説明

ろ過装置

【課題】被処理液に温度変化が生じても、フィルタモジュールを破損させたり、リークを生じさせることなく、被処理液から固形不純物を除去するもの。
【解決手段】本発明のろ過装置は、密閉容器12内をろ過室14と処理液室15に区画する仕切板13に、フィルタモジュール16を設置し、フィルタモジュール10をフィルタ部24とフィルタ支持部25とから構成する。フィルタモジュール16のフィルタ支持部25を仕切板13と押え板17の間に挟んで固定用ボルト18で固定し、フィルタ支持部25に、被処理液の温度変化に伴って隙間が小さくなる方向に作用するスリット構造を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液から不純物を除去するろ過技術に係り、特に、高温水中に含まれる固形不純物を除去するろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントにおいて、発電効率および配管の健全性を維持するためには、蒸気発生器やボイラーへの給水中に含まれる固形不純物を低減することが重要であるとされ、さまざまな固形分の低減方法が実施されている。給水の水質を管理し固形分の発生を低減する方法と、発生した固形不純物をフィルタにより除去する方法がある。
【0003】
フィルタによる固形不純物の除去方法としては中空糸膜フィルタやプリーツ型フィルタなどのろ過器が用いられる。発電プラントの給水系では給水中の鉄濃度低減には固形不純物の除去が有効であり、この固形不純物の除去にはなるべく給水下流側に浄化装置を設置して給水中の固形不純物を除去することが望ましい。しかし、復水浄化系に用いられる浄化装置の中空糸膜フィルタやプリーツ型フィルタはポリエチレン製やポリサルホン製で最高使用温度が200℃より低い。このため、給水の水温が200℃近くの高温に達する給水加熱器の下流側にろ過器を設置することはできない。
【0004】
一方、高温水浄化用として金属製フィルタ、セラミック製フィルタ、電磁フィルタが試されてきたが、これらのフィルタは、高温純水中へのフィルタ素材の溶出や素材の腐食により表面状態に変化が生ずるという欠点により実用化されていない。
【0005】
高温水浄化の問題を解決するために、中空糸膜を熱に強いフッ素樹脂製とし、この中空状多孔質膜を熱溶融性フッ素樹脂で封止することにより、耐熱性を有し、かつ溶出量の少ないフッ素樹脂のみで中空糸膜フィルタモジュールを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
中空糸膜フィルタモジュール1は、図2(A)および(B)に示すように、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の中空状多孔質膜からなるフィルタ1aの端部が、PTFEより低融点の熱溶融性フッ素樹脂であるテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合(PFA)からなるフィルタ支持部1bで溶着することにより直接封止される(特許文献2参照)。
【0007】
中空糸膜フィルタモジュール1の封止方法は、例えば、中空糸状多孔質膜からなるフィルタ1aを熱溶融性のPFAのみのフィルタ支持部1bで溶融封止することにより、他の封止材を使用せず、フィルタ1aの封止とフィルタ支持部1bの形成を同時に行うことができる。
【0008】
この中空糸膜フィルタモジュール1では金属とフッ素樹脂のみ、あるいはフッ素樹脂のみでフィルタモジュールを構成することができるので、発電所の高温水中に含まれる固形懸濁物を分離するフィルタとして必要な耐熱性および溶出性の観点からは、最高使用温度が低い浄化装置のフィルタよりも好ましい。
【0009】
従来のろ過装置2は、図3に示すように、密閉容器3と、この密閉容器3内がフィルタ取付板を兼ねる仕切板4によって、下部のろ過室5aと上部の処理液室5bとに区画され、ろ過室5a内には複数の中空糸膜フィルタモジュール1が設置されて構成される(特許文献3,4参照)。
【0010】
また、この中空糸膜フィルタモジュール1は、フィルタ支持部1bが仕切り板4に押え板4aと固定用ボルト4bにより固定されており、仕切板4は密閉容器3に容器胴体3aおよび容器蓋3bに挟持されている。
【0011】
従来のろ過装置2は、中空糸膜フィルタモジュール1がフィルタ支持部1bの外周フランジ1cにより仕切板4に緩衝材6を設置し、押え板4aと仕切板4を固定用ボルト4bにより押さえ付けることにより固定される。ろ過装置2の仕切り板4および押え板4a、固定用ボルト4bは金属であるためフィルタ支持部1b、外周フランジ1cと線膨張係数が大きく異なる。このため、被処理液である給水の温度が高くなると、フィルタ支持部1bの1cの材質がPFAの場合には金属に対し約10倍程度伸びるので、フィルタ支持部を破損する恐れがある。
