説明

アルキル(ジアリール)ボランの製造方法

【課題】簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である、アルキル(ジアリール)ボランの新規な製造方法を提供すること。
【解決手段】下記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレート化合物を加熱することにより、アリール基を優先的に脱離させることを特徴とする、下記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを製造する方法。Ar2BR1…(I)Ar3-1
・X+…(II)(式中、Arは、置換していてもよいアリール基または複素環基を表し
、R1は、置換していてもよいアルキル基またはアラルキル基を表し、X+は、カウンターカチオンを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル(ジアリール)ボランの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、殺菌剤、殺黴剤および防汚剤などの有効成分として用いられるアミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体の原料などに用いられるアルキル(ジアリール)ボランの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル(ジアリール)ボランは、アミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体の原料として有用な化合物である。アミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体は、殺菌剤、殺黴剤および防汚剤などに使用され、中でも特に有害水中生物防除剤、水中防汚塗料および漁網処理剤に配合して用いられる、低毒性で長期にわたって優れた防汚効果を示す化合物として注目されている(特許文献1〜11)。
【0003】
しかも、アミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体は、その類縁化合物であるアミン・トリアリールボラン錯体と比較しても、有害水中動物・植物およびスライムに対する防除効果が高く、さらにその効果が長時間にわたり持続する(特許文献5および9を参照)。したがって、その原料であるアルキル(ジアリール)ボランはトリアリールボランより有用な化合物として近年注目を集めている。
【0004】
アルキル(ジアリール)ボランの製造方法としては、以下のものが知られているが、いずれも本願発明とは異なる置換基交換反応による製造方法である。
(a)下記反応式(A)で示されるとおり、下記式(1)で表されるアルキルジハロホウ素を、下記式(2)で表されるアリール金属と反応させることにより、下記式(3)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを製造する方法(収率55%、非特許文献1)。
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、R1は、メチル基またはエチル基を、X1は、塩素または臭素を、Ar1は、フェ
ニル基、2−チエニル基または2−(N−メチルピロリル基)を、Mは、スズまたはリチウムを、それぞれ表わす。)
(b)下記反応式(B)で示されるとおり、下記式(4)で表されるジアリールボリン酸エステルをリチウムアルミニウムハイドライドで還元して得られた下記式(5)で表されるジフェニルボランと、下記式(6)で表されるオレフィンとを反応させることにより、下記式(7)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを製造する方法(収率56%、非特許文献2)。
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、R2は、メチル基またはエチル基を表し、R3CH=CR45は、1−オクテン、シクロペンテン、2−メチル−1−ブテンまたは4−ビニルシクロヘキセンを表わす。なお、R3CH=CR45が、4−ビニルシクロヘキセンの場合、R3は、水素を表し、R4
およびR5は結合して−CH2CH=CHCH2CH2−を表わす。)
(c)下記反応式(C)で示されるとおり、下記式(8)で表されるカテコールボランに、下記式(9)で表されるグリニャール試薬を反応させることにより、下記式(10)で表されるボランを製造する方法(非特許文献3)。
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、R6およびR7は、それぞれ独立に、エチル基、ブチル基またはフェニル基を表し、X2は、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。)
(d)下記反応式(D)で示されるとおり、下記式(11)で表されるトリアルキルボランに下記式(12)で表されるフェニルマグネシウムクロライドを反応させることにより、下記式(13)で表されるボランを製造する方法(非特許文献4)。
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R8は、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−
ペンチル基またはイソペンチル基を表し、nは、1〜3の整数を表わす。)
(e)下記反応式(E)で示されるとおり、下記式(14)で表されるジアリールホウ酸エタノールアミンエステルを、下記式(15)で表されるアルキルマグネシウムハライ
ドと反応させて下記式(16)で表されるアミン・ボランを製造する方法(非特許文献5)。
【0013】
【化5】

