説明

つけまつ毛用ベース

【課題】簡単に装着することができ、装着中ずれたり、離脱しないつけまつ毛用ベースを供する
【解決手段】ベースは極薄の厚さからなり、表面の下端部に長手方向に沿って余白部2aが、接着層4に隣接するベースの両端部に余白部2bが設けられる。余白部を残す基端部には多数本のヘア材3が貼着されるべき接着層4が形成され、裏面には全面に粘着層7が形成される。さらにベースの下端部が直線状に形成され、上端部が突弧状に形成される。ベースの切断はベースの裏面にレーザ光Rを照射してなされる。ベースはつけまつ毛に加工されるに当たり、下端部表面に余白部が設けられているので、レーザ光Rによりベースが所定形状に切断される際、ヘア材を貼着する接着層の一部を破壊損傷するおそれがなく、ベースから粘着層が脱落することがないのでまぶたからのベースの剥離防止、ベースからのヘア材の脱落防止ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はつけまつ毛用ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のつけまつ毛103は、図12に示すように、幅員0.5mm位の極細線状ベース101に人工まつ毛が植え付けられ、まつ毛122の直上の瞼に接着剤により貼着していた。また図13に示すように、脱落したまつ毛122の部分その他の補強箇所に通常1乃至数箇所のレベルでピンセット等を用いて点状に貼着するタイプのものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−44493
【特許文献2】特開2008−231632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は貼着に当たり接着剤を用いるため、一歩間違えば目を損傷することにもなりかねないリスクがあった。よって、貼着作業は慎重に行われるが、なかなか上手くいかず時間がかかっていた。時には上手く貼着できない状態で使用する結果にもなりかねなかった。
【0005】
これは次の理由による。図14に示すように、従来のつけまつ毛は線状であるため、貼着の際つけまつ毛が種々に変形するがその変形が垂直方向にも水平方向にもなり、360度あらゆる方向に変形する。つけまつ毛の貼着は上瞼の下端という唯でさえ貼着が困難な部位に、変形自在の線状つけまつ毛を貼着するというのは位置合わせが非常に困難であり、高度の習熟を要するからである。
【0006】
また上手く貼着できた場合でも、貼着面積が線状又は点状と非常に小であるため、装着中瞼の上下動によりずれてくることがあり甚だ不体裁であった。
【0007】
従来のつけまつ毛はベース101が線状又は点状であって接着面積が小であるため、使用時間が短く、洗顔により脱落したりずれたりすることがあった。
【0008】
さらに、溶剤を含有する接着剤を用いるため、装着後溶剤の揮発により一定時間目を開けることができなかった。
【0009】
さらにまた、まぶたへの装着時又は装着中に線状のベースのとくに両端部がまぶたに当たり、装着者に苦痛を与えていた。また線状物の装着となるため装着の持続時間が長くても6時間程度と短く、洗顔や涙により容易に離脱し易いという欠点があった。
【0010】
そこで、本出願人は特許文献2を提案したのであるが、これによっても、未だ次の難があった。
【0011】
即ち、特許文献2によるつけまつ毛は、かつら用に開発されたもの、即ち、ヘア材が植え付けられて裏面に凹凸が現出され、頭部に装着されたとき裏面の凹凸が反転するベースを転用しているため、かつらのように広い面積では期待できるベース裏面の凹凸の反転がまぶたへの装着に当たっては実際的ではなかった。この理由はまぶたは人体の皮膚の中でも最も薄い部位に属し通常10〜20μ程度であり、頭部装着と同じように大なる圧力をかけることが適当でないからである。
【0012】
このため、ベース裏面の凸部に付いている粘着層のみがまぶたに装着し、凹部に付いている粘着層はまぶたに装着することが非常に困難であった。
【0013】
この結果、凹部とまぶたとの間にギャップが生じ、装着力が低下するとともに、装着の持続時間も低下し、洗顔や涙により水分が凹部に浸入し容易に離脱し易いおそれがあった。
【0014】
本願発明の目的は上記欠点を解消すること、具体的には、整然と整列されたヘア材のまま簡単に装着することができ、かつ、装着中ずれたり、離脱しないつけまつ毛用ベースを供することである。その他の目的は以下の説明より明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的達成のため、本願発明によるつけまつ毛用ベースは、瞼に貼着するつけまつ毛用のベースであって、上記ベースは極薄の厚さからなり、表面の基端部に余白部が設けられ、該余白部を残す基端部に多数本のヘア材が貼着されるべき接着層が形成され、裏面には全面に粘着層が形成され、さらに上記ベースの基端部が直線状に形成され、基端部に対し反対側の端部が突弧状に形成されることを特徴とする。
また、請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記余白部が基端部の長手方向に沿って設けられることを特徴とする。
また、請求項2記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記余白部はさらに上記接着層に隣接するベースの両端部にも設けられることを特徴とする。
