説明

熱音響トモグラフィ法および熱音響トモグラフ

本発明は、熱音響トモグラフィ法および熱音響トモグラフに関し、被写体(2)の熱的励起のための少なくとも1つの励起源(3)と、刺激により生じた被写体からの音波(4)を記録するための少なくとも1つの検出器(5)とを備える。移動装置(7)は、被写体(2)および/または少なくとも1つの検出器(5)を互いに相対的に変位し、再構成装置(8)は、被写体(2)の実際の位置に依存して、検出された音波(4)から前記被写体(2)を再構成する。本発明による被写体の再構成の方法と装置は、アルゴリズムの複雑さが最小になるが、可能な最大解像度が達成できる。ここで、少なくとも1つの検出器(5)は、少なくとも1つの次元で、少なくとも81/2・dの拡がりを持つ。dは、撮像されるべき前記被写体(2)の1点から前記検出器(5)までの最大距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像する熱音響トモグラフィ法に関する。この熱音響トモグラフィ法では、被写体は励起源によって熱的に励起され、前記熱的励起により生じた被写体からの音波は、被写体の異なる方向から、少なくとも1つの検出器を用いて検出され、被写体の像は、検出された音波と位置情報とから再構成される。
【0002】
本発明は、また、被写体を撮像するための熱音響トモグラフに関する。熱音響トモグラフは、被写体(2)を熱的に励起する少なくとも1つの励起源(3)と、熱的励起により前記被写体により生じた音波(4)を検出する少なくとも1つの検出器(5)と、前記被写体(2)および/または少なくとも1つの前記検出器(5)を互いに相対的に移動する移動装置(7)と、前記被写体(2)の位置の関数として、検出された音波(4)から前記被写体(2)を再構成する再構成装置(8)とを備える。
【背景技術】
【0003】
広い範囲の3次元及び2次元の形状が「被写体」の用語で表される。
【0004】
もし半透明の被写体が短い電磁パルスを用いて熱的に励起されるならば、たとえば、被写体の内部の突然の熱的膨張が、音波を引き起こす圧力分布を発生する。この過程で生じる音圧は、吸収される電磁波エネルギーの空間的分布に比例する。熱音響トモグラフィは、被写体の中のこの空間的分布を、被写体の外で測定された音波から再構成する。たとえば発ガン性組織と健康な組織は非常に異なる吸収係数を持つので、熱音響トモグラフィは、超音波法を用いて撮像できなかったこれらの2種の組織を撮像するとき、よい対照を生じる。しかし、熱音響トモグラフィには、医療分野の他に、他の応用分野もある。従来の熱音響トモグラフィ法では、小さな音検出器(理想的には点)が、被写体の外で音波を検出するために使用され、検出器は被写体に対し相対的に移動され、最後に、被写体の像が、1組の十分なデータから再構成される。すべての従来の再構成法は近似モデルに基づいている。(たとえば、下記の文献を参照せよ。R.A. Kruger, D.R. Reinecke, G.A. Kruger著、" Thermoacoustic computed tomography - technical consideration. Medical Physics, Volume 26, Issue 9, pp. 1832-1837, 1997、および、R.A. Kruger, M.L. Kiser, K.D. Miller, H.E. Reynolds; "Thermoacoustic CT: Imaging Principles. Proceedings SPIE 3916, pp. 150-159, 2000。)
【0005】
米国特許第5,840,023号は、医療用の光音響撮像法を記載する。ここで、人の組織がレーザにより熱的に励起される。被写体から放射される音波を検出するために、小さい検出器または複数の小さい検出器のアレイが使用される。ここで、圧電検出器と光検出器が使用できる。
【0006】
米国特許第6,567,688号は、熱音響トモグラフィ法を示す。ここで、生物の組織がマイクロ波を用いて励起され、生じた音波は超音波変換器を用いて検出される。上の特許とは対称的に、これは、リアルタイムスキャン法であり、再構成法ではない。ここでも、比較的小さい検出器または合成可能に合焦できる複数の小さい検出器のアレイが使用される。
【0007】
米国特許第6,633,774号は、組織の構造の検査のための熱音響撮像システムを記載する。この組織は、電磁波源により熱的に励起される。複数の検出器の回転可能な配置が、被写体から放射される音波を検出する。複数の小さな検出器からなる複数のアレイがこの目的のために用いられる。被写体は、記録されたデータから近似的に再構成される。また、互いの同期される複数の放射源が、励起のために使用できる。圧電素子が検出器として用いられる。
【特許文献1】米国特許第5,840,023号
【特許文献2】米国特許第6,567,688号
【特許文献3】米国特許第6,633,774号
【非特許文献1】R.A. Kruger, D.R. Reinecke, G.A. Kruger著、" Thermoacoustic computed tomography - technical consideration. Medical Physics, Volume 26, Issue 9, pp. 1832-1837, 1997"
