説明

おしぼり製造装置およびおしぼり製造方法

【課題】殺菌が充分になされ、衛生面で優れたおしぼりを製造することができるおしぼり製造装置およびおしぼり製造方法を提供することにある。
【解決手段】シート状の乾タオル11aを収納するロール保持部10から乾タオル11aを繰り出す繰り出し部20と、この繰り出し部20により繰り出された乾タオル11aを所定長さで切断する切断部30と、乾タオル11aに水を噴射して水タオルとする散水ノズル41と、水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり成形部50とを備えたおしぼり製造装置において、散水ノズル41の近傍に紫外線照射装置60を設けたことを特徴とする。紫外線照射装置60は、水タオルと散水ノズル41に紫外線を照射して殺菌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水で湿らせたおしぼりの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店や娯楽施設等の店舗で提供される業務用のおしぼりを自動で成形、供給するおしぼり製造装置が知られている。おしぼり製造装置において、おしぼりは、シート状のおしぼり素材に水を湿らせてから巻き取られたり折り畳まれたりして成形される。おしぼりは使用者の皮膚を洗浄するために用いることが多いことから衛生面の配慮がなされたものが求められており、殺菌手段を有するおしぼり製造装置が開発されている。殺菌手段としては、殺菌作用を有する消毒液を添加した水をおしぼりに噴射するものがあるが、化学物質を使用することが敬遠される傾向もあって、他の殺菌手段として紫外線を照射して殺菌するものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の湿タオル自動供給装置は、乾布ロールのタオルを収納するロール収納部の一部に紫外線が透過可能な樹脂又はガラス部分を形成し、その下部に紫外線を照射する紫外線照射装置を具備しており、乾布ロールに紫外線を照射するものである。
特許文献2に記載の巻おしぼり製造装置は、カットされた乾布(タオル)に水分を噴射供給する噴射ユニットの供給ホースの途中に、紫外線殺菌ランプを持つ補助タンクを具備しており、水に紫外線を照射するものである。
【0004】
【特許文献1】特許第3590954号
【特許文献2】特許第3213837号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、紫外線照射装置は乾布ロールの殺菌を行っているが、乾布ロールの上部および繰り出された乾布(タオル)には紫外線が直接照射されない構造となっている。従って、乾布ロールの上部、特に、乾布ロールの上端からカッター固定刃までの間は殺菌されないまたは殺菌されにくい非衛生区間となり、長時間使用しない場合には、この間に位置するタオルはほとんど殺菌されない状態で滞ることとなる。そして使用時にはこの間に位置する雑菌で汚染されたタオルからおしぼり(湿タオル)が製造、提供されてしまうという問題がある。また、長時間使用せずに雑菌で汚染された水がタオルに供給された場合には殺菌することができない。
【0006】
特許文献2においては、殺菌後の水は供給ホースを通ってタオルへの噴射用のノズルまで移動するが、この間は紫外線が照射されない非衛生区間となる。このため、長時間使用しない等により供給ホースが雑菌で汚染された場合には、一旦殺菌した水が汚染されることとなり、この水が供給されることによっておしぼり(水タオル)が汚染されるという問題がある。また、乾布自体に紫外線が照射される構造ではないため、乾布自体が雑菌により汚染されてしまうと、殺菌されずに水タオルが製造されてしまうという問題がある。
さらに、紫外線照射装置を複数箇所設ければ、上述の衛生面の問題を解決できると思われるが、装置が大型なものとなってしまうという問題もある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、殺菌が充分になされ、衛生面で優れたおしぼりを製造することができるおしぼり製造装置およびおしぼり製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のおしぼり製造装置は、シート状の乾タオルを水で湿らせ所定長さで切断してなる水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり製造装置において、水タオルに紫外線を照射する紫外線照射装置を備えたことを特徴とする。
