説明

アルミ系金属品に対する防食方法およびそれによって得られたアルミ系金属防食品

【課題】化成皮膜の有無の確認を容易に行えるようになる、アルミ系金属品に対する防食方法およびそれによって得られたアルミ系金属防食品を提供する。
【解決手段】アルミ系金属品の表面に下記(A)の処理剤を接触させることにより、そのアルミ系金属品の表面に下記(B)の化成皮膜を形成し、アルミ系金属防食品を得る。
(A)硫酸亜鉛水溶液,フッ化アンモニウム水溶液およびモリブデン酸ナトリウム水溶液が混合されている処理剤。
(B)フッ化亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムが含有されている化成皮膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品に対する防食方法およびそれによって得られたアルミ系金属防食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の分野では、低燃費化(環境性能向上)のために、軽量化が進められている。その軽量化の方法として、自動車を構成するサスペンションアーム,ブッシュ,エンジン,エンジンマウント,車体外板等に使用されている金属材料を鉄からアルミニウムまたはアルミニウム合金に変えることが行われている。
【0003】
このような状況において、アルミニウムおよびアルミニウム合金には、防食を目的として、当初、クロメート処理等の化成処理(表面処理)により化成皮膜を形成することが行われていたが、そのクロメート処理に用いる処理剤には、人体や環境に悪影響を及ぼす6価クロムが含まれており、そのことが問題となっていた。
【0004】
そこで、最近では、6価クロムの使用を控える傾向にあり、本出願人は、クロメート処理に代わる方法を提案し既に出願している(特許文献1参照)。この方法では、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品に対して、酸,アルカリまたはフッ化物を用いたエッチングを行った後、アルカリ金属リン酸塩を用いた化成処理により化成皮膜を形成している。
【特許文献1】特開2001−47515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の化成皮膜は、色が淡色ないし無色透明であり、化成処理(皮膜形成)を行ったか否かを確認することが困難となっている。この点で、生産管理上、なお改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、化成皮膜の有無の確認を容易に行えるようになる、アルミ系金属品に対する防食方法およびそれによって得られたアルミ系金属防食品の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成することにより上記アルミ系金属品を防食する方法であって、上記アルミ系金属品の表面に下記(A)の処理剤を接触させることにより、そのアルミ系金属品の表面に下記(B)の化成皮膜を形成するアルミ系金属品に対する防食方法を第1の要旨とする。
(A)硫酸亜鉛水溶液,フッ化アンモニウム水溶液およびモリブデン酸ナトリウム水溶液が混合されている処理剤。
(B)フッ化亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムが含有されている化成皮膜。
【0008】
また、本発明は、上記アルミ系金属品に対する防食方法により得られたアルミ系金属防食品であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品の表面に上記(B)の化成皮膜が形成されているアルミ系金属防食品を第2の要旨とする。
【0009】
本発明者らは、アルミ系金属品の表面に形成する化成皮膜の有無の確認を容易に行えるようにすべく、新たな化成皮膜の形成方法について研究を重ねた。その結果、アルミ系金属品の表面に上記処理剤(A)を接触させると、上記化成皮膜(B)が形成され、充分な防食性が得られることを突き止めた。しかも、その化成皮膜(B)は、有色のものとなり、その有無の確認が容易になることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアルミ系金属品に対する防食方法は、アルミ系金属品の表面に上記処理剤(A)を接触させることにより、有色の化成皮膜(B)を形成するため、その化成皮膜(B)の有無の確認を容易に行うことができる。
【0011】
特に、上記処理剤(A)が、下記(a)の硫酸亜鉛水溶液と下記(b)のフッ化アンモニウム水溶液と下記(c)のモリブデン酸ナトリウム水溶液とを相互の質量比が7/3/2の割合で混合してなる場合には、各水溶液を効率よく反応に使用することができる。そして、形成される上記化成皮膜(B)のフッ化亜鉛に由来する亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムに由来するアルミニウムの含有比が、質量基準で亜鉛/モリブデン/アルミニウム=5/4/1になり、その化成皮膜(B)を、密着性および防食性の観点から最適なものとすることができる。
(a)硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液。
(b)フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液。
(c)モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液。
【0012】
また、上記処理剤(A)中、上記(a),(b),(c)の質量比7/3/2が、上記(a)35〜175g、上記(b)15〜45g、上記(c)10〜50gである場合には、上記化成皮膜(B)の形成性が良好になり、その化成皮膜(B)による防食性や化成皮膜の密着性が優れたものとなる。
【0013】
さらに、上記処理剤(A)の温度が45〜65℃の範囲内であり、上記アルミ系金属品の表面と処理剤(A)との接触時間が1〜10分間の範囲内である場合には、化成皮膜(B)の形成性がより良好となる。
