説明

ごみ容器

【課題】蓋の大きさが変化しても容器本体を損傷させることなくロック機構本体を略水平に支持する。
【解決手段】ごみ容器1を構成する容器本体2に形成された軸受部21には、略垂直な当接面211と略水平な係合面212が形成され、また、容器本体2に回動自在に軸支されたロック機構本体41には、軸受部21の当接面211に当接可能な係合突起411が設けられ、ロック機構本体41を容器本体2の開口部2aから離れる方向に回動させた際、ロック機構本体41の係合突起411と軸受部21の当接面211とが当接してロック機構本体41を略水平に支持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、屋外に設置されるごみ容器として、実開平3−55903号公報に記載されるように、蓋に容器本体とのロック機構を設けたごみ容器や、図8および図9に示すように、容器本体にロック機構を設けたごみ容器が知られている。
【0003】すなわち、ごみ容器11は、容器本体12と、容器本体12の上方開口部を開閉自在に覆う蓋13と、蓋13を容器本体12の上方開口部を塞いだ状態で固定するロック機構14とを備えている。そして、ロック機構14が設けられていることにより、ごみ容器11が倒れても蓋13が外れて容器本体12内に収容されたごみが漏出しないようにしている。
【0004】ところで、蓋13を開けてごみを容器本体12に収容する場合、通常、蓋13は容器本体12やごみ容器11近傍の壁などに沿わせて立て掛けたり、ロック機構14に吊り下げるようにしている。
【0005】しかしながら、ごみ容器11は、一般に、全体がプラスチックにより成形されており、軽量であるため、少しの風でも立て掛けた蓋13が倒れたり、ロック機構14から外れて地面に落ちる結果、地面が乾いている場合は、問題はないが、雨の後など地面が濡れている場合、蓋13が泥で汚れてしまうという問題があった。
【0006】このため、出願人は、蓋を開放した際、蓋を容器本体に係合させて蓋が地面に落ちることなく保持することができるごみ容器を提案している。
【0007】まず、この出願人が提案しているごみ容器について、図4乃至図7に基づいて説明する。
【0008】このごみ容器1は、容器本体2と、蓋3と、二つのロック機構4から構成されている。
【0009】容器本体2は、上方に開口部2aを有して断面略方形に形成され、この開口部2a周縁の対角位置には、それぞれ軸受部となる一対の補強リブ(ネスティングリブ)21が設けられている。そして、この補強リブ21には、後述する蓋3のスカート部32の端縁が係合可能な係合凹部21aが形成されている。
【0010】蓋3は、容器本体2の開口部2aを覆う蓋本体31と、この蓋本体31の周縁に連続して形成され、容器本体2の開口部2aの外壁面を外側から囲繞するスカート部32からなり、このスカート部32には、補強リブ21に形成された係合凹部21aに係合させる際の目印となる切欠部32aが形成されている(図7参照)。
【0011】ロック機構4は、図5および図6に示すように、断面略L字状のロック機構本体41と、このロック機構本体41の長辺部分41aの端部に設けられた係止爪42からなり、ロック機構本体41の短辺部分41bが補強リブ21,21間に位置し、軸43を介して補強リブ21に回動自在に軸支されている。そして、ロック機構本体41は、容器本体2の開口部2aから離れる方向に回動させた際、短辺部分41bの外側面が容器本体2の外壁面に当接し、長辺部分41aが略水平に支持されるようになっている。
【0012】このように構成したごみ容器1においては、蓋3によって容器本体2の開口部2aを覆い、ロック機構本体41を容器本体2の開口部2aに近づくように回動させると、係止爪42が蓋本体31の周縁を係止し、蓋3が開口部2aを覆った状態で固定されるようになっている。
【0013】一方、蓋3を開放した場合は、図5に示すように、ロック機構本体41を容器本体2の開口部2aから離れる方向に回動させて略水平にした後、蓋3の切欠部32aが設けられた部分を係合凹部21aに係合させることにより、スカート部32の外壁面がロック機構本体41の長辺部分41aに支持され、容器本体2の外壁面に沿うように、蓋3が立設状態で保持されるものである(図4および図6参照)。
【0014】この結果、蓋3を壁に立て掛けたり、ロック機構4に吊り下げる必要がなく、風などで簡単に蓋3が倒れたり、地面に落下することがないものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した先行発明のごみ容器においては、ロック機構本体の短辺部分を容器本体の外壁面に直接当接させることにより、ロック機構本体を略水平に支持することから、その回転中心はロック機構本体の肉厚によって自動的に決定される。したがって、ごみ容器が大型化すると、すなわち、蓋が大きくなると、充分な掛かり代を確保することができず、蓋を保持できない場合がある。また、蓋の重量が大きくなると、容器本体の肉厚が薄い場合には容器本体が陥没して撓むなどの欠点がある。
【0016】さらに、容器本体と蓋とは、輸送効率を考慮して別個に輸送され、あるいは、保管されることから、蓋のない状態では、ロック機構本体は、容器本体の開口部から離れる方向に回動して容器本体の外壁面に当接し、外方に張り出した状態となっている。このように外方に張り出したロック機構本体に外力が作用すると、例えば、容器本体が倒れて床面にロック機構本体が衝突すると、ロック機構本体が外れたり、また、輸送時などのロック機構本体の振動などで容器本体の表面に傷をつけるなどの問題がある。このため、ロック機構本体は、略垂直な状態で容器本体に粘着テープを介して止められているが、このような貼着作業は、1個ずつ手作業で行わなければならず、煩雑な作業を強いるものであった。
