説明

くじ購入システム、くじ購入システムの制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】オッズが大きく変化する購入要求を受け付けてからその購入要求の内容がオッズの変化に反映されるまでの時間差を生じにくくする。
【解決手段】投票要求受付部26は、くじの購入要求を受け付ける。オッズ出力部24は、購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段。投票要求受付部26は、購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する。投票要求受付部26は、購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くじ購入システム、くじ購入システムの制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
競馬やサッカーくじなどのくじの購入要求を所定の順序で処理するくじ購入システムが存在する。くじの購入要求の処理技術の一例として、特許文献1には、端末からの購入リクエスト等のリクエストを待ち行列の最後に追加登録し、先頭から順にリクエストを取り出して処理を実行する技術が開示されている。このようなくじ購入システムでは、ユーザの参考となるよう、掛け金や買い目などといった購入要求の内容に基づいて算出される最新オッズをユーザに提示することが一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/067483号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、くじの購入要求の内容によっては、オッズが大きく変化したり、それほど変化しなかったりする。しかし、特許文献1に記載の技術等によって、くじの購入要求を受付順に処理すると、オッズが大きく変化する購入要求であってもそれまでに受け付けた購入要求が処理されるまでは処理されず、その購入要求の内容が最新オッズに反映されない。そうなると、ユーザはオッズの変化を速やかに知ることができず不便である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の1つは、オッズが大きく変化する購入要求を受け付けてからその購入要求の内容がオッズの変化に反映されるまでの時間差を生じにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るくじ購入システムは、くじの購入要求を受け付ける受付手段と、前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段と、前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段と、前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るくじ購入システムの制御方法は、くじの購入要求を受け付ける受付ステップと、前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力ステップと、前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定ステップと、前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、くじの購入要求を受け付ける受付手段、前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段、前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段、前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る記録媒体は、くじの購入要求を受け付ける受付手段、前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段、前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段、前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体である。
【0010】
本発明によれば、購入要求の処理順が、当該購入要求よりもオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定されるので、オッズが大きく変化する購入要求を受け付けてからその購入要求の内容がオッズの変化に反映されるまでの時間差が生じにくくなる。
【0011】
本発明の一態様では、前記設定手段は、前記購入要求がオッズに与える影響の大きさが予め定められた大きさよりも大きい場合に、当該購入要求が未処理の購入要求のうちで最初に処理されるよう処理順を設定し、そうでない場合に、当該購入要求が未処理の購入要求のうちで最後に処理されるよう処理順を設定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記設定手段は、第1の購入要求の処理順が、第1の購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された第2の購入要求よりも後に設定されている場合に、第1の購入要求と第2の購入要求との処理順を入れ替えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記くじの最新オッズの情報を提供するシステムから、前記最新オッズを取得する取得手段、をさらに含み、前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりも前記取得手段により取得される最新オッズが低い買い目に対するくじの購入要求よりも前に設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりもオッズが低くなると予め指定されたくじの購入要求よりも前に設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりも掛け金が安いくじの購入要求よりも前に設定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記設定手段は、未処理の購入要求の数が所定数以上である場合に、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさとは無関係に、前記受付手段が受け付けた購入要求が未処理の購入要求のうちで最後に処理されるよう処理順を設定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る馬券購入仲介システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】投票取引明細情報の一例を示す図である。
【図4】投票要求管理キューの一例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る馬券購入仲介システムで行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る馬券購入仲介システムで行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図7】影響度算出基礎データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピュータネットワークの全体構成図である。図1に示すように、インターネットなどのコンピュータネットワーク16には、いずれもコンピュータを中心に構成された馬券購入仲介システム10、競馬管理システム12、ユーザ端末14(14−1〜14−n)、が接続されている。そして、馬券購入仲介システム10、競馬管理システム12、ユーザ端末14は互いに通信可能になっている。
【0020】
馬券購入仲介システム10は、本実施形態に係るくじ購入システムとして機能するウェブサーバ等のコンピュータである。そして、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10は、ウェブ技術を用いて、多数のユーザに対して、開催されている競馬のレースでの馬券の購入(投票)を支援するサービスや、競馬に関するデータを提供するデータ提供サービスなどといったウェブサービスを提供する。
【0021】
競馬管理システム12は、競馬を開催する主催者が管理するサーバ等のコンピュータであり、馬券の購入要求(投票要求)の受付に応じた馬券の購入処理(投票処理)、投票要求の内容に基づいたオッズの決定、投票状況の管理、配当金の払い戻し処理などといった機能が実現されている。
【0022】
なお、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10は、投票要求の受付に応じて、投票処理の実行指示を、本実施形態に係る競馬管理システム12に送信する。そして、競馬管理システム12は、受け付ける実行指示に応じて、投票処理を実行する。以下、一度の送信で投票処理の実行を指示できる投票を「投票単位」と呼ぶこととする。そして、本実施形態では、馬券購入仲介システム10は、1回の投票要求で複数の投票単位に対する投票要求を受け付けることができるようになっている。なお、本実施形態に係る競馬管理システム12では、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10以外のシステムから受け付ける実行指示についても投票処理を実行する。
【0023】
馬券購入仲介システム10、競馬管理システム12は、それぞれ、例えば、自装置にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである制御部、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである記憶部、ネットワークボードなどの通信インタフェースである通信部、を含んで構成されている。これらの要素は、バスを介して接続される。馬券購入仲介システム10、及び、競馬管理システム12の記憶部には、自装置の制御部によって実行されるプログラムが記憶される。また、馬券購入仲介システム10、及び、競馬管理システム12の記憶部は、自装置のワークメモリとしても動作する。
【0024】
コンピュータネットワーク16には、さらに、馬券購入仲介システム10のユーザが管理するユーザ端末14が多数接続されている。ユーザ端末14は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、スマートフォンなどの情報処理装置である。ユーザ端末14は、例えば、CPU等の制御装置、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブ等の記憶装置、ディスプレイ等の出力装置、マウス、キーボード、タッチパッド、ボタン等の入力装置、ネットワークボード等の通信装置を備えている。また、本実施形態に係るユーザ端末14には、ウェブブラウザが予めインストールされており、これらのアプリケーションプログラムが実行される。ユーザ端末14は、ウェブブラウザを通じて馬券購入仲介システム10が提供する各種サービスを受ける。本実施形態では、馬券購入仲介システム10のユーザは、ユーザ端末14を利用して、馬券購入仲介システム10からの情報の取得、馬券購入仲介システム10に対する投票要求等を行う。
【0025】
本実施形態では、発走時刻が互いに異なる複数のレースが取り扱われる。また、レースに対する投票は、発走時刻の所定時間前(例えば、2分前)に締め切られる。そして、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10では、馬券の購入締切時点(投票締切時点)が直近に到来するレースだけでなく、その後に投票締切時点が到来するレースについても、投票要求を受け付けるようになっている。
