説明

かご内の乗客乗降支援システム

【課題】搭乗かごが等速運動する輸送装置の運搬能力を制限することなく乗車、降車時の乗客の安全性、快適性を向上させる。
【解決手段】閉回路に沿って運動する輸送装置(10)の搭乗かご(C)上の乗客乗降支援システム(11,12)は、閉ループの区域に接して配置されている第1の区域(T1,T3)、および、かご(C)間の間隔の倍数に等しい一定間隔でロープ(14,28)に連結されている搭乗車両(V,Y)上の乗客の乗降エリア(16,29)に沿って配置されている第2の区域(T2,T4)を有している閉ループ内のロープ(14,28)を備える。ロープ(14,28)の駆動手段は、第1の区域(T1,T3)に沿って走行する各車両(V,Y)がかご(C)に隣接した位置を占めることを連続的に保証することができるかご(C)の運動の速度に応じてロープ(14,28)の走行速度をサーボ制御する手段と関連付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごが閉回路に沿って一定間隔で実質的に等速運動する輸送装置の搭乗かご上の乗客の乗降を支援するシステムに関係する。
【背景技術】
【0002】
上述されたタイプの多数の輸送装置が旅客輸送手段を構成するために都市もしくはスキーリゾートで、または、娯楽乗物、たとえば、吊りかご付きの垂直観覧車タイプを構成するために公共施設で使用されている。乗客を支持するものとして規定されるこれらの装置で使用されるかごは、用途に応じて様々な形式、ゴンドラかご、空中ケーブルかご、もしくは、オープンキャビン、または、さらに観覧車タイプの娯楽乗物の場合のカプセルを採用する。全ての場合に、かごは、運搬ロープでもよい引っ張りロープを用いて、または、観覧車タイプの娯楽乗物のためにカプセルが回転構造体に拘束されているという事実によって、閉回路に沿って一定間隔で実質的に等速運動する。
【0003】
これらの装置は、乗客がかごに搭乗すること、および/または、かごから降車することを可能にするため、閉回路に沿って配置された少なくとも1つのプラットフォームを備える。乗降動作は、乗客または乗客の集団が殆ど瞬時に補償されるべき速度差を現す、という意味で依然として最も繊細である。
【0004】
搭乗かごへの乗降動作の安全性を確保するため、速度差は0.3m/sのしきい値に制限されるべきである。このような制約は、閉回路に沿ったかごの組の走行速度がこのしきい値に制限されることを意味している。この装置の機能上の要件の結果として、しかし、乗客という点で、時間当たりの運搬能力はかなり制限され、装置運営者および乗客の期待に一致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、装置の運搬能力を制限することなく乗車動作および降車動作の間に乗客の安全性および快適性を向上させる、装置の搭乗かご上での乗客の乗降支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるシステムは、
−駆動手段によって走行し、閉回路の区域と接して配置された第1の区域、および、かご間の間隔の倍数に等しいスタガ状に、少なくとも第1の区域でロープに連結された乗降車両上の乗客の乗降エリアに沿って配置された第2の区域を有している閉ループ内のロープと、
−かごと向かい合うように第1の区域の上を走行する各車両を連続的に位置合わせするためにかごの運動の速度に応じてロープの走行の速度をサーボ制御する手段と、
を備えるという点で注目に値する。
【0007】
このような乗降支援システムは、装置の搭乗かご上の乗車動作および降車動作のそれぞれが、乗客がシステムの乗降エリアとシステムの車両との間で行き来できるようにする第1のタイプの移動ステップと、乗客がシステムの車両と装置のかごとの間で行き来できるようにする第2のタイプの移動ステップとの2つのステップで実行されることを可能にする。2つのタイプの移動は、かごのレベルで実行されるべき動作(乗車または降車)に応じて変化する順序で実行される可能性がある。乗車動作と降車動作を2つの連続的な移動に分割することは、第1の速度差を第1のタイプの移動と関連付け、第2の速度差を第2のタイプの移動と関連付けることを可能にさせる。本発明による支援システムによれば、装置のかごと支援システムの車両との間の第2の移動は、閉回路に沿ったかごの運動速度にかかわらず、実質的に零である速度差を保ったままで実行される。このようにして、装置に予定されている時間当たりの乗客運搬能力にかかわらず、第2のタイプの移動中の乗客の安全性は完全である。したがって、乗客の危険の可能性は、システムの車両とシステムの乗降エリアとの間の第1のタイプの移動に移されている。しかし、これらの危険を制限するため、0.3m/s以下の値、理想的には零に等しい値が、支援システムの適当な設計によって第1の移動に割り当てられるだけでよい。