【0014】
(式中、R9は、エチル基、プロピル基またはフェネチル基を表わす。)
ここで得られた下記式(16)で表されるアミン・ボランが、酸により中和させることによって、アルキル(ジフェニル)ボランに容易に変換させることができる。
【0015】
しかしながら、上記(a)の方法では、反応が遅いために、Ar1が1分子しか導入さ
れていないR1Ar1BX1との混合物として得られ、そのために精製工程が必要となるこ
と、有害な有機スズ化合物を使用しなければならない場合があること、また原料化合物であるアルキルジハロホウ素(1)の選択的な合成が難しいこと、などの問題がある。
【0016】
また、上記(b)の方法では、大気中で容易に分解して水素を発生するリチウムアルミニウムハイドライドを使用しなければならないこと、原料化合物であるジアリールボリン酸エステルの収率が低いこと、またオレフィンを使用するためにメチル基を導入することが出来ないこと、などの問題がある。
【0017】
上記(c)の方法では、R7がフェニル基である場合、上記式(10)で表される化合
物の収率が50〜53%と低いことと、原料化合物である上記式(8)で表されるカテコールボランが高価であること、などの問題がある。
【0018】
上記(d)の方法では、アルキル(ジフェニル)ボランの選択性が低いため、収率が低いこと、よって精製工程が必要となること、などの問題がある。
上記(e)の方法では、上記式(14)で表される化合物の合成収率が低いこと、劇物であるエタノールアミンを使用しなければならないこと、保護基として使用したエタノールアミンの回収が難しいためコスト面においても不利であること、などの問題がある。
【0019】
よって、上記(a)〜(e)の方法のいずれも、工業的にアルキル(ジアリール)ボランを製造するには満足できる方法ではなかった。
一方、トリアリールボランの製造方法として以下のものが知られている。すなわち、下記反応式(F)で示されるとおり、下記式(17)で表されるテトラアリールボレートのアルカリ金属塩に、下記(18)の無機酸または有機酸を反応させることにより、1個のアリール基を脱離させて下記式(19)で表されるトリアリールボランを製造する方法である(特許文献12)。
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、Ar2は、アリール基または複素環基を表し、Mは、アルカリ金属を示す。)
しかし、トリアリールモノアルキルボレートから選択的にアリール基が脱離することは、これまで知られていない。
【特許文献1】米国特許第4983589号明細書
【特許文献2】特開平5−170775号公報
【特許文献3】特開平7−138265号公報
【特許文献4】国際公開WO97/42823号パンフレット
【特許文献5】特開平9−323909号公報
【特許文献6】米国特許第5958900号明細書
【特許文献7】特開2003−20375号公報
【特許文献8】特開2004−307764号公報
【特許文献9】特開2005−60510号公報
【特許文献10】特開2005−307193号公報
【特許文献11】国際公開WO2006/087356号パンフレット
【特許文献12】特許第3618515号明細書
【非特許文献1】Chemische Berichte、第109巻(1976年)第1075頁〜第1088頁
【非特許文献2】J.Organometal.Chem.、第156巻(1978年)第101頁〜第110頁
【非特許文献3】Gazzetta Chimica Italiana、第102巻(1972年)第555頁〜第557頁
【非特許文献4】Zhurnal Obshchei Khimii、第34巻(1964年)第2910頁〜第2911頁
【非特許文献5】Bulletin de la Societe Chimique de France、(1966年)第1981頁〜第1992頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である、アルキル(ジアリール)ボランの新規な製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、アルキル(ジアリール)ボランを簡便な操作により高収率かつ高純度で、工業的に有利である新規な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0024】
すなわち、本発明は以下に記載した事項により特定される。
本発明は、下記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレート化合物を25℃以上に加熱することにより、アリール基を優先的に脱離させる下記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランの製造方法を特徴とするものである。
【0025】
Ar2BR1 …(I)
Ar3-1・X+ …(II)
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基または複素環基を表し、R1は、置換し
ていてもよいアルキル基またはアラルキル基を表し、X+は、カウンターカチオンを表す
。)
また、本発明は、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレート化合物とプロトン源とを反応させることにより、アリール基を優先的に脱離させる、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランの製造方法を特徴とするものである。
【0026】
上記プロトン源は、酸、水、アルコール類またはこれらの混合物であることが好ましい。
さらに、上記X+は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたは下記式
(III)で表わされるアンモニウムカチオンであってもよい。
【0027】
HN+234 …(III)
(式中、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換していてもよい
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。なお、R3およびR4は、置換していてもよい環をともに形成してもよく、またR2、R3およびR4は、置換していてもよい複素環をともに形成してもよい。)
【発明の効果】
【0028】
本発明は、殺菌剤、殺黴剤および防汚剤などの優れた防汚効果を有するアミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体の原料などに用いられるアルキル(ジアリール)ボランを、簡便な操作により高選択率かつ高収率で、工業的に有利である新規な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るアルキル(ジアリール)ボランの製造方法について、具体的に説明する。
アルキル(ジアリール)ボラン(I)の合成経路は、下記反応式(G)に示すとおりである。
【0030】
【化7】

【0031】
式中、Arは、置換していてもよいアリール基または複素環基を表し、R1は、置換し
ていてもよいアルキル基またはアラルキル基を表し、X+は、カウンターカチオンを表す

【0032】
すなわち、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートを溶媒に溶解または懸濁させ、25℃以上に加熱することにより上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを含む反応溶液を得る。
【0033】
また、本発明の製造方法は、プロトン源を加えることで反応が促進され、下記反応式(H)に示す合成経路により上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを得る