【0026】
また、本実施形態に係る競馬管理システム12は、所定の時間間隔で(あるいは、投票処理を実行する度に)、馬券購入仲介システム10が受け付けて競馬管理システム12が処理する投票要求の内容(例えば、掛け金や買い目など)に基づいて最新オッズを算出する。そして、競馬管理システム12は、馬券購入仲介システム10を介してユーザが投票を行うことができるレースについての最新オッズの情報を、所定の時間間隔で馬券購入仲介システム10に送信する。そして、馬券購入仲介システム10は、競馬管理システム12から送信される最新オッズの情報を受信して、馬券購入仲介システム10の記憶部に保存する。そして、ユーザ端末14が最新オッズの出力要求を馬券購入仲介システム10に送信すると、馬券購入仲介システム10は、この出力要求に応じて、保存されている最新オッズの情報をユーザ端末14に送信する。ユーザ端末14は、最新オッズの情報を受信すると、その情報をディスプレイに表示出力する。このようにして、本実施形態では、ユーザは最新オッズの情報を知ることができるようになっている。
【0027】
図2は、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10で実現される機能のうち、投票機能に関連する機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10では、図2に示す機能以外の機能も実現されている。
【0028】
本実施形態に係る馬券購入仲介システム10は、機能的には、データ記憶部20、オッズ取得部22、オッズ出力部24、投票要求受付部26、投票要求蓄積バッファ27、処理部28、を含んで構成される。データ記憶部20、投票要求蓄積バッファ27は、馬券購入仲介システム10の記憶部を主として実現される。その他の要素は、馬券購入仲介システム10の制御部を主として実現される。
【0029】
これらの要素は、コンピュータである馬券購入仲介システム10にインストールされたプログラムを、馬券購入仲介システム10の制御部で実行することにより実現されている。なお、このプログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して、あるいは、インターネットなどの通信ネットワークを介して馬券購入仲介システム10に供給される。
【0030】
本実施形態では、予め、データ記憶部20に、馬券購入仲介システム10を利用するユーザを識別するユーザID、ユーザを認証するためのパスワード、馬券購入仲介システム10を利用するユーザから馬券購入仲介システム10を管理する事業者に予め口座振り込み等により支払われた金額を表す残高情報、等を含むアカウントデータが記憶されている。そして、本実施形態では、ユーザ端末14が、ウェブブラウザを通じて馬券購入仲介システム10にアクセスし、ユーザID及びパスワードを馬券購入仲介システム10に送信し、馬券購入仲介システム10がログイン処理(認証処理)を実行した後に、このユーザ端末14が馬券購入仲介システム10に配置されているWebページにアクセスすると、ユーザ端末14のディスプレイにそのWebページが表示される。なお、ユーザ端末14が馬券購入仲介システム10にユーザID及びパスワードを送信した後は、馬券購入仲介システム10は、例えば、その後にユーザ端末14から受け付ける認証情報等を参照することによりユーザ端末14を利用するユーザに対応するユーザIDを特定することができるようになっている。
【0031】
本実施形態では、オッズ取得部22が、所定時間間隔で競馬管理システム12から送信される最新オッズに関する情報である最新オッズデータを受信して、データ記憶部20に保存する。本実施形態では、最新オッズデータは、レースを識別するレースID、及び、買い目を表す買い目データ(例えば、単勝6番、馬単3番−5番、など)、に、レースIDにより識別されるレースにおける、買い目データが表す買い目の最新オッズが関連付けられたデータである。本実施形態では、オッズ取得部22は、データ記憶部20に記憶されている最新オッズデータに、新たに受信した最新オッズデータを上書きする。
【0032】
本実施形態では、オッズ出力部24は、ユーザ端末14から受け付ける最新オッズの出力要求に応じて、データ記憶部20に記憶されている最新オッズデータに基づいて生成されるページ(例えば、直近に投票締切時点が到来するレースにおける、買い目とその買い目についての最新オッズの組合せの情報が含まれるページ)を出力要求の送信元のユーザ端末14に送信出力する。ユーザ端末14は、オッズ出力部24が出力するページを受信すると、そのページをWebブラウザを介してディスプレイに表示出力する。
【0033】
本実施形態では、投票要求受付部26が、ユーザ端末14から投票要求を受け付ける。投票要求には、例えば、レースを識別するレースID、投票方式(式別)、買い目、購入金額(掛け金の額)、等が含まれている。そして、本実施形態では、投票要求受付部26は、投票要求の受付に応じて、図3に例示する投票取引明細情報30を少なくとも1つ生成して、データ記憶部20に出力する。投票取引明細情報30には、ユーザ端末14から受け付ける上述の情報、及び、馬券購入仲介システム10により設定される情報(例えば、投票要求を行うユーザのユーザID、処理日、受付番号、投票件数通番、受付成立日時、等)が含まれている。そして、本実施形態では、投票取引明細情報30は、投票単位毎に生成される。本実施形態では、投票取引明細情報30に含まれる処理日の値には、投票要求を受け付けた日であって、競馬管理システム12により投票処理が実行される日が設定される。投票取引明細情報30に含まれる受付番号は、投票要求を識別する番号である。1回の投票要求に対応付けられる投票取引明細情報30には同一の受付番号が付与される。また、受付番号は、処理日が同一である投票取引明細情報30については、投票要求の受付順に昇順で番号が設定される。投票件数通番は、処理日と受付番号の組合せが同一である投票取引明細情報30のうちでは、1つの投票単位に対して一意に付与される番号である。そして、本実施形態では、処理日、受付番号、投票件数通番の組合せによって、投票取引明細情報30を一意に特定することができるようになっている。また、初期状態では、投票取引明細情報30に含まれる受付成立日時の値は空である。そして、投票要求が処理された投票取引明細情報30には、後述する受付成立日時の値が設定されることとなる。そのため、投票取引明細情報30に受付成立日時の値が含まれるか否かによって、投票取引明細情報30に対応する投票要求が処理されたか否か(すなわち、未処理であるか否か)を識別することができることとなる。