【0014】
そして、本発明のアルミ系金属防食品は、上記アルミ系金属品に対する防食方法により得られ、アルミ系金属品の表面に上記化成皮膜(B)が有色に形成されているため、その化成皮膜(B)の有無の確認を容易に行うことができる。
【0015】
特に、上記化成皮膜(B)のフッ化亜鉛に由来する亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムに由来するアルミニウムの含有比が、質量基準で亜鉛/モリブデン/アルミニウム=5/4/1になっている場合には、その化成皮膜(B)が密着性に優れたものとなり、アルミ系金属防食品が防食性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0017】
本発明のアルミ系金属品に対する防食方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品の表面に、下記に詳述する本発明に係る処理剤を接触させることにより、下記に詳述する本発明に係る化成皮膜を形成し、上記アルミ系金属品を防食する方法である。そして、その化成皮膜は、黄色ないし黄金色等の有色のものとなっており、その色により、化成皮膜の形成の有無の確認が容易にできるようになっている。
【0018】
より詳しく説明すると、上記処理剤は、硫酸亜鉛水溶液,フッ化アンモニウム水溶液およびモリブデン酸ナトリウム水溶液が混合された混合液となっている。この処理剤(混合液)の調製は、つぎのようにして行われる。すなわち、化成皮膜の形成の点から、硫酸亜鉛水溶液としては、硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液(a)を用い、フッ化アンモニウム水溶液としては、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液(b)を用い、モリブデン酸ナトリウム水溶液としては、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液(c)を用いる。そして、このような特定の濃度範囲の各水溶液を質量比で、(a)/(b)/(c)=7/3/2の割合で混合して調製される。
【0019】
このような処理剤を用いることにより、形成される化成皮膜は、フッ化亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムが含有されたものとなり、そのフッ化亜鉛に由来する亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウム(フッ化アンモニウムがアルミ系金属品のアルミニウムと反応して生成)に由来するアルミニウムの含有比は、質量基準で亜鉛/モリブデン/アルミニウム=5/4/1ないしそれに近い比(4〜6/3〜6/0.5〜2)となる。なお、化成皮膜の組成(含有比)は、ICP(Inductively Coupled Plasma:高周波誘導プラズマ)発光分析法により確認することができる。
【0020】
ここで、上記処理剤調製の具体例について説明すると、処理剤は、硫酸亜鉛水溶液(硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液)を35〜175g(溶質である硫酸亜鉛7水和物は5.25〜26.25g)の範囲内、フッ化アンモニウム水溶液(フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液)を15〜45g(溶質であるフッ化アンモニウムは1.5〜4.5g)の範囲内、モリブデン酸ナトリウム水溶液(モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液)を10〜50g(溶質であるモリブデン酸ナトリウム2水和物は0.5〜2.5g)の範囲内で混合することにより得られ、これにより、上記各水溶液の質量比は7/3/2となる。さらに、化成皮膜の形成性をより良好にする観点からは、上記処理剤の温度を45〜65℃の範囲内に設定することが好ましい。
【0021】
また、上記アルミ系金属品の表面と処理剤との接触は、通常、アルミ系金属品を処理剤に浸漬することにより行われるが、アルミ系金属品の表面に処理剤をスプレー等により塗布や噴霧等してもよい。このとき、化成皮膜の形成性をより一層良好にする観点からは、上記好適な処理剤の温度(45〜65℃)においては、浸漬等による接触時間を1〜10分間の範囲内に設定することが好ましい。
【0022】
そして、上記浸漬等によりアルミ系金属品の表面に化成皮膜が形成され、その後は、必要に応じて、水洗,湯洗,乾燥等が行われる。
【0023】
また、アルミ系金属品の表面には、通常、酸化膜が形成されており、従来のアルカリ金属リン酸塩等を用いた化成処理では、その化成処理に先立って、エッチングを行うことにより上記酸化膜を除去する必要があるが、本願発明では、上記化成皮膜中に、フッ化アンモニウムが含まれており、アルミニウムの酸化膜をエッチング可能であることから、アルミ系金属品の表面の酸化膜は、上記処理剤により溶ける。このため、従来のエッチング工程を不要とすることができる。しかし、必要に応じて、エッチングを行ってもよい。
【0024】
このようにして形成された化成皮膜は、上述したように、色が黄色ないし黄金色等の有色になっており、一目でその有無を確認することができる。このため、上記アルミ系金属防食品を製造する工程では、化成皮膜の形成の有無を容易に確認することができ、生産管理の効率が向上する。
【0025】
なお、上記アルミ系金属品の材料であるアルミニウムまたはアルミニウム合金としては、特に限定されるものではなく、1000番系〜7000番系,AC系,ADC系等全てのアルミ系金属があげられる。また、そのようなアルミ系金属品の表面に上記化成皮膜が形成されたアルミ系金属防食品も、特に限定されるものではなく、エンジンマウント等の自動車部品,カメラボディ等の電気部品,アルミサッシ等の建築用部材,机等の事務用品等の様々な分野で用いられる。
【0026】
つぎに、実施例について従来例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例1】
