説明

分電盤架台

【課題】分電盤架台の移動、搬送、組立て及び設置作業を容易に行うため、分解した状態で現場に搬送し、ネジやボルトによる締結構造をなくして組立作業を容易に行うことができ、しかもその組立て作業を作業員が1人で迅速且つ手軽に行うことができる分電盤架台を提供する。
【解決手段】
左右一対の長尺パイプからなる支柱の下部に該支柱2a、2bを上方に起立させる下部支持材6a、6b、6cが設けられると共に、各支柱の少なくとも上下2箇所の高さにテーパ形状の開口部4を上方に向けてなる受け部材5a〜5dが設けられ、一対の支柱を左右に離間した状態にして各支柱の受け部材の開口部に少なくとも2本の横架材の各端部に設けられたテーパ形状を有する連結部材7a〜7dを挿嵌し、各横架材に離間して設けられた上方を向くフック部材8に分電盤9の背面の左右上下に設けられた張出片10を挿着することによって分電盤を取り付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設工事等に使用する仮設分電盤を工事現場等に設置するための分電盤架台に関する。
【背景技術】
【0002】
仮設工事等に使用する仮設分電盤を壁掛け方式で設置する場合、設置場所が限定されるため、従来から、自立式架台に取り付ける自立式分電盤架台が開発されている。
【0003】
ここで、自立式分電盤架台に関する従来例として、特許文献1に記載された「移動式分電盤架台」と称せられるものについて説明すると、その構成は、離間した両側に脚を有し、夫々の脚にブレス止金具を用いて盤取付用ブレス及び本体組立ブレスを横設し固定したものである。
【0004】
ところで、この分電盤架台においては、両側の脚にブレス止金具を用いて盤取付用ブレス及び本体組立ブレス等の横架材を固定する方法はネジ止めで行うため、横架材を手で保持するための作業と、ネジ締結を行う作業とで、少なくとも2人の作業員が必要になる。さらに、分電盤の取付もまたネジ止め等で固定する構造であるため、面倒なネジ締結作業を必要とする。
【0005】
また、特許文献2に記載された「分電盤取付架台」は、両側に配設した夫々の底枠に左右一対の支柱を離間して固設すると共に、左右一対の支柱ごとに上部を連結部で固設し、後側の左右の支柱に複数本の横枠を上下に配して固定してなる構成を有する。
【0006】
ところが、この架台は、各部材を予め溶接等で接合する構造であるため、工場等での組立作業に労力を要し、また完成した架台を現場に搬送する際、搬送容量が大きくなって効率が悪く、また労力を要するという不都合があった。また、この架台においても、分電盤はボルトとナットで固定するものであり、面倒な締結作業を必要とするものであった。
【0007】
上記のように、従来の分電盤架台は、架台の構成部材を溶接又はネジやボルトで締結する構造であり、分電盤の取付もまたネジやボルトで固定する構造であるため、作業員が1人で手軽に行えるものではなく、組立作業に時間と手間を必要とするものであった。
【特許文献1】実開平1−147606号公報
【特許文献2】実登録第3002793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、移動、搬送、組立て及び設置作業を容易に行うため、分解した状態で現場に搬送し、ネジやボルトによる締結構造をなくして組立作業を容易に行うことができ、しかもその組立て作業を作業員が1人で迅速且つ手軽に行うことができる分電盤架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の分電盤架台は、左右一対の長尺パイプからなる支柱の下部に該支柱を上方に起立させる下部支持材が設けられると共に、各支柱の少なくとも上下2箇所の高さにテーパ形状の開口部を上方に向けてなる受け部材が設けられ、一対の支柱を左右に離間した状態にして各支柱の受け部材の開口部に夫々の横架材の両端に設けられたテーパ形状を有する連結部材を挿嵌し、各横架材に離間して設けられた上方を向くフック部材に分電盤の背面の左右上下に設けられた張出片を係止することによって分電盤を取り付けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2の分電盤架台は、請求項1において、分電盤を取り付けるための横架材のほかに補強用の横架材を備え、各支柱の下部付近に設けられたテーパ形状の開口部を上方に向けてなる受け部材に、補強用の横架材の両端に設けられたテーパ形状を有する連結部材を挿嵌することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