【0008】
したがって、本発明による支援システムは、かごの運動速度にかかわらず、搭乗かご上の乗車動作および降車動作の最適な安全性を保証する。支援システムは、このようにして、かごの運動速度が従来技術より実質的に高速化された速度、たとえば、0.5ms以上の速度で、輸送装置が高い時間当たりスループットで運転され、同時に、搭乗かご上の乗車動作および降車動作の安全性を向上させることを可能にする。このため、支援システムは、各動作が、速度差が、たとえば、0.3ms以下である第1の移動(車両乗降エリア)と、速度差が実質的に零である第2の移動とに分割されることを可能にする。
【0009】
好ましい実施形態によれば、車両をロープに連結する手段は車両によって支持された固定取り付けグリップによって形成され、乗降エリアおよび/または降車エリアは、第2の区域内の車両の経路と一致する経路を有する移動通路を備える。移動通路の適当な調節によって、このような変形は、実質的に零に等しい速度差がシステムの乗降エリアとシステムの車両との間の移動中に維持されることを可能にさせるので、安全性を向上させることになる。
【0010】
その他の技術的な特徴は単独でまたは組み合わせて使用されることがある。
−少なくとも1台の車両は、ロープによって形成された閉ループの周囲を調節する手段を備える。
−走行軌道は車両の運動中に車両を案内するためロープと平行に配置されている。
−各車両は、走行軌道上を走行する台車と、緊締手段によって対応する台車に固定して取り付けられたプラットフォームとを備える。
−緊締手段は、少なくとも1つの回転軸に従って台車に対してプラットフォームの向きを合わせる手段と、前記回転軸の周りに枢動することによりプラットフォームのトリムを自動的に維持する手段とを備える。
−各台車は台車の運動方向にオフセットされた第1の車輪および第2の車輪が装備され、走行軌道は、第1の車両および第2の車両の一方をそれぞれに収納し、走行軌道方向の台車の位置にかかわらず、台車を水平に保つために適した垂直平面内で相対位置をとる2本の独立した案内レールを備える。
−各車両は、車両と隣接したかごとの間の隙間を埋めるために第1の区域で占領された、車両から突出した伸長位置と、車両内に収容された格納位置との間で、動作手段によって変化する格納式下枠が装備されている。
−各車両は、傾斜台と車両との間の角度を変化させる手段によって、車両の運動の方向と一致している枢動軸の周りに傾動式突出傾斜台を備える。
−傾斜台と車両との間の角度を変化させる手段は、一方で、近接端部で車両に関節接続され、少なくとも1本のアームが前記傾斜台を支持する、互いに平行である2本の枢動アームと、他方で、前記枢動アームの遠方端部に関節接続され、車両に対して一定の空間方向をもつ接合要素と、最後に、摺動ロッドの並進が枢動アームと接合要素との間の角度の変動を制御する摺動ロッドが装備された動作ジャッキとを備える変形可能な平行四辺形をもつ支持システムを備える。
−閉回路は垂直平面内に含まれる円形形状を現し、第1の区域に隣接する走行軌道の一部が平行な垂直平面内に含まれる円弧の形状を現す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
その他の利点および特徴は、非限定的な実施例の目的のためだけに記載され、添付図面に描かれた、発明の特定の実施形態の以下の説明からより明瞭にわかるであろう。
【図1】本発明による支援システムの実施例を構成する輸送設備の平面図である。
【図2】図1に示す垂直断面A−Aにおける図1の設備の下側部分の背面図である。
【図3】断面A−Aによる図1の設備の下側部分の正面図である。
【図4】図3の左側部分の詳細図である。
【図5】車両が変更された代替的な実施形態を示す図である。
【図6】車両が変更された代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図4は、主として、閉回路内でかごCを搬送する輸送装置10と、搭乗かごCに乗車させる乗車支援システム11と、降車支援システム12とにより構成された乗客Pの輸送設備を示している。
