説明

アイロナー

【課題】洗濯物の皺を伸ばすアイロナーに関し、作業者がアイロナーに投入された品物の現在位置を一目で知ることができる技術手段を提供する。アイロナーへの品物の投入、取り出し作業時に生じる無駄な手待ち時間を削減し、適時的確な処理を行うことができるようにして、リネン品の洗濯工場の生産性及び作業性の向上させる。
【解決手段】アイロナーの洗濯物投入側に、好ましくは投入側と取出し側とに、ディスプレイモニタを設ける。このモニタの画面32に、アイロナー内の品物の通路に添って、投入された品物が装置内を移動している状態を表示する。アイロナーの品物通路の入口側で品物の有無を検出する入口通過センサを設け、品物が当該通過センサで検出されてから所定距離進むのに要する時間間隔毎にモニタ画面上に配置した複数の表示要素の表示態様を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯・脱水後の洗濯物にアイロンをかけて皺を伸ばすアイロナーに関するもので、アイロナー内の洗濯物の位置をモニタ画面に表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リネン品と呼ばれるシーツ、枕カバー、タオルなどの洗濯ラインに設けられて洗濯済みリネン品の皺伸ばしを行うアイロナーには、大別してチェストタイプと呼ばれるものと、我が国でカレンダタイプと呼ばれているロール式のものとの2種類のものがある。カレンダタイプのベルト式ロールアイロナー(以下、単に「ロールアイロナー」と言う。)は、内部に蒸気を入れて加熱した複数本(通常4〜5本)の回転加熱シリンダと、これらのシリンダに掛け回してシリンダ周面に脱水済の洗濯物(以下、「品物」と言う。)を押し付けながらシリンダ周面と同期移動する搬送ベルトにより構成され、品物の皺伸ばしと仕上乾燥とを行うもので、洗濯物表面の艶出しはチェストタイプのものに劣るが、設備が比較的安価でエネルギー消費量も少ないという特徴がある。
【0003】
図5は、本願出願人が特許文献1で提案しているロールアイロナーの一例を模式的に示した側面図で、6本の加熱シリンダを備えたロールアイロナーの例である。図で、1(1a〜1f)は加熱シリンダ、7は品物の通路、4(4a〜4f)は当該通路に沿って設けられている搬送ベルト、21は装置の筐体、22は品物の投入口、23は排出口である。
【0004】
搬送ベルト4は、洗濯物を加熱シリンダ1に押付けて送るためのもので、ベルト幅方向に少し間隔を開けて加熱シリンダ1の全幅に亘って配置した複数本のベルトで構成されている。加熱シリンダ1は、内部に蒸気を吹き込むことによって加熱され、洗濯物が搬送ベルト4でこれらのシリンダに順次巻き掛けて移送される間に、洗濯物の皺伸ばしと乾燥が行われる。
【0005】
装置への品物の投入口には、投入ベルト2と押えベルト3とが設けられている。装置に投入された品物は、投入ベルト2と押えベルト3で挟持された状態で第1シリンダ1aの入口に送り込まれる。各搬送ベルト4は、各シリンダの入口ローラ5(5a〜5f)と出口ローラ6(6a〜6f)の間で品物を各シリンダの周面に押付けている。出口ローラ6a〜6eを通過した品物は、搬送ベルト4a〜4fで挟まれた状態で、次のシリンダ1b〜1fの入口へと送られ、最後のシリンダ1fを通過した品物は、排出口23へと送られる。
【0006】
第1シリンダ1aと第2シリンダ1bの入口には、貼付き防止テープ10、29を巻回したプレスロール9、27が配置されている。幾つかに符号25を付した図中の二重丸印は、各搬送ベルト4の駆動ローラである。図中の丸印は、搬送ベルトの案内ローラである。この案内ローラには、一部に符号24を付した張力調整ローラが含まれている。
【0007】
特許文献1で提案されている構造では、品物が各加熱シリンダ1の上部から送入されて下方から送出されるようになっており、通過する品物の表面と裏面が偶数個の加熱シリンダ1の表面に交互に押接される構造となっている。
【0008】
アイロナーには連続的に品物が投入されるので、何かの原因で品物が各加熱シリンダの出口部分でシリンダから離れないで貼付いたままになると、後続の品物が次々と巻き込まれて、洗濯物詰まりが発生する、そこで貼付きを早期に検知して、一旦運転を止めて詰まった品物を取出して復旧を早めることが必要である。
