説明

ハードカバー書籍用研磨機

【課題】書籍・本の表裏紙等の装丁が書籍本体に比しやや大きく、肉厚で硬度がある、いわゆるハードカバー本における書籍本体の小口部、天地部等を研磨し、体裁を整える。
【解決手段】90度毎に間欠旋回する平面でほぼ正方形状の旋回テーブル12を備えた旋回搬送装置10と、研磨すべき書籍Bを各別にチャック保持し、解除するチャック部29を備えて旋回テーブル12の各辺に配装したチャック装置20と、旋回して送るようチャック保持した書籍Bの小口部を研磨する小口部研磨ブラシ91を備えた小口部研磨装置60と、旋回して送るようチャック保持した書籍Bの天地部を研磨する天部研磨ブラシ122、地部研磨ブラシ142それぞれを備えた天地部研磨装置100と、研磨終了後の書籍Bのチャック保持を解除し、排出する排出装置150とを備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍・本の表裏紙等の装丁が書籍本体に比しやや大きく、肉厚で硬度がある、いわゆるハードカバー本における書籍本体の小口部、天地部等を研磨し、体裁を整えるハードカバー書籍用研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、書店その他にて展示販売される各種の書籍・雑誌等の多くは委託販売形式で流通されており、委託販売期間が経過しても販売されずに店頭に残った書籍は、取次販売店等で引き取り、必要とする他の書店に配装したり、あるいは再出荷に備えてそのまま保管したりしている。ただ、再配装するにあたり、販売時・保管時等で書籍、特にその小口部、天地部等が日焼け、細かい塵埃の付着その他で汚損されている場合、これをそのまま流通させると、新刊本として取り扱かわられずに古本として評価されることがあり、このように新刊本が古本として評価されることは販売者・購買者のいずれにとっても好ましいものではない。
【0003】
また、書籍の特殊性から、購読者は読み終わったものを古本としていわゆる古本屋に売却し、古本屋において中古本あるいは古本として再度販売することが一般的に行われている。古本等として再度販売するとき、書籍の特に背表紙と反対側の小口部、上下の天地部等は書籍用紙が重なっていることもあって、細かい塵埃が付着して薄汚れた状態となっていることが多い。
【0004】
そのため、これらの新刊本の再出荷時あるいは古本の販売時には小口部、天地部等を研磨し、清浄にすることで発行時の新鮮な状態に復旧させ、商品単価を向上させている。この研磨作業は、ハードカバー書籍(本)の場合、その表裏紙等の装丁部分は中身である書籍本体とは異なった化粧が施されていて、この部分を除いた書籍本体部分のみを研磨する必要があるから、手作業によらざるをえないものであった。
【0005】
こうした点に鑑み、従来、特許文献1に示す書籍自動研磨装置、特許文献2に示す書籍端面研磨装置が提案されている。特許文献1では、書籍の表紙を開いた状態で中身のみを挟持する挟持装置を設けると共に、書籍の天及び地それぞれを研磨する一対の研磨盤を有する第1の研磨装置、小口部を研磨する研磨バーを有する第2の研磨装置それぞれを設け、更に小口部を支持する支持版を有する支持装置を設けて成る。特許文献2では、研磨ドラムを露出させて支持した基台上に、書籍のハードカバーを開いた状態で研磨すべき小口部、天地を開放させて支持する書籍クランプ機構を設け、ハードカバー部分を落とし込み部に落とし込み、書籍本体のみを基台上面に密着させて研磨ドラムで研磨するようにして成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−1247号公報
【特許文献2】特開2002−127636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところがこれらの従来の特許文献等に示された研磨装置では、ハードカバー書籍のハードカバー部分を開いた状態で中身を支持、クランプするから、書籍自体を支持クランプするにはハードカバー部分を開放する作業を必要とし、面倒であるばかりでなく、開いたときにはハードカバーの背表紙部位に負荷が掛かり、書籍自体を傷める虞がある。また、研磨終了後に書籍を支持・クランプ機構から取り外し、取り出すときにハードカバー部分を持って行うと、やはり背表紙部位に負担が掛かり、特に作業を急いで行うときに乱雑に扱うと、書籍を一層傷めることにもなる。そればかりでなく、ハードカバー書籍の1冊毎にハードカバー部分を開放し、それぞれをセットするから、作業の手間が掛かり、大量に、連続的に処理することは殆ど不可能である。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は表裏紙が硬いハードカバー書籍における中身である書籍本体の小口部、天地部それぞれの研磨を一度に大量に処理でき、ばらつきがなく均一的に研磨処理できると共に、書籍それぞれの厚みが異なっていても対応処理でき、投入セット・書籍の各別チャック・研磨・排出の一連の処理を連続的、並行的に処理してタイムロスがなく、作業能率を飛躍的に向上できるハードカバー書籍用研磨機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、90度毎に間欠旋回される平面でほぼ正方形状を呈する旋回テーブル12を備えた旋回搬送装置10と、研磨すべき書籍Bを背表紙側から各別にチャック保持し、解除するチャック部29を備えて旋回テーブル12の各辺に配装されたチャック装置20と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍Bの小口部を研磨する小口部研磨ブラシ91を備えた小口部研磨装置60と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍Bの天地部を研磨する天部研磨ブラシ122、地部研磨ブラシ142それぞれを備えた天地部研磨装置100と、研磨終了後の書籍Bのチャック保持を解除し、排出する排出装置150とを備えて成ることを特徴とする。
旋回搬送装置10は、立脚状にして中央に配置固定した旋回支柱11と、この旋回支柱11の上部に旋回支柱11を中心として水平面上で間欠的に回転する旋回テーブル12とを備え、旋回テーブル12を、書籍Bを投入し、チャック装置20にチャック保持させる投入・チャックエリア1A、書籍Bの小口部を研磨する小口部研磨エリア1B、書籍Bの天地部を研磨する天地部研磨エリア1C、研磨終了後の書籍Bのチャック保持を解除し、排出するチャック解除・排出エリア1Dそれぞれで間欠停止するようにして構成することができる。
チャック装置20は、旋回搬送装置10の旋回テーブル12の辺部に、旋回テーブル12外方に突出位置するようにして固定され、書籍Bの表表紙面に当接する複数の表表紙チャック片26を有する表表紙側チャック部21と、表表紙チャック片26に対向して表表紙チャック片26と共に書籍Bの裏表紙面に当接して挟み込む複数の裏表紙チャック片34を有する裏表紙側チャック部31と、表表紙側チャック部21の表表紙チャック片26、裏表紙側チャック部31の裏表紙チャック片34相互間を対向させて開閉スライドさせるスライド機構35とを有し、互いに対向している一対の表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34相互で1組のチャック部29を形成して、構成することができる。
小口部研磨装置60は、旋回搬送装置10の周縁に位置させて据え付けられた小口部研磨架台61上で小口部に対する研磨位置が前後にスライド調整されるスライドベース62と、前記チャック装置20によって支持されている書籍Bの小口部を研磨するよう小口部に沿って上下動する小口部研磨ブラシ91を有して、スライドベース62上で前後動自在に支持された小口部研磨機構71とを備えて成る。
また、スライドベース62は、小口部研磨架台61の背面に突出配置された送り調整ハンドル66の回転操作で、小口部研磨架台61の前後に沿って配装された送りネジ67が回転され、書籍Bの小口部位置に小口部研磨ブラシ91を対応調整するように前後位置に送り調整させる研磨位置調整機構65を備えている。