【0012】
また、高温時に一定の力が加わり押え板4aやフィルタ支持部1bが変形した場合には温度が低下しても元の形状に復帰しないので、リークが生じる。このため、被処理液の温度変化によって生じるフィルタ支持部1bの熱膨張と熱収縮を吸収する部材を緩衝材6に用いる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平5−57153号公報
【特許文献2】特開2002−346346号公報
【特許文献3】特開平2−298321号公報
【特許文献4】特開2005−144226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のろ過装置では、中空糸膜フィルタモジュールのフィルタ支持部を、仕切板4と押え板4aおよびボルト4bで固定し、フィルタ支持部1bの外周フランジ1cと仕切板4との間に緩衝材6を介在させ、この緩衝材6で被処理液のリークを防止している。
【0015】
しかし、緩衝材6によるリーク防止では、フィルタ支持部1bや外周フランジ1cの垂直方向への熱膨張と熱収縮しか制御することができない。フィルタ支持部1bおよび外周フランジ1cは、水平方向の熱膨張や熱収縮に対応することができず、水平方向の熱膨張や熱収縮によりリークが発生する。
【0016】
また、被処理液の温度変化による熱膨張や熱収縮に対し、中空糸膜フィルタモジュール1のフィルタ支持部1bと、仕切板4および押え板4aの隙間を厳密に管理する必要があり、煩雑となる課題があった。
【0017】
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、被処理液に温度変化が生じても、フィルタモジュールを破損させたり、リークを生じさせることなくフィルタモジュールのシール性能を安定的に維持することができるろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るろ過装置は、上述した課題を解決するために、固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成し、このフィルタモジュールを設けて被処理液側および処理液側を隔離したフィルタモジュールを設けたろ過装置において、前記フィルタモジュールのフィルタ支持部に、被処理液の温度変化に伴って隙間が小さくなる方向に作用するスリット構造を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明に係るろ過装置は、上述した課題を解決するために、密閉容器内をろ過室と処理液室に区画する仕切板に、フィルタモジュールを設置し、前記フィルタモジュールを固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成したろ過装置において、前記フィルタモジュールのフィルタ支持部を仕切板と押え板の間に挟んで固定用ボルトで固定し、前記フィルタ支持部に、被処理液の温度変化に伴って隙間が小さくなる方向に作用するスリット構造を設けたことを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明に係るろ過装置は、上述した課題を解決するために、密閉容器内をろ過室と処理液室に区画する仕切板に、フィルタモジュールを設置し、前記フィルタモジュールを固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成したろ過装置において、前記フィルタモジュールは複数の分割モジュールを組み合せて構成し、前記フィルタモジュールのフィルタ支持部は、複数の分割モジュールを組み合せることにより1つのフィルタ支持部となる構造を有し、前記フィルタモジュールのフィルタ支持部を、仕切板と押え板の間に挟んで固定用ボルトで固定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、被処理液に温度変化が生じても、フィルタモジュールを破損させたり、シール性能を低下させることなく、被処理液から固形不純物を除去し、処理液の水質を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示すもので、フィルタモジュールを設置したろ過装置の断面図。
【図2】(A)および(B)は従来の中空糸膜フィルタモジュールの概略を示す平面図および取付状態を示す側断面図。
【図3】中空糸膜フィルタモジュールを設置したろ過装置を示す断面図。
【図4】(A)はフィルタモジュールの概略を示す平面図、(B)はフィルタモジュールの取付状態を示す側断面図。
