つけまつ毛
【課題】簡単に装着することができ、かつ、装着中ずれたり、離脱しないつけまつ毛を供すること
【解決手段】極薄のベース1と、該ベースの表面に直線状に形成された接着層4と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材3と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層7とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成される。ベースは瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるから、瞼にぴったりと装着することができる。このときヘア材がベースに直線状に配設された状態のまま接着層に強固に貼着するから、ヘア材が整然と整列された状態のままつけまつ毛をまぶたに簡単に装着することができる。
【解決手段】極薄のベース1と、該ベースの表面に直線状に形成された接着層4と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材3と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層7とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成される。ベースは瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるから、瞼にぴったりと装着することができる。このときヘア材がベースに直線状に配設された状態のまま接着層に強固に貼着するから、ヘア材が整然と整列された状態のままつけまつ毛をまぶたに簡単に装着することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はつけまつ毛に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のつけまつ毛103は、図12に示すように、幅員0.5mm位の極細線状ベース101に人工まつ毛が植え付けられ、まつ毛122の直上の瞼に接着剤により貼着していた。また図13に示すように、脱落したまつ毛122の部分その他の補強箇所に通常1乃至数箇所のレベルでピンセット等を用いて点状に貼着するタイプのものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−44493
【特許文献2】特開2008−231632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は貼着に当たり接着剤を用いるため、一歩間違えば目を損傷することにもなりかねないリスクがあった。よって、貼着作業は慎重に行われるが、なかなか上手くいかず時間がかかっていた。時には上手く貼着できない状態で使用する結果にもなりかねなかった。
【0005】
これは次の理由による。図14に示すように、従来のつけまつ毛は線状であるため、貼着の際つけまつ毛が種々に変形するがその変形が垂直方向にも水平方向にもなり、360度あらゆる方向に変形する。つけまつ毛の貼着は上瞼の下端という唯でさえ貼着が困難な部位に、変形自在の線状つけまつ毛を貼着するというのは位置合わせが非常に困難であり、高度の習熟を要するからである。
【0006】
また上手く貼着できた場合でも、貼着面積が線状又は点状と非常に小であるため、装着中瞼の上下動によりずれてくることがあり甚だ不体裁であった。
【0007】
従来のつけまつ毛はベース101が線状又は点状であって接着面積が小であるため、使用時間が短く、洗顔により脱落したりずれたりすることがあった。
【0008】
さらに、溶剤を含有する接着剤を用いるため、装着後溶剤の揮発により一定時間目を開けることができなかった。
【0009】
さらにまた、まぶたへの装着時又は装着中に線状のベースのとくに両端部がまぶたに当たり、装着者に苦痛を与えていた。また線状物の装着となるため装着の持続時間が長くても6時間程度と短く、洗顔や涙により容易に離脱し易いという欠点があった。
【0010】
そこで、本出願人は特許文献2を提案したのであるが、これによっても、未だ次の難があった。
【0011】
即ち、特許文献2によるつけまつ毛は、かつら用に開発されたもの、即ち、ヘア材が植え付けられて裏面に凹凸が現出され、頭部に装着されたとき裏面の凹凸が反転するベースを転用しているため、かつらのように広い面積では期待できるベース裏面の凹凸の反転がまぶたへの装着に当たっては実際的ではなかった。この理由はまぶたは人体の皮膚の中でも最も薄い部位に属し通常10〜20μ程度であり、頭部装着と同じように大なる圧力をかけることが適当でないからである。
【0012】
このため、ベース裏面の凸部に付いている粘着層のみがまぶたに装着し、凹部に付いている粘着層はまぶたに装着することが非常に困難であった。
【0013】
この結果、凹部とまぶたとの間にギャップが生じ、装着力が低下するとともに、装着の持続時間も低下し、洗顔や涙により水分が凹部に浸入し容易に離脱し易いおそれがあった。
【0014】
本願発明の目的は上記欠点を解消すること、具体的には、整然と整列されたヘア材のまま簡単に装着することができ、かつ、装着中ずれたり、離脱しないつけまつ毛を供することである。その他の目的は以下の説明より明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的達成のため、本願発明によるつけまつ毛は、極薄のベースと、該ベースの表面に直線状に形成された接着層と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されることを特徴とする。
また請求項1記載のつけまつ毛は、上記ベースが上記瞼より小径であることを特徴とする。
また請求項1又は請求項2記載のつけまつ毛は、上記ベースの基端部が直線状にカットされ、基端部に対して反対側の端部が突弧状にカットされることを特徴とする。
また請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛は、上記ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とする。
また請求項1又は請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛は、上記ヘア材は上記接着層の下端部に貼着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によるつけまつ毛においては、ベースは瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるから、瞼にぴったりと装着することができる。このときヘア材がベースに直線状に配設された状態のまま接着層に強固に貼着するから、ヘア材が整然と整列された状態のままつけまつ毛をまぶたに簡単に装着することができる。
【0017】
またまぶたへの装着に当たり、ベースの下端部にヘア材が直線状に形成されていることから、自まつ毛とつけまつ毛とを略同一線上に重なるように装着することができ、よってつけまつ毛が自まつ毛と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。またこれにより接着層の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。
【0018】
本願発明によるつけまつ毛は貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が例えば上瞼に貼着される。よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼下縁への基端部の位置合わせは手にするベースの面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり上瞼に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本願発明によるつけまつ毛の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の拡大左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(D)のF部拡大図である。
【図2】(A)は本願発明によるつけまつ毛の他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の拡大左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(D)のF部拡大図である。
【図3】(A)は図2の左目用ベースの表面図、(B)は同右目用ベースの表面図、(C)は(A)のC−C断面図である。