小口部研磨機構71は、スライドベース62上で前後に移動するよう立脚状に支持された小口部研磨スタンド72と、この小口部研磨スタンド72の前面で上下動自在に設けた昇降ベース77と、この昇降ベース77前面に支持され、研磨すべき1処理群の書籍B数に対応し、小口部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の小口部研磨ブラシ91を列設した研磨ブラシ体81とを有することで構成することができる。
天地部研磨装置100は、旋回搬送装置10の周縁に位置させて据え付けられた天地部研磨架台101前面で上下それぞれに研磨位置がスライド調整される天・地部スライドベース106,126と、前記チャック装置20によって支持されている書籍Bの天・地部それぞれを研磨するよう天・地部それぞれに沿って前後動する天・地部研磨ブラシ122,142を有して、天・地部スライドベース106,126それぞれの上下で上下動自在に支持された天・地部研磨機構105,125とを備えて構成することができる。
天・地部スライドベース106,126は、天地部研磨架台101の上部あるいは下部背面に突出配置された送り調整ハンドル109,129の回転操作によって、この送り調整ハンドル109,129の軸部先端と、天地部研磨架台101の上下方向に沿って配されて天部スライドベース106あるいは地部スライドベース126に連結されているジョイントサポート111の下端あるいは上端との傾斜面相互の傾斜当接の度合いによってジョイントサポート111を上下動させることで、上下位置が設定される研磨位置調整機構108,128を備えて構成することができる。
天・地部研磨機構105,125は、天地部研磨架台101の上部あるいは下部で上下に移動するよう支持された天・地部スライドベース106,126と、この天・地部スライドベース106,126下面あるいは上面で前後に移動するよう連結支持した天・地部移動台115,135と、この天・地部移動台115,135下面あるいは上面で支持され、研磨すべき1処理群の書籍B数に対応し、天部あるいは地部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の天・地部研磨ブラシ122,142を列設した研磨ブラシ体121,141とを有して構成することができる。
研磨ブラシ体81,121,141は、昇降ベース77あるいは天・地部研磨ベース117,137の一端部に固定されたブラシ駆動モータ82と、昇降ベース77あるいは天・地部研磨ベース117,137の他端部に設けられた着脱セット部85と、ブラシ駆動モータ82の駆動軸、着脱セット部85相互間でブラシ軸92によって着脱される小口部研磨ブラシ91あるいは天・地部研磨ブラシ122,142と、小口部研磨ブラシ91あるいは天・地部研磨ブラシ122,142を左右に揺動させる揺動手段95とを備えることで構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係るハードカバー書籍用研磨機にあって、旋回搬送装置10によって間欠旋回されるチャック装置20のチャック部29が、投入保持されたハードカバーの書籍Bそれぞれを各別にその背表紙側から挟着保持し、その間欠旋回によって、書籍Bの小口部を小口部研磨装置60の小口部研磨ブラシ91で、天・地部を天地部研磨装置100の天・部研磨ブラシ122,142でそれぞれ研磨し、また研磨終了後は排出装置150によって排出させ、ハードカバーの装丁を損傷させずに大量に自動的に研磨処理させる。
旋回搬送装置10の平面でほぼ正方形状を呈する旋回テーブル12の各辺にチャック装置20が備えられることで、各エリア1A,1B,1C,1Dそれぞれでの書籍Bの投入・チャック保持、小口部の研磨、天地部の研磨、チャック解除・排出を、間欠旋回とともにチャック装置20で書籍Bを横持ち状に保持していることでこれらを同時に処理させ、書籍Bの投入、排出を監視、準備するのみで、自動的に処理させる。
チャック装置20は、表表紙チャック片26を有する表表紙側チャックベース25と裏表紙チャック片34を有する裏表紙側チャックベース33とが閉塞するようなチャック方向への移動で、対向している表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34それぞれによるチャック部29で書籍Bを各別にチャック保持し、旋回搬送装置10による旋回作動、旋回停止時の研磨作動中は、研磨終了後でチャック解除、排出させるまで書籍Bを脱落させない。
小口部研磨装置60、天地部研磨装置100それぞれにおけるスライドベース62、天・地部スライドベース106,126は、送り調整ハンドル66,109,129の回転操作で小口部研磨ブラシ91、天・地部研磨ブラシ122,142等の前後位置、上下位置を初期設定させるのであり、研磨すべき書籍Bの奥行き幅員、高さによって異なる小口部面、天・地部面それぞれに対応させて、小口部研磨機構71、天・地部研磨機構105,125の研磨ブラシ体81,121,141それぞれを位置決めさせる。
小口部研磨装置60、天地部研磨装置100それぞれにおける小口部研磨機構71、天・地部研磨機構105,125の研磨ブラシ体81,121,141は、書籍Bの小口部面、天地部面それぞれに沿って上下あるいは前後に移動し、またそれらの厚さに応じて左右に揺動し、また逆方向に上下あるいは前後に移動することで、書籍Bの書籍本体B2の小口部高さ、天地部幅、肉厚等の高低、大小に対応して、回転ブラシ構造の小口部研磨ブラシ91、天・地部研磨ブラシ122,142によって擦過し、研磨処理させる。
また、小口部研磨機構71、天・地部研磨機構105,125における研磨ブラシ体81,121,141は、着脱セット部85による着脱操作でそのブラシ駆動モータ82の駆動軸との間で着脱することで、研磨に伴い摩耗するそれぞれの小口部研磨ブラシ91、天・地部研磨ブラシ122,142を点検、交換させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、表裏紙B1が硬いハードカバー書籍(B)における中身である書籍本体B2の小口部、天地部の研磨を一度に大量に処理でき、しかも書籍Bそれぞれの厚みが異なり、小口部面が湾曲していてもばらつきがなく均一的に研磨処理できる。また、研磨すべき一定数の書籍Bの1処理群毎に、投入セット・書籍Bの各別チャック・研磨・排出の一連の処理を連続的、並行的に処理するからタイムロスがなく、作業能率を飛躍的に向上できる。
【0012】
すなわちこれは、本発明において、90度毎に間欠旋回される平面でほぼ正方形状を呈する旋回テーブル12を備えた旋回搬送装置10と、投入された研磨すべき書籍Bを背表紙側から各別にチャック保持し、解除するチャック部29を備えて旋回テーブル12の各辺に配装されたチャック装置20と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍Bの小口部を研磨する小口部研磨ブラシ91を備えた小口部研磨装置60と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍Bの天・地部を研磨する天・地部研磨ブラシ122,142それぞれを備えた天地部研磨装置100と、研磨終了後の書籍Bのチャック保持を解除し、排出する排出装置150とを備えて成るからであり、旋回搬送装置10における四囲の各エリア1A,1B,1C,1Dそれぞれでの投入・各別チャック、小口部の研磨、天・地部の研磨、チャック解除・排出の各処理作業を並行的に行い、各別チャックした1処理群の書籍Bを間欠旋回させながら順次に繰り返すことで大量処理を可能にする。
【0013】