【図5】図4に示すフィルタモジュールのフィルタ支持部を構成するスリット構造の側面図。
【図6】(A)はフィルタモジュールを構成する2つの分割モジュールを示す平面図、(B)は分割モジュールの側面図。
【図7】(A)は2つの分割モジュールを組み合せたフィルタモジュールの組合せ状態の平面図、(B)はフィルタモジュールの組合せ状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示すろ過装置の断面図である。
【0025】
被処理液から固形不純物を除去するろ過装置10は、本体ケーシングである容器胴体11aと容器蓋11bとからなる密閉容器12を有する。密閉容器12内は仕切板13により下部のろ過室14と上部の処理液室15とに仕切られ、ろ過室14内には複数の改良型フィルタモジュール16が設けられる。フィルタモジュール16は、仕切板13と押え板17により挟持され、固定用ボルト18の締付けにより固定される。
【0026】
また、密閉容器12の容器胴体11aに被処理液が流入する被処理液流入ライン20が接続され、この流入ライン20を通って被処理液がろ過室14に案内される。ろ過室14に案内された被処理液は、フィルタモジュール16によりろ過されて処理液室15に案内され、この処理液室15から処理された処理液は処理液流出ライン21を通って流出する。被処理液流入ライン20は、例えば発電プラントの復水器(図示せず)につながるラインに設置され、処理液流出ライン21は、蒸気発生器(図示せず)につながるラインに設置される。
【0027】
密閉容器12内は、仕切板13および押え板17とフィルタモジュール16とによりろ過室14と処理液室15との隔壁としての機能を有する。複数のフィルタモジュール16は、フィルタ部としての中空糸状フィルタ24またはプリーツ状フィルタとフィルタ封止部であるフィルタ支持部25とを一体に備え、フィルタ支持部25は仕切板13と押え板17とにより挟持され、固定用ボルト18にて締め付けられて固定される。仕切板13は、密閉容器12内で容器胴体11aと容器蓋11bとにより挟持されて固定される。
【0028】
次に、改良型フィルタモジュール16の固定構造を図4(A)および(B)に示す。図4(A)はフィルタモジュール16の平面(上面)図であり、図4(B)はフィルタモジュール16の側面図を示す概略図である。
【0029】
フィルタモジュール16は、フィルタ支持部25が算盤珠形状に構成され、最上部と最下部が中間部より小さな径を有する。すなわち、フィルタ支持部25は中間部が最大の径を有し、上方および下方に向って漸次縮減するようにテーパ形状に構成される。フィルタ支持部25には、例えば熱に強いフッ素樹脂製の中空糸状フィルタ24が一体成形により設けられる一方、図4(A)に示すように半径方向のスリット27が設けられる。フィルタ支持部25のスリット27には、緩衝材28が充填され、この緩衝材28で被処理液の温度変化によって生じる熱膨張や熱収縮を吸収している。フィルタ支持部25のスリット27は、半径方向外方に向って漸次拡開するように構成してもよい。
【0030】
また、フィルタモジュール16のフィルタ支持部25には、図4に示すように、半径方向外方に拡開する縦スリット27が、最上部から最下部まで縦方向全体に亘って形成され、スリット構造に構成される。フィルタ支持部25の縦スリット27は、スリット部分が図5に示すように、隙間部のリークが生じないように一部に、例えばフック係合部29で接触して、隙間が拡開しない係止構造に構成される。
【0031】
フィルタモジュール16の好ましい一例として、フィルタ支持部25がPFA(ラトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合)の場合には、フィルタ支持部25の径が例えば47mmφ、最高使用温度が200℃の条件で、縦スリット27の幅は例えば3.6mmに形成される。また、フィルタ支持部25がポロージエン社製のポリエーテルエーテルサトン(PEEK)を基材として用いる場合には、スリット幅1.5mmが適当である。
【0032】
すなわち、フィルタ支持部25の縦スリット27のスリット幅は、次の(1)式から得られる。
フィルタ支持部のスリット幅
=フィルタ支持部の最大直径×線膨張係数×被処理液最高温度 ……(1)
【0033】
他方、仕切板13と押え板17は、フィルタ支持部25との接触面がテーパ形状に構成される。そして、フィルタモジュール16のフィルタ支持部25を仕切板13と押え板17とで挟み、固定用ボルト18で締め付けて固定すると、仕切板13と押え板17のテーパによる楔作用で、フィルタ支持部25はスリット幅が小さくなる方向に力が作用する。
【0034】