また本発明のおしぼり製造方法は、シート状の乾タオルを水で湿らせ所定長さで切断してなる水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり製造方法であって、水タオルに紫外線を照射することを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成とすることにより、おしぼりとなる前のシート状の水タオルに紫外線を照射して殺菌するため、殺菌してからおしぼりが供給されるまでの距離や時間が短縮されて、非衛生区間をなくす或いは小さいものとすることができる。これにより、殺菌後は雑菌に汚染されることなく直ちにおしぼりが成形され、おしぼり使用時においては殺菌が充分になされ衛生面で優れたおしぼりを製造することができる。
また、長時間使用しない場合において、万が一、乾タオルや水等に雑菌が発生しても使用直前に確実に殺菌されるため、使用時間に影響することなく衛生面で優れたおしぼりを製造することができる。
【0010】
また、乾タオルに散水して湿らせる散水ノズルを備え、紫外線照射装置は、散水ノズルに紫外線を照射するものであることが望ましい。このような構成とすれば、前述の水タオルに加え、散水ノズルにも紫外線を照射して殺菌することとなり、極めて衛生面で優れたおしぼりを製造することができる。
【0011】
さらに、乾タオルを所定長さで切断する切断部を散水ノズルの上方に備え、紫外線照射装置は、散水ノズルの近傍の位置、かつ、散水ノズルと切断部との間に設けられるとともに、広角度で紫外線を照射するものであることを特徴とする。
紫外線照射装置を散水ノズルの近傍に設けることにより、特に散水ノズルに紫外線が照射されることとなり、長時間使用されない場合においては、雑菌が発生する恐れのある散水ノズルを確実に殺菌することができる。そして、紫外線照射装置を散水ノズルと切断部との間に位置させ、広角度で紫外線を照射するため、散水ノズルの近傍の位置から広範囲に渡り放射状に照射することとなる。これにより、切断部よりも下方の散水前後のタオルに紫外線を照射することができ、部分的な照射ではなく、比較的長い区間でタオル(乾タオル、水タオル)に照射することができるため、殺菌が充分になされ、さらに衛生面で優れたおしぼりを製造することができる。
【0012】
ここで、「乾タオル」とは水で湿らせる前のシート状のタオル、「水タオル」とは、水で湿らせ、巻回または折り畳まれていないタオルを意味し、「おしぼり」は、水タオルを巻回または折り畳まれた状態のタオルを意味する。なお、おしぼりには厚みがあるため、おしぼりのみに紫外線を照射してもおしぼり内部の殺菌は不完全なものとなる。従って、巻回または折り畳む直前に水タオルを殺菌することは重要である。
また、「広角度」とは、紫外線供給装置から紫外線が放射状に照射される角度範囲が広いことを意味し、本発明においては、直線状で照射する場合を0°とすると、−80°〜80°の広い範囲で照射する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特徴は、シート状の乾タオルを水で湿らせて所定長さで切断してなる水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり製造装置において、水タオルに紫外線を照射する紫外線照射装置を備えたことにある。これにより、非衛生区間がない或いは小さくなり、殺菌が充分になされ、衛生面で優れたおしぼり製造装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態についての概要を説明する。図1は本発明の実施形態におけるおしぼり製造装置の概観斜視図、図2は同おしぼり製造装置の断面正面図、図3は図2におけるX部分の拡大図である。図1〜図3に示すように、本発明の実施の形態におけるおしぼり製造装置1は、概観が直方体形状であり、シート状の乾タオルが巻かれてなるタオルロール11を略水平且つ回転自在に保持して収納するロール保持部10を備えている。ロール保持部10の後方(図1の右側)には、水タンク42が配置されており、後述するように、タオルロール11から繰り出されるシート状の乾タオル11aに、水タンク42内の水が供給されて水タオルとなり、おしぼり3が成形されるようになっている。タオルロール11は、紙、不織布、化学繊維パルプ等からなり、水を素早く吸収させて濡らすことができる。
【0015】
