説明

おむつ

【課題】ファスニングテープの2つのタブを、止着位置に応じた適切な角度で、フロンタルテープ上に重ね止めできるおむつを提供する。
【解決手段】フロンタルテープ70の中央へ向かうにつれて股部2c側へ近づくように斜めに延びる第1ガイド線80aと、フロンタルテープ70の中央へ向かうにつれて股部2cから離れるように斜めに延びる第2ガイド線80bと、を含む図形を幅方向に複数配列した模様80が、フロンタルテープ70に印刷されている。第1ガイド線80aに沿って上タブ62を配置し、第2ガイド線80bに沿って下タブ63を配置すれば、上タブ62および下タブ63を、止着位置に応じた適切な角度で重ね止めできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の体液を吸収するおむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成人用又は幼児用の使い捨ておむつとして、ファスニングテープを有するものが知られている。ファスニングテープを有する使い捨ておむつは、後背部の両側部に設けられた一対のファスニングテープを、前腹部に設けられたフロンタルテープに止着させることにより、着用者に固定される。
【0003】
特に、近年では、ファスニングテープに設けられた2つのタブを、フロンタルテープ上で重ね止めすることを想定した使い捨ておむつが、提案されている。このような使い捨ておむつでは、一方のタブの上に、他方のタブを交差させるように重ねて、両タブをフロンタルテープに止着させる。これにより、着用者の腰周りおよび脚周りを締め付けつつ、使い捨ておむつを着用者に固定する。
【0004】
従来の使い捨ておむつについては、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−296603号公報
【特許文献2】特開2008−67831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フロンタルテープの両側部付近において、2つのタブを重ね止めする場合には、高い締め付け力を得るために、2つのタブを大きい角度で交差させることが、好ましい。すなわち、上側のタブを大きく下向きに引っ張るとともに、下側のタブを大きく上向きに引っ張って、重ね止めをすることが好ましい。
【0007】
一方、フロンタルテープの中央付近において、2つのタブを重ね止めする場合には、2つのタブを大きい角度で交差させると、締め付け力が過大となることがある。このため、着用者の圧迫感を軽減するために、2つのタブを小さい角度(平行に近い角度)で交差させることが好ましい。
【0008】
しかしながら、従来では、使い捨ておむつを着用する際に、上記のような重ね止めの角度が、着用者自身または介護者の経験に基づいて、設定されていた。このため、着用者または介護者によっては、不適切な角度で重ね止めを行い、締め付け力が過大または過小となることがあり得た。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ファスニングテープの2つのタブを、止着位置に応じた適切な角度で、フロンタルテープ上に重ね止めできるおむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、着用者の体液を吸収するおむつであって、着用者の腹面にあてがわれる前腹部と、着用者の背面にあてがわれる後背部と、前記前腹部および後背部の間において幅方向にくびれた股部と、を有するおむつ本体部と、前記後背部の両側縁部に基端部が固定された一対のファスニングテープと、を備え、前記一対のファスニングテープのそれぞれが、上タブおよび下タブを有し、前記前腹部の外側面に、前記上タブおよび前記下タブが止着されるフロンタルテープが設けられ、前記フロンタルテープの中央へ向かうにつれて前記股部側へ近づくように斜めに延びる第1ガイド線と、前記フロンタルテープの中央へ向かうにつれて前記股部から離れるように斜めに延びる第2ガイド線と、を含む図形を幅方向に複数配列した模様が、前記フロンタルテープに印刷または透写されており、前記フロンタルテープの中央に近い図形ほど、前記第1ガイド線と前記第2ガイド線とのなす角度が小さい。
【0011】
本願の第2発明は、第1発明のおむつであって、前記図形は、前記幅方向に直交する長手方向に、複数配列されている。
【0012】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明のおむつであって、前記フロンタルテープの前記幅方向の中央に、前記第1ガイド線および前記第2ガイド線が配置されていない中央領域が、設けられている。
【0013】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれかのおむつであって、前記図形は、フロンタルテープの中央へ向けて突出する凸形状の図形であり、前記第1ガイド線および前記第2ガイド線は、前記凸形状の図形の一部分である。
【0014】
本願の第5発明は、第4発明のおむつであって、前記凸形状の図形は、曲線により構成された波形状の図形である。
【0015】