【非特許文献2】R.A. Kruger, M.L. Kiser, K.D. Miller, H.E. Reynolds; "Thermoacoustic CT: Imaging Principles. Proceedings SPIE 3916, pp. 150-159, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、熱音響トモグラフィ法および熱音響トモグラフを提供することである。ここで、像の光学的品質と解像度とを、像データの再構成のための許容できる費用と結びつける。このため、既知の再構成法が、可能なところで使用されるべきである。既知の方法とシステムの欠点は、避けられまたは減少されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、方法の観点からは、次のように解決される。検出器により検出された音波は、少なくとも1つの方向に少なくとも81/2・dの長さにわたって積分される。dは、撮像されるべき被写体の1点から検出器までの距離を表す。本発明の方法において、これが意味するのは、検出器により検出される音波が少なくとも81/2・dの長さにわたって積分されるように、少なくとも1つの次元においてこの長さをもつ検出器が使用されることである。検出器のこの次元での積分のため、非常に高い解像度を可能にする計算法が、被写体の像を再構成するために使用できる。検出器の寸法は、検出器を含む面への、被写体から放射される全音圧の測定を可能にする。
【0010】
本発明による寸法を持つ検出器の形状に依存して、他の撮像法から知られている複数の異なる計算法が使用できる。検出器が被写体のまわりで、または、被写体が検出器のまわりで、既知の方法で移動される。最終的に被写体の再構成が可能になる量のデータが記録される。従来の熱音響トモグラフィ法では、本発明による方法とは対照的に、音検出器により測定されたデータは、点測定データとして解釈される。この近似は、再構成の解像度が検出器の寸法により制限されることを意味する。この近似は、大面積を積分する検出器の使用により避けられる。この場合、空間的分解能は、音波の検出可能な最大周波数によってのみ制限される。
【0011】
発明のもう1つの特徴は、検出器により検出された音波が、1つの次元で少なくとも81/2・dの長さで積分されることである。この種の線状またはストライプ状の検出器を使用するため、既知の数学的再構成法が使用できる。これは、平らな検出器とは反対に、この種の線状の検出器は、すべての空間的方向において回転される必要がなく、固定されたピボットのまわりで案内できるか、または、被写体が固定されたピボットのまわりで回転できるからである。
【0012】
もちろん、少なくとも81/2・dの直径の面を持つ大面積検出器が前記検出器として同様に使用可能である。
【0013】
もし検出器が面状であれば、被写体の像は、たとえば逆ラドン変換を用いて再構成できる。ラドン変換は、デジタル画像処理であり、被写体の像の再構成を容易にする一連の計算法と逆変換法が存在する根拠である。ラドン変換は、ヨハン・ラドンにより1917年に定義された線形積分変換であり、彼の名前から名付けられた。このラドン変換は、1次元投影から2次元関数の再構成のためのコンピュータトモグラフィにおいて基本的役割を果たす。3次元波動方程式の反転は、再構成のため点検出器において適用されるが、本発明による大面積検出器に使用により、複数の1次元波動方程式の系に還元される。
【0014】
上述の線状の検出器において、種々の他の再構成法の組み合わせが使用できる。
【0015】
被写体の像の再構成のために、複数の検出器の検出値が処理できる。また、これは、測定時間を短くする。なぜなら、使用される検出器の数のため、被写体のまわりの検出器の必要な移動または検出器のまわりの被写体の必要な移動は減少されるからである。
【0016】
この方法は、少なくとも1つの検出器が被写体のまわりを移動されることにより、大きく容易になる。また、被写体は回転でき、または、検出器と被写体が互いに対して互恵的に移動できる。
【0017】
好ましくは、被写体の再構成像がモニターなどに表示される。
【0018】
もし熱的励起により生じた、被写体からの音波が、数GHzまでの超音波周波数領域において検出されるならば、適当な検出器、特に薄い圧電シートまたは層が、マイクロ波領域での位置解像度を得るために使用できる。被写体の空間的解像度は、対応する検出器が使用されるとき、この最大の超音波周波数によってのみ制限される。
【0019】
改善された測定結果を達成する目的のため、被写体は、また、吸収応答に影響するコントラストエージェントとともに提供される。ここで、他の撮像法におけるように、たとえば、医療において通例のコントラストエージェントが使用できる。
【0020】
本発明の目的は、また、熱音響トモグラフによっても達成できる。ここで、少なくとも1つの前記検出器は、少なくとも1つの次元で、少なくとも81/2・dの拡がりを持つ。dは、撮像されるべき前記被写体の1点から前記検出器までの最大距離を表す。大きな寸法をもつこの種の検出器の使用は、被写体により生じた、検出器の面の上での全音圧の検出を達成する。したがって、逆ラドン変換などの既知の数学的方法は、3次元被写体の再構成のために使用でき、したがって、安定な数値計算アルゴリズムが、同時に再構成画像の特に高い解像度で使用できる。
【0021】
前記検出器は、たとえば、線状またはストライプ状の検出器である。ここで、検出器の長さは少なくとも81/2・dである。
【0022】
この種の細長い検出器を用いる場合、複数の線状またはストライプ状の検出器が互いに平行に配置できる。
【0023】