【0013】
非限定的な方法で記載されている特定の実施例では、輸送装置10は、カプセルにより形成されたかごCが吊り下げられている観覧車タイプの娯楽乗物によって形成される。装置10は、地面から離れた場所に固定して保持されている水平軸Dの周りに回転する円形中央構造体13を実施する。かごCは、かごCがその水平性を保つことを可能にさせるリンクを用いて構造体13の周囲に取り付けられている。
【0014】
運転中に、輸送装置10は、かごCの組全体の一様な運動を確保する。より正確には、かごCは、一定間隔で実質的に(構造体13の半径に構造体の角度の角速度を乗じた数に等しい)等速で運動する。この運動中に、かごCは円形状の並進運動を行う。この結果、すべてのかごCは円形状の全く同一の仮想的な閉回路に沿って運動し、閉回路は構造体13の完全な回転中にかごCの円形経路に対応する。
【0015】
輸送装置10は、輸送装置の底部分に、すなわち、構造体13が載置されている地面付近に、乗客Pが装置10の搭乗かごCに乗車するのを支援するシステム、および、前に乗車した乗客Pに対し乗客が、かごCから降車するのを支援するシステムの2台の独立したシステム11、12が装備されている。支援システム11および12は、輸送装置内で乗客Pの一方向の流れを維持するために中央構造体13の垂直平面Xの両側に配置されている。システム11および12の設計の対称性に起因して、乗車支援システム11だけが詳細に記載されている。
【0016】
乗車支援システム11は、垂直平面と平行な方向で水平方向にオフセットした2個のブルホイール15a、15bにおいて両端で通過する閉ループに配置されたロープ14を備える。ブルホイール15a、15bは、それぞれ、駆動車輪および独立車輪である。電気モーターMは、カウンタギアおよび減速機を用いて単一の回転方向にブルホイール15aの連続回転を保証する。減速機と、カウンタギアと、低速および高速シャフトとが付随した電気モーターMは、一方向の走行運動にロープ14を動かすロープ14の駆動手段を構成する。ブルホイール15aと15bとの間に張られたロープ14の一部に対応するロープ14の各素線は、一定間隔でロープ14に連続的に連結された車両Vの一方向の走行用の実質的に直線的な軌道を構成する。2台の連続した車両Vの間の間隔は、したがって、装置10のかごCの間の間隔の倍数に等しいスタガを構成するように選択されている定数である。図示された特定の実施例では、2台の連続した車両Vの間の間隔は2台のかごCの間の間隔に等しい。
【0017】
垂直平面Xと、平面A−Aに含まれているブルホイール15a、15bの中心を通過する線との間のオフセットは、構造体13に最も近いロープ14の素線が、かごCが運動する閉回路の区域に接して配置されたロープ14の第1の区域T1を構成するように調節される。ロープ14の走行方向(図1の矢印F1)は、第1の区域T1上を走行する車両VがかごCと同じ方向(図1の矢印F2)に運動するように選択される。したがって、第1の区域T1は、かごCの閉回路に接した一方向の走行軌道を構成し、この走行軌道に沿って車両VがかごCと同じ方向に運動する。
【0018】
車両Vが第1の区域T1上を走行した後、車両Vは、ロープ14の反対側の素線によって構成された平行な一方向の走行軌道上を逆方向に戻る。搭乗車両V上の乗客Pの乗車エリア16は第1の区域T1と反対側の走行軌道に沿って配置されている。乗車エリア16に隣接するこの軌道の一部は、エリア16に沿った軌道の配置によって特徴付けられているロープ14の第2の区域T2を構成する。
【0019】
車両Vは、車両Vによって支持される固定取り付けグリップ17(図4)を用いてロープ14に常に連結されている。ロープ14の必然的な伸長にもかかわらず正しいときにロープ14の一定張力を確保するため、独立ブルホイール15bは、たとえば、カウンターウェイトまたは油圧ジャッキの作動を使用してロープ14の張力を調節する調節機構部18と関連付けられている。ロープ14の伸長および調節機構部18の作動にもかかわらず車両V間に一定間隔を確保するため、少なくとも1台の車両Vは、ロープ14によって形成された閉ループの周囲の調節手段(図示せず)を備える。たとえば、閉ループ内にロープ14を形成する一つの可能性は、ロープ14のシェイピングが実行される前に、各自由端にヘッドを固定し、次に、2個のヘッドを一方の車両Vに固定して取り付けられた接合部分に固定することにある。調節手段は、したがって、接合部分がヘッドの固定エリアの間の距離を調節する手段を備えることによって実現される。
