説明

ごみ袋

【課題】破れ難いごみ袋。
【解決手段】水切り部分1cに、複数コースで1組織Aを形成した丸編み生地2を用いたごみ袋1であり、この1組織Aを、10〜35デニール(好ましくは、15〜25デニール)のモノフィラメント又はマルチフィラメントのフィラメント糸3からなる一つ又は複数の細糸コースCaと、40〜100デニール(好ましくは、60〜90デニール)のマルチフィラメント糸4からなる一つの太糸コースCbとで形成したことである。丸編み生地2を製造するときの歩留りを向上させるために、太糸コースCbのマルチフィラメント糸4を、仮撚加工糸とすることもある。自然環境保護の見地から、糸のすべてを、ポリ乳酸繊維で形成することもある。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、茶殻,食べ滓等の固形物を含む排水の水切りを行って固形物を収納するごみ袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のごみ袋には、円型編み機で編成した筒状の丸編み生地を適宜長さに切断し、一端を開口のままで他端を縫合する等して閉口したものがある。このごみ袋は、水切り部分となる領域の各コースを、ナイロン又はポリエステル等のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる10〜35デニールの細糸のみで編成したものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
とこが、前記ごみ袋は、水切り部分が、10〜35デニールの細糸のみで編成した丸編み生地からなるため、強度的に弱く破れ易い問題がある。そこで、本考案は、この問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、破れ難いごみ袋を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
破れ難いごみ袋とするために本考案が採用した手段は、丸編み生地で水切り部分を形成したごみ袋において、この丸編み生地が、10〜35デニール(好ましくは、15〜25デニール)のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる細糸コースと、40〜100デニール(好ましくは、60〜90デニール)のマルチフィラメント糸からなる太糸コースとを有し、隣接する太糸コースの間に一つ又は複数の細糸コースを設けつつ編成されていることである。丸編み生地を製造するときの歩留りを向上させるために、太糸コースのマルチフィラメント糸を、仮撚加工糸とすることもある。自然環境保護の見地から、前記フィラメント糸のすべてを、ポリ乳酸繊維で形成することもある。
【0005】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係るごみ袋を図1乃至図3に示す実施の形態に基づいて説明する。ごみ袋1は、図1及び図2に示す如く、上端1aを開口すると共に下端1bを閉口し、上下端の間に水切り部分1cを形成してある。水切り部分1cは、複数コースで1組織を形成した丸編み生地2から形成してある。この丸編み生地2は、図3の拡大図に示す如く、複数コース(図示の場合は四つのコース)で1組織Aを形成したものであって、1組織A中に細いフィラメント糸3からなる細糸コースCa及び太いフィラメント糸4からなる太糸コースCbを有し、隣接する太糸コースCb,Cbの間に一つ又は複数(図示の場合は三つ)の細糸コースCaを設けつつ編成してある。
【0006】
前記細いフィラメント糸3は、ナイロン又はポリエステルのモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる10〜35デニール(好ましくは、15〜25デニール)のものが用いられる。前記太いフィラメント糸4は、ナイロン又はポリエステルのマルチフィラメント糸からなる40〜100デニール(好ましくは、60〜90デニール)のものが用いられる。また、太いマルチフィラメント糸4は、編成時のループの形成が円滑に行われるように、曲がり易い仮撚加工糸を用いることがある。更に、両フィラメント糸3,4は、生分解性に優れたポリ乳酸繊維を選択することも可能である。
【0007】
前記ごみ袋1は、図1及び図2に示す如く、上端側にゴム口部1dを必要に応じて形成してある。このゴム口部1dは、上端側の編成時に添え糸としてポリウレタン弾性糸を編み込ん形成するか、太いフィラメント糸4として伸縮性に優れた仮撚加工糸を用い、ゴム口部1dを形成する1組織A中の太糸コースCbの数を増やして形成してある。
【0008】
前記ごみ袋1における下端1bの閉口構造は、次の二通りがある。第1の閉口構造は、図1に示す如く、切断された丸編み生地2の下端を縫合して閉口するか、又は熱融着性がある丸編み生地2を熱融着させて閉口するものである。第2の閉口構造は、図2に示す如く、切断された丸編み生地2の途中を捩じって下半側2bを折り返して上半側2aへ重ねると共に、下半側2bの端縁を上半側2aに編み止めるか又は縫合する等して接合5するものであり、捩じった箇所で閉口部を形成するものである。この折返して重ね合わせた部分は、強度的に強い二重の水切り部分1cとなる。なお、図示は省略したが、折り返した下半側2bの端縁を上半側2aの端縁に重ねた状態で編み止め又は縫合して口部を形成し、水切り部分1cの全域を二重とすることもある。
【0009】
前記丸編み生地2の製造の一例としては、糸口が四個の円型編み機(図示略)
を用い、三つの糸口の各々にポリエステルのモノフィラメント糸からなる20デニールの細いフィラメント糸3を供給し、他の一つの糸口にポリエステルのマルチフィラメント(モノフィラメントを24本束ねたもの)であって仮撚りした75デニールの太いフィラメント糸4を供給しつつ、図3に示すように、平編みとタック編みとを組み合わせるようにして、四本の糸で1組織Aを編成しつつ丸編み生地2を得ている。
【0010】
前記ごみ袋1は、流し台の排水口に備えたゴミかご、又は流し台の隅部に配置した三角形等のゴミ入れ等に取付けて使用され、茶殻,食べ滓等の固形物を含む排水が袋内側に流れ込むと、水切り部分1cで水分を通過させて固形物を捕捉して収納する。
【0011】
【考案の効果】
本考案に係るごみ袋は、生地に太糸コースを含ませることで、強度が増して破れ難くなる。また、太糸コースのマルチフィラメント糸に仮撚加工糸を用いた場合には、糸が曲がり易いことから、編成時のループの形成が円滑に行われ、丸編み生地製造時の歩留りを向上させることができる。更に、糸にポリ乳酸繊維を用いたときには、繊維の生分解性により、自然環境の保護にとって良好なごみ袋となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るごみ袋の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本考案に係るごみ袋の実施の形態の別態様を示すものであって、(A)はごみ袋全体を示す斜視図、(B)は製造途中の要部を示す斜視図である。
【図3】本考案に係るごみ袋を形成する丸編み生地を拡大して示す組織図である。
【符号の説明】
1…ごみ袋 1c…水切り部分 2…丸編み生地 3…細糸コースを形成するフィラメント糸 4…太糸コースを形成するフィラメント糸 A…一つの組織Ca…細糸コース Cb…太糸コース

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】丸編み生地で水切り部分を形成したごみ袋において、この丸編み生地が、10〜35デニール(好ましくは、15〜25デニール)のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸からなる細糸コースと、40〜100デニール(好ましくは、60〜90デニール)のマルチフィラメント糸からなる太糸コースとを有し、隣接する太糸コースの間に一つ又は複数の細糸コースを設けつつ編成されていることを特徴とするごみ袋。
【請求項2】前記太糸コースのマルチフィラメント糸を、仮撚加工糸とした請求項1に記載のごみ袋。
【請求項3】前記フィラメント糸のすべてを、ポリ乳酸繊維で形成した請求項1又は2に記載のごみ袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】実用新案登録第3082169号(U3082169)
【登録日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【発行日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【考案の名称】ごみ袋
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2001−3312(U2001−3312)
【出願日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願人】(300006191)進弘繊維 株式会社 (1)