説明

アスコルビン酸誘導体含有乾燥粉末製剤

本発明は、良好な吸入性能を示すアスコルビン酸誘導体を含む乾燥粉末医薬製剤およびそれを含む乾燥粉末吸入器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥粉末吸入器において使用する乾燥粉末医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入器は、医薬品を気道に投与するための周知の装置である。それらは、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫および鼻炎のような呼吸器疾患の局所軽減のために一般的に使用されるだけでなく、この肺ルートはまた、鎮痛剤およびホルモンのような種々の医薬品を全身送達する可能性のある経路を提供する。呼吸器疾患の処置において、薬剤が標的臓器に直接作用するため、極く少量の活性成分を使用することが可能であり、それにより可能性のある副作用を最小化し得る。
【0003】
下部気道に到達できるためには、薬剤を、10マイクロメーター(μm)未満、好ましくは0.5〜6マイクロメーターの空気動力学的直径を有する微粉化された粒子または液滴で送達する必要がある。
【0004】
現在3タイプの装置がかかる送達に使用されている:乾燥粉末吸入器(DPI)、加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)およびネブライザー。
【0005】
ネブライザーは、薬剤の溶液または懸濁液から微粉エアロゾルを発生させ、次いでそれが吸入される。長い投与時間のために、ネブライザーは今日では主に病院での治療に、また吸入器を正しく使えない小児のために使用されている。
【0006】
乾燥粉末吸入器は、吸入用活性成分を含むエアロゾル雲を発生させるために揮発性噴射剤を使用する、加圧式定量噴霧吸入器の代替物を代表する。
【0007】
吸入用の微粉化粉末は軽く、塵状でふわふわしており、流動性が悪く、そのため、取り扱いおよび加工が困難であり、分散が困難であることが知られている。10マイクロメーター未満の直径の粒子の場合、静電引力およびファン・デル・ワールス力は一般に重力より大きく、その結果、この物質は凝集性である。かかる粉末は、大きな凝集塊の場合を除き、重力下での流動に抵抗する。分散性を維持しながら粉末取り扱い特性を改善する二つの主要な方法がある:小さい一次粒子を大きな緩い球体に凝集させるかまたは粗い担体粒子を小さい一次粒子に添加する(序列混合物(ordered mixture)を形成させるため)。それにも関わらず、乾燥粉末吸入器に組み込まれたいくつかの脱凝集手段が、呼吸用粒子のエアロゾルが形成され得るように分散を補助するために必要である。粒子径および分布、形状、結晶性、帯電性、化学組成および環境湿度のような粉末挙動に影響する多くの因子がある。これに対処するために、出発物質および工程に厳密な管理が必要である。
【0008】
数年にわたり、乾燥粉末製剤の流動性および分散性を改善するための種々の方法が示唆されている。序列混合物の担体表面上の高エネルギー“ホットスポット”の除去は、低く、より均一な粘着および凝集力をもたらし、それにより投与量の精度および微粉薬剤粒子の放出を改善する。この表面不能動化は、より滑らかな担体粒子を使用し、または薬学的不活性化合物(添加剤)の小粒子を担体表面に添加し、その後薬剤粒子をこの修飾した担体粒子に添加することにより行われる。現在まで最も一般的に使用されている担体はラクトースであるが、マンニトール、トレハロース、アミノ酸類および生分解性高分子のような他の賦形剤に変更するいくつかの実験的試みがなされている。
【0009】
乾燥粉末吸入器からの薬剤の微細粒子投与量(FPD)は、DPIの単回駆動後に放出される有効に送達可能な粒子径(すなわち5〜10μmを超えない空力学的直径)の薬剤量の尺度である。微細粒子画分(FPF)は、FPDが示す放出された薬物量のパーセンテージ(%)である。より多くの投与された薬剤が、それが有効となり得る部位である肺に到達するため、高いFPFが明らかに望ましい。
【0010】
添加剤の使用は、最初に公開されたPCT出願WO87/05213(Chiesi)に最初に記載され、そこでは、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたは安息香酸ナトリウムを含む賦形剤(ラクトース)の微粒剤が記載されている。これは粉末の流動性を改善し、その摩擦を減らし、それにより貯蔵部を有する型の乾燥粉末吸入器からの製剤の計量を改善した。
【0011】
微粉粒子画分(FPF)を改善するための添加剤の使用はKassem(London University Thesis, 1990)により実施され、そこで、ラクトース担体粒子に1.5%w/w ステアリン酸マグネシウムまたはAerosil 200(商品名)コロイド状二酸化ケイ素を混合することが、DPIからの硫酸サルブタモールのFPFを増加させることが示された。
【0012】
公開PCT出願WO96/23485は、活性成分と賦形剤粒子の間の接着力を調節するために、賦形剤が、アミノ酸類、リン脂質類または界面活性剤から選択される1個以上の化合物から成る抗付着または抗摩擦特性を有する添加剤と混合されている乾燥粉末医薬製剤の製法を記載する。この添加剤は、担体粒子の表面上に不連続な被覆を形成する粒子の形態であると述べられている。この添加剤の存在は、DPIの駆動により賦形剤粒子からの活性成分の小粒子の放出を促進し、微粉粒子画分の増加に繋がると述べられている。
【0013】
公開PCT出願WO00/53157は、担体粒子がミキサーを使用して極く低濃度(0.05%−0.5%w)の滑剤粒子でコーティングされている乾燥粉末医薬製剤を記載する。ステアリン酸マグネシウムは、この公開された出願で具体的に例示されている唯一の滑剤であるが、他の滑剤、例えばステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマラート、ステアリルアルコール、スクロースモノパルミタートおよび安息香酸ナトリウムも、使用する担体および薬剤のタイプによっては適切であり得ることが示唆されている。
