説明

おしぼり製造装置

【課題】巻きを解いて使用するまでの時間を短縮したおしぼりを製造するおしぼり製造装置の提供。
【解決手段】おしぼりの排出方向およびその逆方向に動作可能な搬送ベルト3と、この搬送ベルト3上にシート材Pを送り出す搬送機構4と、搬送ベルト3の対面に配置され、搬送ベルト3上を搬送されるシート材Pを搬送ベルト3とともに挟持し転動することによりシート材Pの巻き加工を行うガイド板33と、搬送機構4によりシート材Pが繰り出される際、搬送機構4に同期して搬送ベルト3を排出方向と逆方向に動作させることによってシート材Pを搬送ベルト3上に排出方向と逆方向に引き込んだ後、搬送機構4に同期して搬送ベルト3を排出方向に動作させることによって搬送機構4により続けて繰り出されるシート材Pを搬送ベルト3上のシート材Pに折り重ねて、ガイド板33による巻き加工を行わせるための駆動機構5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布、紙や布等のシート材を巻き加工することによりおしぼりを製造するおしぼり製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布、紙や布等に適量の水分を含湿したおしぼりは、飲食店や家庭等にて手等を拭くために広く用いられている。また、近年においては、ロール状に巻かれたシート材に水分を含湿させ、一定の長さにカットした後、巻き加工を行うことで、おしぼりを製造するおしぼり製造装置が開発されている。このおしぼり製造装置は、その場でおしぼりを作ることができ、衛生的であるため、普及しつつある。
【0003】
例えば、特許文献1,2に記載のおしぼり製造装置では、ロール状に巻かれたシート材を送り出し、一定長さにカットして、水または湯を噴射して含水させた後、送りベルトと外側のベルトとの間、またはドラムと外側のベルトとの間で挟持し、転動することにより棒状に巻いている。図9はこれらの従来のおしぼり装置により巻き加工したおしぼり100の断面図である。図9に示すように、このおしぼり100は、一枚のシート材の一方の端部を中心として外側に向かって巻かれている。
【0004】
【特許文献1】実開平7−16691号公報
【特許文献2】特開平10−192186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来のおしぼり製造装置により巻き加工されたおしぼり100は、通常、使用する際は、これを端から解き、一枚のシート材に戻してから使用することになる。このとき、シート材の一方の端部からもう一方の端部までが螺旋状に巻かれているため、巻きを解くのに時間が掛かるという問題がある。また、一枚のシート材に解いた際、シート材が薄すぎる場合には厚みを出すために再度二つに折ってから使用することもあり、さらに使用するまでの手間を要するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明においては、巻きを解いて使用するまでの時間を短縮したおしぼりを製造するおしぼり製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のおしぼり製造装置は、シート材を巻き加工することによりおしぼりを製造するおしぼり製造装置であって、おしぼりの排出方向およびその逆方向に動作可能な搬送ベルトと、この搬送ベルト上にシート材を送り出す搬送機構と、搬送ベルトの対面に配置され、搬送ベルト上を搬送されるシート材を搬送ベルトとともに挟持し転動することによりシート材の巻き加工を行う巻き加工部と、搬送機構によりシート材が繰り出される際、搬送機構に同期して搬送ベルトを排出方向と逆方向に動作させることによってシート材を搬送ベルト上に排出方向と逆方向に引き込んだ後、搬送機構に同期して搬送ベルトを排出方向に動作させることによって搬送機構により続けて繰り出されるシート材を搬送ベルト上のシート材に折り重ねて、巻き加工部による巻き加工を行わせるための駆動機構とを備えたものである。
【0008】
