説明

アイラッシュカーラー

【課題】一回の使用で睫毛全体を簡単に、しかも理想的な放射状に美しくカールさせることができるアイラッシュカーラーを提供するものである。
【解決手段】本願に係るアイラッシュカーラーは、一対の支柱10と、その一対の支柱における直線状の支柱上部10aに沿って上下方向に移動可能な湾曲状の可動部材14と、その可動部材に取付けられる弾性体16と、一対の支柱上部10aに固定される湾曲状の固定部材12と、可動部材14を上下に移動させるためのハンドル18,22とを備えており、正面視において固定部材12の下端縁12a(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが16.5〜22.5mmに設定されており、平面視において固定部材12の下端縁12a(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが18.5〜24.5mmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛をカールするためのアイラッシュカーラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
睫毛全体を上下に挟み込んだ状態で、はさみを使用するようにハンドル部を操作することにより、睫毛全体にカールを与えるアイラッシュカーラーに関しては、従来からよく知られている。そしてこのアイラッシュカーラーは、近年では様々な改良が加えられ、例えば特許文献1にあるように、睫毛を簡単にしっかりとカールできるよう工夫が施されたものも開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3143410号公報(図1)
【0004】
このような従来のアイラッシュカーラーを図7に基づいて説明する。
従来のアイラッシュカーラーは、左右一対の支柱50と、その一対の支柱の上端に固定される湾曲状の固定部材52と、ハンドル部58,60の操作によって上下に移動するリンク腕62と、そのリンク腕62に固定され一対の支柱50に沿って上下に移動可能な湾曲状の可動部材54と、その可動部材54の上に取り付けられる弾性体56とから構成される。
従ってこのアイラッシュカーラーを使用する場合には、目の外側左右両端部に支柱50を当てがい、固定部材52と可動部材54との間に睫毛を挟み込んだ状態にして、ハンドル部58,60に指をかけて操作し、睫毛を弾性体56の上面で固定部材52側に押圧することにより、睫毛にカールを与えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のアイラッシュカーラーは、図7(b)に示すように、側面視において支柱50と固定部材52の下端縁とのなす角度θがほぼ直角に近い。すなわち図7(a)に示すように、正面視では、固定部材52の下端縁及び弾性体56はほぼ水平に近い状態に設定されている。このような従来のアイラッシュカーラーでは、図8(a)に示すように、固定部材52の下端縁と弾性体56とがかみ合って睫毛にカールを与えるライン60が、目頭や目尻に近い部分では睫毛の長さが短いこととも相俟って、睫毛から外れてかみ合っておらず、有効に機能していないという不都合があった。従って、一回の使用では睫毛全体にカールを与えることはできず、目の中央・目頭・目尻などと、睫毛のカールさせたい部分ごとに何度もその位置を変えてハンドル操作をする必要があった。
また睫毛のカールは本来、図6(b)に示すように、正面から見た時に、睫毛全体が放射状にカールしている状態が最も美しく見えるのであるが、従来のアイラッシュカーラーでは図8(b)に示すように、睫毛が垂直に近い状態にカールされてしまい、放射状に美しくカールさせることは困難であった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、一回の使用で睫毛を簡単に、しかも放射状に美しくカールさせることができるアイラッシュカーラーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、一対の支柱と、その一対の支柱における直線状の支柱上部に沿って上下方向に移動可能な湾曲状の可動部材と、その可動部材に取り付けられる弾性体と、前記一対の支柱上部に固定される湾曲状の固定部材と、前記可動部材を上下に移動させるための操作手段とを備え、前記固定部材と前記可動部材との間に睫毛を挟み込んだ状態で前記可動部材を前記操作手段によって上昇させ前記固定部材に押圧することにより睫毛にカールを付与するアイラッシュカーラーにおいて、2本の前記支柱が左右両側に見える正面視において前記固定部材の下端縁(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが16.5〜22.5mmに設定されていることを特徴としている。また、前記支柱上部の軸方向の鉛直線上から見た平面視において前記固定部材の下端縁(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが18.5〜24.5mmに設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアイラッシュカーラーによれば、睫毛を上下に挟み込む部材の湾曲形状が、正面視において睫毛の生えている根元部分の目のカーブにぴったりと沿うように設定されているので、目の中央・目頭・目尻などと、睫毛のカールさせたい部分ごとに何度も使用する必要がなく、一回の使用で睫毛全体を簡単に、しかも理想的な放射状に美しくカールさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明を図面に基づいて説明する。図1(a)は本発明に係るアイラッシュカーラーの正面図、図1(b)はその右側面図、図2は本発明に係るアイラッシュカーラーの動作状態を表す図である。
