説明

アジドアルキルアミンの製造方法

第一工程で2つの異なった離核性の基を有する二官能性のアルカンをアジドと反応させて1の離核性の基を分離して一官能性のアジドアルカンにし、第二工程で一官能性のアジドアルカンを第一級もしくは第二級アミンと反応させて2つめの離核性の基を分離してアジドアルキルアミンにするアジドアルキルアミンの製造方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアジドアルキルアミンの製造方法に関する。
【0002】
アジドアルキルアミンは有機合成の中間生成物として重要である。
【0003】
求核置換によるアルキルアジドの合成は公知である。この場合、相応する出発化合物がアジ化物と反応する。
【0004】
J.Org.Chem.1957、22、238〜240には、アルコールまたは2−アルコキシエタノール中の臭化アルキルまたはヨウ化アルキルから出発して水を添加するアルキルアジドの合成が記載されている。アルキルアジドは別の官能基を有していない。
【0005】
Tetrahedron Lett.1991、32、183〜186には、ジメチルホルムアミド中で相応するジクロロ誘導体またはジブロモ誘導体からのジアジドアルカンの製造が記載されている。
【0006】
J.Org.Chem.1957、22、995〜996には、メタノールと水とからなる混合物中で2−クロロエチル−p−トルエンスルホン酸塩から出発する2−クロロエチルアジドの合成が記載されている。反応混合物を24時間還流下に維持し、かつ生成物を引き続き抽出または蒸留する。
【0007】
J.Org.Chem.1993、58、3736〜3741には、アジドアルキルアミンおよびN−(アジドアルキル)−ジアミノアルカンの合成が記載されており、この場合、N−(ハロゲンアルキル)−アミンまたは−ジアミノアルカンを中間体として使用する。これらは、その合成が複雑であり、かつ分子内置換により環化しうるという欠点を有する。特にN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアミンの合成の際に、最後の工程での収率はわずか30%である。というのは、N−(3−アミノプロピル)−ピロリジンへの閉環求核置換が強調されるからである。さらに1−アジド−4−ヨードブタンのアミノ分解によるアジドブチルアミンの合成が記載されている。これは再び、1−ブロモ−4−クロロブタンとアジ化ナトリウムとの1−アジド−4−クロロブタンへの反応および離核性の基である塩化物がヨウ化物と交換されることによる活性化により2工程で製造される。
【0008】
アジドアルキルアミンの合成は特に、アミノ基の別の位置で置換されうる場合に問題となる。収率が劣るか、または保護基の技術が高価であることを甘受しなくてはならない。
【0009】
JP2002−332274は、アミノ基が保護される合成を記載している。この合成はこのことにより極めて高価であり、全ての工程にわたって収率は40%を下回る。
【0010】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、かつ比較的少ないコストで良好な収率が得られる、特にアジドアルキルアミンを製造する方法を提供することである。
【0011】
前記課題は、請求項1記載の特徴を有する方法により解決される。その際、第一工程で2つの異なった離核性の基を有する二官能性アルカンをアジドと反応させて1の離核性の基を分離して一官能性のアジドアルカンにする。第二工程で一官能性のアジドアルカンを第一級もしくは第二級アミンと反応させて2つめの離核性の基を分離してアジドアルキルアミンにする。
【0012】
二官能性アルカンとはこの場合、2つの異なった離核性の基を有する化合物であると理解され、その際、両方の離核性の基は第一級、第二級もしくは第三級アルキル基に結合しており、かつ両方のアルキル基は直接、または1もしくは複数の中間要素Zを介して相互に結合している。中間要素Zはたとえば次のものであってよい:飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖、アリール基、飽和もしくは不飽和の炭素環式基、これらはさらに架橋要素、たとえば−O−、−S−、−C(=O)−、−CO2−、−SO2−および反応しない置換基、たとえばエステル基、アミド基またはエーテル基を有していてよい。
【0013】
意外なことに、第一工程で得られる一官能性アジドアルカン(たとえばアジドクロロアルカン)を第一級もしくは第二級アミンと反応させ、その際、あらかじめ交換反応は不要である(たとえば離核性のわずかな基である塩素を、より反応性の基、たとえばヨウ素と交換する)ことが判明した。さらに意外であるのは、一官能性アジドアルカンとアミンとの反応の際に二重にアジドアルキル化された生成物が生じることはなく、ほぼ所望の単一にアジドアルキル化された生成物が生じることである。
【0014】
図式によれば反応の過程は以下のとおりに記載することができる(二官能性のアルカンはここでは中間要素Zとして、非分枝鎖状、飽和の炭化水素鎖のみを有し、第二工程は代替的に第一級もしくは第二級アミンを用いた):
