アクチュエータ
【課題】作動時に、ピストンを迅速に前進移動可能なアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータAは、ガス発生器42から発生する作動用ガスGにより、シリンダ22内に配置されたピストン54を移動させる。ガス発生器42が、ガス発生剤を充填させたハウジング47とスクイブ43とを有する。ハウジング47において、作動前のピストン54の底面55と対向して配置される天井壁が、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部50を有する。各扉部50が、開き時に、先端50aを、ピストン54の底面55に当接可能に構成される。移動前のピストン54とハウジング47との間の空間が、先端50aをピストン54の底面55に当接させるように開いた各扉部50によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる。
【解決手段】アクチュエータAは、ガス発生器42から発生する作動用ガスGにより、シリンダ22内に配置されたピストン54を移動させる。ガス発生器42が、ガス発生剤を充填させたハウジング47とスクイブ43とを有する。ハウジング47において、作動前のピストン54の底面55と対向して配置される天井壁が、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部50を有する。各扉部50が、開き時に、先端50aを、ピストン54の底面55に当接可能に構成される。移動前のピストン54とハウジング47との間の空間が、先端50aをピストン54の底面55に当接させるように開いた各扉部50によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータに関し、例えば、保護対象物としての歩行者を受け止める際のフードパネルを持ち上げる等の作動に使用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータとしては、筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、シリンダ内に配置されたピストンを、ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−173391公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のアクチュエータでは、作動用ガスの押圧力を利用して、ピストンを移動させる構成であり、自動車用安全装置に使用する場合、支持ロッドを瞬時に移動させる必要があることから、ピストンを極力迅速に移動させることが望まれている。特に、このタイプのアクチュエータを、車両のフードパネルの後端側の下方に配置させて、作動時に、フードパネルの後端側を上昇させる場合、支持ロッドによって、板金製のフードパネルを上方に押し上げることから、作動用ガスの押圧力によって、効率よくピストンを押圧する必要がある。しかしながら、従来のアクチュエータでは、ガス発生器とピストンの底面との間の距離が大きく、ガス発生器から発生する作動用ガスは、ガス発生器とピストン底面との間に、放射状に流出し、直接シリンダ内周面に向かうものも存在することから、作動用ガスの押圧力を瞬時にピストンの底面に作用させ難く、ピストンを迅速に移動させる点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時に、ピストンを迅速に前進移動可能なアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアクチュエータは、自動車用安全装置に使用されて、
筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、シリンダ内に配置されたピストンを、ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのアクチュエータであって、
ガス発生器が、燃焼時に作動用ガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、ガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされ、
ハウジングにおいて、作動前のピストンの底面と対向して配置される天井壁が、スクイブの作動時に、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部を有する構成とされ、
各扉部が、開き時に、先端を、ピストンの底面に当接可能に構成され、
移動前のピストンとハウジングとの間の空間が、先端をピストンの底面に当接させるように開いた各扉部によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる構成とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るアクチュエータでは、作動時に、ガス発生器のスクイブが点火されれば、ガス発生剤を充填させているハウジングの天井壁に形成される破断予定部が破断され、扉部が、それぞれ、中央付近に位置する部位を開き時の先端側として開いて、ガス発生剤が燃焼して発生された作動用ガスが、シリンダ内に流出されることとなり、シリンダ内に収納されたピストンが、作動用ガスに押されて、支持ロッドとともに前進移動することとなる。そして、本発明のアクチュエータでは、ガス発生器のハウジングにおいて、破断予定部を配設させた天井壁が、作動前のピストンの底面と対向して配置されるとともに、天井壁に設けられる各扉部が、開き時に、先端をピストンの底面に当接させて、移動前のピストンとハウジングとの間の空間を、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆うように、構成されている。そのため、作動時に扉部が開けば、ガス発生器とピストンの底面との間の空間が、開いた扉部によって、軸直交方向側を略全周にわたって覆われることから、ガス発生剤が燃焼して発生した作動用ガスが、軸直交方向側、換言すれば、シリンダの内周面側に向かうように、流れることを抑えて、ピストンの底面側に向かうように流れることとなる。詳細に説明すれば、開いた扉部と、移動前のピストンの底面と、によって囲まれる領域に作動用ガスが充満され、この領域内の内圧を迅速に増大させることができることから、作動用ガスの押圧力を、瞬時に、ピストンの移動方向に沿って、ピストンの底面に作用させることができる。そのため、本発明のアクチュエータでは、作動用ガスの押圧力を、瞬時にピストンの底面に作用させることができて、ピストンを迅速に前進移動させることができる。
【0008】
したがって、本発明のアクチュエータでは、作動時に、ピストンを迅速に前進移動させることが可能となる。
【0009】
また、上記構成のアクチュエータにおいて、ピストンの外周面に、シリンダ内周面と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリングを、配設させる構成とすれば、ピストンとシリンダとの間の気密性を向上させることができ、作動時におけるピストンの移動前に、ピストンとシリンダとの間から作動用ガスが漏れることを防止できて、ピストンを迅速に前進移動させることができて、好ましい。さらに、このOリングは、ピストンの外周面側に配置され、作動前の状態において、ガス発生器の近傍に配置される構成であるものの、上記構成のアクチュエータでは、ガス発生器の作動初期において、発生する作動用ガスが、軸直交方向側となるシリンダの内周面側に向かうことを抑えられることから、この作動初期に、Oリングに高温の作動用ガスが当たることを極力抑制することができ、ピストンとシリンダとの間の気密性を低下させるようなOリングの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の斜視図である。
【図2】実施形態のアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図3】実施形態のフード跳ね上げ装置と車両のヒンジ部とを示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図5】実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図6】実施形態のアクチュエータにおけるシリンダの先端壁部の部位を示す部分拡大概略縦断面図である。
【図7】実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を順に説明する概略部分拡大断面図である。
【図8】実施形態のアクチュエータにおけるガス発生器とピストンとを示す部分拡大概略縦断面図である。
【図9】実施形態のアクチュエータのガス発生器に使用されるハウジングの天井壁付近を示す部分拡大断面図である。
【図10】実施形態のアクチュエータのガス発生器に使用されるハウジングの天井壁付近を示す概略斜視図である。
【図11】実施形態のアクチュエータにおいて、ガス発生器のスクイブが作動した状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のアクチュエータAは、図1〜3に示すように、車両Vに搭載される自動車用安全装置としてのフード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)Uに使用されるものである。跳ね上げ装置Uは、フードパネル10の後端10c側に配設されるもので、アクチュエータAの作動時に、フードパネル10の後端10cを跳ね上げる構成とされている。実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ6が、配設されており、センサ6からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ6からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータAのガス発生器42(図8参照)を作動させるように、構成されている。
