説明

さいがいチャン(携帯用受信機能付き照明ランプ)

【課題】長時間の保存に耐え、繰り返し充放電による劣化が少なく、コストの低い蓄電システムを提供する。
【解決手段】太陽電池からの昼間電力を長寿命で電気容量の大きい蓄電器を搭載して蓄え、情報受信機能を兼持させながら極力消費電力を抑制し、災害時の夜間に点灯する受信機能付き照明ランプ。ランプには液晶テレビなどパネルの白画面を使用し、充放電の電源には電気二重層キャパシタを使用して充分放電能力を持たせる。通常時は寝室などの常夜灯、娯楽テレビとしても使用でき、常備しておく価値が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地震、洪水、台風などの災害時に屋外で避難生活を強要される時やキャンプ生活において必ず必要となる照明と周辺情報を音声・画像で授受する機能を持ち、一方通常生活時においては寝室内などでテレビ・ラジオ受信や終夜灯として利用できる携帯可能で補助電源機能を持つ照明ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年異常気象に伴って頻発する台風・風水害や都市直下型あるいは大規模地震の災害が発生し、広大な山野道路、橋梁、建造物破壊や都市災害によって大勢の人々が災難に遭い、電気、水道、ガスなどの無い状況の中で生活をする場合がある。このような災害時には衣食住の確保が最初に行われ、その後夜間になると照明が必需となり、同時に周辺状況や救援・支援・避難・報道などの情報取得が必須となる。
このような災害対応の備品として従来からローソク、石油ランプ、携帯ラジオが使用されており、多くの人々の夜間の不安を救っているのは周知のことである。
【0003】
簡便安全で持ち運びに安定な照明は懐中電灯であるが高照度、長期間の使用には電気容量が少なくて使用できなくなり、いつ発生するかわからない災害のために長期間保持していると乾電池は劣化してしまう。そこで二次電池を使用して充電可能な電源として搭載し災害時にも使用できる照明器具が提案されている。
【特許文献1】特許公開2002−304901
【特許文献2】特許公開2005−148593特許文献1には太陽電池を4面に貼り付けて発電した電力を蓄電器に充電しておき、災害時に豆電球を点灯する機器が提案されている。電力の途絶えた被災場所に明かりが戻る機器となるが、一方これだけでは自分達以外の周辺で起きている各種情報は得られない。又特許文献2はLEDランプをトンネル内に設置し、電力は通常時は電力線により供給を受け、非常時には蓄電池に充電しておいた電力で照明や表示を行う機器が提案されている。
【0004】
先の文献例においては、非常時の照明点灯の電力は太陽電池を用いて発電し、蓄電池に充電して点灯放電する方式を採用している。災害時の避難生活にては夜間の明りは人の行動を確保し安心感を与えるものである。ここで使用される蓄電池は鉛系、ニッケルーカドミウム、ニッケル水素系、リチウムイオン系がよく知られており、出力特性が年々改善されている一方、電池寿命が存在する。それら二次電池の出力電力量対コスト性能は急激な改善は無いが、高出力蓄電池としての発展が続けられている。出力電力対コスト比較で同等としても、最近の電気自動車や電子機器のように小型で出力の大きい負荷で使用される蓄電池は大変高価である。
【0005】
一方避難生活において必要なのは情報である。災害時に不安のあまりわずかな流言蜚語によって大勢の人々が心配や恐怖を味わう事態が起きないように救援・支援・避難などの情報を音声や画面・動画情報として得ることが必須である。常々日常生活で携帯ラジオを所持している人はいるが、災害対処として石油ランプ等の確保が煩わしいのと同様、なかなか常備徹底は難しいことである。情報伝達には「目」を使用する画像、動画と音声を駆使する機器、例えばテレビ、携帯電話の効果が大きいことは知られている。災害時に携帯テレビがあれば大変効果的な難民支援になることは当然である。又、これらの電源には高容量で充放電に取り扱い容易なものが望まれる。しかしながら、何時起こるかわからない災害のために携帯ランプやテレビを持つことは無駄な出費と考えられてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池を用いて夜間にランプを点灯する機器に蓄電池が用いられるが、一般的に普及している鉛蓄電池は安価であるが寿命が短く電解液の補充などメンテナンスが必要である。又通常の電気通電時に充電をそのまま続けるのは過充電を起こし蓄電池を破損し、又発熱を伴って事故を作る原因にもなるので、過大な電流制御機や放熱機構を取り付ける対策であり費用も掛かる。リチウムイオン電池など充放電特性の良い蓄電池は概して高価である。そして、全ての蓄電池はその発電原理が金属や化合物と電解溶質との化学反応の結果発電する原理なので物質の化学変化の繰り返しによって不可逆な化合物を生み、結果として蓄電能力が劣化する。又繰り消し充放電をしないで長期間保存する場合にても自然放電により少しづつではあっても化学反応は進行し、電極が疲弊することにより蓄電池の寿命が短くなる。