図1及び図2に示すように、アイラッシュカーラーは、左右一対の支柱10と、その一対の支柱の上端に固定される湾曲状の固定部材12と、操作手段としてのハンドル部18、22の操作によって上下に移動するリンク腕26と、そのリンク腕26に固定され一対の支柱上部10aに沿って上下に移動可能な湾曲状の可動部材14と、その可動部材14の上に取り付けられる弾性体16とから構成されている。
【0010】
左右一対の支柱10の上端には、湾曲状の固定部材12が取り付けられており、これは睫毛をカールさせる際に、瞼に押し当てる部分となる。そしてその固定部材12の下端縁は、弾性体16とかみ合うことによって睫毛にカールを付与する部分となる。
左右一対の支柱10は、可動部材14を摺動支持する部分である支柱上部10aと、それに連なる支柱下部10bとを形成しており、さらにその下方は第一レバー20を形成し、そしてさらに第一レバー20の下方は指をかけて操作するための第一ハンドル18を形成している。左右一対の支柱10は一本の線材を屈曲させて成るものであって、支柱上部10a、支柱下部10b、第一レバー20及び第一ハンドル18とともに一体的に形成されるものである。
【0011】
そして支柱下部10bと第一レバー20との間にはピン28が挿通されており、このピン28を介して、一本の線材を屈曲させて成る第二レバー24及び第二ハンドル22とが回動自在に取り付けられている。
第二レバー24の上端部には、リンク腕26を挿通させるための挿通穴30が形成されている。そして一本の線材をV字上に屈曲させて成るリンク腕26は、この挿通穴30に挿通され、その上端は湾曲状の可動部材14の下面に固定されている。可動部材14は、支柱上部10aに沿って上下に移動可能となるよう形成されている。従って、第一ハンドル18及び第二ハンドル22に指をかけて、はさみを使用するように操作すると、この操作に伴ってリンク腕26は上下に移動し、そのリング腕26とともに可動部材14も上下に移動することになる。
なお図2は、第一ハンドル18と第二ハンドル22を開いて、リンク腕26及び可動部材14を下方に引き下げ、可動部材14と固定部材12との間を最大限広げた状態を表している。
【0012】
左右一対の支柱上部10aにまたがって固定される固定部材12は、支柱上部10aの軸方向の鉛直線上から矢視した平面視(図2の矢印Y方向)において円弧状となるよう湾曲している。そして図3に示すように、固定部材12の下端縁12aの曲率半径Rは、18.5〜24.5mm程度が好ましく、より好ましくは20.5mm程度である。なお、固定部材12の下端縁12aの前記曲率半径Rという場合、下端縁12aの両端付近は除くものとする。これは、下端縁12aの両端付近は、支柱上部10aへの取り付けの関係から、やや外側に広がっていたり、やや内側に狭まっていたりする場合もあるからである。つまり、固定部材12の下端縁12aの全体が、きれいな円弧形状でない場合もあるのである。その場合には少なくとも、下端縁12aの円弧のほぼ中央付近の点Pにおける曲率半径Rが、上記のように18.5〜24.5mm程度であればよい。
【0013】
このような固定部材12は、図1(b)に示すように、二本の支柱10がぴったりと重なって一本に見える位置の側面視において、固定部材12の下端縁12aと支柱上部10aとのなす角度θが、好ましくは40〜60度、より好ましくは45〜50度程度となるように、支柱上部10aに取り付けられる。
【0014】
支柱上部10aに沿って上下に移動する可動部材14は、図2のA−A断面図である図4(a)及び、図4(a)のB−B断面図である図4(b)に示すように、断面コの字状で筺状の枠体を湾曲させて成るものである。そしてその筺状の枠体の空間内に上部が一部突出する形で、例えばゴムなどの弾性体16が嵌着されている。
【0015】
この弾性体16が嵌着された可動部材14は、支柱上部10aの軸方向の鉛直線上から矢視した平面視(図2の矢印Y方向)において、図4(a)に示すように、その全体形状が円弧状に湾曲しており、その円弧状部分の曲率半径Rは、18.5〜24.5mm程度が好ましく、より好ましくは20.5mm程度である。なお図4(a)において弾性体16の断面における中心線34は、固定部材12の下端縁12aと弾性体16とがかみ合う部分(睫毛を挟む部分)である。すなわち、弾性体16及び可動部材14の曲率半径Rと、前述した固定部材12の下端縁12aの曲率半径Rとは一致する値となる。
