説明

ごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具

【課題】 掃き掃除等の清掃過程で金属と他のごみを分別する清掃具を提供する。
【解決手段】 清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具にあり、掃き掃除又は拭き掃除の過程で、磁性を有する金属質の材料を他の有機質の材料と簡単に且つ短時間に分別されることとなり、分別の労をなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみに含まれる磁性材料を掃き掃除の過程で分別できる分別機能を有する清掃具掃き掃除又は払掃掃除用の清掃具に関し、特に、家屋の内外や道路の磁性材料を含むごみを、ごみを収集する掃き掃除又は払掃掃除の過程で、磁性材料を他のごみと分別する掃き掃除用及び/又は払掃掃除用の清掃具に関する。また、本発明は、掃き除き用又は拭き除き用の箒に関し、特に、工場、事務所その他家屋の内外において、例えば、床、階段や道路等において、清掃されるごみに含まれる磁性材料を、他のごみと、掃き掃除の過程で分別できる分別機能を有する掃き除き用又は拭き除き用の箒に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、事務所その他家屋の内外において、ごみを掃き除いたり、又は、拭き除いたりして、工場、事務所その他家屋の内外を清浄にするために、広く、各種箒やモップや柄の付いた雑巾が使用されている。
【特許文献1】 特開2002−233489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、箒は、箒穂又はブラシと、この箒穂又はブラシを固定保持する箒穂又はブラシの固定部と、この固定部に取付けた柄とで構成されている。このような箒は、例えば、人手により掃いてごみを掃き集めるが、金属のごみも一緒に掃き集められる。金属と他の主として有機質のごみは物理的乃至機械的性質が相違し、ごみ処理上の扱いが相違するために、掃き集められたごみは、処理する過程で分別しなければならない。この分別処理には、多くの人手や時間を要して問題である。
本発明は、このような掃き集められたごみの分別に係る問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、清掃具に磁石を取付けるという、清掃具に構造上の簡単な改良を加えることにより、清掃過程で金属を容易に分別できることを発見した。本発明は、これらの発見に基づくものである
本発明者は、掃き掃除等の清掃過程で金属と他のごみを分別する清掃具を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具にあり、また、本発明は、清掃部材と該清掃部材を保持する清掃部材保持具と、清掃部材保持具に連結する柄とを備える清掃具において、清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具にあり、さらに、本発明は、ブラシと、該ブラシを保持するブラシ保持具とを備える清掃具において、透磁性のブラシ保持具に磁石が保持されていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具にあり、さらにまたは、ブラシと、該ブラシを保持するブラシ保持具と、ブラシ保持具に連結する柄とを備える清掃具において、透磁性のブラシ保持具に磁石が設けられていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具にある。本発明において、磁性材料の分別機能を有する清掃具における清掃部材は、ブラシ又は、ゴム製、スポンジ製又は布製の払拭掃除具とすることができる。また、本発明の磁性材料の分別機能を有する清掃具において、清掃部材保持具を、透磁性材料製のものとすることができる。さらに、本発明の磁性材料の分別機能を有する清掃具において、ブラシの毛の少なくとも一部を磁石粒子を含有して形成することができる。さらにまた、本発明において、磁石は、保持具にブラシに囲まれてブラシ保持具に設けることができ、又は、透磁性のブラシ保持具の側部に設けることができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、清掃部材と該清掃部材を保持する清掃部材保持具と、清掃部材保持具に連結する柄とを備える清掃具において、清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えて、清掃具に磁性材料の分別機能を持たせたので、掃き掃除又は拭き掃除の過程で、磁性を有する金属質の材料を他の有機質の材料とを簡単に且つ短時間に分別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、清掃具にごみに含まれる磁性材料の分別機能を持たせるために、清掃部材若しくは清掃部材保持具に、磁石を備えさせている。本発明において、磁石としては、磁性材料を吸引する機能を有するものを使用することができ、特に、フェライト磁石及び/又は希土類磁石を使用することができる。使用される磁石には、例えば、希土類磁石のNdFeB(ネオジウム・鉄・ホウ素)を使用するNdFeB系フレキシブル磁石、NdFeB系等方性フレキシブル磁石、NdFeB系圧縮成形磁石、NdFeB系射出成形磁石、フェライト系ゴム磁石、フェライト系射出成形磁石又はボンド磁石等のフレキシブル磁石があり、またこれらの他に、ゴムとバリウムフェライト粉末練り合わせ、加硫後、着磁加工したマグネットラバー、又はプラスチック磁石がある。
【0007】
清掃具としては、一般に使用される柄付き又は柄付きでない清掃具がある。清掃具の清掃部材は、ブラシ、又は、ゴム製、スポンジ製又は布製の払拭掃除具とすることができる。ブラシの場合、ブラシの毛の一部を、磁石を含有する毛とすることができる。ゴム製、スポンジ製又は布製の払拭掃除具の場合は、払拭掃除具の一部に、磁石を含有させることができる。清掃部材保持具において、磁石は、掃き掃除又は拭き掃除の過程で、清掃される面に接しない程度で、近接する位置に設けられる。清掃具に設けられる磁石と清掃される面の間の間隔は、例えば、1乃至50mmに保たれるが、1乃至30mmとするのが好ましい。