【0014】
公開PCT出願WO01/05429は、90マイクロメーターより大きい粒子を水と共に、インテンシブ・ミキサーで混合中に噴霧することにより得た表面滑沢化担体粒子を記載する。滑剤、抗付着剤またはポリマーもまた担体上にコーティングされていてよく、それらは水/エタノール溶液へ溶解した後担体粒子へ噴霧することによって適用される。
【0015】
公開PCT出願WO2005/104712は:
a. DPIで対象に吸入により投与するのに適する、活性剤を含む粉末化活性剤組成物;および
b. スルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む解離性粉末化担体(ここで、該担体は、DPIからの活性剤の放出を助けるのに十分な量で存在する);
を含み、ここで
c. 該粉末化活性剤組成物は約37ミクロン未満の中央粒子径を有し;
d. 該担体は、約37〜約420ミクロンの中央粒子径を有し;
e. 活性剤とスルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、実質的に全ての薬剤がスルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体かしないように混合されており;そして
f. 該活性剤組成物は担体を介して分散される
吸入可能分散性乾燥粉末製剤を記載する。
【0016】
この出願は、包括的な用語で、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む解離性粉末化担体と共に使用することが可能な種々の化合物群/化合物および状態を記載している。
【0017】
公開PCT出願WO00/028979は、耐湿安定性を改善し、それにより、製剤を高い相対湿度で試験したときFPFを維持する目的で、吸入用乾燥粉末製剤におけるステアリン酸マグネシウムの使用を記載する。
【0018】
公開PCT出願WO02/043702は、乾燥粉末製剤におけるステアリン酸マグネシウムの使用が、薬剤の溶解性の遅延に適することを証明している。
【0019】
担体粒子をステアリン酸マグネシウムのような添加剤での処理するに際して、ステアリン酸マグネシウムは、ある種の化合物、例えば、酸性プロトンを含有する化合物またはアスピリン、多くのビタミン類および多くのアルカロイド塩類のような化合物と不適合(incompatible)である(Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2005) という不利益を有する。故に、乾燥粉末医薬製剤の微粉粒子画分を改善する別の方法に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0020】
本発明により、ある種のアスコルビン酸誘導体を含む乾燥粉末医薬製剤が、微粉粒子画分で測定して良好な吸入性能を示すことが判明した。
【0021】
さらに、アスコルビン酸誘導体の選択は、製剤の薬学的特性、例えば、薬物溶解性および化学安定性に影響し得る。呼吸器障害の処置において、例えば、急性喘息発作の予防または処置のためには、薬効の迅速な発現が有利である。
【0022】
アスコルビン酸の抗酸化剤特性は、医薬品および食品においてそれが安定剤として使用されており既知であることから、本発明の製剤は、化学分解に対する高度の安定性を有する利点も有する。
【0023】
本発明によって、それ故に、薬学的活性物質、賦形剤、およびアスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルとの反応産物である添加剤を含む、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤を提供する。
【0024】
本発明は、さらに、薬学的活性物質、賦形剤、およびアスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルとの反応産物である添加剤を含むが、該賦形剤がシクロデキストリンまたはそのいかなる誘導体(スルホアルキルエーテル誘導体を含む)でもない、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤を提供する。
【0025】
本発明はまた、微粉粒子投与量を増加させるための、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤における、アスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルとの反応産物である添加剤の使用も提供する。
【0026】
本発明は、なおさらに、アスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルとの反応産物である添加剤と混合された賦形剤を含む、乾燥粉末医薬製剤における使用に適する、担体物質を提供する。
【0027】
本発明の製剤において使用される製剤は、アスコルビン酸と飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18、またはC14−C18、またはC16−C18脂肪酸の反応産物であり、その例は、アスコルビルドデカノエート(ラウレート)、アスコルビルミリステート、アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルステアレートを含む。
【0028】
本発明の一態様において、添加剤はアスコルビルパルミテート、特に6−O−パルミトイル−L−アスコルビン酸である。
【0029】
他の態様において、添加剤は、アスコルビン酸と二塩基酸、例えばフマル酸、マレイン酸、コハク酸、マロン酸またはリンゴ酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステルの反応産物である。かかるモノエステル類の例は
【化1】