3の分電盤架台は、請求項1又は2において、各横架材の連結部材と各支柱の受け部材とに、各連結部材を各受け部材に挿嵌した状態において互いに連通する差込孔を形成すると共に、各差込孔に差込ピンを挿着するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4の分電盤架台は、請求項1、2又は3において、左右の支柱の上端開口に挿着する掲示用保持材を備え、各掲示用保持材の側部における上部から下方途中に到るまで掲示板の側辺を挿着保持する挟持片が設けられたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の請求項5の分電盤架台は、請求項1、2、3又は4において、支柱の側部に上方を向くフック部材が固設され、該フック部材に消火器のコ字形金具を係止するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成された本発明の分電盤架台によれば、一切のネジやボルト等を使用せずに各構成部材を簡単な手作業によって組み立てることが可能である。また、分電盤の取付け作業においても、ネジやボルト等を使用せずに、手作業のみの簡易な作業で取り付けることが可能である。
【0015】
また、本発明において、一対の支柱の間に少なくとも2本の横架材を結合する構成として、支柱に設けられたテーパ形状の開口を有する受け部材にテーパ形状の外形を有する連結部材を挿嵌する構成であるため、各結合部が堅固に接続され、架台全体としてもガタや揺動の生じない構造となり、一人の作業員でも簡単且つ迅速に組立て作業及び分解作業を行うことが可能となる。
【0016】
さらに、各横架材の連結部材と各支柱の受け部材とに差込孔を形成し、各連結部材を各受け部材に挿嵌した状態において互いに連通する差込孔に差込ピンを挿着するという簡単な作業によって、各連結部材が各受け部材から抜け出ることがない結合状態に固定することが可能となる。
【0017】
また、各構成部材に角パイプ等のパイプ材を使用することができるため、安価且つ軽量に構成することが可能であり、運搬や移動作業、さらには組立作業も楽に行うことが可能となる。
【0018】
また、左右の支柱の上端開口に掲示用保持材を挿着することによって、分電盤架台の上方に掲示板を取付ける構成とすることができ、安全対策の面でも有益となる。
【0019】
さらに、支柱の側部に上方を向くフック部材が固設して消火器のコ字形金具を係止する構成とすることによって、分電盤の近くに消火器を常備した構成とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明による分電盤架台1は、図1(a)、(b)に示すように、左右一対の長尺パイプからなる支柱2a、2bの下部に該支柱を上方に起立させる下部支持材3a、3bが設けられると共に、各支柱2a、2bの少なくとも上下2箇所の高さにテーパ形状の開口部4(図2(a)、図7(a)、(d)参照))を上方に向けてなる受け部材(本実施例においては各支柱に4個の受け部材5a〜5d)が設けられ、一対の支柱2a、2bを左右に離間した状態にして各支柱2a、2bの受け部材5a〜5dの開口部4に少なくとも2本の横架材(本実施例においては3本の横架材6a、6b、6c)の各端部に設けられたテーパ形状を有する連結部材7a、7bを挿嵌し、各横架材6a、6b、6cに離間して設けられた上方を向くフック部材8、8…に分電盤9の背面の左右上下に設けられた張出片10、10…を係止することによって分電盤9を取り付けるようにした構成を有する。
【0022】
上記構成の分電盤架台1について詳細に説明する。図1(a)、(b)は、組み立て後の分電盤架台1に分電盤9を取り付けた状態を示すものであり、図2(a)は分電盤架台1を各構成部材に分解した正面図、図2(b)は分電盤架台1の側面図である。本実施例の分電盤架台1は、図2(a)に示すように分解した状態で現場に搬送し、組み立てることができる。
【0023】
分電盤架台1の構成部材は、図2(a)に示すように、左右に配される一対の支柱2a、2bと、3本の横架材6a、6b、6cから成り、さらにこの分電盤架台1の構成に加えて、分電盤架台1の上部に取り付けられる掲示板20と掲示用保持材11a、11bとを有する。
【0024】
これらの構成において、本実施例の支柱2a、2b、横架材6a、6b、6c、掲示用保持材11a、11bは、図7、図8、図9の各図に示すように断面四角形の金属製パイプを使用してあるが、パイプ材の断面形状は四角形状に限定されるものではない。また、本実施例に使用する支柱2a、2b、横架材6a、6b、6c、掲示用保持材11a、11b等の部材は、表面に溶融亜鉛メッキを施してある。
