説明

アイカラー塗布具

【課題】アイカラーサンプルを受け取った直後に手軽に試用すること、さらに試用の際には、チップの使用感が通常のチップと同様であって、試用した後の色等を正確に確認することが望まれていた。
かつ、アイカラーの塗布時に塗布具を落としたり紛失したりすることがないようにすること、アイカラー容器のアイカラーを使い切ることが求められていた。
また、接着剤により支持体に固定されたチップ先端のスポンジ部分にて接着剤がブリードアウトすることを防止して、該スポンジ部分を清浄にすることが必要であった。
【解決手段】支持体先端にアイカラーが含浸されたチップ頭を嵌合させてなる塗布具を有するシート状部材を、トレー容器に挟むことにより収納して、該トレー容器と一体化してなるアイカラー塗布具であって、該シート状容器と一体成形してもよいアイカラー塗布具を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイカラーのサンプル等に使用する塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場で見かけるアイカラーサンプルとしては、紙台紙にアイカラーを充填したものや容器凹部にアイカラーを充填したものがあるが、これらのアイカラーサンプルには化粧料を塗布するチップが付属品として付いていないので、サンプルとして手軽に試用できず、サンプルを受け取ったその場での使用感を試すことが困難であった。
【0003】
また、特許文献1〜3に記載されているように、綿棒のような塗布具にアイカラーを含浸させたアイカラーサンプルも提案されているが、ハンドル部のしなりや、塗布具表面及び把持部が小さくチップとは異なるために、日常的に化粧を行うときの感触と同様の感触にて肌への塗布を行うことが困難で、依然として実際の使用感が解り難い。
また、サンプル用としてではなく、日常的にアイカラーを塗布する場合には、通常、アイカラーを充填してなる容器、又は凹部を形成する部材とチップ等の塗布具とは別体であるので、化粧時に塗布具を落とすことがあり、紛失してしまう可能性があるし、別の容器に充填されてなるアイカラーは比較的量が多いので、容器内のアイカラーを使い切る前に流行遅れとなったり季節外れとなることもあった。
【0004】
さらに、チップ先端のスポンジ部分は支持体に接着剤で接着されているので、使用前あるいは使用期間中に接着剤がブリードアウトして、使用感を損なうことがあり、かつ、チップ先端の化粧料による汚れを落とすには、洗浄することより他なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−086109号公報
【特許文献2】実開昭52−017080号公報
【特許文献3】実開昭64−025018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、アイカラーを収納した容器と塗布具を一体化することによりアイカラーに塗布具を確実に付属品として付けて、アイカラーサンプルを受け取った直後に手軽に試用すること、さらに試用の際には、その塗布具の使用感が通常のチップと同様であって、試用した後の色等を正確に確認することが望まれていた。
さらに、塗布具のハンドル部のしなりや塗布具表面及び把持部の大きさを通常の塗布具と同程度のものとすることで、塗布時の使用感を確認できる必要があり、かつ、アイカラーの塗布時に塗布具を落としたり紛失したりすることがないようにすること、及び使用しきれないアイカラーがいつまでも残るアイカラー容器にならないことが求められていた。
また、接着剤により支持体に固定されたチップ先端のスポンジ部分にて接着剤がブリードアウトすることを防止する必要があり、かつ該スポンジ部分を清浄にすることが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、具体的には、支持体先端にアイカラーが含浸されたチップ頭を嵌合させてなる塗布具を有するシート状部材を、トレー容器に挟むことにより収納して、該トレー容器と一体化してなるアイカラー塗布具であって、該シート状部材と一体化してもよいアイカラー塗布具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアイカラー塗布具は、アイカラーが含浸されたチップ頭が嵌合されたチップがトレー容器と一体化してなっていても、その使用感は通常のチップに比べて遜色が無く、かつ、厚み等も薄くでき、チップ頭にアイカラーが含浸されているので、別にアイカラーのための容器を用意する必要がない。
さらに、実際にまぶたに試して色等を確認することを手軽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】チップ頭を支持体に嵌合させる前の展開されてなる塗布具の図。
【図2】チップ頭を支持体に嵌合させた後の展開されてなる塗布具の図。
【図3】チップ頭を支持体に勘合し、チップを折り曲げてなる図。
【図4】本発明の塗布具の図。
【図5】本発明の塗布具を使用する前に使用するチップを開く途中の図。
