説明

端末装置及び消費電流制御方法

【課題】発電によって得られた電流で確実に充電することができる端末装置及び消費電流制御方法を提供すること。
【解決手段】端末装置100において、充電表示制御部106が、電流検出部102で検出された電流値(電流Aの電流値)及び電流検出部105で検出された電流値(電流Eの電流値)に基づいて、定電流制御部107に設定される電流量調整値を変更する。具体的には、電流Aの電流値が電流Eの電流値より小さいときに、電流量調整値が変更される。この変更により、変更前に比べて、変更後の合成電流Eの電流値は小さくされる。こうすることで、電池104からの持ち出し電流が充電電流よりも大きくなる状況となると直ぐに電流量調整値を調整することができるので、電池104からの持ち出し電流が充電電流よりも小さい状況を維持することができる。この結果、充電を効率よく且つ確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及び消費電流制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末は通常持ち運ぶことが前提となる。従って、携帯端末には、例えば特許文献1に開示されているような充電回路及び電池が搭載されており、この充電回路と充電器とが接続されることで電池に充電がなされる。これにより、ユーザーは、電池に充電された電力を利用することにより、電源の無い場所でも携帯端末を利用することができる。
【0003】
また、昨今、太陽電池等の発電部が搭載された携帯端末が現れ始めている。発電部で発電された電流は電池に充電される他、充電表示部等を含む回路にも供給される。これにより、電源が無い場所でも、充電及び携帯端末の利用が可能となると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−86933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の携帯端末の充電システムに太陽電池等の発電部を接続しただけでは、充電が効率良く進まない問題がある。特に、太陽電池等のように発電力が小さい発電部が搭載されている場合には、充電中を示す充電表示がなされているにも関わらず、実際は充電表示部等を含む回路等によって発電電流の殆どが消費されるか又は電池からの持ち出し電流が大きくて、充電が進んでいない状況がある。
【0006】
本発明の目的は、発電された電流を確実に充電することができる端末装置及び消費電流制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端末装置は、発電手段で発電された電流の電流値を検出する第1の検出手段と、前記発電された電流を、電池と充電状況表示手段とに分配する分配手段と、前記電池から充電状況表示手段へ出力される電流と前記分配手段により前記充電状況表示手段へ分配された電流との合成電流の電流値を検出する第2の検出手段と、電流量調整値に基づいて前記合成電流を調整する電流調整手段と、前記第1の検出手段で検出された電流値及び前記第2の検出手段で検出された電流値に基づいて前記電流量調整値を変更する制御手段と、を具備する。
【0008】
本発明の消費電流制御方法は、発電手段で発電された電流の電流値を検出する第1の検出ステップと、前記発電された電流を、電池と充電状況表示手段とに分配する分配ステップと、前記電池から充電状況表示手段へ出力される電流と前記分配手段により前記充電状況表示手段へ分配された電流との合成電流の電流値を検出する第2の検出ステップと、前記第1の検出ステップで検出された電流値及び前記第2の検出ステップで検出された電流値に基づいて電流量調整値を変更する制御ステップと、前記電流量調整値に基づいて前記合成電流を調整する電流調整ステップと、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発電された電流を確実に充電することができる端末装置及び消費電流制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図
【図2】端末装置の動作説明に供するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る端末装置100の構成を示すブロック図である。図1において、端末装置100は、発電部101と、第1の電流検出部102と、充電制御部103と、電池104と、第2の電流検出部105と、充電表示制御部106と、定電流制御部107と、充電状況表示部108とを有する。
【0013】
発電部101は、発電した電力を充電制御部103へ向けて出力する。発電部101は、例えば、太陽電池又は燃料電池等の発電手段である。
【0014】
電流検出部102は、発電部101と充電制御部103との間の電力供給ラインに接続されている。電流検出部102は、発電部101から出力された電流の電流値を検出する。この検出された電流値は、充電表示制御部106へ出力される。
【0015】
充電制御部103は、発電部101から供給される電流を電池104及び充電状況表示部108に向けて出力する。
【0016】
電池104は、充電制御部103から受け取る電流を充電する。また、電池104は、充電状況表示部108へ向けて電力を供給する。この電池104から充電状況表示部108へ向けて供給される電流の量は、定電流制御部107に設定されている、引き込み電流ターゲット値に応じた設定値と、充電制御部103から充電状況表示部108へ向けて出力される電流の量とに基づいて決まる。
【0017】
電流検出部105は、充電制御部103から充電状況表示部108に向けて出力された電流と、電池104から充電状況表示部108へ向けて供給される電流とが合成された合成電流の電流値を検出する。この検出された電流値は、充電表示制御部106へ出力される。
【0018】
充電表示制御部106は、電流検出部102で検出された電流値及び電流検出部105で検出された電流値に基づいて、充電表示を制御する。この充電表示の制御は、定電流制御部107に設定される設定値を調整することによって行われる。具体的には、充電表示制御部106は、まず、電流検出部102で検出された電流値と電流検出部105で検出された電流値とを比較する。そして、充電表示制御部106は、電流検出部105で検出された電流値の方が電流検出部102で検出された電流値よりも大きい場合に、設定値を調整する。この場合、充電表示制御部106は、現時点よりも引き込み電流が小さくなるように、設定値を調整する。
【0019】
定電流制御部107は、充電表示制御部106により設定された設定値に基づいて充電状況表示部108へ出力する電流の量を制御する。具体的には、定電流制御部107は、設定値に応じた電流量を充電制御部103及び電池104から引き込んで、充電状況表示部108へ出力する。
【0020】
充電状況表示部108は、定電流制御部107から供給される電流に応じた充電状況を表示する。充電状況表示部108は、例えば、LED、液晶表示手段、EL表示手段等である。ここでは、電流検出部105で検出された電流値の方が電流検出部102で検出された電流値よりも大きい場合には、定電流制御部107によって電流量が小さく制御されるので、充電状況表示自体の輝度が低下することになる。
