンまたは3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)の毒性の相乗的な増加と、新たな化合物と他の周知の抗鬱薬との薬剤作用の比較を必要とする。単一の試験だけでは新たな化合物が抗鬱薬であるか否かを判断することはできないが、抗鬱作用があれば、さまざまな試験で実証されるプロファイルによってそれが確立される。そのような多数の試験については後述する。
【0147】
オキソトレモリン:[1−(4−ピロリジノ−2−ブチニル)−2−ピロリジノン]を用いる低体温試験。オキソトレモリン(ならびにアポモルヒネおよびテトラベナジン)は、マウスで低体温応答を生成する。この応答をアトロピンなどの抗コリン薬やイミプラミンなどの抗鬱薬でブロックする。マウスにオキソトレモリン1mgを腹腔内注射する。薬剤投与前と投与30分後に体温低下を電子温度計で直腸測定する。対照マウス(オキソトレモリン単独)と処理マウス(オキソトレモリンと被験化合物)の約4℃の差を利用して、被験化合物の拮抗作用を示す。
【0148】
ヨヒンビン凝集毒性の増強:マウスに抗鬱薬を注射し、30分後に塩酸ヨヒンビンを生理食塩水に入れたものを30mg注射する。2時間後、LD50を判断する。通常、30mgのヨヒンビンではどのマウスも死なない。抗鬱薬の存在下でヨヒンビンを投与すると、ヨヒンビンの毒性増加が観察される。被験化合物のED50値を判断する。
【0149】
アポモルヒネによる齧りの増強:塩酸アポモルヒネ10mg/kgの皮下注射の1時間前に、マウスに被験化合物を腹腔内投与する。続いて、裏側にセロファンの付いた吸収紙を底に敷いたプラスチック製の箱(6「×11」×5インチ)にマウスを入れる。30分経過した終了時における紙の損傷度に、0から4まで評点を付ける。評点3および4は、この試験で化合物がアポモルヒネの増強物質であることを示す。
【0150】
三環物質誘導体自体または三環物質のコンジュゲートあるいはその誘導体が活性(鎮痛活性など)を有するかどうかを判断するために、このような化合物を試験することが可能である。たとえば、Kolesnikov et al. (1999) J. Pharmacol. Exp. Ther. 290: 247〜252に記載されているようにして、目的の化合物をマウスに局所投与して鎮痛を評価する。簡単に説明すると、目的の化合物を含有するDMSO溶液に、表記の時間(一般には2分間)尾の遠位部分(2〜3cm)を浸す。尾の処理溶液に浸した部分に対して試験を実施する。このようにして投与した作用剤の鎮痛作用は尾の曝露部分だけに限定されるからである。抗侵害または鎮痛は、基線遅延の2倍よりも大きい個々の動物の尾フリック遅延として定義される。基線遅延は一般に、2.5〜3.0秒間の範囲であり、鎮痛動物での組織の損傷を最小限に抑える最大カットオフ遅延は10秒間である。ED50値を判断することが可能である。
【0151】
三環物質誘導体自体または三環物質のコンジュゲートあるいはその誘導体の鎮痛活性を評価するためのもうひとつの方法では、「苦悶試験」を実施可能である。簡単に説明すると、0.7%の酢酸溶液をマウスに投与(i.p.)し、苦悶応答数を10分間数える。その後、試験対象となる化合物を[たとえば、注射(皮下注射など)]によってマウスに投与し、以下の式を用いて抗侵害を阻害率で定量化する。阻害率%=[(対照応答−試験応答)/対照応答]×100。
【0152】
また、本発明は、薬学的賦形剤との組み合わせで本明細書に記載のコンジュゲートを含む医薬品も含む。通常は、コンジュゲート自体が固体状(沈殿物など)であり、これを固体または液体状のいずれかの好適な薬学的賦形剤と組み合わせることが可能である。
【0153】
例示としての賦形剤には、限定することなく、炭水化物、無機塩、抗微生物剤、酸化防止剤、界面活性剤、緩衝液、酸、塩基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択さ
れるものを含む。
【0154】
糖、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖および/または糖ポリマーなどの炭化水素が賦形剤として含まれていてもよい。具体的な炭化水素賦形剤としては、たとえば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、スターチなどの多糖、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、ミオイノシトールなどのアルジトールがあげられる。
【0155】
賦形剤には、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、およびこれらの組み合わせなどの無機塩または緩衝液を含むことも可能である。
【0156】
調製物は、微生物の成長を防止または遅らせるための抗微生物剤を含むものであってもよい。本発明に適した抗微生物剤の非限定的な例として、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、およびこれらの組み合わせがあげられる。
【0157】
調製物には酸化防止剤も含有させることが可能である。酸化防止剤は、酸化を防止して調製物中のコンジュゲートまたは他の成分の劣化を防ぐために用いられる。本発明で用いられる好適な酸化防止剤としては、たとえば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、重硫酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド、メタ重亜硫酸ナトリウム、これらこれらの組み合わせがあげられる。
【0158】
界面活性剤を賦形剤として含有してもよい。例示としての界面活性剤には、「Tween 20」および「Tween 80」などのポリソルベート、F68およびF88などのプロロニック(いずれもBASF、Mount Olive, NJから入手可能);ソルビタンエステル;レシチンといったリン脂質および他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸および脂肪酸エステルなどの脂質;コレステロールなどのステロイド;EDTA、亜鉛、他のこのような好適なカチオンなどのキレート化剤がある。
【0159】
薬学的に許容される酸または塩基も賦形剤として調製物中に含有させることができるものである。使用可能な酸の非限定的な例として、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸があげられる。好適な塩基の例として、限定することなく、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基があげられる。
【0160】
組成物中のコンジュゲートの量は多数の要因次第で変わるが、組成物を単位用量の容器で保存する場合は、治療有効用量であると最適であろう。治療有効用量は、コンジュゲートの量を増やしながら繰り返し投与して、どの量で臨床的に望ましい端点が得られるかを判断することで、実験的に定められるものである。
【0161】
組成物中の個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性と、組成物の特定の必要性に応じて変わ
る。一般に、個々の賦形剤の最適量は、常法による実験すなわち、さまざまな量の賦形剤(低量から高量まで)を含有する組成物を調製し、安定性および他のパラメータを試験した上で、有意な副作用を伴わずに最適な効果が得られる範囲を求めることで決定される。
【0162】
しかしながら、賦形剤は通常、約1%から約99重量%、好ましくは約5%〜98重量%の量で組成物中に存在し、一層好ましくは約15〜95重量%が賦形剤であって、濃度30重量%未満が最も好ましい。
【0163】
上述した薬学的賦形剤ならびに他の賦形剤、薬学的組成物に関する一般的な教示内容は、”Remington: The Science & Practice of Pharmacy”, 19th ed., Williams & Williams,
(1995)、”Physician’s Desk Reference”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ (1998)、Kibbe, A.H., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, American
Pharmaceutical Association, Washington,
D.C., 2000に記載されている。
【0164】
薬学的組成物は、さまざまな形態を取り得るものであり、この点に関して本発明は何ら限定されるものではない。例示としての調製物は、最も好ましくは、錠剤、カプレット、カプセル、ジェルキャップ、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、エリキシル剤、シロップ、薬用キャンディなどの経口投与に適した形態、経皮パッチ、スプレー、坐剤および粉末である。
【0165】
経口投与により活性のあるコンジュゲートについては経口剤形が好ましく、錠剤、カプレット、カプセル、ジェルキャップ、懸濁液、溶液、エリキシル剤、シロップが含まれ、任意にカプセル化された複数の顆粒、ビーズ、粉末またはペレットも含まれる。このような剤形は、医薬製剤の分野の人々には周知であり、関連のテキストに説明されている従来の方法で調製される。
【0166】
錠剤およびカプレットは、たとえば、標準的な錠剤処理方法と装置を用いて製造可能である。本明細書に記載のコンジュゲートを含む錠剤やカプレットの調製には、直接打錠や顆粒成型の技術が好ましい。コンジュゲートだけでなく、錠剤やカプレットは通常、薬学的に許容される不活性キャリア材料、たとえば、バインダー、潤滑剤、崩壊剤、フィラー、安定剤、界面活性剤、着色剤、流動化剤などを含む。バインダーは、錠剤に結合性をもたせ、錠剤が損なわれないようにするものである。好適なバインダー材料としては、スターチ(コーンスターチおよびα化したスターチを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、ならびにアカシアアルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを含む)、Veegumなどの天然ガムおよび合成ガムがあげられるが、これに限定されるものではない。潤滑剤は、粉末の流れをよくして、圧力を緩和した際の粒子キャッピング(すなわち粒子の破損)を防いで錠剤を製造しやすくするのに用いられる。有用な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸があげられる。崩壊剤は、錠剤を崩壊しやすくするために用いられるものであり、通常は、スターチ、クレー、セルロース、アルギン、ガムまたは架橋ポリマーである。フィラーとしては、たとえば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微結晶性セルロースなどの材料、ならびにマンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、およびソルビトールなどの可溶性材料があげられ
る。安定剤は、従来技術において周知のように、酸化反応など薬剤の分解反応を阻害あるいは遅延させるのに用いられる。
【0167】
カプセルも好ましい経口剤形であり、この場合、液体またはゲル(ジェルキャップの場合)または固体(顆粒、ビーズ、粉末、ペレットなどの微粒子を含む)の形でコンジュゲート含有組成物をカプセル化することが可能である。好適なカプセルとしては、ハードカプセルおよびソフトカプセルがあげられ、通常はゼラチン、スターチまたはセルロース材料で作られる。2ピースのハードゼラチンカプセルについては、ゼラチンバンドなどで封止するのが好ましい。
【0168】
実質的に乾燥状態(一般に粉末あるいはケークの形をとり得る凍結乾燥物または沈殿物として)の非経口製剤、ならびに一般に液体である注射用に調製された製剤も含まれ、これは乾燥状態の非経口製剤を再構成する段階を必要とする。注射前に固体組成物を再構成するための好適な希釈剤の例として、注射用静菌水、5%デキストロース水溶液、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液、生理食塩水、滅菌水、脱イオン水、およびこれらの組み合わせがあげられる。
【0169】
場合によっては、非経口投与を想定した組成物は、非水溶液、懸濁液またはエマルション(いずれも一般に滅菌されている)の形をとり得る。非水性溶媒または溶媒剤の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油やトウモロコシ油などの植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルがあげられる。
【0170】
本明細書に記載の非経口製剤はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散助剤などのアジュバントを含むものであってもよい。製剤は、滅菌剤を加えたり、細菌を捕捉するフィルタを用いた濾過、放射線照射または加熱によって滅菌される。
【0171】
また、コンジュゲートは、従来の経皮パッチまたは他の経皮輸送系を用いて皮膚から投与可能であり、ここで、当該コンジュゲートは、皮膚に貼り付けられたときに薬剤送達装置として作用する積層構造内に含まれている。そのような構造において、コンジュゲートは、上側の裏打ち層の下にある層すなわち「リザーバ」に含まれる。積層構造は、単一のリザーバを含むものであってもよいし、複数のリザーバを含むものであってもよい。
【0172】
コンジュゲートを直腸投与用の坐剤として処方することも可能である。坐剤に関しては、カカオバター(カカオ脂)、ポリエチレングリコール、グリセリンゼラチン、脂肪酸、およびこれらの組み合わせなどの(室温では固体のままであるが、体温で軟化、溶融または溶解する賦形剤など)坐剤の基剤材料とコンジュゲートを混合する。坐剤は、たとえば、以下の段階を実施(必ずしもここにあげた順序でなくてもよい)して調製可能である。坐剤の基剤材料を溶融させて溶融物を形成し、コンジュゲートを(坐剤の基剤材料の溶融前または溶融後のいずれかで)取り入れ、溶融物を型に注ぎ、溶融物を冷却して(溶融物の入った型を室温環境に置くなど)坐剤を形成し、型から坐剤を取り出す。
【0173】
また、本発明は、コンジュゲートによる治療に応答する症状のある患者に、本明細書に記載したようなコンジュゲートを投与する方法を提供するものである。この方法は、通常は経口的に、治療有効量のコンジュゲート(好ましくは医薬品の一部として提供される)を投与することを含む。経肺、経鼻、頬側、直腸、舌下、経皮、非経口投与などの他の投与モードについても企図される。本明細書で使用する場合、「非経口」という用語は、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、心臓内、くも膜下腔内、および筋肉内注射、ならびに点滴注射を含む。
【0174】
非経口投与を用いる場合は、上述したものよりも若干大きな、分子量が約500から30Kダルトンの範囲にある(分子量が約500、1000、2000、2500、3000、5000、7500、10000、15000、20000、25000、30000またはそれをさらに上回るなど)オリゴマーを使う必要があるかもしれない。
【0175】
この投与方法を用いて、特定のコンジュゲートの投与により治療や予防が可能な症状であれば、どのような症状でも治療できる。特定のコンジュゲートでどの症状を有効に治療できるかは、当業者であれば自明であろう。実際の投与用量は、被検体の年齢や体重、全身状態、ならびに治療する症状の重篤度、医療行為従事者の判断、投与されるコンジュゲートによって決まる。治療有効量は当業者間で周知であるおよび/または関連の参考テキストおよび文献に説明されている。通常は、治療有効量は、約0.001mgから1000mgの範囲、好ましくは0.01mg/日から750mg/日の用量、一層好ましくは0.10mg/日から500mg/日の用量である。
【0176】
特定のコンジュゲート(繰り返すが、好ましくは医薬品の一部として提供される)の単位薬用量も、臨床医の判断や患者側の需要などに応じて、多岐にわたる投与スケジュールで投与可能である。具体的な投与スケジュールは、当業者であれば分かるか、常法で実験的に決定可能である。例示としての投与スケジュールとしては、限定することなく、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回、およびこれらのいずれかの組み合わせがあげられる。臨床端点に達したら、組成物の投与を中断する。
【0177】
本発明のコンジュゲートを投与することに関する利点のひとつに、親の薬剤よりも初回通過代謝が少なくなり得ることがある。このような結果は、実質的に腸管を通過することで代謝される多くの経口投与薬にとって好都合である。このように、所望のクリアランスの特性が得られるオリゴマーの分子サイズ、連結、共有結合の位置を選択することによって、コンジュゲートのクリアランスを調節可能である。当業者であれば、本明細書に記載の教示内容に基づいて、オリゴマーの理想的な分子サイズを判断できる。対応する非コンジュゲート化小薬剤分子との比較でコンジュゲートでの初回通過代謝の好ましい低下は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%である。
【0178】
よって、本発明は、活性剤の代謝を減らす方法を提供するものである。この方法は、各々が安定した連結によって水溶性オリゴマーと共有結合した小分子薬剤由来の部分からなる単分散または二峰性コンジュゲートを提供する(水溶性オリゴマーと結合していない小分子薬剤の代謝率と比較した場合、当該コンジュゲートの代謝率が低下する)ステップと、コンジュゲートを患者に投与するステップと、を含む。一般に、投与は、経口投与、経皮投与、頬側投与、経粘膜投与、膣内投与、直腸投与、非経口投与、および経肺投与からなる群から選択される1つのタイプの投与法で実施される。
【0179】
多くのタイプの代謝を低下させる上で有用(第I相と第II相の両方の代謝を低下させることが可能)ではあるが、このコンジュゲートは、小分子薬剤が肝臓の酵素(チトクロムP450アイソフォームのうちの1つ以上など)および/または1つ以上の腸内酵素によって代謝される場合に、特に有用である。
【0180】
本明細書に引用した論文、書籍、特許、特許公開、他の刊行物はいずれも、その内容全体を本明細書に援用するものである。本明細書の教示内容と援用した従来技術との間に矛盾が生じた場合は、本明細書における教示内容の意味が優先する。
【0181】
実験
以上、特定の好ましい実施形態および特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、上記の説明ならびに以下の実施例は、例示を意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点、改変は、本発明が属する分野の当業者には自明であろう。
【0182】
添付の実施例で取り上げる非PEG化学試薬はいずれも、特に明記しないかぎり、業務入手可能なものである。PEGマーの調製については、たとえば、米国特許出願公開第2005/0136031号明細書に記載されている。
【0183】
H NMR(核磁気共鳴)データはいずれも、NMRスペクトロメータで生成した。特定化合物ならびに化合物ソースの一覧を以下にあげておく。
【実施例】
【0184】
実施例1
デシプラミン小PEGコンジュゲーション誘導体
【化28】