本発明によれば、搬送機構により搬送ベルト上に繰り出されたシート材は、搬送機構に同期して動作する搬送ベルトにより排出方向と逆方向に一旦引き込まれ、搬送ベルト上に配置される。その後、この搬送ベルト上に配置されたシート材は、搬送ベルトにより排出方向に送り出される。このとき、搬送機構により搬送ベルト上に繰り出されるシート材は、搬送ベルト上に配置されたシート材上に折り重ねられ、二つ折りの状態で巻き加工部により巻き加工される。これにより得られたおしぼりは、二つ折りでない従来のおしぼりと比較して巻きが半分の長さとなっているため、巻きを解く手間が半分で済む。また、巻きを解いた状態で二つ折りとなっているため、ボリューム感があり、そのままの状態でおしぼりとして使いやすい。
【0009】
ここで、駆動機構は、巻き加工後に外側となる面が長くなるようにシート材の中心からずらして折り重ねるものであることが望ましい。シート材が二つ折りの状態で巻き加工部により巻き加工される際、外側となる面が長くなるようにずれているため、巻き加工後のおしぼりの外側に露出するシート材が一枚となり、端部が綺麗に揃ったおしぼりが得られる。
【0010】
また、駆動機構は、駆動源により回転させる主ギアと、この主ギアに従動する第1の副ギアおよび第2の副ギアと、第1の副ギアに従動して搬送機構を正逆転させる正逆転ギアとを有するものであり、主ギアは、外周部の一部に円弧状に形成された第1の円弧状ギアと、この第1の円弧状ギアとは位相が異なる位置に円弧状に形成された第2の円弧状ギアとを有するものであり、第1の副ギアは、第1の円弧状ギアと噛み合う位置に配置されたものであり、第2の副ギアは、第1の円弧状ギアとは噛み合わず、かつ第2の円弧状ギアおよび第1の副ギアと噛み合う位置に配置されたものであることが望ましい。
【0011】
これにより、主ギアを一方向に回転させると、主ギアの外周部の一部に円弧状に形成された第1の円弧状ギアと第1の副ギアとが噛み合った際にはこの第1の副ギアが一方向に回転し、この第1の副ギアに従動する正逆転ギアにより搬送機構が一方向に動作する。このとき、第2の円弧状ギアが第1の円弧状ギアとは位相が異なる位置に配置されているので、この第2の円弧状ギアと第2の副ギアは噛み合わず、第1の副ギアと噛み合って従動する。また、さらに主ギアが同方向に回転して、第2の円弧状ギアと第2の副ギアとが噛み合った際にはこの第2の副ギアが前述の第1の副ギアの回転方向と同じ方向に回転する。このとき、第1の円弧状ギアが第2の円弧状ギアとは位相が異なる位置に配置されているので、この第1の円弧状ギアと第1の副ギアは噛み合わず、第1の副ギアは第2の副ギアと噛み合って前述の第1の副ギアの回転方向とは逆方向に回転する。これにより、この第1の副ギアに従動する正逆転ギアにより搬送機構は前述の方向とは逆方向に動作する。すなわち、主ギアを一方向に回転させるだけで、搬送機構を一方向およびその逆方向に往復動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
(1)おしぼりの排出方向およびその逆方向に動作可能な搬送ベルトと、この搬送ベルト上にシート材を送り出す搬送機構と、搬送ベルトの対面に配置され、搬送ベルト上を搬送されるシート材を搬送ベルトとともに挟持し転動することによりシート材の巻き加工を行う巻き加工部と、搬送機構によりシート材が繰り出される際、搬送機構に同期して搬送ベルトを排出方向と逆方向に動作させることによってシート材を搬送ベルト上に排出方向と逆方向に引き込んだ後、搬送機構に同期して搬送ベルトを排出方向に動作させることによって搬送機構により続けて繰り出されるシート材を搬送ベルト上のシート材に折り重ねて、巻き加工部による巻き加工を行わせるための駆動機構とを備えたことにより、二つ折りの状態で巻き加工を施したおしぼりが得られる。この得られたおしぼりは、二つ折りでない従来のおしぼりと比較して巻きが半分の長さとなっているため、巻きを解く手間が半分で済み、巻きを解いて使用するまでの時間を短縮することができる。また、このおしぼりは、巻きを解いた状態で二つ折りとなっているため、ボリューム感があり、そのままの状態でおしぼりとして使いやすいものとなる。
【0013】
(2)駆動機構が、巻き加工後に外側となる面が長くなるようにシート材の中心からずらして折り重ねるものであることによって、シート材の中心で二つ折りにして巻いた場合にシート材の端部が二つ見えるようなことがなく、巻き加工後のおしぼりの外側に露出するシート材が一枚となり、端部が綺麗に揃った見栄えの良いおしぼりが得られる。また、巻かれたシート材の端部の厚みが薄くなるため、巻きが自然に解けにくいおしぼりが得られる。