【0025】
図2(a)に示すように、左右の支柱2a、2bは略同様の構成からなり、パイプ材(例えば、40mm×40mm角パイプ)を切断して所定長さ(例えば、約1150mm)の長尺パイプを形成し、これを各支柱2a、2bに使用する。このように作成された各支柱2a、2bは、切断箇所の切口が四角形状の開口形状(例えば、支柱の上部開口12)を有することとなる。
【0026】
次いで、図2(a)、(b)に示すように、上記の支柱2a、2bの一端をパイプ材(例えば、40mm×40mm角パイプで長さ約500mm)からなる下部支持材3a、3bの略中央の側面に溶接する。この場合、下部支持材3a、3bの中央側部に支柱2a、2bの一端を例えば5mm程度ずらして溶接すると、図10(a)に示すように、支柱2a、2bの下部開口13の一部が露出し、この露出した開口部13を水抜きとして使用することが可能となる。従って、本実施例の構成材料を溶融亜鉛メッキ等によって被覆する場合、通常の場合は円形穴の水抜きをドリル等で形成する必要があるが、本実施例においては水抜きのための穿孔加工が不要となる。
【0027】
また、本実施例において、図1(b)、図2(b)に示すように、支柱2a、2bの下端部は各下部支持材3a、3bの中心から後方へずらした位置に溶接等で結合され、図1(b)に示すように分電盤架台1の前側に分電盤9を取り付けた場合の重量バランスを取ることができ、分電盤9を取り付けた場合でも転倒し難い構成とされている。また、支柱2a、2bの下端部と各下部支持材3a、3bとの接合部の前後に補強材として斜め材14、14が溶接等で接合されている。さらに、夫々の下部支持材3a、3bの前後端付近の下部に短尺の敷設部材15、15を接合することにより、安定した状態で支柱2a、2bを垂直上方へ立設することができる構造とされている。なお、夫々の下部支持材3a、3bの前後端付近の下部にキャスター(不図示)を設けることによって分電盤架台を容易に移動可能としてもよい。
【0028】
さらに、図2(a)に示すように、上記の支柱2a、2bには、各支柱について上下方向に所定間隔をあけて全部で4箇所に受け部材5a〜5dが設けられている。夫々の受け部材5a〜5dはいずれも共通の部材を使用することができる。各受け部材5a〜5dは、図7〜図9に示すように、四角形の開口部4が窄まってなるテーパ形状を有し、この受け部材5a〜5dの拡径側の開口部4を上方に向けた状態で支柱2a、2bの互いに対向する側面に溶接等で固設されている。このような構成によって、図2(a)に示すように、両側の支柱2a、2bに4個ずつの受け部材5a〜5dが左右に対をなして所定高さに固設された状態となる。
【0029】
また、図2(a)に示すように、本実施例においては、3本の横架材6a、6b、6cが用意される。各横架材6a、6b、6cは例えば40mm×40mm角径であって810mm長さの角パイプが使用され、支柱2a、2b等と同様に溶融亜鉛メッキが施されている。また、各横架材6a、6b、6cの両端にはテーパ形状を有する連結部材7a、7b、7cが溶接等で固設されている。また、各連結部材7a、7b、7cは、図7(a)〜(c)又は図8(a)、(c)に示すように、外形が角パイプを下方に窄めたテーパ形状を有し、各連結部材7a、7b、7cを各支柱2a、2bの受け部材5a〜5dの夫々の開口4から挿入して嵌合した状態にすることができる。
【0030】
上記の構成において、図7(a)(d)、図8(a)(b)、図9(a)〜(d)に示すように、各横架材6a〜6cの両側の連結部材7a〜7cと各支柱2a、2bの受け部材5a〜5dとには差込孔16a、16b(連結部材7a〜7cの差込孔16b、受け部材5a〜5dの差込孔16a)が形成されている。これらの差込孔16a、16bは各連結部材7a〜7cを各受け部材5a〜5dに挿嵌した状態において互いに連通する位置関係にあり、夫々の差込孔16a、16bには図8(d)に示す差込ピン23が挿着可能とされている。各差込ピン23は、図8(d)に示すように、棒状のピンの頭部付近が直角に曲げられ(折曲部23b)、その曲げられた端部にはピン本体よりもやや大径の係止部23aが形成されている。
【0031】