【0034】
また、本実施形態では、投票要求蓄積バッファ27に、投票要求の処理順を管理するためのキューである投票要求管理キュー40が記憶されている。図4は、投票要求管理キュー40の一例を模式的に示す図である。本実施形態では、投票要求受付部26は、投票要求の受付に応じて、上述のようにして投票取引明細情報30を生成するとともに、その投票要求に対応する処理順管理データ42を投票要求管理キュー40に追加(エンキュー)する。なお、図4では、投票要求管理キュー40に含まれる処理順管理データ42が、順序に従って左から右に並ぶよう表現されている。すなわち、最も左に配置されている処理順管理データ42が先頭の処理順管理データ42に相当し、最も右に配置されている処理順管理データ42が最後尾の処理順管理データ42に相当する。本実施形態では、処理順管理データ42は、受付番号、及び、後述する影響度スコアの値が含まれており、処理順管理データ42に基づいて少なくとも1つの投票取引明細情報30を特定することができるようになっている。
【0035】
本実施形態では、投票要求の受付に応じて、上述のようにして投票取引明細情報30を生成するとともに、その投票要求に対応する処理順管理データ42を投票要求管理キュー40の先頭又は最後尾に追加(エンキュー)する。ここで、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10の投票要求受付部26で行われるエンキュー処理の流れの一例を、図5に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0036】
まず、投票要求受付部26は、投票要求の受付に応じて、当該投票要求が当該投票要求の投票対象であるレースにおけるオッズに与える影響度を示す影響度スコアの値を特定する(S101)。本実施形態では、オッズに与える影響度が大きいものほど、影響度スコアの値として大きな値が設定される。影響度の特定処理については後述する。そして、投票要求受付部26は、特定された影響度スコアの値が所定の閾値(例えば、5)以上であるか否かを確認する(S102)。閾値以上である場合は(S102:Y)、投票要求受付部26は、受け付けた投票要求に対応する処理順管理データ42を投票要求管理キュー40の先頭に追加(エンキュー)する(S103)。一方、閾値未満である場合は(S102:N)、投票要求受付部26は、受け付けた投票要求に対応する処理順管理データ42を投票要求管理キュー40の最後尾に追加(エンキュー)する(S104)。そして、S103又はS104に示す処理の終了後に、投票要求受付部26は、S101に示す処理で特定された影響度スコアの値を、処理順管理データ42に含まれる影響度スコアの値として設定する(S105)。
【0037】
ここで、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10で行われる、投票要求の実行指示を送信する処理の流れの一例を図6に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0038】
まず、処理部28は、投票要求管理キュー40の先頭の処理順管理データ42を取得(デキュー)する(S201)。そして、処理部28は、データ記憶部20に記憶されている投票取引明細情報30であって、S201に示す処理で取得した処理順管理データ42に対応する少なくとも1つの投票取引明細情報30を特定する(S202)。そして、処理部28は、S202に示す処理で特定された投票取引明細情報30であって、後述のS204の処理が実行されていない投票取引明細情報30のうちの1つに対応する投票単位(例えば、後述のS204の処理が実行されていない投票取引明細情報30のうち、投票件数通番が最も小さな投票取引明細情報30に対応する投票単位)を、指示対象投票単位として特定する(S203)。そして、処理部28は、指示対象投票単位についての投票処理の実行指示を競馬管理システム12に送信する(S204)。そして、処理部28は、S202に示す処理で特定された投票取引明細情報30であって、S204の処理が実行されていない投票取引明細情報30(未処理の投票取引明細情報30)が存在するか否かを確認する(S205)。そして、存在する場合は(S205:Y)、S203に示す処理を実行する。存在しない場合は(S205:N)、本処理例に示す処理を終了する。本実施形態では、S201〜S205に示す処理を、馬券購入仲介システム10が当該処理の終了要求を受け付けるまで繰り返す。なお、投票要求の処理の流れは図6に例示する流れに限定されない。
【0039】
上述のS101での影響度スコアの値の特定処理には様々なバリエーションが考えられる。例えば、データ記憶部20に、図7に例示する、最新オッズの範囲と影響度スコアの値とが対応付けられた影響度算出基礎データ44が記憶されていることとする。ここでは、図7に示すように、影響度算出基礎データ44において、最新オッズが大きいほど影響度スコアの値として大きな値が設定されていることとする。この場合、投票要求受付部26は、受け付けた投票要求で指定されているレースと買い目の組合せ(複数でも構わない)を特定する。そして、投票要求受付部26は、最新オッズデータにおいて、特定された組合せに関連付けられている最新オッズ(組合せが複数特定された場合は、それらの組合せに関連付けられている最新オッズのうち最も値が大きいもの)を特定する。そして、投票要求受付部26は、影響度算出基礎データ44において、特定された最新オッズが含まれる範囲に対応付けられている影響度スコアの値を特定する。このようにして、影響度スコアの値が特定される。