【実施例】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の態様の例を説明するが、本発明は、以下の説明及び例示によって何等制限されるものではない。
図1は、本発明の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具の概略を示す側面図である。図2は、図1に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。図3は、図2に示した実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。図4は、図1及び図2に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。図5は、図4に示した実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。図6は、図1、図2及び図4に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。図7は、図6に示される実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。図8は、図1、図2、図4及び図8に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。図1乃至図8において、共通する箇所には同一の符号が付されている。
【0009】
例1
図1に示す実施例において、全体を符号1で示される清掃具は、柄2がプラスチック材料製のブラシ固定部材3の面4上に取付けられて形成されている。本例において、ブラシ固定部材3には、磁石5が、ブラシ固定部材3のプラスチック材料内にその全体がプラスチック材料に覆われて埋設されている。本例において、ブラシ固定部材3の下面4には、例えば、椰子、棕櫚又はプラスチック製のブラシの毛6が脱落しないように固設されている。
本例は以上のように構成されているので、通常の柄付き清掃具と同様に、床等を柄2を持って掃き掃除を行う。掃き掃除の過程で、例えば床に落ちている鉄等の磁性材料は磁石5により吸引され、ブラシ固定部材3の下面4に付着する。一般のごみは塵取り等に集められるが、鉄等の磁性材料は、ブラシ固定部材3の下面4に磁石5により吸引されて付着する。ブラシ固定部材3の下面4に磁石5により吸引されて付着する鉄等の磁性材料は、所定の容器(図示されていない)内に手で落として集める。本例においては、掃き掃除する過程で、鉄等の磁性材料の分別を行うことができる。本例において、ブラシの毛は、付着した磁性材料が取り外し易いように、鉄等の磁性材料の磁石の付着面の周囲に設けられる。
【0010】
例2
図2及び図3に示す実施例において、清掃具1は、図1の例と同様に、柄2がプラスチック材料製のブラシ固定部材3の面4上に取付けられて形成されている。本例において、ブラシ固定部材3には、磁石5が、その一部がブラシ固定部材3の下面4から突き出て取付けられている。本例において、ブラシ固定部材3の下面4の磁石5の周囲には、ブラシの毛6が脱落しないように固設されている。ブラシの毛6の長さは、磁石5が清掃される床面に直接接しないように、磁石5の面より下に長く形成されている。
本例は以上のように構成されているので、図1の例と同様に、掃き掃除の過程で、例えば床に落ちている鉄等の磁性材料は磁石5により吸引されて付着する。一般のごみは塵取り等に集められるが、鉄等の磁性材料は、ブラシ固定部材3の磁石5により吸引されて磁石5の面に付着する。ブラシ固定部材3の磁石5の面5に付着する鉄等の磁性材料は、所定の容器(図示されていない)内に手で落として集める。本例においては、掃き掃除する過程で、鉄等の磁性材料の分別を行うことができる。
【0011】
例3
図4及び図5に示す実施例において、清掃具1は、図1及び図2の例と同様に、柄2がプラスチック材料製のブラシ固定部材3の面4上に取付けられて形成されている。本例において、ブラシ固定部材3には、その外部側面7に磁石5が間隔を置いて複数個取付けられている。本例において、ブラシ固定部材3の下面4にはブラシの毛6が脱落しないように固設されている。
本例は以上のように構成されているので、図1及び図2の例と同様に、掃き掃除の過程で、例えば床に落ちている鉄等の磁性材料は磁石5により吸引されて付着する。本例において、磁性材料の付着は磁石の間ににおいても十分に認められた。一般のごみは塵取り等に集められるが、鉄等の磁性材料は、ブラシ固定部材3の外部側面の磁石5により吸引されて磁石5の面に付着する。ブラシ固定部材3の磁石5の面に付着する鉄等の磁性材料は、所定の容器(図示されていない)内に手で落として集める。本例においては、掃き掃除する過程で、鉄等の磁性材料の分別を行うことができる。
【0012】
例4
図6及び図7に示す実施例において、清掃具1は、図1及び図2の例と同様に、柄2がプラスチック材料製のブラシ固定部材3の面4上に取付けられて形成されている。本例において、ブラシ固定部材3には、その外部側面7に一個の棒状の磁石5が取付けられている。本例において、ブラシ固定部材3の下面4にはブラシの毛6が脱落しないように固設されている。
本例は以上のように構成されているので、図1の例と同様に、掃き掃除の過程で、例えば床に落ちている鉄等の磁性材料は磁石5により吸引されて付着する。一般のごみは塵取り等に集められるが、鉄等の磁性材料は、ブラシ固定部材3の外部側面の磁石5により吸引されて磁石5の面に付着する。ブラシ固定部材3の磁石5の面に付着する鉄等の磁性材料は、所定の容器(図示されていない)内に手で落として集める。本例においては、掃き掃除する過程で、鉄等の磁性材料の分別を行うことができる。
