ろうそく立ての載置台
【課題】 従来の磁石の吸着力を利用したろうそく立ての転倒防止構成は、費用がかさみ、実用的ではなかった。
【解決手段】 仏壇の段上に置かれる基盤部と、基盤部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなるろうそく立ての載置台であって、収受部はろうそく立てが上方向及び横方向に動ける空間を有する形状に形成し、かつ収受部に設けた出入口がその可撓性により、ろうそく立ての下方部を出し入れできるようにして、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止できるようにした。
【解決手段】 仏壇の段上に置かれる基盤部と、基盤部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなるろうそく立ての載置台であって、収受部はろうそく立てが上方向及び横方向に動ける空間を有する形状に形成し、かつ収受部に設けた出入口がその可撓性により、ろうそく立ての下方部を出し入れできるようにして、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇の段上に置かれるろうそく立てを載置する載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
仏壇の段上に置かれるろうそく立ては、真鍮などの材料で、高さ方向に細長い形状に作られている。このような伝統的なろうそく立てにろうそくが立てられると、重心が高い位置にあって不安定であり、地震が発生したとき、強い風が仏間を通ったとき、お供え物を狙うネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立てに触れたときなどに、火のともったろうそく立てが転倒し、ろうそくの炎が周囲に燃え移り火災となることがあった。因みに仏事の灯明に起因すると思われる火災は、日本で年間数百件発生している。
【0003】
従来、このような伝統的なろうそく立ての転倒を防止するために、磁石の吸着力を利用したものが知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。また、物の転倒を簡単な方法で防止するために、両面テープを使用することも知られている。(たとえば、特許文献3参照)。
【0004】
これら従来の磁石の吸着力を利用する構成は、ろうそく立ての下端部に磁石を設けるとともに、仏壇の段上に鉄板を設け、ろうそく立てを鉄板に載置するものである。また、両面テープを使用する場合には、ろうそく立ての底面に両面テープを貼って、仏壇の段上に固定することとなる。
【特許文献1】特開2003−47553号 公報
【特許文献2】実用新案登録第3038483号 公報
【特許文献3】実用新案登録第3088272号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の磁石の吸着力を利用したろうそく立ての転倒防止構成では、仏壇の段上に鉄板を設けるとともに、ろうそく立ての底面に磁石を固定しなければならず、従来から市販され、使用されている仏壇および伝統的なろうそく立てに適応させることができず、仏壇を改造したり、磁石を固定したろうそく立てを特別に制作したりする必要があり、費用がかさみ、実用的な解決とはならなかった。
【0006】
また、両面テープを用いる構成は、手軽な利点はあるが、高価な仏壇の塗面あるいは金箔面に粘着剤の跡が残るとともに、固着力に限度があり、実用的な転倒防止の構成とはなっていなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、上記目的を達成するために、下方部が側方に膨出したろうそく立てを載置する載置台であって、仏壇の段上に置かれる平板状の基盤部と、この基盤部の中央部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなり、収受部は、ろうそく立ての底面を支持する底部と、底部から上方に立設された胴部とを一体に形成し、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の胴部は、ろうそく立ての下方部を出し入れする可撓性の出入口を有しており、出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成したものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明であって、さらに基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有しているものである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、上記目的を達成するために、請求項1または請求項2に係る本発明であって、さらに基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有しているものである。
【0011】
上記請求項1に係る本発明による作用は、基盤部に固定された収受部は、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成しているから、地盤の水平、垂直およびねじれ方向の運動からなる地震動のうち、ろうそく立てを転倒させる運動としては、基盤部に作用する水平方向の振動であり、この水平方向の振動は基盤部を介して収受部に伝達され、ろうそく立ての下端部に作用するが、ろうそく立ては収受部に固定されておらず、かつ上方向、左右、前後に動けるから、基盤部および収受部が水平方向に振動するのに対し、ろうそく立ては、その慣性により、基盤部および収受部に対して相対的に水平方向に振動することとなり、絶対的には水平方向の振動が軽減され、転倒し難くなるのである。また、ネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立てに触れたときでも、ろうそく立ては、動くことができるので、受ける力が、緩和され、転倒し難くなるのである。