本願の第6発明は、第4発明または第5発明のおむつであって、前記凸形状の図形は、円弧状の先端部を有し、前記上タブおよび前記下タブは、円弧状の角部を有する。
【0016】
本願の第7発明は、第4発明のおむつであって、前記凸形状の図形は、複数の略菱形の図形により構成された格子模様の一部分である。
【0017】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれかのおむつであって、前記第1ガイド線および前記第2ガイド線と、前記上タブおよび前記下タブとが、同色または近似色である。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1発明〜第8発明によれば、第1ガイド線に沿って上タブを配置し、第2ガイド線に沿って下タブを配置すれば、フロンタルテープ上に、上タブと下タブとが、適切な角度で重ね止めされる。すなわち、フロンタルテープの両側部付近では、上タブと下タブとが、大きい角度で重ね止めされる。その結果、着用者の腰周りおよび脚周りが、しっかりと締め付けられる。一方、フロンタルテープの中央付近では、上タブと下タブとが、小さい角度で重ね止めされる。その結果、腰周りおよび脚周りにおける過度の締め付けが、抑制される。
【0019】
特に、本願の第2発明によれば、フロンタルテープにおける上タブおよび下タブの長手方向の止着位置を、着用者の体型に応じて選択できる。
【0020】
特に、本願の第3発明によれば、上タブおよび下タブの中央領域への止着が、抑制される。これにより、上タブおよび下タブによる過度の締め付けが、さらに抑制される。
【0021】
特に、本願の第4発明によれば、一連の凸形状の図形の中に、第1ガイド線と第2ガイド線との双方を含めることができる。
【0022】
特に、本願の第6発明によれば、上タブおよび下タブの角部を、凸形状の図形の先端部に、合わせやすい。
【0023】
特に、本願の第8発明によれば、第1ガイド線および第2ガイド線と上タブおよび下タブとの対応関係が、視覚的により明確となる。したがって、第1ガイド線および第2ガイド線に沿って上タブおよび下タブを配置することを、促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】使い捨ておむつの斜視図である。
【図2】使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図である。
【図3】使い捨ておむつをバックシート側から見た平面図である。
【図4】図2中のIV−IV位置から見た使い捨ておむつの断面図である。
【図5】フロンタルテープの平面図である。
【図6】フロンタルテープの両側部付近に、上タブと下タブとを止着させたときの様子を示した図である。
【図7】フロンタルテープの中央付近に、上タブと下タブとを止着させたときの様子を示した図である。
【図8】変形例に係るフロンタルテープの平面図である。
【図9】変形例に係るフロンタルテープの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
<1.一実施形態に係るおむつ>
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1の斜視図である。図2は、使い捨ておむつ1をトップシート10側から見た平面図である。図3は、使い捨ておむつ1をバックシート20側から見た平面図である。また、図4は、図2中のIV−IV位置から見た使い捨ておむつ1の断面図である。なお、図2および図3は、後述するサイドシート用弾性部材41、腰周り用弾性部材51、および脚周り用弾性部材52を、いずれも伸長させた状態を示している。
【0027】
図1〜図4に示すように、使い捨ておむつ1は、液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート20と、両シート10,20の間に介在する吸収体30と、を有するおむつ本体部2を備えている。使い捨ておむつ1の着用者が尿等の体液を排泄すると、当該体液は、トップシート10を通過するが、バックシート20を通過することはなく、トップシート10とバックシート20との間において、吸収体30に吸収保持される。
【0028】
おむつ本体部2は、着用者の腹面に宛がわれる前腹部2aと、着用者の背面に宛がわれる後背部2bと、前腹部2aおよび後背部2bを繋ぐ股部2cとを有している。以下では、前腹部2a、股部2c、および後背部2bが連なる方向を「長手方向」と称し、長手方向に直交しかつおむつ本体部2の表面に沿う方向を「幅方向」と称する。おむつ本体部2は、前腹部2aから後背部2bにかけて長手方向に延び、その中間に位置する股部2cにおいて、幅方向にくびれた形状となっている。
【0029】
トップシート10は、吸収体30の内側(着用者の肌に近い側)に配置された、液透過性のシートである。トップシート10は、前腹部2aから後背部2bにかけて帯状に延び、その幅方向の寸法は、おむつ本体部2の外縁の幅方向の寸法よりも小さい。本実施形態のトップシート10は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して液透過性とした不織布により構成されている。なお、トップシート10は、親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布により構成されていてもよい。