【0012】
フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、図3に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータAが作動されて、図4に示すように、フードパネル10の後端10cが上方に押し上げられ、フードパネル10の後端10cと、エンジンルームERと、の間に、変形スペースDSを形成できることから、塑性変形時の塑性変形量を増大させることができる。さらには、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cを上昇移動させた支持ロッド63の軸部64が、歩行者の受け止め時に、フードパネル10の下降移動に伴って曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。そのため、実施形態の場合、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、フードパネル10自体の塑性変形と、支持ロッド63における軸部64の曲げ塑性変形と、によって、歩行者の運動エネルギーを多く吸収することができる。
【0013】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1,2参照)、それぞれ、ボディ1側のフードリッジリインホース2に連結される取付フランジ2aに固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図2,3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用して、ヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bからフードパネル10の下面に沿うように延びる連結板部15を備える構成とされ、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に、溶接等を利用して結合されている。また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、下縁を略円形状に切り欠くようにして構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータAの作動時において支持ロッド63がフードパネル10の後端10cを押し上げた際に、塑性変形する塑性変形部14dとされて、フードパネル10の上昇を許容することとなる(図3,4参照)。
【0014】
各支持軸13は、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に略沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、図3の実線から二点鎖線で示すように、左右の支持軸13を回転中心として、各ヒンジアーム14の先端14b側とともに、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、フードパネル10を前開きで開くことができる。ちなみに、フードパネル10の後端10cの上昇時には、フードパネル10の前端10f側は、前端10fに配置されている通常閉塞用の図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れることはない。
【0015】
フードパネル10の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド3の下部3a側に連ならせるように、配設されている。また、フロントウィンドシールド3の左右には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。
【0016】
跳ね上げ装置Uは、図3,4に示すように、フードパネル10における左右のヒンジ部11の近傍に配設されるもので、フードパネル10の後端10cの下方に配設されるアクチュエータAと、各アクチュエータAに対応してアクチュエータAの上方のフードパネル10側に配設される受け座16と、から、構成されている。受け座16は、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cの下面に配設されたヒンジアーム14の先端14b側に設けられた連結板部15の下面から、構成されている。
【0017】
実施形態のアクチュエータAは、図2,3に示すように、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2bに対してボルト19止めされる断面略U字形状の取付ブラケット18により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d及び右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に、配設されている(図1〜3参照)。各アクチュエータAは、図5に示すように、ガス発生器42の作動時に発生する作動用ガスGを駆動源とするピストンシリンダタイプとされるもので、実施形態の場合、円筒状のシリンダ22と、シリンダ22内に配置されて、作動時に作動用ガスGを発生させるガス発生器42と、シリンダ22内に摺動可能に収納したピストン54と、ピストン54に連結される支持ロッド63と、前進移動(実施形態の場合には、上昇移動)した支持ロッド63の後退移動(実施形態の場合には、下降移動)を規制するロック機構Rと、を備えて構成されている。ロック機構Rは、実施形態の場合、図7に示すように、係止リング60と、ピストン54の外周側に設けられて係止リング60を収納する収納溝58と、シリンダ22の内周面24aに設けられて係止リング60の一部を進入させて係止する係止段部26と、を備えて構成されている。
【0018】
シリンダ22は、軸方向を上下方向に略沿わせて配置されるもので、図5に示すように、上端側の先端壁部31と下端側の元部端壁部38との間に、ピストン54を摺動させる円筒状の本体部23を、配設させて構成されている。なお、シリンダ22は、本体部23を構成する鋼製のパイプ材29の上下にキャップ30,37を結合させて構成されており、先端壁部31は、パイプ材29の上端側外周面に設けられた雄ねじ29aに螺合して結合されたキャップ30に配設され、元部端壁部38は、パイプ材29の下端側外周面に設けられた雄ねじ29bに螺合して結合されたキャップ37に配設されている。
【0019】
本体部23は、ピストン54の外形形状に対応して軸直交方向の断面形状を略円形の開口とした摺動孔24を、上下方向に貫通させており、アクチュエータAの作動時、ピストン54は、摺動孔24の内周面24aを摺動して、上昇移動(前進移動)することとなる。
【0020】
シリンダ22において、本体部23における先端壁部31近傍には、図6に示すように、ピストン54を摺動させる本体部23の内周面(摺動孔24の内周面24a)より拡径して凹む係止段部26が、形成されている。この係止段部26は、ロック機構Rを構成するもので、ピストン54の上昇移動後(前進移動後)の後述する係止リング60付近に配置されて、係止リング60の後退移動(下降移動)を規制する部位であり、係止規制面27と外周規制面28とを備えて構成されている。実施形態の場合、係止規制面27は、パイプ材29の上端面29cから構成されるもので、ロック機構Rを構成する係止リング60の下降移動(後退移動)を規制可能に、係止リング60の後退移動側の部位(後退側面)に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。外周規制面28は、実施形態の場合、キャップ30における後述する収納凹部33の内周面33aから構成されるもので、係止規制面27の外周縁から本体部23の軸方向(ピストン54の前進移動方向)に沿うように延びて、係止リング60の後退移動の規制時に、拡径した係止リング60の外周面に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。
【0021】
シリンダ22における本体部23の上端側に配置されるキャップ30は、図5,6に示すように、シリンダ22の上端を塞ぐ先端壁部31と、先端壁部31の下端側(パイプ材29側)から下方に延びる略円筒状の周壁部35と、を、備えている。周壁部35の内周面には、パイプ材29に設けられた雄ねじ29aに螺合される雌ねじ35aが形成されている。先端壁部31は、略円柱状とされるもので、中央に、支持ロッド63の軸部64を挿通可能に上下方向に沿って貫通した挿通孔32を備えるとともに、下端側に、上昇移動(前進移動)後のピストン54を収納させるための収納凹部33を、備えている。挿通孔32は、内径寸法D1を、支持ロッド63の軸部64の外径寸法D2より僅かに大径として、軸部64との間に隙間を設けるように構成されている(図6参照)。この挿通孔32における軸部64との間の隙間は、作動時に、ピストン54とシリンダ22との間の空気を外部に放出させて、ピストン54を円滑に前進移動(上昇移動)可能とし、かつ、ピストン54の上昇移動(前進移動)後において、シリンダ22内に充満された作動用ガスGを、外部に放出させるために、形成されている。なお、挿通孔32の上端側には、周縁をテーパ状に切り欠かれた凹部32aが、形成されている。この凹部32aは、支持ロッド63における軸部64の上端外周側に配置されて、車両搭載状態における作動前の気密性を確保するためのOリング66を収納させるためのものである。
【0022】
収納凹部33は、上昇移動(前進移動)後に、係止リング60を係止規制面27に係止させて、下降移動(後退移動)を規制された状態のピストン54を、内部に収納可能に構成されるもので、内周面33aの下端付近の部位が、拡径した係止リング60の外周面に当接する外周規制面28を構成している。収納凹部33は、内径寸法を、摺動孔24の内径寸法より大きくして、拡径した係止リング60の外周面に当接可能な寸法に、設定されている。また、収納凹部33内における上面33b側には、作動前の支持ロッド63(ピストン54)の上下動を規制するためのCリング34が、上面33bと当接するようにして、配置されている(図6参照)。このCリング34は、支持ロッド63の軸部64に形成される凹溝64aに係止されて、作動前の支持ロッド63(ピストン54)の上下方向への移動を防止しており、ガス発生器42の作動時に、ピストン54が作動用ガスGによって強く押し上げられた際に、凹溝64aとの係止状態を解除されて、ピストン54の上昇移動を許容するように、構成されている。