さらにおしぼり製造装置1は、タオルロール11の上部外周側から乾タオル11aを挟持して前方に引き出し更に下方に繰り出して送給する繰り出し部20と、この繰り出し部20により繰り出された乾タオル11aを所定長さの位置において略水平になるように切断する回転刃31を有する切断部30と、この切断部30よりも下方に設けられ、垂下する乾タオル11aに散水して湿らせ水タオルとする散水ノズル41を有する散水部40と、この水タオルを上下両面から挟持して搬送しつつ巻回しておしぼり3を成形するおしぼり成形部50とを備えている。また、散水ノズル41の近傍には、散水ノズル41および水タオルに紫外線を直接照射する紫外線ランプを有する紫外線照射装置60が設けられており、後述するように殺菌が充分になされるようになっている。ロール保持部10、繰り出し部20、切断部30、散水部40、おしぼり成形部50、紫外線照射装置60は、直方体状の筐体2内に収納されている。
【0016】
次に、おしぼり製造装置1の各構成を、より詳細に説明する。ここで、本明細書において、前方とは、乾タオル11aがタオルロール11から繰り出される方向(図2,図3における左の方向)であり、後方とはその逆方向(図2,図3における右方向)を意味する。また、上方とは、おしぼり製造装置1を載置したときに、後述する上蓋2aが上面に位置する方向(図2における上の方向)であり、下方とはその逆方向であり床面の方向(図2における下の方向)を意味する。
【0017】
筐体2は、軸2bにより開閉可能な上蓋2aと、筐体2の前後左右の側面となる側部2cと、底部2dとからなり、基台2e上に安定配置されている。おしぼり製造装置1の前方には、製造されたおしぼり3を受けるための取り出し口4が、軸4bを中心に回動可能に設けられている。おしぼり製造装置1の使用時に、取り出し口4を前方に引いておしぼり供給口5を開放することができる。また、後述する筐体2の上蓋2aは着脱可能に取り付けられており、タオルロール11の交換や水タンク42の水の補充が使用者によって容易に行える。また、おしぼり製造装置1の前方には、使用状態等を表示する表示部6aと動作を指示する複数の制御ボタン6bとを有するコントロールパネル6が設けられている。
【0018】
ロール保持部10は、筐体2の側面側の両側部2cよりも内側に対向して立設された両側方支持板(図示せず)の間に円弧状に形成された底壁13を有し、かつ、上蓋2aを取り外した状態で上方が開放したタオルロール収納室12を有している。両側方支持板(図示せず)には、それぞれ円弧状の底面を有する略W字型の溝14が形成されており、前方の補助溝14bは後方のホルダ支持溝14aよりも若干高い位置に設けられている。タオルロール11は、その中芯に嵌挿されたロールホルダ11bの両側突部が、両側のホルダ支持溝14aに嵌合するように装着されている。タオルロール収納室12の前方壁上部は前方に折れ曲がり、略水平な延出部15が形成されている。
【0019】
延出部15の前方または下方には、繰り出しローラ21、リング21a、回転軸22、押え部材23、固定案内板24を有する繰り出し部20が配置されている。ここで、繰り出し部20について説明する。延出部15先端下方には繰り出しローラ21が略水平に架設されており、繰り出しローラ21の回転軸22は、図示しない繰り出し用モータ及び歯車等の回転伝達機構により反時計回り方向(図3中の矢印Aの方向)に回転する。繰り出しローラ21には、径方向に突出してゴム製のリング21aが回転軸22の軸方向に所定間隔離れて複数設けられている。
【0020】
また、繰り出しローラ21の上方および前方を覆うように、軸23aを中心として所定範囲内で回動する押え部材23が設けられている。この押え部材23は、図示しないコイルバネ等により繰り出しローラ21方向に適度な力で付勢されており、これにより押え部材23の下面は繰り出しローラ21のリング21aに接してこれを軽く押圧している。また、繰り出しローラ21の前下方には前方に下傾する固定案内板24が設けられており、乾タオル11aが繰り出しローラ21の下側に巻き込まれることなく垂下しつつ進むように繰り出している。
【0021】
次に、散水部40について説明する。散水部40は、ロール保持部10の後方の水タンク収納室42aに配置される水タンク42と、水タンク42内の水を冷やす冷却装置43および冷蔵ファン44と、水タンク42内の水を加熱する加熱装置45と、垂下してくる乾タオル11aに冷却水または加熱水を噴射して散水する散水ノズル41と、この散水ノズル41の後方に設けられ散水ノズル41より散水された水を受ける水受部46とを備えている。冷却水は、一旦、水タンク42から輸送手段(図示せず)により冷却装置43へと輸送されて冷却され、さらに散水ノズル41bに輸送手段(図示せず)により輸送されて散水される。
【0022】