【0027】
〔アルミ系金属品〕
アルミニウム合金A6063からなる板材〔25mm×60mm×3mm(厚み)〕を準備した。
【0028】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液35.0gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液15.0gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液10.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物5.25g/リットル、フッ化アンモニウム1.5g/リットル、モリブデン酸ナトリウム0.5g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0029】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を75℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を20分間浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【実施例2】
【0030】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液52.5gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液22.5gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液15.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物7.875g/リットル、フッ化アンモニウム2.25g/リットル、モリブデン酸ナトリウム0.75g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0031】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を65℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を10分間浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【実施例3】
【0032】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液70.0gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液30.0gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液20.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物10.5g/リットル、フッ化アンモニウム3.0g/リットル、モリブデン酸ナトリウム1.0g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0033】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を55℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を5分間浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【実施例4】
【0034】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液87.5gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液37.5gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液25.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物13.125g/リットル、フッ化アンモニウム3.75g/リットル、モリブデン酸ナトリウム1.25g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0035】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を45℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を1分間浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【実施例5】
【0036】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液105.0gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液45.0gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液30.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物15.75g/リットル、フッ化アンモニウム4.5g/リットル、モリブデン酸ナトリウム1.5g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0037】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を35℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を30秒間(0.5分間)浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【実施例6】
【0038】
〔処理剤〕
硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液175.0gと、フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液45.0gと、モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液50.0gとを混合し、硫酸亜鉛7水和物26.25g/リットル、フッ化アンモニウム4.5g/リットル、モリブデン酸ナトリウム2.5g/リットルとなるように、得られた混合液を希釈することにより、化成皮膜形成用の処理剤を調製した。
【0039】
〔化成皮膜形成〕
上記処理剤を35℃に設定し、その処理剤中に上記アルミ系金属品を30秒間(0.5分間)浸漬することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【0040】
〔従来例1〕
下記のように、エッチングした後、アルカリ金属リン酸塩を用いて化成皮膜形成を行った。
【0041】
〔エッチング〕
酸性エッチング剤JCB−7030(日本シー・ビー・ケミカル社製)を200g/リットルとなるように水で希釈し、その中に上記アルミ系金属品を浸漬した(60℃×5分間)。
【0042】
〔化成皮膜形成〕
リン酸二水素ナトリウム塩を主成分とするケミボンダー5701(日本シー・ビー・ケミカル社製)を120g/リットルとなるように水で希釈し、その中に上記エッチングしたアルミ系金属品を浸漬(60℃×5分間)することにより、そのアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成した。その後、処理剤から取り出し、水洗,湯洗および乾燥を順に行った。これにより、アルミ系金属防食品を得た。
【0043】
〔化成皮膜の確認〕
このようにして得られた実施例1〜6,従来例1の各アルミ系金属防食品について、化成皮膜の有無を目視にて確認した。その結果、実施例1〜6のものは、表面が黄色ないし黄金色になっており、一目で化成皮膜が形成されていることが確認できた。これに対して、従来例1のものは、表面が無色透明であり、目視では化成皮膜を確認できなかった。そこで、ICP発光分析装置(OPTIMA 4300DV ,PERKINELMER 社製)を用いて分析した結果、従来例1のアルミ系金属防食品の表面に化成皮膜が形成されていることが確認された。また、そのICP発光分析装置による分析により、実施例1〜6のアルミ系金属防食品の表面に形成された黄金色ないし黄色のものも化成皮膜であることを確認し、その組成(含有比)を分析した。その結果を下記の表1に併せて示した。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品の表面に化成皮膜を形成することにより上記アルミ系金属品を防食する方法であって、上記アルミ系金属品の表面に下記(A)の処理剤を接触させることにより、そのアルミ系金属品の表面に下記(B)の化成皮膜を形成することを特徴とするアルミ系金属品に対する防食方法。
(A)硫酸亜鉛水溶液,フッ化アンモニウム水溶液およびモリブデン酸ナトリウム水溶液が混合されている処理剤。
(B)フッ化亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムが含有されている化成皮膜。
【請求項2】
上記処理剤(A)が、5.25〜26.25g/リットルの硫酸亜鉛7水和物と、1.5〜4.5g/リットルのフッ化アンモニウムと、0.5〜2.5g/リットルのモリブデン酸ナトリウム2水和物とを含有する請求項1記載のアルミ系金属品に対する防食方法。
【請求項3】
上記処理剤(A)が、下記(a)の硫酸亜鉛水溶液と下記(b)のフッ化アンモニウム水溶液と下記(c)のモリブデン酸ナトリウム水溶液とを相互の質量比が7/3/2の割合で混合してなり、形成される上記化成皮膜(B)のフッ化亜鉛に由来する亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムに由来するアルミニウムの含有比が、質量基準で亜鉛/モリブデン/アルミニウム=5/4/1になっている請求項1または2記載のアルミ系金属品に対する防食方法。
(a)硫酸亜鉛7水和物15重量%含有の水溶液。
(b)フッ化アンモニウム10重量%含有の水溶液。
(c)モリブデン酸ナトリウム2水和物5重量%含有の水溶液。
【請求項4】
上記処理剤(A)中、上記(a),(b),(c)の質量比7/3/2が、上記(a)35〜175g、上記(b)15〜45g、上記(c)10〜50gである請求項3記載のアルミ系金属品に対する防食方法。
【請求項5】
上記処理剤(A)の温度が45〜65℃の範囲内であり、上記アルミ系金属品の表面と処理剤(A)との接触時間が1〜10分間の範囲内である請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルミ系金属品に対する防食方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルミ系金属品に対する防食方法により得られたアルミ系金属防食品であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミ系金属品の表面に下記(B)の化成皮膜が形成されていることを特徴とするアルミ系金属防食品。
(B)フッ化亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムが含有されている化成皮膜。
【請求項7】
上記化成皮膜(B)のフッ化亜鉛に由来する亜鉛,モリブデンおよびフッ化アルミニウムに由来するアルミニウムの含有比が、質量基準で亜鉛/モリブデン/アルミニウム=5/4/1になっている請求項6記載のアルミ系金属防食品。

【公開番号】特開2008−231449(P2008−231449A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68169(P2007−68169)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】