【図4】(A)は本願発明によるつけまつ毛に用いられるヘア材の他の実施例を示す正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は同さらに他の実施例を示す正面図、(D)は(C)の右側面図、(E)は同さらに他の実施例を示す正面図、(F)は(E)の右側面図、(G)は同さらに他の実施例を示す正面図、(H)は(G)の右側面図である。
【図5】(A)は本願発明によるつけまつ毛のさらに他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(C)のF部拡大図、(G)は(D)のG部拡大図である。
【図6】本願発明によるつけまつ毛の製造方法の例を示し、(A)は第1工程、(B)は第2工程、(C)は第3工程、(D)は第4工程及び第5工程を示す。
【図7】(A)は本願発明によるつけまつ毛のサイズパターンスケールの実施例を示す正面図、(B)は同他の実施例を示す正面図、(C)は同さらに他の実施例を示す正面図である。
【図8】(A)は本願発明によるつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は(B)のC部拡大図である。
【図9】本願発明によるつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【図10】(A)は従来のベースの切断を説明する図、(B)は本願発明によるベースの切断を説明する図である。
【図11】(A)は本願発明によるつけまつ毛の他の実施の形態を示す拡大側面図、(B)は(A)のB部拡大図、(C)は本願発明によるつけまつ毛のさらに他の実施の形態を示す拡大側面図である。
【図12】(A)は従来のつけまつ毛の一例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図13】従来のつけまつ毛の他の例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図14】従来のつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明によるつけまつ毛をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】
図1において、1はベースであり、人皮程度の極薄のシート(例えば厚さ20μ)からなる。該ベース1は伸縮性のある素材例えばポリウレタン製であり、色彩は透明で薄い肌色であり、上まぶたのわん曲形状に合致するように三次元状に形成される。該ベース1は、表面の下端部1cに長手方向に沿って余白部2aが設けられ、該余白部2aを残して下端部1cに接着層4が形成される。また接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられる。上記接着層4はUV硬化剤からなり、上記ベース1上に直線状に形成され(図6(B)に示す)、ここにヘア材3が貼着される。1dは突弧状に形成されたベース1の上端部である。上記ベース1の裏面には全面に人体に装着させるための医療用接着剤からなる粘着層7が形成される。該粘着層7は例えばアクリル系粘着剤からなり、転写法により、上記ベース1の裏面全面に均等な厚さで形成される。即ち、両面に剥離紙(PET)を設けたアクリル系粘着剤の一の面の剥離紙を剥してその面をベース1の裏面全面に固着し、使用時に他の面の剥離紙9を剥して上瞼20(図7(A)〜(C)に示す)の適用部位に貼付する。3は該ベース1に個々に分離状態にて貼着されたヘア材であり、例えばポリエステル繊維からなる。該ヘア材3は先端部が上方に向かってカールして形成される。
【0022】
上記ヘア材3の根元部5は球状に形成され、上記接着層4に貼着される。この貼着は、図1(C)に示すように上記根元部5が上記接着層4の下端部4aに位置するようにする。その理由は後述する。
【0023】
図1の実施の形態においては、ベース1は、後述するようにつけまつ毛の所定の形状に切断後、三次元形状にわん曲される。このとき、ベース1aの基端部1cの長さfを人の目頭から目尻までの上瞼20の長さi(図8(A)に示す)に対し、大とする場合(f>i)、同一とする場合(f=i)、小とする場合(f<i)が考えられる。実験の結果、大とする場合(f>i)は図2に示す実施の形態と同様の効果、即ち、ベース1が余白部2a、2bを有することによるつけまつ毛の脱落防止等の効果を奏することが判明した。この点については図10に基づいて後述する。また同一とする場合(f=i)は、上記に加え、図2に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したので望ましい。さらに小とする場合(f<i)は、上記に加え、図2に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際取付けが一層容易となり、かつ基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したのでさらに望ましい。
【0024】
図2は本願発明によるつけまつ毛の第2の実施の形態を示す。この実施の形態におけるベース1は実質平面状に形成される。またヘア材3は線状部材31にて連結した状態で接着層4に貼着される。その余の構成は図1の実施の形態と同様である。
【0025】
図3は図2のつけまつ毛に使用されるベース1を示す。ここで余白部について説明する。余白部2a、2bの大きさは、毛髪1本分の直径より小程度とする。具体的には、a1=約0.1mm乃至約0.6mm、a2=約0.1mm乃至約0.6mm程度とするのが望ましい。なお、本実施例の場合ベース1は、日本人の目の大きさi(図8(A)に示す)が平均約30mmであるため、長さL=約26mmとしてあり、最大幅は一重用W1=約2.6mm、二重用、奥二重用W2=約4mmとしてある。なお、ベース1の形状は、図7に基づいて後述するように、適用されるまぶたの形状により種々あるため、図3では最大幅を「W」として総称的に表わしている。
【0026】
またここでヘア材3について説明する。本実施の形態においては、個々に分離状態にて貼着される多数本からなるヘア材3が、線状部材31にて連結した状態で接着層4に貼着される。上記ヘア材3の態様は種々あり、例えば単一又は複数の線状部材31に多数本のヘア材3を絡ませたり(絡合)、結着させる。例えば、図4(A)、(B)は絡み合う2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟み込み、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(C)、(D)は平行する2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟持し、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(E)、(F)は1本の線状部材31に多数本のヘア材3を接着剤で接着し、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(G)、(H)は1本の線状部材31にヘア材3を多数結着させ、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。線状部材31としては、糸、テグスなどがある。ヘア材3の長さdは2mm位〜12mm位に形成される。貼着されるヘア材3の幅eは10mm位〜50mm位が多い。各ヘア材3は図4(A)〜(H)に示すヘア材ユニット3Aの段階からすべて上方にカールしており、中央付近のヘア材3が他の部分のものより長く形成されている。
【0027】
上記した図1及び図2の実施の形態は、工場においてつけまつ毛の所定の形状に切断して出荷されるのであるが、図5に示す本願発明の第3の実施の形態はユーザカット仕様の場合である。この場合、ベース1はつけまつ毛の所定の形状より大なる方形形状1Mに切断される。ユーザは自ら図7に示すカットラインに沿ってつけまつ毛のベース1を所定の形状に切断して使用する。図5(A)において、「1a」は切り離し後のベースを示す。その余の構成は図1の実施の形態と同様である。
【0028】
ここで、図5に示すつけまつ毛の各部のサイズを説明すると、使用前のベース1の縦サイズは、業務用サイズaが20mm位〜30mm位、基端部1c付近まで切断される個人用サイズbが10mm位〜15mm位であり、横サイズcは共に10mm位〜40mm位に形成される。ヘア材3の長さdは2mm位〜12mm位に形成される。各ヘア材3はヘア材ユニット3A(図6(C)に示す)の段階からすべて上方にカールしており、中央付近の数本が他の部分のものより長く形成されている。ヘア材3を貼着される幅L(図1(A)に示す)は10mm位〜50mm位である。本実施例の場合ベース1aは、日本人の目の大きさi(図8(A)に示す)が平均約30mmであるため、長さL=約26mmとしてあり、最大幅Wは一重用が約2.6mm、二重用、奥二重用が約4mmとしてある。なお、ベース1の形状は、図7に基づいて述べたように、適用されるまぶたの形状により種々ある。
【0029】