【0185】
デシプラミン、イミノジベンジル、水素化ナトリウム(NaH)、1−ブロモ−3−クロロプロパン、リチウムアミド(LiNH)をSigma−Aldrich(St Louis, MO)から購入した。DCMをCaHから蒸留した。DMF(無水)、トルエン(無水)、その他の有機溶媒は購入時のまま使用した。
【0186】
デシプラミン(2.00g、6.60mmol)をメタノール(40mL)および飽和NaHCO(80mL)に溶解させた。反応物を室温で30分間保持したところ、溶液のpHは>10であった。メタノールを減圧下で除去した後、水溶液をDCMで抽出(50mL+25mL×2)した。混合有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を真空乾燥によって一晩かけて固化し、黄色っぽい試料(1.79g、>100%収率)を得た。
【0187】
上記の遊離デシプラミン(170mg、0.64mmol)をDMF(3.2mL)に溶解させた。NaH(46mg、1.92mmol、3当量)を加え、反応物を室温で5分間保持した。mPEG−Br(283μL、1.28mmol、2当量)を加え、反応物を一晩(16時間)攪拌しておいた。透明な溶液が得られたら、NHCl(50mL)で反応をクエンチし、DCMで抽出(15mL×3)した。有機相を混合し、NaSO上で乾燥させた。濾過後、DCMを蒸発させ、DMFを高真空下でロータリーエバポレータで脱水した。得られた残渣をBiotage 12Mカラムに仕込み、15CV内でDCM中2〜20%メタノールで精製した。254nmで生成物を監視し、回収した(194.7mg、74%収率)。生成物と開始材料との混合物も回収して保管した。
【0188】
他のデシプラミン誘導体合成には、同様の手法を用いてmPEG−BrおよびmPEG−Brを使用した。生成物の品質を、NMR、分析的−HPLCでキャラクタライズし、LC−MS/MALDIで同定した。
【0189】
デシプラミン(5):H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.77 (2H, q, J=6.9 Hz), 2.37 (3H, s), 2.61 (2H, t, J=6.9 Hz), 3.16 (3H, s), 3.79 (2H, t, J=6.9 Hz), 6.91 (2H, dt, J=2.1, 7.5 Hz), 7.07〜7.12 (6H, m)。
【0190】
mPEG−デシプラミン(6a)(n=3):R=0.36 (DCM : MeOH=10:1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 6.49分間, MALDI (MH) 413.3; H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.73 (2H, bs), 2.19 (3H, bs), 2.44 (2H, bs), 2.51 (2H, bs), 3.15 (4H, s), 3.37 (3H, s), 3.51〜3.66 (10H, m), 3.76 (2H, t, J=6.6 Hz), 6.90 (2H, dt, J=1.2, 7.5 Hz), 7.06〜7.15 (6H, m)。
【0191】
mPEG−デシプラミン(6b)(n=5):R=0.34 (DCM : MeOH=10:1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 8.31分, MALDI (MNa) 523.3; H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.74 (2H, bs), 2.18 (3H, bs), 2.43 (2H, bs), 2.50 (2H, bs), 3.15 (4H, s), 3.38 (3H, s), 3.49〜3.66 (18H, m), 3.76 (2H, t, J=6.6 Hz), 6.90 (2H, dt, J=1.2, 7.5 Hz), 7.06〜7.15 (6H, m).
【0192】
mPEG−デシプラミン(6c)(n=8):R=0.32 (DCM : MeOH=10:1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 8.35分間, MALDI (MNa) 655.5; H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.74 (2H, bs), 2.18 (3H, bs), 2.43 (2H, bs), 2.51 (2H, bs), 3.15 (4H, s), 3.37 (3H, s),
3.38 (3H, s), 3.52〜3.66 (30H, m), 3.76 (2H, t, J=6.6 Hz), 6.90 (2H, dt, J=1.2, 7.5 Hz), 7.06〜7.15 (6H, m)。
【0193】
第2級アミン誘導体の全合成
【化29】


