説明

観察器具

【課題】 この発明は、観察対象物の表裏両面を含む三面ないし五面を同時に観察することのできる観察器具を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の観察器具は、観察対象物を収納する平面方形で透明の容器3の底板の下方に下方鏡7を傾斜して配設し、前記容器の少なくとも2側面にそれぞれ側方鏡8を配設する。前記側方鏡の内一枚は前記下方鏡と対向させて配設し、前記下方鏡に映った観察対象物の下面が下方鏡に対向する側方鏡に反射して上方から観察できるようにする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昆虫その他の小動物や植物、立体造形物などを観察するための観察器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫などの観察は通常肉眼又は虫眼鏡などを用いて行っている。
肉眼による観察であれ虫眼鏡による観察であれ、観察対象物を一方向からしか観察することができない。
【特許文献1】特開2001−290088号公報
【0003】
上記特許文献には、観察対象物を収納する容器の底部に鏡を傾斜させて配設し、観察用レンズ2つを用いて、観察対象物の表裏両面を観察できるようにした発明が開示されている。
しかしながら、上記発明においては、観察対象物を裏返すことなくその表裏両面を観察することが可能ではあるものの、表側と裏側とをそれぞれ別個のレンズで観察するものであるから、表裏両面を同時に観察することはできない。
また、二つのレンズによって表裏両面は観察できるものの、正面、背面、側面を観察することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、観察対象物の表裏両面を含む三面ないし五面を同時に観察することのできる観察器具を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の観察器具は、観察対象物を収納する平面方形で透明の容器の底板の下方に下方鏡を傾斜して配設し、前記容器の少なくとも2側面にそれぞれ側方鏡を配設する。前記側方鏡の内一枚は前記下方鏡と対向させて配設し、前記下方鏡に映った観察対象物の下面が下方鏡に対向する側方鏡に反射して上方から観察できるようにする。前記各側方鏡はその下部を前記容器の各面の下部に回動可能に取り付け、前記容器には観察対象物を出し入れするための開平蓋を取り付けて構成する。
前記下方鏡は回動可能とせずに角度を固定させて設置してもよい。
請求項2の発明は、側方鏡を容器の上部4面及び下部の下方鏡との対向面に配設したものである。
請求項3の発明は、前記容器は、枠体とこの枠体に着脱自在に装着される収納体とで構成し、下方鏡および側方鏡は前記枠体に取り付けたものである。
請求項4の発明は、前記容器にはスライド枠を装着し、前記スライド枠の上昇により鏡の回動が規制されるようにしたものである。
【0006】
前記透明容器の構成は、以下の実施形態に示すように、枠体と収納体とで構成するほか、枠体と収納体とを一体に形成した単体で構成することもできる。その場合は容器の上下中央部に底板を設け、底板の下方に下方鏡を配設する。また側壁の外側に側方鏡を取り付ける。前記枠体は全周に壁面を設けてもよい。この場合、少なくとも枠体の鏡装着部分は透明とする。
なお、容器を透明とした趣旨は観察対象物を透視し得るためであるから、上面及び鏡装着部以外の部分は透明とする必要はない。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、観察対象物を容器に収納し、各鏡を開いて所望の角度に調整すると、観察対象物の下面(裏面)は下方鏡に反射してこの下方鏡の対向位置にある側方鏡に反射するのでこれを上方から観察することができる。そして、観察対象物の上面(表面)は上方から直接観察することができる。その結果、観察対象物の上面、下面を同時に並べて観察することができる。
また、側方鏡を容器の4側壁に配設すると、観察対象物の正面、背面、側面もそれぞれ側方鏡に反射して上方から観察することができる。その結果として、観察者は観察対象物の上面、下面、正面、背面、側面を同時に並べて観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図において、枠体1とこれに着脱自在に装着される略直方体とした透明の収納体2とで容器3を構成している。そして、容器3にはスライド枠4が装着してある。
【0009】
前記枠体1は、下部の平面長方形とした基枠5の四隅に支柱6a、6b、6c、6d(以下まとめて「6」と表示する場合がある。)を立設した構成で、前記支柱6の上下中間部内側に前記収納体2の底を支持するストッパーが形成してあり、収納体2をストッパーで支持したときに、枠体1の上縁と収納体2の上面とはほぼ面一となる大きさとしてある。
【0010】
前記枠体1の長縁を挟む2本の支柱6a、6b間の前記収納体2の下方には、下方鏡7の上縁が軸を介して回動可能に取り付けてある。また、支柱6a、6b間、6b、6c間、6c、6d間、6d、6a間の前記収納体2の上方にはそれぞれ側方鏡8a、8b、8c、8d(以下まとめて「8」と表示する場合がある。)の下縁がそれぞれ軸を介して回動可能に取り付けてある。前記各鏡の取り付け軸の高さ位置は、前記収納体2の底板を支持するストッパーの高さ位置と同等としてある。
