説明

おむつ交換支援器具

【課題】 本発明は、簡略な構造でありながら短時間で簡単に要介護者のおむつ交換の作業を行うことができ、要介護者のリハビリ効果を期待できる。それによって介護者の労力の負担及び要介護者の苦痛と苛立ち等を大幅に軽減し、体力の著しい衰えを防止するために要介護者自身の努力と意識の改革によって挑戦することを目的とする新規で斬新なおむつ交換支援器具を提供することができる。
【解決手段】 本発明のおむつ交換支援器具Mは、要介護者の下肢部分の踵を固定することで、臀部領域が敷体から浮上することを可能とすることと同時に、下肢の筋肉や関節部分の衰えを防止することを特徴として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ交換支援器具に関するものであり、詳しくは、短時間で簡単、衛生的におむつの交換と衣服の着脱作業を行うことができると同時に、下肢部分のリハビリを実施できる新規で斬新なおむつ交換支援器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の拡大につれ、介護を必要とする老人の数は増加の一途をたどっており、施設や在宅における介護現場においても寝たきりの高齢者等のおむつ交換を必要とする要介護者の数もまた増加の傾向にある。このような寝たきりの高齢者等のおむつ交換作業は昔からあまり進歩はなく、介護者は腰痛と労力に向かい合いながら従来通りの作業を余儀なくされ、要介護者の多くはその苦痛に耐えてきたのが実情でもある。最近の傾向としては交換作業の改善を期待する介護者と、穏やかな作業を望む要介護者の数も増え、様々な角度から斬新な作業方法が考えられてはいるが、そのほとんどが要介護者の思考と改善が反映されたものではなく、介護者の一方的な任せっきり作業がつづいているのが現状である。
【0003】
それには介護施設や事業所、在宅介護など介護の事情によっても大きく異なりを見せる。在宅での介護の場合、その家庭環境によって要介護者は必要以上に遠慮などの心身的な重圧に押し潰されるのが通常である。そのために要望などを口にすることは許されず、ひたすら介護者の作業に任せているのであるが、最近の傾向としては、介護者と要介護者が協力を密にしながら作業の分担を行うようになってきた。例えば、おむつの交換の場合、要介護者はおむつを交換し易いように少しだけ臀部を持ち上げる努力をするのも一例である。そのためには常日頃から下肢のリハビリを継続しなければそのような結果は生じない。それによって双方に信頼関係が生まれるとしたら早急の実施を願いたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−296539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、要介護者に対しておむつ交換を行う介護者の労力と心身的な負担は想像以上に大きく、少しでもその軽減を図って介護の意識を向上するための要請に応えることを目的としている。同時に、要介護者にとっても長い時間と繰り返しの作業によって不自由な身体を幾度も動かさなければならないことで苛立ちや苦痛を伴うことも少なくないのが現状の姿である。従来からおむつ交換は介護の中で最も大変な作業であることを意識していることは明らかなことであり、それを早急に解決して大幅な改革につなげることが緊急の課題でもある。
【0006】
また、発想の転換によって元来、介護者任せであったおむつ交換作業に要介護者も積極的に多少なりとも協力することができれば、現在の介護事情も大いに変わってくることは確かである。それを実行することによって互いに信頼関係が生まれ、愚痴などは基より、悲惨な事件などを回避することにも繋がるのである。
【0007】
それは、おむつ交換が容易になることのみではない。要介護者の多くはは長年に渡って寝たっきりの状況であり体力的に減退も著しい。とくに、下半身の下肢部分の機能は衰えが目立って関節部分の硬直が避けられないのが実状である。
【0008】
次第に進行するその状況を防止するために、おむつ交換と同時に要介護者自身が下肢部分に対して簡易な運動を実施することができれば、その行動とリハビリ効果には大いに期待できるものがあり、関節部分の硬直を防ぐことが可能である。
【0009】
以上のような事情は、施設や在宅などの介護現場における寝たきりの要介護者のおむつ交換の場合のみならず、様々な障害を持った対象者においても同様であると考えられる。本発明は、上述したような従来の切迫した事情と世論の要請などによって開発されたものであり、本体は簡略な構造と形状でありながら介護者は労力の軽減を図ることによって、短時間で簡単におむつ交換を手早く行うことができ、要介護者は少しでも作業に協力しているという連帯感によって意識を高めることができることは今後の介護には不可欠な要素のひとつであり、リハビリ要素を兼ねた新規で斬新なおむつ交換支援器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、要介護者の臀部領域が敷体からの浮上を可能とすることを特徴とするものである。
【0011】
上記目的を達成するための請求項2記載の発明は、ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、表面上にある穴の位置に力点を設けたことで下半身の左右の傾斜が容易となることを特徴とする請求項1のおむつ交換支援器具である。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1記載のおむつ交換器具は、ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、要介護者の臀部領域を敷体から浮上させることによって所定の空間を形成することが容易であり、おむつの交換とそれに関わる衣類の脱着等の一連の作業を行う場合、介護者の作業効率を高め、被介護者の苛立ちと苦痛を軽減することができる。