また、加熱水は、一旦、水タンク42から輸送手段(図示せず)により加熱装置45へと輸送されて加熱され、さらに散水ノズル41aに輸送手段(図示せず)により輸送されて散水される。散水は、散水ノズル41a,41bからそれぞれ噴射することにより行われる。冷却温度は20〜25℃、加熱温度は80〜86℃であり、使用者の好みに応じて、コントロールパネル6の制御ボタン6bを操作することにより適宜選択することができる。また、加熱を行わなければ常温水とすることもでき、散水ノズル41aからは温水と常温水とが選択されて散水される。また、散水ノズル41は、円筒形状で水平に架設してあり、さらに複数の小さい孔を有して噴射するため、垂下してくる乾タオル11aに均一に散水することができる。なお、乾タオル11aにかからなかった水は、水受部46に当たり、これに沿って流下して、下方のおしぼり成形部50に落ち、さらに下方の水捕集皿47に集められる。
【0023】
次に、切断部30について説明する。繰り出しローラ21の直下には固定刃用ホルダ32が架設されており、この固定刃用ホルダ32には乾タオル11aの幅よりも両側に長い固定刃33が前方に向かって取り付けられている。固定刃用ホルダ32は、図示しないバネにより前方に付勢されている。一方、繰り出しローラ21から垂下する乾タオル11aを挟んで固定刃33と対向する位置には、回転刃用ホルダ34が略水平に回転自在に架設されている。回転刃31は回転刃用ホルダ34の回転軸に対し所定の角度をもってその軸方向に延伸して装着されており、乾タオル11aの切断時に回転刃用ホルダ34を回転させると、回転刃31は軸方向の一端から順次固定刃33に当接しつつ他端側に進行する。これにより、両者の間に挟まれた乾タオル11aはほぼ水平な切断線をもって切断される。この際、固定刃33に回転刃31が当接すると、固定刃用ホルダ32を付勢しているバネの力に打ち勝って固定刃用ホルダ32は後方に押されて僅かに後退する。これにより、回転刃31及び固定刃33には必要以上に大きな力が加わらず、刃の破損を防止している。
【0024】
次に、紫外線照射装置60について説明する。紫外線照射装置60は、広角度で紫外線を照射する紫外線ランプを有しており、散水ノズル41の近傍、より詳しくは、散水ノズル41の上方であって切断部30よりも下方の位置であって、散水ノズル41から約2.3cmの位置に設けられている。このため、紫外線照射装置60は、回転刃31、散水ノズル41、垂下する乾タオル11a、乾タオル11aに水が散布された水タオル等、広角度で広範囲に渡って紫外線を照射する。すなわち、まず垂下してくる乾タオル11aに紫外線を照射し、さらに乾タオル11aに水を散布した水タオルにも紫外線を照射すると同時に、散布元である散水ノズル41および散布される水にも紫外線が直接照射されて、これらの殺菌が充分になされるようになっている。そして、紫外線は、後述する水タオルがおしぼり成形部50内に達するまで水タオルに照射されており、おしぼり成形部50内では数秒でおしぼり3が成形される。このように、紫外線照射装置60により、紫外線照射をおしぼり3が成形される直前まで照射するため、非衛生区間がほとんどなくなり、衛生面で優れたおしぼり製造装置1とすることができる。
【0025】
また、本実施の形態においては、円弧状に形成された底壁13の前方下方にも紫外線ランプを有する紫外線照射装置61を設けてある。これにより、タオルロール11の下方側から紫外線を照射してタオルロール11の表面を殺菌し、さらに、タオルロール11の繊維の隙間からある程度奥へ紫外線が進入して殺菌されることとなる。従って、本実施の形態においては、紫外線照射装置60,61により殺菌を行っているため、非衛生区間はほとんど発生せず、特に、長時間使用しない場合には有効である。
【0026】
次に、おしぼり成形部50について説明する。切断部30により切断された水タオルは、水受部46を通過しておしぼり成形部50へと搬送される。おしぼり成形部50は、水受部46の下方に設けられ、主動ローラ51および従動ローラ52と、主動ローラ51および従動ローラ52に巻き掛けられた所定幅の無端ベルトからなる搬送コンベア53とを有し、搬送コンベア53は前方側から後方側に向かって下へ傾斜して設置されている。下側の主動ローラ51の回転軸は動力ギア54による回転伝達機構により時計回り方向(図2の矢印B)に回転駆動され、上側の従動ローラ52主動ローラ51の回転に伴い搬送コンベア53を介して同じ方向に回転する。搬送コンベア53の外側には、搬送コンベア53と所定間隙を保って固定ベルト55が設けられている。固定ベルト55の上端部(搬送方向の入口側)には、下傾するに従い搬送コンベア53との間隙が徐々に狭くなる狭小部56が形成されている。
【0027】