【0034】
【化8】

【0035】
式中、Ar、R1およびX+は、上記反応式(G)中のAr、R1およびX+と同様であり、Yは、酸残基を表す。
すなわち、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートと上記式(IV)で表されるプロトン源とを溶媒に溶解または懸濁させながら反応させることにより、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを含む反応溶液を得る。
【0036】
上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを含む反応溶液は、中性〜塩基性に調整した後、溶媒を留去することにより、目的とする上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランが得られる。
【0037】
また、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランは、反応溶液より強塩基水溶液に抽出することもできる。
さらに、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランを含む反応溶液に、トリエチルアミン、オクタデシルアミン、ピリジン等のアミンを加えることにより、アミン・アルキル(ジアリール)ボラン錯体の結晶として単離することもできる。
【0038】
上記Arで表される、置換していてもよいアリール基または複素環基としては次のものが挙げられる。
置換していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−スチリル基、3−スチリル基、4−スチリル基、2−エチニルフェニル基、3−エチニルフェニル基、4−エチニルフェニル基、メシチル基、1,3,4−トリメチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−(3−ブテニル)フェニル基、2−(2−メチル−1−ブテニル)フェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチル−3−ビフェニル基、9H−フルオレン−2−イル基、4−オクチルフェニル基、4−(フェニルエチニル)フェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−クロロ−2−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−(クロロメチル)フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、
【0039】
2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基、4−フルオロ−3−メチルフェニル基、5−フルオロ−2−メチルフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3−フルオロ−4−tert−ブチルフェニル基、4−フルオロ−3−ビフェニル基、2−フルオロ−4−ビフェニル基、2−クロロ−3−フルオロフェニル基、3−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−クロロ−2−フルオロフェニル基、4−クロロ−3−フルオロフェニル基、2,5−ジクロロ−3−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−メトキシ−2−メチルフェニル基、4−メトキシ−3−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル基、4−プロポキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2−tert−ブトキシフェニル基、3−tert−ブトキシフェニル基、4−tert−ブトキシフェニル基、4−(2−エトキシエトキシ)フェニル基、2−tert−ブトキシ−4−メチルフェニル基、2−tert−ブトキシ−5−メチルフェニル基、4−tert−ブトキシ−2−メチルフェニル基、3−(ジエトキシメチル)フェニル基、
【0040】
4−ヘキシルオキシフェニル基、4−tert−ブトキシ−2,6−ジメチルフェニル基、4−tert−ブトキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、4−ヘプチルフェニル基、2−(フェノキシメチル)フェニル基、3−(フェノキシメチル)フェニル基、2,4−ジ−tert−ブトキシフェニル基、4−tert−ブトキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェニル基、4’−tert−ブトキシ−4−ビフェニル基、3−ベンジル−4−tert−ブトキシフェニル基、4−tert−ブトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、5−クロロ−2−メトキシフェニル基、4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル基、2−(2−クロロエトキシ)−3,5−ジフルオロフェニル基、2−tert−ブトキシ−3−クロロフェニル基、2−tert−ブトキシ−5−クロロフェニル基、4−tert−ブトキシ−3−クロロフェニル基、2−tert−ブトキシ−5−フルオロフェニル基、2−tert−ブトキシ−4−フルオロフェニル基、4−tert−ブトキシ−3−フルオロフェニル基、5−tert−ブトキシ−2−フルオロフェニル基、4−tert−ブトキシ−3−クロロ−5−メチルフェニル基、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、4−フルオロ−2−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、5−フルオロ−2−メトキシフェニル基、2,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル基、4−(ジフルオロメトキシ)フェニル基、3−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、2−メチルチオフェニル基、4−メチルチオフェニル基、2−(2−フリル)フェニル基、3−(2−フリル)フェニル基、4−(2−フリル)フェニル基、2−(2−チエニル)フェニル基、4−(2−チエニル)フェニル基、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、1−(クロロ
メチル)−2−メトキシ−6−ナフチル基、2−tert−ブトキシ−1−ナフチル基、4−tert−ブトキシ−1−ナフチル基、6−tert−ブトキシ−2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基等が挙げられる。
【0041】
置換していてもよい複素環基としては、それぞれ同じでも異なっていてもよい1〜4個の酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含む5員環もしくは6員環の複素環、または該複素環とベンゼン環との縮合環であってもよく、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、1−メチル−2−ピラゾリル基、1−メチル−2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−メチル−2−トリアゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−イソキノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−フェナントロリル基、3−フェナントロリル基、4−フェナントロリル基、5−フェナントロリル基、2−オキサゾリル基、3−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基等が挙げられる。
【0042】
また、上記R1で表される、置換していてもよいアルキル基およびアラルキル基として
は次のものが挙げられる。
置換していてもよいアルキル基としては、置換していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基、炭素原子数3〜20の分岐状アルキル基、炭素原子数3〜20の環状アルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデカニル基、ラウリル基(ドデシル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−メチルウンデカニル基、シクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、1,2−ジメチルシクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、2,3−ジメチルシクロプロピル基、2,4−ジメチルシクロプロピル基、3,3−ジメチルシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、(1−メチルシクロプロピル)メチル基、(2−メチルシクロプロピル)メチル基、1−シクロプロピルエチル基、2−シクロプロピルエチル基、(1,2−ジメチルシクロプロピル)メチル基、
【0043】
(2,2−ジメチルシクロプロピル)メチル基、(1−エチルシクロプロピル)メチル基、(2−エチルシクロプロピル)メチル基、1−(1’−メチルシクロプロピル)エチル基、1−(2’−メチルシクロプロピル)エチル基、2−(1’−メチルシクロプロピル)エチル基、2−(2’−メチルシクロプロピル)エチル基、1−シクロプロピルプロピル基、2−シクロプロピルプロピル基、3−シクロプロピルプロピル基、1,2,2−トリメチルシクロプロピル基、1,2,3−トリメチルシクロプロピル基、2,2,3−トリメチルシクロプロピル基、1−エチル−2−メチルシクロプロピル基、2−エチル−1−メチルシクロプロピル基、2−エチル−2−メチルシクロプロピル基、1−プロピルシクロプロピル基、2−プロピルシクロプロピル基、シクロブチル基、1−メチルシクロブ
チル基、2−メチルシクロブチル基、3−メチルシクロブチル基、シクロブチルメチル基、(1−メチルシクロブチル)メチル基、(2−メチルシクロブチル)メチル基、(3−メチルシクロブチル)メチル基、1−シクロブチルエチル基、2−シクロブチルエチル基、1,2−ジメチルシクロブチル基、2,2−ジメチルシクロブチル基、2,3−ジメチルシクロブチル基、3,3−ジメチルシクロブチル基、1−エチルシクロブチル基、2−エチルシクロブチル基、3−エチルシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−メチルシクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−シクロヘキシルエチル基、メンチル基、シクロドデシル基、ビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、ビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、ビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イルメチル基、ビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イルメチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−1−イル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イル基、ビシクロ[1.1.1]ペンタ−1−イル基、ビシクロ[1.1.1]ペンタ−2−イル基、2−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、3−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、
【0044】
1−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、2−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、4−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、ビシクロ[1.1.1]ペンタ−1−イルメチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンタ−2−イルメチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−1−イルメチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イルメチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イルメチル基、(2−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル)メチル基、(3−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル)メチル基、(1−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル)メチル基、(2−メチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル)メチル基、1−(ビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル)エチル基、2−(ビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル)エチル基、1−(ビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル)エチル基、2−(ビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル)エチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキサ−1−イル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキサ−2−イル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキサ−5−イル基、ビシクロ[2.2.0]ヘキサ−1−イル基、ビシクロ[2.2.0]ヘキサ−2−イル基、2−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−1−イル基、5−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−1−イル基、1−ビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、2−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、3−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、4−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、5−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−2−イル基、1−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イル基、2−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イル基、5−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタ−5−イル基、2−メチルビシクロ[1.1.1]ペンタ−1−イル基、1−メチルビシクロ[1.1.1]ペンタ−2−イル基、2−メチルビシクロ[1.1.1]ペンタ−2−イル基、2,2−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、2,3−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、2,4−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−1−イル基、1,2−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、1,3−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、1,4−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、2,4−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、4,4−ジメチルビシクロ[1.1.0]ブタ−2−イル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、3,5−ジメチル−1−アダマンチル基、3−エチル−1−アダマンチル基、3,5,7−トリエチル−1−アダマンチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、1,1−ジク
ロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、1,1,2−トリクロロエチル基、1,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、
【0045】
1,1,2,2−テトラクロロエチル基、1,2,2,2−テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−クロロ−1−フルオロエチル基、1−クロロ−2−フルオロエチル基、2−クロロ−1−フルオロエチル基、2−クロロ−2−フルオロエチル基、1,1−ジクロロ−2−フルオロエチル基、1,2−ジクロロ−1−フルオロエチル基、1,2−ジクロロ−2−フルオロエチル基、2,2−ジクロロ−1−フルオロエチル基、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル基、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチル基、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチル基、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチル基、2−クロロ−1,2−ジフルオロエチル基、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル基、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエチル基、1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル基、2−クロロ−1,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエチル基、1,2,2−トリクロロ−1−フルオロエチル基、1,2,2−トリクロロ−2−フルオロエチル基、2,2,2−トリクロロ−1−フルオロエチル基、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエチル基、1,2−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエチル基、1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエチル基、1,2,2−トリクロロ−1,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロ−1,1−ジフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラクロロ−2−フルオロエチル基、1,2,2,2−テトラクロロ−1−フルオロエチル基、1−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、1−フルオロプロピル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、1−クロロブチル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチル基、
