説明

まきぐるみ手芸方法及び該方法により製作された造形物

【課題】
従来の手芸手法に比し、単に毛糸を巻き包んでゆくだけの簡単な手法で人や動物などの造形物を作成し、手芸に対する関心を深め、普及効果を昂揚する。
【解決手段】
手芸により人や動物に似せた造形物を製作する方法であって、頭部1等の球状部分は毛糸を玉状に巻き包んで作成し、一方、手部2,足部3は針金状形状保持芯材6を用い、該芯材に毛糸を巻き付け作成して芯材に毛糸を巻き付けた足部3を折り曲げ手部2の中心部と接合してつなぎ、折り曲げた足部に毛糸を横方向に巻いて胴体部4に形成した後、前記頭部1に目,鼻,口ならびに耳を取り付け作成した顔部5を前記胴体部に接合して造形物Aを製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糸を巻き包んでゆくだけで人や動物に似た造形物を製作する手芸方法ならびに該方法により製作された人や動物に似せた造形物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より人や動物に似せた立体造形物を製作する手法として縫いぐるみ,あみぐるみ,ボンボン手芸,フェルト羊毛手芸,木目込み,粘土,木彫,折り紙,張り子などの手法が知られている。例えばあみぐるみでは毛糸を一針一針編み進め、パーツを揃えて綿を詰め人形などの形にしてゆくことが行われており、ボンボン手芸ではボンボン器を重ねて手編み糸を巻き、ストッパーを止め手あみ糸をカットして結び糸を結び、ボンボンを整えて仕上げ造形物として製作されている。(例えば非特許文献1参照)
また、縫いぐるみでは必要とする表布や頭,鼻,顔,手などの必要な別布を作り、これらを順次、縫い合わせ頭や顔などの別布を付け、綿を詰めて人形等に仕上げている。(例えば非特許文献2参照)
更にフェルト羊毛手芸では、フェルティングマットの上でフェルトをニードルでちくちく刺しながら全体をまるめて動物の形状に仕上げてゆくことも行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】2008年11月20日ブティック社発行「ちいさなかわいいあみぐるみと小物」第28〜31頁参照
【非特許文献2】2007年3月20日ブティック社発行「オーガニックコットン ベビー服とこもの」52〜53頁,76〜77頁参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記各手法はかぎ針で編み、ピンセットを使って綿を入れたり、各パーツを縫い合わせたり、各パーツが入っているかを確認し整形する等の手間が必要であった。そこで本発明はかかる従来の手法に対し、単に毛糸を巻き包んでゆくだけの簡単な手法で人や動物などの造形物を製作する手芸方法を提供し、手芸に対する関心を高め、その普及効果をより昂揚せしめることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、手芸により人や動物に似せた造形物を製作する方法において、頭部などの球状部分を毛糸を玉状に巻き包んで作成し、一方、手部及び足部は針金状の形状保持芯材を用い、該芯材に毛糸を巻き包んで作成して、毛糸を芯材に巻き包んだ上記足部を折り曲げ、手部中央部と接合してつなぎ、折り曲げた足部に毛糸を横方向に巻いて胴体部を形成すると共に、前記頭部球状部分に目,鼻,口及び耳をとりつけ顔部となして、該顔部を前記胴体部分に接合し、適宜、装飾的な部品を施して造形物として製作することにある。なお、芯材としては針金や針金状のポリエチレンモノフィラメントが使用されるが、後者のポリエチレンフィラメント(商品名:テクノロート)が整形上、好適である。請求項3は上記方法により得られた造形物を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記の如く毛糸を巻き包んでゆくだけで人や動物に似せた造形物を作成する手法であり、巻くだけの操作で頗る簡単に造形物を作成することができるので素人でも簡単に手芸に入ることができ、手芸分野への関心を昂め、手芸の各方面への普及に頗る顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明方法により製作される造形物の1例としてクマのまきぐるみを示す図である。
【図2】(イ)〜(ヘ)は上記本発明実施例のクマのまきぐるみを作成する場合の頭部作成順序工程を示す説明図である。
【図3】(イ)〜(チ)は上記本発明に係る実施例の手部を作成する順序工程を示す説明図である。
【図4】更に足部を作る工程説明図である。
【図5】(イ)〜(ホ)は引き続き胴体部を組む工程を示す説明図である。
【図6】(イ)〜(ニ)は顔を作る順序工程を示す説明図である。
【図7】上記各工程により得られる各部分をまとめる工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、更に添付図面に基づいて本発明の具体的な形態を詳述する。図1は本発明方法により製作される造形物の1例としてクマのまきぐるみを本発明の「まきぐるみ」手法により作成する態様であり、図2は頭部1を作成する態様、図3は手部2を作成する態様、図4は足部3を作成する態様、図5は胴体部4を組む態様、図6は顔部5を作成する態様、図7は前記各部分をまとめて造形物Aとして完成させる態様を示している。
【0009】
なお、上記各部分の作成は図示の如く頭,手,足,顔の順序に拘束されるものではなく、何れの部分から作成を始めても別段差し支えないことは云うまでもない。以下、順次、図に従って本発明の作成態様を説明する。
【0010】