【0014】
(3)駆動機構が、駆動源により回転させる主ギアと、この主ギアに従動する第1の副ギアおよび第2の副ギアと、第1の副ギアに従動して搬送機構を正逆転させる正逆転ギアとを有するものであり、主ギアが、外周部の一部に円弧状に形成された第1の円弧状ギアと、この第1の円弧状ギアとは位相が異なる位置に円弧状に形成された第2の円弧状ギアとを有するものであり、第1の副ギアが、第1の円弧状ギアと噛み合う位置に配置されたものであり、第2の副ギアが、第1の円弧状ギアとは噛み合わず、かつ第2の円弧状ギアおよび第1の副ギアと噛み合う位置に配置されたものであることにより、主ギアを一方向に回転させるだけで、搬送機構を一方向およびその逆方向に往復動作させることができ、二つ折りの状態で巻き加工を施したおしぼりを簡単な構造の装置により製造することができる。また、構造が簡単であるため、故障が少なく、製造コストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態におけるおしぼり製造装置の透視側面図、図2は図1のおしぼり製造装置の要部詳細図、図3は主ギアの概略斜視図、図4は図2のA矢視図である。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態におけるおしぼり製造装置は、筐体1の内部に、ロール状に巻かれたシート材Pを収容するシート材収容部2と、無端環状の搬送ベルト3と、シート材収容部2に収容されたシート材Pを搬送ベルト3上に送り出す搬送機構4と、搬送ベルト3を搬送機構4と同期して駆動する駆動機構5とを備える。
【0016】
搬送ベルト3は、2個のプーリ30,31に掛け渡されている。プーリ30の軸には、プーリ30を回転して搬送ベルト3を駆動するためのベルト駆動ギア32が連結されている。また、搬送ベルト3の上方対面には、搬送ベルト3上を搬送されるシート材Pを搬送ベルト3とともに挟持し、転動することによりシート材Pの巻き加工を行う巻き加工部としてのガイド板33が配置されている。ガイド板33と搬送ベルト3との間は、おしぼりの排出方向(図1の左側)が最も広く、搬送ベルト3の中央部側が狭くなるようにしてある。但し、搬送ベルト3の中央部側の端部は上方向に湾曲させて、ガイド板33と搬送ベルト3との間が若干広くなるようにしてある。
【0017】
搬送機構4は、搬送ベルト3上にシート材Pを送り出す送りローラ40と、この送りローラ40の軸に連結された送りギア41と、送りローラ40により送り出されるシート材Pをガイドする送りガイド42と、送りガイド42を動作させるカム43と、搬送機構4により送り出されるシート材Pを所定長さで切断する回転カッター44とを備える。
【0018】
駆動機構5は、主ギア50と、この主ギア50に従動する第1の副ギアとしての正転用ギア51と、主ギア50に従動する第2の副ギアとしての逆転用ギア52と、ベルト駆動ギア32に噛み合わされ、正転用ギア51に従動して搬送機構を正逆転させる正逆転ギアとしてのカウンタギア53と、主ギア50を駆動する駆動ギア54と、駆動ギア54と同軸に設けられた大径ギア55と、駆動源としてのモータ56と、モータ56の軸に連結されたプーリ57と、大径ギア55にプーリギア58aが噛み合わされたプーリ58と、プーリ57,58に掛け渡されたモータベルト59とを備える。
【0019】
図3に示すように、主ギア50は、外周部の外縁全周に外向きの歯が形成された全周ギア50aと、外周部の外縁の一部に全周ギア50aと歯を共通にして円弧状に形成された送り用ギア50bとを備える。また、主ギア50の外周部の外縁の一部には、これらの全周ギア50aおよび送り用ギア50bと歯を共通にして円弧状に形成された第1の円弧状ギアとしての正転用ギア50cを備える。また、主ギア50の外周部の外縁よりも内側であって、正転用ギア50cとは位相が異なる位置(図示例では、反対側)には、円弧状であって歯が外向きに形成された第2の円弧状ギアとしての逆転用ギア50dを備える。なお、前述のカム43は、主ギア50の軸に固定されている。