【0023】
シリンダ22における本体部23の下端側に配置されるキャップ37は、図5,8に示すように、本体部23の下端側を塞ぐように配設される略円板状の元部端壁部38と、元部端壁部38の外周縁から上方に延びる略円筒状の周壁部39と、を備えて構成されている。元部端壁部38には、ガス発生器42の後述するスクイブ43のターミナル43cを挿通可能な挿通孔38aが、形成され、この挿通孔38aの周縁の部位と、周壁部39における下部側の部位と、を利用して、ガス発生器42が、元部端壁部38に取り付けられて、シリンダ22内に配設されている。周壁部39は、上端側内周面に、パイプ材29に設けられた雄ねじ29bに螺合される雌ねじ39aを備え、キャップ37は、元部端壁部38にガス発生器42を取り付けた状態で、雌ねじ39aを雌ねじ29bに螺合させて、本体部23に取り付けられている。
【0024】
ガス発生器42は、図8に示すように、燃焼時に作動用ガスを発生するガス発生剤46を内部に充填させたハウジング47と、ガス発生剤46に点火可能とされるスクイブ43と、を備えている。実施形態の場合、ガス発生器42は、ハウジング47の後述する天井壁49を、ピストン54と対向させつつ、ハウジング47とスクイブ43とを、シリンダ22の軸方向に沿って直列的に配置させるようにして、シリンダ22内に配設されている。
【0025】
スクイブ43は、ガス発生剤46と対向するように上側(ピストン54側)に配置される略円柱状の点火部43aと、点火部43aの下側に配置されて点火部43aより大径とされるフランジ部43bと、フランジ部43bの下側に配置されてフランジ部43bより小径とされるターミナル43cと、を備える構成とされている。ターミナル43cは、キャップ37の元部端壁部38に形成される挿通孔38aに挿通可能な寸法に設定され、元部端壁部38から露出される構成である。このスクイブ43のターミナル43cは、図8に示すように、車両の図示しない制御装置から延びるリード線44を結線されることとなる。そして、スクイブ43は、この図示しない制御装置からの作動信号を受けて、点火部43aから火炎を発生させるように作動して、ハウジング47内に充填されたガス発生剤46を燃焼させる構成である。
【0026】
ガス発生剤46は、燃焼時に作動用ガスGを発生可能な所定の薬剤を、所定形状に成形して構成されるもので、実施形態の場合、略球状とされて、ハウジング47内におけるハウジング47とスクイブ43との間の隙間に、充填されている。
【0027】
ハウジング47は、スクイブ43から延びるように構成される略円筒状の周壁48と、周壁48の先端側(上端側であってピストン54側)を塞ぐように構成される略円板状の天井壁49と、を備える構成とされている。ハウジング47は、中心をシリンダ22の中心軸C1(図5参照)と一致させるように、形成されている。そして、周壁48は、実施形態の場合、元部側の大径部48aと、大径部48aより小径とされる先端側の小径部48bと、から構成されている(図8参照)。実施形態の場合、ハウジング47は、アルミニウム合金等の金属製とされており、周壁48における大径部48aの元部側(下端側)を、スクイブ43のフランジ部43bに連結させるようにして、スクイブ43と一体化されている。
【0028】
天井壁49は、周壁48における小径部48bの先端側(上端側)を塞ぐような略円形として、シリンダ22の中心軸C1の軸直交方向に沿うように構成されるもので、外径寸法を、小径部48bの外径寸法D3(図9参照)と一致させた構成とされている。天井壁49は、作動前のピストン54の後述する底面55と対向して配置されるもので、スクイブ43の作動時に、周囲に配置される破断予定部51を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端50a側として開く複数の扉部50を有する構成とされている。実施形態の場合、破断予定部51は、天井壁49の中央C2(シリンダ22の中心軸C1と一致、図10参照)から略放射状に延びる線状として、複数箇所(実施形態の場合、6箇所)に、形成されるもので、それぞれ、天井壁49に、内面側から、肉厚の1/2程度の深さの切込みを連続的に設けるようにして、構成されている(図9参照)。扉部50は、この破断予定部51間の部位から構成されるもので、実施形態の場合、外形形状を略同一の略三角板状とした6枚とされて、それぞれ、周壁48との境界部位付近(元部50b側)を開き時の回転中心として、開き時の中央付近に位置する先端50a相互を離隔させるように、放射状に開く構成とされている(図9,10の二点鎖線参照)。具体的には、各扉部50は、中央付近となる先端50a側を、ピストン54側に向けるように開くもので、実施形態の場合、開き時に、先端50aを、ピストン54の底面55に当接させ、かつ、開き時における底面55との当接時に、各扉部50によって、移動前のピストン54とハウジング47との間の空間Sを、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆い可能に構成されている。実施形態の場合、各扉部50は、開き時における軸直交方向側の長さ寸法L1(周壁48における小径部48bの外径寸法D3の1/2と略一致、図9参照)を、作動前のガス発生器42の天井壁49表面と底面55との離隔距離W1より、大きくして、開き時に、先端50aをピストン54の底面55に当接可能に、構成されている(図8,9参照)。
【0029】
ピストン54は、シリンダ22の本体部23における摺動孔24の内周面24aに対して摺動可能な外径寸法を有した略円柱状とされるもので、ガス発生器42側となる下面側の底面55を、ガス発生器42の天井壁49近傍に位置させるように、シリンダ22内に、配置されている。ピストン54の底面55は、シリンダ22の中心軸C1の軸直交方向に沿うように形成されており、換言すれば、ハウジング47の天井壁49と略平行するように、形成されている。そして、この底面55は、開いた各扉部50の先端50aを当接可能なように、底面55とガス発生器42の天井壁49との間の空間Sの離隔距離W1を、ガス発生器42の各扉部50の長さ寸法L1より小さく設定されている。具体的には、離隔距離W1は、長さ寸法L1の1/5程度に設定されている。
【0030】
そして、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動時に、開く扉部50が、それぞれ、先端50aを、移動前のピストン54の底面55に当接されるようにして、先端50aを放射方向の外方側へ向けるような開きを、瞬間的に停止され、その後、開いた扉部50とピストン54の底面55との間の空間に充満された作動用ガスGの押圧力によって、ピストン54を前進移動させつつ、さらに、先端50aを放射方向の外方側へ向けるようにして、開くこととなる。詳細に説明すれば、ガス発生器42が作動すれば、ハウジング47における天井壁49が、中央付近をピストン54側に突出させるように、断面略半球状に変形することとなり、各扉部50を区画している破断予定部51の部位に応力集中が生じて、破断予定部51が、天井壁49の中央付近の部位から破断し、各扉部50が、元部50bを回転中心として、開くこととなる。そして、実施形態の場合、ガス発生器42の作動前におけるピストン54の底面55とガス発生器42の天井壁49との間の離隔距離W1が、各扉部50の長さ寸法L1の1/5程度と、小さく設定されていることから、破断予定部51の破断前あるいは破断完了直後に、天井壁49の中央付近が、ピストン54の底面55に当接することとなり、扉部50は、このとき、瞬間的に開きを停止されることとなる。
【0031】
ピストン54における外周面54aには、図7,8に示すように、底面55側に、Oリング61を嵌合させる嵌合溝57が形成され、底面55から離れる嵌合溝57の上方に、係止リング60を収納可能な収納溝58が形成されている。収納溝58は、ロック機構Rを構成するものであり、係止リング60を収納した状態で、ピストン54の上昇移動(前進移動)を可能にするとともに、ピストン54の上昇移動(前進移動)後において、係止段部26における外周規制面28と当接するように拡径された係止リング60の係止規制面27の係止状態を維持可能とするように、構成されている(図7参照)。換言すれば、収納溝58は、ピストン54の上昇移動(前進移動)後に、拡径された係止リング60の戻りを防止するように、構成されている。
【0032】
ロック機構Rを構成する係止リング60は、断面を円形としたばね鋼からなる線材を円環状(略C字形状)に曲げ加工して形成されるもので、作動前においては、縮径された状態で、ピストン54に設けられて収納溝58内に収納され、ピストン54の上昇移動(前進移動)後に、係止段部26の外周規制面28と当接するように、復元されて、拡径される構成とされている。
【0033】
Oリング61は、ゴム状弾性体からなるもので、嵌合溝57内に収納された状態で、外周面を、シリンダ22における摺動孔24の内周面24aと摺接させるように、構成されている。このOリング61は、ピストン54とシリンダ22の本体部23との間の気密性を向上させて、ガス発生器42の作動時に、ピストン54と本体部23との間から作動用ガスGが漏れることを防止するために配設されるもので、実施形態の場合、良好な耐熱性を有したシリコンゴムから、構成されている。
【0034】
