説明

アルデヒド類捕集剤

【課題】
アルデヒド類捕集剤を使用した木質板製造時において発生する、熱圧工程前の段階での亜硫酸ガス等の不快臭を抑制すると共に、使用量低減に繋がる高性能アルデヒド類捕集剤を開発する。
【解決手段】
加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有する亜硫酸塩、重亜硫酸塩を少なくとも一種以上含有し、1粒若しくは複数の粒の塊の形態としての「粒度」がJISK3362の測定公称目開き2.8mm以上の篩分け残分がなく、公称目開き250μm以上が40%以上、かつ公称目開き100μm以下が10%未満であるアルデヒド類捕集用化合物を選択し、その外側表面を疎水性フィラーならびに疎水性フィラーをまぶした溶融皮膜成分により、被覆処理を溶融皮膜成分の融点以上で実施することを特徴とするアルデヒド類捕集剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒド系接着剤から発生するホルムアルデヒド等のアルデヒド類を捕集するアルデヒド類捕集剤、前記アルデヒド類捕集剤を含有するホルムアルデヒド系接着剤、更には、これらを用いて製造される木質板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーティクルボード、合板、木質繊維板等の木質板の製造には、接着剤としてホルムアルデヒド系接着剤を使用することが一般的に行われている。この場合、木質板から、前記ホルムアルデヒド系接着剤に起因する遊離したホルムアルデヒドが大気中に放出され、環境や健康に害を与える問題がある。
【0003】
従来、この問題の解決手段として、ホルムアルデヒドと反応してこれを捕集するいわゆるホルムアルデヒド捕集剤として、尿素、亜硫酸塩、ヒドラジド類を木質材料表面に塗布することが行われている(特許文献1、特許文献2参照)。この場合、ホルムアルデヒド捕集剤は通常水等に希釈して、スプレー塗工、ロール塗工等で塗布される。木質板は、ホルムアルデヒド捕集剤を塗布後、積み重ねて保管され、出荷される。
【特許文献1】特開平11−240002号公報
【特許文献2】特開2002−331504号公報
【0004】
ところで、木質板は、アルデヒド捕集剤を塗布後、表面美観を向上する為及び所要の寸法とする為に表面を薄く研磨して出荷されるのが通常であるが、表面研磨を行った場合、特に研磨厚が大きい場合には木質板表面に存在するアルデヒド類捕集剤も少なくなり、その結果、上記手段ではホルムアルデヒド補捉能が低下或いはなくなってしまうという問題が生じる。この問題を解決する手段として、表面研磨をせずに、木質材料中に亜硫酸ナトリウムや尿素をホルムアルデヒド捕集成分として添加してホルムアルデヒド放散量を低減する方法が提案されている(特許文献3)。
【特許文献3】特開平10−119010号公報
【0005】
しかしながら、特許文献3記載の方法では、ホルムアルデヒド捕集成分である亜硫酸ナトリウムや尿素が固体であることから、ホルムアルデヒドとの反応は、固体−気体反応となる。このため、ホルムアルデヒドは、当該ホルムアルデヒド捕集成分の粒子表面で捕集されることになる。すなわち、木質板中に捕集剤が点在するフィルター状となってしまうので、遊離ホルムアルデヒドを十分捕集しきれない。特に、近年JIS法が改正され、ホルムアルデヒド放出量の制限が厳しくなったことを鑑みれば、上記手段では、ホルムアルデヒド捕集能が不十分であった。
【0006】
そこで、アルデヒド類捕集剤として、常温で粉末であって、かつ加温により、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有する固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤を用いることで、熱圧工程などにおける加熱で、ガス状での反応を生じさせることにより、優れたアルデヒド類捕集性能が得られることが分かった(特許文献4)。
【特許文献4】特開2007−38659号公報
【0007】
また、上記アルデヒド類捕集用化合物から発生する、亜硫酸ガスのような、アルデヒド類との反応性を有する酸性ガスが、熱圧成型前、すなわち接着剤が未硬化で木質材料中に存在する状態で発生すると、熱圧による接着剤の硬化が阻害され、木質板の強度が低下する課題があったが、これを解決するため、粉末または粒状のアルデヒド類捕集用化合物を1粒若しくは複数の塊として、その外側表面をワックス類等の外被物によって被覆されたアルデヒド類捕集用複合物を主成分として含有するアルデヒド類捕集剤を提案している(特許文献5)。
【特許文献5】特開2007−38661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献5で開示されたアルデヒド類捕集剤を木質板製造時に使用する場合、製造条件・環境によっては熱圧工程前の段階で亜硫酸ガス等の不快臭を発生し、作業環境上好ましくない状態に陥る場合があった。
【0009】
この熱圧工程前の段階で亜硫酸ガス等の不快臭が発生する原因について鋭意検討した結果、亜硫酸ガスを発生する性質を持つ亜硫酸塩等をアルデヒド類捕集剤として使用した場合、木質板の製造条件や環境が、水分と積極的に接触することを促すような場合に、熱圧工程前の段階で亜硫酸ガス等の不快臭が発生することがわかった。
【0010】
本発明は、アルデヒド類と反応する酸性ガスを発生する、常温で固体のアルデヒド類捕集用化合物を必須成分として含むアルデヒド類捕集剤でありながら、製造条件・環境によっては熱圧工程前に発生していた亜硫酸ガスの不快臭を抑制することができ、アルデヒド類捕集剤の耐水性を向上させ、熱圧工程前の水分によるアルデヒド類捕集用化合物のロスを低減できる、高性能なホルムアルデヒド系接着剤用アルデヒド類捕集剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、次の構成からなるアルデヒド類捕集剤を採用した。
即ち、木質材料中又はホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であり、該アルデヒド類捕集剤は常温で粒状であって、少なくとも1種類以上のアルデヒド類捕集用化合物と疎水性フィラー及び溶融皮膜成分を含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有する亜硫酸塩、重亜硫酸塩を少なくとも一種以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊の形態としての「粒度」がJISK3362の測定で、公称目開き2.8mm以上の篩分け残分がなく、公称目開き250μm以上が40%以上、かつ公称目開き100μm以下が10%未満であり、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面が、1粒若しくは複数の粒の塊の疎水性フィラーとこの疎水性フィラーをまぶした溶融皮膜成分の混合物で被覆され、該被覆処理が溶融皮膜成分の融点以上で実施されてなることを特徴とするアルデヒド類捕集剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記特徴を有するアルデヒド類捕集剤を採用することで、熱圧工程前に不快臭を発生して作業環境が好ましくない状態になることを解決すると同時に、使用量を低減しても性能を発揮できる高性能アルデヒド類捕集剤を提供するものである。
【0013】
前記アルデヒド類捕集用化合物の粒度を公称目開き100μm以下が10%未満、かつ、公称目開き250μm以上が40%以上とすることで前記アルデヒド類捕集用化合物の流動性が良くなり、疎水性フィラーと溶融皮膜成分による被覆造粒性が向上し、質的にも量的にも均一性に優れた被覆が形成できる。別の側面では、アルデヒド類捕集用化合物が疎水性フィラーによる均一性に優れた被覆によりアルデヒド類捕集剤としての耐水性が向上する。このことが、熱圧工程前のアルデヒド類捕集用化合物のロスを低減し、アルデヒド類捕集剤としての高性能化に繋がっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(ホルムアルデヒド系接着剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤は、木質板の作製において、使用時にアルデヒド類を放出しながら接着が行われるホルムアルデヒド系接着剤を使用する場合に、前記接着剤とともに用いると好適なアルデヒド類捕集効果を奏するものである。