また、請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ベースの切断がベースの裏面にレーザ光を照射してなされることを特徴とする。
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材が線状部材に整列状態で固着され、該線状部材が上記ベースに貼着されることを特徴とする。
また、請求項5記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材に上記ヘア材を絡合させることを特徴とする。
また、請求項5記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材に上記ヘア材を結着させることを特徴とする。
また、請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材が単数個からなることを特徴とする。
また、請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材が複数個からなることを特徴とする。
また、請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材と上記ヘア材とが一体物からなることを特徴とする。
また、請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上位ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とする。
また、請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材の根元部が球状に形成されることを特徴とする。
また、請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材の根元部が扁平に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によるつけまつ毛用ベースは、つけまつ毛に加工されるに当たり、表面の基端部に余白部が設けられているので、レーザ光によりベースが所定形状に切断される際、ヘア材を貼着する接着層の一部を破壊損傷するおそれがなく、ベースから粘着層が脱落することがない。よってまぶたからのベースの剥離を防止することができ、かつ、ベースからのヘア材の脱落を防止することができる。
【0017】
またつけまつ毛として製品化されたとき、ヘア材は毛先の方向性が整列された状態のままベースの接着層に強固に貼着することができる。よってヘア材が整然と整列された状態のままつけまつ毛をまぶたに簡単に装着することができる。
【0018】
また瞼への装着に当たり、ヘア材が直線状に形成されていることから、自毛のまつ毛とつけまつ毛とを略同一線上に重なるように装着することができ、よってつけまつ毛が自毛と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。またこれにより接着層の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。
【0019】
本願発明によるつけまつ毛用ベースは貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が瞼に貼着される。よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼下縁への基端部の位置合わせは手にするベースの面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり瞼に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本願発明によるつけまつ毛用ベースの左目用の実施の形態を示す表面図、(B)は同右目用の表面図、(C)は(A)のC−C断面図である。
【図2】(A)はベースの実施例を示す正面図、(B)はベースの他の実施例を示す正面図である。
【図3】(A)は図1のつけまつ毛用ベースを用いたつけまつ毛を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(D)のF部拡大図である。
【図4】(A)は図3のつけまつ毛に用いられるヘア材の実施例を示す正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は同他の実施例を示す正面図、(D)は(C)の右側面図、(E)は同さらに他の実施例を示す正面図、(F)は(E)の右側面図、(G)は同さらに他の実施例を示す正面図、(H)は(G)の右側面図である。
【図5】(A)は本願発明を用いたつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は(B)のC部拡大図である。
【図6】本願発明を用いたつけまつ毛の製造方法を示し、(A)は第1工程、(B)は第2工程、(C)は第3工程、(D)は第4工程を示す。
【図7】(A)はサイズパターンスケールの実施例を示す正面図、(B)は同他の実施例を示す正面図、(C)は同さらに他の実施例を示す正面図である。
【図8】(A)は従来のベースの切断を説明する図、(B)は本願発明によるベースの切断を説明する図である。