また、チャック装置20において、表表紙チャック片26を有する表表紙側チャックベース25と、裏表紙チャック片34を有する裏表紙側チャックベース33とがチャック方向で開閉するように移動するようにしてあるから、対向している表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34それぞれの閉塞によるチャック部29間に書籍Bが投入されることで書籍Bそれぞれを各別に確実にチャック保持できる。しかも、このチャック部29では書籍Bの背表紙側からチャックすることで、チャックされた書籍Bは横持ち状態で確実に保持され、その小口部、天部それぞれをフリーな状態となしているから、小口部研磨装置60における小口部研磨機構71の小口部研磨ブラシ91、天地部研磨装置100における天・地部研磨機構105,125の天・地部研磨ブラシ122,142それぞれによる上下動、左右揺動の擦過作動と共に、書籍Bを円滑、確実に研磨できる。
【0014】
小口部研磨装置60の小口部研磨機構71は、研磨位置調整機構65の送り調整ハンドル66の回転操作によってスライドベース62を前後に移動させることで、小口部面における小口部研磨ブラシ91の擦過位置を調整できるから、研磨すべき書籍Bの奥行きが異なっていても、これに対応してその研磨時の初期位置を事前に設定できる。同様に、天地部研磨装置100の天・地部研磨機構105,125は、研磨位置調整機構108,128の送り調整ハンドル109,129の回転操作によって天・地部スライドベース106,126を上下に移動させることで、天・地部面における天・地部研磨ブラシ122,142の擦過位置を調整できるから、研磨すべき書籍Bの高さが異なっていても、これに対応してその研磨時の初期位置を事前に設定できる。
【0015】
チャック装置20のチャック部29数、また小口部研磨装置60、天地部研磨装置100それぞれにおける回転ブラシ構造の研磨ブラシ体81,121,141の小口部研磨ブラシ91、天・地部研磨ブラシ122,142数は、研磨すべき1処理群の書籍B数に対応しており、小口部研磨ブラシ91、天・地部研磨ブラシ122,142による書籍Bに対する研磨時では、書籍Bの上下あるいは前後方向で移動すると共に左右方向にも揺動するから、書籍Bにおける表裏紙B1の装丁部分を損傷させることなく、書籍本体B2の厚さに対応してその小口部、天・地部全域を研磨できる。
【0016】
また、研磨ブラシ体81,121,141は、昇降ベース77あるいは天・地部研磨ベース117,137の一端部に固定されたブラシ駆動モータ82と、昇降ベース77あるいは天・地部研磨ベース117,137の他端部に設けられた着脱セット部85との相互間でブラシ軸92によって着脱されるから、書籍Bの小口部、天・地部それぞれの擦過によって摩耗、損耗した場合に、着脱セット部85による解除、固定操作によって簡単に交換でき、その保守、点検も容易である。
【0017】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す全体の概略平面図である。
【図2】同じく小口部研磨装置を省略した全体の概略正面図である。
【図3】同じく投入装置における挿入移動案内部を示す側面図である。
【図4】同じく投入装置における書籍挿入機構の正面図である。
【図5】同じく旋回搬送装置の斜視図である。
【図6】同じくチャック装置の斜視図である。
【図7】同じく小口部研磨装置の斜視図である。
【図8】同じく小口部研磨装置の側面図である。
【図9】同じく小口部研磨装置の背面図である。
【図10】同じく小口部研磨装置の平面図である。
【図11】同じく天地部研磨装置の斜視図である。
【図12】同じく天地部研磨装置の側面図である。
【図13】同じく天地部研磨装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は据え付け場所の設置面等で間欠的に旋回駆動されることで、旋回中の一時的な停止時に投入された複数のハードカバーの書籍Bを各別にチャックし、チャックした状態で小口部と天地部とを研磨し、また研磨後の書籍Bのチャック状態を解除し排出するハードカバー書籍用研磨機である。
【0020】
この研磨機1は、研磨すべき書籍Bを例えば10冊単位の1処理群毎で投入、研磨、排出するのであり、装丁部分である硬い表裏紙B1を中身である書籍本体B2から開くことなく閉じたままの状態で背表紙側から横持ち状態で各別にチャックし、書籍本体B2のフリーな状態にある小口部、天地部のみを研磨し、研磨後ではチャック状態を解除し、排出する。このような一連の処理は、中央に配置した旋回搬送装置10による間欠的な旋回作動中で、旋回搬送装置10自体における四囲の4方向で区画形成した投入・チャックエリア1A、小口部研磨エリア1B、天地部研磨エリア1C、チャック解除・排出エリア1Dそれぞれで間欠停止するときに、それぞれで同時並行的に行われる。
【0021】
そのため図1に示すように、旋回搬送装置10によって90度毎に間欠旋回される平面でほぼ正方形状を呈する旋回テーブル12の各辺にチャック装置20を配装し、投入・チャックエリア1Aでは、1処理群毎で書籍Bを投入し、投入された書籍Bそれぞれをチャック装置20における1冊毎のチャック部29に各別にチャックさせるように各別に挿入させる投入装置40が設けられている。小口部研磨エリア1Bでは、チャックされた状態で旋回搬送された1処理群毎の書籍Bの小口部を研磨するよう、その小口部幅員に対応して上下に移動し、また左右方向に揺動する小口部研磨ブラシ91を備えた小口部研磨装置60が設けられている。天地部研磨エリア1Cでは、同様にチャックされた状態で旋回搬送された1処理群毎の書籍Bの天地部を研磨するよう、例えば天部に対してはその高さ位置に対応調整されて、天地部幅員に対応して前後に移動し、また左右方向に揺動する天・地部研磨ブラシ122,142それぞれを備えた天地部研磨装置100が設けられている。チャック解除・排出エリア1Dでは、研磨終了後の書籍Bのチャック保持を解除し、1処理群毎で書籍Bを纏めて排出する排出装置150が設けられている。
【0022】
旋回搬送装置10は、据え付け場所の設置面において、立脚状にして中央に配置固定した旋回支柱11と、この旋回支柱11の上部に旋回支柱11を中心として水平面上で間欠的に回転する旋回テーブル12とを備え(図5参照)、例えば旋回支柱11内に配置した駆動モータ、間欠伝達駆動機構等(図示せず)によって旋回テーブル12を各エリア1A,1B,1C,1D位置で間欠停止させることで回転するようにしてある。旋回テーブル12は、各辺にチャック装置20を配装した平面で基本的には略正方形状を呈しており、旋回時の外周径を小さくする等のため例えば角部を面取り処理することで平面で8角形状を呈するように形成してある。
【0023】
チャック装置20は図5、図6に示すように、旋回搬送装置10の旋回テーブル12の辺部それぞれに、旋回テーブル12外方に突出位置するようにして固定され、書籍Bの表表紙面に当接する複数の表表紙チャック片26を有する表表紙側チャック部21と、表表紙チャック片26に対向して表表紙チャック片26と共に書籍Bの裏表紙面に当接して挟み込む複数の裏表紙チャック片34を有する裏表紙側チャック部31と、表表紙側チャック部21の表表紙チャック片26、裏表紙側チャック部31の裏表紙チャック片34相互間を対向させて開閉スライドさせるスライド機構35とを有して成り、互いに対向している一対の表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34相互で1組のチャック部29を形成している。
【0024】
表表紙側チャック部21は、旋回テーブル12の辺部に所定間隔を隔てて固定した左右の連結アーム22端にチャック固定ベース23を固着し、このチャック固定ベース23前面の例えば下半部に位置させて連結部24を介して配置した表表紙側チャックベース25前面に、所定間隔毎に複数の表表紙チャック片26を配設して成る。表表紙チャック片26は、これに対向配置される裏表紙チャック片34との間で書籍Bを挟み込むもので、隣接する表表紙チャック片26相互の間隔は、挟み込む書籍Bの厚さに対応して移動する裏表紙チャック片34を配装するに足りるものとしてある。
【0025】
また、裏表紙側チャック部31は、チャック固定ベース23前面の例えば上半部に位置させてチャック方向への開閉スライドを可能とさせる連結スライド部32を介して、チャック固定ベース23上に位置させて配置した裏表紙側チャックベース33の前面に、所定間隔毎に複数の裏表紙チャック片34を配設して成る。