【0020】
また、回転カッター44は、図5に示すように、主ギア50の軸に固定され、主ギア50とともに回転する回転刃44aと、筐体1側にピン44cにより軸支され、かつバネ44dにより回転刃44a側へ押し出されたた揺動刃44bとから構成される。シート材収容部2から送り出されたシート材Pは、この回転刃44aと揺動刃44bとの間を通過する際、主ギア50とともに回転する回転刃44aと揺動刃44bとの間の剪断によって所定長さに切断される。
【0021】
図4に示すように、全周ギア50aは、駆動ギア54と噛み合わされる。送り用ギア50bは、送りギア41と噛み合わされる。正転用ギア50cは、正転用ギア51に噛み合わされる。逆転用ギア50dは、逆転用ギア52に噛み合わされる。なお、逆転用ギア52は、正転用ギア51とは噛み合わない位置に配置されている。また、正転用ギア51は、逆転用ギア50dとは噛み合わない。また、カム43には、原点検出用の突起45が設けられている。原点は、カム43の回転時に突起45がスイッチ6を押すことによって検出される。
【0022】
送りガイド42は、ピン42aによって軸支されている。また、送りガイド42は、シート材Pを送りローラ40との間に挟み込み、下方の搬送ベルト3側へガイドする押さえガイド部42bと、ピン42aを挟んで押さえガイド部42bと反対側の腕部42cに取り付けられたバネ42dと、押さえガイド部42bの下部に設けられた爪42eとを備える。バネ42dは、腕部42cを上方に付勢するように取り付けられており、押さえガイド部42bを下方へ押圧、すなわち押さえガイド部42bを送りローラ40に向かって押圧している。爪42eは、カム43の外周曲面に沿ってピン42aを中心に上下に移動し、押さえガイド部42bを上下動させる。また、爪42eは、カム43の突起45によって押し上げられる。
【0023】
また、筐体1内には、紫外線照射装置7と、水タンク8と、補助タンク9と、ポンプ10とが設けられている。紫外線照射装置7は、シート材Pに対して紫外線を照射し、殺菌するためのものである。水タンク8は、シート材Pに含水させるための水を貯留するためのものである。この水タンク8は水を補充するために着脱可能となっており、下面には逆止弁11が設けられている。逆止弁11は、水タンク8を筐体1内に取り付けた状態のみ開き、取り外した状態では閉じるように動作するものである。水タンク8から補助タンク9までポンプ10により水が送られる。補助タンク9には調温装置12が設けられている。調温装置12は、補助タンク9内の水を設定温度に保つためのものである。補助タンク9内の水は、噴射ノズル13からシート材Pに向かって噴射される。なお、補助タンク9には排水ホース90が接続されており、この排水ホース90の先端には排水プラグ91が接続されている。この排水プラグ91の栓を外すことにより、補助タンク9内の水を排出することが可能である。
【0024】
次に、上記構成のおしぼり製造装置の動作について説明する。図6はおしぼりの製造工程を示す図である。
【0025】
モータ56を図2の時計回りに駆動すると、モータ56の軸に連結されたプーリ57が時計回りに回転し、モータベルト59によってプーリ58が時計回りに回転する。これにより、プーリギア58aに噛み合わされた大径ギア55が反時計回りに回転し、駆動ギア54を介して主ギア50が時計回りに回転する。この主ギア50の回転時、主ギア50の送り用ギア50bと送りギア41とが噛み合うと、送りギア41が反時計回りに回転し、シート材Pが送りローラ40と送りガイド42との間に挟まれて下方へ送り出される(図6の(a)参照。)。
【0026】
この送り出されたシート材Pに対し、搬送ベルト3までの途中に設けられた紫外線照射装置7によって紫外線が照射され、殺菌された後、噴射ノズル13から水が噴射される。これにより、シート材Pに水分が含水される。そして、シート材Pがある程度送り込まれた時点で、主ギア50の逆転用ギア50dと逆転用ギア52とが噛み合い、逆転用ギア52が反時計回りに回転する。この回転は、正転用ギア51、カウンタギア53およびベルト駆動ギア32を介してプーリ30に伝達され、プーリ30を時計回りに回転させる。なお、このとき、主ギア50の正転用ギア50cは逆転用ギア50dとは位相が異なる位置に形成されているため正転用ギア51と噛み合わない。したがって、正転用ギア51は自由であるため、逆転用ギア52に従動する。これにより、搬送ベルト3は時計回りに回転し、搬送ベルト3上に送り出されたシート材Pをおしぼりの排出方向と逆方向(図2の右方向)へ引き込む(図6(b)参照。)。このシート材Pの引き込みの長さは、逆転用ギア50dの円弧の長さにより設定される。