MCEマイクロ波反応管において、イミノジベンジル(1.95g、10mmol)をトルエン(10mL)に懸濁させた。この溶液をN下で保護した。1−ブロモ−3−クロロプロパン(1.48mL、15mmol)を加えた後、溶液が室温で透明になった。
続いてLiNH(276mg、12mmol)を加え、管を密閉した。120℃で18時間にわたり、マイクロ波反応を実施した。飽和NaHCO水溶液を用いて反応をクエンチし、EtOAc(50mL×2)で抽出した。混合有機相をMgSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をBiotage 25Mカラムに仕込み、15CVでヘキサン中1〜6%EtOAcにて溶出した。純粋な試料画分を用いてNMRを実施し、他の画分混合物をすべて組み合わせた。高真空下で一晩乾燥させた後、わずかに黄色っぽい生成物(2.57g、95%収率)を回収した。
【0194】
mPEG−デシプラミン:上記のイミノジベンジルアルキル化生成物の混合物(325mg、1.2mmol)をmPEG−NH(340μL、1.0mmol)と一緒にマイクロ波反応管に加えた。KCO(207mg、1.5mmol)をHO(1mL)と一緒に加えた。開始材料が最表層に懸濁し、加熱されるまで水相の攪拌が困難であった。120℃で2時間にわたり、マイクロ波反応を実施した。反応物でのmPEG−NHの消失をTLCで監視した。次に、反応物をNaHCO水溶液で希釈し、DCM(10mL×3)で抽出した。混合有機相をMgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をBiotage 25Mカラムに仕込み、20CVにてDCM中2〜18%メタノール溶出で精製した。一晩乾燥させた後、無色の生成物(193mg、34%収率)を回収した。所望の生成物をNMRおよびLC−MSで同定し、分析的HPLCによって純度が98%を超えることが分かった。
【0195】
mPEG−デシプラミン:上記と同様にして反応を実施した。しかしながら、生成物の混合物では、TLCでは分離できないモノ対ジ−アルキル化生成物の比がほぼ1:1であった。Biotage Flash Chromatography(12Mの逆相カラム、16CVで25〜100%CAN)による精製で、所望の生成物(187mg、25%収率)が98%を超える純度で得られた。
【0196】
5−(3−クロロ−プロピル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン(30):R=0.22 (Hex : EtOAc=16 :1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 9.55分間, LC−MS (ESI, MH) 272.2;
NMR (300 MHz, CDCl) δ 2.04 (2H, q, J=6.6 Hz), 3.16 (4H, s), 3.57 (2H, t, J=6.3
Hz), 3.90 (2H, t, J=6.3 Hz), 6.93 (2H, dt, J=1.2, 6.9 Hz), 7.07〜7.16 (6H, m)。
【0197】
N−mPEG−3−(10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)−プロピルアミン(34a):R=0.43 (DCM : MeOH=10:1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 6.49分間, LC−MS (ESI, MH) 399.3; H NMR (300 MHz, CDCl) δ 2.05〜2.13 (2H, m), 3.05 (4H, bs), 3.15 (4H, s), 3.31 (3H, s), 3.43〜3.52 (6H, m), 3.60〜3.64
(2H, m), 3.76 (2H, t, J=6.0 Hz), 3.85 (2H, t, J=6.0 Hz), 6.94 (2H, t, J=7.4 Hz), 7.04〜7.17 (6H, m)。
【0198】
N−mPEG−3−(10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)−プロピルアミン(34b):R=0.45 (DCM : MeOH=10:1), RP−HPLC (betasil C18, 0.5 mL/分, 10〜80% ACN 10分間) 6.39 分間, LC−MS (ESI, MH) 57
5.4; H NMR (300 MHz, CDCl) δ 1.92〜1.96
(2H, m), 2.81〜2.88 (4H, m), 3.14 (4H, s), 3.36 (3H, s), 3.51〜3.67 (26H, m), 3.81 (2H, t, J=6.3 Hz), 6.91 (2H, t, J=7.2 Hz), 7.05〜7.14 (6H, m)。
【0199】
【表1−1】