【0026】
表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34それぞれは図示のように、表表紙チャック片26にあっては下方に位置する表表紙側チャックベース25の上方に突出するようにして、裏表紙チャック片34にあっては上方に位置する裏表紙側チャックベース33の下方に突出するようにしてあり、こうすることで、挟み込む書籍Bの1冊毎に対応して互いに対向状に配置されてチャック部29を形成している。なお、チャック部29における表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34それぞれの書籍Bへの当接面には必要があれば、滑り止め処理を施しておくこともある。また、図示にあっての表表紙チャック片26、裏表紙チャック片34それぞれは10枚として配置構成され、1処理群毎に10冊の書籍Bの研磨が同時に行えるようにしてあるも、そのチャック数は適宜に選択・変更が可能である。
【0027】
スライド機構35は、表表紙側チャックベース25の背面に取り付けたチャックシリンダ36のシリンダロッド端に裏表紙側チャックベース33の背面に連繋するように固着したスライドアーム37と、表表紙側チャックベース25、裏表紙側チャックベース33それぞれの背面に取り付けた上下のラック38相互間に介在され、ラック38それぞれに噛み合ってフリー回転するピニオン39とを備える。
【0028】
このようなチャック装置20では、投入装置40によって投入された各書籍Bがチャック部29における表表紙チャック片26と裏表紙チャック片34との間で背表紙側から挿入されると、スライド機構35の作動で、対向している表表紙チャック片26と裏表紙チャック片34とが閉塞するように相互の間隔を挟め、書籍Bそれぞれを表裏方向から挟み込んで支持し、書籍Bの小口部、天地部それぞれをフリーな状態で横持ち状にして保持する。尚、表表紙側チャック部21、裏表紙側チャック部31それぞれは書籍Bの表裏面それぞれを表裏側から挟み込めばよく、表表紙側チャック部21が裏表紙側に、裏表紙側チャック部31が表表紙側に当接し、挟み込むようになっていても良い。
【0029】
チャック装置20のチャック部29それぞれに書籍Bを各別に投入する投入装置40は、投入・チャックエリア1Aの前側方に設けられており、研磨すべき書籍Bを整列投入する作業場所と研磨終了後の書籍Bを整列して取り出す作業場所とを近接させるように、図1に示すように、投入・チャックエリア1Aとチャック解除・排出エリア1Dとは90度で位相させることで隣接させたものとしてある。この投入装置40は図1乃至図4に示すように、研磨すべき書籍Bを整列させて保持し、投入・チャックエリア1Aのチャック装置20側に押圧移動させる押圧移動部41と、投入・チャックエリア1A位置にあるチャック装置20のチャック部29それぞれに対応していると共に、各別に書籍Bが挿入された後にチャック装置20のチャック部29前方位置に順次に移動する移動挿入ボックス47を並設して成る挿入移動案内部45と、チャック部29それぞれに対応してチャック部29前方に位置していて、移動されてくる移動挿入ボックス47それぞれに対応して配装された挿入ガイド52に、移動挿入ボックス47内の書籍Bを挿入する挿入部51と、挿入ガイド52それぞれ内の書籍Bを個別に支持挟着し、チャック装置20のチャック部29それぞれ内に投入する投入部55とを備えて成る。
【0030】
押圧移動部41は、研磨すべき書籍Bの小口部面、地部面をほぼ当接させた状態で整列支持する断面でほぼL字形を呈する整列板42と、整列板42上の書籍Bをその後方側から纏めて押圧するシリンダの如き押圧機構43とを有する。尚、押圧機構43は図示にあって、符号のみで示されている。
【0031】
挿入移動案内部45は、押圧移動部41における前端位置で水平面に沿って循環し、表面に書籍Bを係合する挿入突部が配列されている挿入ベルト46と、この挿入ベルト46の挿入突部によって係合されて1冊毎に分離移動される書籍Bそれぞれが個別に挿入され、順次にスライドする移動挿入ボックス49とを有する。移動挿入ボックス49は、チャック装置20における1処理群として研磨すべき書籍B数であるチャック部29数に対応して配列されており、循環する挿入ベルト46の循環駆動で巡り来る挿入突部が、押圧移動部41における押圧機構43によって押圧供給される書籍Bを順次に1冊毎で移動挿入ボックス49内に挿入させる。また、挿入された後の移動挿入ボックス49は順次に移動し、空になっている移動挿入ボックス49が、挿入ベルト46による挿入移動位置に順次に到来するのであり、書籍Bの挿入時では移動が停止するように間欠的に前進移動する。そして、全ての移動挿入ボックス49内に1処理群の書籍Bそれぞれが挿入され、挿入部51における挿入ガイド52内への投入が終了した時点で、原位置に後退復帰するようにしてある。
【0032】
尚、移動挿入ボックス49は、前記押圧移動部41による書籍Bに対する押圧方向に沿って移動するよう上位置に配した所定の移動ベース盤48下面に吊り下げ状に配列されている(図3参照)。そして、移動ベース盤48が移動する方向に沿う両側方である前後面が開放されていて、その前後面に沿う方向で前面から書籍Bが挿入され、また後面から送出されるようになっており、移動ベース盤48が挿入ベルト46による書籍Bの挿入作動と共に間欠移動することで移動挿入ボックス49それぞれに書籍Bが挿入される。
【0033】
挿入部51は図1、図2、図4に示すように、投入・チャックエリア1Aにおいて、間欠停止するチャック装置20のチャック部29前面と、投入位置に前進移動する挿入移動案内部45との間に介在されており、チャック部29それぞれの前面に、また前進移動した後の挿入移動案内部45それぞれの後面に対応してこれらの間に配置されている挿入ガイド52と、この挿入ガイド52それぞれに対応して移動挿入ボックス49の前面から移動挿入ボックス49内の書籍Bを挿入ガイド52内に押圧挿入するシリンダの如き書籍挿入機構53とを有する。
【0034】
書籍挿入機構53は、投入・チャックエリア1Aにおける外側方において配置された例えばエアシリンダのシリンダロッド端に複数の押圧ロッド54を分岐形成し、書籍Bの小口部面に当接する押し当て片を押圧ロッド54先端に付設して成る。シリンダロッドの進出作動で移動挿入ボックス47内の書籍Bを押圧ロッド54によって挿入ガイド52内に送り入れ、送り入れ後は原位置に復帰し、次動作に待機する。尚、図中符号58は、この書籍挿入機構53によって挿入ガイド52内に挿入される書籍Bの背表紙に当接し、書籍Bを位置決めさせるストッパーである。
【0035】
尚、挿入ガイド52の底面は、投入部55における上下動する後述の支持底盤56によって開放可能に閉塞されており、書籍挿入機構53の送り入れ作動時では上位置にある支持底盤56上面でスライドされて書籍Bが挿入ガイド52内にフリーな状態で挿入され、全ての挿入ガイド52内への書籍Bの挿入終了後では、下降する支持底盤56が書籍Bをその地部側で支持した状態で挿入ガイド52から下方に取り出すようになっている(図4参照)。
【0036】
投入部55は、挿入部51における挿入ガイド52底面位置、これの下方位置相互間で上下動し、下方位置にあるときで挿入ガイド52位置、チャック装置20におけるチャック部29位置相互間で前後動し、またチャック部29位置で上下動する支持底盤56と、この支持底盤56が下方位置にあって、挿入ガイド52底面から取り出し支持した書籍Bそれぞれを仮チャックする仮チャック機構57とを有する。支持底盤56自体は、平面で櫛歯状を呈していて、挿入ガイド52底面位置の上位置にあるときには挿入ガイド52の底面を閉塞して書籍Bをその地部にて支持している。また、仮チャック機構57は、支持底盤56が下降したときの支持底盤56における空隙部分に組み込まれるように支持底盤56が下降する下位置に配装されており、支持底盤56が書籍Bを支持した状態で下降すると仮チャック機構57が書籍Bを挟着し、挿入ガイド52の下方位置からチャック部29の下方位置に至ると挟着状態を解除するようになっている。
【0037】