前記検出器は、もちろん、少なくとも81/2・dの直径の面を持つ平らな検出器であってもよい。
【0024】
もし少なくとも1つの前記検出器が面の形状であれば、第1に、検出器の単純な形状が可能になり、第2に、逆ラドン変換の適用が可能になる。
【0025】
他方、少なくとも1つの前記検出器(5)は凹状に曲がっていてもよく、たとえば、半円筒の形状であってもよい。ここで、再構成法では、検出器の形状が考慮されねばならない。この種の曲がった形状の長所は、面状の検出器より小さな外側の寸法を持つが、同じ広さの面積を持つことである。しかし、これは数学的再構成法をわずかに複雑にする。
【0026】
好ましくは、前記検出器(5)の上側のカットオフ周波数が数GHzである。そのような高いカットオフ周波数のため、マイクロメートルの領域での特に高い分解能が達成される。
【0027】
前記検出器は、たとえば、圧電効果により音波を直接に電気信号に変換する圧電センサである。圧電材料はたとえばフッ化ポリビニリデン(PVDF)または酸化亜鉛(ZNO)である。そのような材料は、マイクロメートルまたはナノメートルの範囲の特に薄い厚さの基板材料の上でのシートまたは層として入手できる。よい位置分解能がこの特に薄い厚さにより達成される。このシートは、メタライズされ、接点と接続され、したがって、下流の電子回路、特に増幅器に簡単に接続できる。
【0028】
また、音波の検出のための異なる装置により前記検出器を具体化できる。たとえば、光センサ、特に光導波路 waveguide が使用でき、音波を受け取ると変形されて、光導波路を案内される信号を変換させる。
【0029】
前記励起源はたとえばレーザであり、赤外線レーザが特に好ましい。
【0030】
別の形態では、3次元被写体の熱的励起はマイクロ波励起源により達成できる。
【0031】
被写体と検出器の間の音の伝播を改善するために、少なくとも1つの前記検出器と前記被写体は、好ましくは、液体結合媒体(11)の中に配置される。蒸留水または鉱物油がこの液体結合媒体として使用できる。
【0032】
前記検出器の保護の目的のため、検出器は、保護シートを備える。この保護シートにより検出器の感度が減少しないように注意されるべきである。
【0033】
ステッピングモータは、少なくとも1つの前記検出器を前記被写体に対して相対的に移動する移動装置として使用できる。
【0034】
前記再構成装置は通常はコンピュータである。
【0035】
最後に、被写体の像を表示するディスプレイ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、例えば3次元の被写体2(たとえば組織の試料)を撮像するための熱音響トモグラフを示す。被写体2は、励起源3、たとえばパルスレーザまたはマイクロ波励起源を用いて熱的に励起される。熱的励起のため被写体2により生じた音波4は、検出器5により検出され、検出された信号はアンプ6に送られる。検出器5に対する被写体2の移動を達成するため、移動装置7(たとえばステッピングモータ)が被写体2または検出器5に結合される。アンプ6から生じた信号は、移動装置7の制御信号とともに、被写体2を再構成する再構成装置8(例えばコンピュータ装置)に送られる。同時に、励起源3もまた、熱的励起を制御するために再構成装置8に結合される。最後に、被写体2の再構成画像は、ディスプレイ9に表示できる。被写体2から検出器5への音伝播特性を改良するため、被写体2と検出器5とは、液体結合媒体11とともに容器10の中に配置される。この液体結合媒体11は、たとえば、最適な音伝播速度を持つ蒸留水または鉱物油である。本発明により、検出器は、少なくとも1つの次元で、少なくとも81/2dの寸法をもつ。ここで、dは、撮像されるべき被写体2の1点から検出器5までの最大距離を示す(図2参照)。もちろん、複数の検出器5が、トモグラフィ法のための記録時間を減らすため相互に接して配置できる。
【0038】
もし被写体2が2次元の被写体2であるならば、1つの軸のまわりでの回転が十分である。もし3次元の被写体2が検査されるならば、検出器5は、被写体2の表面の付近ですべての方向に接線にそって(tangentially)移動されねばならない。または、逆に、被写体2は、検出器5に対して移動されねばならない。被写体2を再構成するために、種々の公知の方法、新規の方法または種々の方法の組み合わせが使用できる。1例として、KoestelおよびBeardの方法(K.P. Koestel, P.C. Beard, "Two Dimensional Photoacoustic imaging by use of Fousotropic response. Applied Optics, 42(10), 2003)が引用される。平らな面状検出器が用いられるとき、画像再構成は、特に、2次元逆ラドン変換を用いて、特に適当に、努力なしに、実行できる。
【0039】
図2は、被写体2に対する検出器5の位置を詳細に示す斜視図である。検出器は、線状検出器の形態であり、この検出器5の1つの次元での寸法lは、少なくとも81/2・dである。ここで、dは、撮像されるべき被写体2の1点から検出器5への最大距離を示す。
【0040】
図3は、円形状の平面検出器の形態の検出器5の変形例を示す。ここで、直径Dは少なくとも81/2・dである。
【0041】
図4は、正方形断面の平らな面状検出器の形態の検出器5の変形例を示す。ここで、この正方形の長さlは少なくとも81/2・dである。
【0042】
