バリスタ
【目的】 電極上に選択的にかつ均一にメッキすることができるバリスタを提供することを目的とするものである。
【構成】 バリスタ素子1の両端面に第1の外部電極3aを形成し、次に、このバリスタ素子1をSiO2を主成分とする混合物15に埋没させて焼成して、高抵抗層4a,4cを形成した後、第1の外部電極3a上に第2の外部電極3bを形成したものである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバリスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、チップ部品は半田付け時に半田により、Ag外部電極が、侵されてしまうため、Ag外部電極の上にNiメッキ等を施し、この上からさらに、半田付け性向上のため半田メッキを施している。しかし、ZnOバリスタは、半導体であるため電解メッキを行うと、セラミック素子表面もメッキされてしまうので、これを防ぐために、セラミック素子表面にSi,B,Bi,Pb,Ca等からなるガラスをディップして、高抵抗層を形成するか、あるいはSi,Fe,Al,Ti,Sbの酸化物を主成分とする混合物をセラミック素子表面に配して焼成し、高抵抗層を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ガラスによる高抵抗層は選択的にセラミック素子表面だけに形成することができなかった。また、セラミック素子をSi,Fe,Al,Ti,Sb等の酸化物を主成分とする混合物に配して焼成すると、セラミック素子表面に設けられた電極と、前記混合物は反応しないが、セラミック素子に含まれた成分、あるいは前記混合物の成分が液相化して電極上に混合物を付着させてしまっていた。このため、メッキをすると付着物のところにはメッキがされないので、不均一なメッキになってしまうので、電極上の付着物を除去するとセラミック素子表面上の高抵抗層の一部が一緒に削られてしまい、メッキ流れをおこしてしまうという問題点を有していた。
【0004】そこで本発明は、電極上にメッキをする際、均一なメッキを行うことができるバリスタを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明はバリスタ素子の表面に第1の電極を形成し、次にバリスタ素子の表面に高抵抗層を形成後、前記第1の電極上に第2の電極を形成し、電極を二層構造としたものである。
【0006】
【作用】この構成によると、電極上には付着物が存在しないと共に、バリスタ素子表面の電極に覆われていない部分には高抵抗層があるので、電極上のみに均一なメッキを行うことができる。また、電極上の付着物を除去する必要がないのでバリスタ素子表面の高抵抗層が削られてしまうためにひきおこされるメッキ流れの心配もない。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。
【0008】図1において、1はバリスタ素子で、その内部にはAg製の内部電極2が複数設けられている。これらの内部電極2には、交互にバリスタ素子1の両端に引き出され、その両端において、第1の外部電極3aと電気的に接続され、この第1の外部電極3a上に第2の外部電極3bが形成されている。
【0009】また、内部電極2間、及びその外側に積層されたセラミックシート1aは、ZnOを主成分とし、副成分としてBi2O3,Co2O3,MnO2,Sb2O3,B2O3等を含んでいる。
【0010】図2は製造工程を示し、セラミックシート1aは図2において(5)で示すごとく原料の場合、粉砕、スラリー化、シート成形により作製した。次にこのセラミックシート1aと、内部電極2とを積層(6)し、それを切断(7)し、930℃で30分間焼成(8)後、シェーカーで1時間、セラミック素子1の表面の面取(9)をした。
【0011】次に、セラミック素子1の両端面にAg電極ペーストを塗布(10)し、600℃〜960℃でAg電極焼付(11)して第1の外部電極3aを形成し、その後、図3に示すごとくSiO2を主成分とする混合物15にバリスタ素子1を埋没させ、空気中あるいは酸素雰囲気中で600℃〜960℃で5分〜10時間、焼成した(図2の12)。
【0012】この焼成により、バリスタ素子1の主成分ZnOと、SiO2が反応して、主にZn2SiO4からなる高抵抗層4aがバリスタ素子1表面上に形成される。また、バリスタ素子1に副成分として、Bi2O3を添加した場合、Bi2O3がSiO2と反応して、主にZn2SiO4からなる高抵抗層4aと、この高抵抗層4aの上に、主にBi4(SiO4)3からなる高抵抗層4bとがバリスタ素子1の表面上に形成される。
【0013】また、バリスタ素子1の副成分としてB2O3を添加した場合、B2O3がSiO2と反応して、主にZn2SiO4からなる高抵抗層4aと、この上に、主にB4(SiO4)3からなる高抵抗層4bとがバリスタ素子1の表面上に形成される。
【0014】さらに、バリスタ素子1に、副成分として、Bi2O3とB2O3とを添加した場合、Bi2O3とB2O3とがSiO2と反応して、主にZn2SiO4からなる高抵抗層4aと、この上に、主にBi4(SiO4)3とB4(SiO4)3とからなる高抵抗層4bとがバリスタ素子1の表面上に形成される。これらの反応により生じた物質は、バリスタの特性への悪影響は生じず、バリスタとして極めて特性の優れたものが得られる。ここで重要なことは、図3に示すごとく個々のバリスタ素子1を全てSiO2を主成分とする混合物15に埋没させておくことである。そのために、まずアルミナのるつぼ16の中に所定の厚さでSiO2を主成分とする混合物15を敷きつめ、その上に、バリスタ素子1を隣接するもバリスタ素子1と接触しないように並べ、その状態でSiO2を主成分とする混合物15を充分に覆いかぶせた。この状態で焼成を行った後に、バリスタ素子1表面と、第1の外部電極3aの表面のSiO2を主成分とする混合物15を取り除いた(13)。この除去は、例えば容器内にSiCの玉石と純水とバリスタ素子1とを入れて攪拌したり、エアーガンで複数のバリスタ素子1を容器内で揺動させたりして行った。次に、第1の外部電極3a上に第2の外部電極3bとなるAg電極ペーストを塗布(10)し、750〜850℃で10〜60分間Ag焼付(11)を行った。その後、第2の外部電極3b表面に2A,30minで電解Niメッキ、その上に0.6A,30minで半田メッキ(14)を行いバリスタを得た。