【0030】
バックシート20は、吸収体30の外側(着用者の肌から遠い側)に配置された、液不透過性のシートである。バックシート20は、平面視において、おむつ本体部2とほぼ同等の形状を有する。すなわち、バックシート20は、おむつ本体部2の外側面全体を覆っている。本実施形態のバックシート20は、プラスチックフィルムにより構成されている。なお、バックシート20は、プラスチックフィルムとその外側面に貼着された柔軟性の高い不織布とにより構成されていてもよい。また、バックシート20は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)を用いた撥水性の不織布により構成されていてもよい。
【0031】
吸収体30は、吸液性および保液性を有する部材である。図4に示すように、吸収体30は、トップシート10とバックシート20との間に、接着剤91で固定されている。吸収体30は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維などの親水性繊維と、粒状の高吸収性ポリマー(Superabsorbent Polymer:SAP)とを混合した塊を、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは透液性不織布シートで被覆したものである。なお、吸収体30は、高吸収性ポリマーのみをシート状に成形したものであってもよい。
【0032】
トップシート10の内側には、側方への体液の漏れを防止するための一対のサイドシート40が設けられている。一対のサイドシート40は、おむつ本体部2の左右の側部を覆うように、長手方向に延びている。各サイドシート40は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン等)を用いた撥水性の不織布により構成されている。図4に示すように、一対のサイドシート40は、幅方向外側の部分が、接着剤91を介して、他のシートの内側面に貼着されている。サイドシート40の幅方向内側の部分は、トップシート10の内側面に貼着されておらず、トップシート10に対して立ち上がり可能となっている。
【0033】
サイドシート40の幅方向内側の側縁部には、長手方向に延びる複数本のサイドシート用弾性部材41が設けられている。使い捨ておむつ1の製造時には、サイドシート用弾性部材41が、自然長よりも伸長された状態で、サイドシート40に取り付けられる。このため、サイドシート用弾性部材41は、サイドシート40を長手方向に収縮させる弾性力を発生させる。使い捨ておむつ1を開いたときには、サイドシート用弾性部材41の弾性力により、サイドシート40の幅方向内側の側縁部が立ち上がる。これにより、おむつ本体部2の内側面に、一対の起立した堰が形成される。
【0034】
前腹部2aおよび後背部2bには、幅方向に延びる複数本の腰周り用弾性部材51が設けられている。腰周り用弾性部材51は、トップシート10とバックシート20との間に、接着剤(図示省略)で固定されている。使い捨ておむつ1の製造時には、腰周り用弾性部材51が、自然長よりも伸長された状態で、前腹部2aおよび後背部2bに取り付けられる。このため、腰周り用弾性部材51は、前腹部2aおよび後背部2bを、幅方向に収縮させる弾性力を発生させる。着用者が使い捨ておむつ1を着用したときには、腰周り用弾性部材51の収縮力により、前腹部2aおよび後背部2bが、着用者の腰周りにフィットする。
【0035】
また、股部2cの幅方向の両側縁部には、長手方向に延びる複数本の脚周り用弾性部材52が設けられている。脚周り用弾性部材52は、サイドシート40とバックシート20との間に、接着剤(図示省略)で固定されている。使い捨ておむつ1の製造時には、脚周り用弾性部材52が、自然長よりも伸長された状態で、股部2cの両側縁部に取り付けられる。このため、脚周り用弾性部材52は、股部2cの両側縁部を、長手方向に収縮させる弾性力を発生させる。着用者が使い捨ておむつ1を着用したときには、脚周り用弾性部材52の収縮力により、股部2cの両側縁部が、着用者の脚周りにフィットする。
【0036】
本実施形態では、サイドシート用弾性部材41、腰周り用弾性部材51、および脚周り用弾性部材52に、ポリウレタン製の糸状の弾性部材が、使用されている。ただし、糸状の弾性部材に代えて、ポリウレタンや天然ゴム等を素材とする平板状の弾性部材が使用されてもよい。
【0037】
また、使い捨ておむつ1は、一対のファスニングテープ60を備えている。ファスニングテープ60は、ファスニング本体部61と、2本のタブ(以下、上タブ62および下タブ63という)とを、有している。ファスニング本体部61、上タブ62、および下タブ63は、例えば、ポリプロピレン等の不織布により、一体に形成されている。ファスニング本体部61の基端部は、後背部2bの左右の側縁部に、固定されている。具体的には、サイドシート40とバックシート20との間に、ファスニング本体部61の基端部が、接着剤(図示省略)で固定されている。