そして、この投入部55においては、挿入ガイド52それぞれ内に挿入されている書籍Bを支持した状態で支持底盤56が下降し、仮チャック機構57位置に至ると、仮チャック機構57が書籍Bそれぞれを仮チャックし、仮チャックしたままでチャック部29の下方位置に前進する。前進後では仮チャック機構57が書籍Bの仮チャックを解除し、解除した状態で支持底盤56が上昇してチャック装置20のチャック部29それぞれ内に書籍Bを下方から投入配置させる。投入配置後ではチャック部29が書籍Bを挟着し、この挟着作動後では、支持底盤56が下降し、後退し、原位置に復帰し、次動作に待機する。
【0038】
また、投入・チャックエリア1Aにおいて投入装置40によってチャック装置20に投入支持された書籍Bは、旋回搬送装置10による旋回作動で小口部研磨エリア1Bに送られ、小口部研磨装置60によって書籍Bの小口部が研磨される。この小口部研磨装置60は図7乃至図10に示すように、小口部研磨エリア1Bに据え付けられた小口部研磨架台61上で小口部に対する研磨位置が前後にスライド調整されるスライドベース62と、前記チャック装置20によって支持されている書籍Bの小口部を研磨するよう小口部に沿って上下動し、また左右に揺動する小口部研磨ブラシ91を有して、スライドベース62上で前後動自在に支持された小口部研磨機構71とを備えて成る。
【0039】
小口部研磨架台61は、図示のように四隅に立脚固定される前後左右の支柱、この支柱の上部相互間で架設された左右、前後の梁部から成り、これらの支柱、梁部は例えば中空の角型鋼材にて形成されていて、左右方向に沿って長く構成されている。
【0040】
スライドベース62は、平面から見て矩形枠状に形成されていて、小口部研磨架台61における前後梁部相互間の左右部に架装されたスライドガイド、このスライドガイドにスライド自在に嵌合してスライドベース62自体に連結されているスライダーから成るガイド部63によって小口部研磨架台61の前後方向に沿ってスライド案内される。また、このスライドベース62自体は、小口部研磨架台61の背面に突出配置された送り調整ハンドル66の回転操作で、小口部研磨架台61の前後に沿って配装された送りネジ67が回転されることによって、研磨すべきものとして搬送されてくる書籍Bの小口部位置に小口部研磨ブラシ91を対応調整するように前後位置に送り調整させる研磨位置調整機構65を備えている。
【0041】
小口部研磨機構71は、スライドベース62上で前後に移動するよう左右で立脚状に支持された小口部研磨スタンド72と、この左右の小口部研磨スタンド72の前面相互間で上下動自在に設けた昇降ベース77と、この昇降ベース77前面に支持され、複数、すなわち研磨すべき書籍Bの1処理群における書籍Bの数例えば10冊に対応し、小口部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の例えば10個の小口部研磨ブラシ91を列設した研磨ブラシ体81とを有する。
【0042】
小口部研磨スタンド72は、前記スライドベース62の左右で対向状にして左右位置に配設されていて、上部相互間に横架したスタンドトップ73によって一体化されている。そして、スライドベース62の左右枠部上面に設けたガイドレール74に底部がスライド自在に噛み合っていて、スライドベース62の後枠部に配置したスライドシリンダ75のシリンダロッドによる出没進退作動で、ガイドレール74に案内されて左右の小口部研磨スタンド72が前後方向で進退するようになっている。
【0043】
昇降ベース77は、この左右の小口部研磨スタンド72の前面に設けた昇降ガイドレール78に後面左右部が噛み合うことで、左右の小口部研磨スタンド72前面相互間に架け渡されるようにして設けられており、例えば昇降シリンダ79によるシリンダロッドの出没昇降作動によって上下動するようになっている。
【0044】
研磨ブラシ体81は、昇降ベース77前面に設けられていて、書籍Bの小口部面の研磨によって摩耗することで次第に減少・消耗するブラシ毛である小口部研磨ブラシ91を交換可能とするように、昇降ベース77に対して着脱自在に構成してある。すなわち、この研磨ブラシ体81は、昇降ベース77の一端部に固定されたブラシ駆動モータ82と、昇降ベース77の他端部に設けられた着脱セット部85と、ブラシ駆動モータ82の駆動軸、着脱セット部85相互間でブラシ軸92によって着脱される小口部研磨ブラシ91と、小口部研磨ブラシ91を左右に揺動させる例えばシリンダ構造の揺動手段95とを備えて成り、小口部研磨ブラシ91自体は、書籍Bの小口部面を擦過するように小口部面に沿って上下動し、また書籍Bの小口部幅員で左右に揺動するようにしてある。
【0045】
ブラシ駆動モータ82は、昇降ベース77の一端部前面に固着されたモータステーによって支持固定されており、その駆動軸端には、小口部研磨ブラシ91を支持しているブラシ軸92の一端部を軸方向では所定間隔でスライド自在にするも、空転させずに噛み合わせるようにしたカップリング83を取り付けてある。
【0046】
着脱セット部85は、ブラシ軸の他端部を嵌め入れる支持溝87が形成されている支持板86を、例えば昇降ベース77の他端部前面に設けられる揺動手段95に取り付け、この支持溝87内に嵌め入れたブラシ軸を押圧固定する揺動ハンドル構造のロック体88を設けたもので、ロック体88における揺動ハンドルに連繋したストッパーロック89による解除あるいは押圧固定で、支持溝87に対するブラシ軸92の着脱を行えるようになっている。
【0047】
小口部研磨ブラシ91は、ブラシ駆動モータ82のカップリング83と着脱セット部85の支持溝87との相互間で軸方向にスライド自在にして着脱支持されるブラシ軸92に、1群のブラシ毛によって側面からみてほぼ正方形状あるいは円形状を呈するように固定部93によって交換自在にして配列固定されている。この小口部研磨ブラシ91自体は、多数の所定径のブラシ毛が植設様に設けられ、研磨すべき書籍Bの小口部面を擦過するようにその周面にブラシ毛の先端が露呈されたユニット構成となっていて、ブラシ固定部93における対向配置の固定板相互間に挟着されることでブラシ軸92に取り付けられる。また、1群のブラシ毛から成るユニットそれぞれは、研磨すべき1処理群の書籍B数及び書籍Bの小口部面位置に対応するように、チャック装置20のチャック部29相互の間隔とほぼ同様な間隔で固定部93を介してブラシ軸92に配列されており、これの厚みすなわちブラシ毛先端縁部における幅員は書籍Bにおける書籍本体B2の一般的な厚みに比し小さいものとしてある。また、このブラシ毛先端縁部の厚みは可能な限り小さくすると共に左右への揺動幅の選定による研磨動作によって、肉薄本から肉厚本に至るまでの厚さが異なる各種の書籍Bに対応可能であり、ブラシ毛自体は書籍本体B2縁面の研磨は可能でも、表裏紙B1縁面は擦過しない程度の柔軟性を有するものとしてある。そして、この小口部研磨ブラシ91は、小口部面を研磨するのに伴い次第に摩耗、消耗するので、着脱セット部85による着脱操作で昇降ベース77から取り外し、固定部93の挟着固定の解除によって新規な小口部研磨ブラシ91と交換されるものとなっている。
【0048】
揺動手段95は、昇降ベース77におけるブラシ駆動モータ82の固定位置とは反対側の他端部に設けられており、昇降ベース77の前面に固定されたスライドベース96と、このスライドベース96上でスライドし、前記着脱セット部85における支持板86が連繋されるスライドブロック97と、このスライドブロック97をスライド進退させる例えばスライドシリンダ98とから成る。これらのスライドベース96、スライドブロック97、スライドシリンダ98は昇降ベース77前面における左右方向に沿って配置されており、スライドシリンダ98のシリンダロッドの出没進退作動によってスライドブロック97を移動させることで、着脱セット部85を介して小口部研磨ブラシ91を左右に揺動させるようになっている。
【0049】