【化1】

その際、
1=離核性の基1であり、
2=離核性の基2であり、
n=1〜20、有利には2〜10、特に有利には3〜6の自然数である。
【0015】
M=金属、有利には1価の金属、たとえばLi、Na、K、Rb、Cs(多価の金属の場合には式MN3が相応して妥当する。たとえば2価の金属、たとえばBa、Znの場合はM(N32、または3価の金属、たとえばAlの場合はM(N33);アンモニウム、これは場合により有機置換基を有していてもよく、その際、アンモニウムイオンの4つまでのH原子は、場合により種々の有機基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル)により置換されていてもよく、たとえば(NMe3H)+、(NEt3H)+、(NBu4+または(NMe3CH2Ph)+またはM=置換された金属または半金属、たとえばMN3=SiMe33、SnBu33、AlEt23である。
【0016】
R、R′=1〜20、有利には2〜10、特に有利には3〜6個の炭素原子を有するアルキル、または1〜20、有利には2〜10、特に有利には3〜6個の炭素原子を有する官能化されたアルキルであり、その際、RおよびR′は結合して1つの環になっていてもよく、たとえば次の官能基を有する(限定的ではない列挙):
アミン、
−OR1{式中、R1=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環、−C(=O)R2、−C(=S)R2[式中、R2=アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、−NR34(式中、R3およびR4は相互に無関係に=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環、その際、R3およびR4は結合して1つの環になっていてもよい)、−SR5(式中、R5=アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環)]}、
−NR67(式中、R6およびR7は相互に無関係に=R1、たとえば前記のもの、およびさらに−SO25、その際、R6およびR7は結合して1つの環になっていてもよい);−N=CR89(式中、R8およびR9は相互に無関係に=R2は前記のものであり、その際、R8およびR9は結合して1つの環になっていてもよい)、
−SR10(式中、R10=R1、たとえば前記のものであるが、ただしHを含まない)、
−C(=O)R11、−C(=O)C(=O)R11、−C(=NOR3)R11、−SOR11、−SO211、−P(=O)R1112(式中、R11およびR12=R2、たとえば前記のもの、およびさらに−OH)、
−BR1314(式中、R13およびR14は相互に無関係に=R5、OR3、NR34、たとえば前記のもの)、
−SiR151617(式中、R15、R16およびR17は相互に無関係に=R5、OR3)、
−SnR183(式中、R18=アルキル)、
−F、−CN、−N3、−NO2
アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環。
【0017】
あるいは二官能性のアルカンとして以下の一般式に属する化合物を使用することもできる:
【化2】

[式中、RII、RIII、RIVおよびRV=相互に無関係にH、アルキル、アリール、相互に結合した環、
Z=1〜20個の炭素原子、有利には1〜4個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖、アリール基、飽和もしくは不飽和の炭素環、これはさらに架橋要素、たとえば−O−、−S−、−C(=O)−、−CO2−、−SO2−および反応しない置換基、たとえばエステル基、アミド基またはエーテル基である]。Zはなくてもよく、その場合には上記の式中で両方の炭素原子は直接結合している。
【0018】
離核性の基(置換基)はたとえば次のものであってもよい:塩化物、臭化物、ヨウ化物またはスルホネート(たとえばメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート)。より高い反応性を有する離核性の基は第一の反応工程(工程)でアジド基により置換され、他方、より低い反応性を有する離核性の基は第二の反応工程(工程)で第一級もしくは第二級アミンにより置換される。二官能性アルカンの例は、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、2−ブロモ−1−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロ−2,2−ジメトキシプロパン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、p−トルエンスルホン酸−2−クロロエチルエステル、メタンスルホン酸−2−クロロエチルエステル、p−トルエンスルホン酸−3−クロロプロピルエステル。アリール中間要素を有する二官能性のアルカンの1例は2−(クロロメチル)−ベンジルブロミドである。
【0019】