搬送コンベア53は、撓みが比較的小さい合成樹脂または硬質ゴム等からなるが、固定ベルト55は、撓みが比較的大きい軟質ゴム等からなる。また、固定ベルト55の内側(搬送コンベア53との対向面)には複数の突起(図示せず)が幅方向および搬送方向に設けられている。これにより、水タオルが搬送コンベア53と固定ベルト55との間に挟持されて搬送される際に、固定ベルト55の突起は水タオルの上面に適度な力で押し付けられて、水タオルが転がりながらおしぼり3が製造されていく。固定ベルト55の終端部(搬送方向の出口側付近)には、案内板57が、前方に開放されるように設けられている。また、案内板57の上端部(搬送コンベア53の送り方向の出口側)は、おしぼり供給口5に向けて斜め下方に折り曲げられている。製造されたおしぼり3は、取り出し口4へと落下し、使用者に使用される。
【0028】
次に、巻おしぼり製造装置1によりおしぼり3は製造される工程について説明する。使用者は、予めタオルロール11をロール保持部10のタオルロール収納室12に収納し、タオルロール11から乾タオル11aの先端を引き出し、軸23aを中心に押え部材23を持ち上げて、その乾タオル11aの先端部を繰り出しローラ21の上に置いて押え部材23を元の位置に戻す。前述したように押え部材23は捻りコイルバネ(図示せず)により付勢されているので、乾タオル11aは押え部材23の下面と繰り出しローラ21のリング21aとの間に挟持される。一方、水タンク収納室42a内には、水を充満した水タンク42を収納し、この水タンク42内には、例えば水を浄化する浄化剤等を入れておくことができる。
【0029】
このようにタオルロール11と水タンク42とを適切にセットした状態で、使用者がコントロールパネル6の制御ボタン6bの一つであるおしぼり供給ボタンを押すと、図示しない送給用モータが駆動されて繰り出しローラ21は図3中の矢印Aの方向に回転する。シート状の乾タオル11aの先端部は繰り出しローラ21のリング21aと押え部材23との間に挟持されており、押え部材23の下面は比較的滑らかであるのに対しリング21aは比較的大きな摩擦力を乾タオル11aに与える。このため、繰り出しローラ21の回転に伴い、乾タオル11aは水平前方から更に略垂直下方に送られる。
【0030】
そして、押え部材23と固定案内板24との間隙を通り抜け、更に固定刃33と回転刃用ホルダ34との間隙に送られる。すなわち、タオルロール11の交換時には、使用者は乾タオル11aの先端部を軽く引き出して繰り出しローラ21の上に置くだけで、乾タオル11aが自動的にセットされる。1回の制御ボタン6bの操作により送給される乾タオル11aの長さ、つまり繰り出しローラ21の回転数は予め決められている。従って、乾タオル11aの先端部は固定刃33と回転刃用ホルダ34との間隙を通って垂下し、繰り出しローラ21の回転数によって決まる所定の位置まで達したときに停止する。
【0031】
上記のように繰り出しローラ21が回転するとき、回転刃用ホルダ32は繰り出しローラ21の回転と同期して時計回り方向(図3中の矢印Cの方向)に回転する。そして、乾タオル11aの先端部が散水ノズル41の正面に達すると、図示しないポンプが駆動され、水タンク42から吸引された水が変圧器70により調整されながら散水ノズル41へと圧送される。このとき、前述したように、使用者の好みに応じて、冷却水、加熱水、常温水がコントロールパネル6の制御ボタン6bを操作することにより適宜選択され、冷却装置43或いは加熱装置45を経由して、散水ノズル41a,41bから散水される。なお、冷たい巻おしぼりを提供する場合には、2℃の冷却水を散水し、暖かいおしぼりを提供する場合には86℃の加熱水を散水する。
【0032】
乾タオル11aが送給されるのに伴い散水ノズル41から噴射されて散水された水の降り掛かる位置は順次移動するので、おしぼりを形成するための1枚のシート状の乾タオル11a全体に満遍なく水が散布され、水タオルが形成される。乾タオル11a或いは水タオルに掛からなかった水や、滴り落ちた水は水受部46に当たり、その溝に沿って流下して、下方の搬送コンベア53の上に落ちる。更に、搬送コンベア53を伝い落ちた水は下方の水捕集皿47に集められる。
【0033】
水タオル(水で濡らされた乾タオル11a)が板状の水受部46の表面に接触してこれに沿って垂下し、水タオルの先端が水受部46の下端に達すると、回転刃31がその一方の端部より他端に向かって順次固定刃33に当接し、水タオル(水で濡らされた乾タオル11a)はほぼ水平に切断される。所定寸法長さに切断された水タオルは水受部46に沿っておしぼり成形部50の搬送コンベア53の上に滑り落ちるが、このとき、水受部46に設けられた突片(図示せず)により先端が折り曲げられた状態で落下する。搬送コンベア53は一定速度で移動しているから、水タオルは搬送コンベア53上で搬送される。水タオルの縁端が狭い隙間である狭小部56を通過する際に、先端が押しつぶされて折返しになり、固定ベルト55に接触すると、その折返片を中芯として巻き込まれる。
【0034】