【0200】
実施例2
mPEG−n−カルバマゼピンの合成
【化30】


カルバマゼピン(118mg、0.5mmol)を5mlのTHFに溶解させ、この溶液にNaH(60%、60mg、1.5mmol)を加えた。mPEG−Br[n=3、5、7](0.6mmol)を加える前に混合物を5分間攪拌した。得られた混合物を室温にて14時間攪拌した。固体を除去し、150mlのジクロロメタンを加えた。有機相をHO(2×150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(Biotage Flash Chromatography System、[A:MeOH、1〜4%(20CV)、4〜6%(10CV)、B:DCM]で精製した。所望の生成物を粘着性のある油として得た(収率:60〜80%)。
【0201】
mPEG−N−カルバマゼピン H NMR (300 MHz, CDCl): δ 7.48〜7.31 (m, 8H), 6.92 (s, 2H), 3.59 (m, 2H), 3.53 (m, 6H), 3.46 (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.34 (m, 2H). LC−MS: 383.2 (M + H)
【0202】
mPEG−N−カルバマゼピン H NMR (300 MHz, CDCl): δ 7.48〜7.31 (m, 8H), 6.92 (s, 2H), 3.66〜3.54 (m, 16H), 3.45 (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.33 (m, 2H). LC−MS: 471.2 (M + H)
【0203】
mPEG−N−カルバマゼピン H NMR (300 MHz, CDCl): δ 7.48〜7.31 (m, 8H), 6.92 (s, 2H), 3.66〜3.55 (m, 18H), 3.54〜3.51 (m, 6H), 3.44
(m, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.31 (m, 2H). LC−MS: 559.3 (M + H)
【0204】
実施例3
mPEG−N−アミトリプチリンコンジュゲートの合成
【化31】