【0040】
また、例えば、データ記憶部20に、予想印(本命、対抗、大穴など)と影響度スコアの値とが対応付けられた影響度算出基礎データ44が記憶されており、上述の組合せと予想印の対応関係(例えば、当日の新聞における予想印)を示すデータも記憶されていることとする。ここでは、影響度算出基礎データ44において、オッズが高くなると予め指定されたものほど影響度スコアの値として大きな値が設定されていることとする。より具体的には、例えば、本命、対抗、大穴の順に影響度スコアの値が大きくなるよう影響度算出基礎データ44における影響度スコアの値が設定されていることとする。この場合、投票要求受付部26は、受け付けた投票要求で指定されているレースと買い目の組合せに対応付けられている予想印を特定する。そして、投票要求受付部26は、影響度算出基礎データ44において、特定された予想印に対応付けられている影響度スコアの値を特定する。
【0041】
また、例えば、データ記憶部20に、掛け金の範囲と影響度スコアの値とが対応付けられた影響度算出基礎データ44が記憶されていることとする。ここでは、影響度算出基礎データ44では、掛け金の額が大きいほど影響度スコアの値として大きな値が設定されることとする。この場合、投票要求受付部26は、影響度算出基礎データ44において、受け付けた投票要求での掛け金が含まれる範囲に対応付けられている影響度スコアの値を特定する。
【0042】
競馬管理システム12は、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10から受け付ける実行指示に応じて、投票処理を実行する。なお、上述の通り、本実施形態に係る競馬管理システム12は、馬券購入仲介システム10以外のシステムから受け付ける実行指示についても、実行指示に応じて投票処理を実行する。なお、本実施形態では、競馬管理システム12は実行指示の受付順に投票処理を実行する。
【0043】
競馬管理システム12は、馬券購入仲介システム10から受け付けた実行指示に応じた投票処理が終了すると、投票処理が終了した旨を、実行指示を識別する情報(例えば、処理日、受付番号、及び、投票件数通番の組合せ)及び投票処理が行われた日時を示す受付成立日時とともに馬券購入仲介システム10に送信する。処理部28は、投票処理が終了した旨を受け付けると、この投票処理に対応付けられる投票取引明細情報30に含まれる受付成立日時の値として、競馬管理システム12から受け付けた受付成立日時を設定する。
【0044】
本実施形態では、投票要求受付部26が受け付けた投票要求に基づいて特定される影響度スコアの値が大きいものがそうでないものよりも先に処理されるので、投票要求を受付順に処理する場合よりも、オッズが大きく変化する購入要求の内容が最新オッズに反映される可能性が高くなるので、オッズの変化を速やかにユーザに知らせることができることとなる。
【0045】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、本実施形態に係る馬券購入仲介システム10が、投票要求管理キュー40を監視する監視部を含んでいてもよい。そして、監視部が、例えば、所定時間間隔(1分間隔)で、対応付けられる影響度スコアの値が高いものから順に並ぶよう、投票要求管理キュー40に含まれる処理順管理データ42をソートするようにしてもよい。あるいは、監視部が、所定時間間隔(1分間隔)で、先頭から2番目の処理順管理データ42から順に、処理順管理データ42に対応付けられる影響度スコアの値が所定の閾値以上であるか否かを確認し、所定の閾値以上であることが確認された処理順管理データ42については、投票要求管理キュー40における順序が1つ前である処理順管理データ42と順序を入れ替えるようにしてもよい。また、監視部は、上述の処理を実行する前に、投票要求管理キュー40に含まれる処理順管理データ42の少なくとも一部について、影響度スコアの値を再計算するようにしてもよい。
【0047】
また、例えば、投票要求受付部26は、所定の数式に従って影響度スコアの値を算出するようにしてもよい。
【0048】
影響度スコアとしては、例えば、(掛け金)/(投票対象となる買い目に対する現在までの掛け金の合計)、(掛け金)/(直近N回受け付けた投票要求での掛け金の平均)、が挙げられる。
【0049】
また、例えば、投票要求受付部26は、A=(当該掛け金P1)/(各買い目について選択された1投票(例えば、最新の投票)での掛け金をすべての買い目について合計した金額P2)、B=(投票される買い目に対する掛け金の合計P3)/(投票されるレースにおける掛け金の合計P4)、とした場合に、AとBの差を影響度スコアの値として特定するようにしてもよい。また、投票要求受付部26は、Bに対するAの割合や、Bに対するAの割合の対数などを、影響度スコアの値として特定するようにしてもよい。なお、投票要求受付部26は、上述のP2を算出するにあたって、投票される買い目については当該投票を選択するようにしてもよい。また、投票要求受付部26は、上述のP2やP4を算出するにあたって、合計を算出する範囲を、投票の対象となる買い目の投票方式(式別)に限定するようにしてもよい。
【0050】
また、例えば、監視部が、未処理の購入要求の数が所定数X以上であるという条件を満足するか否かを監視するようにしてもよい。そして、上述の条件を満足する場合には、投票要求受付部26は、投票締切時点が直近に到来しないレースに対する投票要求に対応する処理順管理データ42については、影響度スコアの値に関係なく、投票要求管理キュー40の最後尾に追加(エンキュー)するようにしてもよい。