ホルムアルデヒド系接着剤とはホルムアルデヒドを成分として含有する接着剤全般を指し、代表的なホルムアルデヒド系接着剤としては、尿素とホルムアルデヒドを主成分とする尿素系接着剤(U系接着剤)、メラミン、尿素及びホルムアルデヒドを主成分とするメラミン系接着剤(M系接着剤)、フェノールとホルムアルデヒドを主成分とするフェノール系接着剤(P系接着剤)を挙げることができる。これらのホルムアルデヒド系接着剤は、木質板の製造に好んで用いられる。また、これらホルムアルデヒド系接着剤とホルムアルデヒド系以外の接着剤(例えばイソシアネート系接着剤)と併用して使用することもある。
【0015】
(アルデヒド類捕集剤)
本発明は、木質材料とホルムアルデヒド系接着剤を用いて木質板を製造するに際して、該木質材料中或いは該ホルムアルデヒド系接着剤中に添加または分散して使用するアルデヒド類捕集剤についてのものであり、その性状は常温で粒状及び/又は粉末である。なお、常温の語は、一般的な意味あいで用いるものあるが、厳密に定義すれば、25℃を指す。
【0016】
(粒度)
本発明のアルデヒド類捕集剤粉末においては、効率のよいアルデヒド類捕集能を付与し、また本発明のアルデヒド類捕集剤粉末を用いて製造した木質板の外観を向上させるため、前記粉末の粒度は70質量%以上が公称目開き3.25mm以下が好ましく、70質量%以上が公称目開き2mm以下である方がより好ましい。一方、あまりに小さすぎると、粉末として取り扱いづらくなるだけでなく、アルデヒド捕集能が却って悪くなったり、凝集が発生し、外観上の問題を発生させたりする可能性があるため、公称目開き20μm以上が好ましく、公称目開き45μm以上であることがより好ましい。
【0017】
(アルデヒド類捕集用化合物)
アルデヒド類捕集用化合物としては、アルデヒド類と反応する公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物であれば足りる。具体的なアルデヒド類捕集化合物の例としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩類、尿素類、ヒドラジド類等を挙げることができる。なかでも、常温では固体であるが、加温によりアルデヒド類との反応性を有する酸性ガスを発生する性質を有するものが好ましい。このような性質を有する化合物であれば、熱圧成型工程において、アルデヒド類捕集能を有する酸性ガスが発生し、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とガス状での反応を生じることによりアルデヒド類を除去するため、固体−気体反応でアルデヒド類を除去する他のアルデヒド類捕集能を有する化合物を用いた場合よりも高いアルデヒド類捕集能を発揮できるからである。
従って、本発明におけるアルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有する亜硫酸塩、重亜硫酸塩を少なくとも一種以上含有することが好ましい。
【0018】
亜硫酸塩としては、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩及びこれらの複塩等が挙げられるが、本願におけるアルデヒド類捕集用化合物としては、アルデヒド類捕集性能をもち、低コストである点より、亜硫酸アルミニウム、亜硫酸亜鉛、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム等が好適である。本発明ではこれらの亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することが出来る。
【0019】
重亜硫酸塩類としては、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が挙げられる。前記塩の種類は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。このうち、ナトリウム塩、カリウム塩などが好ましい。本発明ではこれらの重亜硫酸塩類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
【0020】
亜硫酸塩、重亜硫酸塩類のなかで、亜硫酸水素塩がより好ましく、塩としてはナトリウム、カリウムがより好ましく、無水塩であっても、結晶水を有していても構わない。
【0021】
尿素類としては、尿素及び尿素結合を有する化合物が例示され、例えば、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、グアニル尿素、アセチル尿素、チオ尿素の他、エチレン尿素、アラントイン等の環状尿素縮合体や、ビウレットなどの尿素二量体などの非環状尿素縮合体などが挙げられる。本発明ではこれら尿素類のうち1種或いは2種以上を亜硫酸塩および/又は重亜硫酸塩と併用して使用することもできる。これらのうち好ましい例としては、尿素、エチレン尿素、チオ尿素が挙げられ、なかでも価格等から尿素が好ましい。
【0022】
ヒドラジド類としては、分子中に1個のヒドラジド基を有するモノヒドラジド化合物、分子中に2個のヒドラジド基を有するジヒドラジド化合物、分子中に3個以上のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物を挙げることができる。モノヒドラジド化合物の具体例としては、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド等のアルキルヒドラジド化合物が挙げられる。ジヒドラジド化合物の具体例としては、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド等の2塩基酸ジヒドラジドが挙げられる。ポリヒドラジド化合物の具体例としては、ポリアクリル酸ヒドラジド等を例示できる。これらのなかでも、2塩基酸ジヒドラジド化合物が好ましく、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジドがより好ましく、価格や入手のし易さからアジピン酸ジヒドラジドがさらに好ましい。本発明ではこれらヒドラジド類のうち1種或いは2種以上を亜硫酸塩および/又は重亜硫酸塩と併用して使用することもできる。
【0023】
また、加温によりアルデヒド類との反応性を有する酸性ガスして、硫黄酸化物ガスを挙げることができる。硫黄酸化物ガスとしては、亜硫酸ガス、SOガスなどを挙げることができる。なお亜硫酸ガスが発生する場合にはSOガスも副生として発生する場合がある。本発明のアルデヒド類捕集剤では、このように2種以上の硫黄酸化物ガスが混在して発生する場合でも、お互いが阻害要因とならず、両者ともアルデヒド類を捕集するので使用することができる。
【0024】
アルデヒド類との反応性を有する亜硫酸ガスを発生する化合物は、加熱反応によって、亜硫酸ガスを代表とする硫黄酸化物ガスを発生させる。亜硫酸ガスを発生させる化合物として亜硫酸水素ナトリウムを例にとって説明する。
2NaHSO →(加熱)→ NaSO+HO+SO
【0025】
上記反応によってアルデヒド類捕集用化合物から発生した亜硫酸ガスが、熱圧工程でアルデヒド類を捕集する機構は、次のような化学反応を辿ることによるものと推測される。アルデヒド類としてホルムアルデヒドの場合を例にとって説明する。
(亜硫酸ガス)
HCHO+SO+HO → HOCHSOH・・・不安定な酸を生成
HOCHSOH+NaSO → HOCHSONa+NaHSO
熱圧工程において、上記反応がガス状で反応するため、アルデヒド類が効果的に除去される。
【0026】