【0205】
5−シクロプロピル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オール(3)の合成:
攪拌機を取り付けた3つ首丸底フラスコに、(0.243g、0.009mol)のマグネシウムターニングと2.5mLの乾燥THFを入れた。反応物を攪拌して、金属を溶解させた。この時点で、温度を60℃まで上昇させ、シクロプロピルブロミド(1.21g、0.010mol)を滴下して加えた。反応混合物を70℃で1.5時間還流した後、60℃まで温度を下げた。次に、(1.04g、0.005mol)の10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オンを滴下して加えた。添加時、溶液の色が紫になった。添加終了後に温度を70℃まで上昇させた。反応物をさらに2時間還流し、HPLCを用いて反応の進み具合を監視した。塩化アンモニウム/HO(7.5mL)を加えて反応をクエンチし、フラスコを氷浴中に入れた。得られた溶液を濾過し、濾液を、DCM(100mL)を仕込んでおいた250mL容の分液漏斗に移した。次に、最後はNaCl/HO溶液(80mL)を加えた。有機相を除去し、NaSO上で2時間乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物を真空下で一晩乾燥させた。H NMRおよびLC/MSによって生成物を確認した。(収率約52%)。
【0206】
−5−(3−ブロモ−プロピリデン)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン(4)の合成:100mL容の丸底フラスコに、5−シクロプロピル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オール(0.130g、0.0006mol)を1mLの酢酸と一緒に入れた。固体を溶解させ、溶解した時点で反応混合物を10℃まで冷却した。次に、33%臭化水素酸溶液(0.5mLの臭化水素酸と0.5mLの酢酸;合計1mL)をフラスコに加えた。反応の進み具合をHPLCで監視しながら反応物をさらに30分間攪拌しておいた。次に、反応混合物を分液漏斗に移し、DCM(100mL)を加えた。有機層を回収し、HO(1×100mL)で洗浄し、NaSO上で2時間乾燥させた。得られた生成物を、MeOH/DCM(Biotage 25Mカラム)を用いてシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。生成物をH NMRとLC/MSで確認した(収率約62%)。
【0207】
mPEG−N−アミトリプチリン(6)の合成:100mL容の丸底フラスコで、(0.120g、0.0004mol)の5−(3−ブロモ−プロピリデン)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンとアセトン(1mL)を固体が完
全に溶解するまで混合した。次に、(0.137g、0.0008mol)のmPEG−メチルアミンを加えた。最後に、(0.267g、0.002mol)のKCOをアセトン(5mL)と一緒に加えた。反応混合物を70℃還流まで加熱した。8時間後、反応が終わっていることをHPLCで確認した。冷却後、フラスコにDCM(100mL)を加え、得られた溶液を分液漏斗に入れた。有機層を除去し、NaCl/HO溶液(1×100mL)で洗浄し、NaSO上で2時間乾燥させた。得られた生成物を、MeOH/DCM(Biotage 25Mカラム)を用いてシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、所望の生成物を得た。(収率約13〜20%)。
【0208】
mPEG−N−アミトリプチリン:H−NMR (300 MHz, DMSO−d) δ 7.24〜7.02 (m, 8H), 5.79 (t, 1H), 3.50〜3.41 (m, 10H) , 3.18 (s, 3H), 2.75 (br, 4H), 2.41〜2.55 (m, 5H), 2.13 (br,2H)
, 2.04 (s, 3H); LC−MS: Calc. 409.4; 実測値。410.4 (MH)。
【0209】
mPEG−N−アミトリプチリン:H−NMR (500 MHz, DMSO−d):δ 7.22〜7.14 (m, 8H), 5.85 (t, 1H), 3.50〜3.45 (m, 20H) , 3.23 (s, 3H), 2.90 (br, 4H), 2.51〜2.50 (m, 5H), 2.41 (br,2H)
, 2.01 (s, 3H); LC−MS: Calc. 497.4; 実測値。498.4 (MH)。
【0210】
mPEG−N−アミトリプチリン:H−NMR (500 MHz, DMSO−d):δ 7.21〜7.12 (m, 8H), 5.82 (t, 1H), 3.51〜3.43 (m, 24H) , 3.23 (s, 3H), 2.90 (br, 4H), 2.51〜2.50 (m, 5H), 2.41 (br, 2H) , 2.07 (s, 3H); LC−MS: Calc. 541.4; 実測値。542.3 (MH)。
【0211】
mPEG−N−アミトリプチリン:H−NMR (500 MHz, DMSO−d):δ 7.35〜7.15 (m, 8H), 5.90 (t, 1H), 3.51〜3.29 (m, 28H) , 3.23 (s, 3H), 2.86 (br, 4H) 2.79〜2.42 (m, 5H), 2.36 (br,2H) , 2.10 (s, 3H); LC−MS: Calc. 585.4; 実測値。586.3 (MH)。
【0212】
実施例4
PEG−ドキセピン合成:
【化32】

【0213】
PEG−ドキセピン合成(別の方法):
【化33】

【0214】
実施例5
ヒスタミン受容体結合アッセイ
組換えヒトH1、H2、H3またはH4ヒスタミン受容体を発現するCHO細胞から調製した膜で、放射性リガンド結合アッセイを用いて、アミトリプチリンと4つのmPEGコンジュゲートの受容体結合親和性を評価した。
【0215】
さまざまな濃度の被験化合物の存在下、膜を一定濃度の放射性リガンドと一緒にインキュベートして、競合結合実験を実施した。使用した放射性リガンドは、各受容体サブタイプに特異的であった。アッセイ条件を表2にあげておく。インキュベーション後、膜を洗浄し、結合放射能を測定した。過剰な未標識リガンドの存在下で非特異的結合を測定した。この値を全結合から差し引いて、各被験化合物濃度での特異的結合を得た。
【0216】
IC50値については用量応答曲線の非線形回帰分析結果から取得し、試験した最高濃度で>50%阻害を示した化合物にかぎって計算で求めた。Kについては、同一のアッセイ条件下で事前に求めた実験K値でCheng Prusoff補正を用いて取得した。
【0217】
アミトリプチリンおよびmPEG−アミトリプチリンコンジュゲートの結合親和性を表1に示す。アミトリプチリンおよびPEG−アミトリプチリンコンジュゲートは、H1受容体に対して高い親和性結合を示した。PEGコンジュゲーションによって結合親和性が20分の1未満となり、この作用はPEGサイズ依存性であった。
【0218】
H2受容体での結合親和性は、試験したすべての分子でH1受容体よりも大きさがほぼ3桁低かった。mPEGコンジュゲーションによってH2受容体での結合親和性も低下し、この作用もPEGサイズ依存性であった。
【0219】
H2受容体では、mPEG−6およびmPEG−7アミトリプチリンのK値を判断することができなかった。これは、試験した最高濃度で>50%阻害を観察できなかったことによるものである。H2受容体での結合親和性の喪失(親に対して>63倍)は、H1受容体での結合親和性の喪失(親に対して<23倍)よりも大きかったことから、mPEGコンジュゲーションによってH1:H2受容体選択性が「高まり」、mPEG−アミトリプチリンコンジュゲートをH1受容体に対して一層選択的にしたと思われる。H3およびH4受容体に対しては、試験した最高濃度で測定可能な結合が検出されなかった。アミ
トリプチリンおよびmPEG−アミトリプチリンコンジュゲートの受容体結合選択性はH1>>>H2>H3=H4であった。
【0220】
【表1−2】

