説明

ろ材交換型エアーフィルタ

【課題】従来の使い捨て型エアーフィルタに代えてろ材パックのみを交換して廃棄できるようにしたろ材交換型エアーフィルタにおいて、薄型のろ材パックを取り替えようとする際、損傷し易い上フィルタ枠の蓋の嵌め外しが上手くいかず薄型のろ材パックを取り付けられないといった問題が生じた。そこで、損傷し易いろ材パックでもあるいは厚みの薄いろ材パックでも容易にろ材パックの交換を行えるようにしたものである。
【解決手段】 薄型のろ材パック1を交換可能に収容し薄型のろ材パック1の周囲を気密状態に支持するようにしたろ材交換型エアーフィルタフィルタ枠2において、フィルタ枠2を下板3および蓋4と左右の側板5、6とから構成し、蓋4から立下がる上部受け部材7と下板3から立ち上る下部受け部材8を設け、さらに上部受け部材7および下部受け部材8の後端には仕切り板9を左右の側板の内側に一体的に取り付けて蓋の取り付け取り外しを容易になしうるようにしたことを特徴としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は損傷し易いろ材でもあるいは厚みの薄いろ材でも容易にろ材交換が行え、フィルタ枠の剛性を充分に高くすることができるろ材交換型エアーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事務所ビルや工場などの空調用に使用されている使い捨て型エアーフィルタは、更新時に交換コストの低減や廃棄物の減少を目的として、ろ材パックのみを交換して廃棄できるようにしたろ材交換型エアーフィルタに置き換わるケースが増えてきている。
【0003】
その場合、ろ材交換型エアーフィルタのフィルタ枠の寸法は、同じ据付をする関係上、使い捨て型エアーフィルタと同じにする必要がある。
【0004】
一方ろ材パックは改良が進み従来の性能すなわち同一のろ過効率、処理風量、圧力損失であっても厚みを薄く例えば半分で済むことが出来るようになってきた。
【0005】
経済性や廃棄物の減容を考えた場合、ろ材パックの厚さは薄い方が良いといえる。このような観点で、改良の進んだ薄型のろ材パックを収納するろ材交換型エアーフィルタを既設の使い捨て型エアーフィルタに置き換えて提供しょうとする場合、ろ材交換型エアーフィルタの構造は、下記のような要件を満足することが求められるようになる。
▲1▼薄型のろ材パックは処理空気中の塵埃でフィルタ枠内が汚れる範囲を少なくするため、フィルタ枠内の前寄りに配置する必要がある。
▲2▼薄型のろ材パックの交換が容易である。
▲3▼風圧に対してろ材パックを充分に保持できる必要がある。
▲4▼ろ材パックとフィルタ枠とのシール性が充分である。
▲5▼横スライドで据え付けられるケースがあるため、横スライドでの出し入れでもフィルタ枠が変形しないような剛性を有する必要がある。
【発明の開示】

【発明が解決しょうとする課題】
【0006】
本発明の目的は損傷し易いろ材パックでもあるいは厚みの薄いろ材パックでも容易にろ材パックの交換を行えるようにしたものである。
【0007】
また、本発明の目的はフィルタ枠に薄型のろ材パックを前寄りに収容した場合でも蓋の取り外しを簡単、容易に行えるようにしたものである。
【0008】
また、本発明の目的は風圧に対してろ材パックを充分に保持できるようにしたものである。
【0009】
また、本発明の目的はろ材パックとフィルタ枠とのシール性を充分保持するものである。
【0010】
また、本発明の目的は横スライド方式の据付けにも変形しないよう剛性を充分高めたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決手段はろ材交換型エアフィルタを薄型のろ材パックとろ材パックを交換可能に収容するフィルタ枠とから構成したことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の解決手段はフィルタ枠を下板と蓋および左右の側板とから構成したことを特徴としたものである。
【0013】
本発明の解決手段はろ材パックの上を支持する立下りの短い上部受け部材と、さらに薄型のろ材パックの下とろ材パックの上下の中間付近を支持する立上りを長くした下部受け部材とをフィルタ枠内に配置したことを特徴としたものである。
【0014】
ここでろ材パックはガラス繊維あるいは合成繊維より成り、ジグザグ状に保形されている。
【0015】