【0020】
ロープ14の駆動手段は、かごCの運動の速度に応じてロープ14の走行の速度をサーボ制御する手段(図示せず)と関連付けられている。サーボ制御手段は第1の区域T1上を走行する各車両Vを、かごCに隣接した位置に、連続的に位置合わせするように設計されている。隣接した位置は、車両VおよびかごCが垂直平面Xと垂直な方向で互いに対向しているかごCに対する車両Vの相対的なコンフィギュレーションに対応している。このようなサーボ制御手段は、かごCの検出を実行する第1の存在検知センサからの信号および車両Vを検出する第2の存在検知センサからの信号に応じて電気モーターMを制御する制御ユニット(図示せず)に統合される可能性がある。
【0021】
第2の区域T2に隣接する乗車エリア16から搭乗車両Vへの乗車が行われる瞬間に速度差を変調またはさらに除去するため、エリア16は、第2の区域T2において車両Vの経路と一致する経路を有している移動通路19を備える。一致するという概念は、車両Vおよび通路19が垂直平面Vと垂直な方向に並行するような移動通路19に対する車両Vの相対的なコンフィギュレーションを意味している。
【0022】
図示された乗車支援システム11の実施例では、各車両Vは、閉ループ内で走行軌道21上を走行する台車20と、緊締手段によって対応する台車20に固定して取り付けられたプラットフォーム22とを備える。走行軌道21は、車両の運動中に車両Vを案内するためロープ14の全長に亘ってロープ14と平行に配置されている。車両Vを案内する機能に加えて、走行軌道21は各車両Vの全重量を支持する目的のために役立つので、走行ロープ14に割り当てられた唯一の機能は車両Vの駆動を実行することである。
【0023】
輸送装置10が吊り下げかごC付きの観覧車タイプの娯楽乗物であるならば、かごCが運動する仮想的な閉回路は、構造体13の垂直中央平面と一致する垂直平面内に含まれる円形形状を示す。第1の区域T1が接線方向に配置された閉回路の区域は、したがって、垂直平面X内に形成された円弧の形状を示す。第1の区域T1の全長に亘ってかごCに対する車両Vの隣接した位置を確保するため、ロープ14の第1の区域T1に隣接する走行軌道21の一部は垂直平面Xと平行な垂直平面Z内に含まれる円弧の形状を示す。
【0024】
搭乗車両Vに、より正確にはプラットフォーム22に載せられた乗客Pの快適性のため、プラットフォーム22は、第1の区域T1に隣接する走行軌道21の一部に沿った車両Vの位置にかかわらず、水平位置に保たれるべきである。第1の解決策は、提示されていないが、少なくとも1つの回転軸と、前記回転軸の周りに枢動することによりプラットフォーム22のトリムを自動的に維持する手段とに従って、台車20に対してプラットフォーム22の向きを合わせる手段を備える、台車20とプラットフォーム22との間の締結手段に起因する。プラットフォーム22のトリムを自動的に維持する機構部は、プラットフォーム22の位置が回転軸周りのプラットフォーム22に対する台車20の角度方向にかかわらず、地面に対して水平方向に保たれることを保証する。
【0025】
第2の解決策は図2に提示されている。台車の運動方向を含む垂直中央平面の一方側で、各台車20は、台車20の運動方向にオフセットしている第1の車輪23aおよび第2の車輪24aが装備されている。走行軌道21は、2本の独立した案内レール25a、26aを備える。案内レール25aは、第1の車輪の走行および案内を確保するために第1の車輪23aを収納し、案内レール26aは第2の車輪の走行および案内を確保するために第2の車輪24aを収納する。レール25a、26aは、走行軌道21に沿った台車の位置にかかわらず、垂直平面内で、台車20を水平に保つように設計された相対的な位置を占める。たとえば、第1の区域T1と隣接する走行軌道21の一部の所与の点におけるレール25aと26aとの間のオフセットをαと表し、この点において水平に対してレール25a、26bによって形成される角度をφと表すと、α=L・sinφであり、式中、Lは車輪23aと24aを分離する長さである。台車の運動方向を含む垂直中央平面のもう一方側で、各台車20は、台車20の運動方向にオフセットし、走行軌道21に属し、レール25a、26aと同じ特性を示す2本の独立した案内レール25b、26b内で走行する第1の車輪23bと第2の車輪24bの第2のペアが装備されている。ロープ14の第1の区域T1と隣接する一部の外側で、レール25a、25b、26a、26bは、水平平面内での車両Vの案内を保証するために、すべてが同一平面上にあり水平である。