【0027】
さらに主ギア50が回転すると、逆転用ギア50dと逆転用ギア52との噛み合いが外れ、逆転用ギア52が駆動されなくなる。これにより、搬送ベルト3は停止する。また、このとき、主ギア50のカム43が押さえガイド部42bを押し上げるとともに、主ギア50の送り用ギア50bと送りギア41との噛み合いが外れて送りローラ40の回転が停止するので、シート材Pの送りが止まる。また、このとき、回転カッター44によりシート材Pが切断される。
【0028】
そして、さらに主ギア50が回転を続けると、主ギア50の正転用ギア50cと正転用ギア51とが噛み合い、正転用ギア51が反時計回りに回転する。この回転は、カウンタギア53およびベルト駆動ギア32を介してプーリ30に伝達され、プーリ30を反時計回りに回転させる。これにより、搬送ベルト3は反時計回りに回転する(図6(c)参照。)。なお、このとき、主ギア50の正転用ギア50cと逆転用ギア50dとが位相が異なる位置に形成されているため、逆転用ギア50dは逆転用ギア52と噛み合わない。したがって、逆転用ギア52は自由であるため、正転用ギア51に従動するが、この逆転用ギア52の回転は他の動作に影響しない。
【0029】
ここで、シート材Pは、搬送ベルト3が反時計回りに回転しているため、既に搬送ベルト3上にあるシート材Pの上に重ねるようにほぼ中央部から二つ折りの状態となり、おしぼりの排出方向(図2の左方向)へ搬送される(図6(c)参照。)。この搬送されたシート材Pは、搬送ベルト3とガイド板33との間を通る際に、二つ折りの状態のシート材Pの先端が上方向に湾曲して丸められ、時計回りに回転しながら排出トレイ14上へ排出される(図6(d)、図6(e)参照。)。これにより、図7の断面図に示すような二つ折りの状態で巻き加工を施したおしぼりTが完成する。また、この時点で主ギア50の正転用ギア50cと正転用ギア51との噛み合いが外れて搬送ベルト3の回転が停止する。また、この時点で、カム43の突起45がスイッチ6によって検出されるので、モータ56を停止する。
【0030】
以上のように、本実施形態におけるおしぼり製造装置では、おしぼりの排出方向およびその逆方向に動作可能な搬送ベルト3と、この搬送ベルト3上にシート材Pを送り出す搬送機構4と、搬送ベルト3の対面に配置され、搬送ベルト3上を搬送されるシート材Pを搬送ベルト3とともに挟持し転動することによりシート材Pの巻き加工を行うガイド板33と、搬送機構4によりシート材Pが繰り出される際、搬送機構4に同期して搬送ベルト3を排出方向と逆方向に動作させることによってシート材Pを搬送ベルト3上に排出方向と逆方向に引き込んだ後、搬送機構4に同期して搬送ベルト3を排出方向に動作させることによって搬送機構4により続けて繰り出されるシート材Pを搬送ベルト3上のシート材Pに折り重ねて、ガイド板33による巻き加工を行わせるための駆動機構5とを備えたことにより、二つ折りの状態で巻き加工を施したおしぼりTが得られる。
【0031】
この得られたおしぼりTは、二つ折りでない従来のおしぼり100と比較して巻きが半分の長さとなっているため、巻きを解く手間が半分で済み、巻きを解いて使用するまでの時間が短縮される。また、このおしぼりTは、巻きを解いた状態で二つ折りとなっているため、ボリューム感があり、そのままの状態でおしぼりとして使いやすい。
【0032】
なお、本実施形態における駆動機構5は、主ギア50の送り用ギア50b、正転用ギア50cおよび逆転用ギア50dの円弧の長さを調整することにより、巻き加工後に外側となる面が長くなるようにシート材Pの中心からずらして折り重ねられるようにしている。これにより、シート材Pが二つ折りの状態でガイド板33により巻き加工される際、外側となる面が長くなるようにずれているため、図7に示すように、巻き加工後のおしぼりTの外側に露出するシート材が一枚となり、端部が綺麗に揃った見栄えの良いものとなっている。また、このおしぼりTは、巻かれたシート材Pの端部の厚みが薄くなるため、巻きが自然に解けにくい。