支持ロッド63は、シリンダ22の軸方向(上下方向)に沿って配設される丸棒状の軸部64と、軸部64の上端側に配設される頭部65と、を備えている。軸部64は、実施形態の場合、ピストン54から延びるように、ピストン54と一体的に構成されている。頭部65は、実施形態の場合、軸部64と別体とされて、軸部64の上端側に締結される袋ナットから、構成されている。軸部64における上端近傍部位には、キャップ30に形成された収納凹部33内に配置されるCリング34を係止可能な凹溝64aが、形成されている(図5参照)。また、支持ロッド63における軸部64と頭部65との境界部位には、Oリング66が、嵌着されている。このOリング66は、作動前に、キャップ30の先端壁部31に設けられた挿通孔32の上端側に形成される凹部32a内に、収納されている(図5参照)。このOリング66は、ゴム状弾性体からなるもので、車両搭載状態における作動前のシリンダ22内の気密性を確保するために、配設されている。具体的には、実施形態の場合、Oリング66は、クロロプレンゴム等の汎用のゴム材料から、形成されている。
【0035】
実施形態の跳ね上げ装置Uでは、センサ6からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータAにおけるガス発生器42が作動されることとなり、図5に示すように、発生した作動用ガスGが、シリンダ22における本体部23内のピストン54を押し上げ、支持ロッド63の頭部65を、受け座16の下面に当接させて、フードパネル10の後端10cを、下方のカウル7との間の隙間を広げるように、上昇させることとなる。そして、上昇移動したフードパネル10の後端10cが、図4に示すように、支持ロッド63の頭部65により下面側を支持された状態で、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めれば、歩行者の運動エネルギーFを受け止めて、フードパネル10の後端10cが塑性変形しつつ下降移動するとともに、このフードパネル10の下降移動に伴って、受け座16に頭部65を当接させている支持ロッド63の軸部64が、歩行者の運動エネルギーFを吸収しつつ、上端側の頭部65を後方に向けるように、曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。
【0036】
そして、実施形態のアクチュエータAでは、作動時に、ガス発生器42のスクイブ43が点火されれば、ガス発生剤46を充填させているハウジング47の天井壁49に形成される破断予定部51が破断され、扉部50が、それぞれ、中央付近に位置する部位を開き時の先端側として開いて、ガス発生剤46が燃焼して発生された作動用ガスGが、シリンダ22内に流出されることとなり、シリンダ22内に収納されたピストン54が、作動用ガスGに押されて、支持ロッド63とともに前進移動することとなる。そして、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42のハウジング47において、破断予定部51を配設させた天井壁49が、作動前のピストン54の底面55と対向して配置されるとともに、天井壁49に設けられる各扉部50が、開き時に、先端50aをピストン54の底面55に当接させて、移動前のピストン54とハウジング47との間の空間Sを、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆うように、構成されている。そのため、作動時に扉部50が開けば、図11のAに示すように、ガス発生器42と、移動前のピストン54の底面55と、の間の空間Sが、開いた扉部50によって、軸直交方向側を略全周にわたって覆われることから、ガス発生剤46が燃焼して発生した作動用ガスが、軸直交方向側、換言すれば、シリンダ22の内周面側に向かうように、流れることを抑えて、ピストン54の底面55側に向かうように流れることとなる。詳細に説明すれば、開いた扉部50と、移動前のピストン54の底面55と、によって囲まれる領域の容積内に作動用ガスGが貯留される状態となって、この扉部で囲まれるスペースの内圧を迅速に増大させることができることから、扉部50の開きに伴う扉部50の先端50aによるピストン54の押し上げとともに、高圧の作動用ガスGによる押圧力を、瞬時に、ピストン54の移動方向に沿って、ピストン54の底面55に作用させることができる。そのため、実施形態のアクチュエータAでは、作動用ガスGの押圧力を、瞬時にピストン54の底面55に作用させることができて、ピストン54を迅速に前進移動(上昇移動)させることができる。
【0037】
したがって、実施形態のアクチュエータAでは、作動時に、ピストン54を迅速に前進移動させることが可能となる。
【0038】
特に、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動前におけるピストン54の底面55とガス発生器42の天井壁49との間の離隔距離W1が、各扉部50の長さ寸法L1の1/5程度と、小さく設定されていることから、ガス発生器42の作動時に、中央付近をピストン54側に突出させるように、断面略半球状に変形する天井壁49が、破断予定部51の破断前あるいは破断完了直後に、中央付近を、ピストン54の底面55に当接させることとなる。すなわち、実施形態のアクチュエータAでは、扉部50の開き前であって扉部50間の隙間が形成されない状態、あるいは、極小さな隙間を間に有するように開いた状態で、各扉部50が、天井壁49の中央付近に位置する先端50aを、ピストン54の底面55に当接させることとなり、扉部50は、このとき、瞬間的に開きを停止されることとなる(図11のA参照)。そのため、開き当初に各扉部50間に生じる隙間を、極力小さくすることができて、この開き当初に各扉部50間から作動用ガスGが漏れることを極力抑えることができることから、作動当初に、効率よくピストン54を前進移動(上昇移動)させることができる。勿論、ピストンの底面とガス発生器の天井壁との間の離隔距離は、扉部の先端が開き時に底面と当接して、開いた各扉部によって、ピストンとハウジングとの間の空間の中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆い可能であれば、これに限られるものではなく、扉部の長さ寸法と略同一に設定してもよい。なお、実施形態のアクチュエータAでは、ピストン54の前進移動(上昇移動)に伴って、扉部50は、ピストン54の底面55との接触領域を小さくしつつ開くこととなり(図11のB参照)、さらにピストン54が前進移動して、開いた扉部50の先端50aと底面55との当接状態が解除されれば、扉部50は、先端50aを軸直交方向側に向けるように大きく開くこととなる(図11のBの二点鎖線参照)。
【0039】
また、実施形態のアクチュエータAでは、天井壁49に形成される扉部50が、開き時の外形形状を略同一の三角板状として、放射状に開く構成であることから、開いた扉部50によって、ガス発生器42とピストン54の底面55との間の空間Sの軸直交方向側を、全周にわたって略均等に覆うことができる。そのため、ピストン54の移動開始後にも、扉部50の底面55との当接状態が解除されるまで、作動用ガスGの押圧力を、ピストン54の底面55に対して、底面55の中心を基準とした略円形のエリアに作用させることができ、作動当初に、より直線的に、ピストン54を前進移動(上昇移動)させることができる。なお、扉部50は、実施形態のアクチュエータAでは、6枚配設されているが、扉部の枚数は3枚以上であればこれに限られるものではない。
【0040】
さらに、実施形態のアクチュエータAでは、ピストン54の外周面54aに、シリンダ22の内周面(本体部23における摺動孔24の内周面24a)と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリング61を、配設させていることから、ピストン54とシリンダ22との間の気密性を向上させることができ、作動時におけるピストン54の移動前に、ピストン54とシリンダ22との間から作動用ガスGが漏れることを防止できて、ピストン54を迅速に前進移動させることができる。さらに、このOリング61は、ピストン54の外周面54a側に配置され、作動前の状態において、ガス発生器42の近傍に配置される構成であるものの、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動初期において、発生する作動用ガスGが、軸直交方向側となるシリンダ22の内周面(摺動孔24の内周面24a)側に向かうことを抑えられることから、この作動初期に、Oリング61に高温の作動用ガスGが当たることを極力抑制することができ、ピストン54とシリンダ22との間の気密性を低下させるようなOリング61の劣化を抑えることができる。
【0041】
なお、実施形態のアクチュエータAでは、前進移動を上昇させる移動とし、後退移動を加工させる移動とした場合を示したが、作動方向はこれに限定されず、例えば、水平方向の作動方向に、本発明のアクチュエータを使用してもよい。また、本発明のアクチュエータが使用される自動車用安全装置は、フードパネル10を上昇させる跳ね上げ装置U以外でもよい。例えば、運転者や助手席に着座した乗員の膝をニーパネルにより受け止める自動車用安全装置としての膝保護装置のアクチュエータに、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…フードパネル、
22…シリンダ、
42…ガス発生器、
47…ハウジング、
49…天井壁、
50…扉部、
50a…先端、
51…破断予定部、
54…ピストン、
55…底面、
63…支持ロッド、
G…作動用ガス、
U…フード跳ね上げ装置、