【0017】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、蓋の大きさが変化しても容器本体を損傷させることなくロック機構本体を略水平に支持することのできるごみ容器を提供するものである。
【0018】また、本発明は、蓋のない容器本体に対してロック機構本体を略垂直に支持することのできるごみ容器を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、上方に開口部を有するとともに、この開口部近傍の外壁面に対向してそれぞれ一対の軸受部が形成された容器本体と、この容器本体の開口部を覆う蓋本体および蓋本体の周縁に連続して形成され、容器本体の開口部外壁面を外側から囲繞するスカート部からなる蓋と、容器本体の軸受部に回動自在に軸支されたロック機構本体およびロック機構本体に形成され、容器本体の開口部を塞いだ蓋の周縁の一部を係止して蓋を閉鎖状態に固定する係止爪からなるロック機構とを備えたごみ容器において、少なくとも一方の軸受部は切り欠かれて略垂直な当接面および略水平な係合面が形成され、一方、ロック機構本体には、軸受部の当接面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部から離れる方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の当接面とが当接してロック機構本体を略水平状態に支持することを特徴とするものである。
【0020】また、請求項3記載の発明は、上方に開口部を有するとともに、この開口部近傍の外壁面に対向してそれぞれ一対の軸受部が形成された容器本体と、この容器本体の開口部を覆う蓋本体および蓋本体の周縁に連続して形成され、容器本体の開口部外壁面を外側から囲繞するスカート部からなる蓋と、容器本体の軸受部に回動自在に軸支されたロック機構本体およびロック機構本体に形成され、容器本体の開口部を塞いだ蓋の周縁の一部を係止して蓋を閉鎖状態に固定する係止爪からなるロック機構とを備えたごみ容器において、ロック機構本体には軸受部の前面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の前面とが当接してロック機構本体を略垂直状態に支持することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】なお、図4乃至図7に示した先行発明のごみ容器の部材と同一の部材には、同一の符号を用いるものとする。
【0023】図1は、本発明のごみ容器1が示されており、このごみ容器1の容器本体2における補強リブ21の前方下部は、切り欠かれて略垂直な当接面211と略水平な係合面212が形成されており、この係合面212の前端には、係止部212aが下方に向けて突出して形成されている。
【0024】一方、ロック機構4におけるロック機構本体41の短辺部分41bの左右両端面には、係合突起411が外方に向けて突出して形成されており、この係合突起411は、前述した補強リブ21の当接面211に当接できるようになっている。この当接状態では、ロック機構本体41の長辺部分41aは、地面に対して5〜7°傾斜した略水平状態となるように設定されている。また、係合突起411の幅は、係合面212の長さよりも小さく設定され、係合突起411が補強リブ21の当接面211に当接した場合、係止部212aは係合突起411を越えて前方に位置しており、蓋3のスカート部32が入り込むことができるようになっている。
【0025】さらに、係合突起411には、軸43を中心とする円弧面411aが形成されており、この円弧面の回転半径は、軸43から係合面212の前端までの距離よりも若干小さく設定されている。したがって、ロック機構本体41をその係合突起411と補強リブ21の当接面211との当接状態から容器本体2の開口部2a方向に軸43回りに回動させると、係合突起411は、円弧面411aを介して補強リブ21の係合面212の前端を強制的に乗り越えることができ、その際、補強リブ21の前面に係合突起411の円弧面411aが当接するようになっている。
【0026】したがって、容器本体2において、ロック機構本体41の係合突起411と補強リブ21の当接面211とが当接した状態では、ロック機構本体41の長辺部分41aが若干上向きの略水平状態に支持されており、補強リブ21の係合面212に形成された係止部212aが係合突起411を越えて前方に位置している。ここで、蓋3のスカート部32の端縁を係合面212に当ててその外周面をロック機構本体41の長辺部分41aに支持させると、蓋3は立設状態で保持される。この際、蓋3のスカート部32の端縁が係合面212の係止部212aに係止され、蓋3が係合面212から離脱するのが防止されている。
【0027】しかも、ロック機構本体41に蓋3を保持させる場合、補強リブ21(当接面211)と係合突起411とが当接することにより、容器本体2に蓋3の負荷が直接作用することはなく、蓋3が大きくなっても容器本体2に影響を与えることはなく、また、蓋3の大きさに合わせて軸43の位置を設定できることから、スカート部43の充分な掛かり代を確保することができる。
【0028】一方、容器本体2を蓋3と別個に輸送する場合などにおいては、ロック機構本体41を容器本体2の開口部2a側に立ち上げて回動させることにより、係合突起411は、円弧面411aを介して補強リブ21の係合面212前端を乗り越えることができ、その円弧面411が補強リブ21の前面に当接する。この結果、ロック機構本体41は、図3に示すように、略垂直状態に支持されてロック機構本体41が側方に張り出すことはなく、ロック機構本体41が側方に張り出すことに伴うロック機構本体41の離脱やその振動などによる容器本体2の傷付きを防止することができるとともに、粘着テープによる貼着作業を解消することが可能となる。