【0038】
上タブ62および下タブ63は、ファスニング本体部61の自由端側の端辺から、幅方向外側へ向けて延びている。上タブ62および下タブ63の内側面には、それぞれ、2つの止着部材64が、接着剤(図示省略)で固定されている。図1〜図3に示すように、2つの止着部材64は、幅方向に間隔をあけて、配列されている。また、本実施形態では、止着部材64に、面ファスナーのフック材(雄部材)が用いられている。
【0039】
一方、図1および図3に示すように、本体部2の前腹部2aの外側面には、フロンタルテープ70が設けられている。フロンタルテープ70は、前腹部2aの外側面に、接着剤(図示省略)で固定されている。本実施形態では、フロンタルテープ70に、面ファスナーのループ材(雌部材)が用いられている。上タブ62および下タブ63の各止着部材64は、フロンタルテープ70の表面の任意の位置に、着脱自在に付着可能となっている。
【0040】
使い捨ておむつ1を着用するときには、まず、着用者の背面、股間、および腹面に、おむつ本体部2の後背部2b、股部2c、および前腹部2aを、それぞれ宛がう。続いて、左右のファスニングテープ60の上タブ62を、着用者の腹面側へ引き出し、上タブ62の止着部材64を、フロンタルテープ70の表面に止着させる。これにより、使い捨ておむつ1を、着用者の腰周りに固定する。
【0041】
その後、左右のファスニングテープ60の下タブ63を、着用者の腹面側へ引き出し、下タブ63の止着部材64を、フロンタルテープ70の表面に止着させる。このとき、先に止着された上タブ62の上に、下タブ63を交差させるようにして、重ね止めする。これにより、着用者の脚周りを締め付け、着用者の脚周りに隙間が発生することを抑制する。
【0042】
<2.フロンタルテープの模様について>
続いて、フロンタルテープ70に付された模様について、説明する。図5は、フロンタルテープ70の平面図である。図5に示すように、フロンタルテープ70は、波形模様80を有する一対の模様領域71と、一対の模様領域71の間に配置された中央領域72と、を有している。
【0043】
模様領域71に付された波形模様80は、複数の凸形状の図形81〜89により構成されている。この例では、図形81〜83の幅方向外側に、図形84〜86が配置されている。また、図形84〜86のさらに幅方向外側に、図形87〜89が配置されている。
【0044】
各図形81〜89は、フロンタルテープ70の中央へ向けて突出した凸形状をなしている。したがって、各図形81〜89には、フロンタルテープ70の幅方向中央へ向かうにつれて股部2c側へ近づくように斜めに延びる第1ガイド線80aと、フロンタルテープの幅方向中央へ向かうにつれて股部2cから離れるように斜めに延びる第2ガイド線80bとが、含まれている。
【0045】
図形81〜83における第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとのなす角度θ1は、図形84〜86における第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとのなす角度θ2より、小さい。また、図形84〜86における第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとのなす角度θ2は、図形87〜89における第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとのなす角度θ3より、小さい。すなわち、フロンタルテープ70の中央に近い図形ほど、第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとのなす角度が、小さくなっている。
【0046】
なお、本実施形態のフロンタルテープ70は、ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)により構成されるフィルム層の上面に、ナイロン製繊維を格子状に編んだループ層が、接着された構造となっている。上記の波形模様80は、例えば、接着前のフィルム層に予め印刷しておけばよい。
【0047】
図6は、フロンタルテープ70の両側部付近に、上タブ62と下タブ63とを止着させたときの様子を示した図である。図6の例では、図形89の第1ガイド線80aに沿って上タブ62を配置し、図形87の第2ガイド線80bに沿って下タブ63を配置している。このため、上タブ62と下タブ63とが、図7より大きい角度で重ね止めされる。その結果、着用者の腰周りおよび脚周りが、しっかりと締め付けられる。
【0048】
図7は、フロンタルテープ70の中央付近に、上タブ62と下タブ63とを止着させたときの様子を示した図である。図7の例では、図形83の第1ガイド線80aに沿って上タブ62を配置し、図形81の第2ガイド線80bに沿って下タブ63を配置している。このため、上タブ62と下タブ63とが、図6より小さい角度で重ね止めされる。その結果、腰周りおよび脚周りにおける過度の締め付けが、抑制される。
【0049】