上記のような加温により亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物の例としては、上記の亜硫酸水素ナトリウムのような重亜硫酸塩類を挙げることができる。重亜硫酸塩類のうちでも、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩などが好ましい。前記塩の種類の例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、モノエタノールアミン等のアミン塩、アンモニウム塩等がある。なお重亜硫酸塩類によっては、加温によって亜硫酸ガスとともに副生成物としてSOガスを発生する化合物もある。
【0027】
本発明のアルデヒド類捕集剤には、少なくとも一種類の亜硫酸ガスを発生させる性質を有するアルデヒド類捕集用化合物が含有されている必要があるが、二種類以上のアルデヒド類捕集用化合物を用いてもよい。また他の公知のアルデヒド類捕集能を有する化合物と併用して使用することもできる。なかでもアルデヒド類捕集能を有する化合物が亜硫酸アルミニウム、亜硫酸亜鉛であれば、それぞれのアルデヒド類捕集能力を打ち消しあうことなく、相乗的な効果が生じ、臭気の除去能力が更に増加し効果的に作用する。
【0028】
本発明のアルデヒド類捕集用化合物の粒度は、高性能なアルデヒド類捕集能の付与の面からも、本発明のアルデヒド類捕集剤粉末を用いて製造した木質板の外観を向上させるためにも、適切な粒度を有することが好ましい。
具体的には、JISK3362における粒度で、公称目開き2.8mm以上の篩い分け残分がなく、公称目開き250μm以上が40%以上、且つ公称目開き100μm以下が10%未満であることが好ましい。より好ましくは、公称目開き2mm以上の篩い分け残分がなく、且つ公称目開き100μm以下が5%未満であり、公称目開き250μm以上が70%以上である。
また、前記アルデヒド類捕集用化合物の含有量は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して50〜90質量%であることが好ましく、60〜82質量%であることがより好ましい。
【0029】
加温により、アルデヒド類との反応性を有する亜硫酸ガスを発生する性質を有する化合物という語を更に厳密に定義する必要があるならば、下記のように厳密に定義することができる。すなわち、前記アルデヒド類捕集用化合物からの亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下、好ましくは200℃以下の化合物をいうものとする。亜硫酸ガスの発生濃度が小さすぎると、アルデヒド類捕集能が十分でないからである。また分解開始温度が高すぎる化合物は、熱圧工程で接着を行う際、200℃程度の温度であっても亜硫酸ガスを十分には発生しないからである。その一方、加温により発生する亜硫酸ガス濃度が50%を超えるような化合物の場合、例え室温で固体であったとしても容易に分解しやすい化合物であり、臭気も強く、取り扱いが困難であるからあまり好ましくない。
【0030】
加温時の亜硫酸ガス発生濃度の測定方法はJISなどで確立された測定方法が存在しないので、下記に説明する方法で測定することとした。また熱分解開始温度の測定は下記の条件で行うものとする。
【0031】
[亜硫酸ガス濃度の測定方法]
試験装置・器具:JIS K 2234−1994に記載されている伝熱面腐食試験装置を使用する。但し、金属試験片に相当する部分はSUS304で作製し、熱板とする。
試験方法:ガラスセル上部より試料1.0gを入れて封入した後、金属試験片に相当する部分をヒーターで加温し目的の温度まで昇温する。目的の温度に達した後30分間温度を保持して試料より亜硫酸ガスを発生させた後、試験装置上部の栓を開け、ガス検知管により亜硫酸ガス濃度を測定する。尚、ガラスセルは内径40mm、全長530mmのものを使用する。また、ガス検知管はJISK0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化イオウ)を使用した。
【0032】
[熱分解開始温度]
TG(SEIKO社製 TG/DTA6200)により熱分解し、分解開始温度を外挿した。昇温条件は次のとおりである。
温度範囲30−300℃
昇温速度:10℃/分
【0033】
上記試験の結果は表1にまとめた。なお、亜硫酸水素ナトリウムについては、試料量0.1gの場合の濃度も補足的に測定した。表1のとおり、亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸水素カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウム,亜硫酸マグネシウム,亜硫酸亜鉛及び亜硫酸アルミニウムは、亜硫酸ガス発生濃度が、140℃加熱時に500ppm以上の化合物であるか、または亜硫酸ガスを発生する化合物であってその分解開始温度が250℃以下の化合物であることが確認された。一方、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カルシウムは上記要件を満たさず、本発明では酸性ガスを発生しない化合物といえることが確認された。
【0034】
【表1】

【0035】
(溶融被覆成分)
本発明で用いることのできる溶融被覆成分は、常温で固体状であれば公知のものが使用できる。好ましい溶融被覆成分の具体例としては、ワックス類やシリコーン類、ろう等が挙げられる。
【0036】
ワックス類としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスに代表される天然ワックスや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、α−オレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成脂肪酸エステルに代表される合成ワックスが挙げられる。またこれら天然ワックスや合成ワックスを酸化した酸化ワックス、水素添加した硬化油脂(例えば牛脂硬化油やカスターワックスなど)及び変性したワックス誘導体なども挙げられる。更にはオレフィンと無水マレイン酸からなるワックス、オレフィンとアクリル酸からなるワックス、酢酸ビニルからなるワックスまたは高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸アマイド、ポリエーテルなどのワックスも使用できる。本発明ではこれらのワックス類のうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。シリコーン類としては、例えばジメチルシリコーンオイルの変性体が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、融点が40℃以上100℃未満の溶融被覆成分が好ましく、融点が50℃以上90℃以下の溶融被覆成分がより好ましい。融点が低過ぎる場合は、低融点の溶融被覆成分を使用して製造した粉体を夏場等の高温下にて保存すると、粒同士の融着が生じ、取り扱いが困難な粉体になってしまうため好ましくない。融点が高過ぎる場合は、造粒時の温度を融点以上に保って造粒をおこなったときにアルデヒド類捕集用化合物の分解が始まってしまうため好ましくない。
好ましい具体例としては、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックスや、牛脂硬化油、パーム硬化油、カスターワックス等の油脂硬化油、高級アルコール、高級脂肪酸が挙げられる。これらは、単独でも使用できるが2種以上を組み合わせて使用してもよい。より好ましくは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、牛脂硬化油、パーム硬化油である。
この場合、前記2種類以上のワックス類等の混合物が、例えば示差走査熱量計(DSC)で分析した結果、2以上の融点を示す場合には、該融点の全てが前記溶融被覆成分の融点温度範囲に入るものとする。
【0038】