【0026】
各車両Vは、車両Vと隣接したかごCとの間の隙間を少なくとも部分的に埋めるように少なくとも第1の区域T1上で占領され、車両Vから突出した伸長位置と、車両V内に収容される格納位置との間で、動作手段(図示せず)によって変化する格納式下枠27が装備されている。格納式下枠27の作動は、車両Vと移動通路19との間の隙間を部分的にまたは完全に埋めるために、伸長位置まで、または、伸長位置と格納位置との間の中間位置まで、第2の区域T2上での運動中に予定に入れることが可能である。任意の適当な動作手段、たとえば、電気モーター、または、ピストンによる解決策が使用される可能性がある。
【0027】
乗客Pを輸送装置10のかごCに搭乗させることは以下の方法で行われる。すなわち、第1の段階で、予め搭乗エリア16のプラットフォーム上にいる乗客がエリア16の移動通路19に移動する(図1の矢印F3)。この動作は、途中で乗客Pと移動通路19との間に速度差が存在するが、移動通路19は乗客Pが運動している方向に運動しているので全く危険を与えない。移動通路19の速度は、たとえば、第2の区域T2に沿った車両Vの運動の速度に等しくなるように調節される。このような変形は、安全性の向上のため、零に等しい速度差を乗車エリア16から車両Vまでの乗客Pの第1の移動中に維持することを可能にさせる。乗客Pが搭乗した車両Vは、そのとき、ロープ14によって等速で駆動され、同時に、走行軌道21によって案内されている。ロープ14の駆動手段と関連付けられたサーボ制御手段は、車両Vが第1の区域Tの全長に亘ってかごCと対向して位置合わせされるようにかごCに隣接した位置を占領するため自動的に運動することを保証する。車両Vから搭乗かごCへの乗客Pの移動は、その後に、零に等しい速度差で行われる可能性がある。搭乗ゲート柵または発着ドアタイプの安全機構部を用いて、移動は、必要とされる場合に限り、第1の区域T1のセグメント上で許可されることがある。移動後、車両Vはその後に、新たな乗車のため、区域T2の方向にロープ14によって戻される。
【0028】
上述された乗車支援システム11の他に、輸送設備は、乗車支援システム11に類似した、垂直平面Xに関して対称に配置された降車支援システム12を備える。乗車システム11と同様の方法で、降車支援システム12は、駆動手段を用いて走行し、閉回路のある区域に接して配置された第1の区域T3、および、かごC間の間隔の倍数に等しい規則的なスタガ状にロープ28に固定して連結された車両Yからの乗客Pの降車エリア29に沿って配置された第2の区域T4を有する閉ループ内にロープ28を備える。ロープ28の駆動手段は、かごCと対向し、同時に、同じ方向(矢印F4)へ運動している第1の区域T3を走行する各車両Yを連続的に位置合わせするため、かごCの運動の速度に応じてロープ28の走行速度のサーボ制御手段とも関連付けられている。ロープ14の第1の区域T1が接線方向に配置されている閉回路の区域は、ロープ28の第1の区域T3が接線方向に配置されている区域と同一である。システム11とシステム12との間の唯一の相違は、降車エリア29が第2の区域T4を含む外側走行軌道の入口に位置合わせされ、乗車エリア16が第2の区域T2を含む外側走行軌道の出口に位置合わせされていることに起因する。
【0029】
輸送装置10のかごCに搭乗している乗客Pの降車は以下の方法で行われる。すなわち、すべての車両Yが第1の区域T3で第1の区域に対向しているかごCに隣接した位置まで駆動されるようにロープ28に固定して連結される。すでにかごC内にいる乗客Pの隣接した車両Yへの移動は、したがって、実質的に零に等しい速度差で可能である。有利な方法では、乗車支援システム11の隣接した車両Vを装備している搭乗ゲート柵または発着ドアタイプの安全機構部の作動は、必要な場合に限り、車両YがかごCに隣接した位置にある間にプリセット時間遅延後に許可されることがある。このような変形例は、かごCから降車支援システム12の車両Yへの移動が乗車支援システム11の車両VからかごCへの移動より先に実行されることを可能にさせる。かごCから車両Yへの移動後に、車両Yは、次に、ロープ28によって第2の区域T4の方向へ動かされる。