説明

もちもち感を有する発泡樹脂成形体

【課題】 良好な触感、とりわけもちもち感のある発泡樹脂成形体を提供すること
【解決手段】 横ずり力を加えたときの荷重−変位線図において、変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であることを特徴とする発泡樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な触感を有する発泡樹脂成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
やわらかく、粘りと弾力がある心地よい食感を「もちもち」と表現する。もちもち感のある食品としては、餅、うどん、ケーキ、チーズ、パンなどがあげられ、特に、日本人に好まれる食感である。「もちもち」感を謳った食品は世の中に市販されているが、この「もちもち」した食感を物理的に評価する手法はこれまで存在しておらず、このような食感は、官能評価により評価を行っている。「もちもち」感の語源とも考えられる、餅の食感は、官能評価によると「粘りがある」「弾力がある」「やわらかい」「なめらか」と言った言葉で表現され、これらを総合して「もちもち」感があるという。すなわち、「もちもち」感とは、粘性と弾性(粘弾性)、やわらかさのバランスによって成り立つ感覚であると考えられる。
【0003】
歯で噛んだときの感覚を食感というが、この「もちもち」感は、食感だけでなく、手で触ったときの感覚である触感でも、適用することが出来る。たとえば、泡や、肌の触感について、「もちもち」感があると表現し、一般に好まれる触感である。その他に、樹脂成形体などにももちもち感を感じるものがある。この触感も、食感と同様に、粘性と弾性、やわらかさのバランスによって構成されると考えられる。なお、このもちもち感は、もちっと感、もっちり感と表現する場合もある。
【0004】
たとえば、良好な触感の1つの要因として、手で押して変形させた後に、力を緩めて変形を回復させると、変形させたときよりもゆっくり戻ってくるという現象があげられる。これは、測定可能な数値である、変形時のクリープコンプライアンスJhと回復時のクリープコンプライアンスJhrの比Jh/Jhrにより評価することができ、この値が1より大きくなると、変形よりも回復の方が遅いことを示す(特許文献1)。この変形と回復時のクリープコンプライアンスに関しては、たとえばレオメーター等を用いて測定温度および応力を一定に保つことで測定することができる。しかしながら、変形と回復時のクリープコンプライアンスの特性の評価方法だけでは、もちもち感は正しく評価するのに十分ではない。
【0005】
パンやケーキなどと同様の多孔質体として、発泡樹脂成形体があげられる。軟質の発泡樹脂成形体は、軽量で、やわらかい利点があるが、もちもち感がない。一般に、変形よりも回復のほうが遅いことが主な特徴である発泡体として、粘弾性フォームと呼ばれる低反発性ポリウレタンフォームが知られているが、この発泡体は触感が悪く、もちもち感がない。
【0006】
低反発ポリウレタンフォームは、一般的に圧力分散性能に優れているといわれており、たとえば、介護用ベッドなどの褥瘡予防用品に用いられる。低反発ポリウレタンフォームは、長時間同一姿勢を取り続けると、底づきが起こることがある。ここで、底づきとは、発泡体の気泡が潰れて、硬さを感じてしまうことである。褥瘡予防には、体圧分散が有効であるが、底づきにより圧力が集中してしまうので褥瘡予防効果が得られない。一方、ゲル素材を用いた褥瘡予防用品は、発泡体ではないのでへたりはなく、長期間体圧分散性能を維持できるが、通気性が悪いことや、重くて取扱いが困難であると言った欠点がある。
【特許文献1】国際公開2008/117734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本研究の目的は、良好な触感、とりわけもちもち感のある発泡樹脂成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、横ずり力を加えたときの荷重−変位線図における初期の線形変形時の傾きが小さい発泡樹脂成形体が、もちもち感を有していることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1は、横ずり力を加えたときの荷重−変位線図において、変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であることを特徴とする発泡樹脂成形体に関する。
【0010】
好ましい態様としては、
(1)ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が30度以下であること、
(2)軟質樹脂を基材樹脂とすること、
(3)シリコン系重合体を基材樹脂とすること、
(4)基材樹脂が、
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、
ヒドロシリル化触媒(C)、
を含んでなる樹脂組成物を硬化させたものであること、
(5)重合体(B)が、数平均分子量が10000以上の重合体であること、
を特徴とする前記記載の発泡樹脂成形体に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡樹脂成形体は、横ずり力を加えたときの荷重−変位線図において変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であるため、発泡樹脂成形体の有する通気性と、いわゆる、もちもち感を併せ持っている。
【0012】
そのため、用途として、たとえば、褥瘡予防マットレスのような介護用品などにとりわけ好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