最後に、図5は、曲がった形状の検出器5の斜視図を示す。ここで、曲率半径Rは、状況に応じて、また、被写体2の大きさに応じて、種々の設計をとることができる。検出器5の曲がりは、外の寸法がより小さいことを意味し、これは、検出器5が被写体2のまわりをより容易に移動できることを意味する。しかし、この曲がりは、再構成計算において考慮されねばならない。
【0043】
最後に、図6は、撮像されるべき3次元被写体に対する、被写体2からある距離離れた複数の線状検出器の配置を示す。この実施形態において、被写体2は、たとえば、固定されたピボットのまわりで回転され、被写体2から生じる音波は、並列の検出器により検出される。被写体2の各回転角で、熱励起により生じる音圧が、複数の検出器5により記録される。最後に、被写体2の像が、得られたデータから再構成される。
【0044】
本発明の方法と装置は、高いカットオフ周波数を持つ圧電素子または光センサなどの検出器を用いて、高解像度の画像の再構成を可能にする。熱音響トモグラフィ法は、特に医療分野において、従来の撮像法では達成されなかった新たな可能性を開拓する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による熱音響トモグラフによるブロック図
【図2】本発明による線状検出器の図
【図3】円状断面を持つ平面検出器の図
【図4】正方形断面の面状検出器の図
【図5】凹状に曲がった検出器の斜視図
【図6】撮像されるべき3次元被写体に対する複数の線状検出器の配置を示す図
【符号の説明】
【0046】
1 熱音響トモグラフ、 2 被写体、 3 励起源、 4 音波、 5 検出器、 7 移動装置、 8 再構成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する熱音響トモグラフィ法であって、
前記被写体は励起源によって熱的に励起され、前記熱的励起により生じた被写体からの音波は、被写体の異なる方向から、少なくとも1つの検出器を用いて検出され、被写体の像は、検出された音波と位置情報とから再構成され、
前記検出器により検出された前記音波は、撮像されるべき前記被写体の1点から前記検出器までの距離をdとすると、少なくとも1つの方向に少なくとも81/2・dの長さにわたって積分される
熱音響トモグラフィ法。
【請求項2】
請求項1に記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記検出器により検出された前記音波は、1つの方向に少なくとも81/2・dの長さにわたって積分されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項3】
請求項1に記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記検出器により検出された前記音波は、少なくとも81/2・dの長さの直径をもつ面において積分されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記物体の像は、逆ラドン変換を用いて再構成されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
複数の検出器の検出値は、被写体の像を再構成するために処理されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
少なくとも1つの前記検出器は、前記被写体のまわりを移動されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記被写体の再構成像が表示されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記熱的励起により生じた、前記被写体からの音波が数GHzの周波数領域において検出されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載された熱音響トモグラフィ法であって、
前記被写体は、吸収応答に影響するコントラストエージェントとともに提供されることを特徴とする熱音響トモグラフィ法。
【請求項10】
被写体(2)を撮像するための熱音響トモグラフ(1)であって、
前記被写体(2)を熱的に励起する少なくとも1つの励起源(3)と、
熱的励起により前記被写体により生じた音波(4)を検出する少なくとも1つの検出器(5)と、
前記被写体(2)および/または少なくとも1つの前記検出器(5)を互いに相対的に移動する移動装置(7)と、
前記被写体(2)の位置の関数として、検出された音波(4)から前記被写体(2)を再構成する再構成装置(8)とを備え、
少なくとも1つの前記検出器(5)は、撮像されるべき前記被写体の1点から前記検出器までの距離をdとすると、少なくとも1つの次元で少なくとも81/2・dの拡がりを持つことを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項11】
請求項10に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は、線状またはストライプ状の検出器(5)であって、前記検出器の長さ(1)は少なくとも81/2・dであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項12】
請求項11に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
複数の線状またはストライプ状の検出器(5)が互いに平行であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項13】