および
【化2】

を含む。
【0030】
さらに別の態様において、添加剤は、アスコルビン酸と直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、例えばロイシンの反応産物である。かかる置換アミノ酸類の例は
【化3】

を含む。
【0031】
なおさらに別の態様において、添加剤は、アスコルビン酸とヒドロキシ酸、例えば乳酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である。かかるエステル類の例は
【化4】

を含む。
【0032】
添加剤は、製剤の総重量に基づき、0.5〜15または20、例えば0.5または1または1.5または2または2.5または3または3.5または4または4.5〜5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または20重量パーセント(%w)の量で存在し得る。
【0033】
本発明の一態様において、添加剤は0.5%w以上2%w未満、例えば0.5〜1または1.5%wの量で存在する。
【0034】
他の態様において、添加剤は2を超えて10%wまで、例えば2.5〜3または3.5または4または4.5または5または6または7または8または9または10%wの量で存在する。
【0035】
さらなる態様において、添加剤は5〜10%w、特に10%wの量で存在する。
【0036】
如何なる理論にも拘束されないが、添加剤は、薬学的活性物質の粒子と賦形剤の粒子の間の接着力を低下させ、それによりエアロゾル化中の活性物質の脱凝集および分散を促進すると考えられる。
【0037】
賦形剤は、吸入に許容される任意の薬理学的に不活性な物質または物質の組み合わせを含む。使用し得る賦形剤の例は、糖類、例えばグルコース、ガラクトース、D−マンノース、アラビノース、ソルボース、ラクトース、マルトース、スクロースまたはトレハロース、および糖アルコール類、例えばマンニトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、ミオイノシトールおよびエリスリトールを含む。これらの化合物の溶媒和物(例えば水和物)も、存在するならば使用してよい。
【0038】
本発明の一態様において、賦形剤はラクトースまたはラクトース一水和物(特にα−ラクトース一水和物)またはそれらの混合物である。
本発明の他の態様において、賦形剤はエリスリトールである。
【0039】
賦形剤は、本発明の製剤中に、製剤の総重量に基づき、少なくとも70重量パーセント(%w)の量で、例えば70または80〜90または95または99%wの範囲で存在する。
【0040】
本発明の一態様において、賦形剤を80または81または82または83または84または85〜86または87または88または89または90または91または92または93または94または95または96または97または98または99%wの量で使用する。
【0041】
賦形剤粒子は、一般に、20マイクロメーター(μm)以上の質量中央径(MMD)、例えば20〜150マイクロメーター(μm)の範囲の質量中央径を有する。
【0042】
直接的にまたは再計算後に、幾何学的粒子径分布を得るために使用できる数種の粒度測定法が利用可能であり、例えば“Powder sampling and particle size measurement” by T. Allen, Elsevier, Netherlands, 2003を参照のこと。レーザー光散乱はかかる方法のほんの一例である。
【0043】
質量中央径は、粒子の50重量パーセントがその直径より小さく、50重量パーセントがそれより大きい粒子直径として定義される。
【0044】
微粉薬剤粒子の肺への送達のために、空気動力学的直径および微粉粒子投与量はより適切な指標であり、United States Pharmacopoeia 30, section <601>またはEur. Pharmacopoeia 5.8 section 2.9.18に記載の通り、インピンジャーを使用して測定できる。
【0045】
製剤成分の粒子径に関しては、しかしながら、幾何粒子径分布が適切であり、最も一般的に使用される。
【0046】
望むならば、本発明の製剤は、2種以上の賦形剤粒子径範囲を含み得る。例えば、賦形剤は異なる粒子径分布の2成分、微粉成分と粗製成分からなってよい。微粉成分は粗製成分と同じ物質であってよいが、異なる物質であってもよい。微粉成分は、製剤の総重量に基づき2〜20重量パーセント(%w)の範囲の量で使用してよく、20マイクロメーター(μm)以下の、例えば0.5〜20μm、特に2〜10μmの範囲のMMDを有してよく、他方で粗製成分は、30または50〜70、90または100マイクロメーター(μm)、例えば、30〜70μmの範囲のMMDを有してよい。
【0047】
“The Influence of Fine Excipient Particles on the Performance of Carrier-Based Dry Powder Inhalation Formulations”と題するPharmaceutical Research, 2006, 23(8), pages 1665 to 1674のレビュー文献に記載されている通り、担体を利用した乾燥粉末吸入系における少量の微粉粒子賦形剤の包含は、微粉粒子投与量の増加により製剤性能を高めるために十分に研究された技術である。
【0048】