【0013】
例5
図8に示す実施例において、清掃具1は、図1、図2、図4及び図6の例と同様に、柄2がプラスチック材料製の箒穂固定部材8に取付けられて形成されている。本例において、箒穂固定部材8の下部に設けられる箒穂保持部材9の箒穂のブラシ6の内側に、複数の棒状の磁石5が垂直方向に取付けられている。本例において、箒穂固定部材3にはブラシ6が脱落しないように固定されている。
本例は以上のように構成されているので、図1、図2、図4及び図6の例と同様に、掃き掃除の過程で、箒穂のブラシ6が曲がり、磁石5が掃除される床面に近接して、該床面に落ちている鉄等の磁性材料を磁石5により吸引して付着する。一般のごみは塵取り等に集められるが、鉄等の磁性材料は、箒穂保持部材9の箒穂のブラシ6の内側の磁石5により吸引されて磁石5の面に付着する。箒穂保持部材9の磁石5の面に付着する鉄等の磁性材料は、所定の容器(図示されていない)内に手で落として集める。本例においては、掃き掃除する過程で、鉄等の磁性材料の分別を行うことができる
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、清掃部材と該清掃部材を保持する清掃部材保持具と、清掃部材保持具に連結する柄とを備える清掃具において、清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えて、清掃具に磁性材料の分別機能を持たせたので、掃き掃除又は拭き掃除の過程で、磁性を有する金属質の材料が他の有機質の材料とを簡単に且つ短時間に分別されることとなり、分別の労をなくすことができ、産業上に資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具の概略を示す側面図である。
【図2】 図1に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。
【図3】 図2に示した実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。
【図4】 図1及び図2に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。
【図5】 図4に示した実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。
【図6】 図1、図2及び図4に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である。
【図7】 図6に示される実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具のブラシ保持部の概略を示す底面図である。
【図8】 図1、図2、図4及び図8に示した実施例と異なる本発明の他の一実施例のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具ブラシ部の概略を示す側面図である
【符号の説明】
【0016】
1 清掃具
2 柄
3 ブラシ固定部材
4 ブラシ固定部材3の面
5 磁石
6 ブラシ
7 ブラシ固定部材3の外部側面
8 箒穂固定部材
9 箒穂保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項2】
清掃部材と該清掃部材を保持する清掃部材保持具と、清掃部材保持具に連結する柄とを備える清掃具において、清掃部材若しくは清掃部材保持具が磁石を備えていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項3】
清掃部材が、ブラシであることを特徴とする請求項1又は2に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項4】
清掃部材が、ゴム製、スポンジ製又は布製の払拭掃除具であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項6】
清掃部材保持具が、透磁性材料製のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項7】
ブラシの毛が磁石粒子を含有して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項8】
ブラシと、該ブラシを保持するブラシ保持具とを備える清掃具において、透磁性のブラシ保持具に磁石が保持されていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項9】
ブラシと、該ブラシを保持するブラシ保持具と、ブラシ保持具に連結する柄とを備える清掃具において、透磁性のブラシ保持具に磁石が設けられていることを特徴とするごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項10】
磁石がブラシに囲まれてブラシ保持具に設けられていることを特徴とする請求項1、2、8又は9に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項11】
磁石が透磁性のブラシ保持具の側部に設けられていることを特徴とする請求項1、2、8又は9に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。
【請求項12】
磁石は、掃除される面から1乃至50mm離れて設けられることを特徴とする請求項1、2、8又は9に記載のごみに含まれる磁性材料の分別機能を有する清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−181502(P2007−181502A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381335(P2005−381335)
【出願日】平成17年12月31日(2005.12.31)
【出願人】(000148977)株式会社大貴 (43)
【Fターム(参考)】