【図6】本発明の塗布具を使用する際に使用するチップを開き、トレーを閉じた図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアイカラー塗布具は、支持体先端にアイカラーが含浸されてなるチップ頭を嵌合させてなる塗布具を有するシート状部材をトレー容器に挟み込むことにより収納してなるものであり、厚みが薄く小さくすることが可能であるので、アイカラーを試用するための手軽なサンプルとして利用することができる。もちろん、サンプルとしてではなく、日常的に使用するアイカラーが含浸されてなるチップ頭を備えた塗布具として使用することも可能である。
【0011】
通常のアイカラー用チップは厚みがせいぜい数mm程度であるから、本発明におけるアイカラー塗布具は容器と一体であるといっても、アイカラー用チップの厚みにさらに数mm程度の厚みが増加するに留まるのであるし、通常のアイカラー用チップの長さと、通常のアイカラーを1本から複数本を横に並べた程度の幅の容器に、若干の長さ及び幅を加えた程度の大きさに収まるものである。
また、容器にアイカラー用チップの支持体が接続されているので、使用時において、容器からアイカラー用チップを外す必要がないので、該チップが紛失することがないものである。
【0012】
本発明のアイカラー塗布具について、以下に図面を基に説明する。
図1は、例えばシート状部材を成形してなるチップ支持体部分1とトレー容器2が、一体に成形されてなる、あるいはチップ支持体部分1とトレー容器2が別に成形され、これらが一体化してなる図であり、まだ支持体3にはチップ頭が嵌合されていない状態である。
チップの支持体3の長さは、材質にもよるものの、図において、チップ支持体部分に形成されたチップの支持体3の隣接する支持体3との間に形成された切れ目の根本よりチップの支持体3の先端までの長さは、20〜40mm程度が好ましい。
【0013】
この図においてはチップの支持体3は4つ形成され、内の1つは他の3つのチップの支持体よりも小さい。1つのチップのチップ頭を小さくすることにより、各種の条件での試用を行ったり、日常的にチップを使い分けたりすることが可能となる。
トレー容器2は折り曲げて略半分の大きさにできるように、破線4により谷折りできるように成形されている。またトレー容器2とチップ支持体部分1の境目は破線5により谷折りされる。
その後図2に示すように、アイカラーが含浸されてなるチップ頭6がチップの支持体3に嵌合される。
【0014】
このように、チップ支持体部分1とトレー容器2が一体となった塗布具を、破線5を谷折りするように折り曲げる。この結果、チップ支持体部分1がトレー容器2の右半分に折り畳まれるようにして重ね合わされ、チップ頭6はその形状に合うようにして、トレー容器2に設けられた、チップ頭6を収納する窪み7に収納されて、図3に示すように、チップ支持体部分1がトレー容器の半分と重ねられる。
【0015】
引き続き、トレー容器2は破線4において谷折りされるので、チップ頭6を収納した窪み7はトレー容器2の残り半分に設けられた窪み8と重ね合わされる。
このように破線4及び5の部分で折ることにより、図4に示すように、本発明のアイカラーを含浸させてなるチップ頭をチップ支持体3に嵌合してなり、トレー容器と一体化してなるアイカラー塗布具を得ることができる。
折り曲げてなるトレー容器2は簡単に開くことがないように、係止部材又は係止部により固定される。使用の際には、その係止部を指で開いて使用することになる。
チップ支持体部分1やトレー容器2の材料としてはPET、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましく、特にPETが好ましく、PETであればその厚さは0.2〜1.0mm程度が好ましい。
【0016】
本発明のこのようなアイカラー塗布具を使用する際には、まずトレー容器2の端部からシート状のアイカラー容器を開き、さらに、図4では4本あるアイカラー塗布具の中から使用する1本の塗布具を立ち上げて、図5に示す状態とする。
この状態からさらにトレー容器1を元に戻すようにして閉じ、さらに使用する1本のアイカラー塗布具をさらにトレー容器2に対して開くようにして図6に示す状態とする。この図6に示す状態において、立ち上げた塗布具やトレー容器ごと指で摘みアイカラーを使用する。使用後は、開いたときとは逆の順に、トレー容器2を開いて、1本のアイカラー塗布具を元の位置に戻し、再度トレー容器2を閉じるように、引き続き破線4に相当する折り曲げ部にて折り曲げて、元のように、塗布具が収納されたアイカラー塗布具を収納する容器として、次回に使用が可能となるように保存する。
【0017】
本発明のアイカラー塗布具は例えば以下の工程からなる方法により製造される。但し、この方法のみにより製造できるのではなく、任意に工程を変更することができる。
【0018】
(アイカラー含浸工程)
アイカラー用着色剤や担体等、通常のアイカラーに使用する材料を任意の配合比率にて混合する。得られた混合物と溶媒としてのエタノール等のアルコールを混合してアイカラー分散液又は溶液を得る。分散液又は溶液に対する溶媒の割合は50〜80%である。この範囲外であると、チップ頭への1回当たりの含浸量が少なすぎたり、また分散液又は溶液の粘度が高すぎて十分均一に含浸させることが困難になる。
このアイカラー分散液又は溶液に、別に成形してなるスポンジ状のチップ頭を浸漬して1回目の含浸を行う。ここで、該チップ頭としては、通常の化粧用として使用するチップの先端形状と同様の形状を備えるもので良く、また、その材料及び多孔性の程度もまた、通常の化粧用チップに使用できる材料や多孔性の程度でよい。
