説明

そばの製造方法

【課題】 本発明は、消費者が好む香りが強いそばの製造方法である。茹でるときに切れにくくするために、つなぎ粉を多く使用しても香りが強いそばを製造し提供する。
【解決手段】 そばを製造するにあたり、加水混練工程において通常用いる冷水や湯に代えてそば茶を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りを強化したそばの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、そばの製造をするとき、そば粉につなぎに用いる小麦粉などを混合して、冷水又は湯を適量用いて練り上げ、圧延機あるいはのし棒で所望の厚みに延展したのち、切り出し機あるいは包丁で麺線にするが、消費者が好む香りが強いそばの製造方法として、香りが強い甘皮粉の生地を、そばの実中心部を製粉した更科粉の生地で両側からはさみ、延展して製麺するなどのことがなされている。 (特許文献1参照)
【特許文献1】 特開平9−47245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
香りが強いそばを製造する方法として背景技術に記載の方法の他に、一般的には甘皮粉の混合比率を上げる方法や、つなぎ粉の混合比率を下げる又はつなぎ粉を用いない方法(いわゆる十割そば)が用いられてるが、粉に粘度や弾力が乏しいため製麺するのが難しく、切れやすい麺線になってしまう。
本発明は以上の問題点を解決し、つなぎ粉として用いる小麦粉などの混合比率をあげても香りが強くて切れにくいそばの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そばを製造するにあたり加水混練工程において、通常用いる冷水または湯に代えて韃靼そばや普通そばの抽出液すなわちそば茶を用いる。
本発明は以上の工程を特徴とする、香りを強化したそばの製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明により消費者が要求する香りが強いそばを、つなぎ粉を比較的多量に混合しても製造できる。このことにより香りが強くなおかつ切れにくいという相反する要素を併せ持つそばを簡易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下本発明の実施の工程を詳細に説明する。
(イ) 粉原料混合工程
脱穀して外皮を脱したそばの実を石臼等で挽き、粉末状にしたそば粉を所定量(例えば60%)に対してつなぎ粉(小麦粉など)を所定量(例えば40%)加えて十分に混合する。
(ロ) そば茶抽出工程
加水混練工程で冷水または湯に代えて使用するそば茶の抽出方法は、まず脱穀して外皮を脱したそばの実を焙煎する。この際カルボニル化合物、フラン類、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類など多種類な香気成分を生成することが知られており、本発明はこれら香気成分により完成したそばの風味を香ばしく強化することを目的とする。 またより自然な風味を得たい場合は焙煎しないそばの実を使用してもよい。
そば茶抽出に用いる水は、飲用に適したものであればよいが、蒸留水、浄水器を通した水などが好ましい。
抽出用水100重量部に対して、焙煎したそばの実5〜10重量部程度使用する。抽出方法は、80度〜100度の液温の抽出用液にそばの実を浸しておこなう。抽出時間は香気成分を十分に溶出させるため10分〜30分程度がよい。得られた抽出物を遠心分離機やざるなどで濾別後5度〜10度程度の液温になるまで冷却した抽出液をさらに濾紙濾過してそば茶を精製する。
(ハ) 加水混練工程
粉原料混合工程で得た混合粉をミキサーなどの混練に適した機材にいれ、若干の塩とともに、そば茶抽出工程で得たそば茶を加水率が35%〜45%になるまで加水する。次に加水された混合粉を、こね鉢や混練機で十分に混練する。なおこの時のそば茶の液温は3度〜100度の間で任意にきめる。
(二) 圧延切り出し工程
加水混連工程で得たそば玉を圧延機やのし棒などで帯状にのしたものを、切り出し機や包丁で細長い麺線に切り出し仕上げる。
(ホ)
圧延切り出し工程によって得られた生そばきりは、店などで供する場合は、そのままゆでた後、冷そばや温そばに仕上げて供する。 流通商品にする場合は、生のまま包装しても良いし、乾燥機などで乾燥した後、包装出荷してもよい。
(ヘ)
このようにして出来上がったそば茶入りそばを通常の茹で方で茹でた後、冷却して盛りそばをつくり、これを10名の味覚判定員が通常の製法のそばとの比較判定したところ、そば茶入りそばのほうが明らかにそばの香りが強く、またかすかに焙煎によって得られた香ばしい香りもあり、商品価値が高いとの一様の判定結果が得られた。
(ト)
以下原材料について説明する。
そば粉原料は、一般に栽培されているすべての品種を使用できるものとし、脱穀して製粉された種子芯部(更級粉)のみを使用してもよいし、外周部(あま皮粉)を混合した粉のいずれを使用してもよい。
(チ)
加水混練工程で使用するそば茶原料のそばの実は、一般に栽培されてる普通そばや韃靼そばの品種すべてを使用できるものとし、脱穀して外皮を取り除いたそばの実を原料として使用する。
(リ)
つなぎ粉として使用する原料は一般的に小麦粉、山芋、澱粉、植物繊維など様々なものが使用されているが、つなぎとして適したものはすべて使用できるものとし、複数種類混合してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そばを製造するにあたり加水混練工程において、通常用いる冷水や湯に代えて韃靼そばや普通そばの抽出液すなわちそば茶を用いることを特徴とするそばの製造方法。
【請求項2】
製麺した後に乾燥させる請求項1に記載のそばの製造方法。

【公開番号】特開2008−220346(P2008−220346A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102182(P2007−102182)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(506117264)
【Fターム(参考)】