【0221】
【表2】

【0222】
実施例6
ナトリウムチャネルアッセイ
単離した心筋(ヒト心房筋細胞)と神経(ラット後根神経節)細胞を用いて、ホールセルパッチクランプ法でカルバマゼピンとその3つのコンジュゲートがナトリウムチャネルに対しておよぼす影響をin vitroにて評価し、そのブロック特性を判断した。
【0223】
心肺バイパス術を受けている患者の心臓から手術時に得たヒト右心房付属枝の標本からヒト筋細胞を取得した。この手順では、桿形のイオン耐性細胞が生成され、これを単離後24時間以内に使用した(Crumb et al., 1995, Am J Physiol 268:H1335〜H1342)。
【0224】
生後14〜18日目のラットから後根神経節ニューロンを調製した(Blair and Bean, 2002, J Neurosci 22:10277〜10290)。動物にイソフルランで麻酔し、断頭し、神経節を取り出した。神経節片を処理して個々の細胞を生成し、これを単離後48時間以内に使用した。
【0225】
高倍率可視拡大下で正確に顕微操作しながら23±1℃でホールセルパッチクランプ技術を実施し、ナトリウム電流を測定した。ガラスピペットを精密研磨し、先端径1〜4μmとした。電解質の「内側の」溶液(組成:115mMのCsF、20mMのCsCl、10mMのNaF、10mMのHEPES、5mMのEGTA;CsOHでpHを7.2に調整)を一杯に充填したピペットの先端を細胞の上に位置決めした。細胞は「外側の」
バス溶液(115mMの塩化TMA、10mMのNaCl、5mMのCsCl、1.8mMのCaCl、1.2mMのMgCl、10mMのHEPES、11mMのデキストロース、TMA−OHでpHを7.4に調整からなる)中にあった。ピペットの先端の抵抗値は、内側の溶液が充填された状態で約1.0〜2.0MΩであった。次に、ピペット内に吸引力を加え、細胞膜を先端に貼り付けた。次に、別の吸引パルスで膜を破り、細胞内への電気的な導通状態を作った。次に、細胞内はパッチピペットを満たしていた溶液で透析状態になった。
【0226】
細胞膜の破裂(ホールセルモードに入った)後、細胞が内側の溶液で透析され、1Hz(3〜5分)のペースになったため、電流動態と振幅を安定させた(0.1Hzでの一連の電圧パルスによって導いた電流を重畳した)。電圧パルスを保持電位の−120mVから−20mV(40msパルス幅)までにしてナトリウム電流(INa)を測定した。内向きのピーク電流をINaで測定した。ペース速度0.1および3Hzについて検討した。細胞に濃度0.1、1、3、10、30、100μMでの被験物品を累積的に加えた。化合物のストック溶液については、いずれも濃度10mMでDMSOにて調製した。細胞感度を試験するために、被験物品への曝露後に1μMのTTX(テトロドトキシン)を加えた。2心筋細胞をTTXに曝露するとINaが47.2および56.8%低下した。2神経細胞をTTXに曝露するとINaが93.2および96.8%低下した。
【0227】
パッチクランプ増幅器(Axopatch 1−B, Axon Instruments)を用いて電流と電圧を記録した。電圧クランプパルスの生成とデータ取得については、電気生理学のソフトウェア(pCLAMPバージョン9.2、Axon Instruments, 現MDS, Sunnyvale, CA)を用いてコンピュータで制御した。データを、被験物品導入前(対照)の電流振幅との比較で、被験物品の存在下での定常状態の作用に達した後の電流低下量として測定した電流振幅の低下率%で示した。各細胞が自己の対照として機能した。
【0228】
GraphPadのPrism 5.01ソフトウェアを使用して、心筋と神経細胞のINaについて用量応答曲線の非線形回帰分析から近似のIC50値(表3)を得た。あるいは、INaの>50%阻害が得られなかった場合は、試験した最高濃度(100μM)での平均阻害率±SEMについてデータを分析した。
【0229】
カルバマゼピンおよびそのPEGコンジュゲートを、心筋と神経細胞のナトリウムチャネルの速度依存性阻害について試験した。PEGコンジュゲートはいずれも、心筋(図1)と神経細胞(図2)のナトリウムチャネルの両方で親化合物と同様の活性を示した。アッセイ条件下では、最大100μMの濃度を用いたときにすべての被験物品でナトリウムチャネルの不完全なブロックが生成され、信頼できるIC50は得られなかった。どの被験物品でも、神経細胞INa対心筋INaの親和性が低くなった(図3)。親化合物の応答は、カルバマゼピンのほうが神経細胞INa対心筋INaの親和性が低いことを示す刊行物にある報告と一致していた。これらのデータから、PEGコンジュゲーションでは、心筋と神経細胞のナトリウムチャネルで親のカルバマゼピンの固有の薬理は変化しないと思われる。
【0230】
【表3】

【0231】
実施例7
ノルアドレナリントランスポーター結合アッセイ
ノルアドレナリントランスポーターを発現するラット前脳から調製した膜における放射性リガンド結合アッセイを用いてデシプラミンおよび5つのPEGコンジュゲートの結合親和性を評価した。
【0232】
さまざまな濃度(親で0.1nM〜3μM、PEGコンジュゲートで3nM〜100μM)の被験化合物の存在下、膜を1.0nMの放射性リガンドである[H]−ニソキセチンと一緒にインキュベートして、競合結合実験を実施した。50mM Tris−HCl(pH7.4)、300mM NaCl、5mM KCl中、0〜4℃で4時間かけて反応を実施した。インキュベーション後、膜を洗浄し、結合放射能を測定した。コールドリガンドとして過剰なデシプラミン(1.0μM)の存在下で非特異的結合を測定した。この値を全結合から差し引いて各被験化合物濃度での特異的結合を得た。
【0233】
IC50値については用量応答曲線(図4)の非線形回帰分析結果から取得し、試験した最高濃度で>50%阻害を示した化合物では計算で求めた。Kについては、これらのアッセイ条件下で事前に求めた実験K値でCheng Prusoff補正を用いて取得した。
【0234】
デシプラミンおよびmPEG−デシプラミンコンジュゲートの結合親和性を表4に示す。PEG−デシプラミンコンジュゲートは、デシプラミンよりもノルアドレナリントランスポーターに対する親和性が低かった。PEGコンジュゲーションによって結合親和性が739分の1未満となり、この作用はコンジュゲーション部位での化学依存性であった。
【0235】
親と比較して、結合親和性の喪失は、同様のPEGサイズ(それぞれ、親に対して739〜1058分の1と2972〜3336分の1)でmPEG−NH−コンジュゲートよりもmPEG−N−のほうが小さかった。
【0236】
【表4】