【0046】
1−フルオロブチル基、2−フルオロブチル基、3−フルオロブチル基、4−フルオロブチル基、5−クロロペンチル基、1−クロロ−1−メチルエチル基、2−クロロ−1−メチルエチル基、1−フルオロ−1−メチルエチル基、2−フルオロ−1−メチルエチル基、1−クロロシクロプロピル基、2−クロロシクロプロピル基、1−フルオロシクロプロピル基、2−フルオロシクロプロピル基、6−クロロヘキシル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、2−メトキシエチル基、2−メチルチオエチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、ジメトキシメチル基、ビス(メチルチオ)メチル基、1−メトキシプロピル基、1−メチルチオプロピル基、2−メトキシプロピル基、2−メチルチオプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−メチルチオプロピル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、2−エトキシエチル基、2−エチルチオエチル基、エトキシ(メトキシ)メチル基、プロポキシメチル基、プロピルチオメチル基、イソプロポキシメチル基、イソプロピルチオメチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1,1−ビス(メチルチオ)エチル基、1,2−ジメトキシエチル基、1,2−ビス(メチルチオ)エチル基、2,2−ジメトキシエチル基、2,2−ビス(メチルチオ)エチル基、1−(メトキシメトキシ)エチル基、1−(メトキシメチルチオ)エチル基、1−(メチルチオメトキシ)エチル基、1−(メチルチオメチ
ルチオ)エチル基、2−(メトキシメトキシ)エチル基、2−(メトキシメチルチオ)エチル基、2−(メチルチオメトキシ)エチル基、2−(メチルチオメチルチオ)エチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、(2−メトキシエチルチオ)メチル基、(2−メチルチオエトキシ)メチル基、(2−メチルチオエチルチオ)メチル基、(エトキシメトキシ)エチル基、エトキシ(メチルチオ)メチル基、エチルチオ(メトキシ)メチル基、エチルチオ(メチルチオ)メチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、1−メチルチオ−1−メチルエチル基、2−メトキシ−1−メチルエチル基、2−メチルチオ−1−メチルエチル基、1−メトキシシクロプロピル基、1−メチルチオシクロプロピル基、2−メトキシシクロプロピル基、2−メチルチオシクロプロピル基、4−メトキシブチル基、3−エトキシプロピル基、5−メトキシペンチル基、5−エトキシペンチル基、クロロ(メトキシ)メチル基、クロロ(メチルチオ)メチル基、ジクロロ(メトキシ)メチル基、ジクロロ(メチルチオ)メチル基、フルオロ(メトキシ)メチル基、フルオロ(メチルチオ)メチル基、ジフルオロ(メトキシ)メチル基、ジフルオロ(メチルチオ)メチル基、クロロ(フルオロ)(メトキシ)メチル基、クロロ(フルオロ)(メチルチオ)メチル基、(クロロメトキシ)メチル基、(クロロメチルチオ)メチル基、(ジクロロメトキシ)メチル基、(ジクロロメチルチオ)メチル基、(トリクロロメトキシ)メチル基、
【0047】
(トリクロロメチルチオ)メチル基、(フルオロメトキシ)メチル基、(フルオロメチルチオ)メチル基、(ジフルオロメトキシ)メチル基、(ジフルオロメチルチオ)メチル基、(トリフルオロメトキシ)メチル基、(トリフルオロメチルチオ)メチル基、[クロロ(フルオロ)メトキシ]メチル基、[クロロ(フルオロ)メチルチオ]メチル基、[ジクロロ(フルオロ)メトキシ]メチル基、[ジクロロ(フルオロ)メチルチオ]メチル基、[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]メチル基、[クロロ(ジフルオロ)メチルチオ]メチル基、2−(2−クロロフェノキシ)エチル基、2−(3−クロロフェノキシ)エチル基、2−(4−クロロフェノキシ)エチル基、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)エチル基、3−(2−クロロフェノキシ)プロピル基、3−(3−クロロフェノキシ)プロピル基、3−(4−クロロフェノキシ)プロピル基、3−(2,4−クロロフェノキシ)プロピル基、4−(2−クロロフェノキシ)ブチル基、4−(3−クロロフェノキシ)ブチル基、4−(4−クロロフェノキシ)ブチル基、4−(2,4−ジクロロフェノキシ)ブチル基、等が挙げられる。
【0048】
置換していてもよいアラルキル基としては、置換または無置換のフェニルアルキル基、ナフチルアルキル基、アントラセニルアルキル基、複素環アルキル基などであってもよく、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2−ビニルフェニル)メチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、1,1−ジメチル−1−フェニルメチル基、(4−イソプロピルフェニル)メチル基、1,1−ジメチル−2−(2−メチルフェニル)エチル基、1,1−ジメチル−2−(4−メチルフェニル)エチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(4−tert−ブチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、ジフェニルメチル基、[(2−フェニル)フェニル]メチル基、[(4−フェニル)フェニル]メチル基、(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メチル基、[2−(2−フェニルビニル)フェニル]メチル基、[4−(2−フェニルビニル)フェニル]メチル基、トリフェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、2−メチル−2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ベンゾシクロブテ−1−イル基、(2−クロロフェニル)メチル基、(3−クロロフェニル)メチル基、(2,3−ジクロロフェニル)メチル基、(2,6−ジクロロフェニル)メチル基、(3,4−ジクロロフェニル)メチル基、(2,3,6−トリクロロフェニル)メチル基、(2−フルオロフェニル
)メチル基、(3−フルオロフェニル)メチル基、(4−フルオロメチル)フェニル基、(2,3−ジフルオロフェニル)メチル基、(2,4−ジフルオロフェニル)メチル基、(2,5−ジフルオロフェニル)メチル基、(2,6−ジフルオロフェニル)メチル基、(3,4−ジフルオロフェニル)メチル基、(3,5−ジフルオロフェニル)メチル基、(2,3,6−トリフルオロフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)メチル基、(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル基、(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル基、(3−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル基、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)メチル基、(2−フルオロ−3−メチルフェニル)メチル基、[2−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル基、[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル基、[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル基、[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル基、1,1−ジメチル−2−(4−クロロフェニル)メチル基、(2−メトキシフェニル)メチル基、(3−メトキシフェニル)メチル基、(4−メトキシフェニル)メチル基、[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル基、[2−(2−チエニル)フェニル]メチル基、[3−(2−チエニル)フェニル]メチル基、[4−(2−チエニル)フェニル]メチル基、[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)フェニル]メチル基、[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)フェニル]メチル基、4,4'−ジフルオロジフェニルメチル基、(3−フェノキフェニル)
メチル基、[2−(フェノキシメチル)フェニル]メチル基、[3−(フェノキシメチル)フェニル]メチル基、1−(2'−フルオロビフェニル−4−イル)プロピル基、1−
ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−(2−メチルナフチル)メチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、1−(2−ナフチル)エチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、9−アントリルメチル基、フルフリル基、3−フロイル基、2−チエニルメチル基、[5−(トリフルオロメチル)−2−フリル]メチル基、(5−クロロ−3−ベンゾ[b]チエニル)メチル基、(3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イルメチル基、(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−7−イル)メチル基、9H−フルオレン−9−イル基等が挙げられる。
【0049】
また、上記X+で表されるカウンターカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アル
カリ土類金属カチオン、遷移金属カチオンまたは下記式(III)で表されるアンモニウムカチオンなどであってもよい。
【0050】
アルカリ金属カチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の一価のカチオンが挙げられる。
アルカリ土類金属カチオンとしては、マグネシウム、カルシウム等の一価または二価のカチオンが挙げられる。具体的には、クロロマグネシウムカチオン、ブロモマグネシウムカチオン、ヨードマグネシウムカチオン、マグネシウムジカチオン、クロロカルシウムカチオン、ブロモカルシウムカチオン、ヨードカルシウムカチオン、カルシウムジカチオン等が挙げられる。
【0051】
遷移金属カチオンとしては、例えば、鉄、銅、銀、亜鉛、アルミニウム等の一価〜三価のカチオンが挙げられる。
下記式(III)で表されるアンモニウムカチオンとしては、例えば、アンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム等のカチオンが挙げられる。
【0052】
HN+234 …(III)
(式中、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換していてもよい
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。なお
、R3およびR4は、置換していてもよい環をともに形成してもよく、またR2、R3およびR4は、置換していてもよい複素環をともに形成してもよい。)
上記R2、R3およびR4で表される、置換していてもよいアルキル基、アラルキル基お
よびアリール基としては、上記R1と同様である。また上記R2、R3およびR4で表される、置換していてもよいアルケニル基およびアルキニル基としては次のものが挙げられる。
【0053】
アルケニル基としては、炭素原子数2〜20の直鎖状アルケニル基、炭素原子数3〜20の分岐状アルケニル基、炭素原子数3〜20の環状アルケニル基などであってもよく、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、クロチル基(2−ブテニル基)、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタジエニル基、1,4−ペンタジエニル基、2,4−ペンタジエニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1,3−ヘキサジエニル基、1,4−ヘキサジエニル基、1,5−ヘキサジエニル基、2,4−ヘキサジエニル基、2,5−ヘキサジエニル基、3,5−ヘキサジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−メチルビニル基、1−メチルプロパ−1−エン−1−イル基、1−メチルアリル基、2−メチルプロパ−1−エン−1−イル基、2−メチルアリル基、1−メチレンプロパ−2−エン−1−イル基、1−メチルブタ−1−エン−1−イル基、1−メチルブタ−2−エン−1−イル基、1−メチルブタ−3−エン−1−イル基、2−メチルブタ−1−エン−1−基、2−メチルブタ−2−エン−1−イル基、2−メチルブタ−3−エン−1−イル基、3−メチルブタ−1−エン−1−イル基、3−メチルブタ−3−エン−1−イル基、1−メチレンブチル基、2−メチレンブチル基、1−エチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−メチレン−1−メチルプロピル基、1−メチレン−2−メチルプロピル基、2−メチレン−1−メチルプロピル基、2−メチレン−2−メチルプロピル基、1−メチレン−2−ブテニル基、1−メチレン−3−ブテニル基、2−メチレン−3−ブテニル基、2−メチル−2−メチレン−2−プロペニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、
【0054】
4−メチル−4−ペンテニル基、1−メチレンペンチル基、2−メチレンペンチル基、3−メチレンペンチル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1−エチリデンブチル基、1−ビニルブチル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、3,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−1,3−ペンタジエニル基、1−メチル−1,4−ペンタジエニル基、1−メチル−2,4−ペンタジエニル基、2−メチル−1,3−ペンタジエニル基、2−メチル−1,4−ペンタジエニル基、2−メチル−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−1,3−ペンタジエニル基、3−メチル−1,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2,4−ペンタジエニル基、4−メチル−1,3−ペンタジエニル基、4−メチル−1,4−ペンタジエニル基、4−メチル−2,4−ペンタジエニル基、1−メチレン−2−ペンテニル基、1−メチレン−3−ペン
テニル基、1−メチレン−4−ペンテニル基、2−メチレン−3−ペンテニル基、2−メチレン−4−ペンテニル基、3−メチレン−1−ペンテニル基、3−メチレン−4−ペンテニル基、1−エチル−1,3−ブタジエニル基、2−エチル−1,3−ブタジエニル基、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエニル基、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル基、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル基、1−エチリデン−2−ブテニル基、1−エチリデン−3−ブテニル基、2−エチリデン−3−ブテニル基、1−ビニル−3−ブテニル基、2−ビニル−3−ブテニル基、1−メチレン−2−メチル−2−ブテニル基、1−メチレン−2−メチル−3−ブテニル基、1−メチレン−3−メチル−2−ブテニル基、1−メチレン−3−メチル−3−ブテニル基、2−メチレン−1−メチル−3−ブテニル基、2−メチレン−3−メチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチレンブチル基、1−メチレン−2,4−ペンタジエニル基、3−メチレン−1,4−ペンタジエニル基、1−ビニル−1,3−ブタジエニル基、2−ビニル−1,3−ブタジエニル基、
【0055】
1,2−ジメチレン−3−ブテニル基、3,7−ジメチル−6−オクテニル基、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル基、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル基、1−シクロプロペニル基、2−シクロプロペニル基、(1−シクロプロペニル)メチル基、(2−シクロプロペニル)メチル基、1−シクロブテニル基、2−シクロブテニル基、2,3,3−トリフルオロ−1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、シクロヘキサ−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−7−イル基、ビシクロ[3.2.1]オクタ−1−エン−3−イル基、1−フェニルビニル基、2−フェニルビニル基、3−フェニル−2−プロペニル基、シンナミル基(3−フェニルプロパ−2−エン−1−イル基)、トリフェニルエチレン基、2−エトキシエチレン基等が挙げられる。
【0056】
アルキニル基としては、炭素原子数2〜10のアルキニル基であってもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,1−ジメチルプロパ−2−イン−1−イル基等が挙げられる。
【0057】
上記R3およびR4がともに形成してもよい、置換していてもよい環を有するアミン(III)として、具体的には、ピロリジン、ピロリン、ピロール、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾール、イミダゾリジン、イミダゾリン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドリン、インドール、イソインドリン、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、カルバゾール等が挙げられる。
【0058】
上記R2、R3およびR4がともに形成してもよい、置換していてもよい複素環を有する
アミン(III)として、具体的には、ピリジン、4−ピコリン、3−メチルピリジン、4−エチルピリジン、4−イソプロピルピリジン、3−ブチルピリジン、4−t−ブチルピリジン、4−ベンジルピリジン、4−ビニルピリジン、4−フェニルピリジン、4−アセチルピリジン、4−ベンゾイルピリジン、4−シアノピリジン、2,6−ジクロロピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、5,6,7,8−テトラメチルイソキノリン、5−ブロモイソキノリン、5−ニトロイソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、1,10−フェナントロリン、イミダゾリン、1−イソプロピルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、ピラゾリン、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン等が挙げられる。
【0059】
上記式(IV)で表されるプロトン源としては、酸、水、アルコール類またはこれらの混合物等が好ましい。
上記酸としては、鉱酸、有機酸などであってもよく、具体的には次のものが挙げられる