【0051】
また、馬券購入仲介システム10、競馬管理システム12、及び、ユーザ端末14の役割分担は上述の実施形態には限定されない。例えば、馬券購入仲介システム10が競馬管理システム12の機能も備え、処理部28が投票処理を実行するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態を、馬券の購入とは異なる場面(例えば、競艇、競輪、オートレース、サッカーくじ、宝くじ、などのくじの購入の場面)に適用しても構わない。上記の具体的な数値や文字列、及び、図面中の具体的な数値や文字列は例示であり、これらの数値や文字列には限定されない。
【符号の説明】
【0053】
10 馬券購入仲介システム、12 競馬管理システム、14 ユーザ端末、16 コンピュータネットワーク、20 データ記憶部、22 オッズ取得部、24 オッズ出力部、26 投票要求受付部、27 投票要求蓄積バッファ、28 処理部、30 投票取引明細情報、40 投票要求管理キュー、42 処理順管理データ、44 影響度算出基礎データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
くじの購入要求を受け付ける受付手段と、
前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段と、
前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段と、
前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段と、
を含むことを特徴とするくじ購入システム。
【請求項2】
前記設定手段は、前記購入要求がオッズに与える影響の大きさが予め定められた大きさよりも大きい場合に、当該購入要求が未処理の購入要求のうちで最初に処理されるよう処理順を設定し、そうでない場合に、当該購入要求が未処理の購入要求のうちで最後に処理されるよう処理順を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のくじ購入システム。
【請求項3】
前記設定手段は、第1の購入要求の処理順が、第1の購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された第2の購入要求よりも後に設定されている場合に、第1の購入要求と第2の購入要求との処理順を入れ替える、
ことを特徴とする請求項1に記載のくじ購入システム。
【請求項4】
前記くじの最新オッズの情報を提供するシステムから、前記最新オッズを取得する取得手段、をさらに含み、
前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりも前記取得手段により取得される最新オッズが低い買い目に対するくじの購入要求よりも前に設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のくじ購入システム。
【請求項5】
前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりもオッズが低くなると予め指定されたくじの購入要求よりも前に設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のくじ購入システム。
【請求項6】
前記設定手段は、前記購入要求の処理順を、当該購入要求よりも掛け金が安いくじの購入要求よりも前に設定する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のくじ購入システム。
【請求項7】
前記設定手段は、未処理の購入要求の数が所定数以上である場合に、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさとは無関係に、前記受付手段が受け付けた購入要求が未処理の購入要求のうちで最後に処理されるよう処理順を設定する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のくじ購入システム。
【請求項8】
くじの購入要求を受け付ける受付ステップと、
前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力ステップと、
前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定ステップと、
前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定ステップと、
ことを特徴とするくじ購入システムの制御方法。
【請求項9】
くじの購入要求を受け付ける受付手段、
前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段、
前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段、
前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
くじの購入要求を受け付ける受付手段、
前記購入要求の内容に基づいて算出されるオッズを出力するオッズ出力手段、
前記購入要求の内容に基づいて、当該購入要求がオッズに与える影響の大きさを特定する特定手段、
前記購入要求の処理順を、当該購入要求に比べてオッズに与える影響が小さいことが特定された購入要求よりも前に設定する設定手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15911(P2013−15911A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146592(P2011−146592)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)