【0029】このように、ロック機構本体41を、係合突起411が補強リブ21の当接面211に当接した略水平状態と、係合突起411が補強リブ21の前面に当接した略垂直状態とに選択的に支持することができ、ロック機構本体41を略水平状態に支持して蓋3を立設状態で保持することが可能となる他、ロック機構本体41を略垂直状態に支持して輸送し、あるいは、保管することが可能となる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1記載の発明によれば、ごみ容器を構成する容器本体に形成された少なくとも一方の軸受部には、略垂直な当接面および略水平な係合面が形成され、容器本体に回動自在に軸支されたロック機構本体には、軸受部の当接面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部から離れる方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の当接面とが当接してロック機構本体を略水平状態に支持することにより、蓋の重量を直接容器本体が受けることがなく、蓋の大きさが変化しても容器本体を損傷させることなくロック機構本体を略水平に支持することができる。
【0031】また、請求項3記載の発明によれば、ごみ容器を構成する容器本体に回動自在に軸支されたロック機構本体には、容器本体に形成された軸受部の前面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の前面とが当接してロック機構本体を略垂直状態に支持することにより、輸送時や保管時において、粘着テープによる貼着作業なしにロック機構本体が外方に張り出すことがなく、ロック機構本体が外方に張り出すことに伴うロック機構本体の離脱や容器本体の傷付きを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のごみ容器の要部を示す斜視図である。
【図2】図1のごみ容器の要部を示す正面図である。
【図3】図1のごみ容器において、ロック機構本体を略垂直に支持した状態を示す要部の正面図である。
【図4】先行発明のごみ容器において、蓋を開放させた状態を一部破断して示す正面図である。
【図5】図4のごみ容器において、蓋を開放した場合のロック機構部分を示す斜視図である。
【図6】図4のA部拡大図である。
【図7】図4のごみ容器の蓋の部分斜視図である。
【図8】従来のごみ容器を一部破断して示す正面図である。
【図9】図8のごみ容器のロック機構に蓋を吊り下げた状態を一部破断して示す正面図である。
【符号の説明】
1 ごみ容器
2 容器本体
21 軸受部(補強リブ)
211 当接面
212 係合面
212a 係止部
3 蓋
32 スカート部
4 ロック機構
41 ロック機構本体
411 係合突起
42 係止爪
43 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上方に開口部を有するとともに、この開口部近傍の外壁面に対向してそれぞれ一対の軸受部が形成された容器本体と、この容器本体の開口部を覆う蓋本体および蓋本体の周縁に連続して形成され、容器本体の開口部外壁面を外側から囲繞するスカート部からなる蓋と、容器本体の軸受部に回動自在に軸支されたロック機構本体およびロック機構本体に形成され、容器本体の開口部を塞いだ蓋の周縁の一部を係止して蓋を閉鎖状態に固定する係止爪からなるロック機構とを備えたごみ容器において、少なくとも一方の軸受部は切り欠かれて略垂直な当接面および略水平な係合面が形成され、一方、ロック機構本体には、軸受部の当接面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部から離れる方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の当接面とが当接してロック機構本体を略水平状態に支持することを特徴とするごみ容器。
【請求項2】 前記軸受部に形成された係合面には、蓋のスカート部の端縁を係止可能な係止部が形成されている請求項1記載のごみ容器。
【請求項3】 上方に開口部を有するとともに、この開口部近傍の外壁面に対向してそれぞれ一対の軸受部が形成された容器本体と、この容器本体の開口部を覆う蓋本体および蓋本体の周縁に連続して形成され、容器本体の開口部外壁面を外側から囲繞するスカート部からなる蓋と、容器本体の軸受部に回動自在に軸支されたロック機構本体およびロック機構本体に形成され、容器本体の開口部を塞いだ蓋の周縁の一部を係止して蓋を閉鎖状態に固定する係止爪からなるロック機構とを備えたごみ容器において、ロック機構本体には軸受部の前面に当接可能な係合突起が設けられ、ロック機構本体を容器本体の開口部方向に回動させた際、ロック機構本体の係合突起と軸受部の前面とが当接してロック機構本体を略垂直状態に支持することを特徴とするごみ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平9−136702
【公開日】平成9年(1997)5月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−295311
【出願日】平成7年(1995)11月14日
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)