上記の差込ピン23を用い、図7(a)(d)に示すように各連結部材7a〜7cを各受け部材5a〜5dに挿嵌した状態において互いに連通する差込孔16a、16bに、差込ピン23を先端から挿入すると、図8(b)に示すようにピン23の折曲部23bが通過して先端が下方に落としこまれ、係止部23aが差込孔16aの周部に係止された状態となる。また、このピン23を挿着した状態において、図8(a)に示すように差込孔16a、16bから係止部23が露呈しただけの状態となり、振動が発生しても容易に抜け出すことがなく、各受け部材5a〜5dに挿嵌された各連結部材7a〜7cの抜け出しを確実に防止することが可能となる。また、外観的には差込孔16a、16bにピン23を挿入しているとは分かり難いため、このピン23が不意に抜かれるような不測の事態を防止することが可能である。
【0032】
図1(a)に示すように、各横架材6a、6b、6cには、離間位置に、分電盤9の背面の左右上下に固設された張出片10、10…を係止するためのフック部材8、8…が溶接等で固設されている。夫々のフック部材8は、図7(a)、(c)、(d)、(e)に示すように、上方傾斜方向に形成されたフック形状を有し、分電盤9の各張出片10、10…を各フック部材8の隙間に上方から落としこんで係止することにより、分電盤9を取り付けることが可能とされている。
【0033】
このような構成において、図4(a)に示すように、両側の支柱2a、2bに固設された最下部の両側の受け部材5d、5dに最下段の横架材6cの両端の連結部材7c、7cが挿嵌される。この最下段の横架材6cは補強用として機能する。従って、この最下段の横架材6cには左右にフック部材を設ける必要がない。
【0034】
また、両側の支柱2a、2bに固設された最上部の両側の受け部材5a、5aに最上段の横架材6aの両端の連結部材7a、7aが挿嵌される。この最上段の横架材6cと、その下方に設けられる中段の横架材6bとに分電盤9(小型分電盤9S、大型分電盤9B)を取り付けることとなる。そのために、本実施例においては、小型分電盤9S(図4(a)参照)を取り付ける場合か、大型分電盤9B(図4(b)参照)を取り付ける場合かに応じ、最上段の横架材6aの取付け高さを基準として、中断の横架材6bの取付け高さを変えることによって対応するようにしている。
【0035】
即ち、図4(a)に示すように、小型分電盤9Sを取り付ける場合は、中断の横架材6bの両端の連結部材7b、7bを最上から2番目の高さの両側の受け部材5b、5bに挿嵌する。また、図4(b)に示すように、大型分電盤9Bを取り付ける場合は、中断の横架材6bの両端の連結部材7b、7bを最上から3番目の高さの両側の受け部材5c、5cに挿嵌する。従って、最上から2番目の高さの受け部材5b、5bと、最上から3番目の高さの受け部材5c、5cとの取付け高さの関係は、分電盤の大きさによって決定される。
【0036】
次に、本実施例の組立て手順について説明すると、図3(a)に示すように、まず一側の支柱(例えば支柱2b)の最下部の受け部材5dに最下段の横架材6cの一端の連結部材7cを挿嵌し、次いで、図3(b)に示すように、最下段の横架材6cの他側の連結部材7cを他側の支柱2aの最下段の受け部材5dに挿嵌する。このとき、連結部材7cと受け部材5dとに設けられた差込孔16a、16bに差込ピン23を挿着する。
【0037】
このような作業は、図5に示すように、1人の作業員によって行うことができる。具体的に説明すると、1人の作業員が一側の支柱(例えば2b)の最下段の受け部材5dに横架材6cの一端の連結部材7cを挿嵌し、この横架材6cを作業員が片手で握ることによって、支柱2bは下部支持材3bに支持された自立状態を保つことができる。さらに、作業員が他の片手で他側の支柱2aを立てた状態に握り、横架材6cの他の連結部材7cをこの支柱2aの最下段の受け部材5dに挿嵌すると、図3(b)に示す状態になって、両側の支柱2a、2bは両側の下部支持部材によって、手放しの状態で自立した状態を保つことができる。
【0038】
その後の作業は、作業員が手放しであっても、両側の支柱2a、2bが自立した状態で作業を行うことができる。次に、図3(c)に示すように、上から2段目(又は3段目)の両側の受け部材5b、5bに中断の横架材6bの両端の連結部材7b、7bを挿嵌する。なお、いずれの受け部材に挿嵌するかについては、上記のように分電盤の大きさによるものである。さらに、図3(d)に示すように、両側の各支柱2a、2bの最上部の両側の受け部材5a、5aに最上段の横架材6aの両端の連結部材7a、7aを挿嵌する。また、各連結部材7a〜7cと各受け部材5a〜5dの差込孔16a、16bに差込ピン23を挿着する。
【0039】
なお、上記の分電盤架台1を分解するには、上記と逆の手順を経ることによって行うことができ、組み立て作業と同様、分解作業もまた1人の作業員によって行うことが可能である。