長時間の保存に耐え、繰り返し充放電による劣化が少なくコストの低い蓄電システムが望まれる所以である。
【0007】
災害時の夜間照明に使用する機器であっても、昼間時にはラジオ音声やテレビ画像により地震情報聴取や携帯連絡可能な機能もあれば望ましい。この情報機器は普段は市場に余るほどあふれている。しかし電灯電力が途絶え発電機も無い非難場所において、限られた太陽光発電と充電システムの電力でこれらの電力を賄うためには、消費電力を極力抑えたランプであり、テレビであることが望ましい。消費電力の少ないランプとしては白熱灯を避けて蛍光灯やLEDの使用が望ましい。最近は固体ELや有機ELなど低消費電力で明るいディスプレイパネルが出現している。しかしながらランプとテレビを組み込んだ携帯用地震機能付きランプの商品は実用化されていなかった。両方を別個に取り込んだ機器では消費電力が増え,また価格も増加するからである。
【0008】
災害非常時に使用する機器とは、逆に通常時間中の殆どは静止保存(ただの置物)である。まして情報機器のテレビやラジオを常備しても、通常時には殆ど使用しないのではそれは無駄な持物という観念が働き、その商品は大勢の人に使用されない。組み込んだテレビは通常時においても利用されるものが望ましい。従来の災害用ランプには上記要望を満たすものがなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、なるべく少量軽量で価格が安く、その上特電容量が大きく繰り返し使用寿命が長く、長期放置にも劣化せず又廃棄時の環境も汚さない蓄電池として電気二重層キャパシタ(EDLC)を使用する。又、簡単な電流電圧調整LSIを挿入してどんな電流電圧、時間変化量に応じても最適な充放電を行うものとする。
電池への充電は、2つの方式を用いる。一つはランプ機具本体に取り付けた太陽電池からの電力を使用することである。昼間は晴天雨天、朝方夕方に係わらず又室内においても直接太陽光または反射光を受け発電し、夜間に於いても通常時は室内電灯光から微弱であるが発電をする。2番目の方式は通常使用時に電灯線からのアダプター電源を用いてランプ機具内の電気二重層キャパシタに接続充電を行う。
【0010】
照明とテレビ等の電力を抑制するためには、電力消耗の少ないLEDバックライトを使用した液晶テレビまたは同じく電力消耗が少なく発光の明るい有機LEテレビを使用する。液晶テレビに使用するバックライトは冷陰極蛍光灯が主流だが、最近はLED光を樹脂の導光板の端面から挿入したものをパネルとし、その光は樹脂板を透過する途中から板面に直角方向に、つまりパネル面の正面方向に散乱光を放射するものがある。図面や動画製造の投影は導光板表面に形成したフィルタや液晶の点滅マトリックスにより形成する。このパネルを照明器具として用いるには、画像形成の信号を遮断し、真っ白な画面にセットして使用する。
この機具本体内にはAM/FMラジオも搭載する。又この機具本体をその他の電気製品、例えば携帯電話機の電源として使用するために、電気二重層キャパシタに接続したコネクタを取り付ける。又ランプ、情報機器等のスイッチ、音量調整などの調節スイッチを取り付ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明のランプ電源として用いた電気二重層キャパシタは、原理的に化学反応を行わない物理電池であるから電極や電解質の劣化が無く、寿命は無限といわれるほど長い。その充電時間は通常の二次電池と比較して飛躍的に早くすることが可能であるから、不用意に完全に放電しきっても電灯線電力を使用すれば短時間で充電できる。本発明に用いる電気二重層キャパシタは太陽光や室内照明など明るさが不安定で、微弱な光の下での発電であっても効率的な充電が可能である。通常時の連続充電に対しても過充電を起こすことが無い。放電する時は電荷が無くなるまで。つまり出力電圧ゼロ迄使用しても、次に使用するときの電池性能に影響がないので、電池容量を最大限に引き出して使える。このように数々の特長を持った電池電源は、使用している材料元素が地球に豊富で毒性もないので廃棄時の地球への負荷はなく、環境に優しい安全なものでもある。
【0012】
本発明のランプ機器は、液晶や有機ELテレビに使用しているパネルを夜間の照明として使用したり画像情報機器として使用することで災害非常時だけでなく通常時の寝室などで娯楽や深夜灯としての利用ができる。いつでも使える機器とすることによって使用価値が高くなる。災害時に使用する携帯用受信機能付き照明ランプといえども、大勢の人々が所持する意向をそそるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の携帯用受信機能付き照明ランプには、災害非常時に補給する電力源として太陽電池パネルを使用する。使用する電池の種類を検討すると電気変換効率が高いのは結晶シリコンだが割り高になり、安価で軽量なのはアモルファスシリコン、有機(カドミウム・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)、色素)系の薄膜形がある。薄膜形はフレキシブルフィルム形状なので、変形した容器にも利用できる。ランプ用には小型携帯テレビサイズが手ごろであり、携帯して持ち運びやすさを考慮し、寝室の置物ランプ、テレビ用途からは片手でつかめるサイズがてごろである。