【図9】本願発明を用いたつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【図10】本願発明によるつけまつ毛用ベースに他のヘア材を貼着した実施例を示す部分拡大側面図である。
【図11】本願発明によるつけまつ毛用ベースを用いた他の変形例を示し、(A)はその正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図である。
【図12】(A)は従来のつけまつ毛の一例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図13】従来のつけまつ毛の他の例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図14】従来のつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明によるつけまつ毛用ベースをさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図1乃至図5において、1はベースであり、人皮程度の極薄のシート(例えば厚さ20μ)からなる。該ベース1は伸縮性のある素材例えばポリウレタン製であり、色彩は透明で薄い肌色であり、実質平面状に形成される。該ベース1は、表面の下端部1cに長手方向に沿って余白部2aが設けられ、該余白部2aを残して下端部1cに接着層4が形成される。また接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられる。上記接着層4はUV硬化剤からなり、上記ベース1上に直線状に形成される(図6(B)に示す)。1dは突弧状に形成されたベース1の上端部である。上記ベース1の裏面には全面に人体に装着させるための医療用接着剤からなる粘着層7が形成される。該粘着層7は例えばアクリル系粘着剤からなり、転写法により、上記ベース1の裏面全面に均等な厚さで形成される。即ち、両面に剥離紙(PET)を設けたアクリル系粘着剤の一の面の剥離紙を剥してその面をベース1の裏面全面に固着し、使用時に他の面の剥離紙9を剥して上瞼20(図5(A)〜(C)に示す)の適用部位に貼付する。
【0023】
上記余白部2a、2bの大きさは後に詳述するように、毛髪1本分の直径より小程度とする。具体的には、a1=約0.1mm乃至約0.6mm、a2=約0.1mm乃至約0.6mm程度とするのが望ましい。なお、本実施例の場合ベース1は、日本人の目の大きさi(図5(A)に示す)が平均約30mmであるため、長さL=約26mmとしてあり、最大幅は一重用W1=約2.6mm、二重用、奥二重用W2=約4mmとしてある。なお、ベース1の形状は、図7に基づいて後述するように、適用されるまぶたの形状により種々あるため、図1では最大幅を「W」として総称的に表わす。
【0024】
上記接着層4には、つけまつ毛製品とするに当たり、上方に向かってカールした多数本のヘア材3が貼着される(図3、図4参照)。該ヘア材3は例えばポリエステル繊維からなり、先端部が上方に向かってカールして形成される。
【0025】
上記ヘア材3の態様は種々あり、例えば単一又は複数の線状部材に多数本のヘア材を絡ませたり(絡合)、結着させる場合、あるいは線状部材なしに接着層に多数本のヘア材を直接貼着する場合がある。例えば、図4(A)、(B)は絡み合う2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟み込み、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(C)、(D)は平行する2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟持し、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(E)、(F)は1本の線状部材31に多数本のヘア材3を接着剤で接着し、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(G)、(H)は1本の線状部材31にヘア材3を多数結着させ、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。線状部材31としては、糸、テグスなどがある。ヘア材3の長さdは2mm位〜12mm位に形成される。貼着されるヘア材3の幅eは10mm位〜50mm位が多い。各ヘア材3は図4(A)〜(H)に示すヘア材ユニット3Aの段階からすべて上方にカールしており、中央付近のヘア材3が他の部分のものより長く形成されている。
【0026】
本願発明によるつけまつ毛用ベースを用いたつけまつ毛の製造は、例えば次の工程による。
【0027】
第1工程(ベース供給工程)
作業台12の作業位置Tの上にリール13に巻かれた長尺状のベース母材1Mから1区画分のベース母材1Mが供給される(図6(A))。上記ベース母材1Mの裏面には粘着層7が形成され、その裏には剥離紙9が貼られている。
【0028】
第2工程(接着剤供給工程)
上記1区画分のベース母材1Mの適宜位置に接着層4となる接着剤が供給される(図6(B))。接着層4は、便宜上、図6(B)及び図6(D)では水平方向に2箇配設されるが、適宜箇数歩留りの良いように1区画分のベース母材1M上に設けられる。上記接着剤の供給は、作業台上に固定された1区画分のベース母材1M上に、図示しない供給パイプを水平に移動することにより直線状になされる。
【0029】
第3工程(ヘア材の貼着工程)