前記溶融被覆成分をアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、溶融被覆成分の含有割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して2〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。割合が小さすぎるとアルデヒド類捕集用化合物の表面に十分な被覆膜が形成されず、臭気を抑制する効果が発揮できないことと、アルデヒド類捕集用化合物に被覆された溶融被覆成分の表面に、後に添加する疎水性フィラーが付着しないため、造粒物の流動性が悪くなり取り扱いが困難となるためである。一方、割合が多すぎるとアルデヒド類捕集剤本来の効果であるアルデヒド類捕集能を低下させてしまうことと、造粒時に粒子同士の凝集や装置への付着が起こりやすくなり、収率が低下してしまうためである。
【0039】
(疎水性フィラー)
疎水性フィラーとしては、無機フィラー及び/又は有機フィラーが用いることができる。好ましい無機フィラーの例としては、タルク、クロライト、ろう石クレー、カオリンクレー、脂肪酸塩で表面処理を施した炭酸カルシウム、ロジン塩で表面処理を施した炭酸カルシウム、シリコンオイルで表面処理を施した炭酸カルシウム、メチル基により表面処理を施したシリカ、シリコンオイルで表面処理を施したシリカ、オクチルシランで表面処理を施したシリカ、有機ベントナイトなどを例示できる。より好ましくは、タルク、ろう石クレーである。
本発明ではこれらの無機フィラーのうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
好ましい有機フィラーの例としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムヒマステなどの金属石鹸、メラミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、ジメチルベヘニルアミンなどのアルキルアミン、そのほかステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどのアルキルアミド、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、石油系ロジン、ロジンエステル、セルロースパウダーなどを例示できる。
より好ましくは、ステアリン酸カルシウム、メラミンである。
本発明ではこれらの有機フィラーのうち1種類または2種類以上を併用して使用することも出来る。
尚、ここで、疎水性フィラーとは、200mlビーカーにイオン交換水100mlをいれ25℃に調整した後、攪拌子で攪拌しながらサンプル1g投入したとき、60秒以上を要してもイオン交換水上に浮遊したままの状態、或いは、一部の粒子しか水中に分散できないていない状態であるフィラーである。即ち、疎水性フィラーとは、25℃のイオン交換水100mL中にフィラー濃度1%になるよう添加し攪拌したとき、全粒子が完全に水中分散するまでに要する時間が60秒以上を要するフィラーと定義する。ここで、「完全に水中で分散」とは、全ての粒子が見掛け上、水中で均一に分散した状態をいう。
【0040】
前記疎水性フィラーをアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、疎水性フィラーの含有割合は、アルデヒド類捕集剤全体量に対して3質量%〜47質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。割合が低すぎると著しい臭気抑制効果が得られにくく、多すぎると造粒物の流動性が悪くなり取り扱いが困難になるためである。
前記疎水性フィラーをアルデヒド捕集用化合物の表面に被覆させる場合、相対的にアルデヒド捕集用化合物よりも前記疎水性フィラーの粒度を小さくすることが好ましい。具体的には前記疎水性フィラーは100μm以下が85%以上であることが好ましく、75μm以下の粒子が85%以上あることがより好ましい。下限については0.5μm以下が10%以下であることが望ましい。これ以上細かすぎると粉同士が凝集して均一に造粒できなかったり、造粒中に集塵機に吸い取られてしまう可能性がある。ここで下限の0.5μmは、篩による測定は困難なため、レーサ゛ー回折式粒度分布測定装置(SIMADZU製 SALD-7000)で測定した。
前記疎水性フィラーは前記溶融被覆成分に対してその質量比率(溶融被覆成分/疎水性フィラー比率)は、6〜400%、好ましくは8〜100%である。
【0041】
疎水性フィラーの疎水性を水分散性で評価した結果を表2に示す。具体的には、200mlビーカーにイオン交換水100mlをいれ25℃に調整した後、攪拌子で攪拌しながらサンプル1g投入し、完全に分散するまでの時間を測定した。分散までの時間が60秒以上を○、20以上〜60秒未満を△、20秒未満 × とし、使用できるフィラーを分散までの時間が60秒以上とした。
【0042】
【表2】

【0043】
表2からわかるように、無機フィラーとしてタルク、有機フィラーとしてステアリン酸カルシウムなどが、定義した疎水性フィラーに該当することがわかる。尚、タルクなどは、産地、商品によっては親水性のグレードもあることから、一概に鉱物名で選ぶことはできず、上記評価で合格したものである必要がある。
【0044】
(その他添加剤)
本発明のアルデヒド類捕集剤組成物中には、上記化合物のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、木粉、防錆剤の他、製造工程上必要な薬剤を含有させることもできる。
【0045】
(製造方法)
上記本発明のアルデヒド類捕集剤は、以下の(1)〜(5)の工程を少なくとも経ることで、収率良く製造することができる。
(1) アルデヒド類捕集用化合物を溶融被覆成分の融点以上に加温する工程
(2) 前記(1)工程後、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、融点以上に加温した溶融被覆成分を、加温したアルデヒド類捕集用化合物に噴霧或いは滴下する工程、
(3) 前記(2)工程後、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、溶融した溶融被覆成分が被覆されたアルデヒド類捕集用化合物に疎水性フィラーを添加する工程、
(4) 前記(3)工程後、被覆後に温度を少なくとも10℃以上、溶融被覆成分融点より下へ冷却し、固化した前記溶融被覆成分と疎水性フィラーが被覆された、常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を得る工程
とを少なくとも有するアルデヒド類捕集剤の製造方法で、
好ましくは、
(5) 前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程を例示できる。
【0046】
((1) 工程)
本発明の(1)工程は、アルデヒド類捕集用化合物を溶融被覆成分の融点以上に加温する工程である。
また、効率よくアルデヒド類捕集用化合物の昇温をおこなうために、アルデヒド類捕集用化合物以外の物質をあらかじめ混ぜておいてもよい。
【0047】
((2) 工程)
本発明の製造方法の(2)工程は、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、融点以上に加温した溶融被覆成分を、加温したアルデヒド類捕集用化合物に噴霧或いは滴下する工程である。該溶融被覆成分の溶融に用いるヒーターは公知のヒーターを用いることができる。このときの滴下或いは噴霧温度は、該被覆溶融成分の融点よりも1〜20℃高い温度とする。例えば、被覆溶融成分として融点55℃のパラフィンワックスを用いた場合の滴下或いは噴霧する温度は、56〜75℃とする。更に、被覆溶融成分の融点よりも5〜10℃高い温度で滴下或いは噴霧を行うことがより好ましい。滴下或いは噴霧時の温度が低すぎると、被覆溶融成分が固化して配管詰まりを起こしやすくなる。一方、滴下或いは噴霧時の温度が高すぎると、造粒機内の温度が上昇するので冷却時間が長くなり余分なエネルギーロスになる。
溶融被覆成分が2種類以上のワックスで構成される場合は、必要量を別々に噴霧或いは滴下しても構わないが、これらを予め混合溶融させて均一化したものを添加することが望ましい。
【0048】