A…アクチュエータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータに関し、例えば、保護対象物としての歩行者を受け止める際のフードパネルを持ち上げる等の作動に使用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータとしては、筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、シリンダ内に配置されたピストンを、ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−173391公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のアクチュエータでは、作動用ガスの押圧力を利用して、ピストンを移動させる構成であり、自動車用安全装置に使用する場合、支持ロッドを瞬時に移動させる必要があることから、ピストンを極力迅速に移動させることが望まれている。特に、このタイプのアクチュエータを、車両のフードパネルの後端側の下方に配置させて、作動時に、フードパネルの後端側を上昇させる場合、支持ロッドによって、板金製のフードパネルを上方に押し上げることから、作動用ガスの押圧力によって、効率よくピストンを押圧する必要がある。しかしながら、従来のアクチュエータでは、ガス発生器とピストンの底面との間の距離が大きく、ガス発生器から発生する作動用ガスは、ガス発生器とピストン底面との間に、放射状に流出し、直接シリンダ内周面に向かうものも存在することから、作動用ガスの押圧力を瞬時にピストンの底面に作用させ難く、ピストンを迅速に移動させる点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時に、ピストンを迅速に前進移動可能なアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアクチュエータは、自動車用安全装置に使用されて、
筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、シリンダ内に配置されたピストンを、ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのアクチュエータであって、
ガス発生器が、燃焼時に作動用ガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、ガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされ、
ハウジングにおいて、作動前のピストンの底面と対向して配置される天井壁が、スクイブの作動時に、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部を有する構成とされ、
各扉部が、開き時に、先端を、ピストンの底面に当接可能に構成され、
移動前のピストンとハウジングとの間の空間が、先端をピストンの底面に当接させるように開いた各扉部によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる構成とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るアクチュエータでは、作動時に、ガス発生器のスクイブが点火されれば、ガス発生剤を充填させているハウジングの天井壁に形成される破断予定部が破断され、扉部が、それぞれ、中央付近に位置する部位を開き時の先端側として開いて、ガス発生剤が燃焼して発生された作動用ガスが、シリンダ内に流出されることとなり、シリンダ内に収納されたピストンが、作動用ガスに押されて、支持ロッドとともに前進移動することとなる。そして、本発明のアクチュエータでは、ガス発生器のハウジングにおいて、破断予定部を配設させた天井壁が、作動前のピストンの底面と対向して配置されるとともに、天井壁に設けられる各扉部が、開き時に、先端をピストンの底面に当接させて、移動前のピストンとハウジングとの間の空間を、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆うように、構成されている。そのため、作動時に扉部が開けば、ガス発生器とピストンの底面との間の空間が、開いた扉部によって、軸直交方向側を略全周にわたって覆われることから、ガス発生剤が燃焼して発生した作動用ガスが、軸直交方向側、換言すれば、シリンダの内周面側に向かうように、流れることを抑えて、ピストンの底面側に向かうように流れることとなる。詳細に説明すれば、開いた扉部と、移動前のピストンの底面と、によって囲まれる領域に作動用ガスが充満され、この領域内の内圧を迅速に増大させることができることから、作動用ガスの押圧力を、瞬時に、ピストンの移動方向に沿って、ピストンの底面に作用させることができる。そのため、本発明のアクチュエータでは、作動用ガスの押圧力を、瞬時にピストンの底面に作用させることができて、ピストンを迅速に前進移動させることができる。
【0008】
したがって、本発明のアクチュエータでは、作動時に、ピストンを迅速に前進移動させることが可能となる。
【0009】
また、上記構成のアクチュエータにおいて、ピストンの外周面に、シリンダ内周面と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリングを、配設させる構成とすれば、ピストンとシリンダとの間の気密性を向上させることができ、作動時におけるピストンの移動前に、ピストンとシリンダとの間から作動用ガスが漏れることを防止できて、ピストンを迅速に前進移動させることができて、好ましい。さらに、このOリングは、ピストンの外周面側に配置され、作動前の状態において、ガス発生器の近傍に配置される構成であるものの、上記構成のアクチュエータでは、ガス発生器の作動初期において、発生する作動用ガスが、軸直交方向側となるシリンダの内周面側に向かうことを抑えられることから、この作動初期に、Oリングに高温の作動用ガスが当たることを極力抑制することができ、ピストンとシリンダとの間の気密性を低下させるようなOリングの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の斜視図である。
【図2】実施形態のアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図3】実施形態のフード跳ね上げ装置と車両のヒンジ部とを示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のアクチュエータを使用したフード跳ね上げ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図5】実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図6】実施形態のアクチュエータにおけるシリンダの先端壁部の部位を示す部分拡大概略縦断面図である。
【図7】実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を順に説明する概略部分拡大断面図である。
【図8】実施形態のアクチュエータにおけるガス発生器とピストンとを示す部分拡大概略縦断面図である。
【図9】実施形態のアクチュエータのガス発生器に使用されるハウジングの天井壁付近を示す部分拡大断面図である。
【図10】実施形態のアクチュエータのガス発生器に使用されるハウジングの天井壁付近を示す概略斜視図である。
【図11】実施形態のアクチュエータにおいて、ガス発生器のスクイブが作動した状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のアクチュエータAは、図1〜3に示すように、車両Vに搭載される自動車用安全装置としてのフード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)Uに使用されるものである。跳ね上げ装置Uは、フードパネル10の後端10c側に配設されるもので、アクチュエータAの作動時に、フードパネル10の後端10cを跳ね上げる構成とされている。実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ6が、配設されており、センサ6からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ6からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータAのガス発生器42(図8参照)を作動させるように、構成されている。
【0012】
フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、図3に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータAが作動されて、図4に示すように、フードパネル10の後端10cが上方に押し上げられ、フードパネル10の後端10cと、エンジンルームERと、の間に、変形スペースDSを形成できることから、塑性変形時の塑性変形量を増大させることができる。さらには、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cを上昇移動させた支持ロッド63の軸部64が、歩行者の受け止め時に、フードパネル10の下降移動に伴って曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。そのため、実施形態の場合、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、フードパネル10自体の塑性変形と、支持ロッド63における軸部64の曲げ塑性変形と、によって、歩行者の運動エネルギーを多く吸収することができる。
【0013】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1,2参照)、それぞれ、ボディ1側のフードリッジリインホース2に連結される取付フランジ2aに固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図2,3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用して、ヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bからフードパネル10の下面に沿うように延びる連結板部15を備える構成とされ、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に、溶接等を利用して結合されている。また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、下縁を略円形状に切り欠くようにして構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータAの作動時において支持ロッド63がフードパネル10の後端10cを押し上げた際に、塑性変形する塑性変形部14dとされて、フードパネル10の上昇を許容することとなる(図3,4参照)。