【0060】
鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硝酸、等が挙げられ、また有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、d−カンファースルホン酸等のスルホン酸類;フェノール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール等のフェノール類が挙げられる。
【0061】
上記アルコール類としては、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルコールであってもよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノール、4−メトキシブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、グリセロール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0062】
上記式(IV)で表されるプロトン源としては、これらの酸、水、アルコール類のようにプロトンの供与体となるものであればすべて使用できる。さらに、これらの化合物を混合して用いることもでき、上記化合物に限られない。
【0063】
上記反応式(G)および(H)において、溶媒を用いることが好ましい。
上記溶媒としては、エーテル、炭化水素(脂肪族または芳香族)、ケトン、エステル、アルコール、水等であってもよく、具体的には次のものが挙げられる。
【0064】
エーテルとしては、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチル−3,4,5−トリヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0065】
脂肪族炭化水素としては、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソール等が挙げられる。
【0066】
ケトンとしては、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル等が挙げられる。
【0067】
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
これら溶媒は、単独で用いてもよく、また混合して用いてもよい。
【0068】
上記式(IV)で表されるプロトン源は、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートに対して、通常等モル比以上の量を用いるが、好ましくはモル比で1.0〜3.0倍量の範囲であり、より好ましくはモル比で1.0〜1.5倍量の範囲である