【0040】
上記の組立てによって作製された本実施例の分電盤架台1は、例えば、図7(a)(d)に示すように、最上段の横架材6aの一端の連結部材7aを支柱2bの受け部材5aの開口4から挿嵌したとき、テーパ形状の外形を有する連結部材7aが受け部材5aのテーパ形状を有する開口部4内に嵌合されるため、くさび効果を発揮し、ネジやボルト等を使用することなく、堅固に結合した状態となる。このような結合が各接続部について行われるため、分電盤架台1全体としても左右前後にブレたり揺動することがなく、堅固な結合状態で自立状態を保つことが可能となる。さらに、図8(a)(b)、図9(c)(d)等に示すように、連結部材7a〜7cと受け部材5a〜5dの合致した差込孔16a、16bに差込ピン23を挿着することにより、連結部材7aの抜け出しを確実に防止することが可能となる。
【0041】
上記の構成において、図1に示すように、各横架材6a、6b、6cには所定間隔をあけて上方を向くフック部材8、8…が溶接等で固設され、夫々のフック部材8、8…に分電盤9の背面の左右上下に固設された張出片10、10…が係止されることによって、ネジやボルト等を使用することなく、分電盤9の取り付けが可能となる。
【0042】
なお、1台の分電盤架台に2個以上の分電盤を並設することができるように、各横架材6a、6b、6cを長く形成すると共に、上下の横架材6a、6bに分電盤の数に応じたフック部材8、8…を設けた構成することも可能である。また、上下の横架材6a、6b裏表両側にフック部材8、8…を設けることによって、分電盤架台の裏表両側に分電盤を取り付けることができる構成とすることも可能である。
【0043】
また、図4(a)、(b)に示すように、各支柱2a、2bの上部に掲示用保持材11a、11bが挿着される。この掲示用保持材11a、11bは、本実施例においては角パイプを使用してあり、支柱2a、2bの上部開口12の内部に挿着される外径を有する。また、この掲示用保持材11a、11bは図2(a)に示すように、掲示用保持材11a、11bよりも短い挟持片21を該掲示用保持材11a、11bの片面に沿って固設した状態としている。この挟持片21は、図10(b)に示すように、合板等の薄板からなる掲示板20を挿入し得る隙間21aを有する一対の長尺片からなり、掲示用保持材11a、11bを上記のように支柱2a、2bの上部開口12から挿入したとき、挟持片21の下端が支柱2a、2bの上端に当接することによって、図4(b)に示すように、所定の高さを保つことができるものとされている。
【0044】
そして、このようにして両側の各支柱2a、2bの上部開口に挿着された両側の掲示用保持材11a、11bの挟持片21の隙間に上方から掲示板20を挿入すると、図11に示すように掲示板20の下端が最上段の横架材6aの上面に当接して所定の掲示位置を保つことができる。なお、掲示板20は、図2(a)に示すように、上記のように挿着する際に手で把持しやすいように長尺穴20aが形成されている。また、掲示板20の下端に沿って内方には凹部20bが形成されているため、掲示板20の下端が最上段の横架材6aの上面に当接した際、手の指等を挟むという危険を回避することが可能となる。さらに、このように取り付けられた掲示板20には、図11(a)に示す表示板22の上部に形成された下向きフック22a(図11(b)参照)を引掛けることによって取り付けることが可能となる。
【0045】
なお、図6(a)に、上記の分電盤架台1に掲示用保持材11a、11bを設けない状態を示してある。この図に示すとおり、本実施例の分電盤架台1に掲示板20を取り付けない状態とすることも可能である。また、図6(a)に示すように分電盤架台1に掲示板20を取り付けない状態とし、図6(b)に示すように後付けで掲示板20を取り付け、両側の支柱2a、2bの上部開口に掲示用保持材11a、11bを挿入して、掲示板20を取付けることも可能である。
【0046】
また、本実施例においては、図9(a)に示すように、例えば支柱2aの側部に上方を向くフック部材17を固設し、図1(a)に示すように、このフック部材17に消火器のコ字形金具19を係止することも可能である。
【0047】
なお、図13及び図14は本発明による分電盤架台1の構成形態を概略的に示すものであり、図13(a)〜(c)は1個の支柱2に受け部材5を固設した各種形態を示し、図14(a)〜(c)は分電盤架台1の各種形態の上面の状態を示す。即ち、図13(a)に示すように、支柱2の片側のみに受け部材5を設けた場合は、例えば図1に示すように分電盤架台1の左右一対の支柱2a、2bを構成することとなり、横架材6に分電盤9は1個取り付けることができる。