このように構成された小口部研磨装置60において、研磨すべき書籍Bにおける小口部面位置に小口部研磨ブラシ91の先端が至るように送り調整ハンドル66の操作でスライドベース62位置を予め調整設定させておく。そして、チャック装置20によって保持された1処理群の書籍Bが小口部研磨エリア1B位置に搬送されてくると、小口部研磨機構71における小口部研磨スタンド72が前進し、例えば書籍Bの小口部面で回転する小口部研磨ブラシ91が下方から上方に向かって擦過し、上位置では書籍本体B2の厚さに対応して左右方向に僅かに揺動され、再び上方から下方に向かって擦過することで研磨するのであり、下位置に至ると小口部研磨スタンド72は後退して、次動作に備える。
【0050】
もとより、摩耗、損耗することで次第に小形(小径)となる小口部研磨ブラシ91先端による擦過域の変化に伴い、例えば擦過域の検出機構による検出と共に小口部研磨スタンド72の前進位置を自動的に調整するようにすることも可能である。
【0051】
そして、小口部研磨装置60で小口部が研磨された1処理群の書籍Bは、チャック装置20で保持されたまま旋回搬送装置10によって天地部研磨エリア1Cに搬送され、書籍Bの天地部それぞれが天地部研磨装置100によって研磨される。この天地部研磨装置100は、図11乃至図13に示すように、天地部研磨エリア1Cに据え付けられた天地部研磨架台101前面で上下それぞれに研磨位置がスライド調整される天・地部スライドベース106,126と、前記チャック装置20によって支持されている書籍Bの天地部それぞれを研磨するよう天地部それぞれに沿って前後動し、また左右に揺動する天・地部研磨ブラシ122,142を有して、天・地部スライドベース106,126それぞれの上下で上下動自在に支持された天・地部研磨機構105,125とを備えて成る。
【0052】
天地部研磨架台101は、図示のように左右に立脚固定される左右の支柱、この支柱の上部相互間で架設された梁部、左右の支柱それぞれの背部で連結された側面ほぼL字形の補強支柱から成り、これらの支柱、梁部、補強支柱は例えば中空の角型鋼材にて形成されていて、左右方向に沿って長く構成されている。
【0053】
この天地部研磨架台101の上部には天部スライドベース106によって天部研磨機構105が、下部には地部スライドベース126によって地部研磨機構125がそれぞれ配装されており、天部研磨ブラシ122は搬送されてくる書籍Bの天部上方位置に、地部研磨ブラシ142は同じく書籍Bの地部下方位置で待機していて、天部研磨ブラシ122は下降して、地部研磨ブラシ142は上昇してそれぞれを擦過するように同期的に前後に移動して研磨するのである。天・地部研磨機構105,125それぞれは、基本的には上下で対称的に構成されていて、また、小口部研磨装置60における小口部研磨機構71とは、小口部研磨機構71の小口部研磨ブラシ91が上下方向で作動するのに対し、天・地部研磨機構105,125の天・地部研磨ブラシ122,142が前後方向で作動する点で異なっていても、基本的には同様に構成されている。
【0054】
ここで、先ず天部研磨機構105を説明すると、天地部研磨架台101の上部で上下に移動するよう支持された天部スライドベース106と、この天部スライドベース106下面で前後に移動するよう連結支持した天部移動台115と、この天部移動台115下面で支持されていて複数、すなわち研磨すべき1処理群の書籍B数に対応し、天部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の天部研磨ブラシ122を列設した研磨ブラシ体121とを有する。
【0055】
天部スライドベース106は、天地部研磨架台101の上部で左右部に上下方向に沿って配したガイド支柱、このガイド支柱にスライド自在に嵌合して天部スライドベース106自体に連結されているスライダーから成るガイド部107によって、天地部研磨架台101の上下方向に沿ってスライド案内される。また、この天部スライドベース106自体の研磨開始時の初期作動位置は、研磨位置調整機構108によって調整設定されるようになっている。すなわち、この研磨位置調整機構108は、天地部研磨架台101の上部背面に突出配置された送り調整ハンドル109の回転操作によって、この送り調整ハンドル109の軸部先端と、天地部研磨架台101の上下方向に沿って配され、天部スライドベース106に連結されているジョイントサポート111の下端とを傘歯車相互の噛み合いで形成されているネジ送り部112によって連撃してあり、軸回転されるジョイントサポート111の回転でネジ送りされることによって天部スライドベース106を上下動させることで、位置決め設定するものとして構成してある。このような送り調整ハンドル109の回転操作による上下動位置の初期設定によって、研磨すべきものとして搬送されてくる書籍Bの天部の高さ位置に対応調整するように上下位置に送り調整される。
【0056】
天部移動台115は、図示例にあっては平面から見て矩形枠状に形成されていて、この天部移動台115における左右枠部下面に設けたガイドレール116にスライド自在に噛み合う天部研磨ベース117によって、研磨ブラシ体121は天部移動台115下面に吊り下げられるように支持されている。そして、天部移動台115内に配装した天部移動シリンダ118のシリンダロッドによる出没進退作動で、ガイドレール116に案内されて天部研磨ベース117が前後方向で進退するようになっている。
【0057】
研磨ブラシ体121は、1処理群の書籍Bの天部を研磨するに対応する天部研磨ブラシ122を列設することで構成されており、研磨ブラシ体121自体の構成、天部研磨ベース117に対する着脱構造、書籍Bの天部に対する前後移動、左右揺動による研磨作動その他は、小口部研磨装置60における小口部研磨機構71の研磨ブラシ体81自体の構成、その昇降ベース77に対する着脱構造、書籍Bの小口部に対する上下移動、左右揺動による研磨作動その他とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略される。
【0058】
次に地部研磨機構125を説明すると、天地部研磨架台101の下部で上下に移動するよう支持された地部スライドベース126と、この地部スライドベース126上面で前後に移動するよう連結支持した地部移動台135と、この地部移動台135上面で支持されていて、複数、すなわち研磨すべき1処理群の書籍B数に対応し、地部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の地部研磨ブラシ142を列設した研磨ブラシ体141とを有する。
【0059】
地部スライドベース126は、天地部研磨架台101の下部で左右部に上下方向に沿って配したガイド支柱、このガイド支柱にスライド自在に嵌合して地部スライドベース126自体に連結されているスライダーから成るガイド部127によって、天地部研磨架台101の上下方向に沿ってスライド案内される。また、この地部スライドベース126自体の研磨開始時の初期作動位置は、研磨位置調整機構128によって調整設定されるようになっている。すなわち、この研磨位置調整機構128は、天地部研磨架台101の上部背面に突出配置された送り調整ハンドル129の回転操作によって、この送り調整ハンドル129の軸部先端と、天地部研磨架台101の上下方向に沿って配され、地部スライドベース126に連結されているジョイントサポート131の下端とを傘歯車相互の噛み合いで形成されているネジ送り部132によって連撃してあり、軸回転されるジョイントサポート131の回転でネジ送りされることによって地部スライドベース126を上下動させることで、位置決め設定するものとして構成してある。このような送り調整ハンドル129の回転操作による上下動位置の初期設定によって、研磨すべきものとして横持ち状態で搬送されてくる書籍Bの地部面の高さ位置に対応調整するように上下位置に送り調整される。
【0060】
地部移動台135は、図示例にあっては平面から見て矩形枠状に形成されていて、この地部移動台135における左右枠部下面に設けたガイドレール136にスライド自在に噛み合う地部研磨ベース137によって、研磨ブラシ体141は地部移動台135上面に載置されるように支持されている。そして、地部移動台135内に配装した地部移動シリンダ138のシリンダロッドによる出没進退作動で、ガイドレール136に案内されて地部研磨ベース137が前後方向で進退するようになっている。