請求項10に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器は、少なくとも81/2・dの直径(D)の領域を持つ平らな検出器であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は面状であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は凹状に曲がっていることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項16】
請求項15に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は半円筒の形状であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
前記検出器(5)の上側のカットオフ周波数が数GHzであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は圧電センサであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項19】
請求項18に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)はフッ化ポリビニリデン(PVDF)のシートまたは層であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項20】
請求項18に記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は酸化亜鉛(ZNO)のシートまたは層であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項21】
請求項10〜20のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は光センサ、特に光導波路であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項22】
請求項10〜21のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの励起源(3)は、レーザ、特に赤外線レーザであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項23】
請求項10〜22のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの励起源(3)は、マイクロ波励起源であることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項24】
請求項10〜23のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)と前記被写体(2)は、液体結合媒体(11)の中に配置されることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項25】
請求項10〜24のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
少なくとも1つの前記検出器(5)は、保護シートを備えることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項26】
請求項10〜25のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
前記移動装置(7)はステッピングモータであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項27】
請求項10〜26のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
前記再構成装置(8)はコンピュータであることを特徴とする熱音響トモグラフ。
【請求項28】
請求項10〜27のいずれかに記載された熱音響トモグラフ(1)であって、
前記被写体(2)の像を表示するディスプレイ装置(9)が提供されることを特徴とする熱音響トモグラフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−506477(P2008−506477A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521744(P2007−521744)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000244
【国際公開番号】WO2006/007611
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506429396)アッパー・オーストリアン・リサーチ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Upper Austrian Research GmbH
【出願人】(506429363)ウニヴェルジテート・インスブルック (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAET INNSBRUCK
【Fターム(参考)】