なお、図1、図2及び図5は模式図であり、ヘア材3の植え付け本数は簡略化して示してある。
【0030】
<製造工程>
本願発明によるつけまつ毛は、例えば次の工程により製造される。ここでは図5に示すつけまつ毛に基づき説明する。
【0031】
第1工程(ベース供給工程)
作業台12の作業位置Tの上にリール13に巻かれた長尺状のベース母材1Mから1区画分のベース1が供給される(図6(A))。上記ベース母材1Mの裏面には人体に装着させるための医療用接着剤が粘着層7として形成され、その裏には剥離紙9が貼られている。
【0032】
第2工程(接着剤供給工程)
上記1区画分のベース1の適宜位置に接着層4となる接着剤が供給される(図6(B))。接着層4は、便宜上、図6(B)及び図6(D)では水平方向に2箇配設されるが、適宜箇数歩留りの良いように1区画分のベース母材1M上に設けられる。上記接着剤の供給は、作業台上に固定されたベース1上に、図示しない供給パイプを水平に移動することにより直線状になされる。
【0033】
第3工程(ヘア材のカット工程)
ヘア材3の基端部3bが連設されたヘア材ユニット3Aを開閉自在の一対のロボット軸15で把持し、この状態で基端部3bと該ロボット軸15の間を図示しないレーザ光によりカットする(図6(C))。カットラインLを図6(C)に一点鎖線で示す。
【0034】
第4工程(ヘア材の貼着工程)
上記カットが終了しても上記ロボット軸15によるヘア材の把持は継続し、この把持した状態で前記工程で付与された接着剤(これが「接着層4」を形成する)にカットされたヘア材を上記ロボット軸15を下降せしめて貼着する(図6(D))。上記ヘア材3の貼着は、上記ロボット軸15を適宜に位置調節することにより、接着層4の下端部4a(図5(F)に示す)に行なう。
【0035】
第5工程(製品化工程)
かくしてベース1にヘア材が貼着されると、図6(D)に一点鎖線Mで示す1区画分のベース1が切断される。なお、図2に示すつけまつ毛では、該ベース1は、レーザ光Rにより、図7に示すカットラインに基づき所定形状に切断されて出荷される。ベース1のレーザ光Rによる切断については図10を参照して後述する。
【0036】
次いで、次の1区画分のベース1が作業位置T上に供給され、上記した作業を行う。このような作業が連続的に繰り返される。
【0037】
図7はつけまつ毛のサイズパターンスケール11を示す。図7(A)は目の大きさが大きいサイズ用、同(B)は同普通サイズ用、同(C)は部分的に装着する場合に使用されるスケールを示し、各図とも11Aは左目用、11Bは右目用を表わす。各パターンとも基端部3bに沿ってカットされるカットライン11dを直線状に形成するとともに、先端部のカットライン11a、11b、11cを眼球21の上方曲線21a(図8(A)に示す)に合わせるようパターン化された突弧状の曲線に形成されている。
【0038】
図7(A)、同(B)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された奥二重又は一重を形成するためのカットラインを、「11c」は最大2mmに形成された二重又は一重を形成するためのカットラインを各示す。図7(A)のカットライン11dの長さは30mm、図7(B)のカットライン11dの長さは23mmとしてあるが、目の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。図7(C)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は二重以上を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを各示す。上記カットライン11dの長さは15mmとしてあるが、装着したい部分の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。
【0039】
<使用方法>
本願発明によるつけまつ毛は、図1及び図2に示す所定の形状に切断された状態で製品化される場合と、図5に「1M」で示すユーザカット仕様の場合がある。前者の場合は剥離紙9を剥がし直接上瞼に装着することができるが、後者の場合はまず、図7に示した所望のサイズパターンスケール11の上にベース1をヘア材3を上にした状態で載置する。次いで、ユーザにより上記ベース1に上記サイズパターンスケール11に示されたカットラインを描き写す。次いでユーザにより該カットラインに沿って上記ベース1をカットする。次いで、剥離紙9を剥がし、貼着面をまぶたに貼着して使用する。
【0040】
<レーザ光による切断効果>
上記各実施の形態においては、ヘア材3がヘア材ユニット3Aからレーザ光により切断されて取り出されるため次の効果がある。
【0041】
ア.非接触切断
レーザ光による切断は非接触であるため、ヘア材3が切断時にばらけ、その方向性が区々となることがない。またヘア材ユニット3Aをロボット軸15により把持した状態でレーザ光により切断するので、カールした毛先の方向性を当初の上方にカールした状態のまま連設部のみ切断し、各ヘア材3を分離状態にすることができる。よってヘア材3の整列性を保持することができる。
【0042】
イ.加熱切断
レーザ光による切断は切断時に熱が発生するため、切断された各ヘア材3の根元部5が熱で溶けて球状になる。このため、この球状の根元部5をいわば「糊代」とすることができ、ベース1に接着するための「糊代」をつくる工程を別に設ける必要がない。
【0043】
ヘア材3の根元部5が球状に形成されるため、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができるところ、各ヘア材3はロボット軸15により把持した状態で、かつカールした毛先の方向性が整列された状態のまま接着層4に強固に貼着することができるから、各ヘア材3は点状接着でありながら、毛先の方向性が区々とならず、所定の方向即ち上方にカールした状態のままベース1の表面に固定することができる。よって装着中水分等の浸入を防止するので、つけまつ毛のずれや離脱を防止する。
【0044】
ウ.まぶたの拡開効果、自毛と渾然一体となる効果
各ヘア材3は上方にカールした状態を維持したまま分離状態でベース1に貼着されているが、まぶたに装着されると、後述のように上瞼20が突弧状に開となるため、貼着された各ヘア材3の各根元部5も上瞼20に沿って突弧状となる。この結果平行に貼着されていた各ヘア材3に放射状の角度がつき、各ヘア材3間に形成されている隙間がより拡開される。
【0045】
各ヘア材3のラインは図8(A)乃至図8(C)に示すように自まつげ22の直上に貼着されるから、自まつげ22がこの拡開された隙間から顔を出し各ヘア材3のラインと同一ライン上になる。よって装着されたつけまつ毛が自毛と渾然一体となる効果がある。
【0046】
エ.ヘア材3の根元部が球状に形成される効果
ヘア材3の根元部5が球状に形成されるため、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができる。よってヘア材3の貼着角度を調節することができるので、用途によって製品を群別でき、製品の拡張を図ることができる。例えば、接着層4に対しヘア材3を直交状に貼着すればまつ毛が大きく見えるので若者向けとなり、接着層4に対しヘア材3を傾斜して貼着すればまつ毛の量が多く見えるので年配者向けとなる。
【0047】
また根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができるので、迅速効率的な製造を可能とする。
【0048】
<他の効果>
上記各実施の形態においては、さらに次のような効果がある。
【0049】
本願発明によるつけまつ毛は貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が上瞼20に貼着される。この貼着に当たり、ベース1は面状であって基端部1cが実質上直線状にかつ先端部1dが突弧状に形成されているから、ベース1の変形は、従来360°のあらゆる方向に変形しているのに対し、図9に示すように、一方向のみ(上下方向)であり、それ以外の変形は実質上無視することができる。
【0050】
よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼20下縁へのヘア材3の位置合わせは手にするベース1の面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり上瞼20に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。この場合において、図1の実施の形態のように、上記ベース1が装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるときは、上瞼20への装着良好性及び装着容易性が一層向上する。
【0051】