したがって、仕切板13と押え板17によりフィルタ支持部25に加える力、すなわち、固定用ボルト18の締付力は、フィルタ支持部25がPFAの場合には、最高使用温度が200℃における圧力と潰れ深さの関係から、略0.5MPa以下であることが好ましい。
【0035】
また、フィルタモジュール16のフィルタ支持部25がPEEKの場合には、フィルタ支持部25と同じ素材の固定用ボルト18を用いることにより、フィルタ支持部25と固定用ボルト18の熱膨張および熱収縮が同様となるので、フィルタ支持部25に過剰の力が作用せず、フィルタモジュール16の破損を軽減することができる。
【0036】
第1の実施形態によれば、ろ過装置10を最高使用温度が略200℃の高温水中で、フィルタモジュール16の破損を防止でき、シール性能の低下を生じさせることなく、高温水中に含まれる被処理液から固形不純物の除去を行なうことができ、処理液の水質を良好に保つことができる。
【0037】
[第2の実施形態]
本発明のろ過装置の第2の実施形態を図6および図7を参照して説明する。
【0038】
図6(A)および(B)は、ろ過装置に備えられる改良型フィルタモジュールを分割した状態の概略を示す平面(上面)図および側面図であり、図7(A)および(B)は、組み合せた状態を示す改良型フィルタモジュールの平面(上面)図および側面図である。
【0039】
図6および図7に示す改良型フィルタモジュール16Aを備えるろ過装置の全体的構成は、図1に示すろ過装置10と実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して具体的な説明は省略する。
【0040】
ろ過装置10に備えられる改良型フィルタモジュール16Aは、図6(A)および(B)に示すように、平面視で2つの分割モジュールである略半円モジュール31,32を組み合せ、繋ぎ合せて構成される。2つの半円モジュール31,32は、同じ大きさ・形状である必要はないが、膨張係数を考慮した場合、同じ大きさ・形状であることが好ましい。
【0041】
半円モジュール31,32の周方向両側は、半円が重なり合う扇状シール部33a,33b;34a,34bが所要の段差をもって備えられる。半円モジュール31,32の中心部には、一方に係合凸部が、他方に係合凹部が中心位置合せ用にそれぞれ必要に応じて設けられる。
【0042】
また、2つの分割モジュールである半円モジュール31,32には、中空糸状フィルタ36,37と、半円状のフィルタ支持部38,39が一体に成形される。各半円モジュール31,32を突き合せて重ね合せると、図7(A)および(B)に示すように、フィルタモジュール16Aは図1および図4に示すように1つのフィルタモジュール16と同様に構成される。組み合された分割モジュール31,32のフィルタ支持部38,39は、フィルタモジュール16のフィルタ支持部25と同様に、1つのフィルタ支持部となる構造を有する。
【0043】
フィルタモジュール16Aの全体的な概略構成は、図4に示すフィルタモジュール16の外観構造とほぼ等しくなる。
【0044】
2つの分割モジュール31,32を組み合せて構成されるフィルタモジュール16Aは、そのフィルタ支持部38,39を図1に示すように仕切板13と押え板17の間に挟持し、固定用ボルト18で締め付けることにより固定される。
【0045】
また、2つの分割モジュールである半円モジュール31,32を組み合せ(突き合されて重ね合せ)てフィルタモジュール16Aを構成することにより、組み合された2つのフィルタ支持部38,39の接合部、すなわち縦接合部と横接合部に隙間が生じる。フィルタモジュール16Aの縦接合部は、半円モジュール31,32の突き合せ部に生ずる半円状のフィルタ接合部38,39間の接合部であり、横接合部は、2つの半円状のフィルタ接合部38,39の扇状シール部33a,33b;34a,34bにより生じる接合部である。フィルタモジュール16Aの接合部に、必要に応じて緩衝材を介装させてもよい。
【0046】
しかし、フィルタモジュール16Aのフィルタ支持部38,39は重ねて組み合せたとき、全体形状が算盤珠形状をなし、最上部および最下部が中間部より小さな径を有する。フィルタ支持部38,39は、中間部が最大の径を有し、上方および下方に向って縮径するテーパ形状に構成される。
【0047】
しかも、フィルタ支持部38,39を挟んで固定する仕切板13と押え板17は、フィルタ支持部38,39との接触面がテーパ形状に構成される。このため、フィルタモジュール16Aのフィルタ支持部38,39を仕切板13と押え板17で挟み、固定用ボルト18によりねじ結合させて固定すると、仕切板13と押え板17のテーパによる楔作用で、フィルタ支持部38,39(の接合部)の隙間は、小さくなる方向に力が作用する形状をしている。
【0048】