【0013】
(2)請求項2記載のおむつ交換支援器具は、ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、表面上にある穴の位置に力点を設けたことで下半身の左右の傾斜を容易とするおむつ交換支援器具であって、作業中に要介護者の下半身を簡単円滑に左右に傾斜させることが容易なため介護者の労力を軽減することができ、作業効率を高めて要介護者のリハビリ効果をねらうものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の平面図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に記述するために、実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明によるおむつ交換支援器具の平面図、図2は本発明によるおむつ交換支援器具の側面図を示す。
【実施例1】
【0016】
前記のおむつ交換支援器具を構成するM本体の平面的な形状とサイズは特に定める数値はないが、要介護者の脚力によって安易に設定した敷体の位置から移動しないような重量感、並びに敷体との摩擦を配慮すると、直径35cm、板厚は2cm程度が望ましく、素材としては弾力性が感じられる木板などが適材である。デザイン的には重要な要素もなく、使い易さのみが追求されるが、力点を考えた場合には単なる円盤型ではなく、敷体に対して抵抗がある形状がよいとされるが、あくまで介護者にとって扱い易い形状と重さが要求されることは当然であろう。また、繰り返しの使用による汚れの洗浄を可能とし、衛生的に保つ観点から水分や湿気を吸収することのない素材が求められる。
【0017】
だが、上記のように素材のみでの解決には無理があり、何らかの滑り止めを施すことが必要である。それは目的を達成する素材であれば別に拘るものではないが、それを施す面積や、清潔に保つ観点からも素材選びは重要である。
【0018】
M本体による1bは穴の周囲を覆った緩衝材であり踵を弾力的に保護する目的であるが、汚れなどの洗浄が容易であり、水分などを吸収することなく、力点という目的から摩擦熱などが発生し易いことを考慮して、繰り返し作業に堪えられる素材が求められるが、摩耗した場合にはホームセンターなどで買い求めることが可能で、かつ、簡単に交換することができることが最も望ましい。
【実施例2】
【0019】
1aに示すところの踵を固定する穴部の直径は、要介護者の踵の大きさと膝の屈折角度によっても異なるが、要介護者が力点として自然に違和感もなく固定できることが重要であり、リハビリを達成できることこそ器具本来の目的であって、成人の場合は6〜8cm程度が望ましい範囲である。
【0020】
また、穴である1aの深さに基準とする値はないものの、要介護者の咄嗟の場合を考えると、容易に穴から外れることを可能としなければならないが、要介護者のリハビリ的な要素を鑑みると下肢に力を加えた場合に踵が簡単に穴から外れるようではは本来の目的である器具の機能は果たせない。従って、1bの弾力ゴムの高さを加えると2〜3cmの深さが望ましいところである。
【0021】
M本体にある両穴の位置は、要介護者の体力差と身体的状況にもよるが、その深さと同様で定値はない。まず、X方向では両下肢の開き具合が問題になってくる。その値が極端に大きすぎると踵の力が弱くなる可能性があり、むしろ、あまり開かない方が力学的には力が加わり易い。その値は約10cmほどが適当かと思われるが、両踵を揃えることに抵抗を感じる場合には、Mの本体を斜方向にずらして踵の位置を変えることも可能であり、平面的な移動が簡単に行えることができ、片足だけの運動も可能である。その場合には片方の臀部が敷体から浮上するだけであるが、下肢を左右に揺り動かしながらおむつを臀部に差し込むことは容易な作業である。以上のような簡単な器具ではあるが、介護者と要介護者の知恵の出し合いによって幾通りもの作業ができるのである。
【0022】
次にM本体におけるY方向の位置であるが、あえて、黄金比率を考えて本体の調和を考えた。それは単なる美術的な要素のみに使用されるだけではなく、要介護者がその目で調和をとらえることに大きな意味があり、それから生じる個人の意識の反応によって積極的な挑戦に期待するものである。
【0023】
いづれにしても、介護の現状は乏しい。少しの発想を転換させることで想像以上の成果を生み出すこともあながち否定はできない。このM本体の絵画用パレットにも似た玩具のような器具であっても、その可能性は無限に拡がる要素を持っている。それには、このM本体を使いこなす介護者と要介護者の意識の改革が不可欠であり、新しい介護のあり方としての方法を実践できるものである。
【符号の説明】
【0024】
M おむつ交換支援器具の本体
1a 下肢の踵を固定する穴
1b 穴の周囲に施した弾力体
1c M本体における1a間の空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、要介護者の臀部領域が敷体からの浮上を可能とすることを特徴とするおむつ交換支援器具。
【請求項2】
ベット、布団等の敷体上で踵を固定して使用する器具であって、表面上にある穴の位置に力点を設けたことで下半身の左右の傾斜が容易となることを特徴とする請求項1のおむつ交換支援器具。





【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−50536(P2011−50536A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201382(P2009−201382)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(502455555)
【Fターム(参考)】