説明

アスファルト混合物の室内透水試験器

【課題】 透水円筒モールドに透水円筒カラーを簡単に着脱させかつ確実に水密結合させるアスファルト混合物の室内透水試験器を提供する。
【解決手段】 アスファルト混合物の室内透水試験器は測定水取出し口(1)を有する越流水槽(2)と、越流口(4)を有する透水円筒カラー(5)と、供試体(a)を配置させる透水円筒モールド(6)と、水槽(2)の底面に配置させる支持脚(7)とから構成されている。透水円筒モールド(6)を高さ調整可能にした支持脚(7)に着脱可能に支持させ、透水円筒カラー(5)をOリング(8)を介在させて透水円筒モールド(6)に嵌合し、固定スプリング(11)により透水円筒カラー(5)を透水円筒モールド(6)に着脱可能に締付け固定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスファルト混合物の透水性を評価するために室内で使用するアスファルト混合物の室内透水試験器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装道路に用いられるアスファルト混合物は舗装道路に水が溜るのを防止するため透水性が大きいことが必要である。舗装道路のアスファルト混合物に対する性能評価のための試験方法は JIS A 1218 土の透水試験方法に規定され、そして透水試験を行う試験器具についてはその一例が平成19年6月、社団法人日本道路協会、「舗装調査・試験法便覧」第(3〕−120頁に示されている。該舗装調査・試験法便覧に示されている透水試験器はアスファルト混合物の供試体を配置させかつ給水を流通させる多孔性底板を有する透水円筒と、該透水円筒に水密的に結合させかつ上部からの給水を越流させる越流口を備えた透水円筒カラーと、透水円筒を支持するための支持脚と、前記透水円筒と透水円筒カラーを備えた支持脚を配置させかつ透水円筒の多孔性底板から流出した給水を排出させる測定水取出し口を備えた越流水槽とから構成されている。
【0003】
【非特許文献1】社団法人日本道路協会、平成19年6月「舗装調査・試験法便覧」、第(3〕−120頁及び第〔3〕−121頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の透水試験器は透水円筒に透水円筒カラーを水密的に結合させるために、透水円筒から透水円筒カラーを取り外すのに時間がかかり、次のアスファルト混合物の試験を行うのに透水円筒から透水円筒カラーを取り外すのが煩わしい作業となっており、また透水円筒カラーからの給水の注入圧力を変えることができるように水槽の測定取出し口と透水円筒カラーの越流口との高さを可変できる構造を有していない。
【0005】
本発明の目的は透水円筒モールドに透水円筒カラーを簡単に着脱させかつ確実に水密結合させると共に透水円筒カラーの越流口と水槽の測定水取出し口との高さを可変できる構造を備えたアスファルト混合物の室内透水試験器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるアスファルト混合物の室内透水試験器は測定水取出し口を有する越流水槽と、越流口を有する透水円筒カラーと、アスファルト混合物の供試体を配置させる透水円筒モールドと、水槽の底面に配置させる支持脚とから構成され、水槽の測定水取出し口と透水円筒カラーの越流口との高さを可変できるように高さ調整可能にした支持脚に透水円筒モールドを着脱可能に支持させ、透水円筒カラーをOリングを介在させて透水円筒モールドに嵌合し、固定スプリングにより透水円筒カラーを透水円筒モールドに着脱可能に締付け固定したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は固定スプリングにより透水円筒カラーを透水円筒モールドに締付け固定するものであるから、透水円筒カラーと透水円筒モールドとの着脱が容易であり、またOリングを介在させて透水円筒カラーを透水円筒モールドに固定するものであるから、漏水することのない確実な水密結合が得られ、更に支持脚に備えた高さ調整スリーブを介して透水円筒モールドを支持脚に支持させるものであるから、透水円筒カラーからの給水の注入圧力を変えることができるように水槽の測定水取出し口と透水円筒カラーの越流口との高さを簡単に可変調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図示した本発明のアスファルト混合物の室内透水試験器は測定水取出し口1を有する越流水槽2と、越流口4を有する透明アクリル材製の透水円筒カラー5と、該透水円筒カラー5を水密的に結合させかつアスファルト混合物の供試体aを配置させるステンレス製の透水円筒モールド6と、該透水円筒モールド6を支持すると共に越流水槽2の底面に配置させる支持脚7とを有している。