【0012】
上記請求項2に係る本発明による作用は、請求項1に係る本発明の上記作用に、さらに、基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有しているから、大きな震度の地震により仏壇の段上に載置された基盤部を滑り落とす力に対して、すべり止め部が基盤部を留める作用をして、ろうそく立てを含む載置台全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができるのである。
【0013】
上記請求項3に係る本発明による作用は、請求項1または請求項2に係る本発明の上記作用に、さらに、基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有しているから、延出脚を使用することにより、載置台をコンパクトにできながら、基盤部を広い面としたと同様な作用をなし、ろうそく立ての転倒およびろうそく立てを含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明は、以上のように構成されているので、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明は、以上のように構成されているので、請求項1に係る本発明の上記効果に、さらに、ろうそく立てを含む載置台全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0016】
請求項3に係る本発明は、以上のように構成されているので、上記請求項1または請求項2に係る本発明の上記効果に、さらに、載置台をコンパクトにできながら、ろうそく立ての転倒およびろうそく立てを含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るろうそくおよびろうそく立てを載置した載置台の一部断面斜視図である。図1において、載置台1は、正方形で平板状の基盤部2と、この基盤部2の中央部に固定されている収受部3から形成されている。収受部3には、ろうそく立て4の下方部41が収容されており、ろうそく立て4の上端部には溶解したロウを受けるための受皿42および受皿42の中央に立設された立針43が備えられており、ろうそく5は、その下端から上方に設けられた孔を立針43に差し込まれている。
【0019】
ろうそく立て4は、真鍮製で空洞となっており、上下方向に複数の膨出部44,44が円周方向外方となる側方に膨出して形成されており、膨出部44は、下方部41から上記受皿42の下端にかけて徐々にその外径が小さく形成されている。そして、ろうそく立て4は、その下端の最大径の膨出部44に対し、その高さは3倍余りであり、高さ方向に細長い伝統的な形状となっている。
【0020】
収受部3は、ブタジエンスチレンゴムやブタジエンアクリロニトリルゴムなどの合成ゴムから形成されるのであり、図1〜図3に示すように、ろうそく立て4の底面を支持する底部31と、底部31から上方に立設された胴部32とを一体に形成されており、ろうそく立ての下方部41を収容したとき、ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間を有するように、ろうそく立て4の下方部41の外形よりも大きな内側形状に形成されている。ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間は、数ミリメートルであり、1.5〜3.0mmが好ましい。そして、収受部3の胴部32は、その上端部から下方部にかけて縦方向の4つの切れ目33,33が設けられて、ろうそく立て4の下方部41を出し入れする可撓性の出入口34に形成されている。この出入口34は、ろうそく立て4の下方部41を出し入れするときには、胴部32の上端部を指で外方に撓ませることにより、ろうそく立て4の下方部41が出し入れ可能な大きさの開口となり、力をかけない自然な状態では、ろうそく立て4の下方部41が出し入れできない大きさの開口に形成されている。収受部3をこのように形成することにより、後記するように、ろうそく立て4が地震などによって転倒し難いようになされているのである。
【0021】
上記収受部3は、4つの切れ目33,33が形成されているが、切れ目33は、上記のような出入口34を形成できればよいのであって、その個数は2個でも、3個でも、5個以上でもよいのである。また、収受部3の材料は合成ゴムで形成したが、天然ゴム製、合成樹脂製あるいは金属製であってもよい。さらに、収受部3の高さは、ろうそく立て4の高さの4分の1から5分の1程度にするのであり、収受部3の高さがこの程度であれば、伝統的なろうそく立て4に対する違和感が少ない。また、収受部3の色は、ろうそく立て4と同じ色が好ましい。
【0022】