ここで上瞼20への装着良好性及び装着容易性を前記したレーザ光による切断効果との関係でさらに詳しく述べる。まず、ヘア材3は把持された状態においてレーザ光により直線状に切断されるから、ヘア材3の根元部5が球状に形成され、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができる。よってカールした毛先の方向性が整列された状態のまま容易に上瞼20に貼付することができるのである。
【0052】
また、ベース1は上瞼20下縁の自毛に沿って貼着されるところ、ヘア材3の根元部5が接着層4の下端部4aに貼着されるため、貼着されたヘア材3に沿って若干の余白部2aを残してベース1をぎりぎりにカットすることができる。このため、自まつ毛22とヘア材3とが図8(A)乃至図8(C)に示すように略同一線上に重なるから自まつ毛22と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。加えて接着層4の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。つまり、ヘア材3の根元部5が接着層4の中央部に貼着されると、自まつ毛22とヘア材3とが上下に二重になって甚だ不体裁となるだけでなく、接着層4の残部が視界に入ってくるので視界に霧がかかったようになって悪化するのであるが、これが防止される。
【0053】
この点に関してさらに述べる。ベース1を図1及び図2に示す所定の形状に切断するには、ベース1の裏面からレーザ光Rを照射して行なう。この切断において、図10(A)に一点鎖線で示すように、レーザ光Rをベース1とくにヘア材3が貼着されるラインぎりぎりに沿って直角に照射すると、ヘア材3を損傷することが多い。そこでレーザ光Rは、図10(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜(例えば接着層4に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射しベース1を切断している。このようにすれば接着層4付近に貼着されているヘア材3を損傷することが防止される。しかしながら、このようにレーザ光Rを傾斜して照射すると、ベース1の裏面に形成された粘着層7aの全部又は一部が溶解して裏面から脱落又は一部が剥離してしまう。こうなると上瞼に装着したとき、上瞼との一体装着性は失なわれ、装着力が低下するだけでなく、ベース1の一部が上瞼から剥離するとベース1と上瞼との間にギャップができるので、いかにもつけまつ毛然となり外観上自然毛と見分けがつき易くなる。
【0054】
また図10(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜させてレーザ光Rを照射すると、ヘア材3を貼着する接着層4の一部を破壊損傷することがあり、こうなるとヘア材3がベース1から脱落するおそれがある。
【0055】
本実施の形態においては、図10(B)に実線で示すように、レーザ光Rを下端部1cとなるべき部位に対し傾斜(例えばベース1に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射してもベース1の表面の下端部相当部位1cに対し長手方向に沿って余白部2aが設けられ、かつ接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられているので、ヘア材3を損傷することがなく、かつレーザ光Rの出力も小とできるので照射付近の粘着層7の溶解も防止される。よって装着中のつけまつ毛の上瞼からの脱落防止及びヘア材3のベース1からの脱落を防止することができる。
【0056】
ヘア材3は肉眼では意識されない程度の若干の余白部2aを残してベース1のぎりぎりに貼着される。このため、自まつ毛22とヘア材3とが図8(A)乃至図8(C)に示すように略同一線上に重なるから自まつ毛22と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。加えて接着層4の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。つまり、ヘア材3がベース1のぎりぎりに貼着されていないと、自まつ毛22とヘア材3とが上下に二重になって甚だ不体裁となるだけでなく、接着層4の残部が視界に入ってくるので視界に霧がかかったようになって悪化するのであるが、これが防止される。
【0057】
また、ベース1の両端部にも余白部2bが残されるため、ここにヘア材3が貼着されることがないから、自まつ毛22の生え際とヘア材3の貼着部位が一致する。よって加工されるつけまつ毛がより自然的になる効果がある。
【0058】
さらに余白部2aと自まつ毛22との間に形成される若干のギャップg(図8(C)に示す)にアイライン化粧料(図示せず)を塗布することもできる。
【0059】
さらに図2及び図5に示す実施の形態の場合、ベース1は平面形状に形成され、二次元的にも三次元的にも特定のユーザ用に加工されていない。また図5に示すユーザカット仕様の場合、貼着されたベース1の上部スペース1b(図5(A)に示す)はフリーカットできるような十分な面積を有しているため、ベース1の先端部1dを突弧状にカットして使用することができる。これにより、上瞼20の皮膚を上方に引き上げる効果がある。
【0060】
上瞼20の皮膚は経時的に劣化し段々とたるんでくるが、この引き上げ効果により上瞼20の皮膚のたるみ程度に応じてカット面積を調節し、上瞼20を上方に引き上げ、これにより、目元を一層ぱっちりとすることができ、アンチ・エージング効果が生ずる。
【0061】
さらにまた、ベース1が平面状に形成され、該ベース1の下端部にヘア材3が直線状に形成される場合において、ベース1が上瞼20に貼着されるとベース1が突弧状の上瞼20に沿って突弧状になるため、個々分離状態で貼着されている各ヘア材3が放射状に拡開される。このためまつ毛(実は「つけまつ毛」)のラインが濃く見え、目元がぱっちり大きく見えるのである。
【0062】
本願発明によるつけまつ毛は上記した実施の形態に限定されない。例えば、ヘア材3は、根元部5が球状以外の他のわん曲形状(例えば断面弧状)であってもよく、また図11(A)、(B)に示すようにカッタ等により扁平状に切断されてもよい。
【0063】
また各ヘア材3の根元部5の貼着角度は、上記各図示例のような直交状ではなく、図11(C)に示すように下向きの傾斜状にすることもできる。この場合傾斜角度は例えば45°が考えられるが、ユーザの目的、年齢等により適宜に選択される。
【0064】
またヘア材3は、図1の如く、線状部材31なしに接着層4に多数本のヘア材を直接貼着することもできる。
【0065】
また、適用部位として、上記実施の形態では本願発明によるつけまつ毛を上瞼に装着する場合について説明したが、下瞼に装着することもできる。
【0066】
ベース1、ヘア材3等の各部のサイズについて本文中で述べた数値は一例として理解すべきである。とくにベース1の厚さは数10μ単位の極薄のシートであれば、例えば30μ、40μ、50μ、60μ、70μ、80μ、90μであってもよい。なお、ヘア材3の長さは問わない。
【0067】
非接触の加熱切断手段として、他に超音波のような高周波を用いることが考えられる。
【0068】
接着層4を構成する接着剤は瞬間的に強固に接着する接着剤であればよく、例えばシアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤を用いることもできる。
【0069】
ベース1への接着剤の供給に関し、上記実施の形態で述べたようにベース1は移動させずに接着剤を供給する場合、ベース1は作業台12の上に区画分毎に切断して多数置いておき、接着剤を供給してもよいし、長尺状のベース1のまま作業台12の上に置いておき接着剤の供給後に区画分毎に切断してもよい。
【0070】
しかし、上記とは反対に、ベース1を移動させて、その移動時に接着剤を供給することが考えられる。この場合は、接着剤はベース1が一方向に供給されるとき供給パイプがベース1上に動作し、ベース1の移動時に所定時間ONとなってベース1上に接着剤を直線状に供給する。
【0071】
各ヘア材3の連接部の切断は接着層4の付与前又は接着剤供給と同時にしてもよい。
【0072】
サイズパターンスケール11のカットライン11dの長さは他のサイズにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明はつけまつ毛として活用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ベース
1a ベース
1b 上部スペース
1c 基端部
1d 先端部
1M ベース母材
2a 余白部
2b 余白部
3 ヘア材
3A ヘア材ユニット
3b 基端部
31 線状部材
4 接着層
4a 下端部
5 根元部
6 先端部
7 粘着層
9 剥離紙
11 サイズパターンスケール
12 作業台
13 リール
15 ロボット軸
20 上瞼
21 目
21a 上方曲線
22 自まつ毛
L カットライン
M カットライン
T 作業位置
【技術分野】
【0001】