フィルタ枠は下板の左右端に左右の側板の下端がそれぞれ固定して接合され、側板の上端には蓋が取り外し可能に結合されており、蓋を取り外したときには左右の側板がそれぞれその自重により左右の側板の上端側が枠外方に開く方向に傾くようになっているので、ろ材パックの出し入れが容易に行えるようになっている。
【0016】
また、ろ材パックの上を受け止める上部受け部材が蓋からの立下げ寸法を短くし、左右側板の内面との間に少し隙間を開けて設けられている。またろ材パックの下とろ材パックの上下の中間付近を受け止めるよう、下部受け部材が下板から立上り寸法を伸ばして上下の中間付近まで設けられ、剛性を有しその左右端が左右の側板の内面に接している。
【0017】
また上部受け部材および下部受け部材の後端には仕切り板が左右の側板の内側に取り付けられている。
【0018】
上記課題解決手段による作用は次の通りである。本発明のろ材交換型エアフィルタはフィルタ枠の蓋を取り外したときにフィルタ枠の左右側板の自重により上端側が枠外方に開く方向に傾くようになっているので簡単容易にフィルタ枠の上方からろ材パックを出し入れさせることができる。またろ材パックの上を受け止める上部受け部材を蓋から短めに立下って設け且つろ材パックの下とろ材パックの中間付近を受け止める下部受け部材を下板からの立ち上り寸法を伸ばして、上下の中間付近まで設けているので、ろ材パックを強い風圧に対しても十分に確保されるものである。しかも、上部受け部材および下部受け部材の後端に仕切り板を設けたので上部受け部材および下部受け部材が強い風圧に対しても十分に安定されるものである。さらに上部受け部材は立上り寸法を短くし、左右側板の内面との間に隙間を開けているので、蓋の取外しに際して左右の側板の上部を押して突起をへこませ、蓋の固定を解除する作業が容易に行えるものである。また、下部受け部材は立上り寸法を上下の中間付近まで伸ばし、剛性を有して左右側板の内面に接しているので横スライドでの据付作業にも変形しない十分な剛性を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
(1)損傷し易いろ材でもあるいは厚みの薄いろ材でも容易にろ材交換が行え、フィルタの剛性を充分に高くすることが可能である。
(2)フィルタ枠に薄型のろ材パックを前寄りに収容した場合でも蓋の取り外しを簡単、容易に行える。
(3)風圧に対してろ材パックを充分に保持することが可能である。
(4)ろ材パックとフィルタ枠とのシール性を充分保持することが可能である。
(5)横スライドでの据付作業に際しても十分な剛性を有するようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明のろ材交換型エアーフィルタを図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0021】
(実施形態)
本発明のろ材交換型エアーフィルタはろ材パック1とこのろ材パック1を交換可能に収容しろ材パック1の周囲を気密状態に支持するフィルタ枠2とから構成されている。
【0022】
フィルタ枠2は下板3および蓋4とろ材パック1の両側をそれぞれ支持する左右の側板5、6とからなっている。これらの下板3および蓋4と側板5、6は金属板または合成樹脂板により形成されている。
【0023】
そして、ろ材パック1の上を受け止める上部受け部材7が蓋4から短い寸法で立下り、左右側板の内面との間に少し隙間Aを開けて設けられている。またろ材パック1の上とろ材パック1の上下の中間付近を受け止める下部受け部材8が下板3から立上り寸法を伸ばして上下の中間付近まで設けられている。下部受け部材8は剛性を有し左右端が左右の側板の内面に接している。さらに上部受け部材7および下部受け部材8の後端には仕切り板9が左右の側板の内側に一体的に取り付けられている。
【0024】
下板3の左右端には、この下板3から上方に垂直に折曲された端部10が形成されており、この端部10に左右の側板5,6の下端部がリベット16により固定され下板3の左右端に接合されている。
【0025】
蓋4の左右端には、この蓋4から下方に垂直に折曲された折曲部11が形成され、この折曲部11には嵌合孔12がもうけられている。
【0026】
一方、左右の側板5,6の上端部の外面には突起13が形成され、前記折曲部11の嵌合孔12に取り外し可能に結合されるようになっている。
【0027】
また、下板3および蓋4と左右の側板5,6の内面にはその略全体にわたって濾材パック1の周囲を気密状態に支持するための弾性シール材14、15が設けられている。
【0028】