【0014】
各支持軸13は、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に略沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、図3の実線から二点鎖線で示すように、左右の支持軸13を回転中心として、各ヒンジアーム14の先端14b側とともに、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、フードパネル10を前開きで開くことができる。ちなみに、フードパネル10の後端10cの上昇時には、フードパネル10の前端10f側は、前端10fに配置されている通常閉塞用の図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れることはない。
【0015】
フードパネル10の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド3の下部3a側に連ならせるように、配設されている。また、フロントウィンドシールド3の左右には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。
【0016】
跳ね上げ装置Uは、図3,4に示すように、フードパネル10における左右のヒンジ部11の近傍に配設されるもので、フードパネル10の後端10cの下方に配設されるアクチュエータAと、各アクチュエータAに対応してアクチュエータAの上方のフードパネル10側に配設される受け座16と、から、構成されている。受け座16は、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cの下面に配設されたヒンジアーム14の先端14b側に設けられた連結板部15の下面から、構成されている。
【0017】
実施形態のアクチュエータAは、図2,3に示すように、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2bに対してボルト19止めされる断面略U字形状の取付ブラケット18により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d及び右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に、配設されている(図1〜3参照)。各アクチュエータAは、図5に示すように、ガス発生器42の作動時に発生する作動用ガスGを駆動源とするピストンシリンダタイプとされるもので、実施形態の場合、円筒状のシリンダ22と、シリンダ22内に配置されて、作動時に作動用ガスGを発生させるガス発生器42と、シリンダ22内に摺動可能に収納したピストン54と、ピストン54に連結される支持ロッド63と、前進移動(実施形態の場合には、上昇移動)した支持ロッド63の後退移動(実施形態の場合には、下降移動)を規制するロック機構Rと、を備えて構成されている。ロック機構Rは、実施形態の場合、図7に示すように、係止リング60と、ピストン54の外周側に設けられて係止リング60を収納する収納溝58と、シリンダ22の内周面24aに設けられて係止リング60の一部を進入させて係止する係止段部26と、を備えて構成されている。
【0018】
シリンダ22は、軸方向を上下方向に略沿わせて配置されるもので、図5に示すように、上端側の先端壁部31と下端側の元部端壁部38との間に、ピストン54を摺動させる円筒状の本体部23を、配設させて構成されている。なお、シリンダ22は、本体部23を構成する鋼製のパイプ材29の上下にキャップ30,37を結合させて構成されており、先端壁部31は、パイプ材29の上端側外周面に設けられた雄ねじ29aに螺合して結合されたキャップ30に配設され、元部端壁部38は、パイプ材29の下端側外周面に設けられた雄ねじ29bに螺合して結合されたキャップ37に配設されている。
【0019】
本体部23は、ピストン54の外形形状に対応して軸直交方向の断面形状を略円形の開口とした摺動孔24を、上下方向に貫通させており、アクチュエータAの作動時、ピストン54は、摺動孔24の内周面24aを摺動して、上昇移動(前進移動)することとなる。
【0020】
シリンダ22において、本体部23における先端壁部31近傍には、図6に示すように、ピストン54を摺動させる本体部23の内周面(摺動孔24の内周面24a)より拡径して凹む係止段部26が、形成されている。この係止段部26は、ロック機構Rを構成するもので、ピストン54の上昇移動後(前進移動後)の後述する係止リング60付近に配置されて、係止リング60の後退移動(下降移動)を規制する部位であり、係止規制面27と外周規制面28とを備えて構成されている。実施形態の場合、係止規制面27は、パイプ材29の上端面29cから構成されるもので、ロック機構Rを構成する係止リング60の下降移動(後退移動)を規制可能に、係止リング60の後退移動側の部位(後退側面)に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。外周規制面28は、実施形態の場合、キャップ30における後述する収納凹部33の内周面33aから構成されるもので、係止規制面27の外周縁から本体部23の軸方向(ピストン54の前進移動方向)に沿うように延びて、係止リング60の後退移動の規制時に、拡径した係止リング60の外周面に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。
【0021】
シリンダ22における本体部23の上端側に配置されるキャップ30は、図5,6に示すように、シリンダ22の上端を塞ぐ先端壁部31と、先端壁部31の下端側(パイプ材29側)から下方に延びる略円筒状の周壁部35と、を、備えている。周壁部35の内周面には、パイプ材29に設けられた雄ねじ29aに螺合される雌ねじ35aが形成されている。先端壁部31は、略円柱状とされるもので、中央に、支持ロッド63の軸部64を挿通可能に上下方向に沿って貫通した挿通孔32を備えるとともに、下端側に、上昇移動(前進移動)後のピストン54を収納させるための収納凹部33を、備えている。挿通孔32は、内径寸法D1を、支持ロッド63の軸部64の外径寸法D2より僅かに大径として、軸部64との間に隙間を設けるように構成されている(図6参照)。この挿通孔32における軸部64との間の隙間は、作動時に、ピストン54とシリンダ22との間の空気を外部に放出させて、ピストン54を円滑に前進移動(上昇移動)可能とし、かつ、ピストン54の上昇移動(前進移動)後において、シリンダ22内に充満された作動用ガスGを、外部に放出させるために、形成されている。なお、挿通孔32の上端側には、周縁をテーパ状に切り欠かれた凹部32aが、形成されている。この凹部32aは、支持ロッド63における軸部64の上端外周側に配置されて、車両搭載状態における作動前の気密性を確保するためのOリング66を収納させるためのものである。
【0022】
収納凹部33は、上昇移動(前進移動)後に、係止リング60を係止規制面27に係止させて、下降移動(後退移動)を規制された状態のピストン54を、内部に収納可能に構成されるもので、内周面33aの下端付近の部位が、拡径した係止リング60の外周面に当接する外周規制面28を構成している。収納凹部33は、内径寸法を、摺動孔24の内径寸法より大きくして、拡径した係止リング60の外周面に当接可能な寸法に、設定されている。また、収納凹部33内における上面33b側には、作動前の支持ロッド63(ピストン54)の上下動を規制するためのCリング34が、上面33bと当接するようにして、配置されている(図6参照)。このCリング34は、支持ロッド63の軸部64に形成される凹溝64aに係止されて、作動前の支持ロッド63(ピストン54)の上下方向への移動を防止しており、ガス発生器42の作動時に、ピストン54が作動用ガスGによって強く押し上げられた際に、凹溝64aとの係止状態を解除されて、ピストン54の上昇移動を許容するように、構成されている。
【0023】
シリンダ22における本体部23の下端側に配置されるキャップ37は、図5,8に示すように、本体部23の下端側を塞ぐように配設される略円板状の元部端壁部38と、元部端壁部38の外周縁から上方に延びる略円筒状の周壁部39と、を備えて構成されている。元部端壁部38には、ガス発生器42の後述するスクイブ43のターミナル43cを挿通可能な挿通孔38aが、形成され、この挿通孔38aの周縁の部位と、周壁部39における下部側の部位と、を利用して、ガス発生器42が、元部端壁部38に取り付けられて、シリンダ22内に配設されている。周壁部39は、上端側内周面に、パイプ材29に設けられた雄ねじ29bに螺合される雌ねじ39aを備え、キャップ37は、元部端壁部38にガス発生器42を取り付けた状態で、雌ねじ39aを雌ねじ29bに螺合させて、本体部23に取り付けられている。
【0024】
ガス発生器42は、図8に示すように、燃焼時に作動用ガスを発生するガス発生剤46を内部に充填させたハウジング47と、ガス発生剤46に点火可能とされるスクイブ43と、を備えている。実施形態の場合、ガス発生器42は、ハウジング47の後述する天井壁49を、ピストン54と対向させつつ、ハウジング47とスクイブ43とを、シリンダ22の軸方向に沿って直列的に配置させるようにして、シリンダ22内に配設されている。
【0025】
スクイブ43は、ガス発生剤46と対向するように上側(ピストン54側)に配置される略円柱状の点火部43aと、点火部43aの下側に配置されて点火部43aより大径とされるフランジ部43bと、フランジ部43bの下側に配置されてフランジ部43bより小径とされるターミナル43cと、を備える構成とされている。ターミナル43cは、キャップ37の元部端壁部38に形成される挿通孔38aに挿通可能な寸法に設定され、元部端壁部38から露出される構成である。このスクイブ43のターミナル43cは、図8に示すように、車両の図示しない制御装置から延びるリード線44を結線されることとなる。そして、スクイブ43は、この図示しない制御装置からの作動信号を受けて、点火部43aから火炎を発生させるように作動して、ハウジング47内に充填されたガス発生剤46を燃焼させる構成である。