なお、上記のように滴下或いは噴霧する際、温度を一定範囲に制御するためには、滴下或いは噴霧する被覆溶融成分の貯蔵されたタンクから溶融した被覆溶融成分を噴霧或いは滴下する噴霧ノズル或いは滴下口までの系統部の温度を制御することが好ましい。本工程で該被覆溶融成分の滴下或いは噴霧時の温度範囲をコントロールしつつ、該被覆溶融成分をアルデヒド類捕集用化合物に滴下或いは噴霧、なかでも噴霧することで、アルデヒド類捕集用化合物粒子表面に前記被覆溶融成分が被覆された複合粒子の発生する確率が増え、接着性低下防止効果のより大きい粉末状アルデヒド類捕集剤とすることができる。成分の偏りが少ないアルデヒド類捕集剤とするため、アルデヒド類捕集用化合物を攪拌しながら滴下或いは噴霧を行うことが好ましい。
【0049】
また、アルデヒド類捕集用化合物を該被覆溶融成分の融点よりも高い温度の状態に加温または保持する工程は、使用するアルデヒド類捕集用化合物の分解開始温度未満でおこなわれることが好ましい。望ましくは100℃以下でおこなわれることがより好ましい。
保つ温度が低過ぎる場合は、液状の溶融被覆成分を滴下或いは噴霧したときに固化し、十分にアルデヒド類捕集用化合物に被覆せず、臭気抑制効果が得られないからである。
保つ温度が高過ぎる場合は、製造時に材料の変質が起こり好ましくない。さらには、生産時にアルデヒド類捕集用化合物が分解し、ガスを発生してしまう恐れがあるからである。
なお、アルデヒド類捕集用化合物は目的の温度に達していれば良く、加温は造粒装置内で行っても良いし、装置外で予め行っても良い。
【0050】
((3) 工程)
本発明の製造方法の(3) 工程は、前記(2)工程後、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、溶融した溶融被覆成分が被覆されたアルデヒド類捕集用化合物に疎水性フィラーを添加する工程である。
【0051】
((4) 工程)
本発明の製造方法の(4) 工程は、被覆後に温度を少なくとも10℃以上、溶融被覆成分融点より下へ冷却し、固化した前記溶融被覆成分と疎水性フィラーが被覆された、常温で粒状であるアルデヒド類捕集用化合物を得る工程である。ここで冷却は、「被覆後に温度を少なくとも10℃以上、溶融被覆成分融点より下へ冷却し」であるが、「溶融被覆成分の融点の10℃以下まで冷却」することが好ましい。冷却により、溶融していた溶融被覆成分は再び固化する。
(3)工程後すぐに(4)工程に移ることももちろん可能であるが、(3)工程後再び(2)工程に戻り、再度(3)工程を経てから(4)工程に移ることもできる。また、(3)工程から(2)工程に戻る手順は1回以上繰り返すこともできる。
【0052】
(攪拌)
前記(2) 工程及び(3) 工程における攪拌の処理条件としては、下記式(i)で定義される攪拌フルード数Frが0.1以上5.0未満となる条件で行うことが好ましい。
Fr=V/[(R×g)0.5] (i)
なお、(i)式中、Vは攪拌翼の先端の周速[m/s]を、Rは攪拌翼の回転半径[m]を、gは重力加速度[m/s2])を表す。攪拌フルード数Frを上記範囲に制御することで、粘性のある溶融被覆成分を選択した場合でも、アルデヒド類捕集用化合物に均一に添加できる。溶融被覆成分噴霧時のフルード数Frが小さすぎると、粒子の凝集を起こし、粗大粒子を生成しやすくなる。また造粒機の壁への付着が生じ、負荷が過大となり易くなり、好ましくない。一方、フルード数Frが大きすぎる、すなわち攪拌速度が速すぎると、攪拌による摩擦熱により造粒機の内温が上昇するため、冷却時間が長くなり、エネルギーロスとなるので好ましくない。前記(2) 工程及び(3) 工程における攪拌で、アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面が、1粒若しくは複数の粒の塊の疎水性フィラーとこの疎水性フィラーをまぶした溶融皮膜成分の混合物で被覆される。
【0053】
((5) 工程)
好ましくは、本発明の製造方法の(5)工程は、前記(4)工程にて得られた混合物を篩い分けして粉末状アルデヒド類捕集剤を得る整粒工程である。本発明のアルデヒド類捕集剤では、該アルデヒド類捕集剤粉末に含まれる粒子の70質量%以上が、粒子径2mm以下であることが好ましいため、篩い分けも開き目が2mmの篩いを用いて行うことが好ましいが、他の篩い目の大きさの篩いにて篩い分けることももちろん可能であり、目的とする木質板の品質、特に外観上の品質と本発明のアルデヒド類捕集剤の生産効率とのバランスより、適宜決定することができる。篩い分けの前に(4)工程で得られたアルデヒド類捕集剤を粉砕し、または篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再び篩い分けすることも可能ではあるが、できるだけ臭気のしない粒子を得るためには粉砕しないことが望ましい。そのために、篩い分け上に残った粉末を粉砕して、再度(2)工程のアルデヒド類捕集用化合物と混合し造粒することができる。
【0054】
(造粒方法、装置)
上記(1)〜(4)の工程は、攪拌型造粒法、転動造粒法にて行うことができ、具体的な装置としては、ハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー、ニューグラマシン、シュギミキサー、レディーゲミキサー、プロシェアミキサー、リボンミキサー、スパルタンミキサー、パグミキサー、タービュライザー(以上、攪拌造粒法)水平円筒型混合機(転動造粒法)などを用いて行うとことができる。
【0055】
上記(5)工程の整粒(篩い分け)は、オシレーター、振動ふるいなどを用いて行うことができる。また粉末の粉砕を行う際には、パワーミル、ハンマーミル、ピンミルなどを用いて行うことができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。
【0057】
(粒度の調整)
本実施例及び比較例では、ピロ亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)製)を、篩を使用して分級し、表3に定める粒度分布に調整して使用した。
【0058】
【表3】

【0059】
(実施例1)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部を入れ、前記粉体の温度が70℃となるまで釜内部を昇温した。融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部を溶融して、前記粉体に75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、73℃となった。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、粒度2mm以下(且つ100μm以下が5%以下である。)のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0060】
(実施例2)
ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)に粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部を入れ、前記粉体の温度が70℃となるまで釜内部を昇温した。融点61℃のパラフィンワックス140(日本精蝋(株)製)6部を溶融して、前記ピロ亜硫酸ナトリウムに75℃の状態において噴霧し、攪拌フルード数Frが2.1の造粒条件にて造粒を行った。このとき粉体温度は、73℃となった。次に、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)および釜内部の粉温を維持したままでタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部を添加し攪拌し混合した。次に、前記粉体の温度が45℃になるまで、攪拌条件(攪拌フルード数Frが2.1)を維持したままで冷却し、製造装置内のアルデヒド類捕集剤を採取し、採取したサンプルの温度が冷却温度(45℃)に達したことを確認し、粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0061】
(実施例3)