【0048】
また、図13(b)に示すように、支柱2の左右両側に受け部材5、5を設けた場合、この支柱2を図14(a)に示すように左右2連の分電盤架台を構成するための支柱2cとして使用し、その両側に図13(a)に示すものを配することとなる。このような左右2連の分電盤架台1の具体例は図12に示す通りであり、横架材6、6に分電盤9を並列して2個取り付けることが可能となる。
【0049】
さらに、図13(c)に示すように、支柱2の直角2面に受け部材5、5を設けた場合、この支柱2を図14(b)に示すように平面視においてL字形をなす2連の分電盤架台を構成するための連結用支柱2dとして使用することができ、横架材6、6に分電盤9は2個取り付けることができる。さらに、図14(c)に示すように平面視においてコ字形をなす3連の分電盤架台を構成するための連結用支柱2dとして使用することも可能であり、横架材6、6、6に分電盤9を3個取り付けることができる。
【実施例2】
【0050】
上記の実施例1は、小型分電盤と大型分電盤とを選択的に取付けることができる兼用型の構成としてあるが、本実施例のように小型分電盤又は大型分電盤のうちのいずれかの分電盤に特定して取付けることができるように構成することも可能である。即ち、実施例1の構成においては、両側の各支柱2a、2bの夫々に4個の受け部材5a、5b、5c、5d(合計8個の受け部材)を設けてあるが、本実施例においては、図15に示すように、両側の各支柱2a、2bの夫々に3個の受け部材5a、5b、5c(合計6個の受け部材)を所定間隔で固設した構成とすることも可能である。
【0051】
このような構成の場合、最下部の両側の受け部材5c、5cに実施例1と同構成の補強用横架材6cを用意し、この横架材6cの両側に設けられた連結部材7c、7cを最下部の両側の受け部材5c、5cに挿嵌する。また、両側の各支柱2a、2bに、最上部の受け部材5a、5aと中部の受け部材5b、5bを所定分電盤の大きさに応じた位置に固設し、両側の最上部の受け部材5a、5aに実施例1と同構成の最上段の横架材6aの両側に設けられた連結部材7a、7aを挿嵌し、また両側の中部の受け部材5b、5bに実施例1と同構成の中段の横架材6bの両側に設けられた連結部材7b、7bを挿嵌することによって固定することとなる。
【0052】
本実施例におけるその他の構成及び効果は、実施例1と同様であるため説明を省略するが、本実施例特有の作用効果は、所定の大きさの分電盤に特定した分電盤架台を作製することができ、実施例1に比べて両側一対の受け部材が不要となり、製作の短縮化、軽量化、コストの削減等を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の分電盤架台は、移動、搬送、組立て及び設置作業を容易に行うため、分解した状態で現場に搬送し、ネジやボルトによる締結構造をなくして組立作業を容易に行うことができ、しかもその組立て作業を作業員が1人で迅速且つ手軽に行うことができる分電盤架台として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は本発明に係る分電盤架台に分電盤を取り付けた状態を示す正面図であり、(b)はその側面図である。
【図2】(a)は本発明に係る分電盤架台の構成部材を分解した状態で示す図であり、 (b)はその側面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明に係る分電盤架台の組み立て作業の手順を示す正面図である。
【図4】(a)は本発明に係る分電盤架台の上部に掲示板用保持部材を取付ける作業を示す正面図であり、(b)は掲示板を取付ける作業を示す正面図である。
【図5】本発明に係る分電盤架台を1人の作業員が組み立てている状況を示す斜視図である。
【図6】(a)は本発明に係る分電盤架台に掲示板を取り付けない状態を示す正面図であり、(b)は後付けで掲示板を取付ける作業を示す正面図である。
【図7】(a)は本発明に係る分電盤架台の支柱の受け部材に横架材の連結部材を取り付ける前の状態を示す部分側面図であり、(b)は受け部材を固設した支柱の端面図であり、(c)は受け部材に連結部材を取り付けた後の状態を示す部分上面図であり、(d)は受け部材に連結部材を取り付けた後の状態を示す部分側面図であり、(e)は受け部材に連結部材を取り付けた後の状態を示す部分側面図である。