【0026】
ガス発生剤46は、燃焼時に作動用ガスGを発生可能な所定の薬剤を、所定形状に成形して構成されるもので、実施形態の場合、略球状とされて、ハウジング47内におけるハウジング47とスクイブ43との間の隙間に、充填されている。
【0027】
ハウジング47は、スクイブ43から延びるように構成される略円筒状の周壁48と、周壁48の先端側(上端側であってピストン54側)を塞ぐように構成される略円板状の天井壁49と、を備える構成とされている。ハウジング47は、中心をシリンダ22の中心軸C1(図5参照)と一致させるように、形成されている。そして、周壁48は、実施形態の場合、元部側の大径部48aと、大径部48aより小径とされる先端側の小径部48bと、から構成されている(図8参照)。実施形態の場合、ハウジング47は、アルミニウム合金等の金属製とされており、周壁48における大径部48aの元部側(下端側)を、スクイブ43のフランジ部43bに連結させるようにして、スクイブ43と一体化されている。
【0028】
天井壁49は、周壁48における小径部48bの先端側(上端側)を塞ぐような略円形として、シリンダ22の中心軸C1の軸直交方向に沿うように構成されるもので、外径寸法を、小径部48bの外径寸法D3(図9参照)と一致させた構成とされている。天井壁49は、作動前のピストン54の後述する底面55と対向して配置されるもので、スクイブ43の作動時に、周囲に配置される破断予定部51を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端50a側として開く複数の扉部50を有する構成とされている。実施形態の場合、破断予定部51は、天井壁49の中央C2(シリンダ22の中心軸C1と一致、図10参照)から略放射状に延びる線状として、複数箇所(実施形態の場合、6箇所)に、形成されるもので、それぞれ、天井壁49に、内面側から、肉厚の1/2程度の深さの切込みを連続的に設けるようにして、構成されている(図9参照)。扉部50は、この破断予定部51間の部位から構成されるもので、実施形態の場合、外形形状を略同一の略三角板状とした6枚とされて、それぞれ、周壁48との境界部位付近(元部50b側)を開き時の回転中心として、開き時の中央付近に位置する先端50a相互を離隔させるように、放射状に開く構成とされている(図9,10の二点鎖線参照)。具体的には、各扉部50は、中央付近となる先端50a側を、ピストン54側に向けるように開くもので、実施形態の場合、開き時に、先端50aを、ピストン54の底面55に当接させ、かつ、開き時における底面55との当接時に、各扉部50によって、移動前のピストン54とハウジング47との間の空間Sを、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆い可能に構成されている。実施形態の場合、各扉部50は、開き時における軸直交方向側の長さ寸法L1(周壁48における小径部48bの外径寸法D3の1/2と略一致、図9参照)を、作動前のガス発生器42の天井壁49表面と底面55との離隔距離W1より、大きくして、開き時に、先端50aをピストン54の底面55に当接可能に、構成されている(図8,9参照)。
【0029】
ピストン54は、シリンダ22の本体部23における摺動孔24の内周面24aに対して摺動可能な外径寸法を有した略円柱状とされるもので、ガス発生器42側となる下面側の底面55を、ガス発生器42の天井壁49近傍に位置させるように、シリンダ22内に、配置されている。ピストン54の底面55は、シリンダ22の中心軸C1の軸直交方向に沿うように形成されており、換言すれば、ハウジング47の天井壁49と略平行するように、形成されている。そして、この底面55は、開いた各扉部50の先端50aを当接可能なように、底面55とガス発生器42の天井壁49との間の空間Sの離隔距離W1を、ガス発生器42の各扉部50の長さ寸法L1より小さく設定されている。具体的には、離隔距離W1は、長さ寸法L1の1/5程度に設定されている。
【0030】
そして、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動時に、開く扉部50が、それぞれ、先端50aを、移動前のピストン54の底面55に当接されるようにして、先端50aを放射方向の外方側へ向けるような開きを、瞬間的に停止され、その後、開いた扉部50とピストン54の底面55との間の空間に充満された作動用ガスGの押圧力によって、ピストン54を前進移動させつつ、さらに、先端50aを放射方向の外方側へ向けるようにして、開くこととなる。詳細に説明すれば、ガス発生器42が作動すれば、ハウジング47における天井壁49が、中央付近をピストン54側に突出させるように、断面略半球状に変形することとなり、各扉部50を区画している破断予定部51の部位に応力集中が生じて、破断予定部51が、天井壁49の中央付近の部位から破断し、各扉部50が、元部50bを回転中心として、開くこととなる。そして、実施形態の場合、ガス発生器42の作動前におけるピストン54の底面55とガス発生器42の天井壁49との間の離隔距離W1が、各扉部50の長さ寸法L1の1/5程度と、小さく設定されていることから、破断予定部51の破断前あるいは破断完了直後に、天井壁49の中央付近が、ピストン54の底面55に当接することとなり、扉部50は、このとき、瞬間的に開きを停止されることとなる。
【0031】
ピストン54における外周面54aには、図7,8に示すように、底面55側に、Oリング61を嵌合させる嵌合溝57が形成され、底面55から離れる嵌合溝57の上方に、係止リング60を収納可能な収納溝58が形成されている。収納溝58は、ロック機構Rを構成するものであり、係止リング60を収納した状態で、ピストン54の上昇移動(前進移動)を可能にするとともに、ピストン54の上昇移動(前進移動)後において、係止段部26における外周規制面28と当接するように拡径された係止リング60の係止規制面27の係止状態を維持可能とするように、構成されている(図7参照)。換言すれば、収納溝58は、ピストン54の上昇移動(前進移動)後に、拡径された係止リング60の戻りを防止するように、構成されている。
【0032】
ロック機構Rを構成する係止リング60は、断面を円形としたばね鋼からなる線材を円環状(略C字形状)に曲げ加工して形成されるもので、作動前においては、縮径された状態で、ピストン54に設けられて収納溝58内に収納され、ピストン54の上昇移動(前進移動)後に、係止段部26の外周規制面28と当接するように、復元されて、拡径される構成とされている。
【0033】
Oリング61は、ゴム状弾性体からなるもので、嵌合溝57内に収納された状態で、外周面を、シリンダ22における摺動孔24の内周面24aと摺接させるように、構成されている。このOリング61は、ピストン54とシリンダ22の本体部23との間の気密性を向上させて、ガス発生器42の作動時に、ピストン54と本体部23との間から作動用ガスGが漏れることを防止するために配設されるもので、実施形態の場合、良好な耐熱性を有したシリコンゴムから、構成されている。
【0034】
支持ロッド63は、シリンダ22の軸方向(上下方向)に沿って配設される丸棒状の軸部64と、軸部64の上端側に配設される頭部65と、を備えている。軸部64は、実施形態の場合、ピストン54から延びるように、ピストン54と一体的に構成されている。頭部65は、実施形態の場合、軸部64と別体とされて、軸部64の上端側に締結される袋ナットから、構成されている。軸部64における上端近傍部位には、キャップ30に形成された収納凹部33内に配置されるCリング34を係止可能な凹溝64aが、形成されている(図5参照)。また、支持ロッド63における軸部64と頭部65との境界部位には、Oリング66が、嵌着されている。このOリング66は、作動前に、キャップ30の先端壁部31に設けられた挿通孔32の上端側に形成される凹部32a内に、収納されている(図5参照)。このOリング66は、ゴム状弾性体からなるもので、車両搭載状態における作動前のシリンダ22内の気密性を確保するために、配設されている。具体的には、実施形態の場合、Oリング66は、クロロプレンゴム等の汎用のゴム材料から、形成されている。
【0035】
実施形態の跳ね上げ装置Uでは、センサ6からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータAにおけるガス発生器42が作動されることとなり、図5に示すように、発生した作動用ガスGが、シリンダ22における本体部23内のピストン54を押し上げ、支持ロッド63の頭部65を、受け座16の下面に当接させて、フードパネル10の後端10cを、下方のカウル7との間の隙間を広げるように、上昇させることとなる。そして、上昇移動したフードパネル10の後端10cが、図4に示すように、支持ロッド63の頭部65により下面側を支持された状態で、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めれば、歩行者の運動エネルギーFを受け止めて、フードパネル10の後端10cが塑性変形しつつ下降移動するとともに、このフードパネル10の下降移動に伴って、受け座16に頭部65を当接させている支持ロッド63の軸部64が、歩行者の運動エネルギーFを吸収しつつ、上端側の頭部65を後方に向けるように、曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。
【0036】