ここで、前述したように、散水ノズル41の近傍に紫外線照射装置60が設けられており、紫外線照射装置60は、散水ノズル41から水が散布される前後において、紫外線を照射する。すなわち、紫外線照射装置60は、乾タオル11aが板状の水受部46を伝って垂下して、水タオルとなっておしぼり成形部50内に達するまでの間において、タオル(乾タオル11a、水タオル)に紫外線を照射する。従って、おしぼり3が成形される直前まで広範囲に渡り殺菌されるため、非衛生区間がほとんどなくなり、完全に殺菌してから巻かれる。なお、紫外線照射装置60は、広範囲に渡って紫外線を照射するため、散水ノズル41a,41b、回転刃31、水受部46等にも照射することとなり(図3の矢印a〜f)、衛生面で優れたおしぼり製造装置1となる。
【0035】
水タオルが巻かれると、固定ベルト55と搬送コンベア53との間を転がりながら搬送されてロール状のおしぼり3が形成され、案内板57の上端部に達し下方に落下する。その下方にはおしぼり供給口5が開口しているためこれを通り、さらに下方の取り出し口4上に落下する。従って、適度に緩んだ巻回状態のふんわり感のあるおしぼり3を提供することができる。
【0036】
なお、本実施形態は一例であり、本発明の範囲内で適宜設計変更することができる。また、おしぼり成形部50は、巻回させておしぼりを形成するものであるが、折り畳み式のおしぼり成形部として、紫外線照射装置60を散水部40の散水ノズル41近傍に設けたおしぼり製造装置とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、殺菌が充分になされ、衛生面で優れたおしぼり製造装置およびおしぼり製造方法として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態におけるおしぼり製造装置の概観斜視図である。
【図2】同おしぼり製造装置の断面正面図である。
【図3】図2におけるX部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
1 おしぼり製造装置
2 筐体
2a 上蓋
2b 軸
2c 側部
2d 底部
2e 基台
3 おしぼり
4 取り出し口
4b 軸
5 おしぼり供給口
6 コントロールパネル
6a 表示部
6b 制御ボタン
10 ロール保持部
11 タオルロール
11a 乾タオル
11b ロールホルダ
12 タオルロール収納室
13 底壁
14 溝
14a ホルダ支持溝
14b 補助溝
15 延出部
20 繰り出し部
21 繰り出しローラ
21a リング
22 回転軸
23 押え部材
23a 軸
24 固定案内板
30 切断部
31 回転刃
32 固定刃用ホルダ
33 固定刃
34 回転刃用ホルダ
40 散水部
41,41a,41b 散水ノズル
42 水タンク
42a 水タンク収納室
43 冷却装置
44 冷蔵ファン
45 加熱装置
46 水受部
47 水捕集皿
50 おしぼり成形部
51 主動ローラ
52 従動ローラ
53 搬送コンベア
54 動力ギア
55 固定ベルト
56 狭小部
57 案内板
60,61 紫外線照射装置
70 変圧器
A,B,C 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の乾タオルを水で湿らせ所定長さで切断してなる水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり製造装置において、
前記水タオルに紫外線を照射する紫外線照射装置を備えたおしぼり製造装置。
【請求項2】
前記乾タオルに散水して湿らせる散水ノズルを備え、前記紫外線照射装置は、前記散水ノズルに紫外線を照射するものである請求項1記載のおしぼり製造装置。
【請求項3】
前記乾タオルを所定長さで切断する切断部を前記散水ノズルの上方に備え、
前記紫外線照射装置は、前記散水ノズルの近傍、かつ、前記散水ノズルと前記切断部との間に設けられるとともに、広角度で紫外線を照射するものである請求項2記載のおしぼり製造装置。
【請求項4】
シート状の乾タオルを水で湿らせ所定長さで切断してなる水タオルを巻回または折り畳んでおしぼりを成形するおしぼり製造方法であって、
前記水タオルに紫外線を照射することを含むおしぼり製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−35966(P2008−35966A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211232(P2006−211232)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(506265152)
【出願人】(506264797)
【Fターム(参考)】