このように、本実施形態のフロンタルテープ70には、上タブ62および下タブ63の止着角度の目安となる波形模様80が、印刷されている。波形模様80中の第1ガイド線80aに沿って上タブ62を配置し、波形模様80中の第2ガイド線80bに沿って下タブ63を配置すれば、上タブ62および下タブ63を、止着位置に応じた適切な角度で、重ね止めできる。
【0050】
特に、本実施形態では、第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bが、凸形状の図形81〜89の一部分となっている。すなわち、一連の凸形状の図形81〜89の中に、第1ガイド線80aと第2ガイド線80bとの双方が含まれている。したがって、第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bを含めつつ、全体の波形模様80をシンプルなものとすることができる。
【0051】
また、本実施形態の上タブ62および下タブ63は、円弧状の角部62a,63aを有している。一方、本実施形態の凸形状の図形81〜89は、いずれも、曲線により構成された波形状をなしている。各図形81〜89の先端部80cは、円弧状に形成されている。このため、重ね止めの際には、上タブ62および下タブ63の角部62a,63aを、各図形81〜89の先端部80cの近傍に、配置しやすい。
【0052】
また、本実施形態では、複数の図形81〜89が、幅方向だけではなく、長手方向にも配列されている。このため、フロンタルテープ70における上タブ62および下タブ63の長手方向の止着位置を、着用者の体型に応じて選択できる。なお、図6および図7の例では、上タブ62と下タブ63とを、別個の図形に沿って配置していたが、上タブ62と下タブ63とを、同一の図形に含まれる第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bに沿って、配置してもよい。
【0053】
図形81〜89に含まれる第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bと、ファスニングテープ60の上タブ62および下タブ63とは、同色または近似色であることが、好ましい。そのようにすれば、第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bと、上タブ62および下タブ63との対応関係が、視覚的により明確となる。したがって、使用者が、第1ガイド線80aおよび第2ガイド線80bに沿って上タブ62および下タブ63を配置することを、促すことができる。
【0054】
また、図形81〜89は、全て同じ色で描かれていてもよいが、各図形81〜89の色を相違させてもよい。幅方向の位置に応じて図形81〜89の色を相違させれば、個々の着用者の体型に適した止着位置を、より特定しやすくなる。また、幅方向の止着位置と、それに適した止着角度を、視覚的に認識しやすくなる。
【0055】
フロンタルテープ70の幅方向の中央には、帯状の中央領域72が、設けられている。中央領域72には、使い捨ておむつ1のサイズが表記されているものの、波形模様80は配置されていない。このため、波形模様80に沿って上タブ62および下タブ63を配置しようとすると、中央領域72への上タブ62および下タブ63の止着は、自ずと抑制される。このため、上タブ62および下タブ63による過度の締め付けが、さらに抑制される。
【0056】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0057】
図8は、一変形例に係るフロンタルテープ170の平面図である。図8の例では、フロンタルテープ170に、複数の略菱形の図形により構成された格子模様180が付されている。格子模様180には、第1ガイド線180aと第2ガイド線180bとを有する複数の凸形状の図形181〜197が、含まれている。そして、フロンタルテープ170の中央に近い図形ほど、第1ガイド線180aと第2ガイド線180bとのなす角度θが、小さくなっている。
【0058】
したがって、このような格子模様180であっても、第1ガイド線180aに沿って上タブを配置し、第2ガイド線180bに沿って下タブを配置すれば、上タブおよび下タブを、止着位置に応じた適切な角度で、重ね止めできる。
【0059】
第1ガイド線および第2ガイド線は、図5の例のように、連続した線であってもよいが、図8の例のような点線であってもよい。また、複数の図形や絵柄を規則的に配列することにより、全体として、第1ガイド線および第2ガイド線が認識されるように、構成されていてもよい。また、2つの色領域の境界が、第1ガイド線および第2ガイド線を構成していてもよい。
【0060】
また、図5や図8の例では、複数の凸形状の図形が、幅方向および長手方向に配列されていたが、図9のように、凸形状の図形281〜285が、幅方向のみに配列されていてもよい。
【0061】
図9の例においても、各凸形状の図形281〜285に、第1ガイド線280aと第2ガイド線280bとが、含まれている。そして、フロンタルテープ270の中央に近い図形ほど、第1ガイド線280aと第2ガイド線280bとのなす角度θが、小さくなっている。したがって、第1ガイド線280aに沿って上タブを配置し、第2ガイド線280bに沿って下タブを配置すれば、上タブおよび下タブを、止着位置に応じた適切な角度で、重ね止めできる。