融点58℃のパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)に代えて、融点59℃の牛脂硬化油(ミヨシ油脂(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0062】
(実施例4)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.2のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0063】
(実施例5)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.3のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0064】
(実施例6)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.4のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0065】
(比較例1)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.5のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0066】
(比較例2)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.6のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0067】
(比較例3)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウムに代えて、粒度調整No.7のピロ亜硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0068】
[評価:ホルムアルデヒド放散量](アルデヒド類捕集剤添加量)
木片等の木質原料をフレーカーで粉砕し、目開き寸法1.7mmの篩で篩い分けをして、篩下の木質材料を表裏層用木質材料、篩上の木質材料を芯層用木質材料とした。篩い分けした木質材料は90℃の熱風乾燥機中で乾燥し、水分を3%以下とした。次に尿素樹脂(不揮発分65%、尿素:ホルムアルデヒド=1:1.2mol)を接着剤として用い、これに55%ワックスエマルション、硬化剤として塩化アンモニウム、及び水をそれぞれ20部、1部、0.5部、2部の割合で混合した(以下混合物Aと称す)。
【0069】
表裏層用木質材料100部に対して前記混合物Aを25部スプレー塗工し、均一混合した。その後、アルデヒド類捕集剤を2.5部添加して混合し、表裏層用材料とした。同様にして芯層用木質材料100部に対し混合物Aを15部、アルデヒド類捕集剤を2部添加して芯層用材料とした。次に、30cm角の型枠に裏層用材料250部、芯層用材料650部、表層用材料250部を順次敷き詰め、200℃の熱板に挟み40kgf/cm2の圧力で90秒間熱圧し、厚み15.0mm、密度0.68g/cm3の木質板を得た。
【0070】
上記方法で作製した木質板を、パーティクルボード(JIS A 5908:2003)及び建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法(JIS A 1460:2001)に準じてデシケーター法により測定した。
評価基準は次のとおりである。F4☆が最も性能がよく、続いてF3☆、F2☆の順である。
F4☆ ホルムアルデヒド放散量が0.3mg/L以下
F3☆ ホルムアルデヒド放散量が0.5mg/L以下
F2☆ ホルムアルデヒド放散量が1.5mg/L以下
【0071】
熱圧工程前のブレンドチップから発生する不快臭は下記に説明する方法で測定した。
〔評価:ブレンドチップ臭気〕
1)尿素樹脂(不揮発分65%、尿素:ホルムアルデヒド=1:1.2mol)を接着剤として用い、これに55%ワックスエマルション、硬化剤として20%塩化アンモニウム水溶液、及び水をそれぞれ20部、1部、0.5部、6部の割合で混合した(以下混合物Aと称す)。
2)木材チップ100部に対し、前記混合物Aを25部スプレー塗工し、均一混合した。その後、アルデヒド類捕集剤を2.5部添加して3分間混合した。
3)操作2)で得られたブレンドチップ10gを2Lのテドラーバッグ内に入れて密閉し、30分後のテドラーバッグ内のガス濃度を検知管にて測定した。ガス検知管はJIS 0804−1998に規定する(株)ガステック製検知管式ガス測定器(二酸化硫黄)を使用した。
判断基準は、次の通りである。ブレンドチップの臭気であるSO2濃度が低い方が良好である(アルデヒド類捕集剤の分解によるロスが少ない)。
SO2ガス濃度[ppm]30未満 評価◎
SO2ガス濃度[ppm]30以上 60未満 評価○
SO2ガス濃度[ppm]60以上 100未満 評価△
SO2ガス濃度[ppm]100以上 評価×
【0072】
[評価:アルデヒド類捕集剤の添加量を減量した場合のホルムアルデヒド放散量]
(木質板の作製)
アルデヒド類捕集剤の添加量を、表裏層用木質材料100部に対して1.5部、芯層用木質材料100部に対して1.2部添加した以外は、前記アルデヒド類捕集剤添加量と同様に木質板を作製方法と同様に木質板を作製し、ホルムアルデヒド放散量の測定を行った。
上記方法で作製した木質板を、パーティクルボード(JIS A 5908:2003)及び建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法(JIS A 1460:2001)に準じてデシケーター法により測定した。
評価基準は次のとおりである。F4☆が最も性能がよく、続いてF3☆、F2☆の順である。
F4☆ 0.3mg/L以下
F3☆ 0.5mg/L以下
F2☆ 1.5mg/L以下
以上の結果を表4に示した。
【0073】
【表4】

【0074】
実施例1〜6から分かるようにアルデヒド類捕集用化合物の粒度が、公称目開き100μm以下が10%未満、かつ、公称目開き250μm以上が40%以上であるアルデヒド類捕集用化合物(粉末のピロ亜硫酸ナトリウム)を用いたアルデヒド類捕集剤がブレンドチップ臭気(SO)を有効に抑制しており、アルデヒド類捕集剤の添加量が減少してもホルムアルデヒド放散量がF4☆と有効に抑制している。特にアルデヒド類捕集用化合物(粉末のピロ亜硫酸ナトリウム)の粒度は、公称目開き100μm以下が5%以下、かつ、公称目開き250μm以上が50%以上である場合が好適である。
【0075】
次に、疎水性フィラーの種類について評価した。
【0076】
(実施例7)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部、タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてステアリン酸カルシウム24部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下(且つ100μm以下が5%以下である。)のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0077】
(実施例8)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてメラミンを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0078】
(実施例9)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてろう石クレーを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0079】
(比較例4)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてゼオライトを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0080】
(比較例5)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてシリカを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0081】