【特許文献1】特開2007‐111122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
洗濯ラインを流れる品物の種類によってアイロナー内の品物の搬送速度を切換える場合、先に投入された品物がすべて装置から出たことを確認した後で搬送速度の切換を行う必要がある。しかし、従来装置は、装置内に品物が残っているかどうかを確認する手段を備えていないため、先の品物の投入が終わった後しばらく運転を続けて、出口から品物が出なくなることを確認するという方法を採っていた。
【0010】
また、品物をアイロナーに手動で投入する場合には、装置から出てきた品物を出口側で受け取る人が必要であるが、品物がいつ出てくるのか分からないため、装置の出口側を常時監視している必要があった。
【0011】
近年、リネン品の品種が多様化しており、多品種の品物に対応するためには、アイロナーへの品物の投入、取出し作業を、人手によって行わなければならない場合が多くなっている。自動投入装置を使用できる品物であっても、自動投入機への投入準備作業は人手によって行わなければならず、一般的な工場では、アイロナーの投入取出し作業に最も多くの人手を必要としている。
【0012】
業務用の洗濯機や乾燥機は、大型化、省力化が進み、生産性の向上が図られる一方で、アイロナーは、いまだに人手に頼らなくてはならない現状となっており、アイロナーが工場の生産性のボトルネックとなり易い。そのためアイロナーでの投入、取出し作業時の作業性を向上させることは、工場全体の生産性向上に大きく寄与することとなる。
【0013】
この発明は、作業者がアイロナーに投入された品物の現在位置を一目で知ることができる技術手段を提供することにより、アイロナーへの品物の投入、取出し作業時に生じる無駄な手待ち時間を削減し、適時的確な処理を行うことができるようにして、リネン品の洗濯工場の生産性及び作業性の向上を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
アイロナーの洗濯物投入側に、好ましくは投入側と取出し側とに、ディスプレイモニタ30、31を設ける。ディスプレイモニタは、制御器のモニタを兼用することができる。このモニタの画面に、アイロナー内の品物の搬送状態を一目で分かるように表示する。すなわち、装置を側面から見たときの品物の通路に添って、投入された品物が装置内を移動している状態をモニタ画面に表示する。
【0015】
具体的には、アイロナー内の品物の搬送速度に対応する信号を検出する速度センサ35と、アイロナーの品物通路の入口側で品物の無を検出する入口通過センサ37を含む少なくとも1個の通過センサ37、38、39と、品物が当該通過センサで検出されてから所定距離進むのに要する時間間隔毎にモニタ画面上の所定位置に配置した複数の表示要素(例えば○や□の図形34あるいはLED)の表示態様(例えば色や形)を変化させる表示切換手段とを設ける。
【0016】
複数の表示要素34は、モニタ画面上の、装置内の品物の通路7に対応する形状の線に添って、一般的には等間隔に配置する。表示切換手段は、品物が通過センサ37、39で検出されてから前記表示要素の配置間隔に対応する距離だけ進むのに要する時間間隔毎に、速度センサ、タイマ、カウンタ、演算器などから出力される信号を受けて、通過センサの品物有り無しの信号に対応する表示態様を隣接する下流側の表示要素に順次移動させる。
【0017】
例えば、モニタ画面に、アイロナーの入口と出口が認識できる品物通路の線図と、この線図上にその経路を等分するように、かつ入口通過センサの配置位置に第1の図形が配置されるようにして、表示要素となる○や□等の図形34を配置する。表示要素となる図形34は、品物の検出信号を受け取った際に色または形状を変化させることで品物の有無を表示する。入口通過センサが品物を検出しているときは、当該入口通過センサの配置位置に対応する第1表示要素(始点の表示要素)を品物有りの表示態様にし、入口通過センサが品物を検出していないときは、第1表示要素を品物無しの表示態様にする。そして速度センサが検出した品物の搬送速度によって、隣接する表示要素の間隔に相当する距離だけ品物が装置内を移動するのに要する時間を計算し、計算により求められた時間間隔毎に、線図上に配置された全ての表示要素に対して、その表示態様を下流側(品物の出口側)に隣接する表示要素に移動させるという動作を行わせる。
