説明

アイグラスディスプレイ

【課題】不使用時に容易に折り畳むことができ、持ち運びに便利なアイグラスディスプレイを提供する。
【解決手段】使用状態である(a)から、映像形成投影装置7を回動ピン8の周りに反時計回りに回動させて、(b)に示すように、映像形成投影装置7とテンプル9がそれぞれ7’、9’の位置に来るような状態を経て、(c)に示すように7”、9”の位置まで移動させる。この回動時において、フレーム4aとフレーム4bに囲まれた映像投影レンズ3と映像形成投影装置7とがぶつからないように、映像形成投影装置7の映像投影レンズ3に面する側の形状が円弧状に切り欠かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイグラスディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外界の映像にコンピュータなどの映像を重ねて表示可能なディスプレィとして、シースルータイプのアイグラスディスプレイがあり、例えば特開2004−12768号公報(特許文献1)に記載されている。このようなディスプレィでは、映像形成投影装置で形成された映像に対応する光束を、眼鏡レンズを通して伝播させ、眼鏡レンズ中央付近にあるハーフミラーやHOE等の反射部材で目の方に映像を反射させて表示する。
【特許文献1】特開2004−12768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の眼鏡の場合、眼鏡のテンプルを折り畳むことによって持ち運びを簡単にできるが、このようなアイグラスディスプレイの場合、テンプル部に映像形成投影装置が取り付けられるため、テンプルを内側に折り畳もうとしても、眼鏡レンズと映像形成投影装置が機械的に干渉して折り畳むことができず持ち運びに不便であった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、不使用時に容易に折り畳むことができ、持ち運びに便利なアイグラスディスプレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するための第1の手段は、眼鏡タイプのアイグラスディスプレイであって、眼鏡レンズがテンプルを含む支持体によって保持され、一つのテンプルには、映像形成投影装置が保持されており、前記映像形成投影装置から射出される光束を、前記眼鏡レンズのうちの一つ(映像投影レンズ)に入射させて第1の反射体により反射させ、当該眼鏡レンズの中を通して第2の反射体により反射させて眼に導くものにおいて、前記映像形成投影装置は、前記支持体に設けられた回動軸の周りに、前記眼鏡レンズの後方に近づくように回動可能とされており、かつ、使用時において前記映像形成装置の前記眼鏡レンズに対面する側の形状が、前記回動時に前記眼鏡レンズと機械的に干渉しない形状とされていることを特徴とするアイグラスディスプレイである。
【0006】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記映像形成投影装置を前記回動軸の周りに回動させ、眼鏡レンズの後方に近づくように折り畳んだとき、前記映像形成投影装置の光束射出面を保護する保護部材を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不使用時に容易に折り畳むことができ、持ち運びに便利なアイグラスディスプレイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例であるアイグラスディスプレイの概要を示す図である。図1(a)において、アイグラスディスプレイ1は、2つの眼鏡レンズ2、3を有し、これらはフレーム4に嵌め込まれている。そのうちの一つの眼鏡レンズ3中には、第1の反射体であるミラー5と第2の反射体であるハーフミラー6が設けられており、映像投影レンズとされている。ハーフミラー6は、単なる平面ミラーでなく、凹面鏡のようにパワーを持ってもよい。又、HOE(ホログラフィック・オプティカル・エレメント)でもよい。フレーム4の映像投影レンズ3側には、映像形成投影装置7が取り付けられている。映像形成投影装置7中には、LCD等の映像形成装置7aと投影レンズ7bが設けられている。映像形成投影装置7には、テンプル9が取り付けられている。眼鏡レンズ2側のフレーム4には、テンプル10が取り付けられている。
【0009】
図1(a)に示す使用状態においては、映像形成装置7aで形成された画像は、投影レンズ7bにより投影されて映像投影レンズ3中に入り、ミラー5で反射されて映像投影レンズ3中を透過し、ハーフミラー6で反射されて眼Eに投影される。
【0010】
図1(b)は図1(a)のA−A断面図、図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。映像形成投影装置7は、映像投影レンズ3の上部を覆うフレーム4aと、映像投影レンズ3の下部を覆うフレーム4bとの間に挟まれるように設けられており、回動ピン8を有している。回動ピン8は、フレーム4aとフレーム4bに設けられた穴に、回動可能に嵌り込んでいる。