先ず、図2に示すように頭部1を作成するには指2本を利用して(イ)図のように毛糸を巻いてゆき、30回位巻き終わったら指からはずし、(ロ)図に示すように中央部分に2,3回巻き付けて絞り、巻き付けた部分を基点に(ハ)図に示す如く二つ折りにして、次にこの二つ折りにした束を芯にして、更に(ニ)図に示す如くきれいな玉になるようにバランスよく巻いてゆき、(ホ)図に示すように直径2.7cm位のきれいな毛糸の玉を作り、最後は(ヘ)図に示すように毛糸とじ針に糸を通し、玉に刺して貫通させる。そして、糸が貫通したところで、(ヘ)図に示すように余った糸は根元からカットし、頭部1が出来上がる。
【0011】
次に図3に従って手部2を作る順序を説明する。先ず、(イ)図に示す如く8cm位の針金状の形状保持芯材6を用い、その両端に毛糸を巻き易くするため両面テープを巻き付け、40cmの毛糸を用意して(ロ)図に示す如く芯材の端からくるくると隙間なく巻いてゆく。なお、巻くときは(ハ)図の如く芯材の方を回転させるのが好ましい。そして、(ニ)図の如く芯材の一方の端から他方端まで毛糸が巻けると、(ホ)図に示すように芯材6を折り曲げ、別途120cm位の毛糸を用意して端から20cmのところで芯材の中心にしっかり結び付ける。結び付けが終わると、100cm側方の毛糸で折り曲げた部分を(ホ)図に示すように中心から外側へ巻いてゆき、端まで巻けたら(ト)図に示すように引き返し、また中心まで巻いて戻り、縮まないようにしっかりと巻く。
【0012】
この巻き戻りが終わると、次にもう一方の片側の方も同様にそのまま同じ毛糸で内から外へ巻き、また中心部まで巻いて戻り、巻き終わったところで、(チ)図に示すように残してあった20cmの毛糸とぎゅっと1回きつく結ぶと手部2のパーツが出来上がる。なお、針金状の形状保持芯材6としては針金でもよいが、整形面より折曲し易い合成樹脂モノフィラメント、特に商品名テクノロートで知られるポリエチレンフィラメントは好適である。
【0013】
更に足部3を作成するには図4に示す如く12cmの針金状芯材6を用いて、前記図3に示す手を作る工程と同じ工程をもう一度繰り返して芯材の中心部から左右に毛糸を巻いて足のパーツ3を作り、中心部から折り曲げておく、
以上のように頭,手,足の各パーツが出来上がると、引き続きこれらをまとめて胴体部4を組むことになるが、胴体部を組む工程として、先ず前記手部と足部両パーツ2,3を図5(イ)に示すように足部3を折曲して手部の中央部に配置し、2本ずつの余り糸をぎゅっと1回強く結んで両部をつなぐ。2本ずつを結んだら次に4本を揃え、(ロ)図に示すように縦方向にぐるぐると3〜4回巻き付ける。そして、巻き付けが終わると、(ハ)図に示すように新しい糸で先に巻いた糸の上から横方向に巻いてゆき、胴体がふっくらするまできれいに巻き、巻き終わったら(ニ)図に示すように毛糸綴じ針に毛糸を通し、胴体部分を貫通させる。かくして通したら、はみ出た部分をカットすることにより胴体部4が完成する。
【0014】
以上のようにして頭部1,手部2,足部3及び胴体部4が完成するが、残る顔部5については、図6(イ)に示すように両耳部と口まわり部の部材a,bを作成し、これを用いてフェルトで耳と口のパーツを作成する。なお、白いフェルトで裏面がシートタイプになっておれば貼るだけでよいので便利である。そして、口まわりのパーツを前記した頭部1に(ロ)図に示すように貼り付けて目をつけたい場所に目打ちを使って穴を開け、接着剤をつけたソリッドアイを差し込んで目を付け、鼻も同様にして取り付ける。
【0015】
次に口部を(ハ)図に示す如くアウトラインステッチで刺しゅうし、針は随時、目立たない首の部分に刺し込む。そして、(ニ)図に示すように耳を立てた状態で縫いつければ顔部のパーツ5が出来上がり、最後に顔部5と胴体部4を図7に示す如くたてまつりでつなぎ合わせることにより図1に示す造形物Aとして出来上がり、首にリボンを巻けば図1(ロ)に示す如きクマのまきぐるみが完成する。
【0016】
以上は本発明手法の1例としてクマのまきぐるみを作成する態様であるが、同様の手法により頭,手,足,胴体,顔等を作成し、種々の人間や動物に似せた造形物を作成することが可能である。
【符号の説明】
【0017】
A:造形物
1:頭部
2:手部
3:足部
4:胴体部
5:顔部
6:針金状形状保持芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手芸により人や動物に似せた造形物を製作する方法であって、頭部などの球状部分は毛糸を玉状にまき包んで作成し、一方、手,足部分は針金状形状保持芯材を用い、該芯材に毛糸を巻き付け作成して、芯材に毛糸を巻きつけた足部を中心部より折り曲げ、手部中央部と接合してつなぎ、折り曲げた足部に毛糸を横方向に巻いて胴体部に形成すると共に、前記頭部球状部分に目,鼻,口ならびに耳を取り付けた顔部を前記胴体部と接合して造形物を製作することを特徴とするまきぐるみ手芸方法。
【請求項2】
針金状形状保持芯材としてポリエチレンフィラメントを用いる請求項1記載のまきぐるみ手芸方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法により製作した人,動物に似せたまきぐるみ造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−45406(P2011−45406A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194064(P2009−194064)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000111605)ハマナカ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】