【0018】
入口側と同様に出口側にも、品物の有無を検出する出口通過センサ38を設け、投入された品物が確実に、出口に到達したことを確認することができる。この確認は、出口通過センサ38の配置位置に対応する第n表示要素(第1表示要素から数えてn番目の表示要素)の品物有り無しの表示態様と出口通過センサの品物検出信号とを比較する比較手段と、第n表示要素が品物有りの表示態様であるときに出口通過センサが品物を検出していないときに警告を表示ないし発音する警告手段や装置を停止する異常停止手段を設けることにより実現できる。
【0019】
入口通過センサ37の配置位置と出口通過センサ38の配置位置との間の洗濯物通路の長さは判っているから、検出された搬送速度でその距離を除してやれば、入口通過センサ37で洗濯物を検出してから出口通過センサ38の位置に品物が達するまでの時間を演算できる。そこでこの時間を経過しても出口通過センサで品物が検出されないときは、品物がシリンダ周面に貼り付いたと考えられるから、警告表示をモニタ画面に表示するか警告音を発し、機械を自動停止させることもできる。これにより後続の品物が次々にシリンダに巻き付いて洗濯物詰りが発生するのを防止できる。
【0020】
この出願の請求項1の発明に係るアイロナーは、洗濯物通路7の入口部に配置されて当該配置位置における洗濯物通路7上の洗濯物の有無を検出する入口通過センサ37の信号と、前記通路における洗濯物の搬送速度に対応する信号とを用いて、前記通路7上に設定した複数位置における前記検出した洗濯物の有無を予測し、前記複数位置のそれぞれに対応させて画面上に配置した表示要素34のそれぞれを、予測した洗濯物の有無に関連付けた表示態様で表示させるモニタ画面32を備えていることを特徴とするアイロナーである。
【0021】
この出願の請求項2の発明に係るアイロナーは、上記手段を備えたアイロナーにおいて、洗濯物通路7上の前記複数位置が、前記入口通過センサ37の配置位置を始点にして当該通路7に沿って等間隔で設定され、前記モニタ画面の表示要素34が、前記洗濯物通路7を側面視で表示した線33上の当該複数位置のそれぞれに対応する位置に配置され、前記搬送速度に対応する信号が、前記複数位置の隣接する位置間を洗濯物が移動するのに必要な時間間隔のタイミングパルスであり、前記予測が、始点で検出した前記入口通過センサ37の洗濯物有無信号を、前記タイミングパルスが発せられる毎に、隣接する下流側の表示要素34に与えるように順次移動させる制御により行われることを特徴とするアイロナーである。
【0022】
また、この出願の請求項3の発明に係るアイロナーは、上記手段を備えたアイロナーにおいて、洗濯物通路7の出口部に配置されて当該配置位置における洗濯物通路上の洗濯物の有無を検出する出口通過センサ38を備え、前記入口通過センサ37の信号と前記搬送速度に対応する信号とを用いて前記出口通過センサ38の設置位置における洗濯物の有無を予測し、洗濯物有りが予測されたときに前記出口通過センサ38が洗濯物無し信号を出力しているときに、装置を停止させる自動停止手段を備えていることを特徴とするアイロナーである。
【0023】
更に、入口通過センサ37と出口通過センサ38の間に1個または複数個の中間通過センサ39を設け、この中間通過センサの配置位置に対応する表示要素の表示態様と中間通過センサの検出信号とを対比することにより、通路の中間位置での品物の通過異常が発生した際に、どの通過センサが異常を検出したのかをモニタに表示させることで、通過異常の発生した位置がどの区間であるかを認識することができる。品物は、シリンダの出口部分でシリンダ表面に貼付くことが多いので、中間通過センサは、シリンダの出口部分に設けるのが良い。これにより、シリンダへの品物の貼付き等による品物の損傷を未然に回避することや、異常停止が生じたときの復旧作業時間の短縮が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