【0069】
ただし、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランは酸性条件では分解しやすい化合物であるため、上記式(IV)で表されるプロトン源が酸の場合に限り、反応の進行を妨げない程度に少なくするほうがよい。具体的には、pHが0〜7の範囲となる量が良く、好ましくはpHが2〜7の範囲となる量が良く、より好ましくはpHが4〜7の範囲となる量がよい。
【0070】
また、上記式(IV)で表されるプロトン源として水または室温で液体のアルコール類を用いる場合は、量を増やして溶媒として使用してもよい。
なお、反応温度として、使用する原料によっても異なるが、上記反応式(G)においては、通常25〜200℃、好ましくは25〜150℃、より好ましくは25〜100℃である。一方、上記反応式(H)においては、10〜200℃、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは10〜100℃である。
【0071】
ただし、上記反応式(H)において、上記式(IV)で表されるプロトン源として酸を用いる場合のみ、その反応温度は、通常−78〜100℃である。上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランは、酸性条件下において分解しやすい化合物であるため、反応の進行を妨げない程度に反応温度を低く保つことが好ましい。この場合の反応温度は、具体的には、−78〜50℃が好ましく、−30〜10℃がより好ましく、−20〜10℃が特に好ましい。
【0072】
また、上記式(IV)で表されるプロトン源として、水またはアルコールを用いる場合は、上記温度範囲内において、これらのプロトン源を用いない場合より加熱温度を低めに設定する、あるいは加熱せず室温のまま反応させることも可能である。
【0073】
上記反応式(G)および(H)において、反応時間としては、反応温度および得られる目的物によっても異なるが、通常0.1〜24時間、好ましくは0.2〜10時間、特に好ましくは0.5〜5時間である。
【0074】
なお、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランは、酸化されやすい化合物であるため、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で反応させることが好ましい。
【0075】
上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートは、アミンと錯体を形成し安定化することができる。
また、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートは、下記反応式(J)に示す反応などにより容易に合成可能である。
【0076】
【化9】