薬学的活性物質は、吸入経路により投与するのに適する、乾燥粉末形態の任意の治療的分子であり得る。吸入経路により投与するために、活性物質の粒子は、一般に、5マイクロメーター(μm)以下、例えば0.1または0.5または1〜5μmの範囲のMMD、および特に3マイクロメーター(μm)以下、例えば0.1または0.5または1〜3μmの範囲のMMDを有する。望むサイズの活性物質の粒子は、例えば、製粉、または制御された沈殿、超臨界流体および噴霧乾燥法のような既知技術を使用した微粒子化により製造する。かかる既知技術は、例えば、Rasenackらの“Micron-size Drug Particles: Common and Novel Micronization Techniques”と題するPharmaceutical Development and Technology, (2004), 9(1), pages 1 to 13の文献に記載されている。
【0049】
使用し得る薬学的活性物質の例は、次のものを含む:
(a) グルココルチコステロイド、例えばブデソニド、フルチカゾン(例えばプロピオン酸エステルまたはフロ酸エステルとして)、モメタゾン(例えばフロ酸エステルとして)、ベクロメタゾン(例えば17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えばアセトニドとして)、フルニソリド、ゾチカゾン(zoticasone)、フルモキソニド(flumoxonide)、ロフレポニド、ST126、ロテプレドノール(例えばエタボナートとして)、エチプレドノール(etiprednol)(例えばジクロロアセテートとして)、ブチキソコート(例えばプロピオン酸エステルとして)、プレドニゾロン、プレドニゾン、チプレダン(tipredane)、WO2002/12265、WO2002/12266およびWO2002/88167に従うステロイドエステル類、例えば、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸類−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステルおよび6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸類−フルオロメチルエステル、およびDE4129535に従うステロイドエステル類;
(b) 長時間作用型β−アゴニスト、例えばサルメテロール、フォルモテロール、バンブテロール、カルモテロール、インダカテロール、GSK159797、ホルムアニリド誘導体、例えばWO2002/76933に記載の3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}−ブチル)−ベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えばWO2002/88167に記載の3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシ−メチル)フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、WO2003/042164およびWO2005/025555に記載のアリールアニリン化合物およびWO2004/032921に記載のインドール誘導体;および
(c) 抗コリン化合物、例えばイプラトロピウム(例えば臭化物として)、チオトロピウム(例えば臭化物として)、オキシトロピウム(例えば臭化物として)、トルテロジン、アクリジニウム(例えば臭化物として)、グリコピロニウム(例えば臭化物として)、SVT−40776、CHF4226およびUS2003/0055080に記載のキヌクリジン誘導体。
【0050】
薬学的活性物質は、適用可能であれば、塩、溶媒和物、または塩の溶媒和物の形または誘導体、例えばエステル誘導体の形でよい。
【0051】
さらに、薬学的活性物質は立体異性形態で存在できる可能性がある。本発明は、薬学的活性物質の全ての幾何および光学異性体(アトロプ異性体、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)およびラセミ体を含むその混合物の使用を包含することは理解されるべきである。互変異性体およびその混合物もまた本発明の一局面を構成する。エナンチオマー的に純粋な形が特に望ましい。
【0052】
本発明の乾燥粉末製剤はまたさらなる成分、例えば味遮蔽剤、甘味剤、帯電防止剤または吸収促進剤(例えばタウロコール酸ナトリウム)を含み得ることも認識されよう。かかる成分が存在するとき、それは、本組成物の総重量の10重量パーセント(%w)を超えない総量で存在する。
【0053】
本発明の乾燥粉末製剤は、薬学的活性物質、賦形剤、およびアスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤を混合することにより、一工程法で製造し得る。しかしながら、第一工程で賦形剤と添加剤を混合して混合物を形成させ、次いで、第二工程で、該第一工程からの混合物と薬学的活性物質を混合する、第二工程法に従うならば、有益な結果が得られる。
【0054】
本発明の一態様において、乾燥粉末製剤は
(1) 賦形剤の粗製成分と、アスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤を混合して、混合物を形成させ、そして
(2) 工程(1)で得た混合物と薬学的活性物質および、所望により、賦形剤の微粉成分を混合する
ことを含む方法により製造する。
【0055】
