説明

おもいでファイル

【課題】幼年期に幼稚園や保育園で作成した絵画などの作品をファイリングするのに特に適した便利なファイルを提供する。
【解決手段】背表紙を介して表表紙と裏表紙とが開閉可能に連なる本体と、前記背表紙の内側面若しくは前記裏表紙の内側面、またはその両方に取り付けられる保持具とを具備するファイルであって、前記表表紙210の内側面に、少なくとも制作記録欄212、写真貼付欄214及びメッセージ欄216が印刷されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼年期に幼稚園や保育園で描いた絵画作品などを、思い出の記録としてファイリングするのに便利なファイルである、おもいでファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
幼稚園や保育園などの園生活においては、園児がお絵かきをしたり、色紙を切り貼りしたりして多くの作品が作成される。これら作品は、園生活の思い出としてまとめてファイリングされ、園生活の思い出として卒園時に各園児にまとめて手渡す幼稚園や保育所が多い。
【0003】
従来、このようなファイリングに用いられているのは、市販のファイル、バインダー、フォルダーなどである。市販のファイルの中には、表紙内側に標題、住所、氏名などを記入すべき指示線等を印刷したファイルが存在するが(例えば、特許文献1)、かかる市販ファイルでは単にファイルされる媒体を事務的に整理して保管するのが目的のものであるから、これをそのまま使用すると、将来、園生活の思い出を楽しく感じつつ閲覧するためのファイルとしては適当でない。幼稚園や保育園によっては、市販のファイル、フォルダーを各園で独自に加工して用いているケースもあるが、その労力や負担は大きいものであった。
【特許文献1】実開昭51−117622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこれらの現状に鑑みてなされたものであり、幼年期に幼稚園や保育園で作成した絵画などの作品をファイリングするのに特に適した便利なファイルである、おもいでファイルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のおもいでファイルは、背表紙を介して表表紙と裏表紙とが開閉可能に連なる本体と、前記背表紙の内側面若しくは前記裏表紙の内側面、またはその両方に取り付けられる保持具とを具備するファイルであって、前記表表紙の内側面に、少なくとも制作記録欄、写真貼付欄及びメッセージ欄が印刷されていることを最も主要な特徴とする。
【0006】
両端が前記裏表紙外側面に保持されているゴム紐を更に具備していることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のおもいでファイルによれば、表表紙の内側面に制作記録欄が印刷されているので、幼稚園や保育園での行事や、園児の発育段階別のおもいで作品を分類、整理してファイリングすることができ、園生活の思い出として閲覧しやすい。また併せて写真貼付欄及びメッセージ欄も印刷されているので、閲覧時に園生活の思い出をいきいきと感じることができる。
【0008】
さらに、両端が前記裏表紙外側面に保持されているゴム紐を具備する様態であれば、前記ゴム紐を前記表表紙の開閉端近傍に引っ掛けることにより、おもいでファイルを閉じた状態で保持することができる。かかるゴム紐を表表紙に引っ掛けるファイル開閉手段は、園児が使用するということを考慮しても簡便かつ安全な手段であるので、本発明のおもいでファイルに特に適した開閉手段である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を使用して本発明を説明するが、本発明のおもいでファイルは、図面に記載された様態のみに限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明のおもいでファイル100の開いた状態において、本体内側面を示したものである。また図2は、図1の様態のおもいでファイルの使用例を示す本体内側面である。
【0011】
本体は、背表紙230を介して表表紙210と裏表紙220とが開閉可能に連なったものである。本体の材料としては、軽くて丈夫かつ印刷が容易にできる点から紙や合成樹脂とすることが好ましく、中でも厚紙が好ましい。
【0012】
さらに本体の背表紙230の内側面もしくは裏表紙220の内側面、またはその両方には、作品500を重ねて保持するための保持具300が取り付けられる。図1では、裏表紙220内側面の背表紙230側端近傍に保持具300を具備する様態が示されている。複数の作品500を綴じるための保持具300の保持機構は、公知の機構を用いることができる。例えば作品500を挟んで圧力で綴じる機構や、作品500の左端近傍または上端近傍などに予めファイル穴をあけておき、当該ファイル穴に引っ掛けて綴じる機構などを挙げることができる。保持具300の材料としては、複数の作品をしっかり綴じた状態で保持できる強度を有する合成樹脂や、金属を用いることができるが、園児が使用するという安全確保の観点から保持具300のうち、少なくとも保持機構については、合成樹脂製とすることが好ましい。一方、保持具300を本体に取り付ける固定具としては、公知の金属製リベットなどが安全かつ簡便である。
【0013】