このとき、フィルタモジュール16Aのフィルタ支持部38,39に作用する扇状シール部33a,33b;34a,34b間の隙間は、熱膨張を考慮し、次の(2)式で求めることができる。
隙間=フィルタ支持部最大の半径×線膨張係数×被処理液最高温度 ……(2)
【0049】
なお、第2実施形態のろ過装置では2つの分割モジュールである半円モジュール31,32を突き合せて重ね合せて、1つのフィルタモジュールを構成した例を説明したが、フィルタモジュールは複数の分割モジュールを突き合せ、組み合せたものであってもよい。例えば、1/3円弧や1/4円弧の円弧状モジュールを複数個組み合せて1つのフィルタモジュールを構成してもよい。
【0050】
第2の実施形態によれば、ろ過装置10にフィルタモジュール16Aを備えて構成すれば、高温水中でフィルタモジュール16Aの破損やシール性能の低下を生じさせることなく、高温水中に含まれる被処理液から固形不純物を効果的に除去することができ、処理液の水質を良好に保つことができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ろ過装置
11a 容器胴体
11b 容器蓋
12 密閉容器
13 仕切板
14 ろ過室
15 処理液室
16,16A フィルタモジュール
17 押え板
18 固定用ボルト
20 被処理液流入ライン
21 処理液流出ライン
24 中空糸状フィルタ
25 フィルタ支持部
27 (縦)スリット
28 緩衝材
29 フック係合部
31,32 半円モジュール(分割モジュール)
33a,33b;34a,34b 扇状シール部
36,37 中空糸状フィルタ
38,39 半円状のフィルタ支持部(フィルタ接合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成し、このフィルタモジュールを設けて被処理液側および処理液側を隔離したフィルタモジュールを設けたろ過装置において、
前記フィルタモジュールのフィルタ支持部に、被処理液の温度変化に伴って隙間が小さくなる方向に作用するスリット構造を設けたことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
密閉容器内をろ過室と処理液室に区画する仕切板に、フィルタモジュールを設置し、前記フィルタモジュールを固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成したろ過装置において、
前記フィルタモジュールのフィルタ支持部を仕切板と押え板の間に挟んで固定用ボルトで固定し、
前記フィルタ支持部に、被処理液の温度変化に伴って隙間が小さくなる方向に作用するスリット構造を設けたことを特徴とするろ過装置。
【請求項3】
前記フィルタモジュールのフィルタ支持部は、算盤珠線形状に構成される一方、前記仕切板と押え板はフィルタモジュールのフィルタ支持部との接触面がテーパ形状に構成され、
前記フィルタ支持部を固定用ポルトで締め付けると、前記フィルタ支持部は、スリット構造のスリット幅が前記仕切板と押え板のテーパによる楔作用で小さくなる方向に力が作用する請求項2記載のろ過装置。
【請求項4】
前記固定用ボルトは、フィルタモジュールのフィルタ支持部と同じ材質の材料が用いられる請求項2または3記載のろ過装置。
【請求項5】
前記フィルタモジュールのフィルタ支持部は、スリット構造のスリット部に緩衝材が充填された請求項2または3記載のろ過装置。
【請求項6】
密閉容器内をろ過室と処理液室に区画する仕切板に、フィルタモジュールを設置し、前記フィルタモジュールを固形不純物をろ過するフィルタ部とフィルタ封止部であるフィルタ支持部とから構成したろ過装置において、
前記フィルタモジュールは複数の分割モジュールを組み合せて構成し、組み合されたフィルタモジュールのフィルタ支持部は、複数の分割モジュールを組み合せることにより1つのフィルタ支持部となる構造を有し、
前記フィルタモジュールのフィルタ支持部を、仕切板と押え板の間に挟んで固定用ボルトで固定したことを特徴とするろ過装置。
【請求項7】
前記複数の分割モジュールを組み合せて構成されるフィルタモジュールのフィルタ支持部は、組み合されたフィルタ支持部間の接合部により生じる隙間が小さくなる方向に作用するように構成された請求項6記載のろ過装置。
【請求項8】
前記複数の分割モジュールを組み合せて構成されるフィルタモジュールのフィルタ支持部は、組み合されたフィルタ支持部間の接合部により生じる隙間に緩衝材が充填された請求項7記載のろ過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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