(比較例6)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えて炭酸カルシウムを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0082】
(比較例7)
タルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)に代えてセリサイトを用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0083】
(比較例8)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム95部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)5部を用いたこと以外は、実施例7と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%以上の収率で得た。
【0084】
表5に示すように、造粒時に用いる粉体として疎水性のフィラーを使用した実施例1、7,8,9が疎水性で無いフィラーを用いた比較例4,5,6,7より、ブレンドチップ不快臭を抑制するのに効果的であることが認められる。疎水性フィラーを用いることで、溶融被覆成分とフィラーから成る物理的な障壁によって遮蔽し、有効に臭気を抑制できた。
【表5】

【0085】
実施例1、7〜9から分かるように疎水性フィラーを使うことで、アルデヒド類捕集剤の添加量が減少してもホルムアルデヒド放散量をF4☆と有効に抑制させていることがわかる。
【0086】
次に、ピロ亜硫酸ナトリウム、疎水性フィラー及びワックスについて、最適量を見出した。
【0087】
(実施例10)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム50部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)40部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を30%の収率で得た。
【0088】
(実施例11)
フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)30部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)20部を用いたこと以外は、実施例10と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%の収率で得た。
【0089】
(実施例12)
フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)47部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例10と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0090】
(実施例13)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム60部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)30部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を40%の収率で得た。
【0091】
(実施例14)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム60部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)20部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)20部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を75%の収率で得た。
【0092】
(実施例15)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム60部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)30部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0093】
(実施例16)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム60部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)37部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0094】
(実施例17)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)20部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を60%の収率で得た。
【0095】
(比較例9)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム47部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)50部、
ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%の収率で得た。
【0096】
(実施例18)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)27部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0097】
(実施例19)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム75部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)15部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%の収率で得た。
【0098】
(実施例20)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム75部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)22部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0099】
(実施例21)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム80部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を85%の収率で得た。
【0100】
(実施例22)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム80部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)17部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0101】
(実施例23)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム85部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)5部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%の収率で得た。
【0102】