本願発明はつけまつ毛に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のつけまつ毛103は、図12に示すように、幅員0.5mm位の極細線状ベース101に人工まつ毛が植え付けられ、まつ毛122の直上の瞼に接着剤により貼着していた。また図13に示すように、脱落したまつ毛122の部分その他の補強箇所に通常1乃至数箇所のレベルでピンセット等を用いて点状に貼着するタイプのものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−44493
【特許文献2】特開2008−231632
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は貼着に当たり接着剤を用いるため、一歩間違えば目を損傷することにもなりかねないリスクがあった。よって、貼着作業は慎重に行われるが、なかなか上手くいかず時間がかかっていた。時には上手く貼着できない状態で使用する結果にもなりかねなかった。
【0005】
これは次の理由による。図14に示すように、従来のつけまつ毛は線状であるため、貼着の際つけまつ毛が種々に変形するがその変形が垂直方向にも水平方向にもなり、360度あらゆる方向に変形する。つけまつ毛の貼着は上瞼の下端という唯でさえ貼着が困難な部位に、変形自在の線状つけまつ毛を貼着するというのは位置合わせが非常に困難であり、高度の習熟を要するからである。
【0006】
また上手く貼着できた場合でも、貼着面積が線状又は点状と非常に小であるため、装着中瞼の上下動によりずれてくることがあり甚だ不体裁であった。
【0007】
従来のつけまつ毛はベース101が線状又は点状であって接着面積が小であるため、使用時間が短く、洗顔により脱落したりずれたりすることがあった。
【0008】
さらに、溶剤を含有する接着剤を用いるため、装着後溶剤の揮発により一定時間目を開けることができなかった。
【0009】
さらにまた、まぶたへの装着時又は装着中に線状のベースのとくに両端部がまぶたに当たり、装着者に苦痛を与えていた。また線状物の装着となるため装着の持続時間が長くても6時間程度と短く、洗顔や涙により容易に離脱し易いという欠点があった。
【0010】
そこで、本出願人は特許文献2を提案したのであるが、これによっても、未だ次の難があった。
【0011】
即ち、特許文献2によるつけまつ毛は、かつら用に開発されたもの、即ち、ヘア材が植え付けられて裏面に凹凸が現出され、頭部に装着されたとき裏面の凹凸が反転するベースを転用しているため、かつらのように広い面積では期待できるベース裏面の凹凸の反転がまぶたへの装着に当たっては実際的ではなかった。この理由はまぶたは人体の皮膚の中でも最も薄い部位に属し通常10〜20μ程度であり、頭部装着と同じように大なる圧力をかけることが適当でないからである。
【0012】
このため、ベース裏面の凸部に付いている粘着層のみがまぶたに装着し、凹部に付いている粘着層はまぶたに装着することが非常に困難であった。
【0013】
この結果、凹部とまぶたとの間にギャップが生じ、装着力が低下するとともに、装着の持続時間も低下し、洗顔や涙により水分が凹部に浸入し容易に離脱し易いおそれがあった。
【0014】
本願発明の目的は上記欠点を解消すること、具体的には、整然と整列されたヘア材のまま簡単に装着することができ、かつ、装着中ずれたり、離脱しないつけまつ毛を供することである。その他の目的は以下の説明より明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的達成のため、本願発明によるつけまつ毛は、極薄のベースと、該ベースの表面に直線状に形成された接着層と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されることを特徴とする。
また請求項1記載のつけまつ毛は、上記ベースが上記瞼より小径であることを特徴とする。
また請求項1又は請求項2記載のつけまつ毛は、上記ベースの基端部が直線状にカットされ、基端部に対して反対側の端部が突弧状にカットされることを特徴とする。
また請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛は、上記ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とする。
また請求項1又は請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛は、上記ヘア材は上記接着層の下端部に貼着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によるつけまつ毛においては、ベースは瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるから、瞼にぴったりと装着することができる。このときヘア材がベースに直線状に配設された状態のまま接着層に強固に貼着するから、ヘア材が整然と整列された状態のままつけまつ毛をまぶたに簡単に装着することができる。
【0017】
またまぶたへの装着に当たり、ベースの下端部にヘア材が直線状に形成されていることから、自まつ毛とつけまつ毛とを略同一線上に重なるように装着することができ、よってつけまつ毛が自まつ毛と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。またこれにより接着層の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。
【0018】
本願発明によるつけまつ毛は貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が例えば上瞼に貼着される。よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼下縁への基端部の位置合わせは手にするベースの面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり上瞼に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本願発明によるつけまつ毛の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の拡大左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(D)のF部拡大図である。
【図2】(A)は本願発明によるつけまつ毛の他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の拡大左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(D)のF部拡大図である。
【図3】(A)は図2の左目用ベースの表面図、(B)は同右目用ベースの表面図、(C)は(A)のC−C断面図である。
【図4】(A)は本願発明によるつけまつ毛に用いられるヘア材の他の実施例を示す正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は同さらに他の実施例を示す正面図、(D)は(C)の右側面図、(E)は同さらに他の実施例を示す正面図、(F)は(E)の右側面図、(G)は同さらに他の実施例を示す正面図、(H)は(G)の右側面図である。
【図5】(A)は本願発明によるつけまつ毛のさらに他の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)の斜面図、(F)は(C)のF部拡大図、(G)は(D)のG部拡大図である。
【図6】本願発明によるつけまつ毛の製造方法の例を示し、(A)は第1工程、(B)は第2工程、(C)は第3工程、(D)は第4工程及び第5工程を示す。
【図7】(A)は本願発明によるつけまつ毛のサイズパターンスケールの実施例を示す正面図、(B)は同他の実施例を示す正面図、(C)は同さらに他の実施例を示す正面図である。
【図8】(A)は本願発明によるつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図、(B)は(A)の右側面図、(C)は(B)のC部拡大図である。
【図9】本願発明によるつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【図10】(A)は従来のベースの切断を説明する図、(B)は本願発明によるベースの切断を説明する図である。
【図11】(A)は本願発明によるつけまつ毛の他の実施の形態を示す拡大側面図、(B)は(A)のB部拡大図、(C)は本願発明によるつけまつ毛のさらに他の実施の形態を示す拡大側面図である。
【図12】(A)は従来のつけまつ毛の一例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図13】従来のつけまつ毛の他の例を示す正面図、(B)は(A)のつけまつ毛の装着状態を示す概略正面図である。
【図14】従来のつけまつ毛の装着状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明によるつけまつ毛をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】
図1において、1はベースであり、人皮程度の極薄のシート(例えば厚さ20μ)からなる。該ベース1は伸縮性のある素材例えばポリウレタン製であり、色彩は透明で薄い肌色であり、上まぶたのわん曲形状に合致するように三次元状に形成される。該ベース1は、表面の下端部1cに長手方向に沿って余白部2aが設けられ、該余白部2aを残して下端部1cに接着層4が形成される。また接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられる。上記接着層4はUV硬化剤からなり、上記ベース1上に直線状に形成され(図6(B)に示す)、ここにヘア材3が貼着される。1dは突弧状に形成されたベース1の上端部である。上記ベース1の裏面には全面に人体に装着させるための医療用接着剤からなる粘着層7が形成される。該粘着層7は例えばアクリル系粘着剤からなり、転写法により、上記ベース1の裏面全面に均等な厚さで形成される。即ち、両面に剥離紙(PET)を設けたアクリル系粘着剤の一の面の剥離紙を剥してその面をベース1の裏面全面に固着し、使用時に他の面の剥離紙9を剥して上瞼20(図7(A)〜(C)に示す)の適用部位に貼付する。3は該ベース1に個々に分離状態にて貼着されたヘア材であり、例えばポリエステル繊維からなる。該ヘア材3は先端部が上方に向かってカールして形成される。
【0022】
上記ヘア材3の根元部5は球状に形成され、上記接着層4に貼着される。この貼着は、図1(C)に示すように上記根元部5が上記接着層4の下端部4aに位置するようにする。その理由は後述する。
【0023】
図1の実施の形態においては、ベース1は、後述するようにつけまつ毛の所定の形状に切断後、三次元形状にわん曲される。このとき、ベース1aの基端部1cの長さfを人の目頭から目尻までの上瞼20の長さi(図8(A)に示す)に対し、大とする場合(f>i)、同一とする場合(f=i)、小とする場合(f<i)が考えられる。実験の結果、大とする場合(f>i)は図2に示す実施の形態と同様の効果、即ち、ベース1が余白部2a、2bを有することによるつけまつ毛の脱落防止等の効果を奏することが判明した。この点については図10に基づいて後述する。また同一とする場合(f=i)は、上記に加え、図2に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したので望ましい。さらに小とする場合(f<i)は、上記に加え、図2に示す実施の形態に比し、上瞼20に取り付ける際取付けが一層容易となり、かつ基端部1cへのしわの発生を一層防止することが判明したのでさらに望ましい。
【0024】
図2は本願発明によるつけまつ毛の第2の実施の形態を示す。この実施の形態におけるベース1は実質平面状に形成される。またヘア材3は線状部材31にて連結した状態で接着層4に貼着される。その余の構成は図1の実施の形態と同様である。
【0025】
図3は図2のつけまつ毛に使用されるベース1を示す。ここで余白部について説明する。余白部2a、2bの大きさは、毛髪1本分の直径より小程度とする。具体的には、a1=約0.1mm乃至約0.6mm、a2=約0.1mm乃至約0.6mm程度とするのが望ましい。なお、本実施例の場合ベース1は、日本人の目の大きさi(図8(A)に示す)が平均約30mmであるため、長さL=約26mmとしてあり、最大幅は一重用W1=約2.6mm、二重用、奥二重用W2=約4mmとしてある。なお、ベース1の形状は、図7に基づいて後述するように、適用されるまぶたの形状により種々あるため、図3では最大幅を「W」として総称的に表わしている。
【0026】
またここでヘア材3について説明する。本実施の形態においては、個々に分離状態にて貼着される多数本からなるヘア材3が、線状部材31にて連結した状態で接着層4に貼着される。上記ヘア材3の態様は種々あり、例えば単一又は複数の線状部材31に多数本のヘア材3を絡ませたり(絡合)、結着させる。例えば、図4(A)、(B)は絡み合う2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟み込み、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(C)、(D)は平行する2本の線状部材31、31の間に多数本のヘア材3を挟持し、接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(E)、(F)は1本の線状部材31に多数本のヘア材3を接着剤で接着し、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。図4(G)、(H)は1本の線状部材31にヘア材3を多数結着させ、この状態で接着層4の接着成分の中に挿入した場合である。線状部材31としては、糸、テグスなどがある。ヘア材3の長さdは2mm位〜12mm位に形成される。貼着されるヘア材3の幅eは10mm位〜50mm位が多い。各ヘア材3は図4(A)〜(H)に示すヘア材ユニット3Aの段階からすべて上方にカールしており、中央付近のヘア材3が他の部分のものより長く形成されている。
【0027】
上記した図1及び図2の実施の形態は、工場においてつけまつ毛の所定の形状に切断して出荷されるのであるが、図5に示す本願発明の第3の実施の形態はユーザカット仕様の場合である。この場合、ベース1はつけまつ毛の所定の形状より大なる方形形状1Mに切断される。ユーザは自ら図7に示すカットラインに沿ってつけまつ毛のベース1を所定の形状に切断して使用する。図5(A)において、「1a」は切り離し後のベースを示す。その余の構成は図1の実施の形態と同様である。
【0028】
ここで、図5に示すつけまつ毛の各部のサイズを説明すると、使用前のベース1の縦サイズは、業務用サイズaが20mm位〜30mm位、基端部1c付近まで切断される個人用サイズbが10mm位〜15mm位であり、横サイズcは共に10mm位〜40mm位に形成される。ヘア材3の長さdは2mm位〜12mm位に形成される。各ヘア材3はヘア材ユニット3A(図6(C)に示す)の段階からすべて上方にカールしており、中央付近の数本が他の部分のものより長く形成されている。ヘア材3を貼着される幅L(図1(A)に示す)は10mm位〜50mm位である。本実施例の場合ベース1aは、日本人の目の大きさi(図8(A)に示す)が平均約30mmであるため、長さL=約26mmとしてあり、最大幅Wは一重用が約2.6mm、二重用、奥二重用が約4mmとしてある。なお、ベース1の形状は、図7に基づいて述べたように、適用されるまぶたの形状により種々ある。
【0029】
なお、図1、図2及び図5は模式図であり、ヘア材3の植え付け本数は簡略化して示してある。
【0030】
<製造工程>
本願発明によるつけまつ毛は、例えば次の工程により製造される。ここでは図5に示すつけまつ毛に基づき説明する。
【0031】
第1工程(ベース供給工程)
作業台12の作業位置Tの上にリール13に巻かれた長尺状のベース母材1Mから1区画分のベース1が供給される(図6(A))。上記ベース母材1Mの裏面には人体に装着させるための医療用接着剤が粘着層7として形成され、その裏には剥離紙9が貼られている。
【0032】
第2工程(接着剤供給工程)
上記1区画分のベース1の適宜位置に接着層4となる接着剤が供給される(図6(B))。接着層4は、便宜上、図6(B)及び図6(D)では水平方向に2箇配設されるが、適宜箇数歩留りの良いように1区画分のベース母材1M上に設けられる。上記接着剤の供給は、作業台上に固定されたベース1上に、図示しない供給パイプを水平に移動することにより直線状になされる。
【0033】
第3工程(ヘア材のカット工程)
ヘア材3の基端部3bが連設されたヘア材ユニット3Aを開閉自在の一対のロボット軸15で把持し、この状態で基端部3bと該ロボット軸15の間を図示しないレーザ光によりカットする(図6(C))。カットラインLを図6(C)に一点鎖線で示す。
【0034】
第4工程(ヘア材の貼着工程)
上記カットが終了しても上記ロボット軸15によるヘア材の把持は継続し、この把持した状態で前記工程で付与された接着剤(これが「接着層4」を形成する)にカットされたヘア材を上記ロボット軸15を下降せしめて貼着する(図6(D))。上記ヘア材3の貼着は、上記ロボット軸15を適宜に位置調節することにより、接着層4の下端部4a(図5(F)に示す)に行なう。
【0035】
第5工程(製品化工程)
かくしてベース1にヘア材が貼着されると、図6(D)に一点鎖線Mで示す1区画分のベース1が切断される。なお、図2に示すつけまつ毛では、該ベース1は、レーザ光Rにより、図7に示すカットラインに基づき所定形状に切断されて出荷される。ベース1のレーザ光Rによる切断については図10を参照して後述する。
【0036】
次いで、次の1区画分のベース1が作業位置T上に供給され、上記した作業を行う。このような作業が連続的に繰り返される。
【0037】
図7はつけまつ毛のサイズパターンスケール11を示す。図7(A)は目の大きさが大きいサイズ用、同(B)は同普通サイズ用、同(C)は部分的に装着する場合に使用されるスケールを示し、各図とも11Aは左目用、11Bは右目用を表わす。各パターンとも基端部3bに沿ってカットされるカットライン11dを直線状に形成するとともに、先端部のカットライン11a、11b、11cを眼球21の上方曲線21a(図8(A)に示す)に合わせるようパターン化された突弧状の曲線に形成されている。
【0038】
図7(A)、同(B)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された奥二重又は一重を形成するためのカットラインを、「11c」は最大2mmに形成された二重又は一重を形成するためのカットラインを各示す。図7(A)のカットライン11dの長さは30mm、図7(B)のカットライン11dの長さは23mmとしてあるが、目の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。図7(C)において、「11a」は最大5mmに形成された二重又は二重以上を形成するためのカットラインを、「11b」は最大4mm〜3mmに形成された二重又は奥二重を形成するためのカットラインを各示す。上記カットライン11dの長さは15mmとしてあるが、装着したい部分の大きさに合わせて適宜にカットすることができる。
【0039】
<使用方法>
本願発明によるつけまつ毛は、図1及び図2に示す所定の形状に切断された状態で製品化される場合と、図5に「1M」で示すユーザカット仕様の場合がある。前者の場合は剥離紙9を剥がし直接上瞼に装着することができるが、後者の場合はまず、図7に示した所望のサイズパターンスケール11の上にベース1をヘア材3を上にした状態で載置する。次いで、ユーザにより上記ベース1に上記サイズパターンスケール11に示されたカットラインを描き写す。次いでユーザにより該カットラインに沿って上記ベース1をカットする。次いで、剥離紙9を剥がし、貼着面をまぶたに貼着して使用する。
【0040】
<レーザ光による切断効果>
上記各実施の形態においては、ヘア材3がヘア材ユニット3Aからレーザ光により切断されて取り出されるため次の効果がある。
【0041】
ア.非接触切断
レーザ光による切断は非接触であるため、ヘア材3が切断時にばらけ、その方向性が区々となることがない。またヘア材ユニット3Aをロボット軸15により把持した状態でレーザ光により切断するので、カールした毛先の方向性を当初の上方にカールした状態のまま連設部のみ切断し、各ヘア材3を分離状態にすることができる。よってヘア材3の整列性を保持することができる。
【0042】
イ.加熱切断
レーザ光による切断は切断時に熱が発生するため、切断された各ヘア材3の根元部5が熱で溶けて球状になる。このため、この球状の根元部5をいわば「糊代」とすることができ、ベース1に接着するための「糊代」をつくる工程を別に設ける必要がない。
【0043】
ヘア材3の根元部5が球状に形成されるため、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができるところ、各ヘア材3はロボット軸15により把持した状態で、かつカールした毛先の方向性が整列された状態のまま接着層4に強固に貼着することができるから、各ヘア材3は点状接着でありながら、毛先の方向性が区々とならず、所定の方向即ち上方にカールした状態のままベース1の表面に固定することができる。よって装着中水分等の浸入を防止するので、つけまつ毛のずれや離脱を防止する。
【0044】
ウ.まぶたの拡開効果、自毛と渾然一体となる効果
各ヘア材3は上方にカールした状態を維持したまま分離状態でベース1に貼着されているが、まぶたに装着されると、後述のように上瞼20が突弧状に開となるため、貼着された各ヘア材3の各根元部5も上瞼20に沿って突弧状となる。この結果平行に貼着されていた各ヘア材3に放射状の角度がつき、各ヘア材3間に形成されている隙間がより拡開される。
【0045】
各ヘア材3のラインは図8(A)乃至図8(C)に示すように自まつげ22の直上に貼着されるから、自まつげ22がこの拡開された隙間から顔を出し各ヘア材3のラインと同一ライン上になる。よって装着されたつけまつ毛が自毛と渾然一体となる効果がある。
【0046】
エ.ヘア材3の根元部が球状に形成される効果
ヘア材3の根元部5が球状に形成されるため、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができる。よってヘア材3の貼着角度を調節することができるので、用途によって製品を群別でき、製品の拡張を図ることができる。例えば、接着層4に対しヘア材3を直交状に貼着すればまつ毛が大きく見えるので若者向けとなり、接着層4に対しヘア材3を傾斜して貼着すればまつ毛の量が多く見えるので年配者向けとなる。
【0047】
また根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができるので、迅速効率的な製造を可能とする。
【0048】
<他の効果>
上記各実施の形態においては、さらに次のような効果がある。
【0049】
本願発明によるつけまつ毛は貼着面が面状に幅広に構成され、この幅広の貼着面が上瞼20に貼着される。この貼着に当たり、ベース1は面状であって基端部1cが実質上直線状にかつ先端部1dが突弧状に形成されているから、ベース1の変形は、従来360°のあらゆる方向に変形しているのに対し、図9に示すように、一方向のみ(上下方向)であり、それ以外の変形は実質上無視することができる。
【0050】
よってつけまつ毛の装着に当たり、上瞼20下縁へのヘア材3の位置合わせは手にするベース1の面が幅広の取扱い易い面であることと相まって非常に容易となり、装着作業の手間と時間を大幅に節約することができる。また貼着面が面状であり上瞼20に貼着される面積が広いので、装着中つけまつ毛がずれたり離脱するおそれがない。この場合において、図1の実施の形態のように、上記ベース1が装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されるときは、上瞼20への装着良好性及び装着容易性が一層向上する。
【0051】
ここで上瞼20への装着良好性及び装着容易性を前記したレーザ光による切断効果との関係でさらに詳しく述べる。まず、ヘア材3は把持された状態においてレーザ光により直線状に切断されるから、ヘア材3の根元部5が球状に形成され、根元部5の球面のどの部分でも接着層4に貼着することができる。よってカールした毛先の方向性が整列された状態のまま容易に上瞼20に貼付することができるのである。
【0052】
また、ベース1は上瞼20下縁の自毛に沿って貼着されるところ、ヘア材3の根元部5が接着層4の下端部4aに貼着されるため、貼着されたヘア材3に沿って若干の余白部2aを残してベース1をぎりぎりにカットすることができる。このため、自まつ毛22とヘア材3とが図8(A)乃至図8(C)に示すように略同一線上に重なるから自まつ毛22と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。加えて接着層4の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。つまり、ヘア材3の根元部5が接着層4の中央部に貼着されると、自まつ毛22とヘア材3とが上下に二重になって甚だ不体裁となるだけでなく、接着層4の残部が視界に入ってくるので視界に霧がかかったようになって悪化するのであるが、これが防止される。
【0053】
この点に関してさらに述べる。ベース1を図1及び図2に示す所定の形状に切断するには、ベース1の裏面からレーザ光Rを照射して行なう。この切断において、図10(A)に一点鎖線で示すように、レーザ光Rをベース1とくにヘア材3が貼着されるラインぎりぎりに沿って直角に照射すると、ヘア材3を損傷することが多い。そこでレーザ光Rは、図10(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜(例えば接着層4に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射しベース1を切断している。このようにすれば接着層4付近に貼着されているヘア材3を損傷することが防止される。しかしながら、このようにレーザ光Rを傾斜して照射すると、ベース1の裏面に形成された粘着層7aの全部又は一部が溶解して裏面から脱落又は一部が剥離してしまう。こうなると上瞼に装着したとき、上瞼との一体装着性は失なわれ、装着力が低下するだけでなく、ベース1の一部が上瞼から剥離するとベース1と上瞼との間にギャップができるので、いかにもつけまつ毛然となり外観上自然毛と見分けがつき易くなる。
【0054】
また図10(A)に実線で示すように、接着層4に対し傾斜させてレーザ光Rを照射すると、ヘア材3を貼着する接着層4の一部を破壊損傷することがあり、こうなるとヘア材3がベース1から脱落するおそれがある。
【0055】
本実施の形態においては、図10(B)に実線で示すように、レーザ光Rを下端部1cとなるべき部位に対し傾斜(例えばベース1に対し60°くらいに傾斜させる)させて照射してもベース1の表面の下端部相当部位1cに対し長手方向に沿って余白部2aが設けられ、かつ接着層4の両端部にも略同大の余白部2bが設けられているので、ヘア材3を損傷することがなく、かつレーザ光Rの出力も小とできるので照射付近の粘着層7の溶解も防止される。よって装着中のつけまつ毛の上瞼からの脱落防止及びヘア材3のベース1からの脱落を防止することができる。
【0056】
ヘア材3は肉眼では意識されない程度の若干の余白部2aを残してベース1のぎりぎりに貼着される。このため、自まつ毛22とヘア材3とが図8(A)乃至図8(C)に示すように略同一線上に重なるから自まつ毛22と区別することができず、このため見栄えが非常に良好となる。加えて接着層4の残部が視界に入ってこないので、視界が良好となる。つまり、ヘア材3がベース1のぎりぎりに貼着されていないと、自まつ毛22とヘア材3とが上下に二重になって甚だ不体裁となるだけでなく、接着層4の残部が視界に入ってくるので視界に霧がかかったようになって悪化するのであるが、これが防止される。
【0057】
また、ベース1の両端部にも余白部2bが残されるため、ここにヘア材3が貼着されることがないから、自まつ毛22の生え際とヘア材3の貼着部位が一致する。よって加工されるつけまつ毛がより自然的になる効果がある。
【0058】
さらに余白部2aと自まつ毛22との間に形成される若干のギャップg(図8(C)に示す)にアイライン化粧料(図示せず)を塗布することもできる。
【0059】
さらに図2及び図5に示す実施の形態の場合、ベース1は平面形状に形成され、二次元的にも三次元的にも特定のユーザ用に加工されていない。また図5に示すユーザカット仕様の場合、貼着されたベース1の上部スペース1b(図5(A)に示す)はフリーカットできるような十分な面積を有しているため、ベース1の先端部1dを突弧状にカットして使用することができる。これにより、上瞼20の皮膚を上方に引き上げる効果がある。
【0060】
上瞼20の皮膚は経時的に劣化し段々とたるんでくるが、この引き上げ効果により上瞼20の皮膚のたるみ程度に応じてカット面積を調節し、上瞼20を上方に引き上げ、これにより、目元を一層ぱっちりとすることができ、アンチ・エージング効果が生ずる。
【0061】
さらにまた、ベース1が平面状に形成され、該ベース1の下端部にヘア材3が直線状に形成される場合において、ベース1が上瞼20に貼着されるとベース1が突弧状の上瞼20に沿って突弧状になるため、個々分離状態で貼着されている各ヘア材3が放射状に拡開される。このためまつ毛(実は「つけまつ毛」)のラインが濃く見え、目元がぱっちり大きく見えるのである。
【0062】
本願発明によるつけまつ毛は上記した実施の形態に限定されない。例えば、ヘア材3は、根元部5が球状以外の他のわん曲形状(例えば断面弧状)であってもよく、また図11(A)、(B)に示すようにカッタ等により扁平状に切断されてもよい。
【0063】
また各ヘア材3の根元部5の貼着角度は、上記各図示例のような直交状ではなく、図11(C)に示すように下向きの傾斜状にすることもできる。この場合傾斜角度は例えば45°が考えられるが、ユーザの目的、年齢等により適宜に選択される。
【0064】
またヘア材3は、図1の如く、線状部材31なしに接着層4に多数本のヘア材を直接貼着することもできる。
【0065】
また、適用部位として、上記実施の形態では本願発明によるつけまつ毛を上瞼に装着する場合について説明したが、下瞼に装着することもできる。
【0066】
ベース1、ヘア材3等の各部のサイズについて本文中で述べた数値は一例として理解すべきである。とくにベース1の厚さは数10μ単位の極薄のシートであれば、例えば30μ、40μ、50μ、60μ、70μ、80μ、90μであってもよい。なお、ヘア材3の長さは問わない。
【0067】
非接触の加熱切断手段として、他に超音波のような高周波を用いることが考えられる。
【0068】
接着層4を構成する接着剤は瞬間的に強固に接着する接着剤であればよく、例えばシアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤を用いることもできる。
【0069】
ベース1への接着剤の供給に関し、上記実施の形態で述べたようにベース1は移動させずに接着剤を供給する場合、ベース1は作業台12の上に区画分毎に切断して多数置いておき、接着剤を供給してもよいし、長尺状のベース1のまま作業台12の上に置いておき接着剤の供給後に区画分毎に切断してもよい。
【0070】
しかし、上記とは反対に、ベース1を移動させて、その移動時に接着剤を供給することが考えられる。この場合は、接着剤はベース1が一方向に供給されるとき供給パイプがベース1上に動作し、ベース1の移動時に所定時間ONとなってベース1上に接着剤を直線状に供給する。
【0071】
各ヘア材3の連接部の切断は接着層4の付与前又は接着剤供給と同時にしてもよい。
【0072】
サイズパターンスケール11のカットライン11dの長さは他のサイズにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本願発明はつけまつ毛として活用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ベース
1a ベース
1b 上部スペース
1c 基端部
1d 先端部
1M ベース母材
2a 余白部
2b 余白部
3 ヘア材
3A ヘア材ユニット
3b 基端部
31 線状部材
4 接着層
4a 下端部
5 根元部
6 先端部
7 粘着層
9 剥離紙
11 サイズパターンスケール
12 作業台
13 リール
15 ロボット軸
20 上瞼
21 目
21a 上方曲線
22 自まつ毛
L カットライン
M カットライン
T 作業位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極薄のベースと、該ベースの表面に直線状に形成された接着層と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されることを特徴とするつけまつ毛。
【請求項2】
上記ベースが上記瞼より小径であることを特徴とする請求項1記載のつけまつ毛。
【請求項3】
上記ベースの基端部が直線状にカットされ、基端部に対して反対側の端部が突弧状にカットされることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のつけまつ毛。
【請求項4】
上記ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛。
【請求項5】
上記ヘア材は上記接着層の下端部に貼着されることを特徴とする請求項1又は請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛。
【請求項1】
極薄のベースと、該ベースの表面に直線状に形成された接着層と、該接着層に個々に分離状態にて貼着された多数本のヘア材と、上記ベースの裏面全面に形成された粘着層とからなり、上記ベースが装着される瞼のわん曲形状に沿って三次元形状に形成されることを特徴とするつけまつ毛。
【請求項2】
上記ベースが上記瞼より小径であることを特徴とする請求項1記載のつけまつ毛。
【請求項3】
上記ベースの基端部が直線状にカットされ、基端部に対して反対側の端部が突弧状にカットされることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のつけまつ毛。
【請求項4】
上記ベースの厚さが20μ以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載のつけまつ毛。
【請求項5】
上記ヘア材は上記接着層の下端部に貼着されることを特徴とする請求項1又は請求項4のいずれか一記載のつけまつ毛。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−36536(P2012−36536A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179711(P2010−179711)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(592191896)株式会社プロピア (16)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(592191896)株式会社プロピア (16)
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