【0237】
実施例8
ムスカリニック受容体結合アッセイ
M1、M2、M3、M4またはM5ムスカリニックアセチルコリン受容体を発現するCHO細胞から調製した膜で、放射性リガンド結合アッセイを用いて、アミトリプチリンと4つのアミトリプチリン−PEGコンジュゲートの受容体結合親和性を評価した。さまざまな濃度の被験化合物の存在下、膜を一定濃度の放射性リガンドと一緒にインキュベートして、競合結合実験を実施した。すべての受容体サブタイプで、0.8nMのH−N−メチルスコポラミンを放射性リガンドとして使用した。50mM Tris HCl、10mM MgCl、1mM EDTAを含有する緩衝液中にて、インキュベーションを25℃で2時間実施した。インキュベーション後、膜を洗浄して結合放射能を測定した。コールドリガンドとしての過剰なアトロピンの存在下で非特異的結合を測定した。この値を全結合から差し引いて、各被験化合物濃度での特異的結合を得た。IC50値については用量応答曲線の非線形回帰分析結果から取得し、試験した最高濃度で>50%阻害を示した化合物にかぎって計算で求めた。Kについては、これらのアッセイ条件下で事前に実験的に求めたK値でCheng Prusoff補正を用いて取得した。
【0238】
5つのムスカリニック受容体サブタイプでのアミトリプチリンおよびPEGコンジュゲートの結合親和性を表1にあげておく。アミトリプチリンは、すべてのムスカリニック受容体サブタイプにKi値約10〜90nMの範囲という高い結合親和性を示し、どのムスカリニック受容体サブタイプでも選択性がわずかであった。これとは対照的に。PEGコンジュゲートではすべてのサブタイプの結合親和性の顕著な低下が認められ、どの受容体サブタイプでもKiは10分の1〜100分の1に低下した。いくつかの事例では、試験した最高濃度で放射性リガンド結合の有意な阻害が得られなかったため、データには「有意な結合なし」と表示してある。これらのデータから、PEGコンジュゲーションによって、ムスカリニックアセチルコリン受容体に対するアミトリプチリンの結合親和性が有意に低下すると思われる。
【0239】
【表5】

【0240】
実施例9
鎮痛薬アッセイ
鎮痛薬アッセイを使用して、特定の化合物がマウスにおける内臓痛を低減および/または予防可能か否かを判断した。
【0241】
このアッセイでは、オスのCD−1マウス(1群あたり5〜8匹)を使用した。それぞれのマウスは、研究日に0.015〜0.030kgであった。マウスを標準的なプロトコールで処理した。
【0242】
これらのマウスに、酢酸溶液投与の30分前に、水溶性非ペプチドオリゴマーの共有結合のない化合物、水溶性非ペプチドオリゴマーを共有結合的に結合した化合物を含む対応する物質、あるいは対照溶液を、「あらかじめ処理した」単回用量で(IV、SC、IPまたは経口的に)投与した。腹部の収縮、胴体のねじれとよがり、背中の反りと後肢の伸びを含み得る「苦悶」を誘発する刺激物質(酢酸)をマウスにIP注射した。マウスに0.5%酢酸溶液を単回IP注射(0.1mL/体重10g)した。注射後、マウスを観察用のエンクロージャに戻し、挙動を観察した。注射後0〜20分の間は収縮を数えた。マウスは1回使うだけにした。各被験物品を、1、3および10mg/kg(n=5動物/用量)で投与した。
【0243】
図5は、被験化合物対標準的な鎮痛薬であるモルヒネの鎮痛活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系化合物残基を含む、化合物。
【請求項2】
以下の構造
【化34】


を有し、
式中、
Dは、CまたはNであり、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
Xは、スペーサー部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記三環系化合物残基が、式
【化35】


で表される三環系化合物の残基であり、
式中、
DとRとが一緒になって、−HC−R、−C=R、および−HN−Rからなる群から選択され、
は、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、アルキル、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキルアミノ、約2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、および4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルからなる群から選択され、
Yは、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、−CH−、−CH−、−CHCH−、−CH=CH−、−CH−S−、CH−O−、CH−NH−、−S−CH−、−O−CH、−NH−CH、−HN−、−O−、−N=C−、−C=N−、および−S−からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、Rのうちの1つ以上が各々独立に、何もなし、未置換であるか、あるいは置換されていてもよい、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アルコキ
シ、ジオキソ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記三環系化合物残基が、式
【化36】


で表される三環系化合物の残基であり、
式中、
Aは、ラジカル−(CH−と−CH=CH−から選択されるブリッジであり、
mは、1以上3以下の整数であり、
XおよびYは、水素とハロ(フルオロ、クロロ、およびブロモから選択)からなる群から選択され、
RおよびR’は、水素と1個以上5個以下の炭素原子を有する低級アルキルからなる群から選択され、
nは、1以上12以下の整数である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記三環系化合物残基が、式(3’−ジメチルアミノプロピリデン)−ジベンゾ(a,d)−シクロヘプタ−1,4−ジエンN−オキシドで表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記三環系化合物残基が、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピン、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピン塩酸塩、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンフマラート、2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンスルフェート、および2−クロロ−11−(1−ピペリジニル)ジベンズ(b,f)[1,4]オキサ−アゼピンジヘプタノアートからなる群から選択される式で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
前記三環系化合物残基が、式5−(3’−ジメチルアミノ−2’−メチルプロピル)ジベンゾ[a,d][1,4]−シクロヘプタジエンで表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
前記三環系化合物残基が、3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジル、3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジルの薬学的に許容される酸付加塩、および3−クロロ−5−(γ−ジメチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジル塩酸塩からなる群から選択される式で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
前記三環系化合物残基が、式
【化37】


で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
前記三環系化合物残基が、5−(γ−メチルアミノ−プロピル)−イミノジベンジルおよびその無毒の付加塩、N−(3−メチルアミノプロピル)−イミノジベンジル、およびN−(3−メチルアミノプロピル)−イミノジベンジル塩酸塩からなる群から選択される式で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
前記三環系化合物残基が、式
【化38】


(式中、Xは、2個以上3個以下の炭素原子を有するアルキレンであり、Yは、2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、およびモルホリノからなるクラスのメンバーであり、RおよびRは、同義に、水素、メチル、およびエチルからなるクラスのメンバーを表し、RおよびRは、同義に、水素、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、およびエトキシからなるクラスのメンバーを表す)の10−(塩基的置換)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピンからなる群から選択される式で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項12】
前記三環系化合物残基が、式
【化39】