また、収受部の別の形態として、図4および図5に示すように、金属製あるいは合成樹脂製の線材で一体的に形成してもよい。この形態の収受部3’は、図1〜図3に示した収受部3と形状および寸法が同じになるように、6本の線材で骨格を一体的に形成しており、底部31’と胴部32’とを形成する6本の線材を底部31’の中心で一体化している。収受部3’は、ろうそく立ての下方部41を収容したとき、ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間を有するように、ろうそく立て4の下方部41の外形よりも大きな内側形状となるような形状に6本の線材が形成されている。収受部3’の上方にろうそく立て4の下方部41を出し入れする可撓性の出入口34’が形成されており、この出入口34’は、ろうそく立て4の下方部41を出し入れするときには、胴部32’を形成する複数本の線材の上端部を指で外方に撓ませることにより、あるいはろうそく立て4の下端部を斜めにして出入口34’に押し込むことにより、ろうそく立て4の下方部41が出し入れ可能な大きさの開口となり、力をかけない自然な状態では、ろうそく立て4の下方部41が出し入れできない大きさの開口に形成されている。
【0023】
基盤部2は、フェノール樹脂などの耐火性材料から形成され、図6〜図8に示すように、表面21の中央部には、上記収受部3の底部31の径とほぼ同一の円形状部22に、粘着剤23が塗布されており、上記収受部3は、円形状部22に粘着剤23で固定されている。仏壇の段上と接する基盤部2の裏面24の全面には、細かいピッチで半球状のすべり止め突起24,24が設けられている。すべり止め突起24,24の形成は、基盤部2の裏面24に、発砲プラスチック基材をプリントし、加熱して発砲させることで行っている。そして、このすべり止め突起24,24は、仏壇の段上と接することにより、すべり止め部として機能し、大きな震度の地震により仏壇の段上に載置された基盤部2を滑り落とす力に対して、すべり止め部が基盤部2を留める作用をして、ろうそく立て4を含む載置台1全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0024】
収受部3は、基盤部2の中央部に塗布された粘着剤23により固定したが、これに限らず、面ファスナーや、各種の留め具を使用することにより固定することもできる。また、基盤部2と収受部3とを一体に成形することにより、収受部3を基盤部2に固定してもよい。
【0025】
図9および図10は、基盤部の別の形態を示すもので、基盤部2’の表面21’には、隅部から中心方向にそれぞれ筒状の鞘26’,26’が固定され、各鞘26’には、側方外方に放射状に延出可能なスライド式の延出脚27’が設けられている。延出脚27’の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部28’を有している。4本の延出脚27’,27’としたが、基盤部を円形として、3本の延出脚としてもよい。また、延出脚27’は鞘26’にスライド式で延出可能に収納したが、折り畳み式で延出可能にしてもよい。このような延出脚27’を設けることにより、基盤部2’をコンパクトにできながら、ろうそく立て4の転倒およびろうそく立て4を含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【0026】
図11は、基盤部のさらに別の形態を示すもので、基盤部2’’の周縁部に全周にわたって、堤部29’’を立設して、溶けたろうそくのろうが仏壇の段上にこぼれ落ちて漆塗りを傷めることのないようにしたものである。
【0027】
基盤部は、正方形に限らず、長方形、円形、楕円形などでもよく、飾りの縁取りをしてもよい。基盤部の表面の塗装は、載置する仏壇の段上と同一とすれば調和がとれ違和感がなくてよい。たとえば、黒色漆塗りにすれば、そのような仏壇の段上と調和がとれる。
【0028】
また、基盤部2の裏面24には、図7および図8に示すように、全面にすべり止め突起25,25を設けたが、図12に示すように、基盤部200の裏面201に放射状の線条突起のおよびそれを取り囲む八角形状の線条突起からなるすべり止め部205を設けてもよい。さらに、図示しないが、いろいろな方向の線条突起の組み合わせにしてもよい。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係る載置台1を用いたときの地震などに対する動作について説明する。基盤部2に固定された収受部3は、ろうそく立て4の下方部41を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部3の出入口34は、外方に撓ませることにより、ろうそく立て4の下方部41を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立て4の下方部41を出し入れできない大きさに形成しているから、地盤の水平、垂直およびねじれ方向の運動からなる地震動のうち、ろうそく立て4を転倒させる運動としては、基盤部に作用する水平方向の振動であり、この水平方向の振動は基盤部2を介して収受部3に伝達され、ろうそく立て4の下端部に作用するが、ろうそく立て4は収受部3に固定されておらず、かつ上方向、左右、前後に動けるから、基盤部2および収受部3が水平方向に振動するのに対し、ろうそく立て4は、その慣性により、基盤部2および収受部3に対して相対的に水平方向に振動することとなり、絶対的には水平方向の振動が軽減され、転倒し難くなるのである。また、ネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立て4に触れたときでも、ろうそく立て4は、動くことができるので、受ける力が、緩和され、転倒し難くなるのである。