【0033】
また、本実施形態における駆動機構5では、主ギア50を一方向に回転させるだけで、搬送機構4を一方向およびその逆方向に往復動作させることが可能となっているため、装置の構造が簡単であり、故障が少なく、製造コストを安くすることができる。
【0034】
なお、本実施形態におけるおしぼり製造装置において、シート材Pの切断後、主ギア50の送り用ギア50bと送りギア41とを噛み合わせて少しだけ送りローラ40を回転させる構成とすることができる。これにより、シート材Pが切断された後にシート材Pが少しだけ送り出された状態とすることができ、連続しておしぼりTを製造する際に製造時間を短縮することができる。また、本実施形態においては、シート材Pはロール状に巻かれたものを使用しているが、予め所定長さに切断されたものを使用することも可能である。
【0035】
また、本実施形態におけるおしぼり製造装置では、主ギア50を一方向に回転させる構成であるため、駆動源であるモータ56は一方向にしか回転しない構成であるが、このとき、回転カッター44にシート材Pが詰まり、噛み込みが発生した場合、減速比が大きい主ギア50の軸を逆回転させることができないため、詰まったシート材Pを取り除くことが難しい。そこで、本実施形態におけるおしぼり製造装置では、モータ56の軸に連結されたプーリ57に、シート材Pの噛み込みを解除するための解除機構としての溝57aを設けている。また、筐体1の一部にこのプーリ57の溝57aが見える孔(図示せず。)を設けており、この孔からプーリ57の溝57aにマイナスのドライバーを差し込み、左回転させることで、この回転が主ギア50の軸に伝わり、主ギア50が回転することで回転刃44aが逆方向に回転する。これにより、回転刃44aと揺動刃44bとの隙間が広がるので、シート材Pの噛み込みが外れ、詰まったシート材Pを容易に取り除くことが可能である。
【0036】
また、本実施形態におけるおしぼり製造装置において、水タンク8に代えて、図8の(a)に示すように外部水タンク80や、図8の(b)に示すように市販のペットボトル81等を装着可能にすることができる。このとき、外部水タンク80やペットボトル81等の下部には逆止弁11を付けておく。これにより、おしぼり製造装置本体の大きさを変えずに水タンクの容量を変えることができる。また、このおしぼり製造装置を店内外に置く場合に、外部水タンク80に広告等を付することにより、より人目を引くことが可能となる。
【0037】
また、ペットボトル81等の透明な材質の水タンクを使用した場合、水が筐体1内の補助タンク9に入る際に、水タンク内に泡が発生し、人目を引くことができる。さらに、この水タンクの下部に複数の色のイルミネーション用の光源82を付けて、点灯または点滅させることで、この光源82の光が水タンク内の水に反射して、より視覚的な効果を上げることができる。また、外部水タンク80等の水タンクの下部に紫外線照射装置を設けて、水の殺菌を行う構成とすることもできる。
【0038】
なお、本実施形態における紫外線照射装置7は、シート材収容部2内やシート材Pの通過経路のどこに取り付けても良い。また、紫外線照射装置7は、紫外線ランプや紫外線LED(発光ダイオード)等のいずれを用いても良い。また、主ギア50を駆動するための減速手段として、本実施形態においてはプーリを使用したが、プーリを介さずにモータ56の軸にギアを取り付けて、直接このギアにて主ギア50を駆動する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のおしぼり製造装置は、飲食店や家庭等にて手等を拭くために、その場でシート材を巻き加工することによりおしぼりを製造する装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態におけるおしぼり製造装置の透視側面図である。
【図2】図1のおしぼり製造装置の要部詳細図である。
【図3】主ギアの概略斜視図である。
【図4】図2のA矢視図である。
【図5】回転カッターの拡大図である。