全ての種類のミキサー、例えば、タンブリング・ブレンダー、例えばTurbula blenderまたはBohle blender、プラネタリー・ブレンダー、インテンシブ・ミキサー(Fielder, Colette, Bohle)または加熱および/または真空発生手段を備えたインテンシブ・ミキサー(Colette, Zanchetta)を一工程または二工程法に使用できる。選択する混合時間および混合速度は、使用するブレンダーのタイプおよびバッチサイズを含む種々の因子による。混合時間は、一般に2分間〜120分間である。二工程方法において、工程1の混合時間は、好ましくは工程2の混合時間より長い。混合は、乾燥ないし中程度、すなわち、0〜60%相対的湿度(RH)の範囲のRH条件合下で行うのが適切であり、温度は0℃〜60℃、好ましくは5℃〜40℃であるのが適切である。
【0056】
任意の適当な乾燥粉末吸入器(DPI)を使用して、本発明の乾燥粉末製剤を送達し得る。DPIは“受動的”または呼吸作動型、または粉末が患者の吸入以外の幾つかの機構により、例えば、圧縮空気の内部供給により分散される“能動的”であり得る。現在、3タイプの受動的乾燥粉末吸入器が利用可能である:一投与量、多単位投与量または多投与量(貯蔵部)吸入器。一投与量装置において、個々の投与量が、通常カプセル内に提供され、使用前に吸入器に充填しなければならず、その例は、Spinhaler(登録商標)(Aventis)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、AeroliserTM (Novartis)、Inhalator(登録商標)(Boehringer) and Eclipse (Aventis)。多単位投与量吸入器は、多くの個々に包装された投与量を、複数ゼラチンカプセルとしてまたはブリスター内に含み、その例は、Diskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Aerohaler(登録商標)(Boehringer)およびHandihaler (登録商標)(Boehringer)装置を含む。多投与量装置において、薬剤は大量粉末貯蔵部に貯蔵され、そこから個々の投与量が定量され、その例は、Turbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Easyhaler(登録商標)(Orion)、Novolizer(登録商標)(ASTA Medica)、Clickhaler(登録商標)(Innovata Biomed)およびPulvinal(登録商標)(Chiesi)装置を含む。
【0057】
故に、本発明は、さらに、前記の通りの本発明の乾燥粉末製剤を含む、乾燥粉末吸入器、特に多単位投与量乾燥粉末吸入器を提供する。
【0058】
ここで、本発明を次の説明的実施例を参照してさらに記載する。
【実施例】
【0059】
実施例1
乾燥粉末製剤の製造
下記表1に示す薬剤ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)を含む製剤IからIXを、工程1および2を低相対的湿度(RH)条件、すなわち、30%RH未満で行った次の方法に従い製造した。8種の異なる添加剤を試験した:Sigma-Aldrich Company, U.K. から得たアスコルビルパルミテート(6−O−パルミトイル−L−アスコルビン酸、本発明の添加剤)、Sigma-Aldrich Company, U.K. から得たパルミチン酸(比較添加剤)、Faci, Italyから得たグリセリルモノステアレート(比較添加剤)、Peter Greven, Germanyから得たステアリン酸マグネシウム(比較添加剤)、Sisterna, Netherlandsから得たスクロースモノステアレートおよびスクロースモノパルミタート(比較添加剤)、アスコルビルオクタノエート(比較添加剤)およびアスコルビルドデカノエート(本発明の添加剤)。
【0060】
使用した賦形剤は、DMV International B.V., Veghel, Netherlandsから商品名“Respitose SV003”の下に販売されているラクトース(吸入グレート篩過ラクトース一水和物)であった。
各例のバッチサイズは200グラムであった。バッチ組成を表1に示す。
【0061】
工程1
Diosna P1-6インテンシブ・ミキサーに接続した1リットル混合容器に、ラクトース賦形剤の半量、続いて全ての添加剤を入れ、次いで残りのラクトース賦形剤半量を入れた。混合容器の中身を、1分間、500回転/分(rpm)混合した。ミキサーを開け、混合容器の上部の壁にある粉末をこすり落とした。混合を、1500rpmで、各7分間2回続け、これらの混合時間の間に混合容器の上部の壁からこすり落とした。次いでミキサーを開け、粉末が何らかの塊を含むならば、1.0mm篩(Retsch GmbH, Germanyから)を備えた篩いを使用して篩った。
【0062】
工程2
工程1で使用したものと同じミキサーで、5μm未満の質量中央径(MMD)を有する微粒子化BDPを、工程1で得られた混合物と、スプーンを使用して穏やかに混ぜ合わせた。得られた混合物を500rpmで1分間撹拌した。ミキサーを開け、混合容器の上部の壁の粉末をこすり落とした。混合を、1500rpmで、各7分間2回続け、これらの混合時間の間に混合容器の上部の壁からこすり落とした。得られた粉末製剤を、注意深くプラスチック容器に注ぎ、乾燥条件下で貯蔵した(相対的湿度約30%未満)。
【0063】
参照バッチ(製剤I)を製造するとき、工程1において添加剤の代わりに薬剤を添加し、工程2を省いた。
【表1】