【0061】
研磨ブラシ体141は、1処理群の書籍Bの地部を研磨するに対応する地部研磨ブラシ142を列設することで構成されており、研磨ブラシ体141自体の構成、地部研磨ベース137に対する着脱構造、書籍Bの地部に対する前後移動、左右揺動による研磨作動その他は、天部研磨機構105における研磨ブラシ体121、すなわち小口部研磨装置60における小口部研磨機構71の研磨ブラシ体81自体の構成、その昇降ベース77に対する着脱構造、書籍Bの小口部に対する上下移動、左右揺動による研磨作動その他とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略される。
【0062】
このように構成された天地部研磨装置100において、研磨すべき書籍Bにおける天・地部面位置に天・地部研磨ブラシ122,142の先端が至るように送り調整ハンドル109,129の操作で天・地部スライドベース106,126位置を予め調整設定させておく。そして、チャック装置20によって保持された1処理群の書籍Bが天地部研磨エリア1C位置に搬送されてくると、天・地部研磨機構105,125における天・地部移動台115,135それぞれが下降、上昇し、例えば書籍Bの天・地部面それぞれで回転する天・地部研磨ブラシ122,142が後方から前方に向かって擦過し、前位置では書籍本体B2の厚さに対応して左右方向に僅かに揺動され、再び前方から後方に向かって擦過することで研磨するのであり、後位置に至ると天・地部移動台115,135それぞれが上昇、下降して、次動作に備える。
【0063】
そして、天地部研磨装置100で天地部が研磨された1処理群の書籍Bは、チャック装置20で保持されたまま旋回搬送装置10によってチャック解除・排出エリア1Dに搬送され、チャック装置20のチャック部29それぞれが書籍Bの挟着保持状態を解除し、排出装置150によって書籍Bをハードカバー書籍用研磨機1外に排出する。
【0064】
この排出装置150は、チャック解除・排出エリア1Dにおいて、旋回移動されてくるチャック装置20のチャック部29下方に位置し、チャック部29内外域で前後進退する排出盤151と、チャック部29外方域にある排出盤上の書籍Bを排出押圧する排出手段152とを備える。
【0065】
排出盤151は、1処理群の書籍B数に対応した複数のチャック部29群の一方の端部位置から他方の端部位置に至るまでの左右幅員と、書籍Bの奥行長さとに比し小さくはない幅員、奥行を有する長方形状に形成されており、これの下面に設けたシリンダの如き前後動手段によって、チャック部29内外域相互間で、チャック装置20下方面上で前後動するようになっている。この排出盤151は、チャック部29から解除された書籍Bを載せた状態で前進移動したとき、チャック解除・排出エリア1Dにおける天地部研磨エリア1C側の外方に設けられる排出処理エリア1Eに配置した排出処理盤155の端部と隙間無く円滑に連続するものとなっている。
【0066】
排出手段152は、排出盤151上に載せられている書籍B群を排出処理盤155上に強制的に押圧移動させるもので、排出処理盤155とは反対側であるチャック解除・排出エリア1Dにおける投入・チャックエリア1A側に配装される、例えばシリンダから成る。このシリンダのシリンダロッド先端に付設した押圧片が書籍Bそれぞれをその一方から順次に押圧することで1処理群の書籍Bを纏めて排出処理盤155上に押し出すようになっている。
【0067】
この排出装置150では、チャック解除・排出エリア1Dにチャック装置20によって保持されたままで搬送されてきた書籍Bのチャック保持がチャック部29の開放で解除されると、それらの書籍Bはチャック部29下方に待機位置している排出盤151上に載置され、その後、排出盤151がチャック解除・排出エリア1D外方に前進する。この排出盤151の前進で排出処理盤155と連なった状態となる排出盤151上で排出手段152によって書籍Bを排出処理盤155側に押し出すのである。
【0068】
尚、チャック部29が書籍Bを解除し、排出装置150において書籍Bをチャック解除・排出エリア1D外方に排出作動中では旋回搬送装置10が旋回し、空になったチャック装置20は投入・チャックエリア1A位置に至り、投入装置40によって投入される書籍Bのチャック保持を準備する。
【0069】
尚、ハードカバー書籍用研磨機1の全体は、例えば透明なカバー材(図示を省略)によって覆われており、書籍Bを研磨するときに生じる紙粉、紙屑等が周囲に飛散しないようにし、特に小口部研磨装置60、天地部研磨装置100の近傍には集塵装置(図示を省略)を配置し、紙粉、紙屑等を吸引除去するようにしておく。
【0070】
以上に説明した実施の形態にあっての作動の一例を説明すると、ハードカバー書籍用研磨機1において、投入・チャックエリア1Aでは、投入装置40に整列状態で投入配置された研磨すべき書籍Bを、この投入装置40自体によってチャック装置20のチャック部29それぞれに各別に挿入し、保持させる。書籍Bが保持されると、旋回搬送装置10の間欠的な旋回作動で、書籍Bのチャック保持状態を維持したままで旋回搬送装置10がチャック装置20を小口部研磨エリア1Bに持ち来し、書籍Bを小口部研磨装置60に位置させる。
【0071】
小口部研磨装置60では、これの小口部研磨機構71における研磨ブラシ体81が書籍Bの小口部面に沿って上下、左右に動くことで書籍Bの小口部を研磨し、研磨後で旋回搬送装置10によって隣接する天地部研磨エリア1Cに書籍Bを送り、天地部研磨装置100に位置させる。天地部研磨エリア1Cでは、天地部研磨装置100における天・地部研磨機構105,125の研磨ブラシ体121,135が書籍Bの天地部の上下に位置していて、これの作動によって書籍Bの天地部を各別に研磨する。
【0072】
天地部の研磨が終了した書籍Bは旋回搬送装置10によってチャック解除・排出エリア1Dに送られ、このチャック解除・排出エリア1Dにおいてはチャック装置20のチャック部29が書籍Bのチャック状態を解除し、解除された書籍Bは排出装置150によってハードカバー書籍用研磨機1外に排出され、所定数で纏めて保管される。すなわち、旋回搬送装置10の間欠旋回作動によって、その旋回の一時的な停止時で、投入・チャックエリア1Aでは書籍Bの投入、チャック保持、小口部研磨エリア1Bでは小口部の研磨、天地部研磨エリア1Cでは天地部の研磨、チャック解除・排出エリア1Dではチャック解除、排出がなされ、それぞれが終了すると順次に次工程のエリアに1処理群毎の書籍Bが送られるのである。
【0073】
尚、以上に説明した実施の形態では、第1段階として小口部研磨装置60によって書籍Bの小口部面を、第2段階として天地部研磨装置100によって書籍Bの天地部面を研磨するようにしてあるが、これらの研磨動作を先ず第1に天地部を、次いで第2に小口部を研磨するように逆の順序として作動させるように、小口部研磨装置60を天地部研磨エリア1Cに、天地部研磨装置100を小口部研磨エリア1Bそれぞれに配装することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
B…書籍 B1…表裏紙
B2…書籍本体
1…ハードカバー書籍用研磨機 1A…投入・チャックエリア
1B…小口部研磨エリア 1C…天地部研磨エリア
1D…チャック解除・排出エリア
10…旋回搬送装置 11…旋回支柱
12…旋回テーブル
20…チャック装置 21…表表紙側チャック部
22…連結アーム 23…チャック固定ベース
24…連結部 25…表表紙側チャックベース
26…表表紙チャック片 29…チャック部
31…裏表紙側チャック部 32…連結スライド部
33…裏表紙側チャックベース 34…裏表紙チャック片
35…スライド機構 36…チャックシリンダ
37…スライドアーム 38…ラック
39…ピニオン
40…投入装置 41…押圧移動部
42…整列板 43…押圧機構
45…挿入移動案内部 46…挿入ベルト
48…移動ベース盤 49…移動挿入ボックス
51…挿入部 52…挿入ガイド
53…書籍挿入機構 54…押圧ロッド