特に、ろうそく立て4が力を受けて傾いたときでも、図13に示すように収受部3の上端部に当接し、転倒を防止されるとともに、重心Gに下方に作用する力と収受部3の当接部に作用する反力とがろうそく立て4の傾きを起こす方向に働くので、ろうそく立て4が転倒し難いのである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る一部断面斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る収受部の斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る収受部の斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るろうそく立てを収容した収受部の正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基盤部の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基盤部の背面図である。
【図8】図7のA矢視図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る基盤部の平面図である。
【図10】図9のB部分矢視図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係る基盤部の正面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係る基盤部の背面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ろうそく立ての載置台
2,2’ 基盤部
3,3’ 収受部
4 ろうそく立て
25 すべり止め突起
27’ 延出脚
28’ すべり止め部
31,31’ 底部
32,32’ 胴部
34,34’ 出入口
41 下方部
200 基盤部
205 すべり止め部
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇の段上に置かれるろうそく立てを載置する載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
仏壇の段上に置かれるろうそく立ては、真鍮などの材料で、高さ方向に細長い形状に作られている。このような伝統的なろうそく立てにろうそくが立てられると、重心が高い位置にあって不安定であり、地震が発生したとき、強い風が仏間を通ったとき、お供え物を狙うネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立てに触れたときなどに、火のともったろうそく立てが転倒し、ろうそくの炎が周囲に燃え移り火災となることがあった。因みに仏事の灯明に起因すると思われる火災は、日本で年間数百件発生している。
【0003】
従来、このような伝統的なろうそく立ての転倒を防止するために、磁石の吸着力を利用したものが知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。また、物の転倒を簡単な方法で防止するために、両面テープを使用することも知られている。(たとえば、特許文献3参照)。
【0004】
これら従来の磁石の吸着力を利用する構成は、ろうそく立ての下端部に磁石を設けるとともに、仏壇の段上に鉄板を設け、ろうそく立てを鉄板に載置するものである。また、両面テープを使用する場合には、ろうそく立ての底面に両面テープを貼って、仏壇の段上に固定することとなる。
【特許文献1】特開2003−47553号 公報
【特許文献2】実用新案登録第3038483号 公報
【特許文献3】実用新案登録第3088272号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の磁石の吸着力を利用したろうそく立ての転倒防止構成では、仏壇の段上に鉄板を設けるとともに、ろうそく立ての底面に磁石を固定しなければならず、従来から市販され、使用されている仏壇および伝統的なろうそく立てに適応させることができず、仏壇を改造したり、磁石を固定したろうそく立てを特別に制作したりする必要があり、費用がかさみ、実用的な解決とはならなかった。
【0006】
また、両面テープを用いる構成は、手軽な利点はあるが、高価な仏壇の塗面あるいは金箔面に粘着剤の跡が残るとともに、固着力に限度があり、実用的な転倒防止の構成とはなっていなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、上記目的を達成するために、下方部が側方に膨出したろうそく立てを載置する載置台であって、仏壇の段上に置かれる平板状の基盤部と、この基盤部の中央部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなり、収受部は、ろうそく立ての底面を支持する底部と、底部から上方に立設された胴部とを一体に形成し、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の胴部は、ろうそく立ての下方部を出し入れする可撓性の出入口を有しており、出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成したものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明であって、さらに基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有しているものである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、上記目的を達成するために、請求項1または請求項2に係る本発明であって、さらに基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有しているものである。