(実施例24)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム85部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)10部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0103】
(実施例25)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム85部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)12部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を85%の収率で得た。
【0104】
(実施例26)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム90部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)5部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%の収率で得た。
【0105】
(実施例27)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム90部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)7部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0106】
(比較例10)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム95部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)2部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を80%の収率で得た。
【0107】
(比較例11)
粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム70部に代えて粒度調整No.1のピロ亜硫酸ナトリウム95部、フィラーとしてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)24部に代えてタルク(「クラウンタルクSC-S」松村産業(株)製)5部、ワックスとしてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)6部に代えてパーム硬化油(ミヨシ油脂(株)製)0部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粒度2mm以下のアルデヒド類捕集剤を90%以上の収率で得た。
【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【0110】
表6及び表7より、疎水性フィラーがアルデヒド類捕集剤全量に対して3質量%〜47質量%であればブレンドチップ臭気(SO)を抑制するとともに、アルデヒド類捕集剤の添加量を減少してもホルムアルデヒド放散量がF4☆と有効に抑制している。またこのことは、アルデヒド類捕集剤の耐水性を向上し、熱圧工程前の水分によるアルデヒド類捕集用化合物のロスを低減出来し、アルデヒド類捕集剤の高性能化につながっている。
なお、表6及び表7中のホルムアルデヒド放散量、アルデヒド類捕集剤添加量減のホルムアルデヒド放散量、ブレンドチップ臭気の各試験条件及び各試験方法については、表4と同様に行った。
【0111】
なお、本実施例及び比較例には次の化合物が用いられている。ピロ亜硫酸ナトリウム(大東化学(株)、神洲化学(株))
タルク(クラウンタルクSC-S;松村産業(株))
ゼオライト(シルトンB;水澤化学工業(株))シリカ(カープレックス#67;DSL.ジャパン(株))ステアリン酸カルシウム(SC-100;堺化学工業(株))セリサイト(シルクエース;キンセイマテック(株))ろう石クレー(5号クレー;竹原化学工業(株))炭酸カルシウム(カルヒ゜ンY;矢橋工業(株))パーム硬化油(IHP-58;ミヨシ油脂(株))m.p.=58℃牛脂硬化油(IHT-59;ミヨシ油脂(株))m.p.=59℃メラミン(三井化学(株))パラフィンワックス140(日本精蝋(株))m.p.=61℃


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料中又はホルムアルデヒド系接着剤中に添加、分散して使用するアルデヒド類捕集剤であり、該アルデヒド類捕集剤は常温で粒状であって、少なくとも1種類以上のアルデヒド類捕集用化合物と疎水性フィラー及び溶融皮膜成分を含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、加温により亜硫酸ガスを発生する性質を有する亜硫酸塩、重亜硫酸塩を少なくとも一種以上含有し、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊の形態としての「粒度」がJISK3362の測定で公称目開き2.8mm以上の篩分け残分がなく、公称目開き250μm以上が40%以上、かつ公称目開き100μm以下が10%未満であり、
前記アルデヒド類捕集用化合物は、1粒若しくは複数の粒の塊の外側表面が、1粒若しくは複数の粒の塊の疎水性フィラーとこの疎水性フィラーをまぶした溶融皮膜成分の混合物で被覆され、該被覆処理が溶融皮膜成分の融点以上で実施されてなることを特徴とするアルデヒド類捕集剤。
【請求項2】
前記アルデヒド類捕集用化合物が、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウム,亜硫酸マグネシウム,亜硫酸亜鉛及び亜硫酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の化合物である請求項1記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項3】
前記溶融皮膜成分が、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、油脂硬化油、高級アルコール及び高級脂肪酸のうち少なくとも1つ以上の化合物である請求項1又は2記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項4】
前記疎水性フィラーが、25℃のイオン交換水100mL中にフィラー濃度1%になるよう添加し攪拌したとき、全粒子が完全に水中分散するまでに要する時間が60秒以上を要するフィラーである、請求項1〜3のいずれかの項に記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項5】
前記疎水性フィラーがアルデヒド類捕集剤全量に対して3質量%〜47質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のアルデヒド類捕集剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を製造する方法であって、前記アルデヒド類捕集用化合物を溶融被覆成分の融点以上に加温する工程、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、融点以上に加温した溶融被覆成分を、加温したアルデヒド類捕集用化合物に噴霧或いは滴下する工程、溶融被覆成分の融点以上に保ちながら、溶融した溶融被覆成分が被覆されたアルデヒド類捕集用化合物に疎水性フィラーを添加する工程、被覆後に温度を少なくとも10℃以上、溶融被覆成分融点より下へ冷却し、固化した前記溶融被覆成分と疎水性フィラーが被覆されたアルデヒド類捕集用化合物を得る工程とを少なくとも有する、常温で粒状であるアルデヒド類捕集剤の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を使った木質板の作製方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかの項に記載されたアルデヒド類捕集剤を木質材料に添加した後、当該木質材料を熱圧成型することにより得られる木質板。