【0014】
本発明の発泡樹脂成形体は、横ずり力を加えたとき(以下、横ずり変形と称す場合がある)の荷重−変位線図において、変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であり、好ましくは、2.5N以下である。変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であるということは、言い換えれば、荷重−変位線図において、初期の傾きが小さいことを意味している。
【0015】
横ずり変形の測定には、試料の厚さ方向への変形だけでなく、せん断方向の測定が可能な装置を用いる。たとえば、クリープメータ(RHENONERII CREEP METER RE2−33005S、(株)山電製)にせん断方向の変形速度を制御でき、せん断方向の荷重を測定できるオプションを付けて測定することができる。
本発明においては、発泡樹脂成形体に、10Nの荷重を与え、その荷重を保ったまま、10mm/secの速度でせん断力を加え、横ずり変形を与える。得られた荷重−変位線図から、変位が1.0mmのときの荷重(N)を算出した。代表的な荷重−変位線図を図1に示す。
【0016】
本発明において、もちもち感とは、やわらかく、粘りと弾力がある心地よい触感をいう。本発明の横ずり力を加えたときの荷重−変位線図において、変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下の発泡樹脂成形体は、もちもち感を有するものである。簡易的には、たとえば、底づきするまで指で押して圧縮したのち、指を横にずらしてせん断力を与えると、小さい力で横ずり変形することで評価することが出来る。ここで、底づきとは、発泡樹脂成形体の気泡が潰れ、硬さを感じることをいう。
【0017】
本発明の発泡樹脂成形体は、ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が30度以下であることが、柔軟であり、触感が良好であるため、好ましい。
【0018】
本発明における発泡樹脂成形体は、特に制限するものではないが、やわらかさにより触感が良いことから、軟質樹脂を基材樹脂とする発泡樹脂成形体が好ましい。さらに好ましくは、安全性の点からシリコン系重合体を基材樹脂とする発泡樹脂成形体である。
【0019】
本発明に用いうるシリコン系重合体は、分子骨格中にシロキサン単位を有した樹脂であれば、特に制限されるものではないが、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物、アルケニル基を有する化合物、ヒドロシリル化触媒を含んでなる樹脂組成物を硬化してなる樹脂を用いることが、成形性や機械物性などの諸物性のバランスに優れることから好ましい。より好ましくは、ヒドロシリル基を有する化合物として「分子鎖中に平均して少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)」、前記アルケニル基を有する化合物として「分子鎖中に少なくとも平均して1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)」および「ヒドロシリル化触媒(C)」を含んでなる樹脂組成物を硬化させたものであることが好ましい。
【0020】
前記「分子鎖中に平均して少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)」(以下、単に、硬化剤(A)と称す場合がある)は、前記「分子鎖中に少なくとも平均して1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)」(以下、単に、重合体(B)と称す場合がある)の硬化剤として作用する。硬化剤(A)は、分子鎖中には平均して少なくとも2個のヒドロシリル基を有することが好ましいが、より好ましくは2個以上50個以下、さらに好ましくは2個以上20個以下、特に好ましくは2個以上15個以下、最も好ましくは3個以上12個以下のヒドロシリル基を有し、そのため、それぞれのヒドロシリル基が重合体(B)に存在するアルケニル基と反応して硬化する。分子鎖中のヒドロシリル基の数が2個より少ないと、樹脂組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる場合の硬化速度が遅くなり、硬化不良を起こす場合がある。また、分子鎖中のヒドロシリル基の個数が50個より多くなると、硬化剤(A)の安定性、即ち樹脂組成物の安定性が悪くなり、その上、硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化した樹脂組成物中に残存しやすくなり、クラックの原因となる場合がある。
【0021】
なお、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、SiH結合を1個有することを言い、SiH2の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、1つのSiに結合するHの数は、1つである方が硬化性は良くなり、また、柔軟性の点からも好ましい。本発明において「分子鎖中に平均して1個のヒドロシリル基」とは、1gあたりのヒドロシリル基量にその物質の数平均分子量を掛けたものである。本発明においては、ヒドロシリル基以外の官能基についても特に断りのない限り同様に、分子鎖中の官能基数を計算したものを示す。
【0022】
硬化剤(A)の分子量は、成形性などの点から、数平均分子量(Mn)で30000以下であることが好ましく、20000以下、15000以下であることがより好ましい。重合体(B)との反応性や相溶性まで考慮すると、300〜10000が特に好ましい。