【0021】
以上の構成を有する端末装置100の動作について説明する。図2は、端末装置100の動作説明に供するフロー図である。
【0022】
図2において、ステップS201で発電条件が整うと、発電部101において発電が行われる。
【0023】
ステップS202で電流検出部102は、発電部101の出力電流(電流A)の電流値を検出する。この電流Aは、充電制御部103において電池104及び充電状況表示部108へ分配される。ここでは、図1に示すように、充電状況表示部108へ分配される電流は電流Bとされ、電池104へ分配される電流を電流Cとされている。すなわち、電流A=電流B+電流Cの関係(第1の関係)が成り立つ。そして、電流Cは、電池104で充電される。また、電池104からの持ち出し電流は、電流Dとされている。
【0024】
ステップS203で電流検出部105は、電流Bと電流Dとが合成された電流Eの電流値を検出する。すなわち、電流E=電流B+電流Dの関係(第2の関係)が成り立つ。
【0025】
ステップS204で充電表示制御部106は、電流Aの電流値と電流Eの電流値とを比較する。
【0026】
そして、電流Aの電流値が電流Eの電流値より大きい場合(ステップS204:NO)には、定電流制御部107の設定値の変更は行われない。
【0027】
一方、電流Aの電流値が電流Eの電流値以下の場合(ステップS204:YES)には、充電表示制御部106は、ステップS205で定電流制御部107の設定値を変更する。この変更は、電流Aの電流値が電流Eの電流値より大きくなるまで繰り返し行われる。
【0028】
以上で説明したように充電表示制御部106は、電流A>電流Eの関係(第3の関係)が満たされるように、定電流制御部107の設定値を制御する。上記した第1及び第2の関係も考慮すると、第3の関係を満たすことにより、結局、電流C>電流Dの関係が満たされることになる。すなわち、第3の関係を満たすことにより、充電される電流の方が持ち出し電流よりも大きくなるので、充電を効率よく且つ確実に行うことができる。
【0029】
このように本実施の形態によれば、端末装置100において、充電表示制御部106が、電流検出部102で検出された電流値(電流Aの電流値)及び電流検出部105で検出された電流値(電流Eの電流値)に基づいて、定電流制御部107に設定される電流量調整値を変更する。具体的には、電流Aの電流値が電流Eの電流値より小さいときに、電流量調整値が変更される。この変更により、変更前に比べて、変更後の合成電流Eの電流値は小さくされる。
【0030】
こうすることで、電池104からの持ち出し電流が充電電流よりも大きくなる状況となると直ぐに電流量調整値を調整することができるので、電池104からの持ち出し電流が充電電流よりも小さい状況を維持することができる。この結果、充電を効率よく且つ確実に行うことができる。
【0031】
なお、以上の説明では、電流量調整値を変更することにより、変更後の電流Eの電流値を一律に少なくしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、現時点の電流量調整値と、電流Eを少なくする電流量調整値とを交互に設定しても良い。すなわち、充電表示制御部106が、電流Aの電流値が電流Eの電流値より小さいときに、電流量調整値を変更することにより、合成電流量(電流Eの電流量)が基準レベルの第1の区間と合成電流量が基準レベルよりも低い第2の区間とを形成しても良い。このような制御が行われると、充電状況表示部にLEDが用いられる場合には、点滅することになる。これにより、一定のスパンにおいて電流Eの電流値の平均値を小さくすることができる。
【0032】
また、上記説明では、発電部101を端末装置100の構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発電部101が端末装置100と別体であって端末装置100に外付け可能な構成とされていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の端末装置及び消費電流制御方法は、発電された電流を確実に充電することができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0034】
100 端末装置
101 発電部
102,105 電流検出部
103 充電制御部
104 電池
106 充電表示制御部
107 定電流制御部
108 充電状況表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電手段で発電された電流の電流値を検出する第1の検出手段と、
前記発電された電流を、電池と充電状況表示手段とに分配する分配手段と、
前記電池から充電状況表示手段へ出力される電流と前記分配手段により前記充電状況表示手段へ分配された電流との合成電流の電流値を検出する第2の検出手段と、
電流量調整値に基づいて前記合成電流を調整する電流調整手段と、
前記第1の検出手段で検出された電流値及び前記第2の検出手段で検出された電流値に基づいて前記電流量調整値を変更する制御手段と、
を具備する端末装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の検出手段で検出された電流値が前記第2の検出手段で検出された電流値より小さいときに、前記電流量調整値を変更する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電流量調整値を変更することにより、前記合成電流の量を小さくする、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
発電手段で発電された電流の電流値を検出する第1の検出ステップと、
前記発電された電流を、電池と充電状況表示手段とに分配する分配ステップと、
前記電池から充電状況表示手段へ出力される電流と前記分配ステップで前記充電状況表示手段へ分配された電流との合成電流の電流値を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップで検出された電流値及び前記第2の検出ステップで検出された電流値に基づいて電流量調整値を変更する制御ステップと、
前記電流量調整値に基づいて前記合成電流を調整する電流調整ステップと、
を具備する消費電流制御方法。
【請求項5】
前記制御ステップでは、前記第1の検出ステップで検出された電流値が前記第2の検出ステップで検出された電流値より小さいときに、前記電流量調整値が変更される、
請求項4に記載の消費電流制御方法。
【請求項6】
前記制御ステップでは、前記電流量調整値を変更されることにより、前記合成電流の量が小さくされる、
請求項5に記載の消費電流制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−45219(P2011−45219A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193375(P2009−193375)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】