【0077】
すなわち、トリアリールボラン(V)(式中、Arは、上記式(I)中のArと同様で
ある。)と、アルキル金属(VI)(式中、R1およびX+は、上記式(II)中のR1
よびX+と同様である。)とを反応させ、上記式(II)で表されるアルキル(トリアリ
ール)ボレートを合成することができる。また、X+で表されるカウンターカチオンは、
上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレートを合成後、交換させることもできる。
【0078】
このようにして得られるアルキル(ジアリール)ボラン(I)の具体例を表1に示す。表中のNMR物性値は、CDCl3溶媒中、ピリジン錯体として測定したものである。
【0079】
【表1−1】

【0080】
【表1−2】

【0081】
【表1−3】

【0082】
【表1−4】

【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、生成物の純度(%)
は液体クロマトグラフィー分析による面積百分率値である。
【0084】
〔実施例1:クロロマグネシウム・メチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたメチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置および温度計を取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに、クロロマグネシウム・メチル(トリフェニル)ボレート24.0g(50mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、ここに10%塩酸水73g(200mmol)を0〜10℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて0〜10℃で30分撹拌した。分液して得られた有機層を20%食塩水20mlで2回洗浄した後、20℃以下の温度で減圧濃縮し、さらに乾燥することでメチル(ジフェニル)ボランの白色結晶9.0g(収率99%、純度98%)を得た。
【0085】
メチル(ジフェニル)ボランは空気中容易に酸化されるため、ピリジンを加えて錯体として安定化させた後、物性を測定した。得られた物性は以下のとおりである。
融点:140℃
1H NMR (CDCl3): δ8.545 (2H, d, J=5.13 Hz), 7.963 (1H, t, J=7.59 Hz), 7.505 (2H, dd, J=7.59, 6.69 Hz), 7.10-7.26 (10H, m), 0.665 (3H, s)
13C NMR (CDCl3): δ146.8, 139.7, 133.1, 127.2, 125.1, 125.0
〔実施例2:クロロマグネシウム・メチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたメチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置、温度計および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに、クロロマグネシウム・メチル(トリフェニル)ボレート24.0g(50mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、ここに水0.9g(50mmol)を20〜40℃の温度条件で滴下しながら加え、65℃で1時間撹拌した。有機層を液体クロマトグラフィーで分析し、メチル(トリフェニル)ボレートの消失を確認した後、析出した塩と有機層とを分離した。得られた有機層を20%食塩水20mlで2回洗浄した後、20℃以下の温度で減圧濃縮し、さらに乾燥することでメチル(ジフェニル)ボランの白色結晶9.0g(収率99%、純度98%)を得た。
【0086】
得られた化合物のピリジン錯体の物性は実施例1と同等であった。
〔実施例3:ナトリウム・メチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたメチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置、温度計および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに、ナトリウム・メチル(トリフェニル)ボレート14.0g(50mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、ここに10%塩酸水20g(55mmol)を0〜10℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて0〜10℃で30分撹拌した。分液して得られた有機層を20%食塩水20mlで2回洗浄した後、20℃以下の温度で減圧濃縮し、さらに乾燥することでメチル(ジフェニル)ボランの白色結晶9.0g(収率99%、純度98%)を得た。
【0087】
得られた化合物のピリジン錯体の物性は実施例1と同等であった。
〔実施例4:ナトリウム・メチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたメチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置、温度計および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに水50mlを入れ、ここにナトリウム・メチル(トリフェニル)ボレート14.0g(50mmol)をテトラヒドロフラン25mlとベンゼン25mlに溶解した溶液を撹拌しながら加えた。常圧下で最高100℃に加熱し、溶媒を留去した。この際、副生したベンゼンは他の溶剤と共に系外に留去した。得られた反応溶液中には結晶が析出し、これをろ過により回収し、ろ取した粗結晶を水洗した。さらに乾燥することでメチル(ジフェニル)ボラン錯体の白色結晶を9.0g(収率99%、純度99%)を得た。
【0088】
得られた化合物のピリジン錯体の物性は実施例1と同等であった。
〔実施例5:ピリジニウム・メチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたメチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置、温度計および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに、ピリジニウム・メチル(トリフェニル)ボレート16.9g(50mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、ここに10%塩酸水20g(55mmol)を0〜10℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて0〜10℃で30分撹拌した。分液して得られた有機層を20%食塩水20mlで2回洗浄した後、溶媒をエバポレーターで減圧濃縮し、さらに乾燥することでメチル(ジフェニル)ボランの白色結晶9.0g(収率99%、純度98%)を得た。
【0089】
得られた化合物のピリジン錯体の物性は実施例1と同等であった。
〔実施例6:ブロモマグネシウム・エチル(トリフェニル)ボレートを原料に用いたエチル(ジフェニル)ボランの合成〕
撹拌装置、温度計および還流コンデンサーを取り付け、窒素置換した200mlの四頚フラスコに、ブロモマグネシウム・エチル(トリフェニル)ボレート14.9g(50mmol)とテトラヒドロフラン50mlを入れ、ここに10%塩酸水20g(55mmol)を0〜10℃の温度条件で滴下しながら加え、続いて0〜10℃で30分撹拌した。分液して得られた有機層を20%食塩水20mlで2回洗浄した後、溶媒をエバポレーターで減圧濃縮し、さらに乾燥することでエチル(ジフェニル)ボランの白色結晶9.6g(収率98%、純度99%)を得た。
【0090】
エチル(ジフェニル)ボランは空気中容易に酸化されるため、ピリジンを加えて錯体として安定化させた後、物性を測定した。得られた物性は以下のとおりである。
1H NMR (CDCl3): δ8.601 (2H, dt, J= 5.10 & 1.5 Hz), 7.918 (1H, tt, J= 7.50 &
1.80 Hz), 7.473 (2H, dd, J= 7.50 & 6.60 Hz), 7.17-7.32 (8H, m), 7.122 (2H, ddt,
J= 7.50, 6.60, & 1.80 Hz), 1.223 (2H, q, J= 7.59 Hz), 0.723 (3H, t, J= 7.59 Hz)
13C NMR (CDCl3): δ147.1, 139.7, 133.4, 127.1, 124.9, 124.9, 10.4
〔実施例7〕
実施例1の方法を用い、クロロマグネシウム・メチル(トリフェニル)ボレートの代わりに、クロロマグネシウム・メチルトリス(4−トリル)ボレート、クロロマグネシウム・メチルトリス(3,5−キシリル)ボレート、クロロマグネシウム・メチルトリス(4−ビニルフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メチルボレート、クロロマグネシウム・メチルトリス(2−ナフチル)ボレート、クロロマグネシウム・メチルトリス(2−ピリジル)ボレート、クロロマグネシウム・トリス(2−フリル)メチルボレート、クロロマグネシウム・トリス(4−フルオロフェニル)メチルボレート、クロロマグネシウム・ブチル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・tert−ブチル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・オクチル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・トリス(4−tert−ブトキシフェニル)オクチルボレート、クロロマグネシウム・オクタデシル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・ベンジル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・フェネチル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・フルフリル(トリフェニル)ボレート、クロロマグネシウム・メトキシブチル(トリフェニル)ボレートを用いることで、それぞれ、メチルビス(4−トリル)ボラン、メチルビス(3,5−キシリル)ボラン、メチルビス(4−ビニルフェニル)ボラン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メチルボラン、メチルビス(2−ナフチル)ボラン、メチルビス(2−ピリジル)ボラン、ビス(2−フリル)メチルボラン、ビス(4−フルオロフェニル)メチルボラン、ブチル(ジフェニル)ボラン、tert−ブチル(ジフェニル)ボラン、オクチル(ジフェニル)ボラン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)オクチルボラン、オクタデシ
ル(ジフェニル)ボラン、ベンジル(ジフェニル)ボラン、フェネチル(ジフェニル)ボラン、フルフリル(ジフェニル)ボラン、メトキシブチル(ジフェニル)ボランを表2の収率で得た。
【0091】
【表2】