【0009】
透水円筒カラー5にはその底部にOリング8を内装したアクリル材製のカラー底板9を取付け、該カラー底板9を有する透水円筒カラー5は透水円筒モールド6と同じ内径を有し、カラー底板9をOリング8を介して透水円筒モールド6の上端に嵌合させ、内周面を面一にして透水円筒モールド6と水密的に結合するようにしてある。透水円筒カラー5のカラー底板9はその外周に一定間隔に配置させた3つの突出片10を突設させ、各突出片10の上面にはナイロン製チューブで被覆した固定スプリング11の円形端部が係合する係合凹部12を刻設してある。
【0010】
透水円筒モールド6はその底部にステンレス製のモールド底板13を取付け、モールド底板13には供試体aを支持しかつ給水を流出するためにその底部に多数の孔を穿設した多孔板を備えるか又は金網を取付けてある。透水円筒モールド6のモールド底板13はその外周に一定間隔に配置した3つの切欠部14と3つの係合孔15をそれぞれ形成し、各切欠部14にはボルト16で固定スプリング11の一端をモールド底板13に回動可能に取付けてある。固定スプリング11はモールド底板13に取付けた一端を中心に回動させ、その他端の円形端部をカラー底板9に刻設した係合凹部12に係合させることにより、透水円筒モールド6に嵌合させた透水円筒カラー5を締付けて水密的に固定させることができ、また固定スプリング11の円形端部に指を挿入して固定方向と反対の方向に引張り、固定スプリング11の円形端部をカラー底板9の係合凹部12から離脱するように固定スプリング11を回動させてカラー底板9から取り外すことにより透水円筒カラー5を透水円筒モールド6から簡単に取り外すことができる。モールド底板13に形成した係合孔15には支持脚7に備えた目盛付き脚部材17を挿入させ、支持脚7が透水円筒モールド6を所定の高さに支持できるようになっている。
【0011】
支持脚7はリング状の定盤18と、該定盤18に一定間隔に取付けた3つの目盛付き脚部材17と、各目盛付き脚部材17に嵌合させた高さ調整スリーブ19とから構成され、各調整スリーブ19をボルト20により各目盛付き脚部材17の目盛に合せて所定位置に固定させ、該脚部材17を透水円筒モールド6のモールド底板14に形成した係合孔15に嵌挿し、調整スリーブ19により透水円筒モールド6を支持脚7の目盛付き脚部材17に支持させることにより、透水円筒モールド6を高さ調整可能に支持脚7に固定することができ、それにより透水円筒カラー5からの給水の注入圧力を変えることができるように水槽2の測定水取出し口1と透水円筒カラー5の越流口4との高さを可変調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による透水試験器の透水円筒カラーを取付けた状態を示す一部縦断正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 測定水取出し口
2 越流水槽
4 越流口
5 透水円筒カラー
6 透水円筒モールド
7 支持脚
8 Oリング
9 カラー底板
10 突出片
11 固定スプリング
12 係合凹部
13 モールド底板
14 切欠部
15 係合孔
16 ボルト
17 目盛付き脚部材
18 定盤
19 高さ調整スリーブ
20 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定水取出し口を有する越流水槽と、越流口を有する透水円筒カラーと、アスファルト混合物の供試体を配置させる透水円筒モールドと、越流水槽の底面に配置させる支持脚とから構成し、透水円筒モールドを高さ調整可能にした支持脚に着脱可能に支持させ、透水円筒カラーをOリングを介在させて透水円筒モールドに嵌合し、固定スプリングにより透水円筒カラーを透水円筒モールドに着脱可能に締付け固定することを特徴とするアスファルト混合物の室内透水試験器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−36616(P2009−36616A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200765(P2007−200765)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(500580600)株式会社サントップテクノ (1)