全ての重量パーセントは製剤の総重量に基づく
【0064】
実施例2
微細粒子画分の測定
微粒子評価を、Next Generation Impactor, NGIを使用して分析した。このインパクターは薬局方、例えばEur. Pharmacopoeia(5.8 section 2.9.18, apparatus E)に記載され、そこで、種々の流速で使用するために、どのようにインパクターを設定し、操作し、そして較正するかの詳細が記載されている。
【0065】
垂直要素および水平要素を含む、L形円筒状チャネルから成る単純な基本型吸入器を使用した。加えて、粉末をこすり入れるための円筒孔を伴う支持があったが、この特性は使用しなかった。この装置をUSP入口を介してNext Generation Impactorに接続した。約5ミリグラム(mg)の粉末を、垂直チャネルから装置の湾曲部、すなわちL型チャネルの湾曲部に移した。次いで、気流パルス(下記参照)が装置を通して気流を活性化させ、湾曲部に位置する粉末を入れ、その後空気/粒子混合物がチャネルの水平要素を通って動き、Next Generation Impactorに入った。
【0066】
約5mgの各投与量を、該装置を通して、77l/分の流速で3.1秒間の気流パルスにより抜き出した。次いで、インパクター工程を、薬剤含量について分析し、微粉粒子投与量を得た。
【0067】
微粉粒子画分を、微粉粒子投与量/NGIに送達された投与量あたりの薬剤の総量として計算した。結果を表2に示す。アスコルビルパルミテート(本発明の製剤IV参照)の添加が、添加剤の無い参照製剤(製剤I)と比較して微粉粒子画分を劇的に増加させており、一方数種の添加剤(比較製剤II、III、VI、VIIおよびVIII参照)は微粉粒子画分を全く改善しないことが明らかである。ステアリン酸マグネシウム(これは文献から既知である;製剤V)の添加は、本発明に従いアスコルビルパルミテートを使用して得られたものの半分にも満たない微粉粒子画分の僅かな改善しか示さなかった。
【0068】
【表2】