また本発明のおもいでファイル100には、ファイルを閉じた状態で保持する手段として、リベットなどでその両端が前記裏表紙220外側面に保持されているゴム紐400を更に具備するものであることが好ましい。図1では、裏表紙220外側面の開閉端近傍の2か所で、その両端がリベット402で保持されているゴム紐400が、裏表紙220の上端と下端とを渡って裏表紙220の内側面を通っている状態が示されている。ファイルを閉じた状態で保持するには、ゴム紐400を表表紙210の開閉端近傍に引っ掛けることにより行うことができる。ゴム紐400は、ゴム糸の周りに糸を織ったり編んだりしたものであり、平ゴム、丸ゴム、織りゴム、編みゴム、ゴールゴムなどと呼ばれるものである。ゴム材質だけのものと比べ、耐久性に優れることから、本発明のおもいでファイル100に用いるのに好適である。ファイルを閉じた状態で保持するという使用目的からは、紐ゴム断面形状としては丸ゴムよりも平ゴムの方が好ましい。
【0014】
ファイルの大きさは特に制限されず、ファイルされる作品500の大きさによって適宜定めることができるが、ファイルされる作品500のうちの最大の作品がはみ出すことなく収納できる大きさとすることが適当である。例えば、最大の作品が四つ切り用紙で作成されている場合、おもいでファイル100の表表紙210及び裏表紙220の大きさは、縦41cm×横56cm程度の大きさとすることが適当である。また、最大の作品がB4用紙で作成されている場合、おもいでファイル100の表表紙210及び裏表紙220の大きさは、縦30cm×横44cm程度の大きさとすることが適当である。なお背表紙230の横幅は、取り付けられる保持具300の幅などに応じて適宜定めることができる。
【0015】
図3は、本発明のおもいでファイル100の表表紙210内側面のみを示す図である。本発明のおもいでファイル100の表表紙210内側面には、図3のとおり制作記録欄212、写真貼付欄214及びメッセージ欄216が印刷されている。なおこれら以外の記載欄を更に印刷してもよい。印刷の方法としては、公知の印刷手段を採用することができ、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷などを挙げることができる。本発明のおもいでファイル100には、園生活で作成した作品をファイルすることに特化した上記のような欄が予め印刷されているので、従来、園側が負担してきた、ファイルを独自に加工する労力や負担を大きく軽減させることができる。
【0016】
制作記録欄212は、ファイルされている各作品500のインデックスとして、各作品の制作日時やタイトル、または作成した場所などを記載できる欄である。これにより、図2の使用例で示したように、こどもの発育過程、幼稚園や保育園の行事の順などで分類・整理して作品をファイルすることができる。
【0017】
写真貼付欄214は、少なくとも1枚の写真を貼付できる欄である。図3では、1枚の写真を貼付する様態であるが、複数の写真を貼付する欄であってもよい。インデックスとして使用する表表紙210内側面の写真貼付欄214に、図2の使用例で示したように、園生活の写真を貼り付けることにより、後日閲覧した際に、園生活の思い出もいきいきと感じることができる。
【0018】
メッセージ欄216は、幼稚園や保育園の担当の先生や親などが、ファイリングされた作品の評価や上達度、その園児の園生活の様子や評価、卒園にあたっての将来の期待などを記載するための欄である。図2の使用例で示したように、メッセージ欄216にこどもへの温かいメッセージが記入されることで、おもいでファイル100は後日園生活を振り返った際に、かけがえのない思い出の価値も与える。図3に示したメッセージ欄216では、先生及び親の両方からのメッセージを記載できる様態が示されているが、担当の先生や親以外にもその園児自身、お友達からのメッセージを記載する欄とすることもできる。
【0019】
なお、図示しなかったが、表表紙210、裏表紙220及び背表紙230の外側面には、ファイルの表紙として商品名やデザインなど一般的な印刷が施されるのが通常である。その他、園児の施設名、所属組名、氏名などの記入欄の印刷を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のおもいでファイルは、上述のとおり幼稚園や保育園などでこどもが作成した絵画などの作品のファイリングに特化したファイルとして、大きな利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のおもいでファイルの開いた状態における本体内側面。
【図2】おもいでファイルの使用例を示すファイルの開いた状態における本体内側面。
【図3】本発明のおもいでファイルの表表紙内側面。
【符号の説明】
【0022】
100 おもいでファイル
210 表表紙
212 制作記録欄
214 写真貼付欄
216 メッセージ欄
220 裏表紙
230 背表紙
300 保持具
400 ゴム紐
402 リベット(底面)
500 ファイルされた作品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背表紙を介して表表紙と裏表紙とが開閉可能に連なる本体と、前記背表紙の内側面若しくは前記裏表紙の内側面、またはその両方に取り付けられる保持具とを具備するファイルであって、
前記表表紙の内側面に、少なくとも制作記録欄、写真貼付欄及びメッセージ欄が印刷されていることを特徴とする、おもいでファイル。
【請求項2】
両端が前記裏表紙外側面に保持されているゴム紐を更に具備する請求項1記載のおもいでファイル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate