説明

アルツハイマー病の処置における乳香の使用

本発明は、乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩の、純粋なボスウェリン酸の、生理学的に許容される塩の、誘導体の、誘導体の塩の、アルツハイマー病の予防または処置のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
アルツハイマー病の処置における乳香の使用 本発明は乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩の、純粋なボスウェリン酸の、生理学的に許容される塩の、誘導体の、誘導体の塩の、アルツハイマー病の予防および治療的処置のための薬剤を調整するための使用に関する。
本発明はまた、乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩の、純粋なボスウェリン酸の、生理学的に許容される塩の、誘導体の、誘導体の塩の、アルツハイマー病の予防および治療のための使用に関する。
アルツハイマー病とは変性病であり、人の一生の50代頃から発生し、脳内の、特に海馬と連合皮膚の領域において形態学的および生化学的な変化をもたらす。現在この病気の発生率の確実な増加が認められている。この病気の症状としては認識能力の混乱を伴なう障害、情緒不安定に伴なわれる記憶の損失および性格の変化、完全なる看護が必要となるほどの完全退行、および痴呆などが挙げられる。
ドイツでは、85万人の人々がアルツハイマー病に苦しんでいる。おそらく世界中で約1500万人の人々がこの病気にかかっている。
これまで、この病気の処置に対する治療の可能性は満足できるものでは無かった。現時点においてもアルツハイマー病が進行する原因がわかっていないので、特定的に作用する治療剤は入手できない。さらに、アルツハイマー病の症状を少なくとも緩和しうる調合剤も不足している。
現時点までに公知の治療法の公式化は満足できるものではなく、臨床的に重要ではない。現在登録されている唯一の薬剤とはタクリンのみである。しかし、その低い応答速度、不十分な治療成果、および明確な原発性の肝中毒誘発性の副作用のため、長期間の治療にはあまり満足すべきではない。モノシアロガングリオサイズを用いた、神経細胞の生長因子の刺激のための実験はまだ重要な成果を見ていない。
本発明は、それ故に、アルツハイマー病の治療のための調合剤の利用を可能にするという目的に基づいている。本発明によって提供される調合剤とはさらに、アルツハイマー病の進行を妨げるかまたは遅延させることができるべきである。
本発明によって提供される薬剤とは無毒であり、患者が十分に耐えられるものであるべきである。
驚くべきことに、乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩、純粋なボスウェリン酸、生理学的に許容される塩、誘導体および誘導体の塩がアルツハイマー病の治療に非常に効果的であることが分かった。
インドのアーユル ヴェーダの薬剤では、植物ボスウェリア鋸歯状葉から得られる調合剤を含有する薬剤が炎症およびリュウマチの処置に用いられる。これらの薬剤をアルツハイマー病の処置にも利用するための使用方法は、どの文献にも記載されていない。ボスウェリア鋸歯状葉の成分は生物学的に活性であるので、その構造を明らかにしようと幾つかの試みがなされた。このように、パルディーおよびバハッタチャヤは、Ind.J.Chem.,16B: 176-178,1978の中で、ボスウェリア鋸歯状葉は実質的に以下の成分を含有していることを報告している。
β−ボスウェリン酸、アセチル−β−ボスウェリン酸、アセチル−11−ケト−β−ボスウェリン酸、11−ケト−β−ボスウェリン酸。
アルツハイマー病に関連した上記のボスウェリン酸の予防的および/または治療的活性への薬理学的な研究は文献には記載されていない。
好ましく利用されるボスウェリン酸とは、文献の情報によれば、ボスウェリア鋸歯状葉から、またはボスウェリン酸を含有する他の公知の植物から単離されるβ−ボスウェリン酸である。β−ボスウェリン酸は少量のα−またはγ−ボスウェリン酸を含有していてもよい。使用されるボスウェリン酸の生理学的に許容される塩は、それのナトリウム、カリウム、アンモニウムまたはカルシウムの塩である。使用されるボスウェリン酸の誘導体は、C1−C6アルコールでカルボキシル基をエステル化することによって得られる低級アルキルエステル、好ましくはメチルエステルまたは生理学的に許容されるカルボン酸で水酸基をエステル化することによって得られるエステルである。好ましい誘導体としては、ボスウェリン酸アセテート、ボスウェリン酸ホルメート、ボスウェリン酸メチルエステル、アセチル−β−ボスウェリン酸、アセチル−11−ケト−β−ボスウェリン酸および11−ケト−β−ボスウェリン酸が挙げられる。
本発明によれば、ボスウェリン酸を含有する植物性調合剤を使用することも可能である。本発明によれば、乳香または乳香樹脂から得られる調合剤の使用が好ましい。
ボスウェリン酸を含有する植物には、特に乳香植物(ボスウェリン属)が挙げられる。ボスウェリア(鋸歯状葉、パピリフェラ、フレレーナ、カルテリ、チュリフェーラ、グラブラ、ボウーダジアーナ、オブロンガータ、ソコツラーナ、およびこの科に属する他の典型)。
ボスウェリン酸を含有する特に好ましい植物性調合剤として、ペキング[ドイツ]のアユールメディカ社によって販売されている、フィト ファルマコン H 15ボスウェリア鋸歯状葉の親油性抽出物が挙げられる。この薬剤は処方薬としてのみ入手可能だが、活性成分として乳香の乾燥抽出物を含有する。市販されている製品のタブレットおよび顆粒剤には以下の組成を持っている。
1錠には乳香の乾燥抽出物400mgが含有される(4.2−5.9:1)、抽出剤:クロロフォルム/メタノール。
1グラムの顆粒剤には乳香の乾燥抽出物500mgが含有される(4.2−5.9:1)、抽出剤:クロロフォルム/メタノール。
本発明によれば、自然および人工の化合物が用いられてもよい。
本発明によれば、他の化学的に純粋な薬物および/または他の植物性の薬剤と併用することも可能である。
本発明によれば、調合剤は必要に応じて投与される。ボスウェリン酸類およびそれらの塩および誘導体を含有する調合剤は毒性が低いため、投薬量は重要ではなく、病気の重度、処置されている患者の体重、投薬の経路および投与の頻度、および処置の期間によって、医師によって容易に変化される。
1回の投薬量は、例えば、1日に1回から4回に分けて投薬される。正確な投薬量は、投薬の経路および処置される条件に依存する。もちろん、患者の年齢および体重、さらに治療中の病気の状態の重さに依って、投薬量に慣例の変化を試みることが必要となるかもしれない。
本発明によって使用される調合剤は、それ自体公知の方法において1種類以上の薬学的に許容される担体または希釈剤を使用して処方される。調合剤は経口、非経口、直腸内または鼻孔内投与用に、あるいは吸入法または吹入れ法によって投与されるのに適した方法で処方されてもよい。
経口投与用の配合物の調合剤が好ましい。
経口投与用の薬学的調合剤は、例えば結合剤(例えば、予めゼラチン化されたコーンスターチ、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトール、コーンスターチ、微結晶セルロースまたは燐酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたは二酸化珪素)
、崩壊剤(例えば、ポテトスターチ、スターチグリコール酸ナトリウムまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容しうる希釈剤を使用する、それ自体公知の方法によって製造される、錠剤またはカプセル剤の形態であることができる。タブレットは、それ自体公知の方法によってコーティングされてもよい。
経口投与用の液体調合剤は、例えば、水性または油性の溶液、シロップ、エリキシル剤、乳剤または懸濁剤の形態にあることができ、あるいは使用前に水または他の適当な担体との構成のための乾燥された生成物の形態にあってもよい。そのような液体調合剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、アルミニウムステアレートジェルまたは水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン、アラビアゴムまたはモノオレイン酸ソルビタン)、非水性担体(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールまたは分留された植物性油)および防腐剤(例えば、メチルp−ヒドロキシベンゾエートまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤を使用するそれ自体公知の方法によって調製される。液体調合剤は、必要に応じて、それ自体公知の緩衝剤、調味料および芳香材、染料、および甘味料も含有してもよい。
非経口投与のためには、調合剤は注射薬用、特に静脈注射、筋肉注射または皮下注射用に処方されてもよい。注射薬用の調合剤は、例えばアンプルのような1回投与の形態にあるか、あるいは容器中に防腐剤を加えて複数回の投与の形態にあってもよい。調合剤は、懸濁剤、溶液剤または油性または水性の担体中の乳剤の形態にあることができ、さらに沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤、および/または溶液の調度を調節するための薬剤のような補佐剤を含有していてもよい。または、活性成分は、使用される前に、例えば、無菌の発熱性物質を含まない水の如き適当な担体との構成のために粉末の形態にあってもよい。
配合物は、例えばココアバターまたは他のグリセリドなどのそれ自体公知の座剤の基剤を含有する種類の座剤のような直腸内用調合剤として処方されてもよい。
鼻孔内の投与用のためには、配合物は液体スプレーとして、液滴の形状として、または嗅ぎ薬として使用されてもよい。
吸引による投与のためには、適切なエアゾール推進薬を用いて加圧包装からエアゾールスプレーの形で、あるいは噴霧器中に有用に放出される。加圧エアゾールの場合には、単位投与量は、測定された容量を放出する弁を備えることによって決定される。吸入器または吹入れ器中で使用されるための、例えばゼラチンから作られるカプセルおよびカートリッジは、それらが本発明により使用される化合物の粉末混合物と、ラクトースやスターチのような適切な粉末基剤から成るように調製される。
以下の実施例は、本発明による使用を説明する。
実施例1H 15 アユールメディカH 15: 400mgのタブレットボスウェリア鋸歯の抽出物 41.0kg無菌ラクトース 14.0kg無菌エアロジル 2.0kg無菌M.C.C.P. 4.0kg無菌スターチ 3.0kg無菌ステアリン酸マグネシウム 1.0kg無菌タルク 2.0kg無菌スターチグリコル酸ナトリウム 1.0kg 合計: 68.0kg ボスウェリア鋸歯の抽出物が慣用の成分と混合され、それ自体公知の方法でタブレットへと加圧成形される。
実施例2経口投与用のタブレットA.直接圧縮1)
a)乳香の様々な抽出物b)微粉砕薬 0.5−1.0 g/タブレット またはc)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/タブレットステアリン酸マグネシウムBP 0.65 mg/タブレット無水ラクトース 80 mg/タブレット 活性成分は無水ラクトースおよびステアリン酸マグネシウムと混合され、その混合物がふるいにかけられた。得られる混合物をタブレット成形機によってタブレットへと加圧成形した。
2)
a)乳香の様々な抽出物b)微粉砕薬 0.5−1.0 g/タブレット またはc)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/タブレットステアリン酸マグネシウムBP 0.7 mg/タブレット微結晶セルロース NF 100 mg/タブレット 活性成分はふるいにかけられ、微結晶セルロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合された。得られる混合物をタブレット成形機によってタブレットへと加圧成形した。
B.湿式粒剤a)乳香の様々な抽出物b)微粉砕薬 0.5−1.0 g/タブレット またはc)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/タブレットラクトースBP 150.0 mg/タブレットスターチBP 30 mg/タブレット予めゼラチン化されたコーンスターチBP 15.0 mg/タブレットステアリン酸マグネシウムBP 1.5 mg/タブレット 活性成分は適切なふるいによってふるいにかけられ、ラクトース、スターチおよび予めゼラチン化されたコーンスターチと混合された。適切な容量で精製水が加えられて、粉末が粒状化された。乾燥後、粒状物質がふるいにかけられ、ステアリン酸マグネシウムと混合された。粒状物質は、適切な直径の打抜プレスによってタブレットへと加圧成形される。
異なる組成物のタブレットが、ラクトースに対する活性成分の比率を変更することによって、あるいは圧縮重量を変更し適切な打抜プレスを使用することによって製造される。
実施例3カプセル剤a)乳香の様々な抽出物b)微粉砕薬 0.5−1.0 g/タブレット またはc)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/タブレット易流動性スターチ 150.00 mg/カプセルステアリン酸マグネシウムBP 1.00 mg/カプセル 活性成分はふるいにかけられ、他の成分と混合された。混合物は適切な装置によって硬質ゼラチンカプセルNo.2中に導入された。異なるカプセルが正味重量を変化させることによって、さらに必要であれば、カプセルの大きさを適切に変化させることによって調製される。
実施例4シロップ剤サッカロースを含まない調合剤 mg/5 ml 投与量a)乳香の様々な抽出物b)粒状化薬、またはc)活性成分 : ボスウェリン酸 15−30ヒドロキシプロピルメチルメチルセルロースUSP(粘性型4000) 22.5緩衝剤 )
調香料 )
染料 ) 必要に応じて防腐剤 )
甘味料 )
精製水 5.0 mlになる量 ヒドロキシプロピルメチルメチルセルロースが熱湯中に分散させられ、冷却され、次いで活性成分と調合剤の他の成分を含有する水性懸濁液と混合される。得られた溶液は体積を調節され混合される。
実施例5懸濁剤 mg/5 ml 投与量a)乳香の乾燥薬剤抽出物b)粒状化薬 0.5−1.0 またはc)活性成分 : ボスウェリン酸 15−30モノステアリン酸アルミニウム 75.00甘味料 )
調香料 ) 必要に応じて染料 )
精留されたココナッツオイル 5.00になる量 モノステアリン酸アルミニウムが約90%の精留されたココナッツオイル中に分散された。得られた懸濁液は撹拌しつつ115℃まで加熱され、次いで冷却された。その後甘味料、調香料および染料が加えられ、そして活性成分が分散された。懸濁液は精留されたココナッツオイルの残りを用いて体積を調節され、混合された。
実施例6舌下錠a)乳香の薬剤抽出物 0.5−1.0g/タブレットb)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/タブレット またはc)微粉砕薬圧縮可能糖NF 50.5 mg/タブレットステアリン酸マグネシウムBP 0.5 mg/タブレット 活性成分が適切なふるいを通してふるいにかけられ、他の成分と混合され、適切な打抜プレスによって加熱成形される。異なる効力のタブレットは、担体に対する活性成分の比率を変更することによって、または圧縮重量を変更することによって調製される。
実施例7直腸投与用の座剤a)乳香の抽出物b)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg またはc)ワイテプゾル H 15 1.0gになる量 −アデプス ソリダス Ph.Eur.からの適切な品質 溶融したワイテプゾル中に活性成分の懸濁液が調合され、適切な器具によって1グラムの座剤の鋳型へと投入される。
実施例8静脈投与用の注射薬a)乳香の抽出物またはb)活性成分ボスウェリン酸 15−30 mg/l塩化ナトリウム静脈注射用注入液BP、0.9wt./vol. 1mlになる量バッチの容積 2500 ml 活性成分が塩化ナトリウム静脈注射用注入液の一部に溶解させられ、その溶液は塩化ナトリウム静脈注射用注入液を用いて容積を調節され、そして得られた溶液は十分に混合された。その溶液は透明な、1型の10mlのガラス製アンプルに投入され、上部空間に窒素を充填し、ガラスを溶融することによって密封される。アンプルはオートクレーブ内で120℃で20分間以上加熱することによって滅菌される。
実施例9吸引用のカートリッジa)乳香の抽出物 またはb)活性成分(超微粉砕)
ボスウェリン酸 15−30 mg/カートリッジラクトースBP 25.00 活性成分がジェットミル中で微粒子のサイズの範囲まで超微粉砕され、その後ラクトースと混合された。粉末化された混合物は硬質ゼラチンカプセルNo.3中に導入された。
実施例10鼻スプレーa)乳香の抽出物、またはb)活性成分ボスウェリン酸 1.5−3.0 %/容積防腐剤 ) 必要に応じて塩化ナトリウムBP)
精製水BP 100になる量放出量 100mg(7mgの活性成分に相当)
活性成分、防腐剤および塩化ナトリウムが上記水の1部分に溶解された。溶液は水で容積を調整され、そして得られた溶液は十分に混合された。
事例 治療目的として、上記のフィトファルマコン H 15がタブレットの形態で好ましく投与される。最大投与量は1日当たり3x2タブレットであり、そして一般に患者は長期間に渡って1日当たり3x1タブレットづつを食後に服用する。
3週間から6週間後、治療中の患者の臨床像全般において、はっきりとした進歩が記録された。
予防的使用として、長期間の予防のために数ヶ月に渡って1日当たり2x1タブレットから3x1タブレットが食後に投与される。
治療の効果が以下の事例によって説明される。
事例1 アルツハイマー病の症状(記憶の喪失、単語検索能力の低下、認識能力の低下、攻撃性)を2年間に渡って示している83歳の女性の患者が、1ヶ月間1日当たり3x1タブレットのフィトファルマコン H 15を服用した。治療開始後4週間後に、患者に初期の上機嫌、さらに「混乱」の確実な低下が見られた。数ヶ月に渡って継続される長期間治療(1日当たり2x1タブレットのH 15)は臨床データ全般における明確で継続的な進歩という結果となり、それは患者を取り囲む家族によっても確認されている。
事例2 アルツハイマー病に悩む81歳の男性の患者が、1日当たり3x2タブレットの投与量のH 15を用いて3週間に渡って処置された。その後投与量は半分に減らされた(1日3x1タブレット)。単語検索能力の低下、見当識障害、認識能力の欠乏などが、治療開始後4週間目にして確実に緩和された。投与量を3x1タブレットに減らした時点で、初めに約4週間ほどの確実な停止が見られたが、その後すべての欠陥のさらなる改善が見られた。
事例3 変性症状(主に見当識の混乱、不十分な現実認識、攻撃性を伴なう強度の情緒の変化)を示していたアルツハイマー病に悩む79歳の男性の患者が、1日当たり3x1タブレットの投与量のH 15を服用した。
見当識の混乱は3週間後に著しく減少し、患者はより頻繁に周りの親類を正確に識別できるようになった。患者の情緒は次第により安定化し、攻撃的な感情の激発は減少し、さらに言動はより理路整然とし始めた。
事例4 すでにアルツハイマー病の進んだ段階にあった63歳の女性の患者(その診断は4年前に確認されており、患者は自分の子供をすでに識別できなくなっていて、排便や栄養補給などのより高度な人間制御および調節機能に関しては完全に混乱し平衡を失っていた。)は1日当たり3x1タブレットの投与量のH 15を服用した。患者の状態の全般における知覚機能の進歩は3週間後に始めて記録され、そしてこの状態はゆっくりと、しかし着実に進歩していった。
事例5 5年間アルツハイマー病に苦しみ、関連する症状を示していた59歳の女性の患者は見当識を失い、周囲の環境と親類をすでに識別できなくなっており、それ故に治療が必要であった。1日当たり3x1タブレットのH 15を用いた治療は4週間後に患者の臨床像における進歩となった。

【特許請求の範囲】
1.乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩の、純粋なボスウェリン酸の、生理学的に許容される塩の、誘導体の、誘導体の塩の、アルツハイマー病の予防および治療的処置のための薬剤を製造するための使用。
2.純粋なボスウェリン酸、生理学的に許容される塩、誘導体、誘導体の塩、ボスウェリン酸を含有する乳香の抽出物が薬剤の製造のために用いられることを特徴とする、請求項1による使用。
3.ボスウェリア鋸歯状葉の樹脂の抽出物が薬剤の製造のために用いられることを特徴とする、請求項1又は2の1つによる使用。
4.該使用が腹膜組織内、口腔内、舌下、直腸内、筋肉内、局所、皮下、関節内または静脈内投与のための薬剤の製造のために有効であることを特徴とする、請求項1〜3の1つによる使用。
5.該使用が錠剤、糖衣剤、カプセル剤、注射剤溶液、溶液剤、乳剤、軟膏剤、クリーム剤、吸入剤、エアゾール剤または座剤の形態にある薬剤の製造のために有効であることを特徴とする、請求項1〜3の1つによる使用。
6.乳香、乳香の抽出物、乳香に含まれる物質、それらの生理学的に許容される塩、それらの誘導体およびその生理学的に許容される塩の、純粋なボスウェリン酸の、生理学的に許容される塩の、誘導体の、誘導体の塩の、アルツハイマー病の予防および治療のための使用。
7.純粋なボスウェリン酸、生理学的に許容される塩、誘導体、誘導体の塩、ボスウェリン酸を含有する乳香の抽出物が上記処置のために用いられることを特徴とする、請求項6による使用。
8.ボスウェリア鋸歯状葉の樹脂の抽出物が上記処置のために用いられることを特徴とする、請求項6又は7の1つによる使用。
9.該使用が錠剤、糖衣剤、カプセル剤、注射剤溶液、溶液剤、乳剤、軟膏剤、クリーム剤、吸入剤、エアゾール剤または座剤の形態において有効であることを特徴とする、請求項6〜8の1つによる使用。

【公表番号】特表平10−510276
【公表日】平成10年(1998)10月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−518143
【出願日】平成7年(1995)11月21日
【国際出願番号】PCT/EP95/04586
【国際公開番号】WO96/18407
【国際公開日】平成8年(1996)6月20日
【出願人】
【氏名又は名称】エッツェル、ライナー