【0011】
図2は、映像形成投影装置7とテンプル9とを回動させ、眼鏡レンズ2と映像投影レンズ3の裏側(装着者側)に来るように折り畳む状況を示す図である。以下の図において、前出の図に示された構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。使用状態である(a)から、映像形成投影装置7とテンプル9を回動ピン8の周りに反時計回りに回動させて、(b)に示すように、映像形成投影装置7とテンプル9がそれぞれ7’、9’の位置に来るような状態を経て、(c)に示す7”、9”の位置まで移動させる。この回動時において、フレーム4aとフレーム4bに囲まれた映像投影レンズ3と映像形成投影装置7とがぶつからないように、映像形成投影装置7の映像投影レンズ3に面する側の形状が円弧状に切り欠かれている。このように、回動ピン8を映像投影レンズ3の位置から後方に離れた位置におき、映像形成投影装置7の映像投影レンズ3に面する側の形状を、映像形成投影装置7の回動に際して映像形成投影装置7が映像投影レンズ3にぶつからない形状とすることにより、映像形成投影装置7と映像投影レンズ3とが干渉することなく、映像形成投影装置7とテンプル9を、通常の眼鏡と同じように、眼鏡レンズ2、映像投影レンズ3の後方に折り畳むことができる。
【0012】
使用時においては、映像形成投影装置7の光束射出面は、映像投影レンズ3に面しているので、この部分に埃等がくっついたり、この面に傷が付いたりする不具合は少ないが、映像形成投影装置7が7”の位置にあるときは、映像形成投影装置7の光束射出面がむき出しになるので、このような不具合が発生する恐れがある。よって、このような場合には、映像形成投影装置7の光束射出面を覆うシャッタを設けることが好ましい。
【0013】
この例の概念図を図3に示す。映像形成投影装置7には、板バネ10が取り付けられており、板部10aと板部10bとは、最小角度90°となるように板バネ10が設定されている。板部10bには、シャッタ11が取り付けられている。
【0014】
(a)は、映像形成投影装置7とテンプル9が折り畳み状態である7”、9”の位置にあるときの状態で、このとき、板部10aと板バネ10bの角度は90°とされており、シャッタ11が映像形成投影装置7の光束射出面を覆う状態となっている。この位置から映像形成投影装置7を回動させ(b)に示すような位置とすると、シャッタ11が映像投影レンズ3(実際にはフレーム4)に当たってバネの付勢力に抗して、板部10aと板部10bの角度が押し広げられる。映像形成投影装置7をさらに回動させて、使用状態とすると、シャッタ11は映像投影レンズ3の側面に位置するようになり、映像形成投影装置7の光束射出面と映像投影レンズ3の間を遮るものが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の1例であるアイグラスディスプレイの概要を示す図である。
【図2】映像形成投影装置とテンプルを折り畳むときの状態を示す図である。
【図3】映像形成投影装置の光束射出面を覆うシャッタの概念図である。
【符号の説明】
【0016】
1…アイグラスディスプレイ、2…眼鏡レンズ、3…映像投影レンズ、4…フレーム、4a…フレーム、4b…フレーム、5…ミラー、6…ハーフミラー、7…映像形成投影装置、8…回動ピン、9…テンプル、10…板バネ、10a…板部、10b…板部、11…シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡タイプのアイグラスディスプレイであって、眼鏡レンズがテンプルを含む支持体によって保持され、一つのテンプルには、映像形成投影装置が保持されており、前記映像形成投影装置から射出される光束を、前記眼鏡レンズのうちの一つ(映像投影レンズ)に入射させて第1の反射体により反射させ、当該眼鏡レンズの中を通して第2の反射体により反射させて眼に導くものにおいて、前記映像形成投影装置は、前記支持体に設けられた回動軸の周りに、前記眼鏡レンズの後方に近づくように回動可能とされており、かつ、使用時において前記映像形成装置の前記眼鏡レンズに対面する側の形状が、前記回動時に前記眼鏡レンズと機械的に干渉しない形状とされていることを特徴とするアイグラスディスプレイ。
【請求項2】
前記映像形成投影装置を前記回動軸の周りに回動させ、眼鏡レンズの後方に近づくように折り畳んだとき、前記映像形成投影装置の光束射出面を保護する保護部材を有することを特徴とする請求項1に記載のアイグラスディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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