そして、実施形態のアクチュエータAでは、作動時に、ガス発生器42のスクイブ43が点火されれば、ガス発生剤46を充填させているハウジング47の天井壁49に形成される破断予定部51が破断され、扉部50が、それぞれ、中央付近に位置する部位を開き時の先端側として開いて、ガス発生剤46が燃焼して発生された作動用ガスGが、シリンダ22内に流出されることとなり、シリンダ22内に収納されたピストン54が、作動用ガスGに押されて、支持ロッド63とともに前進移動することとなる。そして、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42のハウジング47において、破断予定部51を配設させた天井壁49が、作動前のピストン54の底面55と対向して配置されるとともに、天井壁49に設けられる各扉部50が、開き時に、先端50aをピストン54の底面55に当接させて、移動前のピストン54とハウジング47との間の空間Sを、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆うように、構成されている。そのため、作動時に扉部50が開けば、図11のAに示すように、ガス発生器42と、移動前のピストン54の底面55と、の間の空間Sが、開いた扉部50によって、軸直交方向側を略全周にわたって覆われることから、ガス発生剤46が燃焼して発生した作動用ガスが、軸直交方向側、換言すれば、シリンダ22の内周面側に向かうように、流れることを抑えて、ピストン54の底面55側に向かうように流れることとなる。詳細に説明すれば、開いた扉部50と、移動前のピストン54の底面55と、によって囲まれる領域の容積内に作動用ガスGが貯留される状態となって、この扉部で囲まれるスペースの内圧を迅速に増大させることができることから、扉部50の開きに伴う扉部50の先端50aによるピストン54の押し上げとともに、高圧の作動用ガスGによる押圧力を、瞬時に、ピストン54の移動方向に沿って、ピストン54の底面55に作用させることができる。そのため、実施形態のアクチュエータAでは、作動用ガスGの押圧力を、瞬時にピストン54の底面55に作用させることができて、ピストン54を迅速に前進移動(上昇移動)させることができる。
【0037】
したがって、実施形態のアクチュエータAでは、作動時に、ピストン54を迅速に前進移動させることが可能となる。
【0038】
特に、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動前におけるピストン54の底面55とガス発生器42の天井壁49との間の離隔距離W1が、各扉部50の長さ寸法L1の1/5程度と、小さく設定されていることから、ガス発生器42の作動時に、中央付近をピストン54側に突出させるように、断面略半球状に変形する天井壁49が、破断予定部51の破断前あるいは破断完了直後に、中央付近を、ピストン54の底面55に当接させることとなる。すなわち、実施形態のアクチュエータAでは、扉部50の開き前であって扉部50間の隙間が形成されない状態、あるいは、極小さな隙間を間に有するように開いた状態で、各扉部50が、天井壁49の中央付近に位置する先端50aを、ピストン54の底面55に当接させることとなり、扉部50は、このとき、瞬間的に開きを停止されることとなる(図11のA参照)。そのため、開き当初に各扉部50間に生じる隙間を、極力小さくすることができて、この開き当初に各扉部50間から作動用ガスGが漏れることを極力抑えることができることから、作動当初に、効率よくピストン54を前進移動(上昇移動)させることができる。勿論、ピストンの底面とガス発生器の天井壁との間の離隔距離は、扉部の先端が開き時に底面と当接して、開いた各扉部によって、ピストンとハウジングとの間の空間の中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆い可能であれば、これに限られるものではなく、扉部の長さ寸法と略同一に設定してもよい。なお、実施形態のアクチュエータAでは、ピストン54の前進移動(上昇移動)に伴って、扉部50は、ピストン54の底面55との接触領域を小さくしつつ開くこととなり(図11のB参照)、さらにピストン54が前進移動して、開いた扉部50の先端50aと底面55との当接状態が解除されれば、扉部50は、先端50aを軸直交方向側に向けるように大きく開くこととなる(図11のBの二点鎖線参照)。
【0039】
また、実施形態のアクチュエータAでは、天井壁49に形成される扉部50が、開き時の外形形状を略同一の三角板状として、放射状に開く構成であることから、開いた扉部50によって、ガス発生器42とピストン54の底面55との間の空間Sの軸直交方向側を、全周にわたって略均等に覆うことができる。そのため、ピストン54の移動開始後にも、扉部50の底面55との当接状態が解除されるまで、作動用ガスGの押圧力を、ピストン54の底面55に対して、底面55の中心を基準とした略円形のエリアに作用させることができ、作動当初に、より直線的に、ピストン54を前進移動(上昇移動)させることができる。なお、扉部50は、実施形態のアクチュエータAでは、6枚配設されているが、扉部の枚数は3枚以上であればこれに限られるものではない。
【0040】
さらに、実施形態のアクチュエータAでは、ピストン54の外周面54aに、シリンダ22の内周面(本体部23における摺動孔24の内周面24a)と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリング61を、配設させていることから、ピストン54とシリンダ22との間の気密性を向上させることができ、作動時におけるピストン54の移動前に、ピストン54とシリンダ22との間から作動用ガスGが漏れることを防止できて、ピストン54を迅速に前進移動させることができる。さらに、このOリング61は、ピストン54の外周面54a側に配置され、作動前の状態において、ガス発生器42の近傍に配置される構成であるものの、実施形態のアクチュエータAでは、ガス発生器42の作動初期において、発生する作動用ガスGが、軸直交方向側となるシリンダ22の内周面(摺動孔24の内周面24a)側に向かうことを抑えられることから、この作動初期に、Oリング61に高温の作動用ガスGが当たることを極力抑制することができ、ピストン54とシリンダ22との間の気密性を低下させるようなOリング61の劣化を抑えることができる。
【0041】
なお、実施形態のアクチュエータAでは、前進移動を上昇させる移動とし、後退移動を加工させる移動とした場合を示したが、作動方向はこれに限定されず、例えば、水平方向の作動方向に、本発明のアクチュエータを使用してもよい。また、本発明のアクチュエータが使用される自動車用安全装置は、フードパネル10を上昇させる跳ね上げ装置U以外でもよい。例えば、運転者や助手席に着座した乗員の膝をニーパネルにより受け止める自動車用安全装置としての膝保護装置のアクチュエータに、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…フードパネル、
22…シリンダ、
42…ガス発生器、
47…ハウジング、
49…天井壁、
50…扉部、
50a…先端、
51…破断予定部、
54…ピストン、
55…底面、
63…支持ロッド、
G…作動用ガス、
U…フード跳ね上げ装置、
A…アクチュエータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用安全装置に使用されて、
筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、前記シリンダ内に配置されたピストンを、該ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのアクチュエータであって、
前記ガス発生器が、燃焼時に前記作動用ガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、前記ガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされ、
前記ハウジングにおいて、作動前の前記ピストンの底面と対向して配置される天井壁が、前記スクイブの作動時に、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部を有する構成とされ、
該各扉部が、開き時に、先端を、前記ピストンの底面に当接可能に構成され、
移動前の前記ピストンと前記ハウジングとの間の空間が、先端を前記ピストンの底面に当接させるように開いた前記各扉部によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる構成とされていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ピストンの外周面に、前記シリンダ内周面と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリングが、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項1】
自動車用安全装置に使用されて、
筒状のシリンダ内に設けたガス発生器から発生する作動用ガスにより、前記シリンダ内に配置されたピストンを、該ピストンに連結された支持ロッドとともに移動させるピストンシリンダタイプのアクチュエータであって、
前記ガス発生器が、燃焼時に前記作動用ガスを発生するガス発生剤を内部に充填させたハウジングと、前記ガス発生剤に点火可能とされるスクイブと、を有する構成とされ、
前記ハウジングにおいて、作動前の前記ピストンの底面と対向して配置される天井壁が、前記スクイブの作動時に、周囲に配置される破断予定部を破断させて、中央付近に位置する部位を、開き時の先端側として開く複数の扉部を有する構成とされ、
該各扉部が、開き時に、先端を、前記ピストンの底面に当接可能に構成され、
移動前の前記ピストンと前記ハウジングとの間の空間が、先端を前記ピストンの底面に当接させるように開いた前記各扉部によって、中央付近の軸直交方向側を略全周にわたって略筒状に覆われる構成とされていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記ピストンの外周面に、前記シリンダ内周面と摺接されて、ゴム状弾性体からなるOリングが、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−51368(P2011−51368A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199315(P2009−199315)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
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