【0011】
上記請求項1に係る本発明による作用は、基盤部に固定された収受部は、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成しているから、地盤の水平、垂直およびねじれ方向の運動からなる地震動のうち、ろうそく立てを転倒させる運動としては、基盤部に作用する水平方向の振動であり、この水平方向の振動は基盤部を介して収受部に伝達され、ろうそく立ての下端部に作用するが、ろうそく立ては収受部に固定されておらず、かつ上方向、左右、前後に動けるから、基盤部および収受部が水平方向に振動するのに対し、ろうそく立ては、その慣性により、基盤部および収受部に対して相対的に水平方向に振動することとなり、絶対的には水平方向の振動が軽減され、転倒し難くなるのである。また、ネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立てに触れたときでも、ろうそく立ては、動くことができるので、受ける力が、緩和され、転倒し難くなるのである。
【0012】
上記請求項2に係る本発明による作用は、請求項1に係る本発明の上記作用に、さらに、基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有しているから、大きな震度の地震により仏壇の段上に載置された基盤部を滑り落とす力に対して、すべり止め部が基盤部を留める作用をして、ろうそく立てを含む載置台全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができるのである。
【0013】
上記請求項3に係る本発明による作用は、請求項1または請求項2に係る本発明の上記作用に、さらに、基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有しているから、延出脚を使用することにより、載置台をコンパクトにできながら、基盤部を広い面としたと同様な作用をなし、ろうそく立ての転倒およびろうそく立てを含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明は、以上のように構成されているので、簡単な構成のろうそく立ての載置台を用いることによって、高さ方向に細長い伝統的なろうそく立ての地震などによる転倒を防止することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明は、以上のように構成されているので、請求項1に係る本発明の上記効果に、さらに、ろうそく立てを含む載置台全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0016】
請求項3に係る本発明は、以上のように構成されているので、上記請求項1または請求項2に係る本発明の上記効果に、さらに、載置台をコンパクトにできながら、ろうそく立ての転倒およびろうそく立てを含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るろうそくおよびろうそく立てを載置した載置台の一部断面斜視図である。図1において、載置台1は、正方形で平板状の基盤部2と、この基盤部2の中央部に固定されている収受部3から形成されている。収受部3には、ろうそく立て4の下方部41が収容されており、ろうそく立て4の上端部には溶解したロウを受けるための受皿42および受皿42の中央に立設された立針43が備えられており、ろうそく5は、その下端から上方に設けられた孔を立針43に差し込まれている。
【0019】
ろうそく立て4は、真鍮製で空洞となっており、上下方向に複数の膨出部44,44が円周方向外方となる側方に膨出して形成されており、膨出部44は、下方部41から上記受皿42の下端にかけて徐々にその外径が小さく形成されている。そして、ろうそく立て4は、その下端の最大径の膨出部44に対し、その高さは3倍余りであり、高さ方向に細長い伝統的な形状となっている。
【0020】
収受部3は、ブタジエンスチレンゴムやブタジエンアクリロニトリルゴムなどの合成ゴムから形成されるのであり、図1〜図3に示すように、ろうそく立て4の底面を支持する底部31と、底部31から上方に立設された胴部32とを一体に形成されており、ろうそく立ての下方部41を収容したとき、ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間を有するように、ろうそく立て4の下方部41の外形よりも大きな内側形状に形成されている。ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間は、数ミリメートルであり、1.5〜3.0mmが好ましい。そして、収受部3の胴部32は、その上端部から下方部にかけて縦方向の4つの切れ目33,33が設けられて、ろうそく立て4の下方部41を出し入れする可撓性の出入口34に形成されている。この出入口34は、ろうそく立て4の下方部41を出し入れするときには、胴部32の上端部を指で外方に撓ませることにより、ろうそく立て4の下方部41が出し入れ可能な大きさの開口となり、力をかけない自然な状態では、ろうそく立て4の下方部41が出し入れできない大きさの開口に形成されている。収受部3をこのように形成することにより、後記するように、ろうそく立て4が地震などによって転倒し難いようになされているのである。
【0021】