55…投入部 56…支持底盤
57…仮チャック機構 58…ストッパー
60…小口部研磨装置 61…小口部研磨架台
62…スライドベース 63…ガイド部
65…研磨位置調整機構 66…送り調整ハンドル
67…送りネジ 71…小口部研磨機構
72…小口部研磨スタンド 73…スタンドトップ
74…ガイドレール 75…スライドシリンダ
77…昇降ベース 78…昇降ガイドレール
79…昇降シリンダ 81…研磨ブラシ体
82…ブラシ駆動モータ 83…カップリング
85…着脱セット部 86…支持板
87…支持溝 88…ロック体
89…ストッパーロック 91…小口部研磨ブラシ
92…ブラシ軸 93…固定部
95…揺動手段 96…スライドベース
97…スライドブロック 98…スライドシリンダ
100…天地部研磨装置 101…天地部研磨架台
105…天部研磨機構 106…天部スライドベース
107…ガイド部 108…研磨位置調整機構
109…送り調整ハンドル 111…ジョイントサポート
112…ネジ送り部 115…天部移動台
116…ガイドレール 117…天部研磨ベース
121…研磨ブラシ体 122…天部研磨ブラシ
125…地部研磨機構 126…地部スライドベース
127…ガイド部 128…研磨位置調整機構
129…送り調整ハンドル 131…ジョイントサポート
132…ネジ送り部 135…地部移動台
136…ガイドレール 137…地部研磨ベース
141…研磨ブラシ体 142…地部研磨ブラシ
150…排出装置 151…排出盤
152…排出手段 155…排出処理盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
90度毎に間欠旋回される平面でほぼ正方形状を呈する旋回テーブルを備えた旋回搬送装置と、研磨すべき書籍を背表紙側から各別にチャック保持し、解除するチャック部を備えて旋回テーブルの各辺に配装されたチャック装置と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍の小口部を研磨する小口部研磨ブラシを備えた小口部研磨装置と、旋回されて送られてくるチャック保持された書籍の天地部を研磨する天部研磨ブラシ、地部研磨ブラシそれぞれを備えた天地部研磨装置と、研磨終了後の書籍のチャック保持を解除し、排出する排出装置とを備えて成ることを特徴とするハードカバー書籍用研磨機。
【請求項2】
旋回搬送装置は、立脚状にして中央に配置固定した旋回支柱と、この旋回支柱の上部に旋回支柱を中心として水平面上で間欠的に回転する旋回テーブルとを備え、旋回テーブルを、書籍を投入し、チャック装置にチャック保持させる投入・チャックエリア、書籍の小口部を研磨する小口部研磨エリア、書籍の天地部を研磨する天地部研磨エリア、研磨終了後の書籍のチャック保持を解除し、排出するチャック解除・排出エリアそれぞれで間欠停止するようにしてある請求項1に記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項3】
チャック装置は、旋回搬送装置の旋回テーブルの辺部に、旋回テーブル外方に突出位置するようにして固定され、書籍の表表紙面に当接する複数の表表紙チャック片を有する表表紙側チャック部と、表表紙チャック片に対向して表表紙チャック片と共に書籍の裏表紙面に当接して挟み込む複数の裏表紙チャック片を有する裏表紙側チャック部と、表表紙側チャック部の表表紙チャック片、裏表紙側チャック部の裏表紙チャック片相互間を対向させて開閉スライドさせるスライド機構とを有し、互いに対向している一対の表表紙チャック片、裏表紙チャック片相互で1組のチャック部を形成してある請求項1または2に記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項4】
小口部研磨装置は、旋回搬送装置の周縁に位置させて据え付けられた小口部研磨架台上で小口部に対する研磨位置が前後にスライド調整されるスライドベースと、前記チャック装置によって支持されている書籍の小口部を研磨するよう小口部に沿って上下動する小口部研磨ブラシを有して、スライドベース上で前後動自在に支持された小口部研磨機構とを備えて成る請求項1乃至3のいずれかに記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項5】
スライドベースは、小口部研磨架台の背面に突出配置された送り調整ハンドルの回転操作で、小口部研磨架台の前後に沿って配装された送りネジが回転され、書籍の小口部位置に小口部研磨ブラシ91を対応調整するように前後位置に送り調整させる研磨位置調整機構を備えている請求項4に記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項6】
小口部研磨機構は、スライドベース上で前後に移動するよう立脚状に支持された小口部研磨スタンドと、この小口部研磨スタンドの前面で上下動自在に設けた昇降ベースと、この昇降ベース前面に支持され、研磨すべき1処理群の書籍数に対応し、小口部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の小口部研磨ブラシを列設した研磨ブラシ体とを有して成る請求項1乃至5のいずれかに記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項7】
天地部研磨装置は、旋回搬送装置の周縁に位置させて据え付けられた天地部研磨架台前面で上下それぞれに研磨位置がスライド調整される天・地部スライドベースと、前記チャック装置によって支持されている書籍の天・地部それぞれを研磨するよう天・地部それぞれに沿って前後動する天・地部研磨ブラシを有して、天・地部スライドベースそれぞれの上下で上下動自在に支持された天・地部研磨機構を備えて成る請求項1乃至6のいずれかに記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項8】
天・地部スライドベースは、天地部研磨架台の上部あるいは下部背面に突出配置された送り調整ハンドルの回転操作によって、この送り調整ハンドルの軸部先端と、天地部研磨架台の上下方向に沿って配されて天部スライドベースあるいは地部スライドベースに連結されているジョイントサポートの下端あるいは上端との傾斜面相互の傾斜当接の度合いによってジョイントサポートを上下動させることで、上下位置が設定される研磨位置調整機構を備えて成る請求項7に記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項9】
天・地部研磨機構は、天地部研磨架台の上部あるいは下部で上下に移動するよう支持された天・地部スライドベースと、この天・地部スライドベース下面あるいは上面で前後に移動するよう連結支持した天・地部移動台と、この天・地部移動台下面あるいは上面で支持され、研磨すべき1処理群の書籍数に対応し、天部あるいは地部厚さに対応して左右に揺動する回転ブラシ構造の天・地部研磨ブラシを列設した研磨ブラシ体とを有する請求項1乃至8のいずれかに記載のハードカバー書籍用研磨機。
【請求項10】
研磨ブラシ体は、昇降ベースあるいは天・地部研磨ベースの一端部に固定されたブラシ駆動モータと、昇降ベースあるいは天・地部研磨ベースの他端部に設けられた着脱セット部と、ブラシ駆動モータの駆動軸、着脱セット部相互間でブラシ軸によって着脱される小口部研磨ブラシあるいは天・地部研磨ブラシと、小口部研磨ブラシあるいは天・地部研磨ブラシを左右に揺動させる揺動手段とを備えて成る請求項6乃至9のいずれかに記載のハードカバー書籍用研磨機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−230443(P2011−230443A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104717(P2010−104717)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(310000842)株式会社サンブック社 (3)
【Fターム(参考)】