【0015】得られたバリスタの断面から、メッキの厚みは、Niメッキが1.2μm、半田メッキは1.3μmであった。
【0016】また、メッキの付着を調べ(表1)に示した。
【0017】
【表1】
【0018】(表1)によると、本実施例のバリスタは、均一にかつ完全にメッキを行うことができることがわかる。
【0019】また高抵抗層4a,4b形成の際に第1の外部電極3a上に付着した付着物は、第1の外部電極3aを完全に覆ってしまわず、第2の外部電極3bと導通が取れる程度でなければならない。
【0020】さらに、玉石は、バリスタ素子1よりも小さいものを用いることが好ましい。また混合物15はSiO2を主成分とする粉体であるが、バリスタ素子1との反応性を良くするために、粒径を2μm以下にすることが望ましい。そして、SiO2以外に混合物15に用いる粉体として、マンガン、鉄、ニッケル、アンチモン、アルミニウム、ジルコニア等の酸化物が望ましい。
【0021】そして、その混合比や加熱温度、その時間を調整することにより高抵抗層4a,4bの膜厚を制御できる。
【0022】また、本実施例においては、第1の外部電極3a、第2の外部電極3bとしてAgを用いたために、焼成温度の制限をうけているが、Ag以外のものを用いた場合は1300℃以下であれば焼成できる。
【0023】さらに、第1の外部電極3aと第2の外部電極3bは、同じ材料で形成したが、異なる材料で形成してもよい。
【0024】ただし、第2の外部電極3bを薄くしすぎると、第1の外部電極3a上に付着した付着物と、第1の外部電極3aとの凹凸をカバーできなくなるので、第2の外部電極3bは、この付着物をカバーし、均一な表面を有するように第1の外部電極3aより厚く形成することが望ましい。
【0025】なお本実施例においてSiO2を主成分とする混合物15にバリスタ素子1を埋没させる場合、図4R>4のように埋め込むだけでも高抵抗層4a,4bは形成されるが、反応性を考えた場合、図3のようにアルミナのるつぼ16中で反応させ、さらにおもしなどをして、圧力をかけてSiO2を主成分とする混合物15とバリスタ素子1との密着性を上げた方がよい。また、ニッケル製あるいは磁器製等のバリスタ素子1と反応しない材料でできた容器内にニッケルあるいはジルコニア等のバリスタ素子1と反応しない玉石と、バリスタ素子1とSiO2を主成分とする混合物15とを入れ、回転させながら攪拌して反応を行うと、より均一に反応させることができると思われる。
【0026】また、第1の外部電極3aが内部電極2と異なる材料の場合、収縮率を考慮しなかったり、また同じ材料であっても厚みが薄い場合内部電極2側に引きこまれてしまう恐れがあるので注意しなければならない。
【0027】さらに、図1に示した積層型のバリスタの場合、第1の外部電極3aと内部電極2を除いたバリスタ素子1の間にも、高抵抗層4cが形成されるので、内部電極2の遊端2aと、対向する第1の外部電極3aの距離を短くすることができる。すなわち、内部電極2の面積を大きくすることができるので、サージ耐量の大きなバリスタを得ることができる。
【0028】なお外部電極3aの内面側にも高抵抗層4cが形成される理由は現時点で十分判明していないが、バリスタ素子1の成分とSiO2とが、反応して液相化し、界面から液相化した高抵抗成分がバリスタ素子1内に浸入するためであると思われる。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明はバリスタ素子表面に二層構造の電極を形成し、この電極で覆われていない部分以外に高抵抗層を形成したものであり、高抵抗層を形成する際、下層の電極上に付着物が付着したとしても、上層の電極でこれをカバーし、均一な表面を形成するので、電極上にのみ選択的にかつ均一にメッキを行うことができるとともに、従来のように付着物の除去によるメッキ流れを起こしたりしないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるバリスタの断面図
【図2】本発明の一実施例におけるバリスタの製造工程図
【図3】本発明の一実施例における焼成工程の説明図
【図4】本発明の一実施例における焼成工程の説明図
【図5】本発明の一実施例におけるバリスタの耐湿性を表す特性曲線図
【符号の説明】
1 バリスタ素子
3a 第1の外部電極
3b 第2の外部電極
4a 高抵抗層
4b 高抵抗層
4c 高抵抗層
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バリスタ素子と、このバリスタ素子の両端面に設けた電極と、前記バリスタ素子の少なくとも電極に覆われていない部分に設けた高抵抗層とを備え、前記電極は二層構造であるバリスタ。
【請求項2】 電極は、下層の厚みより上層の厚みの方が大きい請求項1記載のバリスタ。
【請求項3】 電極の、下層と上層とを異なる材料で形成した請求項1記載のバリスタ。
【図1】
【図3】
【図4】
【図2】
【図5】
【公開番号】特開平8−153607
【公開日】平成8年(1996)6月11日
【国際特許分類】
電気 | 基本的電気素子 | 抵抗器 | 1以上の層または被覆状に形成された非可調整抵抗器;粉末絶縁材料を含むかまたは含まない粉末導電材料または粉末半導体材料で形成された非可調整抵抗器 | 電圧に応答するもの,すなわち,バリスター
電気 | 基本的電気素子 | 抵抗器 | 細部 | 抵抗器のために特に適用される端子またはタップポイント;抵抗器上の端子またはタップポイントの配列
【出願番号】特願平6−296743
【出願日】平成6年(1994)11月30日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社
[ Back to top ]