【0062】
また、上記実施形態のフロンタルテープは、ループ材により構成されていたが、フロンタルテープは、他の素材で構成されてもよい。例えば、フロンタルテープを、起毛させた不織布で構成し、当該不織布に、第1ガイド線および第2ガイド線を含む模様を印刷してもよい。また、止着部材またはフロンタルテープの一方または両方を、粘着材で構成してもよい。
【0063】
また、フロンタルテープを光透過性の高い材料で構成するとともに、バックシートの表面に、第1ガイド線および第2ガイド線を含む模様を、印刷してもよい。このような形態であっても、フロンタルテープに透写された模様に沿って、上タブおよび下タブを配置することができる。
【0064】
また、上記の実施形態では、ファスニングテープは、ファスニング本体部を有していたが、本発明のファスニングテープは、必ずしもファスニング本体部を有するものでなくてもよい。例えば、上タブおよび下タブのそれぞれの基端部が、後背部の両側部に、直接的に接合されていてもよい。
【0065】
また、本発明のおむつは、着用者の尿だけではなく、軟便等の他の体液を吸収するものであってもよい。また、本発明のおむつは、成人を対象としたものであってもよく、幼児を対象としたものであってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態や変形例に登場する各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 使い捨ておむつ
2 おむつ本体部
2a 前腹部
2b 後背部
2c 股部
10 トップシート
20 バックシート
30 吸収体
40 サイドシート
60 ファスニングテープ
61 ファスニング本体部
62 上タブ
63 下タブ
62a,63a 角部
64 止着部材
70,170,270 フロンタルテープ
71 模様領域
72 中央領域
80 波形模様
80a,180a,280a 第1ガイド線
80b,180b,280b 第2ガイド線
80c 先端部
81〜89,181〜197,281〜285 図形
180 格子模様
θ,θ1,θ2,θ3 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の体液を吸収するおむつであって、
着用者の腹面にあてがわれる前腹部と、着用者の背面にあてがわれる後背部と、前記前腹部および後背部の間において幅方向にくびれた股部と、を有するおむつ本体部と、
前記後背部の両側縁部に基端部が固定された一対のファスニングテープと、
を備え、
前記一対のファスニングテープが、上タブおよび下タブを有し、
前記前腹部の外側面に、前記上タブおよび前記下タブが止着されるフロンタルテープが設けられ、
前記フロンタルテープの中央へ向かうにつれて前記股部側へ近づくように斜めに延びる第1ガイド線と、
前記フロンタルテープの中央へ向かうにつれて前記股部から離れるように斜めに延びる第2ガイド線と、
を含む図形を幅方向に複数配列した模様が、前記フロンタルテープに印刷または透写されており、
前記フロンタルテープの中央に近い図形ほど、前記第1ガイド線と前記第2ガイド線とのなす角度が小さいおむつ。
【請求項2】
請求項1に記載のおむつであって、
前記図形は、前記幅方向に直交する長手方向に、複数配列されているおむつ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のおむつであって、
前記フロンタルテープの前記幅方向の中央に、前記第1ガイド線および前記第2ガイド線が配置されていない中央領域が、設けられているおむつ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のおむつであって、
前記図形は、フロンタルテープの中央へ向けて突出する凸形状の図形であり、
前記第1ガイド線および前記第2ガイド線は、前記凸形状の図形の一部分であるおむつ。
【請求項5】
請求項4に記載のおむつであって、
前記凸形状の図形は、曲線により構成された波形状の図形であるおむつ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のおむつであって、
前記凸形状の図形は、円弧状の先端部を有し、
前記上タブおよび前記下タブは、円弧状の角部を有するおむつ。
【請求項7】
請求項4に記載のおむつであって、
前記凸形状の図形は、複数の略菱形の図形により構成された格子模様の一部分であるおむつ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のおむつであって、
前記第1ガイド線および前記第2ガイド線と、前記上タブおよび前記下タブとが、同色または近似色であるおむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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