【0069】
実施例3
表3に示す、5%w BDPおよび種々の量のアスコルビルパルミテート添加剤を含む本発明の乾燥粉末製剤を、上記実施例1に記載した方法に従い製造した。新規参照バッチ(製剤X)を、上記製剤Iと同じ方法で製造した。
【表3】

全ての重量パーセントは製剤の総重量に基づく
【0070】
表3における製剤の微粉粒子画分を実施例2に記載した方法に従い測定し、次の値を得た:
【表4】

全ての重量パーセントは製剤の総重量に基づく
【0071】
実施例4
表5に示す、5%wの硫酸サルブタモール(SBS)またはブデソニド(BUD)のいずれかと10%w アスコルビルパルミテート添加剤を含む本発明の乾燥粉末製剤を、上記実施例1に記載した方法に従い製造した。
【表5】

全ての重量パーセントは製剤の総重量に基づく
【0072】
表5の製剤における微粉粒子画分を実施例2に記載した方法に従い測定した。得られた結果を下記表6に示し、類似のBDP(実施例3からの製剤XおよびXV)を含む製剤で得られた結果と横に並べて比較する。
【表6】

全ての重量パーセントは製剤の総重量に基づく
【0073】
薬剤BDP、SBSおよびBUDの親油性/親水性は、互いにかなり異なる。ブデソニドは、幾分親油性薬剤であり、25℃で16μg/mlの水溶性を有し、BDPは非常に親油性薬剤であり、25℃で0.13μg/mlの水溶性を有し、他方でSBSは親水性の、非常に水溶性の薬剤である。
【0074】
表6の結果は、アスコルビルパルミテートの添加が、存在する薬剤のタイプと無関係に、乾燥粉末製剤の微粉粒子画分を顕著に改善することを明らかに示す。
【0075】
実施例5
乾燥粉末製剤を上記実施例1に記載した方法で製造し、それは、さらに、微粉賦形剤成分(5μmのMMDを有する微粒子化ラクトース一水和物粒子)を含んだ。本微粒子化ラクトース一水和物を、製剤の製造において微粒子化薬剤物質と同時に添加した。製造した製材の組成を表7に示す。
【表7】

【0076】
上記実施例2に記載の通り試験したときのこの3製剤の微粉粒子画分を、表8に示す。
【表8】

【0077】
実施例6
活性薬剤物質の速い溶解は、吸入薬剤の作用の急速な発生に必須である。この実施例において、3種の異なる製剤を、ベータ−アゴニスト硫酸サルブタモールを使用して溶解動態学に関して試験した。全製剤とも上記実施例1に従い製造した。第一の製剤は、添加剤を含まない参照バッチであり、他方第二および第三製剤は、それぞれ10%wのアスコルビルパルミテートおよび10%wのステアリン酸マグネシウムを含んだ。全組成を表9に示す。
【表9】