多数のヘア材3を線状部材31に連結してなるヘア材ユニット3A(図6(C)に示す)を開閉自在の一対のロボット軸15で把持し、この状態で上記ヘア材を上記ロボット軸15を下降せしめて接着層4に貼着する(図6(D))。上記ヘア材3の貼着は、上記ロボット軸15を適宜に位置調節することにより行なう。
【0030】
第4工程(製品化工程)
かくして一点鎖線Mにて示す1区画分のベース母材1Mにヘア材が貼着されると、ベース1は図6に示すサイズパターンスケール11に合わせて所定の形状に切断され、つけまつ毛製品となる。このような作業が連続的に繰り返される。
【0031】
ベース1は、レーザ光Rにより、図7に示すカットラインに基づき所定形状に切断される。ベース1のレーザ光Rによる切断については図8を参照して後述する。
【0032】
図7はつけまつ毛のサイズパターンスケール11を示す。図7(A)は目の大きさが大きいサイズ用、同(B)は同普通サイズ用、同(C)は部分的に装着する場合に使用されるスケールを示し、各図とも11Aは左目用、11Bは右目用を表わす。各パターンともカットライン11dを直線状に形成するとともに、先端部のカットライン11a、11b、11cを眼球21の上方曲線21a(図5(A)に示す)に合わせるようパターン化された突弧状の曲線に形成されている。ベース1は上記サイズパターンスケール11に沿って切断される。
【0033】
図7(A)、同(B)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された奥二重又は一重を形成するためのカットラインを、「11c」は最大2mmに形成された二重又は一重を形成するためのカットラインを各示す。図7(A)のカットライン11dの長さは30mm、図7(B)のカットライン11dの長さは23mmとしてあるが、目の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。図7(C)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は二重以上を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを各示す。上記カットライン11dの長さは15mmとしてあるが、装着したい部分の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。
【0034】
ベース1を図2(A)及び(B)に示す所定の形状に切断するには、ベース1の裏面からレーザ光Rを照射して行なう。この切断において、図8(A)に一点鎖線で示すように、レーザ光Rをベース1とくにヘア材3が貼着されるラインぎりぎりに沿って直角に照射すると、ヘア材3を損傷することが多い。そこでレーザ光Rは、図8(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜(例えば接着層4に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射しベース1を切断している。このようにすれば接着層4付近に貼着されているヘア材3を損傷することが防止される。しかしながら、このようにレーザ光Rを傾斜して照射すると、ベース1の裏面に形成された粘着層7aの全部又は一部が溶解して裏面から脱落又は一部が剥離してしまう。こうなると上瞼に装着したとき、上瞼との一体装着性は失なわれ、装着力が低下するだけでなく、ベース1の一部が上瞼から剥離するとベース1と上瞼との間にギャップができるので、いかにもつけまつ毛然となり外観上自然毛と見分けがつき易くなる。
【0035】
また図8(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜させてレーザ光Rを照射すると、ヘア材3を貼着する接着層4の一部を破壊損傷することがあり、こうなるとヘア材3がベース1から脱落するおそれがある。
【0036】
本実施の形態においては、図8(B)に実線で示すように、レーザ光Rを下端部1cとなるべき部位に対し傾斜(例えばベース1に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射してもベース1の表面の下端部相当部位1cに対し長手方向に沿って余白部2aが設けられ、かつ接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられているので、ヘア材3を損傷することがなく、かつレーザ光Rの出力も小とできるので照射付近の粘着層7の溶解も防止される。よって装着中のつけまつ毛の上瞼からの脱落防止及びヘア材3のベース1からの脱落を防止することができる。
【0037】
ヘア材3は肉眼では意識されない程度の若干の余白部2aを残してベース1のぎりぎりに貼着される。このため、自まつ毛22とヘア材3とが図5(A)乃至図5(C)に示すように略同一線上に重なるから自まつ毛22と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。加えて接着層4の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。つまり、ヘア材3がベース1のぎりぎりに貼着されていないと、自まつ毛22とヘア材3とが上下に二重になって甚だ不体裁となるだけでなく、接着層4の残部が視界に入ってくるので視界に霧がかかったようになって悪化するのであるが、これが防止される。
【0038】