降車プラットフォーム29は、移動通路30を装備し、移動通路の経路は第2の区域T4において車両Yの経路と一致している。移動通路30の速度は、たとえば、第2の区域T4に沿った車両Yの運動の速度と実質的に等しくなるように調節される。このような変形は、安全性の向上のため、零に実質的に等しい速度差が車両Yから降車エリア29への乗客Pの移動中に維持されることを可能にさせる。その後に、移動通路30上の乗客Pは降車エリア29のプラットフォームに移る(図1における矢印F5)。乗客Pとプラットフォームとの間に速度差が存在するこの動作は、乗客Pが移動する方向でこの速度差が補償され得るので、全く危険を示さない。
【0030】
移動通路19および30の速度は、両方ともに、乗客が通路19の上に乗るとき、および、乗客が通路から降り、降車エリア29のプラットフォームに乗るときにそれぞれ乗客Pが経験する速度差を制限するため、または、さらに除去するために調節されることも可能である。
【0031】
上述された支援システム11および12の場合、ロープ14および28は等速で駆動されるが、各ロープは、一連の対応する車両V、Yが乗車エリア16および降車エリア29に沿ってそれぞれ位置合わせされる瞬間に、減速されるか、あるいは、さらに停止されることが可能である。この変形例は、移動通路19、30を設ける必要性を取り除くので有利である。
【0032】
一変形例では、車両V、Yは、抜去可能なタイプの取り付けグリップを用いて、対応するロープ14、28に連結されることが可能である。グリップの掛け外しシステムが第2の区域T2およびT4から上り線に設けられ、ロープ14、28へのグリップの係合システムが第2の区域T2、T4から下り線に設けられているならば、このような変形例は、乗車エリア16または降車エリア29と車両V、Yとの間の移動が、速度差を低下またはさらに除去し、同時に、移動通路19、30の存在を必要とすることなく、実行されることを可能にさせる。抜去状態にある車両V、Yは、他方で、ロープ14、28から独立した運動手段によって動かされなければならない。
【0033】
しかし、実施される変形例にかかわらず、車両V、Yは、かごCに隣接した位置において車両V、Yを同期駆動するため、前記ロープ14、28の第1の区域T1、T3で対応するロープ14、28に連結され続けている。
【0034】
上述された車両V、Yは、どのような同等の車両で置き換えてもよく、たとえば、ロープ14、28に吊されているタイプでもよい。ロープに吊されているタイプの場合、ロープ14、28は、そのとき、車両を支持する機能および案内する機能をさらに実行しなければならない。使用される車両のタイプに依存して、走行軌道21は、対応するロープ14、28によって形成された閉ループの一部に隣接するだけでもよく、または、完全に取り除かれることがある。
【0035】
互いに独立しているとして記載されているが、支援システム11および12は、一連の車両だけが一定間隔で連結されることになるロープだけの単一の閉ループを使用して、単一の乗降支援システムに一体化されてもよい。このような変形は、車両からかごCへの移動とかごCから車両への移動との間に適切な同期を必要とする。
【0036】
図5および図6において、車両V、Yは変更されている。各車両に関して、格納式下枠27は、車両X、Yから突出して配置され、車両V、Yの運動の方向と一致する枢動軸周りに傾斜可能である傾動式歩行傾斜台31によって置き換えられる。傾斜台31と車両V、Yとの間の角度を変化させる手段が設けられている。たとえば、図5において、傾動式傾斜台31は、プラットフォーム22とかごCの床との間の高低差を補償するために水平に対して実質的に7度に等しい角度を示している。それに対して図6では、プラットフォーム22および移動通路19、30が実質的に同一平面上にあるので、傾動式傾斜台31は実質的に水平である。
【0037】
傾動式傾斜台31と車両V、Yとの間の角度を変化させる手段は、垂直平面内で変形可能な平行四辺形体をもつ支持システムを備え、変形可能な平行四辺形体が、
−互いに平行であり、近接端部で車両V、Yに関節接続され、少なくとも一方の枢動アーム32が前記傾動式傾斜台31を支持する2本の枢動アーム32、33と、
−車両V、Yに対して一定の空間方向をもち、前記枢動アーム32、33の遠方端部に関節接続されている接合要素34と、