消費電力は極力抑えたものが望ましい。携帯電話機の中には明るく進み動画映像を表示できるものがある。充電器となる電気二重層キャパシタは開発が急であり、活性炭や電極構造、電解質改善に伴い30Wh/kg容量級の製品も出現するようになった。容器形
状は様々あるが機器本体への収納効率を考えると、直方形が使用し易い。このキャパシタの電極口には電流電圧制御LSIが繋がれ、太陽電池からの入力電力とランプパネル、外部機器に接続する際の最適作動を行う。
【実施例】
【0014】
本特許の携帯用受信機能付き照明ランプの外観を図1に、又そのランプを上方から眺めおろした時の部品配置を図2に示す。
携帯用受信機能付き照明ランプ本体機具1の概観は縦80×横180×奥行き50の直方体であり、通常時寝室に置くことを想定してプラスチック材で落ち着いた藍色基調の容器とした。面積の大きい一方の面全面にCIGS太陽電池2を取り付けた。有効面積は150×80であるので、晴天昼間時は1.2W/hrの電力が得られる。一日中朝から夜までに7〜8Whの充電が可能であった。ランプ本体機器のもう一方の面積の大きい面に、ワンセグ携帯電話のパネルを改造したものを動画パネル3として設置した。このパネルのバックライトはLEDを使用し、照明ランプモードで使用するときは通常動画時の時より照度を明るくし、点灯方式は1KHz中の点滅を時分割制御して省電力化を計った。電気二重層キャパシタ4は55×60×100のものを本体機1の中に固定した。容量は20Wh、72,000F相当であった。
テレビのチューナ,動作回路モジュールは市販されている携帯テレビの部品を調達し、同じくAM/FMチューナ受信モジュールと一まとめにしてモジュール5として本体機器1の中に固定設置した。
【0015】
本発明の携帯用受信機能付き照明ランプを室内電灯線から充分充電し、照明ランプのみを点灯して放電すると2昼夜(〜49hr)点灯できた。太陽電池からの一日の充電電力だけで点灯する場合は11〜13hr分しか点灯できないが、夜間のみの点灯であれば1晩分は充分使用できる。あらかじめ電灯線から充電しておいた場合であれば、夜間だけランプを使用することにし昼間は太陽電池で充電して夜間だけなら約5日間点灯することが可能である。更に屋外生活を続ける場合は、毎日昼間に太陽電池で充電しておけば連日の夜間中の点灯が可能である。


【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯用受信機能付き照明ランプの本体機器概観図
【図2】本体機器上部から見た底面配置図
【符号の説明】
【0017】
1・・・・本体機具容器
2・・・・太陽電池パネル
3・・・・ランプテレビ用パネル
4・・・・電気二重層キャパシタ
5・・・・テレビ・ラジオモジュール
6・・・・スピーカ
7・・・・ボリューム・スイッチ
8・・・・チャンネル・ランプ切り替えスイッチ
9・・・・電源出力コネクタ
10・・・外部電源入力コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの面に照明・映像投影が可能であるパネルと他方の面に太陽電池を持った器具本体であり、前記器具本体内に無線受信機および蓄電器を具備した携帯用受信機能付き照明ランプ。
【請求項2】
器具本体に入る照明・映像パネルは、樹脂導光板上に映像を照示する液晶又は有機エレクトロルミネッセンス(EL)から構成されていてテレビや静止画文字が投影可能であり、無地白色画面が照明ランプの機能を持つ請求項1の携帯用受信機能付き照明ランプ。
【請求項3】
器具本体に取り付ける太陽電池は薄膜型の平板パネル型電池であって昼間の太陽光や室内への侵入光又は夜間の室内照明光から発電できる請求項1の携帯用受信機能付き照明ランプ。
【請求項4】
器具本体に入る蓄電池は充放電を制御する回路素子を附属した高静電容量を持つ電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項1の携帯用受信機能付き照明ランプ。
【請求項5】
器具本体に入る無線受信機はUHF,VHF,BS帯テレビジョン受信機とAM・FMラジオ受信器であって、アンテナやスピーカ、ボリュームスイッチ等通常の受信機能を保有する請求項1の携帯用受信機能付き照明ランプ。
【請求項6】
器具本体には外部の電子機器を操作できる電力を補助電源から取り出すことが可能なコネクタ及び通常の室内使用時に使用する電灯線電力からの入力電源コネクタを兼備する請求項1の携帯用受信機能付き照明ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−9947(P2010−9947A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168197(P2008−168197)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(593116973)
【Fターム(参考)】