また、ベース1の両端部にも余白部2bが残されるため、ここにヘア材3が貼着されることがないから、自まつ毛22の生え際とヘア材3の貼着部位が一致する。よって加工されるつけまつ毛がより自然的になる効果がある。
【0039】
さらに余白部2aと自まつ毛22との間に形成される若干のギャップg(図5(C)に示す)にアイライン化粧料(図示せず)を塗布することもできる。
【0040】
ベース1は平面形状に形成され、二次元的にも三次元的にも特定のユーザ用に加工されていない。よって多種多様のユーザに対応可能である。
【0041】
またベース1の上端部1dが突弧状に形成されているから、上瞼20の皮膚を上方に引き上げ、目元を一層ぱっちりとすることができ、アンチ・エージング効果を生ずることができる。
【0042】
ベース1が平面形状に形成され、ヘア材3が直線状に貼付されているため、ベース1が上瞼20に貼着されるとヘア材3が突弧状の上瞼20に沿って突弧状になり、各ヘア材3が放射状に拡開される。このためまつ毛(実は「つけまつ毛」)のラインが濃く見え、目元がぱっちり大きく見えるのである。
【0043】
多数本のヘア材3は、整列された状態で線状部材31に連結され、ベースに線状に接着されているから、毛先の方向性が区々とならず、所定の方向即ち上方にカールした状態のままベース1の表面に固定することができる。
【0044】
各ヘア材3は上方にカールした状態を維持したままベース1に貼着されているが、上瞼20に装着されると、前述のように上瞼20が突弧状に開となるため、貼着された各ヘア材3の上瞼20に沿って突弧状となる。この結果平行に貼着されていた各ヘア材3に放射状の角度がつき、各ヘア材3間に形成されている隙間がより拡開される。
【0045】
各ヘア材3のラインは図5(A)乃至図5(C)に示すように自まつ毛22の直上に貼着されるから、自まつ毛22がこの拡開された隙間から顔を出し各ヘア材3のラインと同一ライン上になる。よって装着されたつけまつ毛が自毛と渾然一体となる効果がある。
【0046】
さらに本願発明によるつけまつ毛用ベース1は、貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が上瞼20に貼着される。この貼着に当たり、ベース1は面状であって下端部1cが実質上直線状にかつ上端部1dが突弧状に形成されているから、ベース1の変形は、従来360°のあらゆる方向に変形しているのに対し、図9に示すように一方向のみ(上下方向)であり、それ以外の変形は実質上無視することができる。
【0047】
よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼20下縁へのヘア材3の位置合わせは手にするベース1の面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり上瞼20に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。
【0048】
本願発明によるつけまつ毛用ベースを用いたつけまつ毛は上記した実施の形態に限定されない。例えば、適用部位として、上記実施の形態では上瞼に装着する場合について説明したが、下瞼に装着することもできる。また接着層4を構成する接着剤は瞬間的に強固に接着する接着剤であればよく、例えばシアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤を用いることもできる。さらにベース1の色彩は適宜に選択され、例えば無色透明であってもよい。
【0049】
ベース1、ヘア材3等の各部のサイズについて本文中で述べた数値は一例として理解すべきである。とくにベース1の厚さは数10μ単位の極薄のシートであれば、例えば30μ、40μ、50μ、60μ、70μ、80μ、90μであってもよい。
【0050】
ベース1への接着剤の供給に関し、上記実施の形態で述べたようにベース1は移動させずに接着剤を供給する場合、ベース1は作業台12の上に区画分毎に切断して多数置いておき、接着剤を供給してもよいし、長尺状のベース1のまま作業台12の上に置いておき接着剤の供給後に区画分毎に切断してもよい。
【0051】
しかし、上記とは反対に、ベース1を移動させて、その移動時に接着剤を供給することが考えられる。この場合は、接着剤はベース1が一方向に供給されるとき供給パイプがベース1上に動作し、ベース1の移動時に所定時間ONとなってベース1上に接着剤を直線状に供給する。
【0052】
つけまつ毛に加工される場合において、多数本からなるヘア材3は、上記のように線状部材31にて連結した状態で接着層4に貼着せず、各ヘア材3が個々に分離された状態で直接接着層4に貼着することもできる。この場合は、図10に示すように、上記ヘア材3の根元部5は球状に形成され、上記接着層4の下端部4aに位置するように貼着するのが望ましい。さらにヘア材3の根元部5はカッタ等により扁平状に切断されてもよい。なお、ヘア材3の形状及び長さは問わない。
【0053】