モニタ画面に多数の表示要素を設けることにより、装置内を品物が移動してゆく状態をリアルに表示することができる。表示要素の数を増やしても通過センサの数を増やす必要がないから、制御系を単純にでき、メンテナンスも容易である。
【0025】
モニタ画面を見ることにより、作業者は、装置内の品物の位置を一目で認識でき、投入作業者は、投入した品物が、装置から排出されたことを装置の投入側で確認でき、搬送速度の変更や機械停止をスムーズに行える。
【0026】
また、モニタ画面ををロールアイロナーの出口側に表示することによって、品物が排出されるタイミングを予測することが可能となるため、取出し作業者は、品物が排出される直前に取出し体制に入ればよい。また品物の投入がないことが明確にわかるため、最後の品物が排出された後、すぐに別の作業を行うことも可能となり、手待ちの時間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態の一例について説明する。図1はアイロナーの品物投入側の正面図で、アイロナーを制御する制御パネルに設置されているタッチパネル30をモニタ画面を表示するディスプレイパネルとして利用する。好ましくは、アイロナーの品物出口側にも、図2に示すようにディスプレイパネル31を設置する。このときは、ディスプレイパネル30と31に同一の画面を表示する。
【0028】
図3、4は、モニタの表示画面の一例を示した図で、図5に示したアイロナーのモニタ画面の例である。モニタ画面32には、アイロナー内の品物の通過経路7を模式的に表示した経路33上に、表示要素となる複数の図形(図の例では小さな円形)34が一定間隔で配置されている。この間隔は、速度センサ35の1パルス又は規定のパルス数毎に出力される1タイミングパルス間に品物が通路7を移動する距離に対応している。タイミングパルスの間隔を短くすれば、モニタ画面の図形34の間隔が密になり、装置内の品物の移動をスムースに表示できる。隣接する図形34相互の間隔は、最小の品物の長さに対応する間隔より充分に狭い間隔とする。括弧つきの符号22、23は、それぞれ入口側及び出口側であることを示すために付したものである。
【0029】
図のモニタ画面32には、アイロナーのシリンダ1a〜1fを模式的に表示する円41a〜41fが表示されている。更に入口通過センサの図47、出口通過センサの図48、中間通過センサの図49が、アイロナー本体に配置したそれぞれの位置に対応する位置に表示されている。出口通過センサの図48及び中間通過センサの図49は、それぞれの対応するセンサ38、39が品物有りを検出しているときと品物無しを検出しているときとで表示態様(例えば表示色)が変わるようになっている。これらのセンサの図48、49の表示態様とそれらの配置位置の図形34の表示態様を見比べることにより、品物が予測どおりにアイロナー内を通過しているかどうかが分かる。
【0030】
モニタ画面の表示を制御する制御器には、各図形34に対応する点滅フラグ(1と0を記憶内容とする記憶要素)が設けられており、対応する点滅フラグの1又は0の状態(ON又はOFF)に応じて、当該制御器は、各点滅フラグに対応する図形34の色信号として予め設定された2つの表示色(例えば赤と青)信号を各図形34の表示要素に出力する。点滅フラグのオフ状態に対応する図形34の表示色を背景色と同色とすることで、品物の通過がないときに図形34がモニタ画面上で見えないようにすることもできる。
【0031】
図4に示すように、装置の品物通路33の入口付近には、入口通過センサ37が設置されている。また、その出口付近には、出口通過センサ38が設置されている。更に、第3シリンダ1cの入口部分に中間通過センサ39が設けられている。この出口通過センサ38をモニタ画面の下流端の図形34cとその直前の図形34bとの間の位置に対応する位置に設置すれば、実際の品物の位置と演算された品物の位置との誤差により制御誤りが発生するのを簡単に回避できる。これらのセンサ37、38、39としては、光電センサや近接センサを使用できる。