上記収受部3は、4つの切れ目33,33が形成されているが、切れ目33は、上記のような出入口34を形成できればよいのであって、その個数は2個でも、3個でも、5個以上でもよいのである。また、収受部3の材料は合成ゴムで形成したが、天然ゴム製、合成樹脂製あるいは金属製であってもよい。さらに、収受部3の高さは、ろうそく立て4の高さの4分の1から5分の1程度にするのであり、収受部3の高さがこの程度であれば、伝統的なろうそく立て4に対する違和感が少ない。また、収受部3の色は、ろうそく立て4と同じ色が好ましい。
【0022】
また、収受部の別の形態として、図4および図5に示すように、金属製あるいは合成樹脂製の線材で一体的に形成してもよい。この形態の収受部3’は、図1〜図3に示した収受部3と形状および寸法が同じになるように、6本の線材で骨格を一体的に形成しており、底部31’と胴部32’とを形成する6本の線材を底部31’の中心で一体化している。収受部3’は、ろうそく立ての下方部41を収容したとき、ろうそく立て4が上方向および横方向に動ける空間を有するように、ろうそく立て4の下方部41の外形よりも大きな内側形状となるような形状に6本の線材が形成されている。収受部3’の上方にろうそく立て4の下方部41を出し入れする可撓性の出入口34’が形成されており、この出入口34’は、ろうそく立て4の下方部41を出し入れするときには、胴部32’を形成する複数本の線材の上端部を指で外方に撓ませることにより、あるいはろうそく立て4の下端部を斜めにして出入口34’に押し込むことにより、ろうそく立て4の下方部41が出し入れ可能な大きさの開口となり、力をかけない自然な状態では、ろうそく立て4の下方部41が出し入れできない大きさの開口に形成されている。
【0023】
基盤部2は、フェノール樹脂などの耐火性材料から形成され、図6〜図8に示すように、表面21の中央部には、上記収受部3の底部31の径とほぼ同一の円形状部22に、粘着剤23が塗布されており、上記収受部3は、円形状部22に粘着剤23で固定されている。仏壇の段上と接する基盤部2の裏面24の全面には、細かいピッチで半球状のすべり止め突起24,24が設けられている。すべり止め突起24,24の形成は、基盤部2の裏面24に、発砲プラスチック基材をプリントし、加熱して発砲させることで行っている。そして、このすべり止め突起24,24は、仏壇の段上と接することにより、すべり止め部として機能し、大きな震度の地震により仏壇の段上に載置された基盤部2を滑り落とす力に対して、すべり止め部が基盤部2を留める作用をして、ろうそく立て4を含む載置台1全体が、仏壇の段上から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0024】
収受部3は、基盤部2の中央部に塗布された粘着剤23により固定したが、これに限らず、面ファスナーや、各種の留め具を使用することにより固定することもできる。また、基盤部2と収受部3とを一体に成形することにより、収受部3を基盤部2に固定してもよい。
【0025】
図9および図10は、基盤部の別の形態を示すもので、基盤部2’の表面21’には、隅部から中心方向にそれぞれ筒状の鞘26’,26’が固定され、各鞘26’には、側方外方に放射状に延出可能なスライド式の延出脚27’が設けられている。延出脚27’の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部28’を有している。4本の延出脚27’,27’としたが、基盤部を円形として、3本の延出脚としてもよい。また、延出脚27’は鞘26’にスライド式で延出可能に収納したが、折り畳み式で延出可能にしてもよい。このような延出脚27’を設けることにより、基盤部2’をコンパクトにできながら、ろうそく立て4の転倒およびろうそく立て4を含む載置台全体の仏壇の段上からの滑り落ちをより確実に防ぐことができる。
【0026】
図11は、基盤部のさらに別の形態を示すもので、基盤部2’’の周縁部に全周にわたって、堤部29’’を立設して、溶けたろうそくのろうが仏壇の段上にこぼれ落ちて漆塗りを傷めることのないようにしたものである。
【0027】
基盤部は、正方形に限らず、長方形、円形、楕円形などでもよく、飾りの縁取りをしてもよい。基盤部の表面の塗装は、載置する仏壇の段上と同一とすれば調和がとれ違和感がなくてよい。たとえば、黒色漆塗りにすれば、そのような仏壇の段上と調和がとれる。
【0028】
また、基盤部2の裏面24には、図7および図8に示すように、全面にすべり止め突起25,25を設けたが、図12に示すように、基盤部200の裏面201に放射状の線条突起のおよびそれを取り囲む八角形状の線条突起からなるすべり止め部205を設けてもよい。さらに、図示しないが、いろいろな方向の線条突起の組み合わせにしてもよい。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係る載置台1を用いたときの地震などに対する動作について説明する。基盤部2に固定された収受部3は、ろうそく立て4の下方部41を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部3の出入口34は、外方に撓ませることにより、ろうそく立て4の下方部41を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立て4の下方部41を出し入れできない大きさに形成しているから、地盤の水平、垂直およびねじれ方向の運動からなる地震動のうち、ろうそく立て4を転倒させる運動としては、基盤部に作用する水平方向の振動であり、この水平方向の振動は基盤部2を介して収受部3に伝達され、ろうそく立て4の下端部に作用するが、ろうそく立て4は収受部3に固定されておらず、かつ上方向、左右、前後に動けるから、基盤部2および収受部3が水平方向に振動するのに対し、ろうそく立て4は、その慣性により、基盤部2および収受部3に対して相対的に水平方向に振動することとなり、絶対的には水平方向の振動が軽減され、転倒し難くなるのである。