次にろ材交換型エアーフィルタのろ材パック1の取り付けについて述べる。まず、フィルタ枠2の蓋4を取り外す。この時フィルタ枠2の左右の側板5,6の自重により左右の側板5,6の上端部が僅か枠外方に開く方向に傾くようになってなるので、フィルタ枠2の上方からろ材パック1を容易に挿入することができる。次にろ材パック1の上部を受け止める短めに形成した上部受け部材7およびろ材パック1の下方から中間付近まで伸ばした下部受け部材8をろ材パック1に接触した状態で設置して設ける。さらに上部受け部材7および下部受け部材8の後端には仕切り板9を左右の側板の内側に一体的に取り付ける。このような状態から左右の側板5,6を枠内方に閉じ側板5,6の上部を押してわずかにへこませ、蓋4を左右の側板5,6の上端部にかぶせ、蓋4の折曲部11の嵌合孔12を側板5,6の外面突起13に嵌め固定する。次にろ材パック1の交換の際には左右の側板5,6の上部を押して突起をへこませ、蓋の固定を解除する。この際上部受け部材7と左右の側板5、6の内面との間に少し間隙Aが開いており、且つ下部受け部材8が下方から中間部付近までしか配置されていないので、容易にへこむようになっている。このような状態から前記の操作を繰り返してろ材パック1を設置する。
【0029】
さらに実施例では仕切り板9を左右の側板の内側に一体的に取り付けているが、上部用と下部用に分割して取付けても良く、種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はフィルタ枠にろ材パックを簡単に取替え自在としながら、高い気密性をもたせたもので、ろ材交換型一般空調用フィルタとしても最適であるが特にろ材パックが薄型であっても蓋の取り外しに際し側板を押して突起をへこませ、蓋の固定解除を容易にして、蓋の取り付け取り外しを容易になしたろ材交換型エアーフィルタである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1実施例を示すろ材交換型エアーフィルタの斜視図。
【図2】図1の分解斜視図。
【図3】図1のろ材パックとろ材パック後面の上部受け部材、下部受け部材との関係を示す側断面図。
【図4】図3のZ−Z断面図。
【図5】図4の蓋を取り外した時の状態を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1・・・ろ材パック 2・・・フィルタ枠 3・・・下板
4・・・蓋 5,6・・・側板 7・・・上部受け部材
8・・・下部受け部材 9・・・仕切り板 10・・・端部
11・・・折曲部 12・・・嵌合孔 13・・・突起
14,15・・・弾性シール材 16・・・リベット
A・・・隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型のろ材パック1とこの薄型のろ材パック1を交換可能に収容し薄型のろ材パック1の周囲を気密状態に支持するフィルタ枠2とからなり、フィルタ枠2を下板3および蓋4と左右の側板5、6とから構成し、蓋4から立下がる上部受け部材7と下板3から立ち上る下部受け部材8を設け、さらに上部受け部材7および下部受け部材8の後端には仕切り板9を左右の側板の内側に一体的に取り付けて蓋4の取付け取外しを容易になしたことを特徴とするろ材交換型エアーフィルタ。
【請求項2】
下板3の左右端に左右の側板5、6の下端がそれぞれ固定して接合され、蓋4を取外したときには左右の側板5、6がそれぞれの自重により左右の側板5、6の上端側がフィルタ枠2外方に開く方向に傾くようになることを特徴とする請求項1に記載のろ材交換型エアーフィルタ。
【請求項3】
上部受け部材7の立下り寸法を短くし、左右の側板5、6の内面との間に少し隙間を開けていることを特徴とする請求項1に記載のろ材交換型エアーフィルタ。
【請求項4】
下部受け部材8は立上り寸法を上下の中間付近まで伸ばして設けられ、剛性を有し、その左右端が左右の側板5、6の内面に接していることを特徴とする請求項1に記載のろ材交換型エアーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−82612(P2010−82612A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274903(P2008−274903)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(390040888)日本エアー・フィルター株式会社 (45)
【Fターム(参考)】