AP=アスコルビルパルミテート、MgSt=ステアリン酸マグネシウム
【0078】
溶解速度の決定について、溶解媒体のUV吸収の変化を測定する光ファイバー溶解システムを使用した(μDiss Profiler, Pion Inc. MA)。このシステムは、インサイチュ・サンプルプローブ、UV/DA検出システム(1検出器/1プローブ)およびUVランプと、サンプルホルダーアセンブリを含む、光学測定ユニットから成る。サンプルホルダーアセンブリは、ヒートブロックおよび磁気撹拌装置を備えた30mlバイアルのためのホルダーから成る。広い吸収間隔にわたる測定を容易にするために、プローブ装置のサイズ(すなわち溶解媒体における光学経路長)を調節することが可能である。本実験では、それを5mmに設定した。
【0079】
SBSの標準溶液を製造した。この物質を、該物質の溶解度が使用する溶解媒体に比較して顕著に高い溶媒に溶解した。これらの溶媒は、測定に使用した波長間隔でUV放射を吸収しない。このシステムを、溶解実験に使用したのと同じタイプの媒体に既知量の標準溶液を添加することにより較正した(1mM ドデシル硫酸ナトリウムを含むリン酸緩衝液 pH7)。典型的に、較正中の添加した標準溶液対溶解媒体の体積比は5%を超えてはならない。
【0080】
測定前に、全てのプローブを溶解媒体に浸し、バックグラウンド吸収を測定した。媒体を除去し、プローブを、秤量したサンプル粉末を含むサンプルバイアルに入れた。製剤の量を、SBSの総量が同じになるように選択した。1バイアル当たり16mgを製剤XIXおよびXXVIに使用し、1バイアルあたり8mgを製剤XXVに使用した。UV測定開始直後、20mlの溶解媒体を各サンプルバイアルに添加した。磁気撹拌子は、サンプルバイアルの底で、300±1rpmで連続的に撹拌していた。溶解を、塊濃度に変化がなくなるまで追跡した(すなわち全ての粒子が溶解したか、または溶解限界に到達したとき)。
【0081】
全ての分析をデュプリケートで行った。実験の間温度を37℃に設定した。270〜290nmの範囲の吸光度をSBS濃度の計算に使用した。アスコルビルパルミテートがSBSの吸光度と重複する顕著な吸収を有するため、SBSの溶解を解析するために製剤XIXについて220〜390nmの範囲の全波長においてUV吸収の多変量解析を行った。
【0082】
溶解試験の結果を、15秒および2分および4分後に溶解したSBSのパーセントとして表し、表10に示す。SBSが製剤XXVにおいて非常に急速に、そしてまた、アスコルビルパルミテート含有製剤である製剤XIXで比較的急速に溶解することが観察される。他方で、ステアリン酸マグネシウムを含む製剤XXVIでは、SBSの溶解は比較的遅い。
【表10】

2試験の平均

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的活性物質、賦形剤、およびアスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤を含む、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤。
【請求項2】
薬学的活性物質、賦形剤、およびアスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤を含むが、該賦形剤がシクロデキストリンまたはそのいかなる誘導体でもない、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤。
【請求項3】
添加剤がアスコルビン酸と飽和、直鎖C12−C18脂肪酸の反応産物である、請求項1または2に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項4】
添加剤がアスコルビルドデカノエート、アスコルビルミリステート、アスコルビルパルミテートまたはアスコルビルステアレートである、請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項5】
添加剤がアスコルビルパルミテートである、請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項6】
添加剤が製剤の総重量に基づき0.5〜10%wの量で存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項7】
賦形剤がグルコース、ガラクトース、D−マンノース、アラビノース、ソルボース、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、マンニトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、ミオイノシトールまたはエリスリトール、またはこれらの何れか一つの溶媒和物である、請求項1〜6のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項8】
賦形剤がラクトース一水和物である、請求項1〜7のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項9】
賦形剤がエリスリトールである、請求項1〜7のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項10】
薬学的活性物質がグルココルチコステロイド、長時間作用型βアゴニストまたは抗コリン化合物である、請求項1〜9のいずれかに記載の乾燥粉末製剤。
【請求項11】
微粉粒子投与量を増加させるための、吸入治療に使用するための乾燥粉末製剤における、アスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤の使用。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の乾燥粉末製剤を含む、乾燥粉末吸入器。
【請求項13】
吸入器が多単位投与量装置である、請求項12に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項14】
アスコルビン酸と(i)飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖C12−C18脂肪酸、(ii)二塩基酸の直鎖または分枝鎖C−C18アルキルまたはアルケニルモノエステル、(iii)直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルN−置換アミノ酸、または(iv)ヒドロキシ酸の直鎖または分枝鎖C10−C18アルカノイルまたはアルケノイルエステルの反応産物である添加剤と混合された賦形剤を含む、乾燥粉末医薬製剤における使用に適する、担体物質。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の乾燥粉末製剤の製造方法であって、第一工程で賦形剤および添加剤を混合して混合物を形成させ、次いで、第二工程で、該第一工程からの混合物と薬学的活性物質を混合することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−503058(P2011−503058A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533040(P2010−533040)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051265
【国際公開番号】WO2009/061273
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】