【図6】おしぼりの製造工程を示す図である。
【図7】図1のおしぼり製造装置により製造したおしぼりの断面図である。
【図8】(a)は外部水タンクを装着可能としたおしぼり製造装置の例を示す図、(b)はペットボトルを装着可能としたおしぼり製造装置の例を示す図である。
【図9】従来のおしぼり製造装置により巻き加工したおしぼりの断面図である。
【符号の説明】
【0041】
P シート材
T おしぼり
1 筐体
2 シート材収容部
3 搬送ベルト
4 搬送機構
5 駆動機構
6 スイッチ
7 紫外線照射装置
8 水タンク
9 補助タンク
10 ポンプ
11 逆止弁
12 調温装置
13 噴射ノズル
14 排出トレイ
30 プーリ
30,31 プーリ
32 ベルト駆動ギア
33 ガイド板
40 送りローラ
41 送りギア
42 送りガイド
42a ピン
42b ガイド部
42c 腕部
42d バネ
42e 爪
43 カム
44 回転カッター
44a 回転刃
44b 揺動刃
44c ピン
44d バネ
45 突起
50 主ギア
50a 全周ギア
50b 送り用ギア
50c 正転用ギア
50d 逆転用ギア
51 正転用ギア
52 逆転用ギア
53 カウンタギア
54 駆動ギア
55 大径ギア
56 モータ
57,58 プーリ
57a 溝
58a プーリギア
59 モータベルト
80 水タンク
81 ペットボトル
82 光源
90 排水ホース
91 排水プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を巻き加工することによりおしぼりを製造するおしぼり製造装置であって、
前記おしぼりの排出方向およびその逆方向に動作可能な搬送ベルトと、
この搬送ベルト上に前記シート材を送り出す搬送機構と、
前記搬送ベルトの対面に配置され、前記搬送ベルト上を搬送される前記シート材を前記搬送ベルトとともに挟持し転動することにより前記シート材の巻き加工を行う巻き加工部と、
前記搬送機構により前記シート材が繰り出される際、前記搬送機構に同期して前記搬送ベルトを前記排出方向と逆方向に動作させることによって前記シート材を前記搬送ベルト上に前記排出方向と逆方向に引き込んだ後、前記搬送機構に同期して前記搬送ベルトを前記排出方向に動作させることによって前記搬送機構により続けて繰り出されるシート材を前記搬送ベルト上のシート材に折り重ねて、前記巻き加工部による巻き加工を行わせるための駆動機構と
を備えたおしぼり製造装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記巻き加工後に外側となる面が長くなるように前記シート材の中心からずらして折り重ねるものである請求項1記載のおしぼり製造装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、駆動源により回転させる主ギアと、この主ギアに従動する第1の副ギアおよび第2の副ギアと、前記第1の副ギアに従動して前記搬送機構を正逆転させる正逆転ギアとを有するものであり、
前記主ギアは、外周部の一部に円弧状に形成された第1の円弧状ギアと、この第1の円弧状ギアとは位相が異なる位置に円弧状に形成された第2の円弧状ギアとを有するものであり、
前記第1の副ギアは、前記第1の円弧状ギアと噛み合う位置に配置されたものであり、
前記第2の副ギアは、前記第1の円弧状ギアとは噛み合わず、かつ前記第2の円弧状ギアおよび第1の副ギアと噛み合う位置に配置されたものである
請求項1または2に記載のおしぼり製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−215614(P2007−215614A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37231(P2006−37231)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【特許番号】特許第3795065号(P3795065)
【特許公報発行日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(303009825)株式会社ゼロ・インフィニティ (5)
【Fターム(参考)】