−摺動ロッド36を装備し、摺動ロッドの並進が枢動アーム32、33と接合要素34との間の角度の変動を制御する、動作ジャッキ35と、
を備える。
【0038】
より正確には、枢動アーム32、33の近接端部32a、33aは、2個の垂直方向に重ねられた点でプラットフォーム22上に枢動自在に嵌め込まれている。枢動アーム32、33の遠方端部32b、33bは、接合要素34の垂直ブランチ34aの端部に関節接続で搭載され(または、逆に、接合要素34の垂直ブランチ34aが遠方端部32b、33bに関節接続され)、接合要素は車両V、Yから外方に向かう水平ブランチ34bをもつブラケット形状を現している。変形可能な平行四辺形体の原理によれば、垂直ブランチ34aおよび水平ブランチ34bは、それぞれ、平行四辺形体の変形の状態にかかわらず、すなわち、枢動アーム32、33と車両V、Yとの間に形成された角度にかかわらず、垂直方向および水平方向を保つ。
【0039】
例示された実施例では、傾動式傾斜台31は、適当な手段によって、上側枢動アーム32に固定されているが、枢動アーム33に固定されてもよい。摺動ロッド36は、その遠方端部で、上側枢動アーム32の中央エリアに関節接続されている。ロッド36は、空気または油のような圧力をかけられた流体の作用に起因して動作ジャッキ35の管状ボディ37の中で直線的な並進運動をする。摺動ロッド36の出口開口から反対側で、ボディ37は、下側枢動アーム33の近接端部33aの関節の付近で、車両V、Yに、より正確にはプラットフォーム22に関節接続で搭載されている。
【0040】
このような配置によれば、摺動ロッド36の伸長運動は水平に対する傾動式傾斜台31の傾斜の角度の増加を命令する。反対の方法で、摺動ロッド36の退縮運動は水平に対する傾動式傾斜台31の傾斜の角度の減少を命令する。傾斜台31の傾斜の角度は、摺動ロッド36の伸長の状態に直接的に依存し、水平ブランチ34bを(水平ブランチの下から押して)かごCの床と同じ高さに保ったままプラットフォーム22とかごCの床との間の高低差を補償するため、第1の区域T1およびT3に沿って常に適合している。補完的に、傾斜台31の傾斜の角度は、水平ブランチ34bを(水平ブランチの下から押して)移動通路19、30と同じ高さに保ったままプラットフォーム22と移動通路19、30との間の高低差を補償するため、第2の区域T2およびT4に沿って常に適合している。
【0041】
傾斜台31と車両V、Yとの間の角度を変化させる手段と関連付けられた傾動式傾斜台31は、その結果、プラットフォーム22とかごCの床または移動通路19、30のいずれかとの間の高低差が両方ともに補償されることを可能にさせ、これらの要素の間の水平差をさらに補償する。このことは、接合要素の水平ブランチ34bが、上側または下側によって、それぞれ、かごCの床および移動通路19、30に押し付けられることの理由である。
【0042】
上述された傾斜台31と車両V、Yとの間の角度を変化させる手段は、簡単に実施することができる単に特定の実施例であるが、この手段は適当な類似した解決策によって置き換えることが可能である。
【0043】
最後に、本発明は、あらゆるタイプの閉回路内のかごの輸送装置、特に、あらゆるタイプの旅客輸送手段、たとえば、非常に高い走行速度(0.5m/sを超える速度)で引っ張りロープを使用する固定グリップを備えたゴンドラかごのような旅客輸送手段に適用される可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご(C)が閉回路に沿って一定間隔で実質的に等速運動する輸送装置(10)の搭乗かご(C)上の乗客(P)の乗降を支援するシステム(11,12)において、
駆動手段(M)を用いて走行するロープ(14,28)であって、前記閉回路の区域に接して配置されている第1の区域(T1,T3)、および、前記かご(C)間の間隔の倍数に等しいスタガ状に、少なくとも前記第1の区域(T1,T3)で前記ロープに連結された搭乗車両(V,Y)上の前記乗客(P)の乗車および/または降車エリア(16,29)に沿って配置されている第2の区域(T2,T4)を有している閉ループ内のロープ(14,28)と、