有利には方法の第一工程を極性溶剤、たとえばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコール、メタノール、アセトンまたは水中で実施する。これらの溶剤の混合物、特に有機溶剤と水との混合物を使用することもできる。有利にはこのような混合物は水を最大で30質量%含有する。特に有利であるのは、二官能性アルカンもアジドも少なくとも1質量%が可溶性である溶剤である。
【0020】
離核性の基を有するアジドアルカンは、第一級アミンまたは第二級アミンと反応させてアジドアルキルアミンにする前に精製することができるが、しかし必ずしもその必要はない。その際、中間化合物を有利に無極性溶剤を用いて第一工程の極性溶剤から抽出する。その際、特に有利であるのは無極性溶剤を添加した後に水を添加することである。
【0021】
有利には第二工程で第一級もしくは第二級アミンを過剰で使用する。特に有利には過剰量は1〜5000モル%、モノアミンの場合には10〜100モル%、および多価アミン、たとえばジアミンの場合には100〜1000モル%である。特に、第一級アミンがジアミンであり、1つのアミノ基だけをアゾジアルキル化すべき場合には、ジアミンの過剰を使用するか、またはジアミンを同時に溶剤として使用する。有利にはアミンとの反応の前、反応中または反応後に水を添加するか、または水を含有するアミンを使用する。反応の際に存在する水量はアミンと水との全量に対して、有利に5〜90質量%、特に有利には15〜50質量%である。
【0022】
アジドアルキルアミンを単離するために、該アミンを無極性溶剤を用いた抽出によって過剰のアミンから分離し、かつ蒸留することができる。アジドアルキルアミンは酸を添加することにより塩として沈殿させ、かつ再結晶化によりさらに精製することができる。特にN−(アジドアルキル)−ジアミノアルカンはこのようにして後処理することができる。有利にはその際に、まず過剰の、未反応のアミンをこのために必要な量の酸により沈殿させ、かつ分離し、次いでアジドアルキルアミンを酸により沈殿することにより、アジドアルキルアミンを分別沈殿する。
【0023】
得られるアジドアルキルアミンは遊離塩基として、第二工程での反応の際に遊離する酸の塩として、または酸による沈殿の塩としてクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0024】
得られるアジドアルキルアミンは蒸留による分離および/または精製することができる。
【0025】
本発明を以下の実施例に基づいて詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない:
例1:水を添加するN−(4−アジドブチル)−1,3−ジアミノプロパンの製造およびN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩としての沈殿
【化3】

【0026】
ジメチルスルホキシド455ml中のアジ化ナトリウム27.1gに室温で1−ブロモ−4−クロロブタン65gを供給した。室温で一夜攪拌した後に懸濁液が生じ、これにヘキサン250mlおよび水455mlを添加した。相分離の後で水相をさらにヘキサン125mlで抽出した。合した有機相を水250mlで洗浄し、かつ1,3−ジアミノプロパン140.5gを添加した。水40mlを計量供給した後に、ヘキサンを真空下に35℃で留去し、かつ混合物を35℃でさらに5時間攪拌した。冷却した反応混合物を順次、トルエン390mlおよび130mlで抽出した。トルエン抽出液515.5gが得られた。トルエン相250gから1,3−ジアミノプロパンの主要量を分析により測定される含有率に相応して、メタンスルホン酸16.9gを添加することにより1,3−プロパンジアンモニウムメタンスルホン酸塩として分別沈殿した。固体を濾別し、かつトルエン30mlで洗浄し、かつ乾燥させた。N−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩0.9質量%を含有する無色の固体24.2gが得られた。合した濾液からメタンスルホン酸22.3gの計量供給により主生成物が沈殿し、これを濾別し、かつトルエン30mlで洗浄し、かつそのつど30mlのイソプロパノールで2回洗浄した。固体の乾燥後にN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩39.6gが純度98.2質量%を有する無色の固体として(収率58%)得られた。濾液からメタンスルホン酸をさらに7.7g用いてpH3の酸性にし、固体を濾過し、トルエンおよびイソプロパノールで洗浄し、かつ乾燥させることによりN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩80.6質量%を有する生成物がさらに11.5g(収率14%)得られた。
【0027】
【表1】

融点(DSC):115℃;分解(DSC):217℃(開始)。
【0028】
警告:ヘキサン抽出液から溶剤を留去することにより単離した1−アジド−4−クロロブタンは4000J/gの極めて高い分解エネルギーを有しており、かつ衝撃に敏感である!