【図8】(a)本発明に係る分電盤架台の支柱の受け部材に連結部材を取り付けた後に差込孔に差込ピンを挿着した状態を示す部分側面図であり、(b)は(a)のB−B線矢示断面図であり、(c)は(a)のA−A線矢示断面図であり、(d)は差込ピンの平面図である。
【図9】(a)は本発明に係る分電盤架台の支柱の受け部材に横架材の連結部材を取り付ける前の状態を示す部分図であり、(b)は受け部材を固設した支柱の断面図であり、(c)は横架材の連結部材を取り付けた後の状態を示す部分図であり、(d)は連結部材と受け部材の差込孔に差込ピンを挿着した状態を示す分図である。
【図10】(a)は本発明に係る分電盤架の支柱に下部支持部材を固設した状態を示す側面図であり、 (b)は掲示板用保持部材の挟持片に掲示板を挿着する状況を示す上面図である。
【図11】(a)は本発明に係る分電盤架台の掲示板に取り付けるための表示板の正面図であり、(b)はその側面図であり、(c)は分電盤架台の掲示板に表示板を取り付けている状況を示す正面図である。
【図12】本発明に係る分電盤架台を左右2連に連結した構成を示す正面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明に係る分電盤架台の1個の支柱に受け部材を固設した各種形態を示す概略上面図である。
【図14】(a)〜(c)は本発明に係る分電盤架台の各種形態の上面の状態を示す概略上面図である。
【図15】(a)は本発明の実施例2に関する分電盤架台の正面図であり、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 分電盤架台
2(2a、2b、2c、2d) 支柱
3a、3b 下部支持材
4 受け部材の開口部
5(5a〜5d) 受け部材
6(6a、6b、6c) 横架材
7a、7b 連結部材
8 フック部材
9 分電盤
10 張出片
11a、11b 掲示用保持材
12 支柱の上部開口
13 支柱の下部開口
14 斜め材
15 敷設部材
16a 差込孔
16b 差込孔
17 フック部材
18 消火器
19 コ字形金具
20 掲示板
20a 長尺穴
20b 凹部
21 挟持片
21a 隙間
22 表示板
22a 下向きフック
23 差込みピン
23a 係止部
23b 折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の長尺パイプからなる支柱の下部に該支柱を上方に起立させる下部支持材が設けられると共に、
各支柱の少なくとも上下2箇所の高さにテーパ形状の開口部を上方に向けてなる受け部材が設けられ、
一対の支柱を左右に離間した状態にして各支柱の受け部材の開口部に夫々の横架材の両端に設けられたテーパ形状を有する連結部材を挿嵌し、
各横架材に離間して設けられた上方を向くフック部材に分電盤の背面の左右上下に設けられた張出片を係止することによって分電盤を取り付けることを特徴とする分電盤架台。
【請求項2】
分電盤を取り付けるための横架材のほかに補強用横架材を備え、
各支柱の下部付近に設けられたテーパ形状の開口部を上方に向けてなる受け部材に、補強用横架材の両端に設けられたテーパ形状を有する連結部材を挿嵌することを特徴とする請求項1記載の分電盤架台。
【請求項3】
各横架材の連結部材と各支柱の受け部材とに、各連結部材を各受け部材に挿嵌した状態において互いに連通する差込孔を形成すると共に、各差込孔に差込ピンを挿着するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の分電盤架台。
【請求項4】
左右の支柱の上端開口に挿着する掲示用保持材を備え、各掲示用保持材の側部における上部から下方途中に到るまで掲示板の側辺を挿着保持する挟持片が設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の分電盤架台。
【請求項5】
支柱の側部に上方を向くフック部材が固設され、該フック部材に消火器のコ字形金具を係止するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の分電盤架台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−27771(P2009−27771A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185804(P2007−185804)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(502057913)朝日合金株式会社 (1)