また、ネズミや猫あるいは人の衣服がろうそく立て4に触れたときでも、ろうそく立て4は、動くことができるので、受ける力が、緩和され、転倒し難くなるのである。特に、ろうそく立て4が力を受けて傾いたときでも、図13に示すように収受部3の上端部に当接し、転倒を防止されるとともに、重心Gに下方に作用する力と収受部3の当接部に作用する反力とがろうそく立て4の傾きを起こす方向に働くので、ろうそく立て4が転倒し難いのである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る一部断面斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る収受部の斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る収受部の斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るろうそく立てを収容した収受部の正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基盤部の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基盤部の背面図である。
【図8】図7のA矢視図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る基盤部の平面図である。
【図10】図9のB部分矢視図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係る基盤部の正面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係る基盤部の背面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ろうそく立ての載置台
2,2’ 基盤部
3,3’ 収受部
4 ろうそく立て
25 すべり止め突起
27’ 延出脚
28’ すべり止め部
31,31’ 底部
32,32’ 胴部
34,34’ 出入口
41 下方部
200 基盤部
205 すべり止め部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方部が側方に膨出したろうそく立てを載置する載置台であって、仏壇の段上に置かれる平板状の基盤部と、この基盤部の中央部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなり、収受部は、ろうそく立ての底面を支持する底部と、底部から上方に立設された胴部とを一体に形成し、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の胴部は、ろうそく立ての下方部を出し入れする可撓性の出入口を有しており、出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成していることを特徴とするろうそく立ての載置台。
【請求項2】
基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有していることを特徴とする請求項1に記載のろうそく立ての載置台。
【請求項3】
基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろうそく立ての載置台。
【請求項1】
下方部が側方に膨出したろうそく立てを載置する載置台であって、仏壇の段上に置かれる平板状の基盤部と、この基盤部の中央部に固定されろうそく立ての下方部を収容する収受部とからなり、収受部は、ろうそく立ての底面を支持する底部と、底部から上方に立設された胴部とを一体に形成し、ろうそく立ての下方部を収容したとき上方向および横方向に動ける空間を有する形状に形成するとともに、収受部の胴部は、ろうそく立ての下方部を出し入れする可撓性の出入口を有しており、出入口は、外方に撓ませることにより、ろうそく立ての下方部を出し入れ可能で、力をかけない状態ではろうそく立ての下方部を出し入れできない大きさに形成していることを特徴とするろうそく立ての載置台。
【請求項2】
基盤部は、仏壇の段上と接する裏面にすべり止め部を有していることを特徴とする請求項1に記載のろうそく立ての載置台。
【請求項3】
基盤部は、側方外方に放射状に延出可能な延出脚を少なくとも3個備え、各延出脚の先端部には、仏壇の段上と接するすべり止め部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろうそく立ての載置台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−66196(P2006−66196A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246787(P2004−246787)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(503417051)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(503417051)
【Fターム(参考)】
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