またつけまつ毛に加工される場合において、ヘア材3を貼着し所定形状に切断した後のベース1は、図11に示すように、まぶたのわん曲形状に合致するように三次元状にわん曲させることもできる。このとき、ベース1aの基端部1cの長さfを人の目頭から目尻までの上瞼20の長さi(図5(A)に示す)に対し、大とする場合(f>i)、同一とする場合(f=i)、小とする場合(f<i)が考えられる。実験した結果、大とする場合(f>i)は図1に示す実施の形態と同様の効果を奏することが判明した。同一とする場合(f=i)は、図1に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したので望ましい。さらに小とする場合(f<i)は、図1に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際取付けが一層容易となり、かつ基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したのでさらに望ましい。
【0054】
サイズパターンスケール11のカットライン11dの長さは他のサイズにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明はつけまつ毛の製造に活用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ベース
2a 余白部
2b 余白部
1c 下端部
1d 上端部
1M ベース母材
3 ヘア材
31 線状部材
3A ヘア材ユニット
4 接着層
4a 下端部
5 根元部
6 先端部
7 粘着層
9 剥離紙
11 サイズパターンスケール
12 作業台
13 リール
15 ロボット軸
20 上瞼
21 目
21a 上方曲線
22 自まつ毛
M カットライン
T 作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞼に貼着するつけまつ毛用のベースであって、上記ベースは極薄の厚さからなり、表面の基端部に余白部が設けられ、該余白部を残す基端部に多数本のヘア材が貼着されるべき接着層が形成され、裏面には全面に粘着層が形成され、さらに上記ベースの基端部が直線状に形成され、基端部に対し反対側の端部が突弧状に形成されることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項2】
請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記余白部が基端部の長手方向に沿って設けられることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項3】
請求項2記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記余白部はさらに上記接着層に隣接するベースの両端部にも設けられることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ベースの切断がベースの裏面にレーザ光を照射してなされることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材が線状部材に整列状態で固着され、該線状部材が上記ベースに貼着されることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項6】
請求項5記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材に上記ヘア材を絡合させることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項7】
請求項5記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材に上記ヘア材を結着させることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材が単数個からなることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項9】
請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材が複数個からなることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項10】
請求項6又は請求項7記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記線状部材と上記ヘア材とが一体物からなることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項11】
請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上位ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項12】
請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材の根元部が球状に形成されることを特徴とするつけまつ毛用ベース。
【請求項13】
請求項1記載のつけまつ毛用ベースにおいて、上記ヘア材の根元部が扁平に形成されることを特徴とするつけまつ毛用ベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−31540(P2012−31540A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172576(P2010−172576)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(592191896)株式会社プロピア (16)