【0032】
図6、7に示すように、加熱シリンダに巻きつけられた搬送ベルトによって同期回転しているローラーの任意の一個(例えば入口ローラ5a)の軸端に、外周部の円周一箇所、又は円周を等分する複数箇所に切欠42を備えた円盤43が固定されている。切欠42を一箇所としたときの円盤43の周長、又は切欠42を複数箇所に設けたときの切欠42相互の間隔は、モニタ画面に配置した図形34の間隔に対応する距離を搬送ベルト4が移動する間隔である。この円盤43の外周部を感知できる位置に近接センサ44が取付けられている。ローラー5aの回転と同時に円盤43が回転すると、近接センサが切欠42を感知してタイミングパルスを発生させる。このタイミングパルスのパルス数から、装置内での品物の移動距離を演算することができる。
【0033】
上記のような円盤43を設ける代わりに、加熱シリンダ1を回転させるモーターの回転速度又は搬送ベルトの速度を読取り、読取った速度に基づいて品物の移動距離を演算したり、品物が図形34の配置間隔に相当する距離を移動する時間を演算してタイミングパルスを発生させるようにしても良い。
【0034】
図8は、モニタ画面の表示制御手順の一例を示すフローチャートである。この例は、モニタ画面上に図形34を密に配置した場合の例である。図形34を密に配置すれば、入口通過センサ37が品物の先端及び後端を検出したタイミングとタイミングパルスの出力タイミングとの間に生ずる時間差を無視できる。この時間差を無視できない程度に図形34の間隔を広くしたときは、入口通過センサが品物を最初に検出した時点からタイミングパルスの時間間隔の計時を開始させる処理が必要である。
【0035】
図8において、ステップ51で、入口通過センサ37の品物検出状態に応じて、上流端の図形34aに対応する第1フラグを1又は0にする。1であればモニタ画面の第1番目の図形が点灯(品物有りに対応する色)になり、0であれば消灯(品物無しに対応する色)になる。なお、フローチャート上においては、第1フラグはフラグ(1)のように記載されている。
【0036】
次に、ステップ52で速度センサからのタイミングパルスを待ち、パルスを受けたら、すべての図形34の表示態様を、下流側に1つずつずらす。図の例では、カウンタiをモニタ画面上の図形34の数nに設定し、第i−1フラグの内容を第iフラグに転記するというステップ53の処理を、ステップ54でiを1つずつ減じながら、iが2になるまで繰り返し、ステップ55でiが1になったことが検出されたら、ループを抜けるという処理で行っている。
【0037】
そして、下流端とその直前の図形34c、34bに対応するフラグが共に1であるときに出口通過センサ38から品物有り信号が出力されていないことを条件にして(ステップ56、57)、装置を自動停止し、モニタ画面に警告を表示する。この警告表示としては、例えば下流端とその直前(第n番目と第n−1番目)の図形34c、34bの表示色を警告色の点滅にする。前述したように、出口通過センサ38の位置を下流端とその直前の図形34c、34bの配置位置に対応する位置の中間に設けておけば、上記の処理により、品物の先端又は後端が出口通過センサ38の位置を通過するタイミングと制御器がフラグの内容を変化させるタイミングとにずれがあったときのずれの許容値が、2つの図形34の間隔に対応する移動間隔に自動的に設定される。
【0038】
装置内の品物の通過を確認する中間通過センサ39は、装置内の任意の箇所に必要な数(例えば各シリンダの出口の少し下流側)設けることができる。そして、設置した中間通過センサの位置の前後に対応する図形34のフラグについて、ステップ56、57と同様な処理を行ってやれば、装置内のどの位置で異常が生じたかを、モニタ画面の図形34の表示態様を見て判断することができる。
【0039】
上記の処理により、画面上で図形34の色が変化している箇所が帯状に表示され、その帯状の部分が現在品物が通過している箇所を表すこととなる。この表示がなければ、装置内の品物はすべて排出されたと判断できる。更に、すべてのフラグが0で、入口及び出口通過センサで品物が検出されない場合、完全に品物が排出されたと判断し、モニタ画面上に品物の通過がないことを表示させることもできる。