【0023】
前記のごとき硬化剤(A)の構造について特に制限はないが、例えば、炭化水素系硬化剤やポリシロキサン系硬化剤が例示できる。
【0024】
炭化水素系硬化剤とは、
一般式(1):R1a
(式中、Xは少なくとも1個のヒドロシリル基を含む基、R1は炭素数2〜150の1〜4価の炭化水素基、aは1〜4から選ばれる整数、ただし、Xに1個のヒドロシリル基しか含まれない場合、aは2〜4から選ばれる整数)
で示される。
【0025】
本発明における重合体(B)は、分子鎖中に平均して少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物であれば、特に限定するものでは無いが、数平均分子量が10000以上の重合体が好適に使用される。重合体(B)は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状となり、硬化する。重合体(B)に含まれるアルケニル基の数は、硬化剤(A)とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも平均して1個以上であることが好ましい。
【0026】
本発明のヒドロシリル化触媒(C)としては、ヒドロシリル化触媒として働くものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。
【0027】
その他に、本発明の効果をなくさない程度に、充填材、貯蔵安定剤、可塑剤、増粘剤などを必要に応じて基材樹脂中に添加してもよい。
【0028】
本発明の発泡樹脂成形体の成形方法は、特に制限されるものではないが、以下の方法にて作製される。分子子鎖中に少なくとも平均して1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、発泡剤(D)、および、必要に応じてその他の任意成分を加えて混合した後、分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)を添加、混合した後、型枠内に注入し、加熱硬化させることにより本発明のシリコン系重合体を基材樹脂とする発泡樹脂成形体が得られる。
【0029】
本発明の発泡樹脂成形体は、一般的な発泡樹脂成形体としての特徴である、通気性だけでなく、ゲル素材のようなやわらかく、もちもち感を併せ持っている。このことから、本発明における発泡樹脂成形体の用途としては、特に制限するものではないが、例えば、身体と比較的長い時間接触する、もしくはそれに準じるような用途に好適に用いられる。
【0030】
その具体例としては、座席用クッション、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、カバー生地ラミネート裏打ち材、ヘルメット内張り、サドル、ライダークッション、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション材、車両ワックス用スポンジ、チャイルドシート、寝装品用のクッション材等、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション等、椅子、座イス、座布団、各種クッション、置きクッション、クッション、ソファー、ソファークッションの交換、シートクッション、カーペット・マット類裏打ち、コタツ敷・掛け布団、ベビーベッド、ベビー用首まくら、便座マット、クリーンルーム用拭取材、清掃用クリーナー、食器洗浄用クリーナー、身体洗浄用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナー、オムツ、オムツ用サイドギャザ−、オムツ用吸収剤、生理用ナプキン、各種液体フィルター、靴の表皮材、靴の裏打ち、靴の中敷、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷、化粧用パフ、アイカラーチップ、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、キーボード用アームレスト、作業台マット、両面テープ基材、滑り止めクッション、ペングリップ、デスク用小まくら、衣料、肩・ブラジャー等のパッド、防寒材ライナー、衣料用パッド材、スポーツ用品等、スポーツ用プロテクター類、ボルダリングマット、スポーツ用品クッション材、ビート板、高飛び用のクッション材、運動用着地マット、キッズマット、スキーブーツ用ライナー、スノーボードブーツ用ライナー、玩具等の構成材、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、ぬいぐるみ等詰め物、ロボットの皮膚、遊具用品、ボール、マッサージボール、クリーナー、型からのモデルサンプル作製材料、装飾品作製材料、怪獣の特殊造型・造型物、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、氷枕カバー、折りたたみまくら、再生医療用細胞シート、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、その他生体適合材料、薬液染み出しパッド、止血パッド、貼布剤、マスク、圧迫パッド、低周波治療器用電極パッド、褥瘡予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、拘縮用手のひらプロテクター、テーピング、ギブス用ライナー、義肢・義足用ライナー、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、創傷被覆材などにも利用できるものである。
【0031】