前記支柱6c、6d間には、前記下方鏡7に対向して側方鏡9の下縁が軸を介して回動可能に取り付けてある。この下面用側方鏡9の取付軸の高さ位置は、この側方鏡9を外向きに傾斜させたときに前記下方鏡7に反射した光を受けることのできる高さとしてある。
なお、前記側方鏡9はその上方の側方鏡8cよりも幅狭としてある。
【0011】
前記下方鏡7は、枠体1の内側となる面を鏡面とし、不使用時には下方へ回動させて前記支柱6の外側面とほぼ面一となり、使用時には上方へ回動させて前記収納体2に収納された観察対象物の下面を反射できるようにしてある。
前記各側方鏡8,9は、枠体1の内側となる面を鏡面とし、不使用時には上方へ回動させて前記支柱6外面とほぼ面一となり、使用時に外側に回動させて光を上方へ反射できるようにしてある。
【0012】
なお、上記において側方鏡9の上方に位置する側方鏡8cは必須ではない。また、下方鏡7は回動可能とせず、角度を固定して取り付けてもよい。
【0013】
前記収納体2は透明な容器であり、上部に開閉自在な蓋10が装着してある。
【0014】
前記スライド枠4は、前記枠体1に摺動自在に装着される大きさの平面長方形で、所定高さの周壁11a,11b、11c、11dを有する。
前記周壁のうち側方鏡9に対応する面11cは上部が大きな開口部12が形成してあり、この開口部12から前記側方鏡9が外側へ突出できるようにしてある。そして、前記開口部12の両側縁13は、このスライド枠4を上方へ移動させたときに側方鏡8cに係止し、その外側への回動を阻止し得るようにしてある(側方鏡8cは側方鏡9よりも幅が広い)。
前記スライド枠4の両端縁側の周壁11b、11dには肩掛け用のベルト14が取り付けてある。
【0015】
図5はこの観察用具と組み合わされる虫眼鏡15である。
【0016】
以下、この観察用具の使用方法を説明する。
不使用時若しくは携帯時には、スライド枠4を容器3の上方へ移動させて、各鏡が開かないような状態とする。使用時にはスライド枠4を下方へ移動させて各鏡が自由に回動できるようにする。
【0017】
容器3から収納体2を取り外して、この中に昆虫その他の観察対象物を収納する。必要により、観察対象物を透明な小箱に入れた上で収納体2に収納する。
次いで、各鏡を回動させる。すなわち、下方鏡7を枠体の内側へ向けて回動させて収納体2内の観察対象物の下面が写るように角度を調整する。側方鏡8c以外の側方鏡8を外側に回動させて収納体2内の観察対象物の正面、背面、側面が写り上方から観察できるように角度を調整する。側方鏡9を外側に回動させて前記下方鏡7に写った観察対象物が反射して上方から観察できるように角度を調整する。
以上のように各鏡の角度を調整すると、上方から観察することにより観察対象物の上面、下面、正面、背面、側面を一度に観察することができる(図6)。
また、前記側方鏡8cを外側に回動させると、観察対象物の下面の観察はできないが左右両側面を同時に観察することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明によれば、観察対象物の上面、下面、正面、背面、側面を同時に観察することができるものであり、学習目的の観察器具として有益であり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明実施形態の斜視図
【図2】同じく枠体の斜視図
【図3】同じく枠体の鏡を回動させた状態の断面図
【図4】同じくスライド枠の斜視図
【図5】同じく虫眼鏡の斜視図
【図6】この発明実施形態により昆虫を観察したときに観察できる態様の説明図
【符号の説明】
【0020】
1 枠体
2 収納体
3 容器
4 スライド枠
5 基枠
6 支柱
7 下方鏡
8 側方鏡
9 側方鏡
10 蓋
11 周壁
12 開口部
13 側縁
14 ベルト
15 虫眼鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を収納する平面方形で透明の容器の底板の下方に下方鏡が配設され、前記容器の少なくとも2側面にそれぞれ側方鏡が配設され、前記側方鏡の一つは前記下方鏡と対向して配設され、前記各側方鏡はその下部を前記容器の各面の下部に回動可能に取り付けられ、
前記下方鏡とこれに対向する側方鏡とは、の傾斜角度は、観察対象物の下面が下方鏡に反射して前記下方鏡に対向する側方鏡に反射するようにし、
前記容器には観察対象物を出し入れするための開平蓋が取り付けられた、観察器具
【請求項2】
側方鏡は、容器の上部4面及び下部の下方鏡との対向面に配設した、請求項1記載の観察器具
【請求項3】
容器は、枠体とこの枠体に着脱自在に装着される収納体とで構成され、下方鏡および側方鏡は前記枠体に取り付けられた、請求項1又は2記載の観察器具
【請求項4】
容器にはスライド枠を装着し、前記スライド枠の上昇により鏡の回動が規制されるようにした、請求項1記載の観察器具

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−220894(P2006−220894A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33979(P2005−33979)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】