【0040】
モニタ画面上の表示は、入口通過センサの信号と速度センサの信号に基づく予測であり、実際の品物の通過を示しているものではないため、モニタ画面上で装置内に品物が無いと判断されても、実際には異常や、誤差により、品物が装置から完全に出ていない可能性がある。そのため出口に品物を直接検出するセンサ38を取付け、確実に品物が出口に到達したことを検出することで、装置内に品物が残った状態のまま装置を停止してしまうことを防止する。
【0041】
すなわち、上記ステップ56、57の処理、又は、入口通過センサ37が品物を検出してから、入口通過センサ37の設置位置から出口通過センサ38の設置位置までの距離に相当するパルス数が経過した後も、出口通過センサ38で品物の検出がされなかった場合、モニタ画面に警告を表示し、装置を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ロールアイロナーの洗濯物投入側の正面図
【図2】ロールアイロナーの洗濯物排出側の正面図
【図3】モニタ画面の第1例を示す図。品物通路が○の集合でで示されている。品物の通過が検出されると『●』のように表示態様が変わる。
【図4】モニタ画面の第2例を示す図。品物通路が線で示されている。
【図5】図3、4の画面に対応するロールアイロナーの内部構造の例を示す模式的な側面図
【図6】速度センサの一例を示す断面図
【図7】図6の円盤の正面図
【図8】制御手順の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0043】
7 通路
32 モニタ画面
37 入口通過センサ
38 出口通過センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物通路(7)の入口部に配置されて当該配置位置における洗濯物通路上の洗濯物の有無を検出する入口通過センサ(37)の信号と、前記通路における洗濯物の搬送速度に対応する信号とを用いて、前記通路上に設定した複数位置における前記検出した洗濯物の有無を予測し、前記複数位置のそれぞれに対応させて画面上に配置した表示要素(34)のそれぞれを、予測した洗濯物の有無に関連付けた表示態様で表示させるモニタ画面(32)を備えていることを特徴とする、アイロナー。
【請求項2】
洗濯物通路(7)上の前記複数位置が、前記入口通過センサの配置位置を始点にして当該通路に沿って等間隔で設定され、前記モニタ画面の表示要素(34)が、前記洗濯物通路を側面視で表示した線上の当該複数位置のそれぞれに対応する位置に配置され、前記搬送速度に対応する信号が、前記複数位置の隣接する位置間を洗濯物が移動するのに必要な時間間隔のタイミングパルスであり、前記予測が、始点で検出した前記入口通過センサの洗濯物有無信号を、前記タイミングパルスが発せられる毎に、隣接する下流側の表示要素(34)に与えるように順次移動させる制御により行われることを特徴とする、請求項1記載のアイロナー。
【請求項3】
洗濯物通路(7)の出口部に配置されて当該配置位置における洗濯物通路上の洗濯物の有無を検出する出口通過センサ(38)を備え、前記入口通過センサの信号と前記搬送速度に対応する信号とを用いて前記出口通過センサの設置位置における洗濯物の有無を予測し、洗濯物有りが予測されたときに前記出口通過センサが洗濯物無し信号を出力しているときに、装置を停止させる自動停止手段を備えている、請求項1又は2記載のアイロナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−95421(P2009−95421A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268065(P2007−268065)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000139997)株式会社稲本製作所 (22)