本発明における発泡樹脂成形体は、発泡樹脂成形体とゲル素材の両方の特徴を併せ持っていることから、褥瘡予防マットレス、車椅子用クッションといった、褥瘡を予防する用途である介護用品にとくに好ましく用いられる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の測定、評価は、次の条件・方法により行った。評価結果を表2に示す。
【0033】
<横ずり変形の測定>
横ずり変形の測定には、クリープメータ(RHENONERII CREEP METER RE2−33005S、(株)山電製)を用いて、試料に10Nの荷重を与え、その荷重を保ったまま、10mm/secの速度でせん断力を加え、横ずり変形を与えた。試料のサイズは縦30mm、横30mm、厚さは任意の厚さとした。得られた荷重−変位線図から、変位が1.0mmのときの荷重(N)を算出した。この値が小さいと、小さい力で横ずり変形することができ、もちもち感があるといえる。
【0034】
<硬さ測定法>
硬さは、ASKER FP型硬度計を、試料の上にそっと載せて、その指示値により評価した。試料によっては、経時的に指示値が下がっていく場合もあるため、該硬度計を載せた直後の値を読み取った。
【0035】
<触感の官能評価>
触感は、10名の一般パネラーによる官能評価により行った。評価方法は、試料を指で強く押し、底づき感を感じた後に指を横にずらすこととした。そして10名のパネラーの平均値を算出し、評価点とした。その際の評価基準は次の通りである。
3点:やわらかくてさわり心地がよく、さらに、指で底づき感を感じるまで押して、横にずらしたときに、低い力で横ずり変形ができ、もちもち感がある。
2点:指で底づき感を感じるまで押して、横にずらしたときに、強い力だと横ずり変形ができるが、もちもち感がない。
1点:指で底づき感を感じるまで押して、横にずらしたときに、強い力でも横ずり変形ができず、もちもち感がない。
【0036】
<使用化合物>
実施例・比較例においては、表1に示す化合物を用いた。
【0037】
【表1】

(実施例1)
100重量部の重合体B−1に対して、発泡剤Dを6.0重量部、触媒Cを0.0375重量部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを12重量部添加してすばやく混合した。この混合物を200mlのディスポカップに注入し、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡樹脂成形体を得た。得られた発泡樹脂成形体の密度は、310kg/m3であった。
【0038】
(実施例2)
100重量部の重合体B−2に対して、発泡剤Dを8.6重量部、触媒Cを0.0563重量部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを13.6重量部添加してすばやく混合した。この混合物を200mlのディスポカップに注入し、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡樹脂成形体を得た。得られた発泡樹脂成形体の密度は、188kg/m3であった。
【0039】
(比較例1)
100重量部の重合体B−3に対して、発泡剤を7.5重量部、触媒Cを0.08重量部加えて十分に混合し、さらに、硬化剤Aを13重量部添加してすばやく混合した。この混合物を型枠に注入し、40℃に設定したオーブンで60分加熱硬化し、シリコン系重合体を基材樹脂とする発泡体を得た。得られた発泡樹脂成形体の密度は、202kg/m3であった。
【0040】
(比較例2)
低反発ポリウレタンフォームである、テンピュールスーパーソフト(テンピュール・ジャパン(有)製)から任意のサイズでサンプルを切り出し、測定に用いた。テンピュールスーパーソフトの密度は、85kg/m3であった。
【0041】
(比較例3)
ゲルとして、αGELシート((株)タイカ製)を用いた。密度は980kg/m3であった。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】横ずり変形時における代表的な荷重−変位の関係を表したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横ずり力を加えたときの荷重−変位線図において、変位が1.0mmのときの荷重が3.0N以下であることを特徴とする発泡樹脂成形体。
【請求項2】
ASKER FP型硬度計にて測定した硬度が30度以下であることを特徴とする請求項1記載の発泡樹脂成形体。
【請求項3】
軟質樹脂を基材樹脂とすることを特徴とする請求項1および2記載の発泡樹脂成形体。
【請求項4】
シリコン系重合体を基材樹脂とすることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載の発泡樹脂成形体。
【請求項5】
基材樹脂が、
分子鎖中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤(A)、
分子鎖中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素系単位、または、オキシアルキレン系単位からなる重合体(B)、
ヒドロシリル化触媒(C)、
を含んでなる樹脂組成物を硬化させたものであることを特徴とする請求項4記載の発泡樹脂成形体。
【請求項6】
重合体(B)が、数平均分子量が10000以上の重合体であることを特徴とする請求項5記載の発泡樹脂成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2010−100769(P2010−100769A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275053(P2008−275053)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】