【0019】
1回目の含浸を終えたチップ頭は、加熱乾燥工程によって十分に乾燥を行う。
この加熱乾燥工程での加熱条件は40〜80℃、0.5〜3時間程度でよく、十分にアルコールを蒸発させて乾燥を行い得る条件であればよい。40℃未満の温度では乾燥に長時間を要することになるし、80℃を超える温度では、チップ頭が変形するなどの支障を生じることになる。
1回目の乾燥を終えたチップ頭は、引き続き2回目の浸漬工程に進み、1回目にて浸漬したアイカラー分散液又は溶液と同じアイカラー分散液又は溶液に浸漬される。この2回目の浸漬により、さらにアイカラー分散液又は溶液がチップ頭に含浸されて、チップ頭のアイカラーの担持量が適した量となる。
2回目の浸漬工程を終えたチップ頭は2回目の乾燥工程により乾燥されて、アイカラーを担持したチップ頭となる。この乾燥工程は1回目の乾燥工程と同じ条件にて行われる。
【0020】
他方、チップ頭を嵌合させて塗布具とするための支持体を備えた樹脂からなるシート状部材を成形する。1つのシート状部材に1つの支持体、つまり1つのチップを形成しても良いが、例えば4本等の複数の支持体を備えていても良い。また、複数の支持体に異なる形状や大きさのチップ頭を嵌合させるために、該支持体もチップ頭の形状や大きさに合わせた形状や大きさとすることも可能である。
シート状部材はトレー容器に挟まれることにより収納されるが、該シート状部材は該トレー容器と一体に成形されていてもよく、あるいは、該トレー容器とは別に成形されてなり、その後チップ頭を支持体に嵌合させる前後いずれかの段階で該トレー容器に固定させて一体としても良い。これらのシート状部材あるいはトレー容器は真空成形、注型成形、トランスファー成形あるいは射出成形等の公知の手段により成形される。
【0021】
このようなシート状部材の支持体部分の先端に、上記の工程により得られたアイカラーを担持したチップ頭を嵌合させる。チップ頭内面形状を該支持体部分の先端の形状と同じとし、そして支持体部分の先端形状と嵌合するように成形されてなる内面形状を有するチップ頭は、かつスポンジ状であるチップ頭の柔軟性を活用して、接着剤を使用することなく支持体部分の先端に嵌合される。
【0022】
シート状部材は該トレー容器と一体に成形されている場合には、シート状部材部分とトレー容器部分を折り曲げて容器と一体化してなるシート状のアイカラー塗布具とすることができる。また、シート状部材がトレー容器と別体にて成形されている場合には、シート状部材をトレー容器に重ねて、接着、嵌合、溶着等の公知の手段により一体化した後にトレー容器部分を折り曲げることによりシート状のアイカラー塗布具とする。
【実施例】
【0023】
本発明のアイカラー塗布具が、市販品の化粧用チップと比較して、どの程度の使用感を備えるのかをしなり試験を基に説明する。
図1において、チップ支持体部分1に形成されたチップの支持体3の隣接する支持体3との間に形成された切れ目の根本よりチップの支持体3の先端までの長さは、30mmである。チップの支持体3はPETにより形成されている。
厚さが0.35〜0.8mmの範囲にある下記表1記載の各チップ支持体を使用してチップのしなりを測定した。その方法は、チップの手元側を固定し、チップの先端の嵌合されたチップ頭をオートグラフにより上方向に10mm引き上げる。その時の抵抗値を各々の「しなり値」とした。表1にその厚さ毎の5回の平均値を示す。
【0024】
【表1】

【0025】
上記の実施例にて示されるように、本発明のアイカラー塗布具はチップ支持体の厚さが0.8mmあるいは0.7mm程度の場合において市販品のチップと同程度のしなりを示すことになり、本発明のアイカラー塗布具はトレー容器と一体であってもなお、市販品の化粧用チップと同程度の使用感を示すものである。
【符号の説明】
【0026】
1・・・チップ支持体部分
2・・・トレー容器
3・・・支持体
4・・・破線
5・・・破線
6・・・チップ頭
7・・・窪み
8・・・窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体先端にアイカラーが含浸されたチップ頭を嵌合させてなる塗布具を有するシート状部材を、トレー容器に挟むことにより収納して、該トレー容器と一体化してなるアイカラー塗布具。
【請求項2】
該シート状部材がトレー容器と一体に成形されてなる請求項1記載のアイカラー塗布具。
【請求項3】
該シート状部材がトレー容器と別体に成形されたものであり、該シート状部材はトレー容器に固定されてなる請求項1記載のアイカラー塗布具。
【請求項4】
該チップ頭が接着剤を用いることなく、支持体先端に嵌合されている請求項1〜3のいずれかに記載のアイカラー塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−254849(P2011−254849A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129107(P2010−129107)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(591254958)株式会社タイキ (35)