また図4(a)に示すように、可動部材14の左右両端にはリング32が一体的に形成されており、その左右のリング内を支柱上部10aが挿通する。従って可動部材14全体が支柱上部10aに沿って上下に移動可能となる。
【0016】
支柱上部10aにまたがって固定される固定部材12と、弾性体16を嵌着させた可動部材14は、2本の支柱が左右両側に見え、かつ支柱上部10aに対して垂直方向から見た正面視(図1(b)における矢印X方向)において、図1(a)に示すような円弧形状を形成する。そしてこの正面視における固定部材12、弾性体16及び可動部材14の拡大図を図5に示すと、固定部材12の下端縁12aの円弧状部分の曲率半径Rは、好ましくは、16.5〜22.5mm程度であり、より好ましくは、18.5mm程度である。なお、固定部材12の下端縁12aの曲率半径Rという場合には、前述同様、下端縁12aの両端付近は除くものとする。
【0017】
このような本願に係るアイラッシュカーラーは、まずハンドル部18,22に指をかけてはさみを使用するようにしてこれを開き(図2)、固定部材12と可動部材14との間を開いた状態にする。次に目の外側左右両端部に支柱上部10(a)を当てがい、また固定部材12を瞼に押し当て、アイラッシュカーラー本体を安定させた状態にしたうえで、固定部材12と可動部材14との間に睫毛を挟み込んだ状態にする。そして、ハンドル部18,22に指をかけてこれを閉じるように操作し、可動部材14に取り付けられた弾性体16の上面で、睫毛を固定部材12側に強く押圧する。すると弾性体16に固定部材12の下端縁12aが食い込むような状態になり、睫毛にしっかりとしたカールを与えることができる。
【0018】
本願に係るアイラッシュカーラーによれば、図6(a)に示すように、固定部材12の下端縁12aと弾性体16とがかみ合って睫毛を挟むライン34が、睫毛の生えている根元部分の目のカーブにぴったりと沿うように設定されるので、一回の使用で睫毛を簡単にしっかりとカールさせることができる。この図6(a)からも分かるように、目頭や目尻付近においても、固定部材12の下端縁12aと弾性体16とがかみ合っているので、目頭や目尻付近の睫毛の短い部分であっても、睫毛の根元からしっかりとカールさせることができる。また、一回の使用で、図6(b)に示すように、睫毛のカール状態としては理想的な放射状に美しくカールさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明に係るアイラッシュカーラーの正面図、(b)はその右側面図である。
【図2】本発明に係るアイラッシュカーラーの動作状態を表す図である。
【図3】本発明に係るアイラッシュカーラーの部分拡大平面図である。
【図4】(a)は、図2のA−A断面図、(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【図5】本発明に係るアイラッシュカーラーの部分拡大正面図である。
【図6】(a)は、本発明に係るアイラッシュカーラーで睫毛を挟んだ状態を表す図、(b)はその時の睫毛のカール状態を表す図である。
【図7】(a)は、従来のアイラッシュカーラーの正面図、(b)は、その右側面図である。
【図8】(a)は、従来のアイラッシュカーラーで睫毛を挟んだ状態を表す図、(b)はその時の睫毛のカール状態を表す図である。
【符号の説明】
【0020】
10 支柱
10a 支柱上部
12 固定部材
14 可動部材
16 弾性体
18 第一ハンドル
20 第一レバー
22 第二ハンドル
24 第二レバー
26 リンク腕
32 リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支柱と、その一対の支柱における直線状の支柱上部に沿って上下方向に移動可能な湾曲状の可動部材と、その可動部材に取り付けられる弾性体と、前記一対の支柱上部に固定される湾曲状の固定部材と、前記可動部材を上下に移動させるための操作手段とを備え、前記固定部材と前記可動部材との間に睫毛を挟み込んだ状態で前記可動部材を前記操作手段によって上昇させ前記固定部材に押圧することにより睫毛にカールを付与するアイラッシュカーラーにおいて、2本の前記支柱が左右両側に見える正面視において前記固定部材の下端縁(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが16.5〜22.5mmに設定されていることを特徴とするアイラッシュカーラー。
【請求項2】
前記支柱上部の軸方向の鉛直線上から見た平面視において前記固定部材の下端縁(但し両端付近を除く)の曲率半径Rが18.5〜24.5mmに設定されていることを特徴とする請求項1記載のアイラッシュカーラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−272320(P2008−272320A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121757(P2007−121757)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(591165780)株式会社コージー本舗 (7)