【0092】
〔実施例8:ブロモマグネシウム・トリフェニル(イソプロピル)ボレートを原料に用いたジフェニル(イソプロピル)ボランの合成〕
実施例6の方法を用い、ブロモマグネシウム・エチル(トリフェニル)ボレートの代わりに、ブロモマグネシウム・トリフェニル(イソプロピル)ボレートを用いることで、ジフェニル(イソプロピル)ボランを収率95%で得た。
【0093】
ジフェニル(イソプロピル)ボランは空気中容易に酸化されるため、ピリジンを加えて錯体として安定化させた後、物性を測定した。得られた物性は以下のとおりである。
1H NMR (CDCl3):δ8.702 (2H, d, J= 5.40 Hz), 7.877 (1H, t, J= 7.20 Hz), 7.448
(2H, t, J= 7.20 Hz), 7.353 (4H, dt, J= 6.9 & 1.2 Hz), 7.188 (4H, tt, J= 6.9 & 1.2 Hz), 7.086 (2H, tt, J= 7.2 & 1.5 Hz), 1.944 (1H, qui, J= 6.96 Hz), 0.697 (6H,
d, J= 6.96 Hz)
13C NMR (CDCl3):δ147.5, 134.7, 133.7, 127.0, 124.7, 124.7, 19.9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレート化合物を25℃以上に加熱することにより、アリール基を優先的に脱離させることを特徴とする、下記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランの製造方法。
Ar2BR1 …(I)
Ar3-1・X+ …(II)
(式中、Arは、置換していてもよいアリール基または複素環基を表し、R1は、置換し
ていてもよいアルキル基またはアラルキル基を表し、X+は、カウンターカチオンを表す
。)
【請求項2】
上記式(II)で表されるアルキル(トリアリール)ボレート化合物とプロトン源とを反応させることにより、アリール基を優先的に脱離させることを特徴とする、上記式(I)で表されるアルキル(ジアリール)ボランの製造方法。
【請求項3】
上記プロトン源が、酸、水、アルコール類またはこれらの混合物である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記X+が、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたは下記式(III
)で表わされるアンモニウムカチオンである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
HN+234 …(III)
(式中、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換していてもよい
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。なお、R3およびR4は、置換していてもよい環をともに形成してもよく、またR2、R3およびR4は、置換していてもよい複素環をともに形成してもよい。)

【公開番号】特開2009−137937(P2009−137937A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266323(P2008−266323)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】