【0029】
例2:水を添加するN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアミンの製造およびN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩としての沈殿
ジメチルスルホキシド260ml中のアジ化ナトリウム27.1gに室温で1−ブロモ−4−クロロブタン65gを供給した。室温で一夜攪拌した後に懸濁液が生じ、これにヘキサン260mlおよび水260mlを添加した。相分離の後で水相をさらにヘキサン130mlで抽出した。合した有機相を水260mlで洗浄し、かつ1,3−ジアミノプロパン140.4gを添加した。水40mlを計量供給した後に、ヘキサンを真空下に35℃で留去し、かつ混合物を35℃でさらに4時間攪拌した。冷却した反応混合物を順次、トルエン390mlおよび130mlで抽出し、かつトルエン相からメタンスルホン酸120gを添加することにより生成物を沈殿した。固体をイソプロパノール130mlで洗浄し、熱いイソプロパノール730mlで抽出した。冷却した抽出液からN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩69.4gが純度95%を有する無色の固体として(収率56%)得られた。生成物をイソプロパノール/水から再結晶することによりさらに精製した。
【0030】
例3:水を含有する1,3−ジアミノプロパンを使用するN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアミンの製造およびN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩としての沈殿
ジメチルスルホキシド20ml中のアジ化ナトリウム1.9gに室温で1−ブロモ−4−クロロブタン5gを供給した。室温で一夜攪拌した後に懸濁液が生じ、これにヘキサン20mlおよび水20mlを添加した。相分離の後で水相をさらにヘキサン20mlで抽出した。合した有機相を水20mlで洗浄し、かつ水を約20質量%含有する1,3−ジアミノプロパン9.7gを添加した。混合物を室温で1時間攪拌し、35℃に加熱し、ヘキサンを真空下で留去し、かつ混合物を35℃でさらに4時間攪拌した。得られた濁った溶液をそのつどトルエン10mlを用いて2回抽出し、かつ生成物をメタンスルホン酸5.4gの添加によりトルエンから分別沈殿した。固体をアセトニトリルで洗浄し、イソプロパノール50mlで再結晶した。N−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩6.0gが純度98.4%を有する無色の固体として(収率56%)得られた。
【0031】
例4:N−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアミンの製造およびN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩の沈殿
ジメチルスルホキシド80ml中のアジ化ナトリウム8gに35℃で1−ブロモ−4−クロロブタン20gを供給した。35℃で2時間攪拌した後に懸濁液が生じ、これに室温に冷却した後にヘキサン77mlおよび水77mlを添加した。相分離の後で水相をさらにヘキサン40mlで抽出した。合した有機相を水80mlで洗浄し、かつ1,3−ジアミノプロパン43.2gを添加した。混合物を35℃に加熱し、ヘキサンを真空下で留去し、かつ混合物を35℃でさらに4時間攪拌した。その際に、無色の固体が晶出した。冷却した混合物をそのつどトルエン40mlで2回処理し、かつその際、主として1,3−プロパンジアミン塩酸塩からなる固体を分離した。生成物をメタンスルホン酸21.5gの添加によりトルエン相から沈殿した。固体を順次、トルエン25mlおよびイソプロパノール50mlで洗浄し、かつ熱いイソプロパノール450ml中にとった。不溶性の成分を濾別した。濾液の冷却後に、ここからN−(4−アジドブチル)−1,3−プロパンジアンモニウムビスメタンスルホン酸塩19.8gが純度90.8%を有する無色の固体として(収率56%)得られ、かつイソプロパノールから再結晶することによりさらに精製した。
【0032】
例5:4−アジドブチルアミン塩酸塩の製造
【化4】

【0033】
ジメチルスルホキシド175ml中のアジ化ナトリウム10gに、25〜28℃で1−ブロモ−4−クロロブタン25gを供給した。室温で一夜攪拌した後に、該混合物にヘキサン100mlおよび水175mlを添加し、分離した水相をヘキサン50mlで抽出し、かつ合した有機相を水100mlで洗浄した。ヘキサン中の1−アジド−4−クロロブタンの溶液113.4gが得られた。この溶液17.5gにブチルアミン3.3gおよびエタノール10mlを添加し、かつヘキサンを真空下に30℃で留去した。30℃で4時間攪拌した後に、反応混合物を真空下で濃縮し、かつ4−アジドジブチルアンモニウム塩酸塩をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン/メタノールにより精製した。4−アジドジブチルアンモニウム塩酸塩1.3g(収率28%)が無色の固体として得られた。
【0034】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジドアルキルアミンの製造方法において、第一工程で2つの異なった離核性の基を有する二官能性のアルカンをアジドと反応させて1の離核性の基を分離して一官能性のアジドアルカンにし、第二工程で一官能性のアジドアルカンをアミンと反応させて2つ目の離核性の基を分離してアジドアルキルアミンにすることを特徴とする、アジドアルキルアミンの製造方法。
【請求項2】
アミンが第一級アミンであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アジドがLi、Na、K、Rb、Csの群からの一価の金属を含有する金属アジドであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
アジドがBa、Zn、Alの群からの多価の金属を含有する金属アジドであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
アジドがアンモニウムアジドであり、その際、アンモニウム窒素の4つまでのH原子が有機基により置換されていてもよいことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