かご(C)と向かい合うように前記第1の区域(T1,T3)の上を走行する各車両(V,Y)を連続的に位置合わせするため前記かご(C)の運動の速度に応じて前記ロープ(14,28)の走行の速度をサーボ制御する手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記車両(V,Y)を前記ロープ(14,28)に連結する手段が前記車両(V,Y)によって支持された固定取り付けグリップ(17)によって形成され、前記乗車および/または降車エリア(16,29)が前記第2の区域(T2,T4)内の前記車両(V,Y)の経路と一致する経路を有する移動通路(19,30)を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記車両(V,Y)のうちの少なくとも1台が前記ロープ(14,28)によって形成された前記閉ループの周囲を調節する手段を備える請求項2記載のシステム。
【請求項4】
走行軌道(21)が前記車両(V,Y)の運動中に前記車両(V,Y)を案内するため前記ロープ(14,28)と平行に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
各車両(V,Y)が、前記走行軌道(21)内を走行する台車(20)と、緊締手段によって対応する台車(20)に固定して取り付けられたプラットフォーム(22)と、を備えることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記緊締手段が、少なくとも1つの回転軸に従って前記台車(20)に対して前記プラットフォーム(22)の向きを合わせる手段と、前記回転軸の周りに枢動することにより前記プラットフォーム(22)のトリムを自動的に維持する手段と、を備えることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
各台車(20)が前記台車(20)の運動方向にオフセットされた第1の車輪(23a,23b)および第2の車輪(24a,24b)が装備され、前記走行軌道(21)が、前記第1の車輪(23a,23b)および前記第2の車輪(24a,24b)のうちの一方を収納し、前記走行軌道(21)に沿った台車の位置にかかわらず前記台車(20)を水平に保つために適した垂直平面内で相対位置を占める2本の独立した案内レール(25a,25b,26a,26b)を備えることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項8】
各車両(V,Y)が、前記車両(V,Y)と隣接したかご(C)との間の隙間を埋めるために、前記第1の区域(T1,T3)で占領された前記車両(V,Y)から突出した伸長位置と、前記車両(V,Y)内に収容された格納位置との間で動作手段によって変化する格納式下枠が装備されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
各車両(V,Y)が、前記車両(V,Y)の運動の方向と一致している枢動軸の周りで傾斜可能である突出傾斜台(31)と、前記傾斜台(31)と前記車両(V,Y)との間の角度を変化させる手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記傾斜台(31)と前記車両(V,Y)との間の角度を変化させる手段が
近接端部(32a,32b)で前記車両(V,Y)に関節接続され、少なくとも1本のアームが前記傾斜台(31)を支持する、互いに平行である2本の枢動アーム(32,33)と、
前記枢動アーム(32,33)の遠方端部(32b,33b)に関節接続され、前記車両(V,Y)に対して一定の空間方向をもつ接合要素(34)と、
摺動ロッド(36)の並進が前記枢動アーム(32,33)と前記接合要素(34)との間の角度の変動を制御する、摺動ロッド(36)が装備されている動作ジャッキ(35)と、
を備える変形可能な平行四辺形体をもつ支援システムを備えることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記閉回路が垂直平面(X)内に含まれる円形形状を現し、前記第1の区域(T1,T3)に隣接する前記走行軌道(21)の一部が平行な垂直平面(Z)内に含まれる円弧の形状を現すことを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−254801(P2009−254801A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−32889(P2009−32889)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI