説明

ぬいぐるみ、及び玩具

【課題】毛を刈ることが可能なぬいぐるみ、及びこのぬいぐるみを備えた玩具を提供する。
【解決手段】ぬいぐるみ1の体表面2の全体又は一部を毛足の長い毛3で覆い、毛3が体表面2まで刈られることによりぬいぐるみ1の実体が現出するよう、ぬいぐるみ1を構成する。また、このようにして構成されたぬいぐるみ1と、ぬいぐるみ1の毛3を刈る際に使用される鋏とを一つにセットし、玩具を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛を自由に刈ることが可能なぬいぐるみ、及びこのぬいぐるみを備えた玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
日々の生活で溜まったストレスを解消する簡単な方法として、目の前にある物を叩いたり、壊したり、投げたりといった方法があるが、これらのストレス解消法は、物の損傷や破損を生み出すため、経済的とはいえなかった。
【0003】
そこで、特許文献1に、叩く対象物への衝撃を和らげるように構成された叩打具が、ストレス解消用の玩具として提案されている。しかしながら、叩打具で物を叩くことによるストレス解消法には、ストレス解消以外に得られるものがなく、物足りなさがあった。
【0004】
ところで、特許文献2に、自分の好みのままに自由にトリミングして、他に無い、自分だけのオリジナルの動物ぬいぐるみを作成できるようにした動物ぬいぐるみが提案されている。
【0005】
この特許文献2に記載の動物ぬいぐるみを用いれば、ぬいぐるみの毛を刈るという行為によって、ストレスを解消することができるとともに、自分たけのオリジナルのぬいぐるみを作成したという満足感を得ることができると考えられる。
【特許文献1】実用新案登録第308700号公報
【特許文献2】特開平8−71256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の動物ぬいぐるみは、あくまで自分好みのオリジナルのぬいぐるみを得ることを目的とするものであり、ストレス解消を目的とするものではないため、ぬいぐるみの構成は、通常形成される毛がそのまま長く設定されただけの構成となっている。
【0007】
よって、毛を刈る前後での外観の変化は乏しく、毛を刈るプロセスの楽しみに乏しかった。すなわち、特許文献2に記載のぬいぐるみを用い、毛を刈るプロセスを楽しんでストレスを解消させることは難しかった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、毛を刈ることが可能なぬいぐるみにおいて、毛を刈るプロセスの楽しみを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るぬいぐるみは、ぬいぐるみの体表面の全体又は一部が毛足の長い毛で覆われ、該毛が前記体表面まで刈られることによりぬいぐるみの実体が現出するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、需要者は、ぬいぐるみの体表面の全体又は一部を覆う毛を自分の好みに応じて自由に刈ることができる。
【0011】
また、ぬいぐるみは、体表面まで毛が刈られると実体が現出するように構成されている、つまり、毛により隠されていたぬいぐるみの実体が、毛を刈るにつれて、明らかとなるように構成されているので、毛を刈るプロセスの楽しみが増す。そして、毛を刈った後には、自分の好みに応じて毛が刈られた自分だけのオリジナルのぬいぐるみとして、そのかわいらしさを楽しむことができる。
【0012】
すなわち、需要者は、ぬいぐるみの毛を自由に刈ることで、楽しみながら、日々の生活で溜まったストレスを解消することができ、また、ストレス解消後には、自分だけのオリジナルのぬいぐるみとして、そのかわいらしさを楽しむことができる。
【0013】
また、本発明に係るぬいぐるみでは、前記毛は、その毛先から途中までの部分が、ぬいぐるみの体表面と異なる色に染色されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、毛を刈る前後でぬいぐるみの色に変化を生じさせることができるので、ぬいぐるみの毛を刈りながら、ぬいぐるみの色の変化を楽しむことができる。
【0015】
本発明に係る玩具は、本発明に係るぬいぐるみと、このぬいぐるみの前記毛を刈る際に使用される鋏とが一つにセットされてなることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、本発明に係るぬいぐるみと同様の効果が得られる。また、ぬいぐるみとは別に、毛を刈るのに適した鋏を入手する必要がないので、ぬいぐるみ単体で玩具とされて製品化された場合と比べ、製品性が増す。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るぬいぐるみ又は玩具によれば、需要者は、ぬいぐるみの体表面を覆う毛を自分の好みに応じて自由に刈ることができる。
【0018】
また、ぬいぐるみは、体表面まで毛が刈られると実体が現出するように構成されているので、つまり、毛により隠されていたぬいぐるみの実体が、毛を刈るにつれ、明らかとなるように構成されているので、毛を刈るプロセスの楽しみを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るぬいぐるみの形態を示す概略図であり、図2は、図1で示したぬいぐるみにおいて、一部の毛が刈られた状態を示す概略図である。
【0021】
本実施の形態に係るぬいぐるみ1は、体表面2の全体が毛足の長い毛3で覆われた構成とされており、毛3が体表面2まで刈られることによりぬいぐるみ1の実体が現出するように構成されている。
【0022】
なお、ここでいう毛足の長いとは、毛3が刈られないことを前提に形成されたぬいぐるみ1の毛3の毛足と比べて長いことをいう。また、ぬいぐるみ1の実体とは、毛3により隠されているぬいぐるみ1の正体、例えば、顔の表情、体の模様等により特定されるぬいぐるみ1の正体をいう。
【0023】
具体的には、本実施の形態に係るぬいぐるみ1は、熊の形態に形成されており、熊の頭部11、胴体部12、手部13、及び足部14にあたる部位の体表面2の全体が、毛足の長い毛3で覆われた構成とされている。つまり、好みに応じて自由に毛3を刈り、オリジナルのぬいぐるみ1を創作することができる構成とされている。
【0024】
また、頭部11の目111、鼻112、及び口113は、顔に相当する箇所にある毛3が体表面2まで刈られることにより現出するように構成されている。言い換えれば、頭部11の目111、鼻112、及び口113は、頭部11の体表面2の全体を覆う毛3により隠されている。
【0025】
これにより、需要者は、頭部11の顔に相当する箇所にある毛3を刈りながら、徐々に明らかとなっていく、ぬいぐるみ1の顔の表情を目で見て楽しむことができる。つまり、毛3を刈るプロセスを楽しむことができる。
【0026】
また、毛3は、その毛先から途中までの部分が体表面2と異なる色に染色されている。
【0027】
例えば、本実施の形態で、ぬいぐるみ1の頭部11、胴体部12、手部13、及び足部14の各部11〜14の体表面2の全体は、濃茶色に染色されており、これに対して、各部11〜14の体表面2の全体を覆う毛3はそれぞれ、体表面2と接する根本から途中までの部分が体表面2と同じ濃茶色に染色され、残りの部分、つまり、毛先までの部分が体表面2と異なる薄茶色に染色されている。
【0028】
これにより、毛3を刈る前後でぬいぐるみ1の色に変化が生じることとなるので、需要者は、毛を刈りながら、ぬいぐるみ1の色の変化を目で見て楽しむことができる。また、毛3を刈る長さによって、ぬいぐるみ1の色に違いがでるため、例えば、ぬいぐるみ1の体の部位に応じて、毛3を刈る長さを変え、ぬいぐるみ1の外観の配色を、自分好みの配色とすることができる。つまり、毛3を刈った後におけるぬいぐるみ1のオリジナル性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施の形態に係るぬいぐるみ1は、ぬいぐるみ1の毛を刈る際に使用される鋏(不図示)と一つにセットされた玩具として製品化されることが好ましい。
【0030】
ぬいぐるみ1と毛3を刈る際に使用される鋏とが一つにセットされた状態で販売されることで、需要者は、ぬいぐるみ1と鋏を別々に購入する必要がなくなるので、ぬいぐるみ単体で玩具とされて製品化された場合と比べ、製品性が増す。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明に係るぬいぐるみ1は、熊の形態に限定されるものではなく、例えば、犬や猫やうさぎ等の各種動物の形態に形成されたものであってもよい。
【0032】
また、本実施の形態に係るぬいぐるみ1は、熊の形態に形成されたぬいぐるみ1の頭部11、胴体部12、手部13、及び足部14の体表面2の全体が毛3で覆われたものであるが、本発明に係るぬいぐるみ1は、体表面2の一部が毛3で覆われたものであってもよい。例えば、本実施の形態と同様に熊の形態に形成されたぬいぐるみ1において、足部14の足裏表面、及び手部13の手のひら表面は、毛3で覆われていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るぬいぐるみの形態を示す概略図。
【図2】図1で示したぬいぐるみにおいて、一部の毛が刈られた状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ぬいぐるみ
2 体表面
3 毛
11 頭部
12 胴体部
13 手部
14 足部
111 目
112 鼻
113 口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ぬいぐるみの体表面の全体又は一部が毛足の長い毛で覆われ、該毛が前記体表面まで刈られることによりぬいぐるみの実体が現出するように構成されたことを特徴とするぬいぐるみ。
【請求項2】
請求項1に記載のぬいぐるみにおいて、
前記毛は、その毛先から途中までの部分が、ぬいぐるみの体表面と異なる色に染色されたことを特徴とするぬいぐるみ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のぬいぐるみと、このぬいぐるみの前記毛を刈る際に使用される鋏とが一つにセットされてなることを特徴とする玩具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−100968(P2009−100968A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275982(P2007−275982)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(391005318)株式会社プティルウ (3)
【Fターム(参考)】