アジドが金属アジドまたは半金属アジドであり、その際、金属または半金属が有機置換基を有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
離核性の基が塩化物、臭化物、ヨウ化物またはスルホネートから選択されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
二官能性のアルカンとして、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、2−ブロモ−1−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロ−2,2−ジメトキシプロパン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、p−トルエンスルホン酸−2−クロロエチルエステル、メタンスルホン酸−2−クロロエチルエステル、p−トルエンスルホン酸−3−クロロプロピルエステルまたは2−(クロロメチル)−ベンジルブロミドを使用することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
方法の第一工程を極性溶剤中で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
方法の第一工程を、二官能性アルカンもアジドも少なくともそれぞれ1質量%まで可溶性である溶剤中で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
溶剤としてホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたはジエチレングリコールを使用することを特徴とする、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
一官能のアジドアルカンを無極性溶剤により第一工程の極性溶剤から抽出することを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
一官能性のアジドアルカンを抽出する際に、無極性溶剤の添加後にさらに水を添加することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
一官能性のアジドアルカンを純粋な物質として単離することなくアミンと反応させることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
方法の第二工程でアミンを1〜5000モル%の過剰で使用することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
方法の第二工程でアミンを10〜100モル%の過剰で使用することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アミンが1もしくは複数の別の官能基を有することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
アミンがジアミンであることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ジアミンを100〜1000モル%の過剰で使用することを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
アミンとの反応の前、反応中または反応後に水を添加するか、または水を含有するアミンを使用することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
反応の際に存在する水量が、アミンと水との全量に対して5〜90質量%であることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
反応の際に存在する水量が、アミンと水との全量に対して15〜50質量%であることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項23】
アジドアルキルアミンがN−(アジドアルキル)−ジアミノアルカンであり、かつ無極性溶剤を用いた抽出により過剰のアミンから分離することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
アジドアルキルアミンを酸の添加により沈殿させることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
アジドアルキルアミンを酸の添加により分別沈殿することを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
得られるアジドアルキルアミンを遊離塩基として、第二工程における反応の際に遊離する酸との塩として、または酸により沈殿した塩としてクロマトグラフィーにより精製することを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
得られるアジドアルキルアミンを蒸留により分離および/または精製することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−532505(P2007−532505A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506725(P2007−506725)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003655
【国際公開番号】WO2005/097736
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(597060405)デイナミート ノーベル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング エクスプロジーフシュトッフ− ウント ジステームテヒニク (5)
【氏名又は名称原語表記】Dynamit Nobel GmbH Explosivstoff− und Systemtechnik
【住所又は居所原語表記】Kalkstrasse 218,D−51377 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】