(式中、アルキレンは、2個以上4個以下の炭素を有し、少なくとも2個の炭素が複素環核からXを分離し、Xは、炭素数2〜4個のジアルキルアミノ、ピリリジノ、ピペリジノ、およびモルホリノからなる群から選択され、各Yが独立に、水素、クロロ、メチル、メトキシ、およびエトキシからなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
前記三環系化合物残基が、式
【化40】


(式中、Rは、水素、メチル、およびエチルからなるクラスから選択され、−X−Yは、塩基性ラジカルであり、式中、Xは2個以上3個以下の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、Yは、2個以上4個以下の炭素原子を有するジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、および4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニルからなるクラスから選択され、RおよびRは、水素、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、メチルメルカプト、およびエチルメルカプトからなるクラスから選択される)の置換5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン誘導体からなる群から選択される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項14】
前記三環系化合物残基が、式
【化41】


(式中、Rは、CHとCからなる群から選択されるメンバーであり、Rは、Cl、CH、CF、およびCからなる群から選択されるメンバーである)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項15】
前記三環系化合物残基が、式11−(3−ジメチルアミノプロピリデン)−6,11−ジヒドロ−ジベンズ−(b,e)チエピンで表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
前記三環系化合物残基が、式
【化42】


(式中、Rは、水素とハロからなる群のメンバーであり、Aは4−(β−ヒドロキシエチル−ピペリジノ)である)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化
合物。
【請求項17】
前記三環系化合物残基が、式
【化43】


(式中、nは0〜1の整数であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキルである)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項18】
前記三環系化合物残基が、式
【化44】


(式中、XおよびYが各々、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜4個の炭素原子を有するチオアルコキシ、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、1〜4個の炭素原子を有するアシル、および1〜8個の炭素原子を有するジアルキルスルホンアミドからなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項19】
前記三環系化合物残基が、式
【化45】


で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項20】
前記三環系化合物残基が、式
【化46】


で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項21】
前記三環系化合物残基が、式
【化47】


(式中、RおよびRは各々、水素、フルオロ、クロロ、低級アルキル、低級アロキシ、低級アルキルチオ、およびトリフルオロメチルからなる群のメンバーであり、Zは、ジ−低級アルキルアミノである)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項22】
前記三環系化合物残基が、式
【化48】


で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項23】
前記三環系化合物残基が、式
【化49】


(式中、アルキレンは炭素原子数2〜3のアルキレン鎖を表し、Amは、低分子ジアルキルアミノラジカル、N−ピペリジノ−、N−モルホリノ−、およびN−ピロリジノラジカルからなる群から選択されるメンバーを表す)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項24】
前記三環系化合物残基が、式
【化50】


(式中、Yは、CH−CHとCH=CHからなる群から選択され、
は、HとCHからなる群から選択され、
は、最大4個の炭素原子を有するアルキル基を表し
nは、1、2、および3からなる群から選択され、
は、フェニルと最大で3つの置換基(F、Cl、OH、CF、ならびに最大4個の炭素原子を含むアルキルおよびアルコキシからなる群から選択される)で置換されたフェニルからなる群から選択され、およびフェニル基が、3,4−位に、アルキリデンジオキシ(最大で6個の炭素原子を有する)、シクロアルキリデンジオキシ(最大で6個の炭素原子を有する)、およびエチレンジオキシからなる群から選択される置換基を有し、Rは、H、F、Cl、OCH、CF、およびSON(CHからなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項25】
前記三環系化合物残基が、式
【化51】


(式中、RおよびRは各々低級アルキル基であり、Xは、水素、ハロ、低級アルキル、および低級アルキルオキシからなる群から選択され、Yは、水素とハロからなる群から選択され、
【化52】


は、ジ−低級アルキルアミノ、ベンジル−低級アルキルアミノ、および複素環アミンラジカルからなる群から選択され、前記複素環アミンは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、N−低級アルキルピペリジン、および上記のC−低級アルキル誘導体からなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項26】
前記三環系化合物残基が、式
【化53】


(式中、RおよびRは各々低級アルキル基であり、Xは、水素、ハロ、低級アルキル、および低級アルキルオキシからなる群から選択され、Yは、水素とハロからなる群から選択され、
【化54】


は、ジ−低級アルキルアミノ、ベンジル−低級アルキルアミノ、飽和5員環を有する複素環アミンのラジカル、および飽和6員環を有する複素環アミンのラジカルからなる群から選択され、前記複素環アミンは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、N−低級アルキルピペリジン、および上記のC−低級アルキル誘導体からなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項27】
前記三環系化合物残基が、式
【化55】


(式中、RおよびR’は、同一または異なっており、各々水素または1〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、Rは、水素、炭素原子数1〜5個のアルキルまたはベンジルである)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項28】
前記三環系化合物残基が、式
【化56】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項29】
前記三環系化合物残基が、式
【化57】


(式中、XおよびYが各々、水素とハロからなる群から選択されるメンバーを表す)で表される三環系化合物の残基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項30】
前記三環系化合物残基が、アミネプチン、アミトリプチリン、アミトリプチリノキシド
、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプリミン、デメキシプチリン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドチエピン、ドキセピン、フルアシジン、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、ロフェプラミン、メリトラセン、メタプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロピゼピン、プロトリプチリン、キヌプラミン、チアネプチン、トリミプラミン、およびカルバマゼピンからなる群から選択される三環系化合物の残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーがポリ(アルキレンオキシド)である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
前記ポリ(アルキレンオキシド)がポリ(エチレンオキシド)である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーが1〜30のモノマーで構成される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーが1〜10のモノマーで構成される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記ポリ(アルキレンオキシド)がアルコキシまたはヒドロキシエンドキャッピング部分を含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項36】
単一の水溶性非ペプチドオリゴマーが前記三環系化合物残基に結合されている、請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
2つ以上の水溶性非ペプチドオリゴマーが前記三環系化合物残基に結合されている、請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
前記三環系化合物残基が、安定した連結によって共有結合的に結合されている、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
前記三環系化合物残基が、分解可能な連結によって共有結合的に結合されている、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
前記連結がエーテル連結である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
前記連結がエステル連結である、請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系化合物残基を含む化合物と、任意に、薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項43】
安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系化合物残基を含む化合物(compound)を含む化合物(composition of matter)であって、前記化合物(compound)が剤形で存在する、化合物。
【請求項44】
水溶性非ペプチドオリゴマーを三環系化合物に共有結合的に結合させることを含む、方法。
【請求項45】
安定したまたは分解可能な連結によって水溶性非ペプチドオリゴマーと共有結合的に結合された三環系化合物残基を含む化合物を、これを必要とする被検体に投与することを含む、治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−504928(P2011−504928A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536016(P2010−536016)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/013221
【国際公開番号】WO2009/073154
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(500138043)ネクター セラピューティックス (32)
【Fターム(参考)】